江戸を愛(め)で、失はれし言靈(ことだま)を惜しむ耄碌爺なり。その容貌(かたち)いとあやしく赤貧洗ふが如し。
【原則】:(近頃隨分いい加減)
一、小賢(こざか)しき店に連鎖店、倶(とも)に天を戴(いたゞ)かざるの敵。
二、志(こゝろざし)高き路地裏の小さな店を愛(め)づ。
三、媒體に未(いま)だ紹介されざる店を尊(たふと)ぶ。
四、鮨屋、名のあるなしにかゝはらず、己(おのれ)の眼(まなこ)と舌に頼る。
五、天麩羅、鰻、蕎麥を語るは恣(ほしひまゝ)に。洋食また然り。
六、茶の湯、書畫骨董に疎(うと)き故、料亭懷石の類(たぐひ)を語(かた)らず。
七、葡萄酒と人付きあひの術(すべ)を知らざれば佛・伊を語(かた)らず。
【信條】:
一、職人に旨きもの喰はす面構(つらがま)へあり。
二、鍋は味を映す鏡。
三、楊枝は黑文字、箸は利休箸、カウンタは檜の一枚板に限る。
四、鮮度高きがゆゑに尊(たうと)からず。寢かせ醸(かも)すも味の内。
五、心地よさの鍵、仄(ほの)かな「搖(ゆ)らぎ」にあり。
六、愉(たの)しきもの、ものゝ硬き軟き、強き弱きの違(たが)ひにあり。
七、見るべきは、傘番、帳場に下足番。老舖侮(あなど)るべからず。
※故ありて五點零の店を四點五とす。(平成十九丁亥年九月)

























ゑらを取去(とりさり)庖丁(はうてう)にてしごき洗(あら)ひて二三篇(べん)水に滲(ひた)し解(とけ)たる腸(わた)をは流(なか)し捨(すて)て用ゆ。
一、腸(わた)を六七分ばかりに切薄鹽湯(うすしほゆ)にてさつと渫(ゆで)て赤味噌(あかみそ)にて和(あへ)たるを「沼田棒(ぬまたぼう)」といふ。あしらひ物、茗荷子(めうかのこ)木耳(きくらげ)の... 続きを読む