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鰻(むなぎ)めし 喰らふこちらは 江戸生(む)まれ 艷氣(うはき)の うの字 縁のなきかな
'07/07/18
('07/07 訪問)
以前当地に住み暮らしている頃、「突然ウナギ」な気分になると、当店の暖簾をくぐることが多かったです。(いやもう、気づいてみると十年以上前のお話です)
「突然ウナギ」ですから、当店の「電光石火な給仕」が、合ったんですね。味わいにしましても、極上の美味という訳ではありませんが
>鰻めしとして掻(か)き込むには、いみじくもめでたきものあり
でしたから、ね。
平日の閉店チョッと前、或いは、日曜日の夕方、観光のお客さんがはけた頃合に訪問、燗酒で「やきとり(みたらし団子みたいな、独特のタレが掛かって出てくるのが面白い)」、その後一番ちっちゃな重箱、というのが、当時の「わたくし流」でした。
そういえば長い事行ってないな。久しぶりに一杯やりに行きましょうか。
>「突然ウナギ」ですから、当店の「電光石火な給仕」が、合った
正しく!!
そんな使い方が一番と云う気がします。恥ずかしながら入ったのは今回初めて。
決して侮れないな、と、正直驚かされました。こんな観光客だらけのところにロクな店はないと勝手に思い込んでいたもんですから..。
有り難味は限りなくゼロに近いですけど。
ところで、唐土通の御大尽には釈迦に説法もいいとこながら、唐土では、「電光石火」と云う成語、本朝のごとく「素早い」と云う意味ではなく、「はかない」とか、「線香花火」みたいな使い方しますよね。
蛇足ながら、
「朝三暮四」、「立錐無地」も、彼我で全く意味が異なる。
そ、そういえば「金玉満堂」なんてのも…って、スミマセン(汗
>「金玉満堂」
ええ、確かに! よくあちらの古い建物の壁に扁額が掛けてありますよね。
あれ見る度に思わずほくそ笑んじゃうけど、あちらの人は多分その意味を分かっていない。
逆の例では、一昔前、こちらで流行った「ワンパターン」。
日本語に慣れてないあちらの方がこれを聞くと「王八蛋」に聞こえるらしい。
脱線ついでで恐縮ながら、大分前、上海の「華亭伊勢丹」に出入りしている人間がこちらに来て、悪戯っぽい表情で名刺を見せてくれた。それには「馬鹿(マー・ルー)」とある。
何でも、「華亭伊勢丹」の日本人スタッフの間では、この方の名刺、凄い人気なんだとか。
そりゃ、そうだわな。あたしだって欲しい。知らぬは本人ばかりなり。
東武線で淺草まで舞ひ戻り雷門邊(あた)りをうろつく。既に脚(あし)棒のごとくなりて、雲の中の陽(ひ)愈々(いよいよ)西に傾(かたぶ)く。この日の晝は鮨 久いち。雷門近くには紀文寿司、常寿司、金太樓鮨など數多(あまた)鮨店あれど、鮨 久いちに及ぶものなし。弁天山美家古鮨すら顏色を失ふ。
不意に、姫樣からわざわざ案内戴いた吾妻橋レストラン吾妻を思ひ出す。されど雷門から吾妻橋越ゆるは煩(わづら)はしく、地圖の持ち合はせもなし。鮨に一萬圓を惜しまず、洋食に五千圓を吝嗇(けち)るは道(みち)の理(ことわり)に適(かな)はざるところ。こゝはたゞ、姫樣の赦(ゆる)しを請(こ)ふほかになし。
淺草の天麩羅は口に合はず、鰻なれば、この邊(あた)りより脚を伸ばして初小川、色川。店の構(かま)へばかりをかしく人の溢(あふ)るゝ小柳は、今ひとつの氣配(けはひ)なれど、試(こゝろ)みに引き戸を開ける。中は紀文寿司や天丼大黒家など雷門邊(あた)りの老舖(しにせ)でよく見る設(しつら)へ。
・「鰻重竹」、肝吸ひと麥酒小瓶。都合、値一千九百九十圓也。
先づは麒麟に香の物(胡瓜、蕪、白菜)。徐(おもむろ)に麒麟の小瓶を掴(つか)みて硝子の器に注(そゝ)ぎ入れ、これを煽(あふ)れば、忽(たちま)ちに喉(のんど)の渇(かは)きは癒(い)え、俄(には)かに心安らぐ。厨房の中を見遣(や)れば五人(いつたり)ばかり、老いたるもなく若きもなく齊(ひと)しく立ち働く。
あるいは串打ちたる鰻を蒸篭に掛け、あるいは重箱に御飯を盛る。のんびり麥酒のつもりが半(なか)ばも干(ほ)さぬに肝吸ひが。すぐさま鰻重までも運ばれ來(き)たりて、慌(あは)てゝ殘りの麥酒を一息に飮み干す。重は永らく使ひ込まれたと思(おぼ)しき樹脂にて、擦(こす)れ詫(わ)びたるさま、いとうたてし。
蓋(ふた)を去りて中を見るに、その姿、初小川、色川にも似て、小振りな身に微(かす)かなる焦げ目を伴(ともな)ふ。先づは一口。蒸しが效いて柔らかく今にも蕩(とろ)けんばかり。御飯の硬さは好み。タレは初小川より甘く色川竝。見た目はともかく、鰻めしとして掻(か)き込むには、いみじくもめでたきものあり。
時折、肝吸ひと漬物挾(はさ)みて瞬(またゝ)く間に鰻めし掻(か)き喰らひ、蓋(ふた)を戻して即(すなは)ち暇(いとま)を請(こ)ふ。客あしらひや店の佇(たゝづ)まひは正しく雷門邊(あた)りの老舖。店の外はまだ暮れなづむ黄昏(たそがれ)。新(あら)たに出來た淺草シルクプリンなる店でプリンを求め歸途に。