清川(うなぎ/立会川、大森、大森海岸)

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まちうかまんぞ法螺噺(ほらばなし)

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呪(のろ)はれて ひたすらすがる 御不動さん 御稻荷さんに 八百萬(やおよろづ)の神

酔狂老人卍 (50代以上・男性・東京)
標準点: 2.5
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清川 (立会川、大森、大森海岸 / うなぎ)

口コミ:4

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  • 料理・味 -
  • | サービス -
  • | 雰囲気 -
  • | CP -
  • | 酒・ドリンク -
  • 使った金額/1人(夜) -
  • / (昼) ¥2,000 ~¥2,999

| おすすめ用途

江戸で名高き鮨・蕎麥・鰻(むなぎ)。中でも「江戸前」を名乘るは鰻(むなぎ)が魁(さきがけ)。日比谷の入り江が埋め立てられた後(のち)も、海と云はず川とはず鰻(むなぎ)多く棲みつき、いづれの頃よりか、「江戸前」として遍(あまね)くその名を知らる。錦繪にも「江戸前」謳(うた)ひて蒲燒商(あきな)ふ姿を多くとゞむ。

鰻(むなぎ)で夙(つと)に名高きは風來山人(平賀源内)。賣れぬ鰻屋に頼まれて「本日土用丑の日」と煽(あふ)りしが土用丑の日鰻(むなぎ)の日の濫觴(はじまり)と云ふ。その眞僞・時期、ともに定かならざれど、明和・安永・天明の頃か。山東京傳の黄表紙「江戸生艷氣樺燒(えどうまれうわきのかばやき)」は天明五年。

この頃には今のごとく、割きて串を打ち、白燒きしたる後(のち)、醤油と味醂(または諸白酒)で味を調(とゝの)へつゝ再び炙(あぶ)る。江戸の末、宮川政運をして「昔の鹽燒より遙かにまさりて無雙の美味なり」とまで言はしめた味。喜田川守貞もまた江戸で名のある店を論(あげつら)ふも、今に續くは淺草など極僅(わづ)か。

明治末の書物には「江戸前の”アラモノ”及び、”若鷺(わかさぎ)”を第一とす」とある。「アラモノ」とは江戸前の中でも特に優(すぐ)れたものを云ひ、皮が薄く夏場が旬。「若鷺(わかさぎ)」は常州西浦産にて、皮薄く形大にして冬場に用ゐる。生憎、「アラモノ」なるが何處(いづく)の鰻(むなぎ)なるや詳(つまび)らかならず。

近頃、巷(ちまた)に「鰻(むなぎ)の肥ゆるは秋から」と云ふ者多し。さりながら、夏場に産卵を控(ひか)へて海に出(いで)たる鰻(むなぎ)もまた、肥えて太るが、生けとし生けるものゝ理(ことわり)。思ふに、「アラモノ」とは、夏場、子作りせむと勇み立ち、遙(はる)か南の海に泳ぎ出(いで)んとする鰻(むなぎ)なるべし。

江戸前の鰻(むなぎ)の中でも、時に據(よ)り、所(ところ)に應じ、大川の鰻(むなぎ)をよしとし、砲臺場邊(あた)りの海で漁(いさ)りしもの、あるひは、立會川河口邊(あた)りの鰻(むなぎ)をよしとする者などさまざま。鰻(むなぎ)に口なく、江戸の寢牀(ねどこ)を悉(ことごと)く失ひし今となりては、確かめる術(すべ)もなし。

立會川の河口近くを特に濱川(はまかは)と稱(とな)ふ。舊東海道に架かりしは、鈴ヶ森、馬に括(くゝ)らる罪人(つみびと)と別れを惜しむ「涙橋(なみだばし)」。橋を渡りたその先は、血の氣も失せるお仕置き場。目に眩(まぶ)しきは白木屋お駒の黄八丈。只管(ひたすら)に哀れを誘(さそ)ふ、齢(よはひ)十六、八百屋のお七。

鈴ヶ森より寺下町に向ひ、坂下町なるいすゞ自動車も近附くほどに、お七ならぬ鰻(むなぎ)を炙(あぶ)る香(かをり)邊(あた)りに漂(たゞよ)ふ。清川と號(よびな)し、こちらの噂話(うわさばなし)にてはなかなかの評判かと覺ゆる。店の構へは街場の鰻屋とつゆ異なるところなく、扉(とびら)を開くに大いに惱み躊躇(とまど)ふ。

おそるおそる扉(とびら)を開れば、先客は僅(わづ)かに一人。小上がりには疉が敷かれ、ぬばたまの黒き光を放つ机が六卓ばかり。疉は山吹色に褪(あ)せ、机もまた安き代物(しろもの)。店の壁を見遣(や)れば「鰻(むなぎ)の仕入れ値(ね)騰貴(あが)りたるに因(よ)り、二月末より嵩(かさ)を小さく致しまする」との貼り紙。

同じ貼り紙には「こちらの鰻(むなぎ)は國産の鰻(むなぎ)ばかりを用ゐてござる」ともあり、それなりの筋を感ずるも、一つ氣に懸かりしは「備長炭使用店」なる鑑札。やはり備長炭は紀州に限る。紀州の名なく「備長炭」を謳(うた)ふは、恰(あたか)も唐土(もろこし)の遊園地が濫(みだ)りに「デズニイ」を騙(かた)るに似たり。

・「鰻重花」、二千百圓ほど。

これに附くは、香の物に肝吸ひ水菓子。茶を啜(すゝ)り、四方山(よもやま)話にうち興じるほどに、漸(やうや)う來たりし鰻重の花。待つことおほよそ二十分。僅(わづ)か十分ばかりで出て來る老舗よりまとも。思ふに、豫(あらかじ)め捌(さば)きて串打ちしたるものを、注文を受ける度(たび)に白燒きし、蒸し、附け燒きしたるか。

紛(まが)ひ物の津輕塗りの蓋(ふた)を去りて現はれ出(いづ)るその姿。身確かに痩(や)せ細り、さながら飢ゑに仆(たふ)れし鳴門海(なるとうみ)を思はす。燒き目も僅(わづ)かながら強めに附きて、その味を訝(いぶ)かしむ。山椒を振らぬ儘(まゝ)一口するに、砂糖由來のくどき甘さはなく、先づは一安堵(あんど)。

縱令(たとひ)その身は枯れるとも心は錦。わが口に飛び込むが早いか、鳴門海(なるとうみ)ばりの前捌(さば)きで舌に踊り、喉(のみど)の奧を過ぐ。蒸し、ほどよく效きて、これぞ古(いにしへ)の遣(や)り方。山椒を振りてまた一口。狙(ねら)ひすました琴ヶ濱の内掛けに堪(たま)らず尻餠(しりもち)つきて天を仰(あふ)ぐ。

ともあれ、場末の侘(わび)びた佇(たゝづ)まひの割に蒲燒そのものゝ味はまとも。米の飯(いひ)は僅(わづ)かながらも柔らかめ。これに懼氣(おぢけ)附くも、暫(しばら)くすると湯氣も飛び、水氣馴染みてほどよき加減に。香の物は、胡瓜、蘿蔔、澤庵。その味、一つとして取るに足るものなし。肝吸ひもまたしかり。

店名 清川 きよかわ
最寄駅 立会川、大森、大森海岸 
ジャンル うなぎ 
住所 東京都品川区南大井5-20-7 (地図を見る) 
TEL 03-3761-5831 
営業時間 11:30~13:30 17:00~20:00

コメント(5件)

名調子ありがとうございます。
笑かすだけでなく、ほろりとさせる辺り、乗りに乗ってるなと。
これからの季節、鰻も大いに気になるところです。

'08/06/17

>乗りに乗ってるなと

いえいえ、一杯一杯です。思いのほかの出来栄えでしたが、やはり名のある鰻屋に如くはないかと..。

'08/06/17

昔の鰻屋さんには「次の間」があったと聞いたことがあります。
注文を受けてから捌き、そうして焼く。
結構時間がかかるんしょ?

え、その間は?
次の間で・・・

いや~ん。ジュンジョーなうちゃの口からは言えませんのん。

'08/06/17

ちがいますよ、まずはウナギで「馬力」つけて、しかるのちに「次の間」へ…

これぞまさに、ジュンジョちがい、なんて、ね。

横から口出して、ナニ言ってるんだか(苦笑

'08/06/17

【永遠の十七歳、萌え燃えアル中おじょさま】:
>結構時間がかかるんしょ

小塚原(南千住)尾花は注文を受けてから捌くので四十分はかゝる。夏場は、列に並ぶ時間を併せて軽く一時間は越える。
芝飯倉の野田岩は空いてると十分ちょい。

>次の間で・・・

はははァ。これは越後の大旦那の意見に賛成。

【天狗印の大旦那】:
>ちがいますよ、まずはウナギで「馬力」つけて、しかるのちに「次の間」へ…

へい、あたしもそう思います。

渋谷円山町に大和田なる寂れた鰻屋がおまんねん。場所が場所ゆえ、その昔はそんな目的で使われてたのかと感慨を新にしまんな。

吉原大門前の天麩羅屋とか桜なべ屋みてェなもんでしょうか。

元々、こちらの店の辺り、品川宿からは外れておりますが、大森海岸にも近く、大森海岸近くは三業地として栄えたようです。
確かなことは判りかねますが、こちらは、嘗ての三業地からは聊か外れるように思います。

>これぞまさに、ジュンジョちがい、なんて、ね。

あたしゃ、どっちが先でも一向に構わんが、旦那みてェな作法を大事にする方からすりゃ、先にことを済ましちまうのは、風邪引いてから慌てゝ嗽するみてェなもんでしょ?

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