これらの口コミは、東京食道楽さんの主観的なご意見・ご感想です。あくまでも一つの参考としてご活用ください。
また、おすすめメニューとその金額は東京食道楽さんが任意で登録したものです。お出かけ前は、必ず電話等でご確認ください。 詳しくはこちら...
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夏負けなどしないが、活力をつけて残暑を乗り切ろうと鰻店に出向いた。八月の下旬、まだ汗ばむほどの夏の夕刻、荻窪駅から「安斎」を目指す。予約が必要なこの店は、主人が客の到着時間に合わせ鰻を焼き上げるようで、時間を厳守することが肝心の様だ。
上戸ゆえに、酒も呑まずに「うな丼」だけを掻っ込む夕餉などは、まっぴら御免である。そんな場合は予約の時に「酒を嗜みたい」と申し添えなければならない。実に煩わしい話だと思うのだが、東京一と噂の「うな丼」にありつくためには、店の習わしに従わなければならない。
予約時間の五時半丁度に訪れた「うなぎ安斎」の引き戸には、開店したばかりの筈なのに「売り切れ終了しました」との貼紙があった。ここは一階に厨房と二卓のテーブル席があり、二階の座敷は三卓のテーブルがある小ぢんまりとした店舗である。連れと一階のテーブル席に案内された。
先ずはエビスビールで喉を潤していると、酒の肴に「肝のぬた」や「生ハムと玉子焼き、香の物」、「肝入り玉子豆腐」などの小鉢が供された。酢味噌であえたふっくりとした鰻肝は驚くほどの美味である。堪らずに店の奥方に「清酒八海山」(小瓶300ml)をお願いした。
それから五分ほどして、こんがりと焼き上げられた「白焼き」(三千円)も運ばれる。白焼きには鰻肝と山葵が添えられている。連れと仲良く半分ずつ横割りして賞味した。こんがりと芳ばしく焼き上げられた白焼きは、繊細で蕩けるような味わいの逸品で、日本酒とも良く合った。清酒小瓶は瞬く間に空になり「もう一本」と追加する。
御酒を一杯、二杯といただいていると、店に入ってまだ二十分も経過しないのに「うな丼」(三千円)が運ばれた。この店での酒肴の時間とは十五分にも満たないようで、気忙しい夕餉の時である。気が付けば他の客達は、早々に「うな丼」を召し上がっては帰っていかれるようで、ここはゆっくり酒など呑む処ではないようだ。残り酒を急ぎ五臓六腑に流し込み「うな丼」に取り掛かった。
ドンブリの中の「かば焼」は、心もち薄くて小振りであるように思える。焼き色は濃い目で、表面はカリッと中はふっくらジュシーに仕上げられている。タレは少し辛めに感じた。芳ばしい「かば焼き」は確かに美味しいのだが、私には絶品というほどには感じられない。ご飯も糠臭さが気になったのが誠に残念である。
余談となるが、ご主人の奥方に対する、相手を尊重せぬような物言いは如何なものかと思う。聞かされる客は不快となって折角の飯も不味くなる。
店は大繁盛のようで次々と予約客が来店していた。何回転されるかは知らぬが、急かされた印象が強く、私のようにゆるゆると寛ぎたい客には向かない店である。ご主人に馳走の礼を述べると、「失礼しました」と三回言われたのが印象的である。ただ一つ、絶品であった「白焼き」を二人前注文しなかったことだけが悔やまれる。
ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。
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