東京食道楽のレストランガイド
鯛の飯に鯛の魚 鯛も鮃も食うた者が知る
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ここ「味満ん」は六本木の路地裏にある店だ。新宿駅から乗ったタクシーの運転手に地図まで提示したのに、全く違う場所で降ろされてしまい、六本木の街を十分間以上歩く羽目になった。連れが携帯電話で店に道順を教えて貰いながら、やっと辿り着く事が出来た。
怒る連れを、なだめながら、辿り着いた店舗の外観は、正に街場の小料理屋のようであった。西新橋の「あら皮」もそうだが、外観からは、この二軒とも、とても東京で噂の超高級店には見えない。何気なく入ってしまった客とのトラブルは無いのかと、他人事ながら心配になってくる。
ここの店内は、つけ場を囲むカウンター席が十席程と、奥に、四名から六名程の座敷が二部屋ある。そして事前に予約しておいた座敷に案内された。そこは二名ずつの相部屋であったが、連れと落ち着いて河豚を賞味するには十分であろう。
先ずは、エビスビールにて喉を潤した。メニューを眺めると下調べしたとおり、価格の表示は一切無い。「備えあれば憂いなし」これも想定内の事、軍資金も十分に用意してきた。気さくな女将さんに、メニューに書かれた河豚料理の七種をフルコースで、「食いしん坊」二人分、お任せした。
本日、供された料理はつぎのとおりだ。
①突き出し 山芋、白魚、安岡葱の和え物
(頼んだヒレ酒は、炙られた天然トラフグの尾鰭の香りも芳ばしい。)
②ふぐの煮こごり
(河豚を炊いたときに出るゼラチンを味付けして固めてある。なかに河豚皮と湯引きした身皮が入る。煮こごりは口中で噛み切れない程の弾力を持つ。ゆっくり噛んでいると旨みが溶け出すように広がってくる逸品である。)
③ふぐ刺し(1.5人前)
(ふぐ刺し、身皮の湯引き、皮の湯引きなどが供された。薬味は紅葉おろしと安岡葱、特製ポンズで食べる。大皿に盛られた葱は刺し身で巻く。厚めに引かれた、ふぐ刺しは、もちもちとした歯ごたえがあり、甘みが広がり濃密な味で美味い。通常、魚の旨みは、その脂の乗り具合が大きな要素となるが、河豚は、その身に脂が殆ど無いのに、極上とされる不思議な魚だ。)
④ふぐ白子焼き
(丸のまま、中程度の大きさの一塩された白子焼きである。豊かな旨みとコクが広がる上品な味わいの逸品だ。ヒレ酒がどんどん空になっていった。)
⑤焼きふぐ
(芳醇な香りを漂わせた、あっさりとした塩味の一品だ。焼くことで、河豚の甘みと旨みが増すように思える。骨にこびりついた身が、また美味い。注ぎ酒のヒレ酒に合う。)
⑥ふぐ唐揚げ
(塩味をつけて片栗粉をまぶして揚げてある。甘くて芳ばしくて、これも美味しい。)
⑦ふぐちり
(その具は、厚切りした河豚の身、アラ、中骨。そして長葱、春菊、豆腐など。厚切りにされた河豚の身は、ブリブリした食感で弾けるようだ。)
⑧ふぐ雑炊
(ふぐちりの残った出汁に薄味をつけ、御飯を入れて卵でとじれば、究極の「おじや」の出来上がりだ。)
⑨デザート 苺と柿
料理全体の印象は、「東京で最高の河豚を提供する」との情報とおり、どの料理も納得できる味だと思った。しかし「ふぐ刺し」は新橋のふじ岡の方が、「白子と唐揚げ」は銀座の福治の方が、私には少し上のように思えたが、全ての河豚料理を平均すれば、ここ「味満ん」は、やはり最高レベルの店であろう。座敷を予約したせいか、落ち着いた雰囲気で食事を楽しめて、店の居心地も良かったと思う。
2005年も連れと美味しい料理(極上の味)を求めて、名店といわれる店を数多く訪問させてもらったが、ここの勘定は「しかし一番高い価格で出す店」との情報とおり、あら皮とならんで、本年の支払い最高の額となった。しかし、「味満ん」の河豚の美味しさの余韻は、その後、二、三日も続いて、私は少し幸せな気分であった。
ホームページ「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。
http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/