これらの口コミは、東京食道楽さんの主観的なご意見・ご感想です。あくまでも一つの参考としてご活用ください。
また、おすすめメニューとその金額は東京食道楽さんが任意で登録したものです。お出かけ前は、必ず電話等でご確認ください。 詳しくはこちら...
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歌舞伎座二月の芝居が跳ねて黄昏の街に出ると、場内の熱気とは裏腹に銀座の空は冷たい雨模様である。風邪で臥せっていた連れがようやく回復しての外出となった。銀座三越で買い物をすませ、白い息を吹き雨靄の通りを七丁目まで歩いていくと丁度開店の時間となる。
「金田中 庵」は銀座金田中ビルの二階にある。七階と八階には「関西風すき焼き」では東京一と噂の岡半 本店があり、ここも金田中グループの系列である。東京屈指の老舗料亭金田中 新橋(新ばし金田中)が銀座に出店した「金田中 庵」は板前割烹の形式をとり、金田中総料理長の高橋良明氏が常在する料理店である。数軒のクラブが並んだ雑居ビル二階は、まだ早い時間のためかひっそりと静まり返って色のない寂しい雰囲気であった。
ほのかな灯りのともった奥の格子戸を引くと目当ての料理店がある。ここは板場を囲むように十二ほどのカウンター席と八席のテーブル席とがある。当日は静かに食事を楽しみたいと連れがテーブルの席を予約しておいた。店の内装は少し古びて草臥れたような印象を受けた。熟年の仲居に案内されたのは、高級店には似付かわしくない手狭な二人掛けのテーブル席である。
この料理店の夜は、一万五千円の週替りのコース料理と、月ごとのアラカルトメニューとなる。「如月の献立 第二週」と称するコースはプリフィクスも併用できて、「造り」、「焼物」、「口替り」、「煮物」、「食事」などを、好みのアラカルトメニューと入れ替えることも可能である。但し、一見したところコース料理は、アラカルトメニューの中で廉価な料理を組み合わせているので、大概は変更の都度料金が加算となる。
当日はコース料理に、河豚白子焼(四千円)を一人前追加して、「塩鰤の茶漬け」の食事を、私はマグロを黄身醤油に漬けた名物「東丼」に、連れは「鯛茶漬け 胡麻だれ」に変更してもらう。またコース料理には甘味が付いてないので「マンゴーの峰岡豆腐」(八百円)と「こし餡のふわふわ峰岡豆腐」(八百円)を追加した。先ずはエビスビールで喉を湿らし、日本酒は料理に合わせ、灘の淡麗辛口「金田中蔵 吟醸」冷酒(千五百円)を四合ほど嗜んだ。本日供された料理はつぎのとおりだ。
「酒肴五品」
・菜花 白魚 水前寺海苔 琥珀酢掛け
・的矢牡蠣土手焼 浅月
・唐墨 大根
・江戸前穴子寿司 がり
・小吸物 烏賊真丈 早蕨 筍 木の芽
「造り」
平目薄引き 大間本鮪 赤貝
「焼物」追加シェア
河豚白子焼
「焼物」
寒諸子木の芽焼 鶉照焼 蓮草浸し
「口替り」
活け鱈昆布蒸し 雲子 豆腐 椎茸 菊菜 割ぽん酢
「煮物」
天蕪含煮 湯葉オランダ煮 海老そぼろ餡掛け
「食事」 東丼
「甘味」 マンゴーの峰岡豆腐
食事がすすむ間に店内は、ほぼ満席の盛況となった。この料理店は場所柄か客筋は社用族と同伴客が半々というところである。そのため店内の空気は騒々としており、落ち着いて食事を楽しむ雰囲気には欠けるように思えた。
料理全体の印象は感動するものこそ無かったが、金田中の二番手の名に相応しく、どの料理もまずまず美味しく感じられる。テーブル席への配膳は熟年の仲居と若い板前見習いの二名が担当されたが、仲居は高慢さが気にかかり、板前見習いからは過度の緊張感が伝わって、しっくりした接客とは感じられなかった。
金田中 新橋は別格であろうが、ここ「金田中 庵」よりは、三番手といわれる金田中 草の方が、雰囲気や接客もよく、バランスのよい料理店だと私には思える。当日の勘定は二人で五万円ほどである。残念ながら勘定に見合った満足は感ずることはできなかった。
ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。
http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/