鯛の飯に鯛の魚 鯛も鮃も食うた者が知る
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去年こちらへ伺った帰り、ボクシングの中継を見るのため、
パチンコ屋が黒山の人だかりだったのを思い出しました。
そろそろ伺わなくちゃ、と思っています。
実は昨晩も友人の専務と鮎正におりました。
鮎料理を肴に、御主人にお任せして
七種類の島根県の地酒を、二人で一升ほども
飲み比べ、楽しい時間が過せました。
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六月になるのを待ち侘びて「鮎正」を訪問した。絶品の「うるか茄子」は舌を蕩かすほどの味わいである。ここより優る鮎料理などありはしないだろう。
新橋の再開発事業により「鮎正」の店も来年には移転することになった。「鮎正 のれん春秋」の中に女将が次のような一文を書かれている。
【電話が鳴ると、もう鮎の時期の予約が入る。まだやっていますか、場所はかわりませんか、という会話になるほど店の周りは変わってしまった。それでも、この夏はこの店で鮎の季節を迎えるほかない。あらわになった地面に囲まれながら、歳月という鏡に自分を映しているような思いがある。地面は、あなたを知っていますと語りかけてくる。店はどこへ移るのですか。歳月の声はくっきりと胸にしみ入る。(一部抜粋)】
(07/08/18)
八月の初旬は、一年で鮎が一番美味な時期だと言われている。今月「鮎正」を訪問するのは二回目だ。ここは私が最も好きな和食店である。
(07/06/20)
六月といえば「鮎、早松、梅雨鱧」などの食材が浮かぶ。今年も走りの鮎を食べ尽くそうと、新橋にある「鮎正」を訪問した。連れと、ご主人の真ん前のカウンター席に案内された。おかげで「島根県日原高津川」の話、「鮎」の話、「蛍」の話など伺いながら、楽しい夕餉の時間を過すことができた。鮎料理に特化したこの店は、東京の一流和食店をも凌駕している名店である。
(以下は、従前のレビューである。2006年6月)
鮎解禁の季節になると、アユ釣りが好きだった親父のことを思い出す。アユの釣り方には、おとりアユを泳がせて野アユを釣る「友釣り」と、蚊針という小さな毛鉤でアユを釣る古来伝統の「ドブ釣り」とがある。子供の頃、持ち帰られた川魚からは、西瓜の匂いにも似た独特の香りがしていた。だから、この時期になると情景の中には川辺で竿を出す父の姿がいつも浮かぶ。私にとって「鮎」とはそんな思い出のある魚だ。
「鮎」づくしの料理を供してくれる料理店があるという。新橋にある「鮎正」がその店である。鮎漁が解禁となった六月中旬に、「走り」の鮎を食べ尽してしまおうと店を訪問した。店舗は古ぼけた一軒家である。軒先には縁台なども出されており、その外観は誠に懐かしい昭和の風情を醸し出している。暖簾を潜ると店内はほぼ満席で、その熱気が伝わってくる。そして連れとカウンター席に案内された。席の間隔は狭いが、その雰囲気はまずまずで居心地は良さそうだ。
つけ場には五名の料理人がおり客をもてなす。一階は九つのカウンター席と三卓の小上がり、二階には三室の座敷がある。そのキャパシティーは四十席ほどである。この店の「天然鮎コース」は一万一千円、一万三千円、一万五千円がある。アラカルトもあるがコースの方が得だとの情報も有ったので、一万五千円のコースを予約しておいた。
先ずは店の熱気で乾いてしまった喉をビールで潤した。この店で使用する鮎は、島根県は高津川の天然鮎、そして日本酒も全て島根県の地酒である。酒は島根の吟醸酒を常温で貰った。
本日供された料理はつぎのとおりだ。
①「前菜五品」
②「焼き鮎の椀」
(冬瓜の上に焼き鮎が乗せられた椀だ。透明な出し汁に、そっと鮎を浸してやる。細かい脂がキラキラと浮いてくるのを待ち静かに吸う。焼き鮎の芳ばしい旨みが口中に広がり、その余韻は長く続く。誠に美味しい椀である。)
③「鮎背越し」
(背越しとは鮎の洗いである。)
④「鮎の塩焼き」
(つけ場で焼き方が、串刺しされた鮎に振り塩をしているのが見える。そして本日のメーンーである焼き立ての鮎二匹が供された。ここでは「鮎の骨抜き」など和の作法は無粋であろう。一番美味しいと思われる食べ方で賞味する。
まずは熱々の鮎の脇腹にある、ほろ苦いワタをかじり、それから頭や背中から骨ごと齧り付いて、手づかみで食べ尽す。すると島根の清流で育まれた「鮎」の白身とワタのほのかな苦味が口中で混ざり合って、野趣溢れる極上の味となる。目を閉じてゆっくりと咀嚼し味わってから地酒をグビリと含む。言葉にならぬほどの美味しさだ。「鮎はワタに旨味のすべてが凝縮された魚だ。」と言われている。堪らずに塩焼き二匹を追加する。)
⑤「苦うるか」
(苦うるかを舐め地酒を含む。たちまち、それぞれの持ち前の旨味が強く感じられる。お互いの旨味が一層引き出されるようである。)
⑥「うるか味噌包み揚げ、薩摩芋と獅子唐の天麩羅」
(ほんのり甘いうるか味噌を、鮎で巻いて揚げたオリジナル料理も逸品であった。)
⑦「うるか茄子」
(うるかと茄子を炒めたオリジナル料理。これも美味い。残り汁は御飯に和えて頂く。)
⑧「鮎の煮浸し」
⑨「鮎の酢の物」
⑩「追加した鮎の塩焼き」
(この店の鮎の塩焼きは一匹二千円である。※2007年は一匹二千五百円。)
⑪「鮎ご飯」
(モチモチとした食感であり深く豊かな味わいがあった。)
⑫「青梅のカキ氷」
料理全体の印象は、供された鮎尽くしの料理は、どの品も大変美味しく感じられた。鮎料理に特化し洗練されてきた料理の数々は、どれも完成しきった秀逸の品々である。そしてこの店には、鮎という一つの素材を昇華させた凄味さえ感じられ、東京の一流和食店をも凌駕しているように思えた。
アユは寿命が僅か一年の魚である。海から、生まれ故郷の河川に戻ったアユ達は、その一生のうちで最も華やかであろう夏場の季節を今むかえている。目を閉じると、まだ見ぬ高津川の川面で跳ねるアユの姿が浮かんでくる。桜の花にも似た、この魚の潔さが日本人には好まれているのかも知れない。
ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。
http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/