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京都に古い店数あれど、なんといっても今宮神社の門前であぶり餅を売る一和・・・
創業はAD1000!
今年で創業1008年目である。
果たしてそんな古い店があるのだろうか?
世界最古のレストランと呼ばれているのは1725年創業のMadridのBOTIN、
世界最古のカフェはダマスカスで1530年代に創業、しかし現存する世界最古のカフェは1684年創業のパリのCafe Le Procope、ヴェニスのCaffè Florian やチュニジアのCafe des Nutteは18世紀以降の創業。
中国やインドのことは知らないけれど現存する世界最古のCafe=茶屋は一和じゃないのだろうか?
しかも口伝だったり一度寂れたり名前だけ続いてるのじゃなくハッキリと同じ場所、同じ商売で10世紀以上客足が絶えていない。
初代は一文字屋和助さんという人、だから一和。
995年に洛中で流行る疫病を鎮めるために営まれた紫野御霊会が今宮神社の起源、その今宮神社に和助さんが香隆寺(現上品蓮台寺、聖徳太子の開基)の名物であった「おかちん」という御菓子(「おかちん」とはお餅のことを言うのでまさにあぶり餅だったのだろうか?)を神餅として供えたのがこのお店の始まりらしい、目と鼻の先にある国宝と重文の宝庫大徳寺(1325〜)よりも古い。
そもそも西暦1000年とはどういう年なのか?
平安京では66代一条天皇の在位期間(桓武天皇は50代)かの藤原道長(当時33歳)が権勢を振るい清少納言(道長とタメ)と紫式部(当時アバウト20代前半)が才を競う=中宮定子の没年で源氏物語は執筆中でまだ世に出てない。
ヨーロッパでは西フランク王国のカロリング朝が途絶えカペー朝が王位を継承しフランス王国が成立した13年後。
東フランクの神聖ローマ帝国は初代オットー1世の孫オットー3世の時代、東ローマ帝国はバシレイオス2世がバルカン半島全土を征服して全盛期を迎えている。
ノルマンコンクエストも十字軍もゴシックもまだまだ先の暗黒の中世の真っ只中、そんな昔から存在した一和・・・
ちょっとした国(「ちょっとした」ってこともないけど)や王家と同レベルに古いなんてなんだかイカしてる。
そんな一和の店先でおばあちゃんがあぶり餅を竹串に刺す作業を眺めよう。
ゴザの上で小さく丸めた御餅を一つ一つ竹串に刺していく、
竹串は今宮神社に奉納された斎串を使うそうな、お餅が絡みやすいように先が二つに割られている。
きな粉をまぶしたものを注文に合わせて軒先の炭火で炙り白味噌のたれをかけて完成。
前歯で竹串からお餅を引き剥がすようにして食べる、焼けたきな粉のザラリとした舌触りがステキだ。
子供の頃焼いたお餅を砂糖醤油で食べた味を思い出す、素朴な味わいながら白味噌の香りが典雅である。
ただ昔から続いているだけではなくしっかり美味しいところが京都の御菓子、かの利休も茶席でつかったと伝えられている。
店先に腰掛け東門を眺めながらあぶり餅をいただきお茶を啜る・・・僕は今昔の人と同じ風景を眺め同じ美味を味わっているのだろうか?
もちろん当時の味と風景ドンピシャではないまでもかなり近しい体験ではないだろうか?
ひょっとしたら御先祖様やその友達の友達もここであぶり餅に舌鼓をうち想いに耽ったかも知れんな・・・、
門前の眺めは時代劇の1シーンの様でもあるが我ら京都市民はこの店が武家が台頭する以前から続いていることを誇りとしたい。
奥のお部屋もいい、狭いながらも味わい深いお庭は小堀遠州の作庭だそうな。
そして肝心のお茶も美味しい、地下の井戸から汲み上げた水でいれてらっしゃるそうだ、これも昔と変わらず。
井戸を拝見したが地下から湧いた水はどこか神秘的な澱みをしていた。
これを汲み上げた昔の人は怖れと共にこれを沸かして茶をいれたであろう、
昔昔と言ってもこのお店の場合「昔」の桁が違うので想いも一入である。
店内を見回せば時間の染み込んだものばかり、お餅を串に刺す作業をする小上がりの上に下げられた古くすり切れた暖簾には「血續」という文字が書かれている・・・実際代々血族で続けてこられたそうだ、
本物の老舗とはこういう事だと思う。(それに比べて会社化してそこらじゅうに支店を作ったりビルを建てたりしてる店のなんと価値の無いことだろう)
しかも地味で同じことを淡々と1000年続けることのスゴさ、応仁の乱で洛中が飢饉におちいったときは参道で飢えた庶民に振る舞ったという話も残っている。
今でもたった¥500ぽっち・・・。
お向かいのかざりやさんはだいぶ新しくて(?)創業400年、どっちが美味しいなどと無粋なことを言ってはいけない、きっとどちらも美味しいのだ。
ハイシーズンに観光客でごったがえす姿が本来門前の茶屋にふさわしい姿かもしれない・・・しかし出来るなら空いてる時間を狙って美味しいあぶり餅とお茶で静かなひと時を過ごしたい。
そうすれば透けて見えないまでも1000年の日々を肌で感じることが出来る・・・かも
しれませんなぁ・・・。