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| 店名 | ドルチェ ファール ニエンテ (Dolce far niente) [HP] |
|---|---|
| 最寄駅 | 鎌倉 |
| ジャンル | イタリアン、カフェ |
| 住所 | 神奈川県鎌倉市雪ノ下1-5-34 2F (地図を見る) |
| TEL | 0467-22-5202 |
| 営業時間 | 11:00~21:00 |
2007.5月訪問時
3年前にこの衝撃的な店名を聞いて緒方さんのセンスの良さに感心したものです。私の好きなカルフォルニアの名醸ワインであるFar Nienteとその造る高級デザートワインのDolce Far Nienteを連想して因縁すら感じてしまいました。
まず、本物の唐墨が手に入りましたので大根の薄切りに乗せてのツマミにしてもらいました。非常に贅沢(?)なアミューズです。
さてその後でクロスティーニの盛合せ(スモークサーモンとクリームチーズ、黒オリーブとサワークリーム、アンチョビとドライトマト)、パルミジャーノチーズのクレープ、ゴルゴンゾーラとグラッパのスパゲッティなど誠に赤ワインに相性の良い料理の数々を頂き堪能した次第です。
さらに某女史が持参されたフレーズ・ドゥ・ヴィタメールのバースデーケーキが何とも舌がとろけるような極上の甘さで至福の思いをしました。
勿論、〆は緒方さんの渾身のエスプレッソです。
『レストラン名』のように、『』で囲むと、レストラン検索のリンクをはることができます。
「http://」で始まるURLは自動的にリンク表示されます。
この小町通りの奥深く、レストランのコアンドルから先は特に夜も8時を過ぎると途端に人通りが減って街灯も減ってしまいます。
緒方さんの顔を見るなり調子に乗って「サンブーカ」のカクテルであるサンブーカ・コン・モスカをお願いしました。
サンブーカという40度の強いリキュールに焙煎したコーヒー豆3粒を浮かべ、火をつけます。しばらく美しく揺らめく青い炎に心をひきつけられてから火を消して飲みます。
このカクテルの妖艶な炎と強いアルコール分はまるで底なしの世界へ誘惑するような魔力があります。何が起きても揺らぐことはない私の強い意志や理性ですが、このカクテルはオルフェウスのようにバッカスの信女たちの誘惑を拒む事が出来ないくらい恍惚とした世界へと引き込まれます。
恐ろしい飲み物があるものです。
*なお、最初の10枚が今回の写真です。
2007.5月
昨年5月にこの店の3周年のお祝いをささやかに行いました。コメント欄をご覧ください。
2006.5.28のレビュー
甘美なる無為!
素晴らしい言葉です。何もしないでいる事の魅力はやはり甘美的です。il dolce far nienteは英語でThe Sweetness of Doing Nothingと言います。都会生活は煩わしいことばかりです。まるで追いまくられるような毎日の生活では心のゆとりを失うばかりか人間性をも欠如してしまうでしょう。
実は、この言葉は以前から世界的には有名であり、カリフォルニアにはまさにこの言葉通りのワイン、それも実に甘美なdolce far niente(高級甘口貴腐ワイン)があります。ある高名な評論家氏から頂いたのを昨年の開店1周年のお祝いで開けてみました。目を見張るほど濃い黄金色の、重厚とも言える液体が意外にものどを滑らかになぞらえます。
しかし一瞬の後に、ふくよかで強く甘い刺激が口中を包み込み、芳醇で高貴な余韻が脳裏に漂い陶酔感で酔いしれます。五感が官能という危険な兇器により十分弄ばれ、ただ甘美なる無為の世界を漂うのでした。
階段を上がり店に入れば一見拍子抜けする程飾り気の無いすっきりとしたバールだと気づきます。まずカウンターでエスプレッソ(200円)を。ハっとする奥味。苦みが凝縮され閉じ込められた旨味が口の中でふわっと滲み出てくるような極上の味と風味。小さいカップであっと言う間の出来事だけど余韻はその後も脳裏を静かに揺すぶり続けます。
緒方さんのエスプレッソはやはり格別の味わいがあって、この極上の逸品を求めて遠くからでも多くの人々が訪問します。それにこの寛げる雰囲気。飾り気の無い店内と思いましたがよくよく考えれば「甘美なる無為」を楽しむにはこの方が良いと思います。客がめいめいにその何もかも忘れる極上のひと時に浸るには余計な刺激や価値観を押し付けられては堪らないのですから。
今日は昔懐かしいイタリア映画が小スクリーンに映写されていました。勿論、無声ですが店の雰囲気としては素晴らしい演出です。始めはあのヘンリー・マンシーニの美しくも哀しい曲にのって鮮やかなひまわり畑の描写で始まる映画「ひまわり」。ソフィア・ローレンのやや個性的ながら、整った大人の表情と色香が悲劇的とも思えるストーリーの中で輝きます。ヴィットリオ・デ・シーカの名作です。
次の映画はイタリア映画史上恐らく最もセンセーショナルな作品である「ベニスに死す」です。耽美ロマンの究極です。美しき水の都・ベニスを舞台に目の前に現れたひとりの美少年に心を奪われてしまった初老の作曲家の話です。イタリア代表監督ヴィスコンティが重厚なる映像美とともに徹底的なリアリズムに即した演出しておりますが、何と言っても艶やかな少年ビョルン・アンドレセンが衝撃的です。
本当に貴族出身であったルキノ・ヴィスコンティですが、祖父は大作曲家ヴェルディの親友、伯父がミラノスカラ座のオーナー、そのスカラ座の音楽監督がかのトスカニーニとくればこれほど恵まれた環境はありません。
さらにフランスの大監督となったジャン・ルノワールの元で映画を勉強しますが、ルノワール監督はかの印象派の代表的画家ルノワールの次男でありますから画面構成にはかなり影響を受けております。
しかし彼の名声は映画監督と言うより演劇・オペラの先駆的な演出家として高いようです。アーサー・ミラー作「セールスマンの死」、テネシー・ウィリアムズ作「欲望という名の電車」の舞台、「フィガロの結婚」「椿姫」「サロメ」などのオペラの演出で活躍します。
そして圧巻はマリア・カラスとの出会いで、イタリアオペラ界の黄金期を作り上げました。ヴィスコンティの緻密な演出と徹底した演技指導でカラスは演技にも開眼、一気にスターダムにのしあがっていきます。