ゴンガンヂンのレストラン・レビュー
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燕燕以降に行った店と言えば、一つは、四条河原町の高島屋の香港私菜 リパルスベイ。今をときめくペニンシュラ東京で復活した起鳳臺がかつてあった香港有数のリゾート地Repulse Bay。所詮デパートに入っているチェーン店なのだが、「このRepulse Bayは当社総料理長が料理修行のために滞在した場所」なんて言われると、少し期待してしまう。でもメニューからして腰が据わっていない。「京野菜」だの「あっさり炒め」だのいかにも紛い物っぽい料理名が並ぶ。デパートだし内装はきれいだが、結局、料理(焼きそば(1260円))は凡庸。典型的なデパートのレストランだ。
もう一つが、ハマムラ 河原町店。情報誌の麺特集に出ていた順徳の「ネギ汁そば」を見て以来、澄んだスープの汁そばが食べたいと思っていて、京都で候補に考えていたのがここ。「揚洲炒麺」850円を食べたが、具が貧弱。ハマムラだし・・・・・・ということなのだろうが、メニューも伝統的なものが中心。悪くはないが、私が探している店ではない。
そして、老香港酒家。ここのはちゃんとレビューを起こしてあるので、興味のある方はそちらをご覧いただきたい。
そんなわけで、今回は、京都の店に戻って、京都の中華料理ランキング4位のこちらへ。
100円パーキングにクルマを置き、風情ある上七軒通へ。
祇園は夜も人が多いが、上七軒は、時々、タクシーが店の前に止まっては、乗客が店に吸い込まれていくだけ。落ち着いたものだ。
店は細い路地を入って行ったところ。「廣東料理 糸仙」と書かれた暖簾をくぐると、店内は、右手にカウンター席が6つほど。左手の小上がりにテーブル席が3卓。2階もある。
さて、メニューを見て驚くのは、料理がすべて三桁であること。
一番安い「野菜スープ」が210円、そして、一番高い「小海老のチリソース」などが945円。安い。
「安いものの」と言えばいいのか、「安いから」と言えばいいのか、食指をそそられるメニューは何もない。まさに伝統的な京都の中華料理店である。
「鶏肉とカシューナッツ」なんて、20年ほど前に、下鴨の蕪庵で初めて食べて、その後、何回か食べているとは思うが、最近はあまりお目にかかっていないように思う。
結局頼んだのは、「ピータン」、「春巻」、「フカヒレスープ」、「エビマヨ」、「ぶた野菜うま煮」、「焼飯」、「焼豚汁そば」、そして、何年ぶりかに食べる「鶏肉とカシューナッツ」である。
ビールを飲みながら料理をいただくのだが、エビマヨを除けば、どれも多分20~30年は変わっていないだろうという感じのもの。assyassyさんが「中華の姿をした日本料理」と表現され、hoihoihoihoiさんが「京都中華の本流」と書いておられるがまさにそのとおりだと思う。「京都中華」であるから、ごくごくあっさりした味付け。枕詞のように言われる「脂っこい」の対極にある料理だ。
量については少なめ。
全体として、料理については特別に美味しいということもないが、ハズレもない。
さて、味についてそんなことを思いながら、妙に居心地のよさを感じ始めている。
この居心地のよさはどこから来るのか?
それは、元お茶屋であるという雰囲気ある設えと、えむじさんも触れておられる店の人たちの所作によるものだと思う。
ご主人が怒る場面にこそ遭遇しなかったが、その緊張感溢れる仕事ぶり、愛想のいい女将さんの人柄のよさそうな明るく柔らかい言葉遣い、折り目正しく、感じのいい若い女性達のごくごく普通っぽいサービス、それらがいかにもいい雰囲気を醸し出しているのだ。
どこかで同じような好ましさを感じたことがあるなぁと思う。
安心できる料理と雰囲気ある設え、そして、店員の生み出す感じのよさ。そう、川端二条の赤垣屋だ。
もう一つ付け加えれば、いかにも地の人が中心と思われる客層が生み出す、気取らず、落ち着いた、くつろいだ雰囲気。
私は、どちらかというと保守的な料理店はあまり好きではないのだが、もしこの店が新しい料理を作り始めたとすれば、ただでさえ、雰囲気のある建物である、客層が変化し、今の落ち着いた雰囲気は損なわれていくのだろうと思う。
そう考えると、今のままでいいのだろうと思う。
さて、最後にもう一つだけ書いておこう。自分で書きながら、いかにもどうでのいいことだとは思うのだが、上に紹介した値段からも分かるように、価格ラインが下から157円、210円、315円、420円、525円・・・・・・とものの見事に「消費税込み」という価格設定になっているのである。律儀なぐらい5%だ。こんなところにも、この店の生真面目さを感じられてならない。
京都らしさに溢れたいい店だと思う。
(2007/09/30登録)