3回
2017/04 訪問
ザ・ベスト・シェフ・イン・ザ・ワールド100にも入る生江シェフ 再訪
先ほどは充実した食事だった。あいかわらずの生江シェフの極上の品々。それに青島支配人はじめスタッフの見事なサービス。これほどのフレンチは滅多に出会えない。いきなり桜鯛、
菜の花、新甘夏と春食材の登場。その後も地蛤、新わかめ、新筍などなど。
さらに乳清、山椒、発酵と巧妙な味付けで飽きさせない。生江シェフのことだから当たり前にこういう発想が生まれるのだろう。思えば日本の、いや世界のフレンチもずいぶん進化したものだ。今やフレンチも和食も垣根がいっそう低くなっている。
昔はフランスの三ツ星を巡って旅行したものだが。パリはもちろん、ポールボキューズ、トロワグロ、ジョルジョ・ブラン、ラムロワーズなどなど。しかし、当時のメニューを見るに伝統的な濃いソースやしっかりとした食材。ただ中にはMIZUNAも登場していた。
すでに日本人シェフがパリでミシュランの星を獲るのも。もう珍しくはない時代フランスの料理雑誌「ル・シェフ」が発表した。ザ・ベスト・シェフ・イン・ザ・ワールド100の2016年のトップは。ミシェフ・ブラ氏が選ばれた。
トップ100人の中には生江シェフも入っている。私がウインザーホテルに宿泊したころ。生江シェフ、青島支配人はMichel Bras TOYA Japonにいたという。ミッシェル・ブラ氏恐るべしだが。なにかの因縁をも感じる。
生江シェフには3位に輝いた龍吟の山本氏を追い抜いてほしいと願っている。
【内容】
・ハロー~桜鯛、菜の花、ミード、新甘夏
・アップルパイのように #27~地蛤、新わかめ、金柑、黒トリュフ
・市井の山居~あいなめの乳清ポシェと山菜たち、山椒ラヴィゴット、マッシュルーム&ブラックオリーブ
・定点~蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ
・温もり~新玉葱のスープ、ホロホロ鳥と新筍、発酵クリームと甘海老のカラメル
・遺産~今帰人アグーを薪火で、蕗の薹とブルーチーズ二世古空、あおさのりと春キャベツ
・ゆるみ~とちおとめ、さくらのアフィネのアイスクリーム、小豆、求肥
・ミニャルディーズ、お薄、ワールドピース
・食前酒 東洋美人+ドイツリースリング
・Le Brun Servenay BRUT SELECTION GRAND CRU & AVIZE
・CH.TROPLONG MONDOT 1er GRAND CRU CLASSE 2007 SAINT-EMILION
・Cune Rioja IMPERIAL RESERVA 2011(グラス)
2017/07/27 更新
2016/01 訪問
文句なく5点の評価 久しぶりに素晴らしいフレンチに出会った(再訪)
新装開店後、初めての訪問となった。新しい店は和の感性も導入し、なにか老舗の風格も感じる。つまり、日本の季節感と食材をいっそう意識する路線なのだろう。青島支配人は今年のテーマは「日本酒と肉」と言っていた。
日本は各地で豊かな食材を育んでいる。実にバラエティがあり季節感や地域の特性に満ちている。従って、フレンチだからと言って。無理にフランスなど欧州、ないしその原産の食材を使用することはない。日本の食材こそ日本のフレンチなのだ。
今回も下記のメニューで大いに満足した。もし、この店とシェフの名前を伏せたら。ソースや味わいは別として。食材だけなら和食と言っても驚かないだろう。時々、青島さんやソムリエが日本酒を注いでくる。
それにまったく違和感は感じないのだ。日本の風土で育った食材を。同じく日本で造られた日本酒で頂く。調理にフレンチと和の感性を吹き込む。時にワインで、また日本酒で。それこそこれから日本で発展するフレンチの方向なのか。
今回は日本ワインを試してみた。
おでかけ
●ぼたん海老、雲丹、カリフラワー、みかん、ビール
●枯葉のよう~
のどぐろのソテとかぼすのサバイヨン
滝野川牛蒡のピュレ、ユリ根、黒キャベツ
●定点~
蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ
●コントラスト
菊芋のロティ、ムール貝の燻製、コンテチーズソース
●囲炉裏、静かな夜の
赤牛のモモ肉を薪で炙り
シャンピニオンのエキス、トランペット茸、里芋、プチヴェール、
黒トリュフ
●春を待ちわび~
とちおとめのシャルロットと紫蘇、ほうじ茶アイスクリーム
梅のジュレ、柚子
●お薄&World peace
○DOMAINE GAUBY 2009 Coume Gineste
○BEAU PAYSAGE TSUGANE Pinot Noir 2012
山梨県の津金にあるワイナリー、Beau Paysage(ボーペイサージュ)
○満寿泉 生純米吟醸 ぬる燗
○菊姫 山廃仕込み
2015.4
訪問は4月中旬(Lunchi)
4月のレフェルヴェ。暖かさと寒さが混在する日々。その中にも春は確実に進む。
また、時には初夏のささやきも。そういう季節の微妙な変化を表現した品々のランチ。生江シェフの定番もあれば、新しい意欲的な取組もあり。
期待、ときめき、感動、贅沢な余韻で時は瞬く間に過ぎ去る。
グリーンアスパラ、桜エビ、あおやぎ、アイナメ、蕗の薹、山独活、新玉ねぎ、新筍。食材は春爛慢、調理は繊細にして円熟、安定。それでいてマンネリはまったく感じない。お得意のエミュルション(乳化による濃厚なピュレ)も冴えわたり。しょっつる(魚醤)のキャラメルなど。
あの名古屋の野嵯和を彷彿とさせる感性。しかし調理はフレンチ。先端的な和と仏は時として予兆が重なり合う。
○2007年シャプティエ エルミタージュ ル メアル ルージュ
またまた超リーズナブルなボトルワインを発見。あのローヌの雄であるシャプティエ。その主力ワインの1つ。極めて樹齢の高い土地でバイオ・ダイナミクス農法により栽培されたブドウから醸された、生産量も非常に少ない贅沢なキュヴェ。熟した果実に、スモーキーなフレーバー。フルボディだが滑らかなタンニンが特徴。ブラックベリーのジャムのような濃厚さが特徴。
料理は「おでかけ」(7800円)
●グリーンアスパラガス、桜海老、アオヤギ、アーモンドを2口で~
●花たち
アイナメをブリっと焼いて桜の花のプールプランと、蕗の薹のピュレ、山独活、
八朔の葉のオイル、白味噌のエミュルション、野生の胡椒、パンブルネル
●定点~
丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション、バスク黒豚のジャンボンセック&ブリオッシュ
●暖かくなってきた
フォアグラのナチュラルと新玉ねぎのコンフィ、マスカットベイリーA、クレソン、しょっつるのキャラメルとのせとかの皮
●寒さの下の春~
石黒牧場のホロホロ鶏を炭火で、ソテーした白菜のエキスとあん肝のパテ、新筍、マッシュルームの砂
●爛漫と~
あたた かいショコラのタルト、マスタードとクレームシャンティ、ロングビーツ、ブラッドオレンジとヴァニラアイスクリーム
*今回の写真は最初の10枚
2014.8.2
今回は後輩夫妻とのランチだが、まことに我儘なリクエストをさせて頂いた。前回、店のワインリストの中にサンテ・ミリオンの至宝・シャトー・ド・ヴァランドローを発見していたのだ。それも3万円足らずで。すぐに後輩に断りもなく青島支配人にキープをお願いした。図々しいとも解っているが、他の客に飲まれては一生の後悔となる。後輩へのワイン教育にもなるし…
1991年がファーストビンテージのこのシャトーは、サザビーズのオークションでボルドーワイン最高値をつけるなどシンデレラワインの代表格。普通のフレンチならとてもこの値段では提供してはくれない。リッチで凝縮感に満ちくっきりとした輪郭のある途方もないワイン。良いヴィンテージはコレクター達が血眼になって探しまわっているくらい。
ランチは以下の内容。とても7800円のコースとは思えない、随所に自然と向き合う姿勢を感いるのだ。もし、この料理を美術評論家の高階秀爾氏が表現するならこのように表すだろう。「シェフは自然を注意深く研究し、結局自然は平面においてよりも深さにおいて存在する事を表現している」と。
○アミューズ
石鰈、雲丹、キャビアドオーベルジーヌを2口で
キャビア・ド・オーベルジーヌは茄子のつぶつぶをクキャビアに見立てたフランスの家庭料理。見た目では気が付かないが、食べると確かにそれぞれに味がジワリと伝わる。清涼感あふれるアミューズ。赤シソの液体窒素を使用したブラマンジュが面目躍如。
○森を走る~2014
生き生きと焼いた鮎をそのコンソメと、肝の苦みのガストリックとタブナード、クレソン、山山椒
皿が登場する前に、濃いきつね色の液体が登場。聞けば鮎のエキスである鮎のコンソメだとか。確かに濃厚な味わい。これがプレリュードとなり、目を見張る逸品が登場する。
そして、いよいよ季節の主役である鮎の登場。あたかも清流を遊泳しているかの如くに。和風の鮎の塩焼きを彷彿とさせる。しかし肝は酢とともに煮詰めてカラメル状にしてソース。またオリーブ、にんにく、ケッパーなどでぺーストにしたもの。それにクレソン、山山椒で味を引き立たせている。
従って、鮎を頭から食べる。次に繊細な火入れをした身もガブリと。そして尾まで。要は鮎をすべて食べ尽くす仕掛け。我々の大好きな「うるか」風味も味わえる逸品となった。
こうなると、サンテ・ミリオンの至宝、シャトー・ヴァランドローが進む。なんと言う至福なひと時。まさか鮎の極上料理とヴァランドローとは。
○定点
丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション、バスク黒豚のジャンボンセック&ブリオッシュ
蕪はいつものように4時間かけて火入れをしている。形はしっかりと蕪だが、
中身はトロリとして甘くて美味。これを乳化というのか。イタリアンパセリが横一直線に鮮やかな緑で華やか。それも乳化してピューレとなっている。
ヴァランドローの残りの量を気にしつつも、我儘に飲む。
○想像のピクニック~びわの木の下で
フォアグラのナチュラルと枇杷のミルク、日本酒のジュレ、加賀太胡瓜
バンブルネル
フォアグラ登場の前にまたまた心憎い仕掛けが。なんと富山の枡田酒造の満寿泉の貴醸酒。水の代わりに日本酒で仕込んだ酒。濃厚な味わいがフォアグラをいっそう引き立たせる。以前、エクアトゥールで、バルザックのChateau Doisy Deane 1988 (デザートワイン)を持ち込んだ。するとマダムはフォアグラに合わせたのだ。それが実に相性良く感じた。それを思い出した。
しかし単なるフォアグラ料理ではない。枇杷の実とミルク(杏仁豆腐状)に囲まれている。フォアグラの脂を生かす食材は、甘いものや、苦いもの、あと癖の強いものが相性の良いと言われる。枇杷は甘さの中に酸味もあり相性は悪くない。加賀大きゅうりはやわらかくほのかな香り。ハーブのハンプルネルが風味を添えている。日本酒は新政のジュレだという。今、最も評判高い新政を使用するとは。
しかし、私は、フォアグラはやはりヴァランドローとばかり、シェフの期待を裏切ってその事だけを考えていた。いや、実に幸せだ。サンテ・ミリオンはパヴィ、モンブスケ、ラ・ゴムリーなど所有しているがヴァランドローは希少すぎて手が出なかった。
○大地と海と~
熊本あか牛サーロイン肉を薪火で、
ムール貝のジュレとポジェ、サバイヨン、ジャガイモ、ルコラとのこぎり草の葉
最近は短角ではなく熊本のあか牛を使用しているという。太陽をたっぷりと食べて育ったあか牛。適度に脂肪が乗り決して霜降りが目立たない。あざやかな赤身で噛めば噛むほどに甘みが引き立つ。風味豊かで柔らかい。一見、ただの牛サーロイン肉のように見えるが。焼き具合が絶妙で柔らかい上に甘み、旨みがあふれている。さらに適度の塩味を秘めるムール貝のジュレが味を深めているのだ。
○やわらかい陽のような
ルバーブのコンフィとすいか、ニワトリの花香るビールのジュレ
アールグレイアイスクリーム、ショートブレッドと溶け合うカスタード
のヴェール
ルバーブ(食用大黄)のコンフィを開けると色鮮やかなジュレやスイーツが登場。
こってりと甘いが爽やかさ漂う、夏の季節感漂うデザート。
○おしゃべりのひととき
プチフルール
*今回の写真は最初の10枚
2014.4.22
下記の通りミッシェル・ブラスやヘストン・ブルメンタールの影響を受けているとはいえ。生江シェフはすでに独自の料理スタイルを開化させているようだ。ソースやスープの緻密さ、食材の活かし方、料理の表現方法、食材の風景。それに店の雰囲気、接客水準の高さ、ワインリストの内容、CPの好感度とまったく大満足。これからの日本のフレンチを率い、さらに進化させる主役となるだろう。
久しぶりに5点がついた。食べログの東京フレンチ上位5店で当店は未訪問だったが、この店の取り組み方が非常に真っ当に思えた。
以下、詳しく
私がこの店に興味を持ったのは。以前NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で 野菜農家・浅野悦男氏を紹介していた時のこと。千葉県八街の氏の畑には-第一線で働くトップクラスのシェフらが集まるというもの。その中にはかの3つ星フレンチシェフのピエール・ガニェールもいる。そして、この店の生江シェフの名が登場した。当時はシーアスパラガスについてシェフが興味を示す。
そこで、生江シェフの履歴を見て驚いた。なんと以前私が訪問した洞爺湖のウインザーホテル。そのメインダイニング「ミッシェル・ブラス・トーヤ」でスーシェフを務めていた。私は2008年8月に食事しているが評価は5という最高点だった。ただ、彼はその少し前に退社していた。英国の3つ星ザ・ファット・ダックに移っていたのだ。そして。帰国後2010年9月にこの店を立ち上げたとのこと。もちろんミッシェル・ブラス本店でも働いている。
ミシェル・ブラスは、郷土の素材を使って料理を創作し、現代フランス料理界を代表する料理人。オーナーシェフとしてフランス・ライオール村でブラスを経営している。もちろんミシュラン3つ星を維持し続ける名店。私は以前フランスの3つ星店を訪問する旅を数度行ったがライオールはあまりに不便で諦めた。そしてその代りにウインザーホテルの店を訪れたのだ。
生江シェフはなんと目黒に自家農園を持つ。日本では手に入らない特別なハーブや特別な野菜を栽培。また英国の3つ星ザ・ファットダック(モラキュラー料理で有名)での経験から調理法には化学を取り入れ、理化学研究用機材も使用。これはヘストン・ブルメンタールの産み出した分子料理法の影響を受けている。新しい技術、調理法で既成の枠に囚われない一皿を追求する。それをミッシェル・ブラスの精神「自然への敬意と好奇心から生み出される料理」で実践している。
さて、店は西麻布の高樹町あたり。あのFUJI FILM本社の裏手あたりの閑静な場所にある。スタイリッシュな外観と贅沢に空間を使用した内部。階段を下りたところにキッチンがあるという。窓の外には新緑がまぶしく映え、それがあたかも一遍の絵画のように目を癒す。テーブル席の間隔はかなり広々とし、半個室風のターブル席も用意されている。まさにグランメゾンと言っても良いだろう。
しかし、超高級フレンチのような華々しさにあふれ、けばけばしい内装ではない。むしろすっきりとしたモダンな、それでいて落ち着いた雰囲気。洞爺湖のミッシェル・ブラスにも通ずる雰囲気。目立つのが青島支配人はじめ、とにかくスタッフが動き回る。接客については東京のフレンチでは他の追随を許さない店の1つ。質問に対する要を得た説明、決して客を孤立させない配慮。フランスの3つ星レストランの接客が自然に行われている。
ランチは2つのコースがあるが、私は「海と大地が出会う場所」を選択した。
○桜鯛、桜海老、新玉葱、新わかめを2口で
左の縦に長いガラス器には桜鯛、桜海老、新玉葱、新ワカメの春の主役が
潜んでいる。その上に泡がトッピングされて。交互にいろいろな食感や味わいが
味覚を刺激して、繊細さや意表を突かれる面白さ。右はオレンジの入ったヨーグルト
のシャーベット。
○セップ茸とジャガイモの軽いスープ、鯖のグリエ、山岳チーズ・クワルク、
リード・ヴォー、百合根、ネピテッラの葉
セップ茸(ポルチーニ)の濃厚な味と風味とジャガイモの甘み。それに対し
鯖のグリエが独特の風味と塩気で。さらにリード・ヴォーも。
最初、何か魚介の出汁のようにも感じた。しかしいったん爽やかでクリーミーな
チーズが混じるとすべての個性が溶け合ってなんとも自然な味わいとなる。
チーズは長野県の清水牧場のクワワというフレッシュタイプのチーズ。
○丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション、バスク黒豚のジャンボセック&ブリオッシュ
蕪は、外側がパリっとして、中がみずみずしく甘い。ジューシーさが
閉じ込められているのだ。低温で4時間火入れ後、ノワゼットバターで
香ばしく焼き上げるという。蕪は淡白なようで、実は多彩な味が潜んでいる。
それを乳化させて一気に引き出した逸品。
○大地と海と(メイン)
信州和牛モモ肉を炭火で、馬刀貝のビュレとソテー、サバイヨン
新玉葱のグリエ、ルッコラと春菊の葉
とにかくこの牛肉の贅沢な食感。決して脂分を感じる訳ではない。
本当に上質な本マグロの赤身にも通ずる、脂分に頼らない身質の素晴らしさ
を感じる。その主役に対して馬刀貝(マテ貝)がピュレとソテーという2つの
調理で海を演じる。この貝は春が旬でクセがないが食感がよく味が甘め。
それをピュレにするとは。しかし、これはただのピュレにしては繊細。
何か独特の工夫があるようだ。
ルッコラや春菊の目にも鮮やかな緑がまるで新緑の風景。
春たけなわの牧場風景と銀波の海岸、それに新緑の大地。
○ロンドン・ボロー市場の思い出
エスプレッソのゼリーと山羊乳チーズのムース、ひよこ豆、マンゴー、ディル、薄く焼いた棗椰子の実
まったく意表を突く逸品。上にかぶさっているのがなんと棗椰子の実。
パサパサしているので、これを砕いて中のムースやゼリーと混ぜて
食べる。いろいろな味が微妙に溶け合うが意外にもひよこ豆が甘く感じて。
ボロー市場は言わばロンドンの台所と言われており数多くの食材がそろって
いる。シェフはファットダック時代に通ったのだろう。
○プチフルール
メロン、トマトジュレなどのゼリー、これを一口で
ココナッツとパッションフルーツの入ったチョコボール
和三盆を使用したマカロン
○飲物はハーブティー
最初はブルーマローの青いティー。夜明けのハーブと言われる
神秘的なティー。次にアップルミント、スペミント、レモングラス
などをミックスしたものを
2016/03/10 更新
遂にこのボルドー最高のワインを飲む時が来た。もちろん、ボルドーにはシュバル・ブランやシャトー・ラトゥールなどの銘醸ワインもあるが。しかし年間2500ケースしか生産せず希少。世界的に評価はペトリュスが勝る。ポムロールの限られた畑で栽培されるメルローを使用。
かのロバート・パーカーは自著のなかで「ペトリュスはもはや神話の象徴だ」と述べるほど。最も手に入りづらい、希少価値の高いワインとなってしまったという。
私は残念ながらわずかしか所有していない。しかしそれは2000年にNYにやってきたオーナーのクリスチャン・ムエックスから直接購入したもの。その後、2000年のボルドー(プリムール)を、6大シャトーなど購入したが。ペトリュスを飲むのが最大の楽しみだった。
せっかくの最高峰ワイン。どのような形で飲むのがベストか。数年前に当店を訪問してから。やはりこちらに持ち込むしかない。そう考えるようになった。持ち込み料は5000円。しかし、それに十分値する価値のあるワイン。
この日いただいた料理は下記の内容。相変わらず生江シェフの食文化への思いが伝わる会心の品々。フレンチながら秋刀魚、雲丹、海苔、鱧、青柚子と。さらに白味噌、二十日大根糠漬けと来れば。まさにシェフが大切にしている風土が生む料理。
さらに夏鹿のロティとムール貝の組み合わせ。鹿の猟場が海に近いので浮かんだ風景だとか。鹿の上にはサプライズの大葉が。これが実に相性の良い組み合わせ。そしてペトリュスを一気に飲む。この熟成タイプのタンニンの凄みはその特徴を遠慮なく発揮した。
私の人生で、ワインを飲んだ最高の時間だと思う。
●ディナー テロワール~海と大地が出会う場所で
・ハロー~秋刀魚、ビーツ/マスカットとすだち
・アップルのように#29~雲丹、穴子、海苔
・南風~クルマエビの乳清ポシェ、胡瓜と青柚子のヴィネグレット、木枯れ節の詰め
・定点~蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ
・生命力~鱧の炭火焼きと無花果、大根、山椒と白味噌、赤ワイン酢の煮詰め
・マイグレーション~とうもろこしの冷たいスープと発酵乳、モーレネグロ
・おばあちゃんの味~ちいさな茶碗蒸し、栄螺 、二十日大根の糠漬け
・森のむこうに/狩りの記憶~夏鹿のロティとムール貝、茗荷、茄子、大葉、ルバーブ
・西と東と~チーズたち、あるいはあお野菜たち
・木陰の涼~メロン、ヨーグルト、朴葉、カフェ
・野っ原でひと休み~桃、よもぎ、ヤギの乳
・ミニャルディーズ&お薄
・プチフルール
○ドリンクはほかにシャンパンなど