一級うん築士さんが投稿した招福樓 本店(滋賀/八日市)の口コミ詳細

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招福樓 本店八日市、新八日市/日本料理

1

  • 昼の点数:5.0

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク 5.0
1回目

2010/12 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

日本を代表する名料亭。真の価値とは

晩秋の近江路。紅葉の中にそっと忍び寄る冷気に、迫り来る年の瀬を予感します。澄んだ空気を透して紅葉(もみじ)や楓が色鮮やかに映ります。

日本には名料亭と言われる店が多くあります。吉兆、新喜楽、金田中、辻留、なだ万などなど。それぞれが長い歴史に加え上級の顧客を持ち、上質の料理を提供し、その格式ある建物と内部を誇り、さらに知名度や排出する料理人など別格の名声の高さを誇ります。

中でも滋賀八日市にある招福楼は茶会席の名店であり、その風格ある建物、部屋、庭などどれをとっても非のうちどころない立派な料亭の構え。加えて主人、現女将を始め接客についてはまさに真に「おもてなしの心」を実践しておりほぼ理想的な料亭でしょう。

もともと近江八幡で刀鍛冶を営んでいたのですが初代女将が当地にあった別荘を料理屋として改装したのが始まりとか。創業は1868年つまり明治元年。当時の客は多くが近江八幡よりわざわざ人力車や馬車で通ってきたそうです。近江八幡と八日市との間に鉄道が開通したのは後の1913年。

八日市は古くから街道とともに発展してきた土地柄です。その昔(聖徳太子の頃)は八の付く日に市が開かれており、その後は八風街道、御代参街道、千種街道の3本の街道が走る要所で宿場町として発展してきました。従って歴史は近江八幡よりも古いとも言われている由緒ある土地柄です。

因みにその後八日市市となりましたが2005年に神崎郡永源寺町、五個荘町、愛知郡愛東町、湖東町と合併して東近江市となり廃止となりました。

さて今回は昼の訪問です。彦根で車を借りて一路八日市目指して参りました。意外に駅から近く、街の中というよりも古い住宅地の中にありましたが門をくぐって車を進めるとゆったりとした敷地には桜や梅の古木が並び風情は他の料亭を圧しています。

非常に趣のある回廊を進んで部屋に通されました。途中若い職人が庭に水を打ち、部屋に通されるとほのかに香が漂い、またさり気ない季節の花に心が和らぎます。静かな午後のひと時、しっとりとした庭の風景がこの店の風月とともに歩んできた歴史を感じさせます。

まずは「あられ湯」で喉を潤します。コースは既にお願いしてありますが昼なのであまり量は食べられずそれを伝えてあります。(私は通常夜に酒が入るので昼は軽くしております)

さて女将とお話しているとこの店の料理について写真つきで細かく解説すると他店から真似される事が多いとの事。お話しているうちにかなり困っている様にも受け取れるので今回写真は全体像を避けその一部とし、さらに料理もごく簡単にコメントします。まあ私がいちいち描写しなくてもこれまで多くの方々が丁寧に書いておられますのでそちらを参照ください。

○あられ湯
○このこ酢の物
 このこはナマコの卵巣
○イクラ飯蒸し
○タラバ蟹しんじょ 柚子添え
○お造り、平目、ヤリイカ
○八寸、とんぶり、ナマコ、サーモン、アワビ、あさりしぐれ煮
○焼物 マナガツオ塩焼 アワビ茸添え
○鰤大根
○蛤雑炊、握り2カンを添えて
○白米ご飯、鈴鹿山脈に源を発する愛知川の水で育つ近江の永源寺米
○ぜんざい

上述のように細かい解説は避けますがこのこ、イクラ、タラバ蟹、ヒラメ、ヤリイカ、ナマコ、サーモン、アワビ、アサリ、マナガツオ、鰤、蛤など数多くの旬の魚介が登場しています。どれも上質の素材ばかりでその扱いには細心の配慮をほどこし、しかも実に食材本来の持ち味を活かした調理に拘っているかが伝わってきます。一言で言えばどれも旨味が良く表現されています。それも過度ではなくて心地良くなる程度に。

この店は全国の有名料亭、有名旅館からの修業を受入れており現にこの店から名料理人を数多く輩出しています。よほど料理の基本を正しく学んでいるのでしょう。先代の中村秀太良氏は「料理人ではなくて、文化人であれ」と教えたそうです。

招福楼は禅と茶の湯が店の原点と言います。従って茶の湯の精神に基づき屋敷、庭、室内といった空間も、その中での設い(しつらい)も、器も、膳の上げ下げをはじめとする所作も、すべてが料理であると教えられるそうです。それゆえに文人たちが「けなげに日本料理の真価を発揮せしめようという新進、誠実な料理にめぐりあえた」と、その懐石料理を評していたのでしょう。

以前、赤坂の名料亭龍村(閉店)の女将が「料亭こそが畳(和)の文化の伝承者」だとおっしゃっていました。それは単に日本料理を伝えるのではなくてその精神を伝えて行くからなのでしょう。いずれ近江八幡に宿泊して夕食で再訪したいと思います。それだけの価値は十分にあると思います。

最後にこの店は料理だけではないのです。店の本当の価値はその店の「真の価値」を理解しようとする心が無ければ解りません。単に料理(と他店との比較)だけを目的とする方にはお奨め出来ません。

  • このこ酢のもの

  • イクラ飯蒸し

  • タラバ蟹しんじょ

  • お造り

  • 八寸

  • マナガツオ塩焼き

  • ブリ大根

  • 蛤雑炊

  • 白米ご飯

  • ぜんざい

2011/03/04 更新

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