4回
2020/08 訪問
静かだけれど、やはり好き
友人と「アポロギンザ」でランチをたのしむ。
モダンなギリシャ料理をモダンな雰囲気の中でモダンにたのしむモダンな店。オーストラリアからやってきた、ぼんやりとした東急プラザの中にあって数少ないキラキラした店。
開業当初は「モダングリークアポロ」って名乗って、当時の東京でここほどワクワクできたお店はあまりなかった。
すべての料理がシェアポーション。料理のスタイルはカジュアルで味はたしかでサービスも良い。だから同じテーブルを囲む仲間とたのしい時間をシェアすることが確実に約束される店でもあった。
タナカくんも好きでゴキゲンな友人をもてなす場所選びの第一候補がここだった。
二度と来ることはあるまいと思っていたけど、友人が誘ってくれてやってきてみた。なつかしい。
まず前菜。イエローえんどう豆のピュレとハーブ、スパイスをたっぷりのっけて焼いたピタパン。それからギリシャ風のグリーンサラダがまずやってくる。ゴリゴリとした噛みごたえを残した乱切りのキュウリに酸っぱいトマト。レッドオニオンにブラックオリーブ。オリーブオイルのドレッシングでドレスして、チーズを砕いてあわせて食べる準備をまずする。
それを互いにシェアしてお皿にのせて食べる…、というのがここのスタイル。大きなお皿の上でいろんな料理の味が混ざってどんどん複雑になっていくのがたのしい食べ方。
いつも大抵ボクがとりわけお皿に移す。今日もそうした。
そしたら友人がシェアする様子をカメラで撮って送ってくれた。
それを見て、そうか…。
彼の目にはこう見えてたんだって、なんだかスゴくうれしくなった。
今日の食卓はステキな食卓。
メインはラムショルダーのトマト煮込み。
上にたっぷり白いソースがかかってる。
ヨーグルトに細かく刻んだキュウリにニンニク、オリーブオイルを混ぜて仕上げたソースでこれがおいしい。
ラムショルダーはフォークで押さえただけで繊維がホロリとほぐれて、ソースと混ざる。フォークで肉の塊を崩した途端にラム独特の脂の香りが湧き上がりよだれを誘う。これはタナカくんが心から愛した料理で、2人で来るとほぼ7割は彼が食べてた。なつかしい。
サイドはケールの料理。スティーマーで軽く蒸し細かく刻んだニンニクと赤唐辛子にオリーブオイルでササッと炒めて仕上げたもの。チャイナタウンに来たんじゃないか…、って思っちゃうほど香りゆたかでスパイシー。ケールの葉っぱにもラムショルダーにもレモンをたっぷり搾って食べる。
それにしても静かです。かつてのランチタイムは平日と言えども予約をしなくちゃ食べそびれてしまうほどの人気だったけど、今日は窓際のテーブルだけがうまる程度。しょうがないなと思うもやっぱりにぎやかな店で食べるほうがおいしくたのしい。
〆はクルミとレーズンをパートフィロの包み揚げ。モカクリームをたっぷりまとわせ香りゆたかなアールグレイのアイスティーと一緒に食べてお腹に蓋する。ステキな昼に感謝する。
2020/08/04 更新
2017/03 訪問
テーブルを囲むみんながシアワセになる料理たち
夜、大学時代の友人たちとたのしく会食。
銀座、東急プラザに集まる。
鳴り物入りにもかかわらず人気がなかなか上がらぬ施設の、数少ない繁盛店の「the Apollo」。
一ヶ月前の予約スタート直後に予約して、今日をワクワク、たのしく待った。
人気の理由を、海外からやってきた話題の店…、という人がいる。
けれどそれだけが理由で人気を一年以上も保てるほど、東京のお客様はお人好しじゃなく、しかも「モダンギリシャ料理」というわかりづらい料理です。
パンケーキとはまるで別物。
だから他に魅力があるワケで、まず雰囲気がとてもカジュアル。ホールも厨房も若い人たちがキビキビ働き、外人スタッフを上手に使う。クラブラウンジっぽい音や空間性もあいまって、海外のレストランにやってきたみたいな非日常感がたのしめる。
名物料理が確立していて、それらをもれなくたのしめるコースメニューが用意されてる。しかもみんなで「シェア」する大皿スタイルで、会話が弾む。
まずやってくるのがオリーブとピタブレッド。
オリーブの種を入れてと缶詰の空き缶がやってくるのに気持ちがくつろぎ、ハーブをのせてふっくら焼いたピタブレッドが、小さなピザボックスに入ってやってくるのに緊張感がほぐれるのです。ピタブレッドにはヨーグルトソースがついてきて、それをたっぷりのっけて食べる。ハーブの香りで口の中が一気に地中海へと向かってく。ギリシャワインをもらってグビリ。たのしいディナーの幕がユックリあがってく。
サラダ、それから熱い前菜。
サラダはシンプル。
トマトとキュウリとオリーブをオリーブオイルとレモンであえてハーブをチラシたところにチーズ。
フェタチーズというギリシャ独特のチーズでこれが塩辛い。チーズそのものはさっぱりとした味わいのモノで、それを砕きながら野菜や油とあえていく。
器の中でチーズがとろけてオリーブオイルと混じり合いドレッシングになっていく…、ような感覚。素材それぞれの食感、味わいがそのまま残って口の中が潤う一品。熱い前菜は焼きチーズ。ギリシャのチーズにはちみつをかけオーブンの中で焼いただけ。チーズの酸味や塩辛さ。そこにはちみつの甘さが混じって口でとろける。
ギリシャ料理って素材とチーズ、オリーブオイルとハーブでできるとても自然で、素朴なくせに複雑な味わいのあるたのしい料理。
メインディッシュがやってくる。
ローストをしたラムショルダー。
自分の脂で表面こんがり焦げて仕上がる。
ジックリ時間をかけて焼き上げているから、スプーンの背中をあてただけでホロリと崩れる。
表面の焦げた肉の色と、崩れた中から顔をのぞかす明るい茶色のコントラストにハッとする。
スパイスがたっぷりほどこされて、テーブルの上にやってきた瞬間はスパイシーでハーブの香りが鼻をくすぐる。
ところが肉がほぐれた途端に、ラム独特の匂いがほどけてやってくる。
癖の強いラムの香り。
それが不思議と嫌な香りに感じない。力強くてエネルギーに溢れた香り。
サイドに添えられたヨーグルトとハーブのソースと一緒に味わい、食べる。
クチャっととろける肉の食感。とてもなめらか。肉感的で、肉の繊維の一つ一つが口の中でほどけて歯茎にまとわりついてとろけて消える。
脂は甘くて、香りゆたかでウットリします。
一緒にどうぞとやってくる、ローストポテトがこれまた旨い。表面カリッと揚がったように仕上がって、油の旨みがじゃがいもそのものの甘みを引き立て口がよろこぶ。
ラムショルダーと一緒に食べると、互いが互いをおいしくさせる。肉のネットリした食感にローストポテトのムッチリが混じってひときわ濃厚になり、ワインをねだり、次の一口に気持ちが向かう。
食事が進むに従ってお皿の上が散らかっていく。散らかっていくと同時にお腹が満たされて、気持ちもどんどんほぐれてく。
コース料理。しかもシェアしながらたのしむ料理のうれしいところはみんなが同じ料理を食べて、同じ時間を共有できるというコトで思いがけない思い出話や会話で時間があっという間に過ぎていく。
そろそろデザート。レーズンとナッツを生地で巻いたまるで春巻きみたいなギリシャのお菓子。はちみつをたっぷりかけてザクザク食べる。歳をとると歯がすいてくる。それでか口の隅々にナッツや揚がった生地がはさかり、ずっと甘さや香りが持続するのがなんだかうれしいような、かなしいような(笑)。ビターなコーヒーをごくりと味わい、楽しい時間の幕を引く。
2020/04/11 更新
2016/04 訪問
シェアして食べるたのしさ
銀座で会食。東急プラザでと、開店時間に合わせて集まる。
館内に向かうメイン動線のエスカレーターの前にはすでに長い行列。
施設オープンと同時に多くの人が流れ込んでいく。
みんな一斉に向かっていくのは、エスカレーターを乗り継いだ先の飲食フロアー。
途中の物販フロアーはまるでスルーで、ブランドショップの人たちもなすすべもなくぼんやりしてる。
買いたいものはない世の中で、食べなきゃ生きていけないボクらは食べる店へと向かってる。
…、そんな感じがちょっとたのしい。
アポロというモダンギリシャ料理のお店。オーストラリアの有名店がプロデュースした店なんだという。こういうお店はとてもいいか、とんでもないかのどちらかで、さて、どっちだろうとやってきてみる。
明るい店です。のびやかな空間に飾り気のないインテリア。
働いている人たちもフレンドリーで、知識豊富で作業の確実。いいなと思う。
予約をしました。
コースをたのんでいただければ、お席をお取りしますからというシステムでメインとサイドディッシュ、それにデザートが何種類からか選べるようになっている。
スターターはパンにディップ、それからサラダ。
えんどう豆をピュレ状にしたディップにケーパー、オリーブオイルにイタリアンパセリを、ピタブレッドにのっけて味わう。
イタリア料理とも中近東の料理でもない、素朴な味わい。にもかかわらずエキゾチックな香りが独特。
特にピタブレッドがハーブの香り豊かでおいしく、しかもそれがピザボックスのような箱に入ってやってくる。遊び心がとてもたのしい。
それからサラダ。
フェタチーズを使った典型的なギリシャのサラダ。
塩水に浸したチーズで、その表面にディルやオレガノがギッシリ貼り付き風味を添える。
きゅうりとトマト。そしてオリーブ。
イタリアンパセリをたっぷり合わせて、柑橘系の酸味とオリーブオイルを軽くドレスしている。
チーズを崩してよく混ぜる。
するとチーズが乳化して、トロリと野菜にからんでドレッシングのようにふるまう。
チーズの塩味。旨みが野菜をおいしくさせる。皮を丁寧に削ったきゅうりはみずみずしくて、シャクシャク食感とてもなめらか。緑の香りも爽快で、一口ごとにお腹がすいてくるような、よきスターター。
5種類ほどのメインディッシュ。どれもがおいしそうで、おすすめは?…、と聞くと「ラムショルダー」とニコリと即答。ならばとたのんだこの一品。
深めのボウルにラムの肩肉がかたまりのままどっさり入ってやってくる。
ナイフとスプーンがついてくるんだけど、スプーンで軽く押しただけで肉がほぐれる。
クシャリ、ホロリと肉の繊維がほぐれてまるでコーンビーフのようになってく。
ガラスの器にヨーグルトとディルにガーリックをまぜたソース。
それからレモンを搾って食べて…、と言われて手にする。
感心します。タネをキレイに取り除き、苦味に変わる白い筋を丁寧にとる。しかもナイフを細かく入れて、力をいれずともジュースがジュワッとしぼられていく。
こういうところに手をかける。にもかかわらず、肉はドサッとかたまりのまま。バランス感覚がステキだなぁ…、って再び感心。
クミンシードの香りにまじる、ラム肉らしき獣の匂い。
それがまるで嫌にならない野性味で、なによりクチャリと歯茎にまとわりついてくるような肉感的なる食感、ゴチソウ。
10時間ほど煮込むんだという。
そして営業時間がはじまる前にオーブンの中に入れて芯まで温度を上げる。だからこんなにやわらかくって、しかも味わい深いんです…、と、料理の説明も堂に入ってる。
サイドに選んだローストポテト。
ローズマリーとガーリック。低温の油で煮込んで、最後にカリッと温度を揚げてパリパリにした小さなじゃがいも。食べ始めると止まらぬゴチソウ。
これらすべてをシェアして食べる。
気取りがなくて、テーブルを囲むみんなを仲良くさせる、オージー的なもてなしとでもいいますか…、とてもたのしい。
iデザートもシェアスタイル。
コーヒークリームとドライフルーツとナッツをパイ生地でくるんで、シガー仕立てにしたケーキ。
カカオクリームとはちみつをかけて味わう。
口の中に入れると最初は生地が壊れて、パラパラ口にちらかっていく。
それに続いてコーヒークリームの苦味が口にひろがっていく。噛んでくうちに、口の中からパイの散らかり感がなくなって、それがドライフルーツとナッツの食感に置き換わる。ドライフィグのプチプチ感に、ナッツの砕けるコツコツ感。フィグの酸味とどっしりとした旨みで幕を引く。
すべてにおいて完成されてて、遊び心がありながら基本はしっかり守った料理。その料理を一層おいしくしてくれるよきサービスによき空間。海外旅行をしたような非日常感もしっかり味わえ、今度は夜にと思うお店。オキニイリです、素晴らしい。
THE APOLLO
2020/03/26
先日は、アポロをご利用いただきまして誠にありがとうございます。
詳細レビューをいただき、大変嬉しく思います!
ピタブレッドは生地をギリシャより直輸入しており、お店でオレガノやオリーブオイルで風味付けし、仕上げております。
「サガナキチーズ」というお料理は、アポロの一番人気メニューで、チーズをこんがり焼き、ハチミツやレモンで仕上げた一品で、シンプルですが癖になります!
11時から23時まで(現在は、短縮営業で3月31日までは22時まででございます)通しで営業
しておりますので、どの時間帯でもお食事やお飲み物、デザートなどお楽しみいただけます。
またのご来店をお待ちしております。
2020/03/12 更新
ギリシャ料理の「アポロ」で昼食。オーストラリア出身のモダングリークというコンセプト。東急プラザ銀座の最上階で、明るく気持ち良い空間がまずおゴチソウ。
東京に数多いテナントビルの中でもおそらく一番の負けビルと言われるここで数少ない人気のお店。ランチタイムがすっかり終わった時間なのにお店はまだまだにぎやかで、と言って騒々しいというわけじゃない心地よさ。
4人でコースを選んでたのむ。前菜3種、メインを2種類、サイドを2種類、デザート2種を選べるプリフィクス的コースを選ぶ。
ピタパンが小さなピザボックスに入ってくるのがとてもカジュアル。蓋をあけるとハーブの香りがフワッと舞って食欲湧かす。ディップはフムス。オリーブオイルをかけ回し揚げたひよこ豆がカリカリ壊れてフムスのなめらかを引き立てるのが粋でいい。
ギリシャ風のサラダがいいんですよネ。
きゅうり、トマト、モロッコいんげん、種を抜いたブラックオリーブ。
オリーブオイルと塩とレモン果汁をまとわせて上にギリシャのチーズ、ディルにオレガノ。
チーズを崩して混ぜ合わせ仕上げて食べる。
ギリシャのチーズの塩気とうま味が野菜にからんでおいしいの。
きゅうりの皮はキレイにとって、だからサクサク歯ざわりがよくてみずみずしい。
そしてメインのまずひと皿目。
ラムショルダーの煮込みがやってくる。
塊のラム肉を5時間煮込んで仕上げたという。スプーンの背中で押さえるとハラリとほぐれて繊維になってく。繊維の間に脂がまじりそれがとろける。ラム独特の香りとうま味。ミントときゅうりを混ぜたヨーグルトが脂をすっきりしてくれてるのがなんともうまい。
もうひとつのメインはチキン。もも肉をスパイスに漬け込み皮目をパリッと焼き上げたもの。フムスを敷いたお皿の上にのせて甘酸っぱく下味付けたハーブ野菜と一緒に食べる。
どの料理も味わい軽やか、香り華やか。ギリシャ料理ってこんなにおいしい料理なんだ…、ってテーブル囲むみんなびっくり。
それにすべての料理がシェアして食べる提案というのがカジュアル。同じものを分け合い食べるってたのしいなぁ…、ってしみじみ思う。
クランブルの上に焼いたメレンゲのせたケーキに、カスタードクリームのパイも分け合いハーブティーでおしゃべりたのしむ。なんてシアワセ、オキニイリ。