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パリで最も勢いのある3つ星レストランとそのホテルでの忘れ得ぬ思い出
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ベランダから
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ル・サンク
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2018/05/07 更新
まずは「ル・サンク」の話。
私は仕事でパリに行くようになって、普段は「ル・グラン」に宿泊することが多かった。
だが連続テロ以降、人の集まるオペラ座の近くは避け「プラザアテネ」に移し、昨年からは「プラザアテネ」の改装工事がきっかけで、ここ「ジョルジュサンク」に宿泊している。
滞在中のある日、中国料理を食べに行こうとロビーで待ち合わせをしていたところ、あいにくの大雨のため、ホテル内で済まそうという事になり、ダメもとでコンシェルジュに「ル・サンク」に問い合わせてもらったら1時間後のアラカルトならOKという事でバーで時間を潰して訪問。
シェフのル・スケール氏については、定宿が「ル・グラン」だったのでよく知っている。
同ホテルの「カフェ・ド・ラペ」の料理が、彼が料理長に就任した時から飛躍的に美味しくなったのを私は実際に目の当たりにしている。
その後、「ルドワイヤン」に移った彼がミシュランの三ッ星をもたらし、10年以上その座を維持してきたことも知っている(残念ながら『ルドワイヤン』のいかにも感の建物が嫌で一度も行っていないが・・・)。
なので、今回偶然に近い形でル・スケール氏の料理を味わう機会ができたのは良かった。
その神髄はアミューズから始まっていた。
ふわふわのフォアグラややや味の強いイカ墨と小エビの浮き身の食感が、キノコ風味のコンソメスープにアクセントと優しい味わいを与えている一品。
前菜にオニオングラタンを頼んでいるにも関わらずこの料理を持ってきたのは、ユーモアと見るべきか挑戦的と見るべきか?
いずれにしても、まず日本では味わえないような料理に益々ワクワクしてくる。
その前菜は「オニオングラタン今どきのパリジェンヌ風」。
確かにスープとは書いていないが、固まりのそれを口に含むとオニオンスープの味が口の中で広がる仕掛けになっている。
しかも、チーズや焦がしたタマネギの香ばしさまで見事に表現されている。
いわゆる「分子ガストロノミー」を駆使した見事な一品だった。
メインは「ハムとマッシュルームと黒トリュフのスパゲティ太鼓仕立て」。
これは「ルドワイヤン」時代から絶賛されていた彼のスペシャリティで、まさかここで食べられるとは思わなかった。
四角いスパゲティで出来た太鼓の中の詰め物と上に乗っているものと取り囲んだパスタ混然一体となった、ひと言では例えが難しい味。
芳醇な風味とワイルドな味わいだがとても食べやすいパスタがランデブーしているような味。
恐らくこれも日本人では誰も発想できないと思う。
これが食べられただけでも、今日ここに来た充分な理由になる素晴らしい一皿だった。
・・・そして「ホテル・ジョルジュサンク」の話。
私が初めてこのホテルを利用したのは、30年近く前に新婚旅行で訪れた時。
当時のパリのホテルで、ここ「ホテル・ジョルジュサンク」は「リッツ」「クリヨン」「プラザアテネ」とともに高級ホテルの中でも特に「四天王」と呼ばれていて、予約はホテルレップの知り合いを通じて、最下級カテゴリーのスイートを手配したはずだった。
ホテルに到着すると、巨大な鳥かごのようなエレベーターに乗せられ最上階の部屋に案内された。
このホテルの客室棟は基本「コ」の字型なのだが、この部屋は「コ」の字の2辺+αがこのフロアで1つだけの部屋になっていて、2つのバスルームに広いリビングやダイニングが付いているペントハウススイートだった。
どれぐらい広いかを端的に表わすと、部屋の中に灰皿が32個あったと言えば解るだろうか。
そして先程の乗ってきた鳥かごのエレベーターはこの部屋専用のものだった。
ベルパーソンは微笑みながら「日本人でこの部屋に泊るのはあなた方が初めてです」(←ウソつけ!)と言った。
完全に舞い上がった私たちだったが、ベランダに出るともっとビックリした。
パリの中心部は高い建物が無いので、エッフェル塔もノートルダム寺院も、モンマルトルの丘も全て見渡せる。
でも最もビックリしたのは各部屋のベランダが丸見えという事。
私たちは翌朝の朝食をルームサービスに頼んでこのベランダで食べた。
同じことをしている世界中の金持ち連中を眺めながら食べる朝食は、日本人の若造にとっては優越感MAXだった。
また、滞在中は宿泊部門やロビー周りのスタッフは、私たちの顔を見ると「ボンジュール、マダム&ムッシュ〇〇」とか「ミスター〇〇、車を手配しますか?」と必ず名前付きで声をかけてくる。
そんな小さなホテルでも無かろうに・・・。
この3日間私たちはこのホテルにとってVIPだったようだ。
たまたま予約ルートが良かっただけなのだが、パリの超一流ホテルでとても貴重な経験をした。
いい歳になったが、未だに欧米の上級ホテルですらこんな扱いを受けたことはない。
クリスチアン・ル・スケール。
「カフェ・ド・ラペ」時代の料理も良かったが、「ル・サンク」での料理は素晴らしいのひと言。
特に濃い目の味付けがしっかりできているところが、単なるヌーベル系とは一線を画す料理人だと思った。
そして、ホテル・ジョルジュサンク。
このホテルは、いつも私にとても忘れ得ぬ体験と思い出をくれるホテルだ。