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ケルン郊外にあるミシュラン3つ星の”新ドイツ料理”レストラン
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鍋の蓋
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茶せん
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鮫皮おろし
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2018/04/19 更新
欧州での仕事上の拠点をドイツのケルンに置いている私は、長期の欧州出張の間にケルンで休日を過ごす事も多い。
休日は特に現地事務所のスタッフであるゲイのフランス人男性(すごく良い奴だけど私とはそういう関係ではない)、ケルン生まれケルン育ちで姉御肌の性格の女性、アメリカ育ちの帰国子女の女性の4人で過ごすことが多い。
彼らは歳も違う(「ゲイ君」は40代、「姉御」は30代、「帰国子女」は20代)にもかかわらず普段から仲が良いらしい。
私たちはよくケルン郊外のベンスベルクにある「メディテラーナ」というテルメ(温浴施設)に出かける(姉御は私専用のバスローブをキープしている)。
半端じゃなく広大な敷地の中に、宮殿のような建物と趣の違ういくつもの庭園に6つのプールのような大きな浴槽と11の種類の違うサウナがある。
バスローブのまま行ける本格的なイタリアンレストランや裸のまま行ける水中バーもある。
私たちは天気の良い日はこのテルメで丸一日を過ごし、夜になると近くにあるギリシャ料理店か、予約が取れればドレスアップしてここ「ヴァンドーム」に行くことにしている。
「ヴァンドーム」は「メディテラーナ」から車で5・6分の丘の上にある。
お城のような高級ホテルに併設された離れのレストラン。
初めて訪れたのは確か2011年の震災直後だっただろうか?
当時ドイツ北部を中心にO157のような病原性菌が猛威を振るっていて外食にも慎重になっていた頃だ。
その頃の「ヴァンドーム」は既にミシュランの3つ星を獲得していて、その後ゴー・ミヨでも20点満点の19.5点を獲得、同時期に発表された世界ベスト50レストランの10位になったり、シェフのヨアヒム・ヴィスラー氏がドイツの一流シェフ達が選ぶベストドイツ人シェフに選ばれるなど名実ともにドイツナンバーワンのレストランだった。
最初に訪れた時、私たちは15皿のコースを勧められた。
でも、出てくる料理は完全にビジュアル優先で、手間がかかっている割には食べるものが少ない。
我々はまるでこの料理の装飾に対して代金を支払っているような気さえしていた。
味や雰囲気は気に入ったものの、それに懲りた私たちは、その後はいつも5皿のコースを食べるようになった。
多彩なアミューズや多数の茶菓が出てくるので、特に日本人だからという訳ではなく量的にもこれで十分。
しかもメニューはほぼ選択可能なので、気に入ったものを一皿一皿しっかりと味わった方が良い。
また、一度だけワインペアリングを試してみたがこれも必要ない。
ドイツには美味しいワインが多数あるのに、この店のワインペアリングではドイツワインは一杯も出てこなかった。
これも自分たちの好きなワインやソムリエと相談しながら選ぶことをお勧めする。
今回も5皿のコースからメニューを組んだ。
私が選んだものは以下の通り。
「レックバレー産鱒のスモーク」
塩をほとんど入れずにスモークしたレアに近い瑞々しいマスを、ゴマの香ばしさと酸味とキャビアの塩味で食べさせるとても風味の豊かな皿。
「手長エビとスイートポテト」
軽く火を入れた手長エビをスパイシーなやショウガ風味のオイルがその甘さを強調する。
素晴らしい逸品。
「レッドマレット」
ポワレしたレッドマレット(ヒメジ)と、醤油とカレーのソースを添えた牡蠣とエンドウ豆。
牡蠣はグリーンオイスターといわれる「ジロード牡蠣」でとてもミルキーで甘い。
「リムザン産仔羊の背肉と肩肉のロースト」
子羊の中でも最高級といわれるリムザン産の子羊をじっくり食べさせる一皿。
ほんのりカレーっぽい風味のタレが秀逸。
「ルバーブのコンポート」
酸味やエグ味の強いルバーブをクリームポテトやナッツの風味のあるチョコレートのグラニテとともに食べさせるさわやかなデザート。
その他、アミューズでは、「ビーフジャーキー」や「ガスパッチョの味のするマシュマロ」、「ウナギやオクラの燻製」「ピリッとしたエビ」「マグロの刺身梅ソース」などが出てきた。
ワインはモーゼルの甘口のリースリングと同じくモーゼルのドライなシャルドネの2本を空けた。
やはり、ドイツの白ワインはおいしい。
今回もとてもおいしい料理だった。
ビジュアルも相変わらず美しいが、年を追う毎に味の面での充実が目立ってきている。
ここの料理はフレンチというよりスペイン料理の影響を受けていると思う。
といっても「エルブジ」などの「分子ガストロミー」ではなく、むしろ、サンセバスチャンの「ピンチョス」のような自由な発想で様々な技法を試みるといったものに近い。
香辛料やソースの使い方もインドや日本などいろいろなものを用いている。
そんなところが、フレンチでもなくスパニッシュでもない「新ドイツ料理」といわれる所以なのだろうか。
ちなみに、ヴィスラー氏が日本を強く意識していることは、調理法や調味料だけでなく思わぬ所に現われる。
それが「器」。なかなかアバンギャルドな使い方をしている。
普段は食事中の写真撮影を嫌う「姉御」だが、この「器」だけは撮影しているので下の写真をご覧いただきたい。
初めて訪れた時に、震災の事を心配してあいさつに来てくれたヴィスラー氏とは訪問するたびにいろいろ話すが、日本料理の出汁や刺身の盛り付けや、お茶やお花、盆栽などに興味を持っていると言っていた。
また、日本とドイツは考え方や文化が似ているので親和性が高いと思っているのだそうだ。
ただ、この器の使い方はどうなのだろうか・・・。
私たちはテルメでゆっくりした後おいしい料理とワインを楽しんだ。
帰りは酒を飲まない代わりに食事代金を私が支払うことになっている「帰国子女」がケルンまで車を運転する。
これもいつものルール。
さあ、明日は一度パリに行ってからTGVでリヨンへ往復しなければならない。
ケルンでの休日はこうしてリフレッシュに充てられる。