レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
65回
2024/01訪問 2024/03/02
近藤さんの天ぷらはとにかく軽く、素材の持ち味を十二分に引き出しています。素材の持つ水分を利用した加熱調理で、天ぷらは蒸し料理と言われる所以がよく分かります。揚げる際のタネの最適なカットやサイズまで工夫されており、素材の持つうま味、香り、食感が愉しめます。脆いほどに薄い衣に包まれた天ぷらは芸術的です。
他店と比べると、特に野菜の天ぷらが充実しています。さつまいもが当店のシグネチャーとして有名ですが、個人的には以下の野菜の方がオススメです。
春には筍(塚原産の朝掘り)、アスパラ、空豆。初夏から夏にかけては姫竹、とうもろこし(甘甘娘・ゴールドラッシュ)、じゃがいも、いんげん、賀茂茄子、ピーマン。晩夏には南瓜も外せない一品です。秋が深まり寒くなってくると、椎茸(岩手八幡平)、山ごぼうやニンジンなども美味しくなります。アスパラや椎茸は通年供されますが、それぞれ上記の時期が断トツでしょう。
冬の近藤さん。今年最初の訪問でした。
特に好印象だったものは河豚の白子と人参。次点がカワハギと椎茸かなと。
河豚の白子は臭みがなく、トロトロでクリーミー。非常に美味しかったです。カワハギは肝を身で挟んで揚げたもの。以前と比べるとカワハギの質は落ちているような気もしますが、肝への火の入り方は絶妙だと思います。
人参は千切りにして飴細工のように纏めたもの。香り良く、甘味が抜群でした。表面積がかなり広いにも関わらず、油切れもそこまで悪くありません。それでも油が気になるという方は、すぐには食べずに少し置いておくと油が落ち着いてくれます。椎茸はピーク時と比べると落ちますが、食感・香り・うま味とまずまず良好でした。
換気は非常に良く、油の香りがお店に籠っているなんてことはありません。その一方で、コロナ前よりも席数を減らしているとはいえ、まだ席の間隔は若干狭めというのが本音でしょうか。銀座の一等地という立地を考えれば、価格は非常に良心的だと思います。
初冬の近藤さん。冬の天種に入れ替わっていましたが、目当ての鯊や牡蠣は入荷がなかったようです。
最も好印象だったものは椎茸。次点が人参。魚介では金目鯛や穴子が好印象でした。
肉厚の椎茸は押し返すような弾力に逆らって噛みしめると、うま味が口の中に溢れ、香りが鼻の穴に抜けていきます。うま味・食感・香りと全てが揃っています。
人参はサツマイモと並ぶこちらのシグネチャ。我が家では人参の方が人気があります。飴細工を模した人参の天ぷらは甘味が抜群。目でも愉しめる逸品です。表面積が広い分、油切れに多少の難はあるので、供された際に少し待ってから食べることをお勧めします。
穴子は外はカラリ、身はムッチリ・ホクホクに揚げられており美味しかったです。金目鯛もフワフワ。
油切れは良好ですし、吸油量も少ないです。当店より油を頻繁に交換するお店はないでしょう。太白胡麻油をメインに太香胡麻油(極淡)も少しブレンドしているので、太香が馴染んでいないうちは香りが気になる人もいるかもしれませんが、油は常に新しい状態です。換気も当店が日本一だと言って差支えないでしょう。
秋の近藤さん。真っ当な天ぷら屋さんにとっては難しい季節になってしまったのではないかなと。
最も印象に残ったタネは女鯒。他店も含め、今年の最高値を更新。肉厚な身は外をカラリ・中はムチっとホクホクに揚げられており、非常に美味しかったです。スミイカもまだまだ柔らかい食感が楽しめるものでした。それ以外では蛤もジューシーでGood。
野菜では南瓜とニンジンが好印象。南瓜は当店では晩夏から秋にかけて供される天種。やや大きめにカットされた南瓜は時間を掛けてじっくり揚げられ、ペーパータオルで蒸らしてから供されます。皮と果肉の際の甘味と香りが印象に残る逸品です。
人参は冬場のものや晩春の雪室人参が一番なのかもしれませんが、通年安定して美味しいものがいただけます。松茸はこの二、三年はもう一つといったところですが、近年の不作と請求額を考えれば不満は感じませんでした。
油は太白胡麻油がメインですが、1/4ほど太香胡麻油(極淡)もブレンドされています。油をこれでもかという位に交換するので、油は常にきれいな状態が保たれています。換気に関しても間違いなく日本で一番良い天ぷら屋でしょう。
夏の近藤さん。お好みのメニューが夏野菜一色に変わっていました。
最も印象に残ったものは岩牡蠣(富山)。とてもクリーミー且つジューシーでした。10年以上?前に近藤さんで初めて岩牡蠣の天ぷらを食べた時の感動は今でも忘れられません。ここ数年、メニュー上で見かけず残念に思っていたのですが、久しぶりにいただけて幸せな気分になりました。
岩牡蠣以外にも賀茂茄子、新銀杏、蛤が非常に美味しかったです。賀茂茄子は中がトロトロ・ジューシーで、噛むと口の中に熱々の汁が広がります。大振りにカットした賀茂茄子は内部の水分を利用して蒸し料理の要領で揚げてあります。近藤さんらしい一品だといえるでしょう。
美しいエメラルドグリーンの新銀杏も、出始めのこの時期が一番香りが良く美味しいと思います。蛤は春のものが美味しい印象がありますが、この日のものは非常に美味しかったです。
定番の天種では穴子が良かったかなと。外はカラリ・サクサク、中はホクホクに揚げられており美味しかったです。
天ぷらのハイシーズンの近藤さん。この時期ならではの天種を目当てに訪問しました。
特に印象に残ったものは鮑、トウモロコシ、ジャガイモ。鮑は房総の黒鮑。炊いていない生の状態から揚げていくのですが、中心部に軽く火の入った程度の仕上がり。外側から中心部に向けて食感にグラデーションがあり、口の中に芳醇なうま味と香りが広がります。
トウモロコシは甘々娘(山梨)。当店のために通常よりも多く間引きして栽培されたものです。抜群の甘味と鼻に抜ける香りが堪りません。6月の限られた時期しか入荷が無く、毎年楽しみにしているお客さんが多い逸品です。甘々娘が使われるようになった最初の数年よりも質が上がっているような気がします。
ジャガイモの天ぷらは、白米をジャガイモで挟んで揚げる変わり種。白米とジャガイモに不思議な一体感が生まれており、外はサクッとしていますが、中はムッチリ・ホクホク。ご飯の部分に醤油を垂らしていただく、ちょっと野暮ったいものですが、揚げ色の付いたジャガイモの香ばしさと醤油が実に良く合います。
上記以外では女鯒、アオリイカ、新蓮根等も美味しかったです。空豆は春に比べると香りが落ちていましたが、それでも十分美味しいといえる水準だったかなと。
初夏の入り口、山菜シーズンも終盤といった時期に伺いました。この日も天種の書かれた紙と睨めっこしながらお好みで注文しました。
特に好印象だった天種は空豆、姫竹、蛤。
上記に次ぐのが人参、ヤングコーン、ジャガイモ、白魚、女鯒あたりかなと。
ハリギリや山独活といった天然の山菜も美味しかったです。
空豆は柔らかく香りが素晴らしかったですし、蛤もジューシー。姫竹は頬張るとサクッとした食感とともに爽やかな香りが鼻に抜けました。
ジャガイモの天ぷらはご飯をジャガイモで挟んで揚げた変わり種。これからの時期にはもっと美味しくなるはずです。人参は甘味も然ることながら、目にも美味しい逸品。ヤングコーンも食感・香りともに良好でした。
バラで揚げた白魚はムッチリとした食感が好印象。女鯒はカラリと揚げられており、身がしっとり・ホクホクで美味しかったです。
6月はいよいよ天ぷらのハイシーズン。次回の訪問が今から楽しみです。
春の近藤さん。天種の書かれた紙と睨めっこしながらお好みで注文しました。
特に印象に残ったものは筍と空豆。筍は塚原の朝掘りの白子筍。中まで火が入り切っていない絶妙な揚げ加減で、筍らしい歯応えと鮮烈な香りが印象に残るものでした。えぐ味の少ない筍だからこそできる天ぷらです。空豆も柔らかくて香りが抜群でした。非常に美味しかったです。
上記以外では蛤、白魚、公魚も美味しかったです。蛤はとにかくジューシー。白魚は大葉で巻いたものとかき揚げにしたものの二種類をいただきました。前者は中がトロッと、後者はムッチリとした食味を楽しめました。公魚もパンパンに抱卵しており美味しかったです。
早春の近藤さん。寒さが峠を越したころに伺いました。
印象に残った天種は河豚の白子、白魚、空豆、ニンジン。
河豚の白子はとろとろクリーミー。臭みもなく、非常に美味しかったです。白魚は大葉で巻いたものとバラでかき揚げにしたものの二種類の食べ方で。前者は中がトロっと。後者はもっちり・ムッチリとした食感が愉しめます。公魚もパンパンに抱卵しており、こちらも美味しかったです。
ニンジンは香ばしくて実に甘い。空豆は柔らかく、香りが鼻に抜けます。椎茸も食感・香り・うま味とまずまず。
太白に太香(極淡)をブレンドしているので、人にっては香りが合わないという方もいらっしゃるかもしれません。ただし、油を頻繁に換えているので、常に油のコンディションは良好。換気も、私が知る限りでは最も良い天ぷら屋です。
最近メニューに載るようになった堀川牛蒡。香り良く美味しかったです。
初冬の近藤さん。鯊、牡蠣、甘鯛といったタネはありませんでしたが、女鯒のような江戸前らしい定番種はたとえ価値が伝わりにくくとも欠かさず仕入れられています。
人参は千切りにして飴細工のように。甘味が印象的な逸品です。通年楽しめる天種ですが、強いて言うなら冬から春くらいまでがシーズンになるのかなと。晩春には雪室人参(スノーキャロット)という甘味に富んだ品種も供されます。
椎茸は食感、香り、うま味とまずまず。この日は山ごぼうに加えて、堀川ごぼうが新しく天種のラインアップに加わっていました。ワカサギも抱卵こそしていませんでしたが、味はなかなか。
頻繁に油を交換しているので、油のコンディションは常に良い状態。換気も当店より良いお店はないでしょう。店内が油臭いということがありません。
最近流行りの高額店はおまかせのコースのみで一斉スタート、従って鍋の中には常に同じ天種が入っているというのが一般的です。このスタイルは店十分の条件ですから揚げるのは楽なのでしょうが、客側に自由度はありません。近藤さんには、そういった高額店に欠けている、客に合わせる器量があります。それが当店を高級店たらしめる所以でしょう。
晩秋の近藤さん。鯊や牡蠣の入荷がなかったのが残念でした。
特に印象に残った天種は椎茸。次点が人参、山ごぼう。魚介では鱚といったところでしょうか。
椎茸は食感、香り、うま味とこの日のものが今年一番でした。噛むと押し返すような歯応えがあり、その弾力に逆らって噛みしめると香りが鼻に抜け、口の中にはうま味が溢れてきます。原木椎茸を供するお店も増えましたが、この時期の近藤さんの椎茸は一味違います。非常に美味しい椎茸でした。
飴細工を模した人参は目にも美味しく、山ごぼうも無駄な繊維質がなく香りが良かったです。鱚は質良く、しっとり・ふんわりと揚げられており、ミルキーかつシルキー。美味しかったです。
秋が深まってきて松茸が一段落という頃に訪問。鯊が獲れなくなった昨今、天ぷら屋的にはやりにくい時期になってしまったように思います。
強いて良かったものを挙げるとするならば、鱚と女鯒でしょうか。鱚はしっとり・フワッとしており美味。女鯒はホクホク。この時期でもなかなか美味しかったです。
仙鳳趾の牡蠣は以前より早い時期から供されるようになりました。晩秋~初冬のものに比べるとまだまだだと思いますが、こちらも意外と美味しかったです。
一方、椎茸はこの時期にしてはもう一つ。食感、香り、うま味と全てにおいて物足りなかったです。例年だとこれ位から美味しくなるはずなのですが・・・。
今回はデザートの写真を一枚。ピオーネ、シャインマスカット、無花果、メロン。以前と比べると果物の質も下がったように思いますが、それでも十分上質。果物好きには堪りません。甘味が弱いものから順番に食べることが肝要。最後まで真剣勝負です。
初秋の近藤さん。印象に残った天種は南瓜と新いか。
南瓜は大きめにカットしたものを長時間揚げてから余熱で蒸らして仕上げます。適度に水分が飛んでおり、しっとり・ホクホク。皮目の方から感じる甘味や香りがGood。味が凝縮しているのが分かります。
新いかは8月に比べると大きめ。季節の移ろいを感じます。食感はまだまだ良好でした。
松茸は傘に切れ込みを入れてそこに酢橘を挟み一本丸ごと揚げるのが近藤さん流。松茸の価格高騰の影響でしょうか?香り・食感ともに例年ほどではなかったかなと。
盛夏の近藤さん。今夏は天候不順や食材の価格高騰で思うような天種に出会えませんでした。
そんな中で最も印象に残ったものが新いか。外はサクッと揚げられており、身は実に滑らかで柔らかく、甘味も十分。非常に美味しかったです。新いか以外の魚介では、鱚がふんわり・しっとりと揚げられておりGood。
野菜ではジャガイモ、トウモロコシが前回に続き好印象。夏定番の種ごと食べられるピーマンも香り良く美味しかったです。新銀杏も外はサクッと、中はモチっと、鼻に抜ける香りもまずまずといったところでした。ただし、ここ数年、新銀杏は7月の方が美味しいものに出会える確率が高くなってきたような気がします。
異常に早かった梅雨明け直後の訪問。印象に残ったものはトウモロコシ、賀茂茄子、ジャガイモ等。
この日のトウモロコシはミルフィーユという品種。今年は甘甘娘をいただくことはできませんでしたが、このミルフィーユという品種もなかなか甘くて美味しかったです。
ジャガイモの天ぷらは白米をジャガイモでサンドウィッチして揚げたもの。外はサクッと香ばしく、中はホクホク。中央の白米の部分とジャガイモの一体感が何とも言えません。白米の部分に醤油をかけていただくのですが、揚げ色の付いたジャガイモの香ばしさと醤油が非常に良く合います。少々野暮ったいものですが、大好きな一品です。
賀茂茄子は大き目にカットして揚げたもの。これぞ蒸し料理という感じの仕上がりは、水分の多い賀茂茄子ならでは。揚げる際のサイズも重要なのだと思います。こちらも醤油でいただくのですが、ちょっと多めかもというくらい掛けた方が美味しいと思います。
天ぷらのハイシーズンに訪問。今年はトウモロコシや鮑がありませんでしたが、久しぶりに近藤さんで銀宝をいただくことができました。
銀宝は、銀宝を食べずして天ぷらを語ることなかれと言われる天種の王様。コリっとしたゼラチン質の皮目とムッチリと締まった身の生み出すうま味と食感のコントラストが何とも言えません。癖がなく上品、それでいてうま味が強いタネです。これは塩より天汁で食べるべき天種だと思います。
この日の銀宝は皮目のゼラチンも相応にあり、ムッチリとした身の弾力と濃厚なうま味が味わえるものでした。他店も含め、この2~3年の間で食べたものの中では一番美味しかったかなと。
それ以外にも、ジャガイモ、賀茂茄子が非常に美味しかったです。魚介では鱚、女鯒、アオリイカあたりが次点だったかなと。
天ぷらのハイシーズン幕開けという時期に訪問したのですが、この日はちょっと肩透かしを食らってしまいました。
ホワイトアスパラガスは香り良くジューシー。ヤングコーンは食感・香りともにGood。姫竹の香りもまずまず。たしかに悪くはないのですが、どれも以前と比べるともう一つというのも本音です。
魚介では蛤がジューシーで美味しかったです。鱚、女鯒も決して悪くはありません。魚介も従来と比べると首を傾げてしまうことが多かったです。他の時期なら、季節的要因を疑うのですが・・・。
定番のタネ以外では、クロムツを見かけたので試してみました。皮目にしっかり火が入っていましたが、身はふんわりと仕上がっており、うま味が感じられました。悪くはないのかなと。寒い時期に見つけたら、また試してみようと思いました。
この日は久しぶりに稚鮎の天ぷらもお願いしました。琵琶湖の天然物でしたが、こちらの鮎は活けではないせいか、そこまで美味しいと思ったことがありません。残念ながら、この日もそれを再認識する結果となってしまいました。
そして、タネ質以上にガッカリしてしまったのが油の香り。油の交換時に太香(極淡)の比率をいつもより高めにしてしまったのか、それ以降、油の香りが気になって仕方なかったです。価格をほぼ据え置きで営業されているので、以前よりタネ質が下がるのは諦めが付きますが、油の比率は完全なミス。そこは残念に感じてしまいました。
晩春の近藤さん。雪室にんじん(スノーキャロット)や山菜を目当てに訪問。
雪室にんじんは甘味が非常に強く、香りも良好。千切りの人参が鍋の中で飴細工のように纏められて出来上がります。目でも楽しめる逸品です。タラの芽も香り・風味が非常に強く、コシアブラは心地いい苦味と風味が堪りませんでした。
例年は4月上旬までしかない筍が、この日は珍しく入荷されていました。前回ほどではないものの、味・香り・食感いずれも良好。グリーンアスパラガスの香り、ホワイトアスパラガスの甘味も印象に残るものでした。
春の近藤さん。朝掘りの筍を目当てに訪問しました。
朝掘りの白子筍(塚原)は5割ほど火の入った状態。えぐ味がなく、サクッとシャキッとした食感と鼻に抜ける香りがとにかく鮮烈。非常に美味しかったです。この日の筍は、ここ数年近藤さんでいただいたものの中で一番良かったと思います。
そら豆もこの時期外せないタネ。そら豆はかき揚げにするのがこちらのハウススタイル。口一杯に頬張ることで香りがより一層愉しめます。魚介では、白魚や蛤が好印象でした。
早春の近藤さん。天種の書かれた紙とにらめっこしながら、お好みで注文するのが愉しいひと時。この日はメヒカリやウマヅラハギといった近藤さんでは初めて見る天種もありました。
メヒカリはしっとり・ホクホクに揚げられていました。鱚の方が上品でしっとりしていますが、脂の乗りならメヒカリといったところでしょうか。ウマヅラハギは肝を身で挟んで揚げられていました。濃厚な肝が淡泊な身の味わいを引き上げてくれます。カワハギに似ていましたが、個人的にはカワハギの方が美味しいかなと。
魚介種で最も好印象だったのは白魚、その次が鱚。この日の白魚(宍道湖)のバラはいつもとは違って、茗荷と一緒にかき揚げで。むっちりとした白魚にシャキっとした茗荷のアクセントが効いていました。個人的には白魚だけのかき揚げの方が好きですが、これはこれでアリだと思います。もちろん、定番の白魚を大葉で包んだものもいただきました。こちらは中がレアでトロっとした仕上がりで美味。
野菜ではそら豆と人参が特に好印象でした。そら豆はとにかく香りが良く、これを頂くと春の訪れを感じます。飴細工を模した人参は甘く、香りもGood。どちらも春が終わるまで外せないタネです。
久しぶりにいただいたのが蕾菜。初めていただいた時ほどの感動は得られませんでしたが、甘味と苦味が時間差で愉しめました。食感や香りも良かったです。
今年初の近藤さん。本格的に寒くなってきた頃でした。
野菜は人参、魚介では白魚が特に印象に残りました。次点が河豚の白子、カワハギ、蛤といったところでしょうか。
白魚は大葉で包んだ定番のものとバラでかき揚げにしたものを。前者は中がレアでトロっと、後者はもっちり・むっちりとした食感に揚げられています。甲乙付けがたく、ついついどちらも頼んでしまいます。河豚の白子はクリーミーで美味。蛤もうま味に富んでいました。
その一方で、椎茸や牡蠣は晩秋~初冬のものと比べるともう一つだったかなと。例年通りといえば例年通りなのですが、今年は落ち方が顕著なような気がしました。
初冬の近藤さん。秋の食材がメニューから姿を消し、冬のものが中心になっていました。特に印象に残ったものは牡蠣(仙鳳趾)と人参。次点が蛤、さつまいも、椎茸。
この日は久しぶりに近藤さんのシグネチャである薩摩芋を注文。外側はカリっと、中はねっとりと。昔ながらの薩摩芋らしい素朴な甘さが愉しめます。シルクスイートのような最近の薩摩芋を甘すぎる(甘さがくどい)と感じる方にはオススメです。とにかく甘味が強い方が好きという方には合わないかもしれません。また、結構なポーションなので、少人数だと他のものが食べられなくなることも覚悟した方がいいと思います。もちろん、食べきれない場合は持ち帰り可能ではあります。
個人的なお勧めは、もう一つのシグネチャである人参。我が家では薩摩芋よりも人気があります。鍋に広がった千切りの人参が飴細工のように纏められていく様は見ていて楽しいですし、人参の甘味・香りが何とも言えません。肉厚の牡蠣もとにかくミルキー&ジューシーで、非常に美味しかったです。
晩秋の近藤さん。冬の食材も出始めていました。野菜では椎茸、人参、山ごぼう、魚介では牡蠣(仙鳳趾)と鯊が特に印象に残りました。
椎茸は押し返すような噛み応えがありますが、それに逆らってかぶりつくと口中にうま味が溢れ、香りが鼻に抜けるのが分かります。食感、うま味、香りとどれも印象に残るものでした。山ごぼうは無駄な繊維質が気にならず歯切れよく、香りも良かったです。
牡蠣は仙鳳趾のもの。立派なサイズで大変ジューシー。非常に美味しかったです。鯊も久しぶりにいただけて嬉しかったです。上記以外では肉厚の蛤やホタテも美味しかったです。
紅葉も少しずつ色づき始めた時期の近藤さん。特に好印象だったものは椎茸。次点が牡蠣(仙鳳趾)と鱚。女鯒や甘鯛なども好印象でした。
椎茸はうま味・香り・食感とどれも素晴らしかったです。牡蠣もなかなか立派なサイズ。ジューシーで美味しかったです。どちらのタネもこれからまだ美味しくなるでしょうから、晩秋~冬の訪問への期待が膨らみました。
鱚と女鯒はいずれも江戸前のもの。この時期にしては良かったのではないかなと。鱚はしっとりさを残した火入れ。このデリケートな火入れは相変わらずお見事。甘鯛は余熱を利用したフワフワの仕上がりで、なかなか美味しかったです。
秋の近藤さん。キノコが美味しい季節になりました。
特に印象に残ったものは松茸(岩手)、舞茸(北海道)、新いか、南瓜
松茸の天ぷらは、傘に酢橘を挟んで揚げたもの。水分を多めに残した揚げ加減で、歯応えが良くジューシー。香りも非常に良かったです。9月下旬から10月初めに訪問したら是非注文したい逸品。繊維に沿って割くようにいただくと食べやすいです。
この日の天然の舞茸は北海道から。食感はもちろん、野趣溢れる香りと味わいが何とも言えませんでした。
南瓜はホクホク・ねっとりとした食感と甘味が好印象。新いかもまだまだ柔らかくて美味しかったです。椎茸はピークにはまだまだ遠い印象でしたが、晩秋に向けて美味しくなりはじめました。天種から季節の移ろいが感じられます。
晩夏の近藤さん。夏の天種も終わりを迎えるタイミングでした。
特に印象に残ったものは、野菜では南瓜、魚介では新いかでしょうか。南瓜はサツマイモ同様大き目にカットし長めに揚げ、最後は余熱で仕上げていきます。ホクホク・ねっとりとした食感と甘味が印象的な逸品です。皮ごと揚げるのですが、特に皮目の甘味が素晴らしいです。新いかの何とも言えない食感もこの時期ならではのもの。
久しぶりにいただいたズッキーニは湯葉を射込んだ従来のものだけでなく、チーズを射込んだものも供されました。新銀杏は7月の出始めのものほどではありませんが、この時期には外せないタネだと思います。
夏の近藤さん。初夏ほどではないものの、魅力的なタネが残っていました。
特に印象に残ったものは黒鮑と新銀杏。鮑は芳醇そのもの。適度な弾力もあって非常に美味しかったです。新銀杏も出始めのこの時期のものは香りが抜群。頬張ると香りが鼻に抜けるのがよく分かりました。
ご飯を挟んだ変わり種のジャガイモ、中が熱々トロトロの賀茂茄子、甘くてジューシーなホワイトアスパラガス、種ごと食べられる爽やかな香りのピーマンと好印象でした。魚介ではホクホクの女鯒と四万十の海苔を包んで揚げた鱧も美味しかったです。
席数の間引きや時短営業もあってか、この一、二年でお好みやおまかせのコースは一割弱値上がりしたように感じています。しかしながら、食材高騰の中でもほとんど値上げをしていなかったことを考えると、いたずらに価格を吊り上げている若手・中堅のお店と違ってCP良好だといえるでしょう。
天ぷらのハイシーズン真っ只中の訪問。特に印象に残ったタネは玉蜀黍(甘甘娘)、ジャガイモ、賀茂茄子、姫竹、さやいんげん。魚介では鮑と鱚といったところかなと。
甘甘娘は一粒ずつの存在感がしっかりしています。甘味、食感、香りと秀逸でした。ジャガイモもこの時期には外せない逸品。ジャガイモでご飯を挟んだものを揚げ、最後は余熱で仕上げます。ちょっと野暮ったい感じもしますが、非常に美味しくついつい注文してしまいます。中が熱々の賀茂茄子はトロトロ・ジューシー。炭火焼きとは一味違った魅力があります。姫竹は5月の方が美味しかったように思いますが、この日いただいたものも十分美味しかったです。
黒鮑は食べ応え十分なサイズ。食感も良く、味わいは芳醇そのもの。鱚はふんわりと揚げられており、しっとりとした中に鱚の味わいが感じられました。銀宝の入荷がなかったのは残念でしたが、来年の愉しみということにしておこうかと思います。
天ぷらのハイシーズン幕開けの時期の訪問。特に印象に残ったものは姫竹、コシアブラ、さやいんげん、ヤングコーン。魚介では鮑や女鯒といったところでしょうか。
姫竹は歯切れの良い食感と素晴らしい香りが味わえました。去年より良かった(ここ何年かで一番良かった)のではないかなと。コシアブラは柔らかい苦味と香りが味わい深かったです。ヤングコーンも粒々の歯触りと中のシャキッとした食感が何とも言えません。噛んだ時に口の中に広がるうま味や香りも好印象。筏状のサヤインゲンも香り良く美味しかったです。やはりサヤインゲンは一度にある程度まとまった量を食べた方が美味しいものだと再認識させられました。
春の近藤さん。初夏や晩秋と並んで魅力的な天種が並ぶ季節です。
通年供されるアスパラですが、この時期の北海道の出始めのものが最も香りが良く美味しいと思います。また、この時期しか供されない朝掘りの白子筍(塚原産)も逸品です。えぐ味がなく、食感・香りともに印象に残るものです。初めてこちらで頂いた時に衝撃を受けたのを今でもよく覚えています。
飴細工を模した人参は強い甘味と香りが印象的。目でも舌でも楽しめる逸品です。それ以外にもタラの芽、山独活、空豆といった春の味覚も堪能できました。
魚介では白魚と蛤がこの時期のお勧めではないかなと。白魚は大葉で包んだものとバラでかき揚げにしたものの二種類があります。前者は中心部がレアの火入れで、食感・味わいのグラデーションが愉しめます。後者はむっちりとした白魚一匹ずつの存在感がより強く感じられます。蛤は例年よりも小振りながらジューシーで美味。この日は女鯒も美味しかったです。
早春~春に掛けての天ぷら。野菜では筍(塚原)、山独活、空豆、魚介では白魚、平貝、蛤が特に美味しかったです。
筍は塚原の朝掘りの白子筍。四月上旬にしか供されないタネだと認識していましたが、単品メニューの中に見つけたので迷わず注文しました。香り良く美味でした。空豆も頬張ると口の中に良い香りが広がります。春には外せない天種です。
平貝は前回訪問時よりも立派なものでした。平貝と海苔の間に木の芽を挟んで揚げられており、中心部はレアの仕上がり。平貝の強い甘味に木の芽が爽やかさを加え、味を引き締めてくれていました。
牡蠣は前回同様長崎のものだったと思いますが、やはり個人的には晩秋~初冬に使用される仙鳳趾のものの方が美味しいかなと。
晩冬~早春の近藤さん。この日印象に残ったものは白魚、タイラ貝、人参、空豆、蕗の薹あたりでしょうか。
空豆は指宿のもの。頬張るごとに空豆の香りが口内から鼻に抜けるのが分かります。一粒ずつ食べるより、まとめて食べた方が美味しい素材の一つだと思います。蕗の薹はガクを開いて。苦味や灰汁が中に籠らずに油と馴染んでくれます。
白魚は大葉で包んだものとかき揚げにしたものをどちらもいただきました。今回はかき揚げの方の写真を載せてあります。タイラ貝は海苔で包んで間に木の芽を忍ばせたもの。木の芽の爽やかな香りが良いアクセントでした。この時期にしては珍しく牡蠣もありましたが、11月にいただいたものの方が美味しかったかなと。
冬の近藤さん。空豆や山菜等の春の味覚もメニューに載りはじめていました。白魚、公魚、カワハギ、河豚の白子、人参、椎茸、菜の花等が美味しかったです。
白魚は大葉で包んだ通常のものとバラ(かき揚げにしたもの)の二種類をいただきました。大葉で包んで揚げたものは中心部がレアの仕上がり。衣のサクッとした食感から中心部のトロっとした食感へと向かう微妙なグラデーションが愉しめます。両者が口の中で混じりあうと何とも言えません。かき揚げの方はむっちり・もっちりとした食感。こちらの方が一匹ずつの味わいは感じやすいように思います。どちらも美味しかったです。
カワハギは身に肝を挟んで揚げたものを塩と山葵でいただきます。肝の味わいを山葵が引き締めてくれます。河豚の白子もトロっと濃厚。臭みは皆無で美味しかったです。
飴細工を模した人参は冬には必ず注文する逸品。椎茸は食感、うま味、香りとまずまず。一番良い時期(11月や12月)と比べるとやや落ちるように感じましたが、十分満足できるものでした。菜の花は鮮やかなグリーンと香りが印象的でした。
初冬の近藤さん。鯊や牡蠣という目当ての魚介はありませんでしたが、野菜は相変わらず充実していました。
特に好印象だったものは椎茸、人参、山ごぼう。椎茸はうま味、食感、香りとどれもハイレベル。11月にいただいたものの方が味の凝縮感は上だったような気もしますが、この日のものも非常に美味しかったです。
人参の天ぷらは飴細工を模したもの。甘味と香りがしっかり感じられ、目でも楽しめる逸品です。カットやサイズに工夫を凝らすことで、香りやうま味を引き立てたり、立体的なビジュアルに仕上げるというのは、近藤さんの天ぷらの特徴の一つだと思います。個人的には晩秋~冬のイメージですが、椎茸同様通年供されます。季節間での味の差が椎茸ほど大きくないと思うので、比較的季節を問わずオススメできるタネなのではないかなと。
山ごぼうは変な繊維質が無く、心地良い食感が愉しめます。香りや油切れも良好。うどん屋で供されるごぼう天とは全くの別物です。時期的には11~12月位のはずですが、入荷がないこともしばしば。
鯊と牡蠣の入荷がなかったのは残念でしたが、この日はワカサギ(琵琶湖)やカワハギが美味しかったです。どちらも写真を撮り忘れてしまったので、これは次回の宿題。このままでは写真が前回と変わらないという焦りから金目鯛も追加注文しましたが、個人的にはカワハギの方がオススメかなと。
この日の〆は天茶。天丼は前回アップしているので今回は天茶にしました。私もようやくレビュアーらしくなってきたなと(笑)。
天ぷら職人の技量が最も問われるのは何といってもかき揚げでしょう。ここのかき揚げはタネ(特に小柱)が硬化しておらず、衣ももっさりしたところがありません。依然としてハイクオリティだと思います。
天丼はかき揚げの上から丼汁をかけるお店(深町さん)もあれば、最近では熱した丼汁にかき揚げを軽く潜らせるお店(にい留や成生)なんかもあります。近藤さんの天丼は、かき揚げを辛めの丼汁(おそらく常温)に潜らせ蓋をして供する江戸前のスタイルです。
天茶のかき揚げは天丼のものよりも緩く成形されているのだと思います。お茶を入れて食べるとホロっと崩れる塩梅です。天茶に緑茶を使うお店もありますが、近藤さんではほうじ茶と出汁を合わせたものになります。男は天丼一択、天茶は女が頼むものという風潮もゼロではないのでしょうが、このような人種は絶滅危惧種なので好きな方を頼めば良いのではないかなと。
梅雨の最中の近藤さん。6月と比べると天種的には見劣りする時期です。
お好みで色々いただきました。特に印象に残ったものは賀茂茄子、ホワイトアスパラガス、ジャガイモ。賀茂茄子は6月以上のビッグサイズ。とろとろ・ジューシーで非常に美味しく、食べ応えもありました。夏の時期に合わせて生産されているというホワイトアスパラガスも瑞々しく、甘味に富んでいました。ジャガイモは通年安定して楽しめるので、個人的にはオススメの天種です。
〆のかき揚げの出来は徐々に下降線を辿っているような気がしますが、それでも素晴らしい出来栄え。最近流行りのお店より上でしょう。こちらの天丼はかき揚げを辛めの丼汁に潜らせるスタイル。衣の食感は犠牲になってしまいますが、昔ながらの食べ方が好きな方向きといえるでしょう。
若手・中堅の人気店が一斉スタート・おまかせのみばかりなのに対して、入店時間やコースが過度に制限されてないのも魅力です。そういったお店は客ごとに異なる注文を捌くだけの技術や経験がないのでしょう。
天ぷらのベストシーズンの近藤さん。銀宝や岩牡蠣といった大好きな天種がなかったのは残念でしたが、初夏の天ぷらを堪能できました。
特に印象に残ったものはトウモロコシ(甘甘娘)、賀茂茄子、ジャガイモ、鮑、鱚など。甘甘娘(山梨)は非常に甘く、香りも良好。この時期以外に使われているゴールドラッシュより上質でしょう。ジャガイモの天ぷらは、ご飯をジャガイモで挟んで揚げた一品。塩で食べても美味しいのですが、ご飯の部分に醤油を垂らしていただくのが近藤さんオススメの食べ方。揚げた香ばしさに醤油が良く合い、ご飯の粘り気と一体になったジャガイモの味わいを引き上げてくれます。
鱚や女鯒もこの時期は高いレベルで質が安定しています。特にこの日の鱚は良質で揚げ方も秀逸でした。ふんわり柔らかく揚げられており、鱚のデリケートな味わいが寸分も損なわれていませんでした。女鯒もこの時期であればそうそう外れを引くこともないのではないかなと。
初夏の近藤さん。天ぷらのハイシーズン序盤の訪問でした。
いつも通りお好みで。特に好印象だったものは鮑、白魚、姫竹、ジャガイモ、インゲンあたりかなと。黒鮑は内房のものがドーンと。芳醇な味わいでした。白魚(石川)は大葉で包んだものとバラのかき揚げの二種類を愉しみました。インゲンは筏状に揚げるのが近藤流。以前ほどキレイな筏ではありませんでしたが、香り良くこのシーズンには是非注文したい一品です。姫竹もここ4、5年では一番香りが良かったのではないかなと。
上記以外でも、そら豆、こしあぶら、玉蜀黍(ゴールドラッシュ)、グリーンアスパラガス等も美味しかったです。魚介では、良質な鱚がふんわり柔らかく揚げられており美味しかったです。
春の近藤さん。この日は筍とアスパラを目当てに訪問しました。他のお客さんとの間に空席を設けてありました。いつもの賑やかはありませんでしたが、その分近藤さんとゆっくりお話しさせていただくことができました。
4月の上旬にしか登場しない朝掘りの白子筍(塚原産)は、シャキッとしていながらも柔らかい食感。噛むと口の中に香りが広がり、うま味・甘味も溢れてきます。アスパラは通年供されるタネですが、この時期が一番美味しいのではないでしょうか。他の時期とは香りが違います。こちらも食感・うま味・香りと全てが楽しめます。
この日は、その日の朝に近藤さん本人が採ってきたという山菜も色々いただきました。ヤマユリのかき揚げは初めていただきましたが、外は玉ねぎのような食感で、中はゆり根の食感・味わいでした。
魚介種では、鱚と蛤が特に美味しかったです。鱚はふんわり・しっとりと揚げられており、うま味・香りが飛んでいませんでした。理想的な火入れだといえるでしょう。職人の技量が最も問われる〆のかき揚げ(天丼)も流石のクオリティ。大きめのかき揚げでしたが、無駄な衣が少なく、小柱も硬化していませんでした。
たとえ空席があっても、いつものように頻繁に油を変える姿勢には感心してしまいます。油切れが良いのも納得です。5月下旬から6月下旬までは天ぷらのハイシーズン。コロナを気にせず訪問できるようになればと祈っています。
冬~早春の天種をお好みで。印象に残ったものはオーロラ、人参、白魚、河豚の白子。この日のメインであるオーロラは前回訪問時にお願いしておきました。
オーロラはパレドZという番組中で考案された天ぷら。大和芋、菜の花、人参を甘鯛で包んで揚げたものになります。断面はきれいな三色で、食感のコントラストも際立っていました。各食材の香りや味わいが始めはそれぞれ別個に感じられ、噛むうちに口の中で調和していきました。山葵も味を引き締めてくれました。
三月から価格を少し上げられるようですが、立地や食材の質等を考慮すれば、依然CPは良好だと思います。
年始の訪問。この日もお好みで色々いただきました。椎茸、人参、山ごぼう、カワハギ、河豚の白子、ワカサギ等が印象に残りました。
椎茸は通年供されますが、秋が深まったころから1月までが特に美味しいと思っています。食感、香り、うま味と非常に素晴らしかったです。飴細工のような人参は甘味が印象的で、目にも美味しい逸品。SNSの影響もあってか、この数年でかなり多くの方が注文されるようになりました。この日は、この時期にしては珍しく山ごぼうもありました。無駄な繊維質がなく、こちらも食感と香りが良かったです。
魚介は、季節のものでは河豚の白子、カワハギ、ワカサギ等が好印象でした。定番種では鱚でしょうか。ふんわりデリケートに揚げられており、香りが飛んでいませんでした。
初冬の天ぷら。2019年最後の訪問。
この日印象に残ったのは、椎茸、人参、山ごぼう。やはりこの時期の椎茸は秀逸。香り・食感・うま味と抜群でした。通年で出される天種ですが、晩秋から冬にかけて美味しくなります。ついつい、二つ、三つと追加してしまいます。人参は千切りにして飴細工のように仕上げます。非常に甘く、目にも美味しい逸品です。久しぶりに食べられた山ごぼうのかき揚げも、繊維質が気にならない美味しいものでした。
牡蠣や鯊といった大好きな天種がなかったのは残念でしたが、美味しい野菜の天ぷらに満足できました。2020年はもう少し通えればと考えています。
夏の訪問記録。久しぶりにランチタイムに訪問しました。
好印象だったのは賀茂茄子。ホワイトアスパラ。次点がとうもろこし。魚介では鮑と鱧だったかなと。ホワイトアスパラは中が熱々でジューシー。甘味が何とも言えませんでした。当店の鱧(天草)は、鱧で四万十の海苔を包んだ独特のもの。鱧の質がよく美味しかったです。
残念だったのは、鱚に少し火が入り過ぎていたこと。他にもちょっと気になる点がチラホラ。昼は15人を同時に揚げるので、やはり夜に比べると満足度は低いような気がします。価格が大きく変わるわけではありませんし、夜の方が個人的にはオススメです。
天ぷらのハイシーズンの訪問記録。美味しかったですが、例年と比べると・・・というのが本音でした。
特に印象に残った天種は、賀茂茄子、玉蜀黍、じゃがいも。賀茂茄子はトロっとジューシー。玉蜀黍(甘甘娘)のかき揚げは甘味が秀逸。香りや一粒一粒の食感も楽しめました。ジャガイモは、ジャガイモでご飯を挟んで揚げた変わり種。真ん中のご飯の部分に醤油を垂らして食べても、塩で食べても美味しいです。魚介では鮑が芳醇で美味しかったです。
しかしながら、その一方で、鱚や女鯒もこの時期ならもっと期待したかったというのが本音。また、この時期の楽しみであるギンポウや岩牡蠣をいただけなかったのも残念でした。
春の味覚を味わいに近藤さんを訪問しました。
最も印象に残った天種は、魚介では白魚、野菜では空豆です。白魚は大葉で包んだものとバラでかき揚げにしたものの二種類の食べ方を楽しみました。大葉で包んだ方は中の方がレア気味に、かき揚げの方は一匹ずつのムチッとした食感が楽しめます。当店の定番は前者ですが、個人的には後者の方が好みです。空豆も香りが実に素晴らしかったです。
白魚と空豆以外でも、アスパラや白子筍(塚原)が好印象でした。アスパラは食感・香り・うま味といずれも良好で、朝掘りの筍も美味しかったです。
また、個人的に推したいのがジャガイモ。ジャガイモでご飯を挟んだ変わり種ですが、塩でも醤油(天汁ではない)でもイケます。調理に時間がかかるので早めの注文が必要ですが、個人的には外せない一品です。次点が蛤や鱚あたりになるのかなと。これらも美味しかったです。
ようやく今年も天ぷらのハイシーズンが到来しました。定番のタネが旬を迎えるだけでなく、銀宝、岩牡蠣、玉蜀黍、賀茂茄子等も登場します。天ぷら好きには堪らない時期です。
早春の天ぷらをいただきました。春の野菜がだいぶ多くなっていました。
印象に残った天種は椎茸、白魚、蛤。この日の椎茸は格別に美味しかったです。この時期のものとは思えないほど肉厚で、火の入り方も絶妙。食感・香り・うま味と全てが完璧でした。白魚はムッチリした食感が楽しめるバラのかき揚げ風で。蛤もジューシーで素晴らしかったです。
菜の花、そら豆、蕾菜やタラの芽等の山菜類等、春を感じる種も多かったです。4月はアスパラや筍を目当てに訪問したいと考えています。
今年初の訪問です。冬(大寒)の天ぷらをいただきました。
印象に残った天種は牡蠣、白魚、河豚、河豚の白子、甘鯛、椎茸、ニンジン等。
上記の中でも牡蠣と白魚は素晴らしかったです。次点が椎茸かなと。牡蠣は大振りで味も濃く非常に美味しかったです。白魚は大場で巻いたタイプとバラでかき揚げ風に仕上げたものの両方をいただきました。大葉で巻いたものは中央がレア気味になるように揚げられており、バラでかき揚げにされたものはムッチリとした食感が味わえました。個人的には後者の方がより好印象でした。
初冬の味覚を求めて訪問したのですが、楽しみにしていた鯊と椎茸にガッカリ。この時期に供されるものとしてはかなり低レベルだったかなと。椎茸はともかく鯊は来年までお預けです。非常に残念。
その一方で、牡蠣は大振りジューシーで好印象。2017年ほどではありませんが大満足でした。肝を身に挟んで揚げたカワハギもgood。飴細工を模した人参は甘く、目にも美味しい逸品。ホタテは中をレアに仕上げて。塩と山葵がホタテの甘味・うま味を引き立ててくれます。この日は女鯒も好印象でした。
晩秋の天ぷらを求めて近藤さんを訪問しました。この時期最大の楽しみの一つである鯊が欠品だったのは残念でした。印象に残った天種は牡蠣、鱚、女鯒、椎茸、ニンジンあたりでしょうか。
仙鳳趾の牡蠣はこの時期でも十分立派と言えるサイズ。ジューシーで美味しかったです。この日は鱚や女鯒も質が良く美味しかったです。椎茸も食感・香り・うま味と全てにおいて前回より格段に良くなっていました。ただピークにはもう少しなのかなと。
秋の味覚をと思って訪問しましたが、松茸は終わっており、椎茸もまだピークに達していない時期でした。この日印象に残ったものは鱚、ししゃも、甘鯛、ジャガイモ、銀杏。
鱚は質良く、ふんわり柔らかく揚げられています。甘鯛も身がフワフワ。鱗をパリパリにして仕上げるお店も多いですが、当店は身だけを揚げています。ご飯を挟んだジャガイモはご飯の部分に醤油を少し垂らしていただきます。ほっこりする味わいで、目当てのタネが少ない時に重宝します。もちろん塩でも美味しいです。この時期でもピーマンが供されていましたが、夏のモノよりこの日のモノの方が良かったです(今夏のはちょっと残念過ぎたかなと)。
晩夏の近藤さん。率直に言って、この日は深く印象に残るようなタネはありませんでした。強いて良かったものを挙げるのであれば、南瓜や新いかになるのかなと。悪い意味では鱚になるでしょう。
この時期から出始める南瓜は皮目の香ばしさや甘味がgood。ただ、本当に美味しい時のものとは別物だと感じました。2017年・2018年は例年と比べるともう一つだったのではないかなと。鱚は質がイマイチで、外れを引いてしまった気分です。
夏の天ぷらをいただきに近藤さんに。
印象に残ったタネは岩牡蠣、鮑、鱚、新いか。野菜ではとうもろこし、新銀杏、ホワイトアスパラ、賀茂茄子。
この日の一番は岩牡蠣(富山)。ジューシーで、非常に美味しかったです。鮑も芳醇な味わいでgood。鱚はふんわりと揚げられ、新いかの火入れも絶妙なものでした。
とうもろこし(ゴールドラッシュ)は甘さ・食感・香りとどれも秀逸、新銀杏も香りが堪りませんでした。今年は北海道のグリーンアスパラやピーマンがイマイチだったのが残念でした。
天ぷらのハイシーズンである初夏。天ぷら好きには堪らない時期です。
印象に残った種は銀宝、鱚、鮑。野菜ではとうもろこし(甘々娘)、賀茂茄子、ホワイトアスパラが美味しかったです。
この時期は何といっても江戸前の銀宝。ゼラチンと締まった身から生まれる味と食感のコントラストが素晴らしかったです。房総の鮑も非常に美味しかったです。
甘々娘はここ数年で一番甘く、香りも良かったです。当店のホワイトアスパラ(北海道)はわざと時期をズラして栽培しているもの。水分量に富み、中は熱々で甘くてジューシー。姫竹の香りもまずまずだったと思います。
その一方で、グリーンアスパラやピーマン(ともに北海道)などは例年と比べると、イマイチ。岩牡蠣の入荷がなかったのも残念でした。
リニューアル後初の近藤さん。春の味覚を求めて訪問しました。
印象に残った天種はアスパラ、筍、蛤、銀宝、鱚。
この日の一番は北海道のアスパラ。穂先は香りがとにかく素晴らしく、茎はジューシー。非常に美味しかったです。年間通して供されますが、やはりこの時期が一番美味しいと思います。塚原産の朝掘りの筍もえぐ味がなく、大変美味。椎茸はこの時期にしては身がパンパン。香り・食感・うま味と三拍子揃っており、美味しかったです。山菜ではこごみとタラの芽が好印象。
魚介では蛤が最も好印象。肉厚な身にうま味がたっぷり閉じ込められており、非常に美味しかったです。銀宝や鱚もgood。かき揚げは技術の高さと油の良さが相まった逸品。小柱は硬化しておらず、絶妙でした。
リニューアル後も美味しい天ぷらをいただくことができました。CPも変化なし(良好)だと思います。
改装前最後の訪問。
印象に残ったのは牡蠣、河豚の白子、鱚、人参、椎茸等
全体的に前回の方が良かったかなと。牡蠣や河豚の白子などが美味しかったです。定番種では鱚が好印象。次点では白魚。
時期的な問題でしょうが、椎茸は前回と比べると落ちるかなと。蕗の薹なども供され始めていました。蕗の薹はガクを閉じて揚げるお店が多いですが、こちらではガクを開いて揚げられています。この方が香りがよく、苦みも心地良い気がします(ガクが閉じたままのものは塩ではいただけないと思います)。
改装後のお店に早く伺いたいなと。
冬の近藤さんに。昨年最後の訪問でした。
牡蠣、鯊、かわはぎ、椎茸、人参、山ごぼう
この日最も印象に残ったのは牡蠣(仙鳳趾)。大振りの牡蠣は大変クリーミーで非常に美味しかったです。牡蠣以外の魚介では鯊もまずまず好印象。本当に美味しい鯊とまでは感じませんでしたが、他店で供されたものよりも美味しかったです。本当に不漁なんだなと。
野菜では椎茸が白眉。うま味・食感・香りと申し分のないものでした。次点が山ごぼうになるのかなと。
晩秋の天ぷらを楽しむために近藤さんに伺いました。
山ごぼう、椎茸、人参、牡蠣、鱚、女鯒、カワハギ
この日最も印象に残ったのは大振りの牡蠣。クリーミーで非常に美味しかったです。シーズンのはずの鯊は期待を下回るものでしたが、そのかわりに鱚や女鯒が美味しかったです。
野菜では山ごぼうがこの日の一番。無駄な繊維がないので柔らかく、香りも良いものでした。ごぼう以外では椎茸も大変好印象。歯応え、香り、うま味といずれもgood。ようやく椎茸が美味しい季節になってきたなと感じました。
なお、近藤さんは来年の2/1~3/19まで店内改装のために休業されるそうです。
秋の近藤さんに。夏の食材が終わりを迎え、秋の食材が目につくようになっていました。
率直に言って、この日はすごく美味しかったという天種は一つもありませんでした。強いて気になったものを挙げるとすれば、鱚、南瓜、銀杏、丸茄子(新潟)あたりになるのかなと。
牡蠣は売切れ、椎茸も時期的にまだ早かったりと、消化不良気味。少し残念な訪問になってしまいましたが、次回以降鯊と一緒に楽しめればと思いお店を後にしました。
晩夏の近藤さんに。
印象に残ったものは南瓜、新銀杏、賀茂茄子、とうもろこし、松茸(岩手)、新いか
美しいエメラルドグリーンとサクサクの食感が印象的な新銀杏、香りの良い松茸、柔らかい新いか等が美味しかったです。南瓜は晩夏~初秋にかけてサツマイモの代役を務める天種。サツマイモ同様長い時間を掛けて揚げられ、天紙で包んで余熱で仕上げられます。強めに火が入った皮目の香ばしさ、中のホクホクの食感、甘味が楽しめます。ただし、例年ほどではなかったかなと。
印象に残ったタネは、銀宝、鮑(房総)、鱧(大分)、鱚、岩牡蠣(富山)。
ホワイトアスパラ、賀茂茄子、新蓮根(茨城)、とうもろこし(甘甘娘)、ジャガイモ。
魚介では、江戸前の銀宝と立派な鮑が特に印象的。次点が鱧と鱚。カラリと揚げられた銀宝はゼラチン由来のプルプルとした弾力と濃いうま味が印象的。今季ベストかなと。鮑も味が濃かったです。鱚は銀宝とは対照的にフワッと優しく。岩牡蠣も小振りながら、ジューシーで美味。
野菜では、香りの良いホワイトアスパラ、トロっとジューシーな賀茂茄子、甘い新蓮根(茨城)、甘味・食感・香りと三拍子揃ったとうもろこしのかき揚げが美味しかったです。
とにかく軽い天ぷらで胃もたれしません。〆の天丼はかき揚げを辛めの丼汁に潜らせてあるので楽に食べきれます。もう少し衣の食感を残せた方が・・・と思うこともあるのですが。
印象に残った天種は、銀宝、女鯒、岩牡蠣、ホワイトアスパラ、ジャガイモ、賀茂茄子、トウモロコシ
江戸前の銀宝はゼラチンをしっかり感じるもの。うま味も濃かったです。昨年いただいたものほどではありませんでしたが、他店比では素晴らしいものでした。魚介では女鯒が次点でしょうか。
アスパラは緑、白、紫と三種類いただきましたが、最も好印象だったのは白。こちらのホワイトアスパラは、時期をずらして夏に生産されるものを使っているのではなかったかなと。その一方で、グリーンアスパラは食感、うま味、香りといずれも物足りないものでした。
ホワイトアスパラ以外で印象に残ったのはジャガイモ。ジャガイモでご飯を挟み、サンドウィッチ状にして揚げられます。ムッチリとした食感と香ばしさが何とも言えません。次点は賀茂茄子やトウモロコシか。
揚げ手の技量が最も問われる、かき揚げのクオリティも申し分なし。頻繁に油を交換するので、油切れが非常に良く、胸焼けすることがありません。ハイシーズンの幕開けは上々の結果でした。
春の香りと苦味を求めて近藤さんに。
筍(塚原)、アスパラ(北海道)、空豆、蕗の薹、蛤、銀宝
この時期の一番の目当ては筍とアスパラです。朝掘りの塚原産の白子筍は柔らかく、えぐ味のないもの。薫り高く、美味しかったです。北海道産のアスパラも香り・うま味・食感と、いずれも良好。ただし、筍もアスパラも、例年ほどの質ではないというのが本音でしょうか。ガクを開いて揚げられた蕗の薹は、心地よい苦味と香りを楽しめました。
魚介では、大振りの蛤がジューシーで美味。今季初の銀宝もゼラチン質こそ乏しいものの、上品な味わいでした。
ちょっと気になったのがモンゴイカ。イカ墨の塩で食べるというのは面白かったのですが、少々火が入りすぎとの印象を受けてしまいました。
しかしながら、〆の天丼はさすがの仕上がり。複数の種で大きなかき揚げを作るのですが、生焼けということはありませんし、小柱が硬化しているなんてこともありません。無駄な衣が非常に少なく、辛めの丼汁でさっぱり楽に食べ切れました。
初夏から旬を迎えるタネも多く、これから天ぷらは春に次いでもう一つのハイシーズンに入ります。今から楽しみです。
早春の天ぷらをいただきに近藤さんに。昼でもお好みで揚げてもらえます。
印象に残ったのは河豚の白子、公魚、穴子、人参、蕗の薹
江戸前の鱚、女鯒とまずまず。なぜかこの日の車海老はいつもより甘く感じました。定番の種では穴子が良かったかなと。外はカラリと中はホクホクに。トロ穴子にはない風味と身の締まりが味わえました。河豚の白子はクリーミーでリッチな味わい。
蕗の薹はガクを開いて揚げられます。心地よい苦味と香りのハーモニーが口の中に広がります。これは塩で食べてこそでしょう。ガクを閉じたまま揚げるお店が多いですが、それだと塩では食べにくいです。実際、そういうお店では天汁で食べることを勧められるのですが、この食べ方では香りが台無しだと考えます。飴細工を模した人参の天ぷらは、見た目はもちろん甘味が印象的。
椎茸はうま味・香り・食感いずれもなかなかでしたが、前回ほどではないかなと。牡蠣は九州のものが供されましたが、これも前回の昆布森のものに軍配が上がるでしょう。
塚原産の朝掘りの筍や北海道産のアスパラといった春の天ぷらが今から楽しみです。
2017年2月
冬の天ぷらをいただきに近藤さんへ。
特に印象に残ったのは椎茸、人参、アスパラ、鯊
椎茸はとても肉厚で、前回以上のものでした。ただ分厚いだけの椎茸なら他店でも見かけますが、近藤さんの椎茸は食感・薫りが全くの別物。今季のオーストラリア産のアスパラは物が良いようで、食感・瑞々しさ・薫りと、バランス良好でした。鯊も今期の不漁を考えれば、上々の質だと感じました。
天ぷら屋で最も技量が問われるかき揚げの仕上がりも見事の一言。複数の天種を使った、厚みのあるかき揚げでも、小柱を硬化させてしまうなんてことはありません。単一の天種のみであったり、ペチャンコのものを揚げるお店もありますが、専門店としてはいかがなものかと思います。
その一方で、江戸前の穴子は残念なものでした。もっとも、いくら江戸前の質が良くないからといって、穴子本来の風味や味わいがない(癖はないけど、ブヨブヨな)対馬や韓国のトロ穴子を食べたいとは思いませんが。今冬は昆布森の牡蠣が早めに終了してしまったのも残念でした。
2016年12月
秋の天ぷらを堪能しました。
椎茸、舞茸、松茸(いずれも岩手)、牡蠣(昆布森)等
きのこの美味しい季節。椎茸は無駄な水分がなく、香り・食感・味わいとパーフェクト。一年中供される天種ですが、この時期から冬にかけてが一番美味しいように思います。立派な天然の黒舞茸は歯応えがあり、香りも濃かったです。魚介類では、ジューシーな昆布森の牡蠣が印象に残りました。
2016年10月
――――――――――
端境期の晩夏~初秋
印象に残ったのは南瓜、鱚、牡蠣、新いか、
この時期限定の南瓜は、さつまいも同様、大きめにカットされ、長時間揚げた後に余熱で火を通します。個人的にはさつまいもよりもオススメの天種です。昆布森の立派な牡蠣もジューシーで、美味しかったです。前回(夏)訪問時から気になっていたホワイトアスパラ(北海道)は夏の間中生産されているそうです。椎茸はまだまだこれからといった感じでした。次回は秋の味覚を味わいにお邪魔しようと思います。
2016年9月
――――――――――
夏の天ぷらをいただきました。
賀茂茄子、とうもろこし、ピーマン、鱧、穴子等
賀茂茄子は蒸されて、内部がトロトロ。香ばしい茄子と醤油は好相性。絶品でした。とうもろこしはカリっと揚がっており、甘味・香り・食感、いずれも申し分なし。この時期はゴールドラッシュでしたが、甘甘娘よりも甘いかもと感じました。ピーマンも香りが爽やか。外はカラリと中はホクホクに揚げられた穴子も美味。かき揚げのクオリティも他店より上だと思います。天丼でも衣の食感を楽しみたい場合には、タレを上から少量掛けてもらうように頼むと良いと思います。お盆明け頃から出始める南瓜は、名物のさつまいもよりも個人的にはオススメです。
2016年7月
――――――――――
初夏の天ぷらをお好みで堪能しました。一年で一番心躍る季節です。
銀宝、鱚、女鯒、とうもろこし、賀茂茄子等
鱚、女鯒といった定番の魚介種ももちろん美味しかったですが、この季節の主役は何といっても銀宝でしょう。江戸前の銀宝はゼラチン質由来の弾力とうま味が素晴らしく、まさに絶品でした。『銀宝を食べずして天ぷらを語ることなかれ』とはよく言ったものです。
野菜ではとうもろこし(甘甘娘)と賀茂茄子が絶品でした。こちらではゴールドラッシュと甘甘娘の二種類のとうもろこしが使用されています。甘甘娘は6月下旬までしか入荷されないそうです(期間中でも売り切れの場合は、ゴールドラッシュを使用するようです)。甘甘娘は薫り高く、フルーティーな甘味が印象的でした。噛むほどに甘かったです。こちらの極薄の衣ならではのかき揚げで、カリッと揚げられていました。賀茂茄子も中がトロトロで、まさに蒸し料理。身が詰まっていて、非常に美味しかったです。アスパラの香りが落ちてしまうこの時期は姫竹も忘れられません。ピーマン等も出始めており、夏野菜が揃い始めていました。
2016年6月
――――――――――
春の天ぷらを堪能してきました。
印象に残ったタネはアスパラ、筍、空豆、タラの芽、女鯒、蛤等
お好みで好きなものを好きなだけいただきました。この時期のアスパラはこれからのものと比べると瑞々しさという点ではやや劣るかもしれません。しかしながら、歯応えがあり、薫りが一番良い時期だと思います。筍は塚原の朝掘りのもの。えぐ味がなく、やはり薫りや食感を愉しめました。白魚は大葉で巻いた従来のものと、生姜と一緒にかき揚げにしたものの二種類を。前者は中心部がレアの仕上がり、後者はもっちりとした仕上がり。個人的には、工夫の光る前者の方がお勧めです。天丼はかき揚げの仕上がりよく、非常に美味しかったです。丼汁を少なめにしてもらったおかげで、食感がより愉しめました。
衣は脆いほどに薄く、油も頻繁に変えるので非常に軽い天ぷらが味わえます。どんなに混んでいても油切れが抜群に良いですし、海老を事前に剥いて置いておくようなこともしません。新しい?お弟子さんたちも頑張っていて、気持ちが良いなと。こういう一つ一つの要素が、こちらが単なる高額店ではなく高級店たる所以でしょう。
2016年4月
――――――――――
紅赤を使ったかき揚げを頂きに伺いました。
椎茸、にんじん、山ごぼう、鯊、ホタテ、牡蠣等
事前に予約しておいた紅赤と野菜のかき揚げを頂きました。紅赤の自然な甘味は他の素材の味を邪魔せず、野菜のかき揚げに向いているというのも納得でした。巨大なさつまいもに飽きてしまったという方は一度試してみるのも悪くないと思います。
2015年12月
――――――――――
晩秋の天ぷらを頂きました。
椎茸、山ごぼう、鯊、牡蠣(昆布森)、ホタテ等
椎茸が肉厚な季節になりました。余分な水分が無く、うま味、香り、食感全てが楽しめます。山ごぼうはかき揚げで。無駄な繊維質が無く柔らかいので、やや厚めにカットされています。そのおかげか、こちらも香り・歯応えともに楽しめる逸品でした。ジューシーな昆布森の牡蠣、中がレアの仕上がりでうま味・甘味が楽しめるホタテも美味しかったです。
2015年11月
――――――――――
秋の天ぷらを頂きに伺いました。
南瓜、松茸(信州)、新いか、鱚等
野菜では南瓜が特に印象に残りました。南瓜はさつまいも同様大きくカットされ、長時間掛けて揚げられます。皮側の香ばしさと、中の甘さが堪らないものでした。松茸はあらかじめ酢橘を挟んだものを一本丸ごと揚げます。噛むほどに薫り、美味しかったです。定番のタネでは鱚が美味しかったです。初めて頂いた甘鯛もなかなか。〆の天丼、フルーツも美味しかったです。
2015年9月
――――――――――
夏の天ぷらを頂きに伺いました。
とうもろこし、ピーマン、おくら、新銀杏、鱚、女鯒、岩牡蠣等
定番のタネでは鱚が印象に残りました。ふんわりと柔らかく揚げられており、非常に美味しかったです。岩牡蠣(茨城産)は6月の富山産のものに軍配が上がるかなと。とうもろこしは甘甘娘が頂けるかも?と思いましたが、ゴールドラッシュでした。種まで食べられるピーマンは皮が柔らかく、香りは爽やか。今夏は賀茂茄子が頂けなかったのが残念でした。
2015年7月
――――――――――
初夏の天ぷらを堪能しました。
姫竹、いんげん、じゃがいも、とうもろこし、鱚、女鯒、岩牡蠣、銀宝等
姫竹は香り良く非常に美味しかったです。この時期のアスパラはジューシーですが、4月のものと比べると香り自体はもう一つなので、姫竹は特にお勧めです。稚鮎は粉山椒を敷いて供されました。面白い食べ方だと思いますが、肝心の稚鮎の質はもう一つだったというのが本音です。ジャガイモは白米を挟んだ変わり種です。じっくり揚げるタネなので、早めに注文した方が良いと思います。薩摩芋や南瓜がシーズンではない時にお勧めです。カリッと香ばしく揚げられた江戸前の銀宝はゼラチン質たっぷりでした。食感・旨みともに申し分なく、絶品でした。岩牡蠣も美味しい季節になりました。
直近の訪問(6月)で頂いた銀宝、岩牡蠣(富山)、トウモロコシも非常に美味しかったです。江戸前定番のタネも旬で、天ぷらが美味しい季節です。
増税された頃からでしょうか。食後に出されるフルーツが以前ほど美味しいと感じなくなってしまいました。気のせいでしょうか。
2015年5月
――――――――――
春の天ぷらを頂きました。
白魚、鱚、空豆、蕾菜、タラの芽
蕾菜という新しい天種が供されました。苦みと甘みが時間差で味わえる面白いものでした。空豆はホクホクで香り良く美味しかったです。白魚は二種類の揚げ方で頂きました。一つは、大葉で何匹もの白魚を巻いたこちらの定番のもの。中心がレアに仕上がっていて、非常に美味しかったです。もう一つは、一般的なかき揚げタイプものです。こちらはむっちりとした食感が楽しめ、美味しかったです。
直近の訪問(4月)で頂いた朝掘りの筍(塚原産)は香り・食感ともに秀逸でした。筍以外にも、アスパラが一段と香りが良く、非常に美味しかったです。
2015年3月
――――――――――
冬の天ぷらを頂きました。
カワハギ、ホタテ、河豚の白子、白魚、ニンジン、蕗の薹
年が明けて河豚の白子が出るようになりました。油の中で蒸された白子は中がとろとろの仕上がりです。カワハギの天ぷらは肝を身で挟んで揚げたもので、塩と山葵で頂きます。山葵が肝の味を引き立ててくれます。まだまだ寒い日が続きますが、春を感じる天種も出始めていました。
2015年1月
――――――――――
晩秋の天ぷらを頂きました。
椎茸、ニンジン、山ごぼう、牡蠣、ハゼ、ホタテ
椎茸は他店とは全くの別物です。甘みが際立つニンジンは見た目にも美味しい一品です。かき揚げにされた山ごぼうは余計な繊維質がなく美味しかったです。牡蠣も前回同様非常に美味しかったです。生やフライよりも好きな食べ方です。
天種によってカットや衣の濃さが工夫されており、食感や香りが楽しめます。この辺りが他の天ぷら屋とは一線を画している所だと思っています。
2014年11月
――――――――――
秋の天ぷらを頂きました。
この日はとにかく椎茸が絶品でした。こちらの椎茸は一年中美味しいですが、この日は格別でした。原木椎茸は肉厚ですが余計な水分がないので、抜群の食感と香りを堪能できます。噛むと口中にうま味が広がります。この日は房総の立派な鮑も出ましたが、それよりも美味しかったくらいです。まるで鮑のようだと感じたことは今までにもありましたが、この日はついに鮑を超えてしまいました。牡蠣も美味しい季節になりました。
2014年10月
――――――――――
夏の天ぷらを頂きました。
とうもろこし、賀茂なす、ピーマン、鱚、女鯒、鱧、岩牡蠣
甘みが凝縮したとうもろこしは、相変わらず絶品です。湯葉が中心に詰まったズッキーニは何とも言えない食感です。今回は女鯒も非常に美味しかったです。おまかせ(部分的にお好みですが)では注文しないと滅多に穴子が出てきません。ただ、わざわざ追加しなくても供される穴子は非常に美味しいことが多いです。正直、全く別物を使っているのではないかと思うほどです。最近そのような穴子を頂けていないのが残念です。
2014年8月
――――――――――
初夏の天ぷらを頂きました。
とうもろこし、賀茂なす、鱚、岩牡蠣、銀宝
おまかせでお腹一杯食べるのもいいですが、お好みで好きなタネを揚げてもらうのも愉しいものです。とうもろこしのかき揚げは甘みに富んでおり、非常に美味しいです。岩牡蠣、鱧、そして江戸前の銀宝、〆の天丼まで美味しく頂くことが出来ました。それにしても、こちらの櫻正宗は美味しいです。もう少し日本酒の種類があってもいいのでは?と思うこともありますが。
2014年6月
――――――――――
春の天ぷらを頂きました。
アスパラ、タラの芽、こごみ、筍、空豆、白魚、鱚等
アスパラ、筍、空豆が香り良く、特に印象に残りました。白魚も非常に美味しかったです。
2014年4月
――――――――――
早春の天ぷらを頂きました。
白魚、公魚、河豚の白子、カワハギ、蕗の薹等
こちらでは子連れのお客さんもちょくちょく見かけます。何かのご褒美のようでした。こういう微笑ましい光景に出逢えるのもこちらの良い所かもしれません。
2014年2月
――――――――――
冬の天ぷらを頂きました。
椎茸、にんじん、山ごぼう、さつまいも、牡蠣、帆立、カワハギ、ハゼ等
甘みあふれるニンジンは目でも舌でも楽しめます。帆立は中がレアで甘みが引き立っていました。江戸前のハゼ、ジューシーな牡蠣、椎茸等も美味しかったです。
2013年12月
――――――――――
天ぷらの最高峰との呼び声高い銀座の名店。こちらは江戸前定番のタネだけでなく、野菜の天ぷらも美味しいお店です。店主の近藤さんは山の上で長年にわたって料理長を勤められ、山の上を今日の地位にまで押し上げた方です。食通で知られる池波正太郎先生が贔屓にしていた職人としても有名です。
天ぷらに関しては、私は近藤が一番だと思っています。それは近藤の天ぷらがとにかく軽く、かつ素材の持ち味を十二分に引き出しているからです。素材の持つ水分を利用した加熱調理で、天ぷらは蒸し料理と言われる所以がよく分かります。揚げる際のタネの最適なサイズ等も考えられており、素材の持つうま味、香り、食感が愉しめます。
こちらで食べる以上、近藤さんに揚げてもらいたいというのが人情でしょう。そうであれば、予約時に近藤さんのカウンターを指定することをお勧めします。コースは、おまかせやお好みがお勧めです。たしかに値は張りますが、それに見合った以上ものが頂けます。そして出来立てをすぐに食べることこそ肝要です。写真を撮りたいのもまた人情でしょうが、ここは我慢。せっかくの天ぷらがもったいないです。ちなみに、看板メニューのサツマイモはコースには含まれていないので、最初に別途注文しなければなりません(夏場はさつまいもの代わりにかぼちゃが提供されます)。
サービスや雰囲気に関しては、天ぷら屋としては十分過ぎると思います。立地はもちろん、清潔感のある店内、とりわけ檜の白木のカウンターとざるに盛られた野菜は良い雰囲気を演出してくれています。ただし、席の間隔が狭いため、やや窮屈に感じることがあります。また、この狭さがてん紙の交換などの妨げになっているとも思います。しかし、いずれもそれほど気になるものではありません。
2位
8回
2020/10訪問 2020/12/13
先代の宮葉幹男氏は、もともと華屋與兵衛の流れを汲む鮨屋のご出身。ところが、跡取りのいない幸鮨(京橋)に仕事養子に出されたんだとか。そのため、宮葉の親方は華屋與兵衛の系統だけでなく、幸鮨の仕事も汲んでいるとのこと。そして、両流派の仕事を親方流に解釈して出来上がったのが、現在の宮葉の鮨なんだそうです。
宮葉の鮨は実にまろみのあるもの。酢をしっかり使用しているのに、酸味の角が上手に落とされています。頭脳労働が一般的になった現代において、酸っぱい・しょっぱい「江戸前鮨」は合わないということで、今の形にされたんだそうです。
しかしながら、これは宮葉の鮨が伝統的な江戸前鮨ではないということを意味しているわけではありません。おそらく宮葉の鮨は明治時代頃まであった御すもじにルーツがあるのでしょう。江戸前というと、酸っぱいしょっぱいというイメージが強いですが、これは屋台で供された一日中汗を流す職人さん向けの味。主として宮中や大名家に届けられた御すもじは、まろやかなものだったとか。当時からライフスタイルや嗜好に合わせて棲み分けがなされており、なにも酸っぱいしょっぱいものだけが江戸前だったわけではないようです。
伝統的な仕事を踏襲しつつ、時代の流れの中で再構築された江戸前鮨、それが宮葉の鮨なのだと思います。親方は今でも二階からお弟子さんたちの仕事を厳しい眼差しで見ていることでしょう。
久しぶりの宮葉さん。おおよそ1年半ぶりの訪問となりました。一席ごとに飛沫防止パネルが設置されており、複数人で訪問してもパネルで仕切られたままでした。
トロ、ヅケ、鯛、オオアラ、スミイカ、鰯、赤貝、メカジキ(赤身)、メカジキ(トロ)、こはだ、シャコ、鯖、ミル貝、鰤、細魚、車海老、いくら、雲丹、鰹、蛤、穴子、玉、デザート。合間に土瓶蒸し等。
だいぶ変わってしまったなと。強いて良かったものを挙げるとすれば、鯛や赤貝になるのでしょうか。
タネ質は下がっていますが、お会計も下がっているのでそこは仕方のないところでしょう。以前は使わなかったような鮨種も散見されましたが、これも時代の流れかと受け入れられないこともありません。
しかしながら、ここまで仕事が変わってしまっては、宮葉の鮨とはいえないのではないかなと。酢〆は以前よりも塩・酢ともに強めだと感じました。鰤は脂を落とす仕事が施されていませんでしたし、穴子のツメも不味くなってしまいました。土瓶蒸しは出汁がイマイチでしたし、鱧の骨切りもダメ。余計な具が多すぎだとも感じました。
親方が亡くなった直後こそ持ちこたえていましたが、この数年は訪問するたびに劣化を感じます。残念でなりません。
師走の宮葉さん。食べたいと思った時に訪問できるのがありがたいです。
鮪三種、こはだ、鯖、ミル貝、サヨリ、鰹、車海老、ねぎま、蛤、雲丹、鰤、穴子、玉。合間にネギマ汁。こんな感じだったかなと。
今回の酢飯は悪くなかったです。好印象だった鮨種は鯖と細魚。次点が鰹(紀州)でした。鰤は惜しいなと。当店の鰤は熱燗で余分な脂を落しているはずですが、ちょっとやり過ぎでしょう。必要なものまで落としてしまっていると感じてしまいました。ミル貝と穴子(対馬)はもう一つか。
秋の宮葉さん。久しぶりの訪問となってしまいました。
摘みはあん肝、カラスミと大根、穴子の白焼き(対馬)、松茸土瓶蒸し(岩手)等。
握りは鮪三種、こはだ、鰹、秋刀魚、甘鯛、鰤、ミル貝、青柳、蛤、牡蠣、雲丹、松茸、穴子、鉄火巻き等
デザートに汁粉
往時と比べるとタネ質はかなり落ちたと思います。〆る等の仕事は悪くありませんでしたが、この日の酢飯はイマイチ。山葵も疑問符がついてしまうものでした。
タネ質の低下は残念ですが、その分値段も下がっているようです。先代の頃は扱わなかった鮨種を扱ったりと試行錯誤を重ねているようです。ここ数年は人の入れ替わりが激しかったので大変だと思いますが、是非頑張っていただきたいなと。
師走の宮葉さん。
摘まみはあん肝(余市)、お造り(鯛、縞鯵)、穴子の白焼き、河豚の唐揚げ、河豚の白子。合間に蕪蒸しも。
握りは鮪三種(戸井)、こはだ、鰤、かすご、鰹、白いか、鯖、サヨリ、ミル貝、雲丹、蛤、穴子、鉄火巻き。玉、デザート(お汁粉)で〆。
一番好印象だったのは鰤。嫌な脂を感じない美味しい鰤でした。ねっとりした白いか、蛤、鰹もgood。その一方で、摘みの穴子は宮葉さんにはもっと期待したいというのが本音です。
このお店はカメラでの写真撮影を禁止されています。少なくとも、先代はそのように決められていたと認識しています。カウンター席は空間を共有する所だからいう理由ではなかったかなと。何とも気持ちの良いルールではないでしょうか。
しかしながら、残念なことに、ある特定の客にはカメラでの撮影を許可してしまったようです。直接居合わせたわけではないので、詳しい状況は分かりません。もしかしたら、ハウスルールそのものを変えられたのかもしれません。
いずれにせよ、以前のハウスルールは徹底されていないようです。許可するorしないは店の自由でしょう。ただ、それをどう評するかは客の自由。宮葉さんがそのような路線に走ってしまったのは残念でなりません。しばらく訪問は控えようと思います。
摘みは稚鮎(九頭竜川)、水貝
握りは鮪三種、星鰈、甘鯛、鰯、えぼ鯛、鯵、鰹、白いか、縞鯵、平貝、ミル貝、鳥貝、蛤、雲丹、鉄火、穴子、玉、
鮪(勝浦)、雲丹(東沢スペシャル版)、ミル貝、星鰈が特に好印象でした。えぼ鯛は珍しい鮨種だと思いますが、なかなか美味しかったです。
その一方で、鰹はイマイチ。不漁が響いているそうです。穴子も食感・味わいともにもう一つかなと。
変わったという点では、蛤の相汁が以前ほど甘くなくなりました。あの甘さがちょっと苦手だったのですが、今となっては恋しい味なのかもしれません。
先代がお亡くなりになって以降、惰性気味に訪問していましたが、良いきっかけなのかもしれません。次回訪問時には元の宮葉さんに戻っていて下さったらなと。
早春の宮葉さんに。
お造り(鯛、ひらまさ、細魚)
河豚白子の焼物
真名鰹西京焼き
握りは鮪三種(勝浦)、ぐじ、鰹、春子、鯖、雲丹、ミル貝、中鮪、蛤、細魚、白魚、穴子、干瓢
玉、お汁粉
この日一番印象に残ったのは蛤。ふっくらした蛤を相汁に漬けて。宮葉さんならではの雑炊風の鮨です。蛤以外にも、脂のない鰹や東沢スペシャル版の雲丹など、宮葉さんらしいこだわりを楽しめました。ただ、以前よりお茶が薄くなったような気がするのですが、気のせいでしょうか・・・。
酢はしっかり効いていますが、酸味の角は落とされています。酸っぱい・しょっぱい鮨が苦手という方にオススメです。予約が簡単で、時間やコースに関しても、客側の自由度が高いのは嬉しい限りです。
煮蛸、茶碗蒸し、お造り(鮃、鯛、甘鯛)、あん肝、穴子白焼き、蕪蒸し、
鮪三種、小肌、春子、いか、小柱、鯖、さより、鰹、雲丹(東沢スペシャル版)、鉄火巻、穴子、玉等
合間にねぎま汁、最後にデザート
ここ最近、以前ほど美味しい穴子の白焼きが供されなくなったかなと。蕪蒸しはうま味・塩味・甘味といずれも過大気味。鮨屋とはいえ、もう少しトーンを落とした方が良いのではないかと感じました。
握りでは小肌、雲丹、穴子が好印象でした。鮪、鯖、鰹も美味しかったですが、本音を言うと、もう一押し欲しいところ。宮葉さんでは禁漁期間中を除き、夜のコースでは雲丹は東沢のスペシャル版しか供されません。そのこだわりは先代の親方がお亡くなりになった今でも変わっていません。是非、他の種もさすが宮葉さんと唸るものを期待したいところです。
2016年12月
評価は先代の宮葉幹男氏の時代のものになります。
――――――――――
秋の宮葉さんにお邪魔しました。禁漁期間中ということで東沢スペシャル版の雲丹はありませんでしたが、狐と狸二種類の穴子、松輪の鯖、丹波産松茸を楽しめました。
鯖(松輪)のお造り、落ち鮎焼物、穴子白焼き、
握りは赤身、中鮪、鎧下、鮃(利尻)、勘八(尾鷲)、かすご、新子、白いか、鰹、いくら、雲丹、松茸、ミル貝、赤貝、牡蠣、鯖(富津)、鉄火巻き、穴子、玉
合間に松茸の土瓶蒸し
悪くはないのですが、宮葉さんらしくないと感じてしまう点もチラホラ。酢飯や鯖の〆具合(少々きつめ)等に少々首を傾げてしまいました。摘みをはじめ、鮨種にもいつもほどの魅力を感じませんでした。
コース一本ということもなく、お好みで握ってもらうことも可能です。入店時間を指定された上での一斉スタートという、高額店で流行りの給食スタイルでもありません。予約も難しくないので、食べたい時に食べたいものを食べることができます。
数少ない食べ手主体の鮨屋です。それだけに頑張っていただきたいなと思い、お店を後にしました。
2016年10月
――――――――――
夏の鮨をいただきに伺いました。
摘みに稚鮎の焼物(九頭竜)、鱧の落とし、
握りは鮪三種、鯛、星鰈、春子、ツバス、鯵、鰹、雲丹、新子(3枚漬け)、新いか、車海老、鮑、牡蠣、蛤、ミル貝、鉄火、穴子、玉、
合間にネギマ汁、デザートに御汁粉
春子、鰹、ツバス、穴子は好印象。常に鮪が美味しいのも流石だなと。
その一方で、鱧の骨が気になったりと、残念な点も見受けられました。
2016年7月
――――――――――
初夏の鮨をいただきました。
摘みは稚鮎と水貝
握りは鮪3種(那智勝浦)、真子鰈、鯛、縞鯵(江戸前)、白魚、鰹(勝浦)、こはだ、鯵、紫雲丹、カスゴ、鳥貝、さより、ネギトロ、穴子、玉
特に印象に残ったのは赤身、真子鰈、鰹、縞鯵、雲丹、カスゴ、さより、穴子、玉。
2016年5月
――――――――――
お造り(鯛、クエ、鮃)、お造り(鰹、鯖)、河豚の唐揚げ、河豚の白子焼き、
鮪3種(那智勝浦)、かすご、さより、鰤、子持ち烏賊、雲丹、こはだ、赤貝、小柱、牡蠣、鰹、鯖、鉄火巻き、穴子等、
鯖、鰹、さより、雲丹、赤貝と非常に美味しかったです。
しかしながら、その一方で、今回の鰤には感心しませんでした。鰤の質がイマイチにも関わらず、質の高い鰤と同様の仕事がなされており、必要な味まで抜けてしまっていると感じました。先代は納得がいかないものには手をつけなかったと伺ったことがあります。今回の鰤なら供されなかったのではないかなと。
先代がご不在の時にもちゃんとしたものが供されていたことがあると思っています。次回に期待しています。
2016年2月
――――――――――
親方に手を合わせに。
あん肝(余市)、お造り(ひらめ、鯛、かんぱち)、お造り(鰹、鯖)、穴子白焼き、河豚の唐揚げ、
握りは鮪三種(噴火湾)、こはだ、鱚、いかげそ、かすご、鯖、赤貝、雲丹、シャコ、いくら、牡蠣、ミル貝、鰹、鉄火、穴子等
2015年11月
――――――――――
秋の鮨を頂きました。
お造り(縞鯵、ヒラメ、鯛)、
子持ち鮎焼物、鮑、穴子の白焼き、松茸の土瓶蒸し、
鮪三種、かすご、コハダ、鰹、鯖、松茸、いくら、烏賊、車海老、雲丹、赤貝、ミル貝、鱚、牡蠣、ネギトロ、穴子等、
お汁粉、
二種類の穴子は狐を白焼きで、狸をツメ(握り)で。非常に小さい子持ち鮎は最上川から。噴火湾の鮪、江戸前の車海老、松輪の鯖、東沢の雲丹(スペシャル)と実に美味でした。松茸(丹波)もここならではのものでしょう。
2015年9月
――――――――――
初夏の鮨を頂きました。
お造り(鯛、とり貝、真子鰈)、
稚鮎、水貝、握りの途中でネギマ汁、
鮪3種、ぐじ、鱚、かすご、鰹、あじ、金時鰯、赤貝、とり貝、シャコ、シンコ、新いか、雲丹、車海老(天草)、鉄火、穴子、
ゼリーとコーヒーを頂いて〆となりました。
鯵、金時鰯、とり貝、新いか、穴子、雲丹が印象に残りました。シンコは一枚が小指の爪もあるかどうかという代物で8枚付けでした。あくまで縁起物で通常握らないサイズだとか。
2015年6月
――――――――――
お造り(鯛、ぐじ、中鮪)、
稚鮎の焼物、
ぐじと新筍の焼物、
握りは赤身、中トロ、鎧下、鰹、鯖、コハダ、サヨリ、鳥貝、ミル貝、赤貝、蛤、牡蠣、雲丹、穴子、鉄火巻き等を頂きました。
待ちに待った稚鮎の季節になりました。特に美味しかったものは、お造りでは鯛、握りでは鮪、鰹、サヨリ、鳥貝、雲丹、穴子です。中でも鰹とサヨリは絶品でした。薫る鰹はますます素晴らしく、サヨリも実に繊細・上品な味わいでした。もう一貫お願いすると、立派なサヨリが細工を変えて供されました。親方の仕事で昇華された鮨は非常に美味しかったです。
2015年3月
――――――――――
お造り(中鮪、ヒラメ、鯛)、
穴子白焼き、 渡蟹、河豚の白子焼き、 河豚の唐揚げ、
握りは赤身二種、中トロ、鎧下、中鮪、かすご、新いか、シンコ、鯖、鰤、シャコ、牡蠣、青柳、小柱、雲丹、 ミル貝、赤貝、蛤、穴子、干瓢巻き等
この日は色々な鮪を堪能でき幸せでした。もちろん、鮪以外のタネも充実していました。この時期のシンコ、新イカには驚かされました。鯖、鰤、穴子と最高のタネに最高の仕事が施されています。雲丹も雑味のない超一級品です。まろやかな酢飯は最高で、銀座の某有名店と違って喉が渇きません。摘みの質も最高峰と言って差し支えないでしょう。ふぐの白子は高級ふぐ専門店にも引けをとらないものでした。本当に全てが最高で、5万に迫る支払いも納得でした。
2015年1月
――――――――――
お造り(赤貝、鯛、ヒラメ)、
穴子の白焼き、河豚のから揚げ、河豚白子焼き(黒七味で)、グジの蕪蒸し、
握りは鮪三種、メジマグロ、細魚、鰹、いか、こはだ、雲丹、鯖、ミル貝、グジ、鰤、鉄火巻、穴子等、
鮪、メジマグロ、鯖、鰤、細魚、どれも絶品でした。
江戸巻きを持ってお店を後にしました。親方がお疲れの様子だったのが少し気になりました。
2014年12月
――――――――――
お造り(ヒラメ、鰤、グジ)、
穴子の白焼き、鰹の造り、白子のポン酢和え、河豚のから揚げ、
握りは赤身、中トロ、鎧身、鯖、鰹、鰤、雲丹、こはだ、かすご、牡蠣、穴子等、
松輪の鯖は絶品でした。穴子は摘み(狐)を白焼きで、握り(狸)はツメで頂きました。鰹は年中上りです。東沢のスペシャルが禁漁期間中でなかったのが残念でした。
日本はおろか、世界中からお客さんがわざわざ訪問されています。また、同業者のみならず、有名和食店の店主も親方の味を勉強しにくるようです。
2014年11月
――――――――――
お造り(ヒラメ、カンパチ、トリ貝)、
鮑のステーキ(肝と雲丹を使ったソースで)、穴子の白焼き、松茸の土瓶蒸し、
握りは赤身、中トロ、鎧下、鯖、鰹、ミル貝、雲丹、こはだ、かすご、松茸、いくら、鰤等を頂きました。
どれも美味しかったですが、その中でも鮪と鯖(松輪)は秀逸でした。鰹はこの時期でも戻りなんて使いません。つまみでは穴子の白焼きが特に美味しかったです。
2014年10月
――――――――――
お造り(鯛、グジ、トリ貝)、
稚鮎の焼物、水貝、渡り蟹、鱧の落し、
握りは鮪三種(赤身、中トロ、鎧下)、シンコ、間八、蝦蛄、鯵、雲丹、タイラ貝、赤貝、真子鰈、新イカ、穴子、牡蠣、かすご、蛤など、
冷たいお汁粉
今回の摘みは少量多皿でした。江戸前のシンコは三枚付けでした。大島の間八や江戸前の鯵も絶品でした。雑味の無い雲丹も相変わらず美味しいです。そして、何より、まろやかなシャリが非常に美味しかったです。
また、直近の訪問(8月)で頂いた早松茸(丹波)、縞鯵、マゴチも非常に美味しかったです。
2014年7月
――――――――――
お造りは真子鰈、甘鯛、鰤、
摘みは稚鮎の焼物と水貝を頂きました。
握りは赤身、中トロ、こはだ、鯵、鰹、ミル貝、とり貝、雲丹、江戸前の蝦蛄のツメ、穴子等
デザートにゼリーとコーヒー
この日の稚鮎も非常に美味しかったです。水貝は育った海(海藻を使用したスープ)にしばらく戻します。ミネラルたっぷりのスープにはミニトマト、きゅうり、そしてキウィが入っています。少し置くと鮑がスープを吸って柔らかくなり、美味しかったです。江戸前の鯵、鰹、東沢スペシャルの雲丹が絶品でした。
こちらはお客に合わせてもてなして下さるので、安心して人を連れて行ける素晴らしいお店です。他の鮨屋の訪問予定がすっかり狂ってしまっています。
2014年5月
――――――――――
お造り(とり貝、グジ、鰈)、鰹の造り、稚鮎の焼物、渡り蟹、
握りは赤身、中トロ、細魚、烏賊、鰹、こはだ、鯛、赤貝、車海老、かすご、グジ、ミル貝、雲丹、穴子(塩で)、玉など
お汁粉、
江戸巻きをお土産に。
鰹や稚鮎は美味しくないわけがありません。渡り蟹は今回初めて頂きました。奥までしゃぶるようにして頂いたのですが、濃厚な一品で独特の風味を堪能できました。雲丹(東沢のスペシャル版)は雑味なく、非常に美味しかったです。鰹も薫り良く絶品でした。ミル貝も甘味があって素晴らしかったです。
ちなみに、ご主人は昼夜両方やるのはきついらしく、今は夜だけにしているそうです。
2014年4月
――――――――――
握りはおまかせで、つまみに稚鮎の焼物と河豚の唐揚を頼みました。この稚鮎は非常に美味しかったです。
握りは、赤身、中トロ、鎧下、鰹、鯛の昆布〆、赤貝、ミル貝、トリ貝、鯖、イカ、かすご、こはだ、さより、青柳、雲丹、穴子、玉等を頂きました。鯖や雲丹等は一貫ずつ追加しました。最後はお汁粉で〆となりました。
ランチでも夜のコースが頂け、最高のタネ質を堪能出来ました。お土産の江戸巻きも美味しく、家族も非常に喜んでくれました。
2014年3月
――――――――――
今回はランチでの訪問です。ランチにはお決まりもありますが、おまかせで握ってもらいました。
赤身、トロ二種、さより、すみいか、鰹、こはだ、赤貝、鯖、鰤、かすご(鯛の子)、軽く炙った烏賊、ミル貝、雲丹、穴子等
鯖、鰹、雲丹を追加し、最後にお汁粉を頂きました。
シャリが美味しく、鮪をはじめ、タネ質も素晴らしい。素直に美味しいという言葉が出てきます。年末に脂のない鰹と言われて、この時期に?と思ったのですが、ご主人曰く、鰹は薫りを楽しむものだから、上りしか使わないんだとか。
2014年2月
――――――――――
浜松町にある知る人ぞ知る老舗の江戸前鮨屋です。割りと最近存在を知ったお店です。マイレビュアー様も高く評価されているので訪問してみることにしました。
握りはおまかせで、つまみにお造りと焼き物を少し頼みました。
お造りは鯛、ヒラメ、間八でした。どれも質が高く、美味しかったです。河豚の白子の焼物は、大きさが半端ではありませんでした。本当に一人前でしょうか?もう結構ですと思うほど、河豚の白子を食べたのは初めてかもしれません。
握りは、赤身、トロ、鰹、鯖、ミル貝、赤貝、雲丹、こはだ、鯛の子(かすご)、穴子、シャコ、牡蠣、蛤(牡蠣と蛤は追加)。
こちらのシャリは酢がまろやかで非常に美味しいです。タネ質や江戸前の仕事も秀逸でした。特に美味しかったのが鮪、鯖、雲丹、そして鰹です。今まで食べた中で間違いなく一番美味しかったです。〆具合が絶妙な鯖と脂のない鰹は絶品で、もう一貫ずつお願いしてしまいました。これ以外にも、鳥海山の旨みたっぷりの牡蠣、磯の香りのする赤貝や江戸前のシャコなども印象的でした。そして、味的には微妙でしたが、面白かったのが蛤です。握りが汁に浸って供される雑炊風でした。鮨を崩して頂き、最後は汁ごと口に流し込みます。崩して頂く唯一の鮨だそうです(今では鮨職人でも知らない人がほとんどだそうです)。タネ質が高く、シャリや仕事も私の好みに合いました。
お弟子さん達のサービスはぎこちないものの、心のこもった接客だったと思います。ご主人と常連さんとのトークは面白く、お店の雰囲気も良いと思います。ただ、きしむ椅子は座り心地が少し悪かったです。浜松町という立地なども考えると、CPの判断は難しいところです。ただ、最高に美味しい鮨でした。
2013年12
3位
22回
2023/12訪問 2024/02/10
師走の林さん。
鮃の昆布〆
八寸
焚物(大根・南瓜・人参)
唐墨大根
椀物(蛤真)
お造り1(雲丹)
お造り2(いか、湯葉)
お造り3(赤貝、鮃、鰤)
お凌ぎ1(鯵)
お凌ぎ2(鰹)
お凌ぎ3(青味大根)
鰆の西京焼き
温物(海老芋の西京仕立て)
油物(車海老)
油物(モロコ、穴子)
蟹の茶碗蒸し
蟹の酢の物
自然薯ご飯
水物(洋梨)
栗の菓子
お薄
椀物の出汁は昆布主体。食べ進めるうちに、出汁と真薯が合わさり豊かな吸い地に。いたずらにうま味を用意していないので、最後の一口までピークアウトしません。
海老芋は白味噌仕立てで。塩味と甘味のバランスが素晴らしいですし、ねっとりとした海老芋の味わいが何とも言えません。これより美味しい海老芋の料理はないんじゃないのかなと。
秋の林さん。
白和え(柿、利休麩)
八寸(栗、川海老、いか黄身焼き、ゴリ等)
いくら
鼈の卵寄せ
お造り(雲丹、海苔)
お造り(鮃)
お造り(車海老、鮪、いか)
お凌ぎ(鯵の寿司)
お凌ぎ(鱧と零余子)
焼物(甘鯛)
温物(蕪の菊花餡)
油物(車海老、小芋)
酢の物
お茶漬け
水物
水菓子
お薄
高級食材に頼るのではなく、食材の吟味に心を砕かれています。供される料理はどれも至極真っ当なもの。
鼈の卵寄せはこの時期の定番。月と鼈と銘打たれたこの椀物は、臭みがないのはもちろん、鼈のうま味の上澄みだけが抽出されています。
温物の蕪は菊花餡で。これも大変滋味深い一品。食材の味を覆わないよう、甘味を抑えた味付けも林さんの料理の特徴だと思います。
当店の料理は、侘び・寂びといった美意識に通ずるところがあると思います。派手さよりも、季節感が大事にされており、良い意味で枯れた料理です。
夏の林さん。奇を衒わない、実に夏らしい献立でした。
蓴菜とおくら
八寸(川海老、新銀杏、八幡巻き、いか黄身焼き等)
椀物(鱧)
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(鱧の落とし)
お造り3(あこう鯛)
お造り4(鮪、鳥貝、湯葉、車海老、いか)
焚物(賀茂茄子)
お凌ぎ1(穴子の粽寿司)
お凌ぎ2(鱧寿司)
お凌ぎ3(鯵の寿司)
鮎塩焼
油物(伊勢海老、玉蜀黍等)
あこうの煮こごり
鱧しゃぶ
鮑の酢の物
お茶漬け
梅の水物
菓子
お薄
特に印象に残った料理は椀物、焚物、そして鱧寿司。お椀の出汁は抑制的で、鱧を引き立てる黒子といったところ。鱧寿司はタレの塩梅まで素晴らしく、味わい深かったです。
高級食材を多用するのではなく、食材を一つ一つ吟味することに心を砕いており、供される料理は至極真っ当なものばかり。派手さよりも、季節感が大事にされており、侘び・寂びといった美意識を感じさせる、良い意味で枯れた料理だと思います。
春の林さん。
白和え(蕨、独活等)
蕗の薹味噌
八寸(イカ黄身焼き、八幡巻き、川海老、一寸豆等)
椀物(蛤)
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(車海老)
お造り3(鮃)
お造り4(赤貝、いか、湯葉)
お造り5(鰹のたたき)
若竹煮
焼物1(ぐじ)
焼物2(筍)
焼物3(鯛の白子)
油物(タラの芽、鱚等)
酢の物(鮑)
お茶漬け
蓮根の菓子
お薄
若竹煮は筍の甘味を覆わない、林さんらしい味付け。高級食材を多用するわけではありませんが、どの食材もよく吟味されたもので、至極真っ当な料理が供されます。
派手さよりも、季節感が大事にされています。侘び・寂びといった美意識を感じる料理で、良い意味で枯れた料理です。
冬のはやしさんにお邪魔しました。
先付(昆布〆)
大根、人参、南瓜の焚物
八寸
お造り1(雲丹と海苔の佃煮)
お造り2(鮃)
お造り3(赤貝、烏賊、トロ、湯葉)
蛤真薯の椀
お凌ぎ1(鮃の寿司)
お凌ぎ2(鯖寿司、酢蓮根)
鰆の焼物
海老芋の西京仕立て
茶碗蒸し
油物(車海老、鱚、銀杏)
酢の物(蟹の奉書巻き)
お茶漬け
水物(ラ・フランス)
芋羊羹
お薄
高級食材を多用するわけではありませんが、どの食材も吟味されたもの。至極真っ当な料理が供されます。
椀物の出汁は昆布主体で、一口目は淡い味わい。食べ進めていくと、出汁と蛤真薯の味わいが合わさり、吸い地が豊かなものになっていきます。二口目、三口目と徐々に照準が合ってくるように仕上げられています。
食材の味を覆わないように甘味を抑えるのも林さんの味付けの特徴だと思います。
侘び・寂びといった美意識に通ずる料理とでもいえばいいんでしょうか。派手さよりも、季節感が大事にされています。良い意味で枯れた料理です。
秋の林さん。季節感溢れる料理が楽しめました。
白和え(柿、椎茸、蒟蒻等)
八寸(八幡巻き、川海老、烏賊黄身焼き、銀杏等)
土瓶蒸し(鱧、松茸)
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(鯛、車海老、烏賊)
お造り3(鱧)
蕪の菊花餡
お凌ぎ1(鱧寿司)
お凌ぎ2(鯖寿司)
お凌ぎ3(鰹の寿司)
油物(鱚、鱧)
酢の物(赤貝のヌタ)
お茶漬け
水物(無花果)
菓子
お薄
土瓶蒸しと蕪の菊花餡が特に印象に残りました。どちらも滋味深い味わい。食材の味を覆わないように甘味を抑えた味付けです。派手さはありませんが、良い意味で枯れた料理です。
夏の林さん。従来、税サ別20,000円だったコースは、税サ別23,000円に値上げされました。他店と比べると値上げ幅はそれほど大きくなく、価格据え置き期間もかなり長かったように思います。
いただいたものは下記の通り。
先付(蓴菜)
八寸(川海老、八幡巻き、いか黄身焼き等)
お造り1(雲丹2種と海苔)
お造り2(車海老、鯛、鮑、剣先いか、湯葉)
椀物(鱧)
お凌ぎ1(シンコの寿司)
お凌ぎ2(鱧の粽寿司)
お凌ぎ3(鱧寿司)
焼物(鮎塩焼き)
焚物(賀茂茄子の白味噌餡かけ)
鱧しゃぶ
油物(鱚、玉蜀黍等)
酢の物(蛸)
水飯(だし茶漬け)
梅かき氷
あんこ餅
お薄
お造りは価格を考えればどれも納得のいくもの。椀の出汁は昆布主体。抑制的なうま味が鱧の味わいを引き立ててくれます。
鮎(福井県南川)はパリッと焼かれており、頭からいただけました。油物はもう一つでしたが、鱧しゃぶはGood。蛸の酢の物もなかなか美味しかったです。
食材の味を覆わないように甘味をなるべく加えないのが林さんの味付けの基本なのだと思います。地味な印象を受ける料理が多いかもしれませんが、良い意味で枯れた料理だと思います。値上げ後もCPは変わらず良好だといえるでしょう。
春のはやしさん。派手さはありませんが、季節感溢れる料理を提供してくれます。税サ別20,000円のコースは下記の通り。
白和え
八寸
椀物(アイナメ)
お造り(鰹)
お造り(雲丹・海苔)
お造り(車海老、細魚、鮃)
穴子の粽寿司
焼き物(マナ鰹)
焼き物(筍)
若竹煮
土筆の玉〆
油物(鱚、アスパラ、氷魚)
酢の物(赤貝)
お茶漬け(鱸)
マンゴー、苺
桜餅
お薄
昆布主体の出汁は一口目から美味しすぎるということもなく、椀種のアブラメとの調和がGood。食材の甘味を覆わない(甘味をあまり加えない)のも林さんの特徴。筍の甘味がストレートに味わえました。
他店が値上げをすればするほど、こちらの良さを実感します。真っ当という言葉が良く当てはまるお店です。
晩秋のはやしさん。季節感溢れる料理を堪能させてもらいました。
白和え(蒟蒻、柿、椎茸)
八寸(紅葉麩、松葉素麺、銀杏、八幡巻き、チシャトウ、烏賊の蝋焼き等)
椀物(蛤・松茸)
唐墨大根
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(鮃)
お造り3(車海老、鰤、いか)
お凌ぎ(鯖寿司、酢蓮根、蛸等)
海老芋の炊いたん
焼物(鰤)
油物(雲子豆腐、鱚、菊花の揚げ出し)
若筍煮
酢の物(蟹の奉書巻き)
お茶漬け
水物(ラ・フランス)
菓子
お薄
早掘りの筍と炊いた海老芋が特に印象に残りました。派手さはありませんが、相変わらず堅実な料理で安定感があります。素材の味、特に素材の甘味を覆わない味付けが秀逸です。
久しぶりのはやしさん。ここまで間が空いてしまうとは思いませんでした。
白和え(柿、椎茸、蒟蒻等)
八寸(八幡巻き、唐墨大根、銀杏、川海老、栗、烏賊の黄身焼き、落ち鮎、揚げた紅葉麩等)
椀物(鼈の玉子寄せ)
お造り(車海老、いか、トロ、湯葉)
お造り1(鯛)
お造り2(雲丹、海苔)
お造り3(いくら)
お凌ぎ1(鱧寿司)
お凌ぎ2(鯖寿司)
お凌ぎ3(鰤寿司)
焼き物(甘鯛)
油物(芋)
炊合せ(蕪と菊花餡)
鱧・松茸のしゃぶしゃぶ
酢の物(鮑)
お茶漬け
水物
お薄
蕪の菊花餡と鱧松茸のしゃぶしゃぶが特に印象に残りました。派手さはありませんが、季節感あふれる献立に丁寧な仕事振りが光っていました。使用している食材も吟味されており、味付けも素材の味(特に甘味)を覆わないように気を配られています。安定感は随一だなと。
晩秋のはやしさんにお邪魔しました。派手さはありませんが、堅実で季節感溢れる料理が愉しめました。
白和え(柿、大黒寺麩、椎茸等)
八寸(もろこ、子持ち鮎煮、鰻とごぼうの八幡巻、銀杏、ちしゃとう等)
蛤の吸い物
唐墨大根
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(いか)
お造り3(鯛、赤貝、鮪等)
お造り4(伊勢海老)
お凌ぎ(穴子の粽寿司)
油物(車海老)
羹(海老芋の白味噌仕立て)
甘鯛の松笠焼き
酢の物(蟹の奉書巻き)
鼈の茶碗蒸し
お茶漬け
洋梨のコンポート
栗菓子
お薄
出汁は抑制的。林さんの味付けは、甘味を極力足さないことで素材の味を覆わないことを意識されているのだと思います。うま味の強い食材ばかり並べるコースや食べ疲れる料理とも対極にあります。
使っている器も良いものが多いです。立地もあるでしょうが、価格も良心的。予約も簡単に取れるので、使い勝手も担保されています。CPは非常に良いと思います。
夏のはやしさん。季節感に溢れる料理の数々でした。
先付(オクラと蓴菜)
八寸(空豆、烏賊、川海老、鰻八幡等)
椀物(鱧)
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(烏賊、甘鯛、トリ貝、湯葉)
お造り3(メイタガレイ)
御凌ぎ1(鱧寿司)
御凌ぎ2(鰯寿司)
御凌ぎ3(粽寿司)
焼物(甘鯛の御頭)
炊合せ(賀茂茄子の白味噌餡)
油物(車海老等)
鮑の酢の物
お茶漬け
水物
お薄
高級食材を使った派手さや創作的な奇抜さはありませんが、よく吟味した食材を丁寧に調理していることが伺えます。椀物や炊合せの安定感が非常に高いです。時期や日によるブレが少なく、いつ訪問しても高い満足度が得られます。京都に住んでいたら毎月訪問したいお店です。
晩秋から冬にかけてのはやしさん。
白和え
八寸(銀杏、鰻の八幡巻き、烏賊、川海老)
椀物(鴨)
お造り1(鰤)
お造り2(雲丹、海苔)
お造り3(剣先いか、湯葉)
お造り4(鮃、鮪等)
羹1(海老芋の白味噌仕立て)
羹2(蟹の茶碗蒸し)
焼き物(鰤)
お凌ぎ1(からすみ大根)
お凌ぎ2(穴子寿司)
お凌ぎ3(鰯寿司)
油物(車海老等)
酢の物(蕪と蟹の奉書巻き)
雑炊
椀物も美味しかったですが、この日の一番は海老芋の白味噌仕立て。白味噌の優しい味わいがねっとりした海老芋に寄り添いほっこりする味わい。〆の雑炊は蟹の出汁がたっぷり使われたもので美味。安定感抜群です。
秋のはやしさん。季節感溢れる料理を目当てに訪問しました。
白和え
八寸(鰻の八幡巻き等)
椀物(月とすっぽん)
いくら
お造り1(雲丹、のり)
お造り2(鱧)
お造り3(車海老)
お造り4(鱧、鮪、烏賊、鯛、湯葉)
甘鯛松笠焼き
御凌ぎ1(鰯の寿司)
御凌ぎ2(鰻の寿司)
御凌ぎ3(穴子粽)
油物(松茸、零余子)
羹(菊花餡かけ)
しゃぶしゃぶ(鱧、松茸)
酢の物(鮑)
酢の物(蟹)
お茶漬け
水物
お薄
吟味された食材と手間を惜しまぬ調理が愉しめます。菊花餡掛けは滋味深い味わいで、相変わらず秀逸。八寸の鰻の八幡巻き、鱧松鍋も美味しかったです。
松茸の季節だったのでいつもより高めの値段設定で願いしましたが、当店では15,000~でも美味しい料理がいただけます(私はいつもは20,000円でお願いしています)。実直さと安定感のある素晴らしいお店だと思います。
晩春のはやしさん。季節感あふれる料理の数々を堪能できました。
うすい豆腐
八寸
お造り1(伊勢海老)
お造り2(雲丹、海苔)
お造り3(鯛、とり貝、湯葉)
若竹煮
お凌ぎ1(鰹のたたき)
お凌ぎ2(穴子の粽寿司)
椀物(アブラメ)
焼き物1(筍)
焼き物2(ぐじ)
鯛の白子の茶碗蒸し
羮(鯛と筍)
油物(車海老、タラの芽、アスパラ)
鮑の酢の物
鯛茶漬け
水物
お薄
派手な食材よりも、よく吟味された食材を。奇をてらった調理よりも、素材に寄り添う味付けを。食材に手は掛けるが、決して弄り回さない。林さんの料理はそんな料理です。若竹煮、穴子の粽寿司、アブラメの椀物、茶碗蒸し、鯛と筍の羹など、どれも素晴らしかったです。
正月明けの林さん。今年はお節をいただけなかった代わりに訪問しました。
先付け
八寸(黒豆、数の子、川海老等)
このわた
白味噌椀
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(イカ、湯葉)
お造り3(鮃、伊勢海老、赤貝)
お凌ぎ(穴子の蒸寿司等)
焼物(真名鰹)
羹(蕪蒸し)
油物(蕗の薹、車海老、辛子蓮根、慈姑煎餅等)
酢の物(蟹)
七草粥
お薄
水物(苺)
白味噌椀はほっこり・落ち着く味わい。羹の蕪蒸しも滋味深い味わいで非常に美味。蕪の甘味や食感が何とも言えませんでした。安定感は流石の一言です。
春のはやしさん。
うすい豆豆腐
八寸
椀(鯉)
このわた
お造り1(雲丹・海苔)
お造り2(いか・湯葉)
お造り3(細魚、鯛、鮪)
お凌ぎ1(鳥貝の寿司)
お凌ぎ2(穴子寿司)
お凌ぎ3(焼き筍)
お凌ぎ4(鰹の叩き)
グジの焼物
油物(稚鮎、タラの芽、海老等)
炊合せ
葛切り
お茶漬け
菓子
お薄
記憶が曖昧な箇所もありますが、大体こんな感じだったと思います。出汁はインパクトよりも余韻を重視したもの。これは毎回変わりません。東京の和食屋ではなかなか出会うことがありません。年内にもう一度くらいは伺いたいなと思っています。
昨秋のはやしさん。松茸の土瓶蒸し、蕪の菊花餡かけ、落ち鮎の油物等、季節を映す料理の数々を堪能できました。今年はこの時期に訪問できないのが残念です。
この日は帰りにお節をお願いしていきました。お節の内容はかまぼこ、だし巻き玉子、田作り、鴨ロース、辛子蓮根、人参や椎茸の煮物などなど。お正月に美味しくいただきました。特に印象に残ったのは栗きんとん。栗がスマッシュされたもので、滑らかな舌触りと優しい甘味が愉しめました。
夏のはやしさん。
蓴菜
八寸(川海老、煮こごり、いか、空豆等)
椀(鱧)
お造り1(雲丹・海苔)
お造り2(ぐじ)
お造り3(鱧の落とし)
お造り4(車海老・鮪・湯葉)
お凌ぎ1(穴子寿司)
お凌ぎ2(鱧寿司)
炊合せ(賀茂茄子とごま豆腐)
鮎の塩焼き
油物(鮎、とうもろこし等)
鱧しゃぶ
鮑の酢の物
鰻ご飯
水物
お薄
こんな感じだったと思います。
鮎の塩焼き、鱧しゃぶ(瀬戸内)が大変好印象。次点が鱧の椀、ぐじのお造り、鱧の落とし、賀茂茄子とごま豆腐の炊合せ、鰻ご飯といったところでしょうか。
派手ではありませんが、季節感溢れる料理の数々。料理や価格はもちろん、直前でも予約が取れる真っ当な店です。
春のはやしさん
蕗の薹味噌
白和え
八寸
このわた
アイナメの椀
お造り1(雲丹、海苔)
お造り2(桜鯛、赤貝、鰹、湯葉)
お凌ぎ1(穴子寿司)
お凌ぎ2(いわし寿司)
焼物1(筍)
焼物2(グジのカマ)
若竹煮
油物1(鯛白子、タラの芽)
油物2(子持ちモロコ)
土筆玉閉め
酢の物(鳥貝)
鰻ご飯(琵琶湖)
苺
道明寺
お薄
こんな感じだったと思います。
季節感溢れる料理で、春を楽しめました。
特に好印象だったのは若竹煮と鰻ご飯。
椀(アイナメ)に関しては昨年の方が良かったかなと。
梅が咲き始めた頃のはやしさん。
ふろふき大根
八寸(いさざ、蕗の薹味噌、川海老、柚、煮蛸等)
椀(鴨と葱)
お造り1(雲丹)
お造り2(関サバ)
お造り3(赤貝、さより、鮃、湯葉)
蓮根饅頭
お凌ぎ1(カジキマグロの寿司)
お凌ぎ2(穴子の寿司)
焼きもろこ
油物(車海老、牛蒡と海老、タラの芽)
お揚げの羹
(餡掛け)おじや
苺
湯葉饅頭
お薄
こんな感じだったと思います。
もろこは竹串に刺して焼かれていました。頭を網に突き刺さずとも、しっかり焼けるようにとのことだったと思います。実際、焦げによる苦味が気にならず、美味しかったです。もちろん、もろこは良質。
もろこ以外にも、ふろふき大根、蓮根饅頭、お揚げの羹、おじや等、美味しい料理を堪能出来ました。
晩秋のはやしさん
海老芋の白味噌仕立て、グジの焼物、津居山の蟹、鯨のハリハリ鍋等をいただきました。
派手さはありませんが、とても満足度の高いお店だと思います。
2016年11月
――――――――――
晩夏のはやしさん。鮎と鱧を目当てに訪問しました。
先付(茄子、南瓜等)
八寸
椀(鮑、肝の白玉)
練り雲丹
お造り(車海老)
お造り(鮪、烏賊、湯葉等)
お造り(鱧の落とし)
お凌ぎ(鰯の寿司、鱧の寿司、鮑の寿司)
鮎塩焼き(南川)
揚げ物(鮎、鱧、玉蜀黍)
炊合せ(冬瓜、新銀杏等)
鱧しゃぶ
葛の素麺
お茶漬け
水物
抹茶
一口目から主張しすぎない吸い地や素材を覆わない味付けは相変わらず秀逸でした。毎回安定しているのもさすがだなと。目当ての鮎と鱧も堪能でき、大満足でした。
2016年8月
――――――――――
桜の季節の料理を味わいに。
ふきのとう味噌
白和え(独活等)
八寸(空豆、独活湯葉巻き、稚鮎等)
アイナメの椀
お造り(鯛、赤貝、湯葉)
お造り(雲丹、のり)
お造り(さより、烏賊、湯葉)
若竹煮
お凌ぎ(カラスミと大根)
焼き物(筍)
焼き物(鯛)
焼き物(田楽)
揚げ物(車海老、タラの芽)
酢の物(鮑)
土筆の玉閉め
お茶漬け
桜餅
抹茶
大体こんな感じだったと思います。特に印象に残った料理はアイナメの椀と若竹煮。出汁は鰹臭くなく澄んだ味わいで、飲み進めるうちに味わいが増していきます。派手さこそありませんが、季節感あふれる確かな料理を堪能できました。
2016年4月
――――――――――
秋のはやしさんにお邪魔しました。
白和え
八寸(丹波栗、銀杏等)
土瓶蒸し(京都産松茸、鱧)
お造り(雲丹、のり)
お造り(明石の鯛、とり貝、湯葉)
蕪の菊花餡かけ
お凌ぎ(穴子、松茸の寿司等)
ぐじのかま
揚げ物(小芋等)
蟹の酢の物
葛切り
舞茸ご飯
無花果
お薄
こんな感じだったと思います。お造りの鯛、土瓶蒸し、蕪の菊花餡かけが印象に残りました。特に蕪の菊花餡は味わい深い逸品でした。いわゆる高級食材をふんだんに使用しているわけではありませんが、素材はどれも吟味されたものばかり。一切の虚飾を排した料理という感じです。秋の味覚を堪能できました。
2015年10月
――――――――――
楽しみにしていた筍は、焼き物、炊合せ、そしてご飯で頂きました。
その他にも、アブラメの椀や土筆の玉締めなど、春の料理を堪能できました。
2015年3月
――――――――――
三口目でビシッと合う蛤の椀、絶妙な加減でした。また、グジの蕪蒸しも絶品でした。蟹等も含めて、冬の味覚を存分に堪能できました。供される料理は真っ当なものばかりで、細部に至るまで手抜きがありません。
訪問する度に色々気付かされるお店です。それと同時に居心地の良さも増していきます。通えば通うほど良くなる、まるでお椀のようなお店です。
2014年12月
――――――――――
花見には少し早い時期でしたが、料理の方で春を楽しむことができました。
蛤真丈の椀
グジの焼き物
若竹煮
土筆の玉締め
等を頂きました。
たしかに料理の説明等は基本的にありませんが、食べ方に関してはアドバイスをして下さいます。ご主人は物腰は柔らかいですが、この辺りは割りとハッキリと伝えてくれます。個人的には表面的な料理の説明よりも、こういったアドバイスの方が意味があるように感じます。
蛤真丈や若竹煮(塚原産)など、どれも美味しかったです。鯛に施された細かい仕事も見事でした。また、菓子に至っても、蕗の薹が雪の間から顔をのぞかせる姿をイメージするなど、春の訪れが感じられるものでした。
また京都に行く際にはぜひ立ち寄りたいお店です。
2014年3月
――――――――――
以前よりザガットやミシュラン等で見かけたことがあり、名前だけは知っていましたが、白髪鬼様のレビューを拝読して訪問を決めました。場所は北村美術館のちょうど向かい側にあたるのですが、ご自宅を使われているようで、夜だとかなり分かりづらいです。靴を脱いでお邪魔すると、掘りごたつのカウンター席に案内されました。席の間隔は決して広くありませんが、何とも言えない独特の良い雰囲気があります。
食前酒を頂くと、先付けに蕪の煮物が出されました。淡くて優しい出汁には奥深い味わいがあります。鯛、いか、雲丹などのお造りもどれも美味しかったです。えび芋の白味噌仕立ても非常に美味しかったです。海老芋のねっとりとした食感と旨み、そして白味噌の優しい甘みが口の中に広がりました。グジの焼き物は少し塩辛かったですが、冷酒を飲みながら美味しく頂きました。〆のお茶漬けを頂いている最中にご主人が振る舞って下さった甲羅酒は、風味や香りが何とも言えないものでした。
接客は好みが分かれるようですが、誰の紹介でもない一見の私にも話を振る様に気を配って下さいました。ただし、ある程度自分から雰囲気に溶け込む努力が必要なのも事実でしょう。たしかに、東京のお店で受けるサービスとは種類が違います。こういった点も京都らしいと言えば京都らしいのかもしれません。実直なご主人の歯に衣着せぬトークも非常に面白かったです。
料理だけでなく雰囲気も含めて、色々な意味で京都を愉しむことができました。京都に行く際には、また寄りたいと思うお店です。
2013年11月
4位
20回
2023/07訪問 2023/08/21
夏の鈴江さん。上質な食材をこだわりの器とともに楽しめます。
雲丹と蓴菜
お造り(鬼鯵、鯛、鮪)
椀物(ぐじと素麺)
焼物(早松、鱧)
炊合せ(鮑と賀茂茄子)
鯛と衣かつぎのご飯
桃大福
この日は雲丹の下に蓴菜を忍ばせた鈴江さん定番のスターターから。当店で供される雲丹の甘さには毎回驚かされます。
お造りでは鬼鯵(岩屋)が最も好印象でした。鬼鯵の濃いうま味と酢橘の酸味が相まって非常に美味しかったです。鯛(淡路)もこの時期のものとは思えないほどの味わいでした。その一方で、鮪(和歌山)はイマイチ。
お椀のグジにゅう麺は、グジのうま味と香ばしさが強く印象に残るもの。昆布出汁に溶け出したグジのうま味と素麺が良く絡みます。
早松(世羅)はジューシーで香りも素晴らしかったです。この質の早松が安定的に仕入れられるというのはちょっとした衝撃。
炊いた鮑(徳島)は芳醇そのもの。賀茂茄子も鮑のうま味と絡んで一つも二つも上の味わいに。桃大福も甘くジューシーで非常に美味しかったです。
鈴江さんの料理は、素材の良さ・素材の味わいをストレートに引き出すことに主眼が置かれています。一見、手が混んでいないように見える料理も多いですが、必要な手間は惜しんでいません。唯一の難点は、超高額なお会計です。
秋の鈴江さん。選りすぐりの食材と器が楽しめます。
子持ち鮎煮
お造り 鯛(淡路)、雲丹(宇和島)、鯖(淡路)、大トロ(塩釜)
カマスと豆腐の椀
焼き松茸(珠洲)
ぐじのカマ焼き
フカヒレの焚物
イクラ・鮭児のご飯
バニラアイス
落ち鮎煮は焙じ茶だけで炊いたもの。甘露煮の引き算といったところでしょうか。滋味深い味わいです。
お造りはどれも上質。鯛と鯖が特に印象に残りました。鯖の脂は実にキレイで、このレベルのものは久しぶりにいただいた気がします。
椀のカマスも大変上質。出汁は昆布とカマスの骨で。鰹を使わない鈴江さんらしい椀物でした。
焼き松茸はホイルで蒸して、汗をかき始めたところで供されます。香り良くジューシー。全てがメイン級の鈴江さんでも、松茸だけは少し特別なような気がします。
日本酒を少しいただいてお会計は10万円ほど。食材の良さをストレートに引き出している料理です。シンプルに感じる料理が多いですが、必要な手間は惜しんでないことが伝わってきます。
夏の食材を求めて鈴江さんに。最高の食材が貴重な器とともに楽しめるお店です。
先付(雲丹と蓴菜)
お造り(鬼鯵、鯛)
椀物(鱧・松茸)
焼物(松茸、太刀魚)
炊合せ(ぐじ、賀茂茄子)
寿司(ぐじ、車海老、鮪)
桃の大福
雲丹と蓴菜はこの時期定番のスターター。一品目から唸らされます。お造りの鬼鯵も上質な脂が乗っており美味しかったです。白ワインを注文してしまったことが悔やまれます。鯛もこの時期でも上質。
楽しみにしていた松茸は広島産。お椀と焼きでいただきました。鱧松椀は鱧(淡路)の濃厚なうま味・甘味が印象的。出汁からも鱧の味わいを強すぎる位に感じたのですが、松茸の香り・味わいと良く合います。やはり鱧と松茸は出会いものなのだなと。出汁は両者を繋ぐ仲人さんといったところ。
焼き松茸も香り良くジューシー。炭火で丁寧に焼きホイルで蒸らして仕上げられます。太刀魚(淡路)も脂の乗りが素晴らしく、非常に美味しかったです。もちろん焼き加減もGood。
炊合せは塩味をしっかりと感じますが、食材の味を覆うような味付けではありません。グジのうま味や甘味そのものがしっかりと感じられます。
G白×2に抑えたものの、12万超という痺れるような請求額。この調子で値上げが続くと訪問できなくなる日も近いかなと。
初冬の鈴江さん。素晴らしい食材が集められていました。
コッペ
お造り(鯛、雲丹、赤貝)
椀(カマス、蕪、木の芽)
焼物(グジ)
焼物(河豚の白子)
炊合せ(鮑、海老芋)
寿司(戸井の鮪、赤貝と菜の花、グジ)
自家製バニラアイス
コッペも鈴江さんでいただくものはちょっと違う感じがするから不思議です。お造りはどれも間違いのないもの。鯛、赤貝は特に好印象でした。
どれも素晴らしい食材でしたが、最も印象に残ったのがグジ。まずは、パリッとふんわりと丁寧に焼いて供されました。シンプルな調理ですが、火入れも素晴らしく非常に美味しかったです。寿司のグジはねっとりしており、食感・うま味も強かったです。
使われている器も相変わらず素晴らしく、鈴江さんに色々伺いながらいただくと料理がより美味しくなります。
10月の鈴江さん。一番好きな季節です。
黄金蟹(香住)
お造り(鯛、雲丹、鮪)
椀(鯖、豆腐、木の芽)
焼物(松茸、鱧)
炊いたフカヒレ
鮭・いくらご飯
代白柿
一皿目からいきなりメイン級の食材である黄金蟹の登場。鈴江さんらしく惜しみなく盛られていました。お造りは福良の鯛、大間の鮪、天草の雲丹。特に鯛が秀逸でした。
椀種は岩屋の鯖。刺身でも食べられる鯖を炙って椀種に。焦げついておらず、適度に脂が落ち、香ばしさも丁度良い塩梅でした。昆布出汁が鯖に寄り添い、木の芽が椀の香りや味わいを引き締めてくれます。
焼物は松茸と鱧。この日の松茸は綾部のもの。適度に蒸らして、香り良くジューシーな仕上がり。非常に美味しかったです。肉厚の鱧も素晴らしかったです。
炊いたフカヒレの後、〆は鮭・いくらご飯。鮭は鮭児を味噌漬けにしたものでした。釜にへばり付いて余ったものは潰れないように包んでくださったのでお土産?に。帰宅後にいただいたのですが、自らの盛付には反省点が多々あり(苦笑)。
冷酒を少々いただいて、この日のお会計は10万超。お会計以外は天国だと思います。
秋の鈴江さん。久しぶりの訪問となってしまいました。
落ち鮎煮
お造り(鯛、雲丹、鬼鯵)
お造り(ゴンドウクジラ)
椀(松茸・鯛)
焼物(カマス、松茸)
鱧とトマトの揚げ出し
寿司(鰯、鮪、車海老)
ルビーロマンの大福
この時期定番の落ち鮎煮でスタート。滋味深い味わいで非常に美味しかったです。
椀の出汁は昆布と鯛の骨だったでしょうか。出汁は悪くありませんしたが、鯛がパサパサになってしまっていたのが気になりました。
カマスはキレイな脂の乗り方でしたし、松茸(和歌山産だったと思います)も香り良く美味しかったです。肉厚で脂の乗った鱧はトマトと一緒に。トマトの酸味と鱧の調和が素晴らしく、非常に美味しかったです。
〆の寿司は鰯(瀬戸内)、鮪(戸井)、車海老(瀬戸内)の三種。和食屋のものと割り切れなければ、不満を感じるところもあるでしょう。
水物の大福は立派なルビーロマンを包んだもの。甘いジュースが口の中に溢れます。しかも今年は一人二個。幸せです。
この時期の鈴江さんにしては、満足度はもう一つだったかなと。もちろん美味しいのですが、この価格帯なら全てにおいて完璧を期待したいというのも本音ではあります。
冬の鈴江さん。良いものをドーンと供してくれます。
コッペ
お造り(鯛、雲丹、赤貝)
フカヒレの姿煮
焼きモロコ
炊合せ(のとぐろ・海老芋)
鮨(鮪、赤貝と菜の花)
自家製バニラアイスとラフランス
内子・外子たっぷりのコッペからスタート。お造りはどれも美味しかったですが、赤貝が特に好印象でした。フカヒレの姿煮は生のフカヒレを使ったもの。出汁は昆布とアコヤ貝で。貝柱由来のうま味・甘味がフカヒレの味わいを引き上げてくれます。
モロコもこの時期にしては上質。最近見かける活きモロコと違って美味しかったです。強めの焼き加減は阪川さんと似ています。炊合せはやや濃い目の味付けも、素材の味を覆うようなものではありません。ノドグロのうま味・甘味が大変印象に残るものでした。水物にもこだわる鈴江さん。ラフランスまで非常に希少なものが使われていました。
シャンパーニュのハーフボトル一本で、お会計は7万円台前半。値段は高いですが、評判だけで中身のない高額店に二回行くよりは遥かに得るものがあるように思います。
丹波の松茸を目指して鈴江さんに。味もお会計も衝撃でした。
落ち鮎煮(上桂)
お造り(鯛・雲丹・赤貝)
椀(甘鯛と豆腐)
焼物(松茸・鱧)
黄金蟹(香住)
寿司(戸井の鮪・淡路の鯖)
バニラアイス
この時期定番の落ち鮎煮は滋味深い味わい。鯛は食感・甘味ともに素晴らしいものでした。赤貝も磯の香りがgood。
椀は甘鯛のうま味が濃厚。酢橘の酸味と香りが味を引き締めてくれます。昆布出汁は甘鯛の邪魔をしません。美味しかったですが、完成度としては以前いただいた時の方が上だとは感じました。
松茸は香りが素晴らしく、食感もシャキシャキ。今期一のクオリティで、他店とはワンランク違うものでした。しかしながら、こちらも過去に当店でいただいた丹波産と比べると劣るというのも本音かなと。鱧は皮だけ焼いて身は生の残る状態で。これも非常に美味しかったです。
黄金蟹の後、この日の〆は寿司。こちらの寿司は和食屋の盛り付ける寿司。握り鮨と比べるのは筋違いなのでしょうが、やはり他のご飯ものの方が嬉しいかなと。デザートは鈴江さん自家製のバニラアイス。
冷酒二合で10万超。某割烹料理屋の店主が10万取れるなら(丹波の松茸も)出せるという趣旨のことを言っていただけに別に吹っ掛けているわけでもないのでしょう。
5、6年前に5万円台だったのが、3年前には7万円台、そしてついに10万円台に乗ってしまいました。松茸の質・量は以前の方が良かったように思いますが、価格は右肩上がり。好きな食材だけに価格高騰が悲しいです。もう少し私の給料の上昇に合わせてもらわないと困るのですが(´・ω・`)
夏の鈴江さん。鮎や早松はありませんでしたが、相変わらず素晴らしい食材の数々でした。
雲丹と蓴菜
お造り(鬼鯵、鯛)
甘鯛のにゅうめん
焼物(とり貝、鱧)
鮑と茄子の炊合せ
寿司(鮪、鱧)
桃の大福
淡路の雲丹、鬼鯵、鱧、鮑、宮津のとり貝、浜坂の甘鯛とどれも一級品でした。椀の昆布出汁は甘鯛の味わいを引き立ててくれます。素麺も甘鯛のうま味を纏っていました。とり貝は甘く、鮑も芳醇。鱧は当店のものが今夏一番良かったのではないかなと。
冷酒二合で7万円台前半。割高感は否めませんが、予約はそれほど大変ではありませんし、ゆっくり寛ぐこともできます。好きな食材が揃うシーズンに訪問するととても満足度が高いお店です。
冬~早春の鈴江さん。蟹、河豚、筍などをいただきました。
津居山蟹
河豚の白子和え
ぐじと筍の揚出し
穴子の焼物
鮑と丸大根の炊合せ
寿司(鯛・赤貝・鮪・穴子)
苺大福
蟹は甘味があってgood。河豚の白子和えは、ブツや鉄皮に白子を裏漉ししたものを掛けた当店の定番料理。サイズの大きい河豚をブツで出すのが当店のこだわりで、この日は南淡路産の4.7kgの河豚が供されました。筍は食感・香りともに良好で、甘鯛も美味しかったです。炊合せの鮑も芳醇で、丸大根のほっこりする味わいと好相性。寿司は、いわゆる握り鮨と比べると?という気はします。デザートの苺大福も非常に美味。
シャンパーニュのハーフボトルとG白x1で7万円台半ば。立地を考えると高いとは思いますが、食材のレベルはどれも上に分類されるものばかり。極端な予約困難店ではなく、使い勝手がある程度担保されているのは有難いところです。
秋の鈴江さん。主役級の食材ばかりが豪快なポーションで供されますが、キャビアやトリュフを使った品のないものは供されません。
落ち鮎煮
お造り(鯛・雲丹)
甘鯛の椀
焼き太刀魚(淡路)・焼き松茸(広島)
鱧と松茸の揚げ出し
いくらご飯
桃の大福
この時期定番の落ち鮎煮でスタート。滋味深い味わいでした。お造りの鯛は、食感・うま味とどちらも良好。雲丹もうま味・甘味と非常に素晴らしく、雑味を全く感じませんでした。
椀物もまずまず。椀種である甘鯛の味わいを昆布出汁が引き立て、酢橘の香りが全体の印象を引き締めてくれていました。松茸は不作の年でもさすがのクオリティだといえるでしょう。鱧のアラで出汁をとった揚げ出しも非常に美味しかったです。いくらご飯にも満足。当店の〆は寿司よりご飯の方が良いように思います。
お酒を少量に抑えても、お会計は7万円程度。食材の質は松川等よりも上だと思いますし、たまの贅沢と考えればアリだと思います。
晩春の鈴江さんを訪問。2月に改装されたそうで、内装が新しくなっていました。
稚鮎(和歌山)の唐揚げ
お造り(鯛・雲丹)
鮑と里芋の炊合せ
焼物(とり貝・丸穴子)
炊合せ(筍、鯛の御頭、花山椒)
寿司(とり貝、穴子、菜の花と赤貝、鮪)
わらび餅
いつも通り豪快なポーションでの直球勝負。花山椒や秘密のとり貝といったこの時期ならではの食材も供されました。印象に残ったものは鯛と穴子。とり貝も美味しかったですが、昨年ほどではなかったかなと。ちなみに、当店の蕨餅は和菓子屋のものを凌ぐクオリティだと思います。
食材的に端境期ということもあってか、感動はやや少な目ではありましたが、同時期の他店より良い食材を使っていると感じるものは多かったです。シャンパーニュのハーフボトルとG白×1で70000円程度。CPは良くありませんが、味・サービスには満足しています。
正月明けの鈴江さん
唐墨大根
お造り(河豚の白子和え)
河豚白子焼き
椀(甘鯛・若筍)
焼き河豚
炊合せ(蛤・丸大根)
寿司(赤貝のひもと菜の花、赤貝、トロ×2)
水物(メロン)
この時期だけだという唐墨と大根。唐墨はうま味が凝縮されており、大根との食感のコントラストがはっきりとしていました。この日の河豚は南淡路産5.2㎏のものだそう。お造りや焼物でいただきました。当店の河豚のお造りは、厚めに引いたブツ、みかわ、とうとうみに裏漉しした白子を掛けたもの。これをかき混ぜて、千切った浅葱とポン酢でいただきます。
椀は甘鯛(浜坂)と若筍(山城)。昆布出汁が甘鯛の味わいを引き立ててくれます。筍も甘くて美味。炊合せの蛤(徳島)も立派なサイズ。やや熱を入れすぎではないかとも感じましたが、うま味は強烈でした。水物のメロン(網野)まで妥協なしです。
使用する食材全てにこだわっており、ポーションも豪快。鈴江さんならではの料理でしょう。シャンパーニュのハーフをいただいて、お会計は6万円台後半。高いですが、他所にはない魅力を持っているお店だと思います。
春の鈴江さん。
小鉢二種
1. タラの芽・空豆・アスパラ等
2. 車海老・蛍烏賊・細魚等
お造り(鯛と雲丹)
椀物(アイナメと豆腐)
焼物(穴子・鳥貝)
焼物(河豚の白子)
炊合せ(甘鯛と筍)
ご飯(筍・鯛)
苺大福
お造りの鯛が非常に美味しかったです。椀の吸い地も昆布出汁とアイナメが喧嘩するというようなことはありませんでした。春でしたが、鳥貝のうま味・甘味にも驚かされました。豪快なポーションにシンプルな調理ですから、食材の善し悪しが良く分かります。
冬の鈴江さん。鈴江さんらしく冬の食材が豪快に供されました。
せこ蟹
お造り(河豚)
椀物(伊勢海老と若筍)
焼物(河豚の白子)
焼物(もろこ)
炊合せ(のどぐろと海老芋)
寿司(赤貝、鯛、大間鮪)
バニラアイス
せこ蟹は外子・内子がたっぷり。お造りは厚めのてっさやてっぴ等に白子を濾して掛けたもの。掻き混ぜてポン酢でいただきます。この時期の定番です。若筍の甘さであったり、ノドグロのうま味・甘味も印象に残るものでした。
秋の食材を求めて鈴江さんに。
落ち鮎煮
お造り(鯛、雲丹)
鱧・松茸の揚げ出し
焼き物(松茸、太刀魚)
黄金蟹(香住)
いくらご飯
ルビーロマン
この時期定番のほうじ茶で炊いた落ち鮎煮でスタート。甘露煮の引き算に当たる料理なのでしょうか。木の芽も良いアクセントです。
厚めに引かれた紅葉鯛は食感とうま味のバランスが良好。丹波の松茸は香り良く、肉厚の太刀魚も大変美味でした。〆のいくらご飯もたっぷりのいくらがのせられていました。皮が柔らかく、味付けもgood。
テタンジェのハーフを飲んで8万円弱。松茸の価格高騰の影響でお会計は高くなってしまいましたが、さすがに美味しいなと。最高質の食材を豪快に供してくれるので、秋の味覚を存分に味わえました。
夏の鈴江さん。非常に印象に残る夜になりました。
赤雲丹と蓴菜
あこう(岩屋)のお造り
椀(ぐじ、素麺)
焼き鱧(福良)
焼き早松(広島)
焼き鳥貝(愛媛)
炊合せ(黒鮑と賀茂茄子の揚出し)
鮎ご飯(上桂)
桃大福(岡山)
蓴菜までハイレベルな先付でスタート。あこうのお造りは食感とうま味が素晴らしかったです。
椀物は甘鯛と素麺。出汁は昆布と甘鯛の頭でとったものだそう。香ばしいぐじ(浜坂)に柑橘の香りが加わり大変美味。素麺は小豆島の三年寝かせたものを使用しているんだとか。
早松も薫りが実に素晴らしかったです。焼いている最中に漂ってきた香りにうっとりしてしまうほど。トリ貝も噛むほどに甘く、非常に美味しかったです。
炊合せの鮑も素晴らしかったですし、油に潜らせた賀茂茄子も甘味が際立っていました。〆のご飯にも鮎が贅沢に使われており大満足。
ちょっと高価なワインに手を出してしまったからか、お会計は7万円台後半。高すぎですが、鈴江さんならではの料理を堪能できました。
春の食材を目指して鈴江さんに。
先付1(アスパラ、こごみ、タラの芽)
先付2(車海老、蛍烏賊、細魚、ハリイカ)
お造り(桜鯛、雲丹)
椀(のどぐろ)
炙り穴子(淡路)
炊合せ(鯨の鹿の子、筍、浜防風)
筍・鯛ご飯
苺大福
桜鯛、雲丹、穴子、鯨の鹿の子が印象的でした。
ノドグロの椀は二度目の訪問時にいただいた時の方が好印象かなと。ノドグロを炙って昆布出汁と合わせているのだと思いますが、吸い地から焦げ臭さを感じてしまいました。
穴子はレアな部分も残るように絶妙な加減で炙って供されます。対馬や韓国で揚がるトロ穴子とは違い、無駄な脂が乗って(ブヨブヨして)いません。癖がなく、上品で味が濃いものです。
鯨の鹿の子はブツブツしておりグロテスクですが、噛むごとにうま味が広がります。塩味がしっかりしていますが、鯨のうま味も負けていません。この食材はクセが強いと思うのですが、灰汁や臭みは全く感じません。素材偏重と判断されがちですが、こういった引き算の技量はさすがでしょう。
冷酒二合で5万円台前半。決して安いとは思いませんが、最高レベルの食材が豪快なポーションで供されます。コース全体を通しての濃淡はしっかり目ですが、嫌らしい味付けということはありません。
冬から春に季節が移りゆく中、鈴江さんにお邪魔しました。
丹波牛と頭芋(ゴマのペーストで)
河豚のお造り
椀(伊勢海老と筍)
河豚白子の焼物
河豚の焼物
蟹身と蟹味噌(香住)
寿司(鮪・赤貝)
わらび餅
この日の河豚は淡路産5kgのもの。お造りは厚めの身や皮に裏漉しした白子を和えた当店の定番メニュー。これ以外にも、白子や頭部等を焼物でいただきました。唇はゼラチンたっぷりで珍味といった感じ。
椀の吸い地は昆布に根ざしたもの。早掘りの筍(山城)は甘味に富んだ素晴らしいものでした。香住の蟹もうま味・甘味が大変印象的。店主によると、この時期が一番美味しいんだとか。
〆の寿司は400年前の明の大皿に盛り付けられて。鮪(勝浦)はカマ下と赤身を。赤貝は菜の花と一緒に押寿司で。正直なところ、味に関してはあまり感心するものではなく、ご飯ものの方が好みではあります。
自家製の蕨餅はプルプルで弾力のあるもの。宝泉を超える味わいでした。
高級食材中心の構成でも、嫌味のない味に仕上げるのはさすがだと思います。出汁や味付けに関しては、こちらより上だと感じるお店もありますが、食材の質では私の知る限り最高峰ではないかなと。筍、蟹、河豚は直近でいただいた中では頭一つ抜けていました。
一時に比べ予約は取りやすくなりましたが、サロン化が進行しているようです。店主の人柄に甘えすぎた、お世辞にも気持ちが良いとは言えない常連客がいるのは少々残念。他のお客さんに供されていた料理を見ていると、前回訪問時との重複をなるべく避けてくださっていたのかもしれません。冷酒をチビチビ飲んだにも関わらず、お会計は7万円超(汗)。好きな食材が集まる時期を狙って再訪したいと思います。
晩秋の鈴江さん
先付け(セコ蟹)
お造り(鯛と雲丹)
フカヒレの姿煮
もろこの焼物
松茸(丹波産)の焼物
炊合せ(鯛のお頭と丸大根)
鮨(赤貝、ノドグロ、戸井産鮪二種)
水物(柿)
他店ではメイン的な位置付けの蟹が先付で供されました。外子、内子、味噌とたっぷり。鯛は松川等で供されるものより上でしょう。松茸等はこの時期に食べたいとは思いませんが、何だかんだ言っても美味しいのはさすが。ただし、鮨にはどうしても?が付いてしまいます。
素材の質は最上と言えるのではないでしょうか。直前に訪問した高評価&高額店(コース価格2万円)と蟹、鯛、雲丹、フカヒレ、ノドグロと、使用食材がかなり被っていましたが、質・量ともに鈴江さんの方が数段上でした。素材の質はもちろん、その力強さを引き立てる味付けもさすが。炊合せは品の無い鰹のインパクトを感じない上品な仕上がりでした。
非常に美味しかったですが、これまでの訪問と比べると、もう一つ高揚感が得られなかったというのも本音です。冷酒を二合飲んで、6万円強。さすがに高すぎるかなと。
2016年11月
――――――――――
晩夏の鈴江さん。どんな食材が待っているのか、ワクワクしながら訪問しました。
鮑(肝のソースで)
お造り(鯛と雲丹)
椀(蟹と賀茂茄子)
焼物(太刀魚と鱧)
炊合せ(ノドグロと冬瓜)
鮪の握りと鯖寿司(生と炙りで)
桃の大福
淡路産の鮑は味・香りともに優れたもので、今年食した中で一番のものでした。厚めに引かれた鯛は歯応えがありつつ、うま味も申し分なし。
淡路産の太刀魚は皮目だけを炙り、生の感じを残してありました。今まで食べたことのある太刀魚の中で最高のもので、この日一番印象に残った品です。炊合せはともすれば過大な味付けになってしまいそうな気もしますが、素材が負けていないのはさすが。
大間の鮪はカマシタと赤身の二種類が供されましたが、東京の高額鮨店と比べると一枚落ちるというのが率直な感想。もちろん美味しいには美味しいのですが、個人的には〆はご飯の方が好みかなと。
絶対額は高いですが、これだけ良質な食材をこれだけ豪快なポーションで供してくれるお店はそうないと思います。食後には貴重な乾山のコレクションを見せていただき、面白い話も沢山伺うことが出来ました。次回の訪問が今から楽しみです。
2016年8月
――――――――――
春の鈴江さんにお邪魔しました。
小鉢二種
1. 山の幸(タラの芽・空豆、筍、アスパラ等)
2. 海の幸(車海老・蛍烏賊・鳥貝・細魚)
鯛、雲丹、赤貝のお造り
アイナメと豆腐の椀
穴子の焼物
河豚の白子の焼物
甘鯛と筍の炊き合わせ
鯛と筍のご飯
苺大福(徳島)
山の幸と海の幸をオリーブオイルと塩で和えたものでスタート。お造りはどれも逸品揃いですが、桜鯛(淡路)が特に印象に残りました。飴色がかった身はむっちりとした弾力とうま味が素晴らしかったです。これまで自分が食べたことのある中で最高のものでした。
椀はアイナメのうま味を最大限に閉じ込めたもの。脂の乗ったアイナメは、濃厚で力強ささえ感じさせるものでした。今回も日月椀が使われていましたが、秋のものとは色合いや質感が異なりました。
穴子(淡路)は皮目だけを炙ったもの。脂は乗っていますが、トロ穴子のようなブヨブヨ感はありません。非常に美味しかったです。筍は山城産とのこと。揚げ出し風の炊き合せとご飯で供されました。ご飯は鯛のアラから出汁が出ており絶品でした。
最高の食材を使用し、その持ち味を最大限活かしている料理です。冷酒二合でお会計は5万円台半ば。お値打感はありませんが、たまの贅沢には良いでしょう。違う季節にも訪れたいと思いました。
2016年4月
――――――――――
初訪問時にこの店ちょっとやばいかもと衝撃を受けたお店です。昨年の感動が忘れられず、再訪問しました。
子持鮎煮
鯛(淡路)と赤雲丹(淡路)のお造り
ノドグロの椀
焼き太刀魚(淡路)
焼き松茸(丹波)
揚げ出し(松茸と鱧)
鮪(勝浦)と鰈の握り(鮪二貫、鰈は生一貫、昆布〆二貫)
栗羊羹
今回もほうじ茶で煮た子持鮎でスタート。昨年も頂いたのですが、今年の方がより美味しく感じました。
椀も非常に美味しかったです。 脂を適度に落としたノドグロと添えられた酢橘の酸味や香りが好相性。昆布に根差した出汁も到達点に合わせたような印象でした。味もさることながら、日月椀がとにかく美しかったです。
丹波産の松茸は噛むごとに薫るもので、今年頂いたものの中で一番美味しかったです。松茸と鱧の揚げ出しもGood。
鮨自体は日本料理屋のそれですが、鮪は日本料理屋で供されるものとは思えないレベルの高さでした。栗羊羹も絶品で、今まで頂いたどの和菓子よりも美味しかったです。
冷酒を2合に抑えて、お会計は5万円台半ば。食材の質は間違いなく上。まるでディープインパクトみたいなお店です。皿数は少ないですが、相変わらずポーションが大きく、満足度は高かったです。昨年のベストレストラン(京都)で1位を獲得したからなのか、予約が取りづらくなってしまったようです。他の季節ではどんな料理が供されるのか気になりますし、是非再訪問したいと思います。
2015年10月
――――――――――
ミシュラン二つ星、マイレビュアー様達も高評価の和食店です。東山駅から徒歩五分弱の場所にありますが、他所者には分かりづらい立地です。ちなみに、Googleで店名を検索すると、全く別の場所を指します(2014.11.01)。以前?の店舗を指しているのでしょうか。頂いた名刺によると正しい住所は京都市左京区岡崎神宮道仁王門白川南入となっています(食べログの情報と同じです)。
落ち鮎煮
河豚のお造り白子和え(淡路産)
生のフカヒレの姿煮
鱧の白焼き(淡路産)
焼き松茸(丹波産)
のどぐろと蕪の煮物
鮪の握り4貫(和歌山県勝浦産)
水物に柿を頂きました。
落ち鮎煮は番茶で煮たもので、滋味深い味でした。お茶もそのまま飲み干せます。河豚のお造りは厚めの身と皮に白子が掛かっています。上からポン酢を掛けて、かき混ぜていただきました。味・食感ともに楽しめました。非常に美味しかったです。淡路産の鱧と丹波産の松茸は目の前で炭火で焼いてもらいました。これも絶品でした。のどぐろと蕪の煮物も上品に仕上げられており、やはり素晴らしかったです。
ただ、鮪の握りですが、どうせならご飯物を頂いてみたかったというのが本音です。たしかに美味しかったですが、直前に訪問した鮨屋の鮪の方が美味しかったです。個人的には日本料理屋で食べる必要性をそこまで感じませんでした。鮨屋と比べるのもズレているとは思いますが。
ご主人は物腰の柔らかい方で、一見でも緊張を強いられるようなことはありませんでした。接客はご主人とホールの女性の二人だけで対応していますが、十分行き届いていたと思います。
冷酒を三合頂いて、お会計は6万円弱。最高の食材を使用し、ごまかしのない味とポーションで勝負しています。非常に美味しいですが、非常に高いです。ただ、高級食材を大きなポーションで供しているので、一概に高すぎるとも言えないのでしょう。高級ホテルに泊まるくらいならとは思うものの、そもそも比較対象がズレているような気もします。色々比較に困るお店です。予約が簡単に取れたのはCP的に唯一の救いでした。
2014年10月
5位
29回
2023/12訪問 2024/02/12
冬の末友さん。久しぶりにズワイ蟹(間人蟹)がメインのコースをお願いしました。
先付(コッペ)
八寸(いくら大根、生の唐墨、茶振りナマコ、いかの塩辛、松風、玉子焼き、鯛の手鞠寿司、大根の葉とお揚げ、銀杏、菊菜のお浸し)
蕪蒸し
向付(鰤カマトロ、アオリイカ、鮃、縁側)
蟹しゃぶ
焼き蟹
甲羅焼き
半張り蒸し
紅葉ご飯、赤出汁、香の物
水物(ル・レクチェのコンポート、梅のアイスクリーム、ラム酒のゼリー)
お薄
押し並べて好印象だったのですが、気づいた点をいくつか備忘録も兼ねて。
コッペは今年から提供スタイルが変わりましたが、温かい状態(湯掻きたて?)でというのは以前と変わらず。寒い時期なので温かい先付は嬉しい限り。
いくらは、ここ数年、少し硬いものに出くわすことが多いです。当店のいくらは他店よりも塩気が控えめで、味付け自体は一番気に入っています。それだけに、この食感は非常に残念。
間人蟹は1.2~1.3kg位のもの。コース全体で半杯~半杯強出される感じです。良いズワイ蟹なんですが、お弟子さんの焼き方はまだまだかなと。少し火が入りすぎてしまっているせいか、ジューシーさが損なわれているように感じるところもありました。
この日の半張り蒸しは生姜が乗せられており、いつもより醤油の主張が強めに仕上げられていました。生姜はアリだと思うのですが、個人的には出汁はいつも通りの方が良いように感じました。
秋の末友さん。松茸を目当てに訪問したのですが、昨秋はなかなか涼しくならなかったせいか、まだ松茸があまり出回っていませんでした。
メイン食材の松茸(和歌山)は土瓶蒸し、焼き、鍋物で供されました。時期を考えれば松茸はまずまず上質。
焼き松茸もいいですが、やはり一番は土瓶蒸しかなと。松茸が一本丸々入っており、平杯に汁を注ぐと松茸の良い香りが立ち込め、秋を感じさせてくれます。出汁は松茸と引き立てあう丁度良い塩梅で、非常に美味しかったです。
夏の末友さん。待合では涼しげな氷柱が出迎えてくれます。
先付(賀茂茄子の丸焼き)
八寸(黒もずく酢、鱧の煮凝り、蛸の柔か煮、丸十、枝豆、レンコダイの寿司)
椀物(鼈の雲呑)
向付(あこう、剣先いか、サザエ)
焼物(鮎、岩牡蠣)
鱧しゃぶ
若布ご飯
水物(ラズベリー・さくらんぼ・すいか等とラム酒のゼリー、無花果のアイス)
お薄
じっくり焼いた賀茂茄子からスタート。皮が完全に炭化するほど焼いた賀茂茄子と比べるとトロッとはしていませんが、賀茂茄子の果肉感はより感じられます。八寸は塩味・甘味・酸味が丁度良い塩梅。
お椀は鼈の雲呑。魚介系の椀種の時と比べるとしっかりした出汁でしたが、鼈のうま味と合わさると豊かな吸い地に。鼈のクリアな味わいだけが見事にピックアップされていました。向付のアコウはまずまずも、サザエはパッとしなかったかなと。
焼物は若鮎(安曇川)と岩牡蠣。鮎の塩焼きはこれ以上の焼き方はないのではないかと思ってしまったほど。しっとりと焼かれており、香りはもちろん、鮎のうま味・苦味もしっかり味わえました。岩牡蠣もジューシーで非常に美味しかったです。
鱧しゃぶは昆布出汁に潜らせて。当店のしゃぶしゃぶの出汁は、鱧の骨等を使うお店と比べると極めて淡白で薄味ですが、個人的には雑味のない、より洗練された味わいのように感じています。鱧のうま味を含んだしゃぶしゃぶの出汁は〆の若布ご飯に掛けていただいてもGood。
首を傾げてしまうような料理に出くわすこともありますし、色々な意味で安定感は高くないかもしれません。また、ギリギリの所を狙ったような料理もあるので、濃い味付けが好きな方には分かりにくく、お客さんを少し選ぶような気もします。
先付(筍、白魚、土筆等)
八寸(蕗の薹の天ぷら辛子酢味噌で、赤貝と鯛の手毬寿司、一寸豆、蜆時雨煮、蛸柔か煮、蛍烏賊のテリーヌ)
椀物(アブラメ、木の芽、蕗、タラの芽、人参、大根)
向付(穴子の焼霜)
焼物(筍二種)
お凌ぎ(由良の赤雲丹)
鍋物(筍と花山椒、赤牛と花山椒)
筍ご飯
水物(無花果のアイス、わらび餅)
お薄
先付(蛤、蕪、一寸豆)
八寸(味醂干し、めくわい・黒豆、からし菜の辛子和え、海鼠腸、ナマコ、カラスミ大根)
椀物(あん肝、筍、金ん子)
向付(鮃、ボタン海老)
焼物(赤牛)
お凌ぎ(金柑のシャーベット)
鰤しゃぶ
氷魚ご飯
水物
お薄
冬の末友さん。この日の目当ては河豚。
先付(湯掻き立てのコッペ)
八寸(雲子、いかの塩辛、炙り鯖寿司、いくら、生のカラスミ、塩炒り銀杏等)
グジの蕪蒸し
向付(河豚)
お凌ぎ(百合根)
焼き河豚
焚物(海老芋)
紅葉ご飯、赤出汁、香の物
水物(ル・レクチェ等)
お薄
先付けはコッペ。手間を惜しまず湯がき立てのものを供してくれます。内子、外子、ほぐした身を別々に。手の込んだ八寸は季節感が大事にされています。味付けも過ぎない塩梅。
椀物はグジの蕪蒸し。吸い地は一口目こそやや物足りない位ですが、蕪蒸しを崩しながら食べ進めていくと、昆布主体の出汁に蕪や甘鯛のうま味・塩味・甘味が加わり豊かな吸い地に。最後まで味わいがピークアウトしない素晴らしい椀物でした。
向付と焼物は河豚。当店は潰し立てのものを使用されています。向付は食感、香り、味わいのいずれも素晴らしいものでした。
向付以上に印象に残ったのが焼き河豚。完璧な火入れで、大変ジューシー。自家製の橙も良い塩梅で、河豚の味わいを引き立ててくれます。焼き河豚は他店でもいただく機会がありますが、当店のものが一番美味しいと思います。
紅葉ご飯も美味しく、焚物以外は非常に満足。このレベルの満足度はそうそうないんじゃないかなと。
夏の末友さん。寄付の氷柱が何とも涼し気に映ります。
先付(焼き賀茂茄子)
八寸(玉蜀黍のすり流し、すぐき、鱧の煮凝り、丹波の黒豆、もずく酢、鱧の粽寿司等)
椀物(蓮蒸し真薯)
向付(目板鰈、剣先イカ、サザエ、いさき)
焼物(鮎塩焼き)
蓴菜と黒蜜
鱧しゃぶ
生姜ご飯、赤出汁、香の物
水物
お薄
中がトロトロになった焼き賀茂茄子から。手の込んだ八寸とともに季節を感じさせてくれます。
お椀の出汁は鰹の主張を感じさせないもの。むっちりした蓮蒸し真薯を崩しながらいただいていくと、吸い地と真薯の味わいが増していきます。一口目から美味しすぎない塩梅の賜物でしょう。
美山の鮎はしっかり焼かれていますが、しっとりとした仕上がり。鮎の香りも感じられ美味しかったです。
鱧しゃぶは鱧を淡泊な出汁に潜らせて梅肉醤油と一緒に。美味しいには美味しいのですが、梅肉醤油だけだと飽きるので、他の選択肢もあると良いのではないかなと。
春の末友さん。引き出しの多さは流石。
先付(ホワイトアスパラガスのすり流し)
八寸(鯛の白子・鯛の子、鯛の手毬寿司、蛸の桜煮、蜆時雨煮、一寸豆、南瓜寒天寄せ、蛍烏賊のテリーヌと湯葉チップス、うすい豆等)
椀物(アブラメ、筍、若布、木の芽)
向付(サヨリ、剣先イカ、赤貝)
焼き筍
焼きモロコ
花山椒と和牛のしゃぶしゃぶ
花山椒鍋(どじょう、新ごぼう)
氷魚ご飯、赤出汁、香の物
スイカのシャーベット、ぶんたん、桜餅
お薄
こちらの八寸はいたずらに塩気が強いということがなく、単なる酒の肴とは一線を画しています。鯛の白子と鯛の子は味付けが特に好みでした。
椀物の出汁は昆布主体で、鰹の存在を感じさせません。一口目は淡い塩梅で、椀種を引き立ててくれます。
向付の細魚や剣先いかはイマイチも、焼き筍は非常に美味しかったです。えぐみは一切なし。心地良い食感と凝縮した筍の味わいを堪能できました。
花山椒二種も好印象。特に花山椒と和牛のしゃぶしゃぶは非常に美味しかったです。過去にこちらでも同じ料理をいただいたことがあるのですが、今回のものは全くの別物。
どじょうと新牛蒡の花山椒鍋もほっこりする味わいで良かったです。〆の氷魚ごはんも滑らかな独特の食感と儚い味わいが印象に残るものでした。
冬の末友さん。この日のメインはジビエ。
先付(鶉)
八寸(茶ぶり海鼠、蕪の葉とお揚げ、生の唐墨、トンブリ、銀杏等)
向付(鮃、いか)
椀物(カワハギの蕪蒸し)
焼物(真鴨)
強肴(海老芋の炊いたん)
強肴(唐墨大根)
でんふご飯
水物
お薄
八寸はどれも丁寧に仕上げられたもので、酒肴として丁度良い塩梅の味付け。塩味等は平均的なお店よりも控えめな部類に入るでしょう。
お椀はカワハギの蕪蒸し。肝まで使用しているからか、出汁は当店の平均的なものよりしっかりめとの印象。椀種との調和は素晴らしかったですが、グジの蕪蒸しの方が美味しいのではないかなと。
鴨は半身を丸々。赤ワインを使ったソース or おろしポン酢で。臭みは一切感じず、ソースも美味しかったです。
技術やセンスの高さは流石。客のリクエストに対応できる引き出しを持っています。もう少し暖かくなったら、また伺おうと思います。
晩秋の末友さん。間人蟹をこれでもかという位いただきました。
湯掻きたての内子
湯掻きたての外子
コッペのスープ
コッペのほぐした身(土佐酢のジュレで)
八寸(生の唐墨、烏賊の塩辛、蕪の葉とお揚げ、車海老と酢蓮根・穴子の八幡焼き等)
蟹刺し
椀(クエ・蕪)
向付(鮃、アオリイカ)
焼き蟹
蟹味噌とも和え
甲羅焼き
海老芋の油物
紅葉ご飯
水物(ラ・フランス、ラム酒のゼリー、紫芋の羊羹)
お薄
事前に調理済みなのが一般的なコッペ(間人)を湯掻きたてで供していました。内子も外子も食感・香りと一味違いました。身体が冷えないのも嬉しいところ。コッペのスープも実に濃厚でした。八寸も酒の肴として良い塩梅。
椀物の出汁は昆布主体。鰹節の主張は控えめで、クエや蕪のうま味・甘味に寄り添ってくれます。食べ進めるうちに照準が合ってくるもので、途中でピークアウトしません。
間人蟹(雄)は刺身の後、焼きと蟹味噌をひたすら。蟹はジューシーで甘く、味噌も濃厚。少々飽きてしまうほどで、雄はトータルで半杯を超えたのではないかなと。翌朝、体液から蟹の臭いを感じるほどでした。魚は餌で味や香りが変わると言いますが、人間にも当てはまるのかもしれません。惜しむらくは、蟹が私の好物というわけでもないということでしょうか。
終盤の海老芋、紅葉ご飯にも満足。
シャンパーニュのハーフをいただいて8万円台後半。こちらでの利用額としては過去最高のはずです。間人蟹も随分高くなったものだなと驚きました。
秋の末友さん。日が暮れると冷え込むものの、紅葉はまだ色づく気配を見せていませんでした。予算をある程度お伝えしてお願いしました。
先付(藁で燻した牡蠣)
八寸(炒り銀杏、栗の揚物、黄身の味噌漬け、秋刀魚の鞍馬煮、穴子の八幡巻き、塩辛、いくらおろし等)
土瓶蒸し(松茸・鱧)
向付(甘鯛、伊勢海老、鯖、鰆)
落ち鮎の付焼き
焼き松茸(丹波)
天然鰻の付焼き(琵琶湖)
松茸のフライ(丹波)
半張り蒸し
零余子ごはん、赤出汁、香の物
水物(無花果と蜂蜜ゼリー、栗の菓子)
お薄
先付の牡蠣は燻した香りごと器に閉じ込めて供されました。蓋を開けると香りが広がり、牡蠣の味わいを引き上げてくれます。八寸は相変わらず手の込んだもの。いくらのおろし和え、栗の揚物が特に好印象でした。
メインの松茸は丹波のもの。土瓶蒸し、焼き、フライで堪能しました。土瓶蒸しにはたっぷりの松茸。香りが素晴らしく、幸せな気分になれました。焼きは蒸しをいれずに。香りと食感が際立っていました。
鰻は蒸しを入れて付焼きで。野趣溢れる味わいを残しながらも、あくまで仕上がりは上品に。落ち鮎の火入れも完璧でした。
なんてことはないように見える半張り蒸しも、非常に滋味深いもので落ち着く味わい。〆の零余子ご飯も香りが楽しめるものでした。
久しぶりの末友さん。秋とはいえ、まだ日中には暑さを感じることもあるような時期でした。通常のコースにちょっと追加する形でお願しました。
先付(鼈の春巻きと鼈のスープ)
八寸(カマスの寿司、銀杏、黄身の味噌漬け、穴子の八幡巻き、ピオーネの酢味噌和え等)
向付(目板鰈、剣先いか、赤雲丹)
椀物(鮑と秋ナス)
焼き松茸(和歌山)
岩魚の塩焼き(近江八幡)
鰻の付焼き(琵琶湖)
落ち鮎の付焼き(琵琶湖)
鱧しゃぶ
鮎ご飯
水物(無花果の田楽とキウイのゼリー、栗の菓子)
お薄
鼈のスープは秀逸。春巻きは若干塩味が強めかもしれませんが、許容範囲内といったところでしょうか。八寸はどれも手の込んだもの。季節を感じる立ち上がりでした。向付の目板鰈や赤雲丹(由良)は非常に美味しかったです。
椀の出汁は昆布を軸にしたもの。無駄なインパクトがない分、鮑や茄子といった椀種をより一層引き立ててくれます。一口目から美味しすぎるような椀物とは一線を画しています。
松茸や鰻にも大満足。松茸は食感と香りが良く、非常に美味しかったです。鰻は少し蒸したものを付焼きに。脂も適度に落ちており、鰻の野趣を残しながらも上品な仕上がりになっていました。
鱧しゃぶの出汁はともすれば物足りないと感じてしまいそうですが、ゆっくり味わえば鱧を引き立ててくれるのが分かります。〆の鮎ご飯も美味しかったです。残った分はお握りにしてお土産に。
冬の末友さん。ここまで満足した食事というのも久しぶりのような気がします。
先付(鶉の山椒焼き)
八寸(北海シマエビの沖漬け、雲子、いくらのおろし和え、蕪の葉のお浸し、太刀魚の手鞠寿司、からすみ、揚げ銀杏等)
北寄貝(酢味噌で)
てっさ
椀物(サエズリと水菜のはりはり)
河豚白子焼き
焼き河豚
蕪の炊いたん
紅葉ご飯
水物(無花果のアイスとラフランスにココナッツのソース)
お薄
先付は鶉のモモ肉を山椒焼きにしたもの。味付けが絶妙でした。前回もう一つピンと来なかった北海シマエビもこの日のものはGood。北寄貝も前回を遥かに上回るもので、非常に美味しかったです。酢味噌が合います。
椀物はサエズリと水菜のハリハリ。癖や灰汁を上手に取り除いて、サエズリのうま味・甘味が愉しめるように仕上げられていました。出汁は通常よりもしっかりしたもので、サエズリとの調和が秀逸でした。水菜の食感や柚子胡椒も良いアクセントに。サエズリは炊合せや鍋物というイメージが強いのですが、偶の変化球としてはお椀でもアリだなと。
河豚(豊後)はてっさ、焼き河豚、白子焼きをいただきました。どれも美味しかったですが、焼き河豚が白眉。この日の河豚は人生で食べた中で一番美味しかったのではないかなと。ここの河豚はすごく美味しい時とそうでもない時の差が大きいような気がします。
蕪の炊いたんは振り柚子もされており、やや甘めの味付け。蕪そのものの甘味は覆われておらず、優しくほっこりする味わいでした。
2020年一番の満足度でした。パーソナルな対応の中で作られる料理というのはやはり美味しいものだなと。難点を挙げるとすれば、色々な意味で安定感が足りないことでしょうか。
久しぶりにランチでの訪問。CPの良さを再確認できました。
先付(胡桃和え)
八寸(いくらと大根卸し、銀杏と栗の揚物、鯛の手鞠寿司、秋刀魚、お揚げと蕪の葉のお浸し)
椀物(浅利と蕪)
向付(秋鮭オリーブ油和え)
鯛の御頭山椒焼き
炊合せ(揚げた里芋、辛味大根、河豚節)
ご飯、赤出汁
水物(りんごのラム酒漬けと無花果のアイス)
お薄
八寸は夜と比べて品数・クオリティともにほとんど差がありません。塩味の塩梅が素晴らしいいくら、渋皮ごといただく栗の揚物、お浸し等々、季節感のある手の込んだ美味しいものばかりでした。
お椀の出汁は非常に抑制的。鰹に頼らない椀種に寄り添うものでした。鯛の山椒焼きも非常に美味しかったです。夜のような高級食材こそ供されませんが、調理は手抜きを感じませんでした。
他店が安易に値上げしている中、ここのランチは以前と変わらず5500円(税・サ別)から。使用できる食材の制約は以前より厳しいはずですが、工夫で上手く補っていると思います。冷酒1号で8,000円台半ば。以前より量が減ったとは思いますが、CPは満点評価で差し支えないでしょう。
夏の末友さん。今回は期待を下回ってしまったというのが本音でしょうか。
先付(焼き賀茂茄子)
八寸(青梅の甲州煮、枝豆、いなだ、じゃこ、鱧の浮袋の煮凝り、粽寿司、毛蟹)
椀物(鯛にゅうめん)
向付(アマテガレイと鮪)
鮎の塩焼き
焼きフカヒレ(山椒味噌で)
鱧しゃぶ
鱧の焼霜
茗荷ご飯
水物
お薄
先付の賀茂茄子はトロトロに焼かれており美味。八寸はうま味・塩味ともに良い塩梅。お酒が進むものでしたが、品のある味付けに仕上げられていました。椀物の鯛にゅうめんも途中でピークアウトせず、悪くはなかったかなと。
ただし、焼きフカヒレは個人的には少々疑問符の付くもの。鱧の骨切りにやや甘いところがあったのも残念でした。色々な面で安定せず勿体ないなと。無論、それも含めて店の実力なのだとは思いますが。
前回からあまり間隔が空いていなかったので、通常のコースを少し崩していただきました。そんなわけでこの日は蟹抜きでした。
河豚の先付(胡桃のペーストで)
八寸(雲子、いくら、なまこ、鶉山椒、銀杏)
向付(鮃)
椀物(鮑と蕪)
フカヒレの焼物
近江牛の焼物
海老芋と壬生菜の炊合せ
紅葉ご飯・赤出汁
水物(ラフランスと無花果のアイス)
お薄
ちょっと抜けているところもありますが、こんな感じだったと思います。八寸は一つずつ手の込んだもの。特に鶉の山椒焼きが白眉。椀物は以前にもいただいたことのある鮑と蕪の椀物。一口目から美味しすぎない良い塩梅。吸い地が椀種を引き立ててくれます。
蟹の代わりのフカヒレは非常に立派なサイズ。調理方法はお店推奨の焼物で。フカヒレの焼物というのも美味しかったですが、やはり炊合せあたりにしておけば良かったかなとも。炊合せの海老芋(富田林)も立派なものでしたが、炊き方には疑問も。
ここ最近、雰囲気面で気になるところが多く、夜の価格帯では他人にオススメしにくくなったというのが本音です。久しくランチのコース(5500円)をいただいていませんが、CPは非常に良かったですし、夜よりもオススメです。
晩秋の末友さん。蟹のコースにオプションでさらに蟹を追加してもらいました。
先付(穴子の飯蒸し)
八寸(いくら、生からすみ、烏賊塩辛、銀杏、栗等)
椀(甘鯛と蕪)
向付(河豚)
蟹刺し
焼き蟹
甲羅焼き
こっぺ
マッシュルームの半張り蒸し
伊勢海老のご飯・赤出汁
無花果のアイスクリームと梨
お薄
穴子の飯蒸で空腹を紛らわせ、お酒と八寸を楽しみました。手の込んだ八寸は、塩気も適正の範囲内で品のある味付け。非常に美味しっかったです。椀の吸い地は一口目は物足りないくらいで、甘鯛の味わいを引き立ててくれます。甘鯛の塩味がやや強かったので、個人的にはそれをもう少し和らげる工夫があれば尚良しだったかなと。
河豚の質は褒められるようなものではありませんでしたが、蟹は美味しかったです。間人蟹は刺身、焼き、甲羅焼き等でいただきました。この日はこっぺも。マッシュルームの半張り蒸しはちょっと変わった味わいでしたが、これも悪くはないのかなと。一方、伊勢海老のご飯は微妙でした。
シャンパーニュと冷酒を適量飲んで、一人当たり6万円台半ば。食べた蟹の量を考えれば納得できる値段ではありました。サービスや雰囲気に関しては、再考すべき点が増えているような気がします。
晩春の末友さんにお邪魔しました。
先付け(雌の渡り蟹)
八寸(粽寿司、蛍烏賊のテリーヌ、蛸の桜煮、子持ち昆布、筍姫皮等)
アブラメの椀物
向付(さより、鮪)
赤貝(舞鶴)
若鮎の焼物
穴子の焼物
松阪牛の花山椒鍋
豆ご飯・赤出汁
水物(ババロア、蕨餅)
お薄
八寸の粽寿司、お造りのさより、花山椒鍋、豆ご飯が好印象でした。特に花山椒鍋は以前いただいたものよりも美味しく、満足のいく一品でした。
その一方で、アブラメの椀物は美味しいとは思うものの、3年前にいただいたものには及ばないかなと。若鮎や赤貝に関してはそれほどとも。個人的には、この時期に若鮎を供されても嬉しくないというのが本音です。たしかに食材的には端境期なのでしょうが、だからこそもう一段の工夫を期待したいところです。
お正月明けの末友さん。
先付(若筍と蛤)
八寸(たづくり、唐墨大根、数の子、子持昆布、黒豆、茶振り海鼠、手毬寿司)
椀(蕪蒸し)
蟹刺
焼き蟹
甲羅みそ
向付(フグてっさ、鉄皮等)
フグ白子焼きキャビア載せ
炊合せ(豆腐)
鯛飯(黒ゴマ・生姜)
止椀(粕汁)
水物
お薄
寒い夜に嬉しい温かい先付でスタート。若筍(塚原)と蛤にペースト状のワカメを掛けたものが熱した石の上に乗せられて供されました。見た目や温度はもちろん、料理の香りもより一層楽しめる演出です。筍は甘く、蛤も火入れが絶妙で非常に美味。やはり筍とワカメは出会いものです。蛤にも合います。
八寸も粒揃い。ちょっとネットリした感じを残した唐墨は他店と比べ塩味が抑制的。シャキシャキの大根との食感のコントラストや味わいの調和もgood。一手間掛けた数の子も、身が詰まったような弾力とうま味が感じられました。出汁に浸した子持昆布も悪くないですし、黒豆も甘さが嫌らしくなく好印象でした。
椀の蕪蒸しは、滋味深い逸品。しかしながら、数年前の一杯は今回も越えられず。津居山の蟹も美味しいですが、うま味や甘味は例年のもの(間人)の方が上ではないかなと。
その一方で、河豚は昨年のものより格段に上。非常に美味しかったです。キャビアは蛇足も、白子焼きも美味しかったです。豆腐を使ったシンプルな炊合せや鯛飯も非常に美味しく、止椀の粕汁も黒七味が味を引き締めてくれており、美味しかったです。
ほぼ完璧といえる内容。ここ二、三年の当店への訪問歴の中では一昨年の夏以来の当りかなと。大変素晴らしい内容で、他店も含め今冬一番の内容でした。
晩春の末友さん。印象に残ったものは、良い意味でアブラメの椀物と筍の焼物(追加料金)。悪い意味で若鮎の焼物と花山椒鍋。
椀物は相変わらず秀逸。昆布に根差した出汁は椀種のアブラメに寄り添うもの。余韻を感じる素晴らしい椀物でした。長岡の朝掘りの筍は真っ白。ジューシーで美味しかったです。
その一方で、若鮎(琵琶湖)や花山椒鍋には疑問符が付くかなと。率直に言って、若鮎は低質でこの時期に無理して供するものなのでしょうか?花山椒鍋もちょっとくどい味付けだと感じてしまいました。相変わらず当たり外れが大きいかなと。
桜が咲き始める前の末友さん。筍と鮑のうぐいす餡(先付)、蛤の椀物、焼きもろこ、鯛飯等をいただきました。
まだ寒い時期だったので、温かい先付けでのスタートはありがたいかぎり。当店のうぐいす餡は春らしい色彩と香りで、素材を覆わずにその魅力を引き立ててくれます。椀の吸い地は一口目は物足りない位ですが、椀種の蛤に寄り添うもの。最後までピークアウトせずに余韻を与えてくれます。もろこも質が良く、美味しかったです。
冬の末友さんに。今回は3万円のコースで。
蟹の飯蒸し
八寸(雲子、蟹、いくら、お浸し、イカの塩辛、茶振海鼠、鴨ロース、唐墨、牡蠣の燻製)
蕪蒸し(ぐじ、ユリ根)
向付(かわはぎ、赤貝)
蟹の刺身
堀川牛蒡のすりながし
焼き物(間人蟹)
蟹のスープ
焼き物(本鴨)
炊合せ(鰤しゃぶ)
紅葉ご飯
バナナのアイスと洋梨
お薄
飯蒸しは外子・内子たっぷりの贅沢な一品。八寸も末友さんらしい華やかさと味付け。かわはぎは大きな肝と一緒に醤油で。赤貝は酢味噌で。どれもgood。
蕪蒸しはほっこりする味わい。途中でピークアウトすることがないので、余韻を楽しめます。美味しかったですが、以前いただいたものの方に軍配があがるかなと。
間人蟹は刺身と焼きで。最後に甲羅にスープを入れて楽しみました。本鴨の焼き物はリンゴ酢か塩で。リンゴ酢は悪くありませんが、鴨の美味しさを引き立ててくれるかというと少々疑問も。個人的には塩に飽きた時に変化を付けるくらいの位置付けの方が良いように感じました。
炊合せの鰤しゃぶもまずまず。穏やかな塩味と酸味で纏められていました。〆の炊き込みご飯は明太子を使った紅葉ご飯。非常に美味しかったです。
秋の末友さん。
戻り鰹(酒盗で)と鱧の子
八寸(銀杏、烏賊の塩辛、黄身、いくら、鮨、秋刀魚の山椒煮)
土瓶蒸し(松茸、鱧)
向付(鮪、白身)
琵琶湖産子持ち鮎(生姜醤油で)
丹波栗(ラム酒のソースで)
蓮根餅の炊き合わせ(ズワイ蟹入り)
むかごご飯
デザート
お薄
良い意味で一番印象に残ったのは蓮根餅の炊き合わせ。餡にズワイ蟹が入ったもので、素材を覆わない味付け。非常に美味しかったです。
一方、悪い意味で印象に残ったのは土瓶蒸し。松茸がかなり低質だと感じました。松茸の価格が高騰していたとはいえ、もう少し質にこだわっていただきたかったというのが本音です。
夏の末友さん。お店に入ると氷柱が出迎えてくれます。
先付(ずいきと鮑)
八寸(とうもろこしの揚物、青唐辛子、サツマイモ、煮凝り2種、鯖寿司、枝豆等)
向付(オコゼ)
椀物(毛蟹、キクラゲ、冬瓜)
鮎塩焼き
鱧しゃぶ(韓国)
茗荷ご飯
トマトのコンポート、葛切り
お薄
椀の吸い地は繊細で余韻を楽しめるもの。お椀以外ではおこぜと鱧しゃぶが特に印象に残りました。韓国産の鱧がそれほど上質なのかは個人的には疑問ですが、しゃぶしゃぶの出汁は非常に美味しかったです。
桜の季節の末友さん
先付(赤貝、つぶ貝)
八寸(蕨のソースと蛍烏賊、わさび菜、鯛と烏賊の手鞠寿司、木の芽味噌と蛸の桜煮、唐墨・大根、筍の姫皮)
椀物(蛤、寄せ豆腐、筍)
向付(鰆、さより、アブラメ)
蕗の薹の揚物と白アスパラガスのすり流し
焼物(子持ちもろこ、若鮎)
炊合せ(さえずり)
アサリご飯・赤出汁
デザート
お薄
椀の吸い地は一口目から美味しすぎるということがなく、余韻まで楽しめます。蛤が悪目立ちしておらず、出汁と椀種の調和も取れています。
サエズリは臭みや灰汁は感じませんが、胡椒が少々強め。たしかに、味が引き締まり、単品で食べる分には美味しいと思います。しかしながら、直後の〆のご飯が薄味なだけに、前後のバランスという点では少々疑問も。
先付けの赤貝とツブ貝は、辛子酢味噌や貝柱と煎り酒のジュレで。辛子酢味噌は3月のウグイス餡と並んで末友さんらしい味付け。甘味と酸味のバランスが絶妙で、素材に寄り添うものでした。
蕗の薹の苦味にホワイトアスパラの微かな甘味を合わせるのも面白い取り合わせ。子持ちもろ子も質が良く、美味しかったです。
その一方で、若鮎(琵琶湖)はイマイチ。アイナメはお椀でいただきたかったというのが本音です。
終盤の炊合せとご飯のバランスがコース全体の満足度を左右することが多いように思います。炊合せは変に淡白すぎても盛り上がりに欠けますし、かといって、パンチを利かせると、直後のご飯の味わいを損ねてしまうのではないかなと。
まだ寒かった2月に末友さんの料理で身体を温めてきました。
先付(蒸し蟹)
粕汁
八寸(鰯、玉子焼き、からすみ大根、稲荷、黒豆、茶振りナマコ等)
カワハギのみぞれ椀
向付(いか、グジ子漬け)
菊芋のすり流し
焼物(もろこ、河豚)
猪のしゃぶしゃぶ
じゃこご飯
水物(お汁粉、アイス)
お薄
椀の種はカワハギの身と肝。出汁にもカワハギの骨を使っているとのことでした。肝は身にコクを与え、椀全体の味わいも引き上げてくれます。吸い地は椀種に寄り添うもので、最後までピークアウトすることなく、余韻を愉しめるものでした。
向付で供されたぐじの子づけはこちらの定番品。この日の物はまずまずといったところか。菊芋のすり流しは優しい味わいで手抜きを感じませんでした。
焼物の河豚はイマイチ(火を入れすぎ?)でしたが、もろこは美味。猪のしゃぶしゃぶも嫌らしくない味付けで、大変美味しかったです。
カワハギや猪を使用しても、味がオーバーバランスにならないのは好印象。出汁や味付けは繊細そのもので、塩味・甘味・酸味等の収まりが非常に良く、素材の味を覆いません。当たり外れも見受けられますが、コース価格(税サ別2万円)を考えれば大変満足のいく内容でした。
お正月の末友さん
先付け(からすみ、大根、黒豆、田作り)
白味噌仕立ての雑煮(栃餅、人参、大根)
八寸(棒鱈、なまこ、このわた、子持ち昆布、慈姑せんべい等)
向付(河豚)
雲丹とキャビア
焼物(間人蟹)
塚原新筍の若竹煮
河豚のアラと聖護院大根の炊合せ
鯛飯
水物(苺)
抹茶
唐墨は塩味抑えめで大変美味。黒豆も丁寧に仕事をされたものでした。
白味噌椀は鰹が前に出ていない優しい甘さで、こちらも大変美味。
フグは高額店御用達の厚めの引き方。てっさが白子や鉄皮等を完全に覆いつくすように盛り付けられていました。最上の質とは言いがたいですが、価格を考えれば、質・量ともに十分かなと。
若竹煮や炊合せはどちらも素材を覆わない味付けでgood。炊合せは柚子が少々効きすぎとも感じましたが、許容範囲内でしょう。
間人蟹や〆の鯛飯にも満足できました。
その一方で、キャビアが使用されていたのは大変残念でした。こういう類のものには手を出して欲しくなかったというのが本音です。高額請求との帳尻合わせと感じなかったのがせめてもの救いです。
予約困難を売りにするようなお店は好きではありませんが、詰め込み過ぎるのも考え物。忙しすぎると余裕が持てず、細かい点を見落としてしまうこともあるのではないでしょうか。
2017年1月
晩秋の末友さん
先付(藁で燻したヨコワ。酒盗で)
八寸(鰻、鯛、蕪の手まり寿司、平貝、カラスミ、イカの塩辛等)
椀(初蕪と鮑)
向付(鮃)
間人蟹
イチボ(低温調理)
海老と堀川牛蒡のはさみ揚げ
鴨の治部煮
栗ご飯
水物(柿、栗のアイス、お汁粉)
抹茶
椀の吸い地は淡く、繊細。一口目は物足りないくらいで、食べ終える頃に満足度がピークに達します。鰹の効いた強い味がお好みの方には物足りないかもしれません。蕪の甘味が存分に楽しめました。
薄味で美味しいのですが、食材のチョイス等は個人的にはどうかな?と思ってしまいます。お客さんを詰め込みすぎる所も少々残念です。
2016年11月
――――――――――
晩夏の末友さん。氷柱が出迎えてくれました。
先付1 鮑の素揚げ(叩いたオクラと)
先付2 雲丹と湯葉(醤油ジュレと)
八寸(柿の葉寿司、鱧の煮凝り、鴨ロース、新銀杏等)
椀(早松と鯒)
向付(九頭竜川の鮎、ヨコワのたたき)
桃のすり流し
太刀魚の幽庵焼き
鱧(瀬戸内)のしゃぶしゃぶ
蛸ご飯
アイス
葛切り
抹茶
素材にもう一こだわりをと思うことはありましたが、出汁・味付けに関しては当店が一番だと思っていました。
しかしながら、この日の吸い地はやや塩辛く、少々がっかりしてしまいました。鰹臭くないのは流石でしたが。その後の訪問で供された冬瓜の椀も、これまでのような繊細さはなく、やはり塩味が少々立っていました。正直、前回からの変化に驚いてしまいました。カウンター内でガスバーナーを使用していたのも興醒めでした。
サービスは至って丁寧で、十分行き届いていました。お弟子さん達も頑張っておられ、カウンター内も一段と明るく華やいでいるとの印象を受けました。
もともとムラがあるとは感じていましたが、久しぶりに悪い点が目についてしまいました。次回に期待しつつ、お店を後にしました。
2016年8月
――――――――――
桜の季節の末友さんにお邪魔しました。
先付け1(ホタルイカと蕗の薹の酢味噌合え)
先付け2(雲丹とジュレ)
八寸(蛸の桜煮、筍の姫皮とジャコ、鯛とイカの手毬寿司、桜鱒の昆布〆といくら、もずく酢等)
椀物(アイナメと蓬麩)
向付(鰆、サヨリ)
焼物(稚鮎)
トマトの箸休め
鍋物(筍、昆布、鯛の子、鯛の白子)
うすい豆と菜の花のご飯
水菓子
抹茶
椀の出汁は相変わらず秀逸。とにかく繊細でアイナメのうま味と調和していました。アイナメも立派。全く鰹臭くなく、蓬の香りが鼻腔をくすぐります。絶品でした。タタキ風の鰆はポン酢で。もっちりした食感が面白かったです。稚鮎に使う蓼酢も当店のものが一番好みです。桶で供された長岡産の筍は木の芽や鰹節を掛けて。悪くはありませんが、これなら普通の若竹煮が食べたかったというのが本音です。この辺は3月と同様の感想になります。鯛の白子はクリーミーで美味しかったです。うすい豆と菜の花のご飯も塩味が程よく、非常に美味しかったです。
見た目の華やかさに反して、うま味や塩味等の収まりが良い、淡く繊細な味付けです。インパクトの強い味付けが好みの方には物足りないかもしれません。
料理への不満はありませんが、さすがにお客さんを詰め込みすぎかなと。一生懸命のようですが、余裕の無さがカウンターの客にまで伝わってきてしまうのはいかがなものかと思います。
2016年4月
――――――――――
先付(筍と鮑のうぐいす餡)
八寸(赤貝とモンゴイカの酢味噌和え、筍の姫皮とジャコ、カラスミと大根等)
椀(蛤、玉子豆腐、梅肉)
向付(甘鯛、ツブ貝)
新玉ねぎのすり流し
焼き物(子持ちもろこ)
鍋物(河豚)
ご飯(あさりと生姜)
水菓子
抹茶
うぐいす餡は筍(長岡)や鮑の味を邪魔せずに、春らしい色と香りを添えてくれます。八寸に使われている酢味噌も優しい味。カラスミも自信作というだけあって非常に美味しかったです。立派な蛤を使った椀は梅を途中で溶かして味に変化を付けます。出汁は蛤のうま味・香りに寄り添うもの。出汁にとろみがあるので、梅の酸味がゆっくり加わっていきます。食べ進めるうちに次第に濃くなっていく梅の酸味と蛤のうま味が愉しめました。これは絶品でした。一手間加えた甘鯛もねっとり濃厚な味わいで美味しかったです。桶で供された河豚はポン酢で。昆布と河豚の出汁もなかなか。〆のあさりと生姜ご飯もわずかな塩のみという潔い味付けでした。
うま味、塩味、甘味等全てが過剰すぎず、素材を覆わない完璧な味付けでした。正直なところ河豚は不要なので、その代わりに普通の炊合せを入れてほしいと感じました。
座り位置によってはカウンター席に調理場の声が届きます。初めてのお客さんをあまり驚かせないように気を付けた方が良いのではないでしょうか(苦笑)。
2016年3月
――――――――――
晩秋の末友さん
先付(丹波牛朴葉焼き)
八寸(銀杏・生のカラスミ・蕪寿司・茶ぶりナマコ・鴨等)
椀(初蕪)
向付(瀬戸内の鮃・豊後の鯖)
茶碗蒸し
間人蟹(焼き・蟹味噌と一緒に・甲羅酒の三種類)
炊合せ(海老芋・金時人参)
栗ご飯
水菓子
抹茶
献立には疑問を感じる点もありますが、出汁は相変わらず秀逸でした。丁寧に引かれた椀の出汁は蕪の甘みに寄り添うもの。他にも出汁を多めに張った茶碗蒸しや海老芋と金時人参の炊合せが印象に残りました。
味が好みなだけに、あまりガツガツしすぎず、もう一こだわりをと思わずにはいられません。
2015年11月
――――――――――
秋の味覚を味わいに伺いました。寄付には栗が置かれていて、季節を感じさせてくれます。
先付(胡桃ソースが掛かった大根や胡瓜)
八寸(子持鮎素揚げ、いくら、鯖、鯛てまり寿司、鴨ロース等)
向付(鮃と紀州の戻り鰹)
椀(蓮根饅頭、大黒本しめじ)
丹波栗(自家製の蜜を掛けて)
すき焼き(岡山県産松茸、和牛等)
鱧ご飯(淡路)
デザート(完熟無花果、すいかのシャーベット)
抹茶等
椀種はつなぎを使用していない蓮根饅頭と大黒本しめじ。蓮根饅頭の少しパサ付く食感を餡がカバーしています。この餡が素材に寄り添うもので、非常に美味しかったです。この日一番印象に残った料理です。立派な丹波栗には蜜を掛けて頂いたのですが、この蜜も甘さ控えめで嫌らしさのない美味しいものでした。そこまで好んで食べないすき焼きですが、これもなかなか美味しかったです。〆の鱧ご飯にも満足できました。
見栄えの良さや演出に凝りすぎで、料理・接客ともに迎合的だと感じてしまうところもあります。もう少し中身の方が濃くなると、もっと良くなると思うのですが・・・。
2015年10月
――――――――――
桃の節句にちなんで甘酒から。
先付(雲丹・鮑・フカのヒレ)
八寸
アブラメと寄せ豆腐の椀
向付(いか・グジ)
焼きもろこ
若竹煮
鴨の鍋物
アサリと貝柱のご飯
抹茶等
先付けは鮑、フカのヒレ、そして雲丹に温かいうぐいす餡を掛け、かき混ぜて頂くものでした。向付のグジにはパリパリの鱗が掛けられていました。どちらも食感を楽しめる面白い料理でした。アブラメの椀、塚原の筍が贅沢に使われた若竹煮も美味しかったです。
レアな日本酒を飲んだこともあって、お会計は3万円強でした。しかし、非常に満足できました。
2015年3月
――――――――――
蛤と銀杏に白味噌を付けながら頂く温かい先付けでスタート。
滋味深いグジの蕪蒸しは絶品でした。
身の詰まったプリップリッの間人蟹、
そして紅葉ご飯と非常に美味しかったです。
大変満足できる内容でした。
2014年12月
――――――――――
重陽の節句ということで菊のお酒を頂いてからコースが始まりました。
先付の栗の飯蒸し
八寸
すっぽんの吸い物
向付にヒラメ、伊勢海老、鰹、
鱧白焼き(韓国産)
一番出汁と頂く焼松茸
蕪と鴨の煮物
珍味(生のフカヒレ、雲丹、蟹等)
むかごご飯
抹茶等
すっぽんの吸い物は上品で美味しかったです。韓国産の鱧は脂が乗ったもので、これも美味しかったです。ポーションが大きいのも好印象でした。今回は各皿間での満足度の差が小さく、全体を通してかなり良かったです。プレゼン含め、時々やりすぎでは?と感じる部分もありますが、ムラっ気とでも表現すればいいのでしょうか。許容範囲内に収まれば、満足度は非常に高いと思います。
上記は夜のコースですが、まずはCPが高いランチで試しに訪問してみると良いと思います。ランチはお金を掛けずに手間暇掛けた料理という感じです。夜への期待が膨らむと思います。ランチも二時間くらいかけてゆっくり食べるものなので、観光の予定がある方は気をつけて下さい。
末友さんはサンデーサイレンスみたいな方です。負けん気の強さを良い方向に向けることができれば、もっと良いお店になるのではないでしょうか。女将さんが道中の折り合いをつけ、ステッキをいれる必要があるのかもしれません。武豊がサンデーサイレンスの特徴を掴んで勝鞍を伸ばしたように。
2014年10月
――――――――――
祇園にあるミシュラン一つ星の京料理店です。ご主人の末友さんは祇園丸山出身だそうです。
先付(塚原産筍と蛤の木の芽和え)
八寸(公魚の天ぷら、うすい豆、蛸、ホタルイカの酢味噌和え等)
アブラメの椀物、
向付(鰹等)
もろこの焼き物
若竹煮
猪の鍋物
アサリご飯
抹茶等
椀は評判通り非常に美味しかったです。また、若竹煮や生姜が利いたアサリご飯も非常に美味しかったです。その一方で、八寸はやり過ぎではないかと思う品があったり、鍋物は唐辛子が邪魔ではないかと感じるなど、少々理解に苦しむ部分もありました。個人的には、各皿間での満足度の差が大きいように感じました。料理自体は美味しいですが、CPが良くないのでは?というのが率直な感想です。
ご主人がこだわっているというお店の設えは素晴らしく、仲居さんのサービスも気が利いており快適でした。ご主人は非常に向上心が高く、陽気で面白い方です。ただ、バイタリティ溢れる性格なため、それがかえって圧迫感につながることもあるように思います。
2014年3月
6位
3回
2019/12訪問 2020/04/13
久しぶりの訪問となってしまいました。また、アラカルトではなく、コース料理というのも久しぶりでした。
最も好印象だった料理はタヤリン。相変わらずの完成度でした。トマトソースも非常に美味しかったです。ズッパも深みがあってgood。こういう料理一つとっても店によって差が出るものなのだなと。セコンドの仔羊のローストにもそれなりに満足。微妙だと感じたのは牡蠣の前菜くらいかなと。
グラスで注文したこともあってか、ワイン代が必要以上に嵩んだ印象は否めません。次回はボトルでお願いしようかなと。また、こちらの真価はやはりアラカルトにあるように思いました。
アラカルトで以下のものをいただきました(シェア含む)。
ホワイトアスパラ(フランス産)のオーブン焼き
完熟トマトのタヤリン
アミガサタケのクリームタリアテッレ
骨付き子羊(アバッキオ)の炭火焼き
チーズ
デザート
ワインはBarolo Monfortino Riserva Giacomo Conternoをいただきました。現地の味を無理に日本人に寄せず、合わない料理は最初から載せていらっしゃらないのかなと。
昨年はあまり伺えませんでしたが、今年はちゃんと訪問したいと思っています。
2016年3月
初訪問以来、時折利用しているイタリアンです。ピエモンテの郷土料理はもちろん、それ以外の料理も美味しいです。味付けもワインに合う塩梅で良いと思います。写真撮影が条件付きでOKになったようですが、雰囲気が保たれることを祈っています。
2015年12月
――――――――――
西麻布にあるピエモンテ料理のお店です。
アラカルトメニューが大きな黒板に所狭しと書かれています。このメニューを一つずつ説明してくれるのですが、それ以外にも入荷状況に応じて出せる料理があるようです。初めての訪問でしたので、出来るだけ郷土色の強い料理を選択しました。
アルバ産白トリュフのココット、
ガレッティ茸のスフォルマート、
猪ラグーソースのラリオリ、
ブラッサート・アル・バローロ、
ココット以外はシェアしました。
スプマンテと白はグラスで、赤はバローロをボトルで。
白トリュフは箱を開けると良い香りが立ち込めました。目の前でスライスされた白トリュフを半熟の卵と絡めると、より一層香りが引き立ちました。ブラッサート・アル・バローロは牛ほほ肉をバローロでじっくり煮込んだもの。ソースに深みがあり、やはり美味しかったです。
料理をアラカルトで注文し、ワインもボトルで入れたせいか、お会計は一人二万円を突破してしまいました。ワインの値段は高めに感じましたが、良いワインを頼む価値が十分ある料理だと思いました。
サービスは好みが分かれるようですが、レビュアーではない一般の方なら快適に食事を愉しめると思います。マダムは元気はつらつな感じで、接客等もいたって丁寧でした。ネガティブな意見は写真撮影禁止を徹底していることが原因でしょうか。食事中に写真を取りたいと思わない自分にとっては、雰囲気が担保されており、むしろ好感が持てました。是非、この姿勢を堅持していただきたいところです。
7位
2回
2019/11訪問 2021/12/02
祇園の天ぷら専門店。ミシュランで星を獲得していることもあって、外国人観光客も多いようです。5年ぶり3度目の訪問です。店内は2年ほど前に改装されたそうで、ちょっとモダンになっていました。
天ぷらのスタイルは従来と変わらず。衣は卵を使用しない薄めのもので、入念に油を落としてから供されます。揚げる温度は比較的低温の部類に入るでしょう。天汁はなく、塩/レモン汁でいただきます。
海老のすり身のサンドウィッチ、鱧、車海老×3、スナップえんどう、ホウレン草の根、蟹とアボカド、白魚、細魚、金目鯛、鰆、ヤングコーン、アスパラ、獅子唐、サンドマメ、銀杏、さつまいも(ブランデーと砂糖をまぶして)。〆に天茶、デザート。
天ぷらのコースは、海老のすり身をパンで挟んだものから始まり、さつまいもの後に天茶で〆る従来通りの構成となっていました。極小の才巻3匹をコース中に分散して供するのも以前と同様でした。かき揚げの成形はお見事の一言。油切れも、初訪問時ほどではありませんでしたが、前回訪問時よりも良かったと思います。大した揚げる技術もないのに高級食材を盛り込んでいるだけの高額店とは一線を画していると思います。
ハーフボトルのシャンパーニュを頼んでお会計は22000円。一品ずつのポーションは小さめで、少々物足りませんが、女性には丁度良い量なのではないでしょうか。低温で揚げるスタイルのお店は他にもありますが、トータルの満足度は当店が頭一つ抜けていると思います。見えない心配りも非常に素晴らしいお店です。
一年ぶりの訪問です。
海老のサンドウィッチから始まり、サツマイモ、天茶、アイスクリームで〆るのは前回と同様でした。また、途中に海老を三匹ほど挟むのも前回と同様でした(この才巻は、どこから仕入れているのか不思議なほど、とにかく小さい)。これが京星さんのスタイルのようです。
今回、他に頂いたのは空豆、蕗の薹、グリーンアスパラガス、さやえんどう、百合の蕾、ニンジン、ヤングコーン、蓮根、グジ、鰆、キス、氷魚です。
海老のサンドウィッチ、ヤングコーンや天茶は今回も美味しかったです。
その一方で、アスパラガスは瑞々しさや香りがもう一つでした。前回ホワイトアスパラガスが良かっただけに、余計残念に感じてしまいました。蕗の薹ももう少し風味が欲しかったです。キスや桜の葉で巻いた鰆も悪くはないものの、こういった魚介類はこちらの揚げ方には不向きなようにも感じてしまいました。
前回はまさかのマンツーマンでしたが、今回は他の団体さん(5、6人)と一緒でした。このお客さんの人数が前回ほどの完成度を感じなかった最大の要因かもしれません。前回と比べると、格段に油切れが悪かったです。
たしかに幾つか気になる点はあったものの、全体を通して大きな外れもなく、非常に満足出来ました。日本酒三種類(早瀬浦、李白、純、純だけ半合)とロイヤルブルーティーを一杯飲んで、お会計が15000円強と相変わらずのCPの良さでした。
2014年3月
――――――――――
京都を一人で旅した際に訪問しました。平日の18時という時間のせいか、なんとお客は私一人でした。東京でマンツーマンで揚げてもらうことなど滅多にないので、かなり得した気分でした。同時に自分一人のためだけに申し訳ないなぁという気持ちにもなりました。接客は丁寧ながらも気さくで、東京の天ぷら屋とは違った、まったりした雰囲気でした。
こちらの天ぷらの特徴は、衣に卵を使わない点と入念に油を切る点にあるでしょう。そのため、天ぷらはとにかく軽く、天紙の交換が終始必要ないほどです。ややジューシーさに欠けるのでは?とも感じましたが、とにかく軽い天ぷらがお好みという方にはピッタリだと思います。また、江戸前との違いという点では、天汁がなく、塩とレモン汁で頂くというスタイルであったり、江戸前ではあまり扱わない食材を取り入れているのも特徴的です(その一方で、江戸前の定番であるアナゴ等のタネはありません)。
コースの構成は、エビをパンで挟んで揚げた物から始まり、天茶で締めるというもの。コースの随所で供される才巻は小ぶりで美味しく、締めの天茶も塩加減が絶妙で美味しかったです。天茶の前に供されるサツマイモは、ブランデーと砂糖をまぶすという一風変わった頂き方をします。面白い試みですし、コースの中の一品という意味では成立していると思います。ただ、サツマイモの美味しさを引き出す方法としてベストだとは思いませんでした。
料理や雰囲気など、江戸前のお店にはない魅力を持っているお店だと思います。天ぷらのコースは良心的な価格ですし、京都を訪れる際には、また立ち寄りたいと思います。
2013年2月
8位
4回
2020/10訪問 2021/01/01
おおよそ三年半ぶりの訪問。以前は定期的に訪問していましたが、代替わりを機に次第に味が落ちたと感じることが増え、ここ最近は足が遠のいていました。
だし巻き玉子と鴨南蛮を注文しました。正確な価格は失念してしまいましたが、だし巻き玉子が1000円強、鴨南蛮が2200円強だったはずです。
このお店ではそばは温かいものの方がオススメです。その中でも鴨南蛮が特にオススメです。温かいそばはやや太めに打たれているため、食感・風味が愉しめます。汁にもコクがあって美味しいです。
そば以外でのオススメはだし巻き玉子。これも以前よりムラがあるように感じますが、それでも他店よりは上ではないかなと。大根おろしと醤油が出されますが、そのままいただても良いと思います。
今でも美味しいとは思うものの、往時のクオリティには遥か遠く及ばないでしょう。価格や立地を考えると、次の訪問にはまた間隔が開いてしまいそうというのが本音です。
せいろ、鴨南蛮、だし巻き玉子、若竹煮等をいただきました。
そばはのど越し・香りともに良好。しかしながら、そば汁は鰹が強く、酸味がきつすぎました。ここ最近、そばよりそば汁の方に不満を感じることが増えてきました。
だし巻き玉子は美しいミルフィーユ状のもの。出汁をたっぷり含んだふわふわの仕上がりでした。焼き加減は何ら問題ありませんが、こちらも出汁が残念。若竹煮は素材を覆い気味の味付けでしたが、だし巻き玉子よりは良かったかなと。
この日唯一満足したのが鴨南蛮です。冷たいそばよりも太めに打たれているため、食感が落ちていません。汁も鴨のうま味が溶け込んでいてgood。美味しかったです。
十分良いお店だと思いますが、以前の輝きは失われてしまっています。外れと感じることがここ数年増えています。しばらく訪問を控えようかなと。
半年以上ぶりの車家さん。いただいたのは以下の品になります。
だし巻き玉子(972円)
せいろ(1080円)
鴨南蛮(2052円)
せいろは香りこそもう一息と感じましたが、喉越しよく美味しかったです。きれいに打たれており、茹でや水切り等も丁寧でした。この日のそば汁は妙な酸味も感じず好印象。
名物の鴨南蛮はさすがのクオリティ。やや太めのそばのため、温かいそばでも食感・風味が楽しめます。コクのある汁に山椒を入れると味も引き締まり、これもまた美味。鴨だけでも食べられるように、別皿に粒マスタード付きで鴨肉二枚が供されるのも嬉しいところです。
量が少ないという声もあるようですが、他のそば屋と比べて特段少ないということはないはずです。立ち食いそばと比べるのはさすがに筋違いではないでしょうか。
2017年2月
本日の前菜(900円)、だし巻き玉子(900円)、そばがき(950円)、せいろ(1000円)等を注文しました。
本日の前菜は夕顔の蟹餡かけでした。餡はうま味・塩味ともに強く、かなり濃い目の味付け。さすがにイマイチでした。だし巻き玉子はふんわりとした焼き加減で、まずまず。せいろは香り・のど越しともにそこそこといったところ。汁は辛め・やや濃いめ。鰹が強すぎるのと、酸味も気になりました。以前より雑味を感じることが増えたように思います。そば汁が美味しいお店という認識だっただけに、かなり残念でした。
寒くなった頃に鴨南蛮を頂きに伺いたいと思います。
2016年7月
――――――――――
せいろと鴨南蛮を目当てに訪問しました。
せいろは香り・喉越しともに十分なもの。そば汁は辛め。
こちらの温かいそばは冷たいそばに比べて太めに打たれているのですが、今回いただいた鴨南蛮は食感が落ちすぎかなと。ただ、ここの鴨南蛮の汁はとにかく美味しいです。鴨やネギもちゃんとしたものを使っているのがよく分かります。
2016年3月
――――――――――
ここのところ足が遠のいていましたが、久し振りに訪問してみることにしました。
せいろと鴨南蛮で迷い、間を取って(?)鴨せいろ(税別1550円)を注文しました。今回はクオリティの高いそばで一安心しました。特にそば汁はここ何回かの訪問の中で一番良い印象を受けました。そばも香りが上々、喉越しも悪くはなかったかなと。そば自体はここより美味しいと思うお店もありますが、そば汁等含めたトータルではやはりここが一番かなと。次回はせいろと鴨南蛮を食したいと思います。
2016年2月
――――――――――
だし巻き玉子(900円)、せいろ(1000円)、冷やしトマトそば(1850円)を頂きました(いずれも税別)。
だし巻き玉子はふわふわの仕上がりでなかなか。味付けが以前より濃い目とも感じましたが、美味しかったです。せいろも悪くなかったです。気持ち乾いているようにも見えましたが、香り・のど越しともに標準以上でよく纏まっていると思いました。冷やしトマトそばは夏の変わり蕎麦です。更科に卵を使ったもののようで、パスタ感覚で味わう一品でした。アスパラ、ヤングコーン等、夏らしい野菜が入っています。トマトを裏ごししたものを絡めながら、途中からはそば汁も掛けて、二種類の味が楽しめます。さっぱりしていて、なかなか美味しかったです。
夜の方が総じてクオリティが安定しているように思います。アクセスが悪く、なかなか呑めないのが残念です。
2015年7月
――――――――――
鴨南蛮が食べたくなったので、平日の昼に混み合う時間を外して訪問しました。
だし巻き玉子(900円)、柚子切りそば(1200円)、鴨南蛮(1900円)を注文しました。
柚子切りは更科の変わり蕎麦です。柚子の皮が練りこんであり、上品な香りが楽しめます。こちらのそば汁は辛さが程よく好みなのですが、今回の出来は少々残念なものでした。肝心の鴨南蛮も蕎麦がボロボロで今まで頂いた中で最低の仕上がりでした。どうやら、平日の昼も質が保たれていないようです。
前回レビュー時に頂いたものも全然駄目だったのですが、その後12月の夜に訪問した際には問題ありませんでした。昼と夜で同じものが提供されているとは思えません。残念ながら、当分(もしかしたら二度と)昼に訪問することはないでしょう。
2015年2月
――――――――――
久しぶりの訪問ですが、残念な結果となってしまいました。
せいろ(1000円)、鴨南蛮(1900円)、だし巻き玉子(900円)等を注文しました(全て税抜きです)。
せいろが異様な早さで提供されたので不安になったのですが、嫌な予感が的中してしまいました。造り置きでは?と思うほどのコンディションでした。また、茹で方なども丁寧とは言えないものでした。さらに、蕎麦だけではなく、だし巻き玉子まで雑だったのには驚いてしまいました。
代替わりして味が落ちたという声が多いようです。たしかにその通りかもしれませんが、個人的には代替わりしてからも美味しい時期があったと思っています。しかしながら、最近では明らかに質が落ちた、雑になったと感じることがあります。
週末の混雑が原因かもしれません。とりあえず、土日の訪問はお勧めできません。
2014.05
――――――――――
今回も美味しかったのですが、わざわざ遠くまで来たのにこれでは・・・というのが正直な感想です。今までにも食後の満足感に多少の差を感じることはありました。しかし、ここ数年その頻度が増えてきているような気がします。また、かつて感じた最高に美味しいという感動も最近では味わっていない気がします。蕎麦の食感であったり、風味であったり。それでも、他店より美味しいと思うので、こちらまで足を延ばしていました。
残念ですが、一度評価を下げることにしました。
2013.12
――――――――――
八王子の野猿街道沿いにある蕎麦の名店です。こちらを開いた小川修氏は有名な蕎麦打ち職人であり、多くのお弟子さんを育ててこられたことでも知られています。古民家を移築した外観は趣があります。店内も古民家がそのまま使われており、雰囲気が良いです。テーブル席、お座敷そして半個室のテーブル席等が用意されており、席数も十分です。
こちらの蕎麦は香り高く、喉越しもけっこう。また、せいろだけでなく、かけも美味しいのです。せいろは美味しいが、かけは美味しくないというお店が多いですが、こちらはそういったお店とは一線を画しています。太打ちで茹で加減が良いためか、温かい蕎麦でも食感が落ちません。そば汁もほどよく辛めで美味しいです。
一番人気は鴨せいろのようですが、私はせいろや鴨南蛮を頼むことが多いです。特に鴨南蛮は秀逸です。そば前ではだし巻き玉子がイチオシです。何もつけずにそのまま頂いても、土佐醤油や大根おろしを使って頂いても非常に美味しいです。
お酒も充実していますが、車で訪問せざるを得ない立地のため、呑めないことが多いです。アクセスが難点といえそうです。
給仕はお弟子さんがやっているようで、非常に拙いサービスですが、一生懸命やっているのが伝わってきます。不快ということはありません。値段は一見高いようにも感じますが、手間暇の掛かった蕎麦であることを考えれば、決して高すぎるとは思いません。
9位
8回
2023/12訪問 2024/02/02
冬の阪川さん。アラカルトで下記のものを注文しました。
突出し(あん肝・桜海老と湯葉)
鯛のお造り
ぐじのお造り
蕪蒸し(百合根、穴子)
ヒレ肉の炭火焼き
鼈の土瓶蒸し
牡蠣の天ぷら
海老芋の唐揚げ
お茶漬け
鯛はここ最近いただいたものの中では当店のものが一番良かったかなと。非常に美味しかったです。
海老芋の唐揚げは私のお気に入りの料理。蕪蒸しはちょっと濃いめの味付けですが、この時期には外せない一品だと思います。
良い食材を使われていますし、内容を考えれば価格も非常に良心的です。席の間隔は狭いですが、その狭ささえ心地良く感じてしまうから不思議です。
当店は客に合わせる懐の深さがあるので、客側は肩肘張らずに料理を楽しめます。割烹の醍醐味に触れられる、真の意味での高級店だと思います。
夏の阪川さん。アラカルトで下記のものを注文しました。
お通し(蓴菜と玉蜀黍のすり流し、タコの卵、穴子の粽寿司)
お造り1(鱧の落とし)
お造り2(剣先イカ)
鼈の東寺蒸し
鳥貝の炙り
鮎の塩焼
賀茂茄子の揚げ出し
鱧と早松のしゃぶしゃぶ
雑炊
鱧の落とし、鱧と早松のしゃぶしゃぶが特に好印象でした。鳥貝も食べ応えがあり、ジューシーで甘味に富んでおり美味しかったです。
冷酒を少しいただいて3万円台前半。CPは本当に良いと思います。
客に緊張を強いることなく、客に合わせる懐の深さがあります。ゆえに、客側も肩肘張らずに料理をいただけます。割烹の醍醐味が楽しめる、本当の意味での高級店だと思います。値段が高いだけの高額店とは違います。
冬の阪川さん。メニューと睨めっこしながら、アラカルトで下記のものを注文。蕪蒸しを見つけて冬らしい献立になったなと感じました。
先付(桜海老の湯葉合え・鮟肝)
お造り(鯛)
お造り(剣先いか)
コッペ
蕪蒸し(蓬麩、百合根、銀杏、穴子等)
焼きふぐ
くえ焼き
丸鍋
海老芋唐揚げ
稲庭うどん
お造りの鯛は相変わらず上質。蕪蒸しも鰹節がいたずらに効いておらず、悪くありません。この日のものは意外と具沢山でした。
焼き河豚もGood。クエは寝かせたものを焼きで。〇鍋で火照った身体を冷たい稲庭うどんで最後にクールダウン。
冷酒二合で3万円強。お腹も心も満たされて帰路につきました。坂川さんも女将さんも若い衆も皆感じがいいです。お客さんも素敵な方が多いと思います。
久しぶりに阪川さんに。アラカルトで注文できる祇園南側の割烹料理屋さん。
先付(鱧の南蛮漬け、焼き茄子と鯛の煮凝り)
お造り(鯛、目板鰈、蛸、トロ)
鼈の東寺蒸し
鮎の煮付け
焼き松茸
目板鰈の唐揚げ
鱧松茸のしゃぶしゃぶ
煮麺
松茸(岩手)は焼きで一本(写真では半本)、しゃぶしゃぶで半本。どちらも美味しかったです。しゃぶしゃぶの後の〆は今回は素麺で。滋味深い味わいで身体が温まりました。
お造りでは目板鰈の食感・甘味が特に印象に残りました。鯛や蛸もGood。
冷酒一合で3万円弱。CP抜群なのではないかなと。坂川さんはいつお会いしても素敵な方ですし、女将さんや若い衆も親切。肩肘張らずに好きなものを注文することができます。
客に緊張を強いず、客に合わせる余裕があります。こういうお店こそ高級店でしょう。高いだけの高額店とは違います。次回は時間に余裕のある時に訪問したいなと。非常に良いお店だと思います。
冬から早春にかけての阪川さん。この日もアラカルトで。
お造り(かわはぎ)
蕪蒸し
焼きモロコ
河豚白子焼き
海老芋のから揚げ
牡蠣の酢の物
壬生菜なべ
鯛茶漬け
焼きモロコと海老芋の油物が好印象。蕪蒸しや壬生菜なべもほっとする味わいでgood。冷酒をちょっといただいて2万円台前半。滞在時間は限定されてしまいますが、かなり直前でも予約を入れることができます。使い勝手よく、CP良好だと思います。高級割烹ですが、肩肘張らずに楽しめるのも人気の秘訣でしょう。
晩秋の阪川さんにお邪魔しました。食べる量を自分で調節できるので重宝します。
お通し(鮑ときゅうりの胡麻和え等)
お造り(鯛、剣先いか)
椀(蟹真薯と海老芋)
海老芋の蟹身餡かけ
焼きもろこ×4
こっぺ
鼈の土瓶蒸し
牡蠣フライ×2
焼き銀杏
鯛骨せんべい
鯛茶漬け
抹茶のアイス
椀物の出汁は鰹のインパクトこそ感じませんでしたが、塩味はやや強めかなと。椀種の蟹真薯や海老芋の甘味と合わさると、それほど気になりませんでした。塩味はもう少し抑えてもとは思うものの、水臭くないのは好印象。もろこは鈴江さん同様強い焼き方で。だいだいに入れるとジュッと美味しそうな音を立てます。東京で食べるモロコとは全くの別物で美味しいです。お造り、焼き銀杏、鯛茶漬け等も美味しかったです。
高級店ですが、肩肘張らずに食事を楽しむことができるお店です。店主にも常連にも余裕があるからこそ作れる緩い雰囲気なのだと思います。結構食べて飲んだはずですが、お会計は3万円弱と良心的。またお邪魔したいと思いました。
5年ぶりの訪問。食べログでの評価は以前より落ち着いたようですが、相変わらず流行っているようです。早い時間帯という条件付きで訪問が叶いました。今回は最初からアラカルトでお願いしました。
突き出し(鱧の子、穴子寿司等)
鱧の焼霜
鯛のお造り
甘鯛の酒蒸し
子持ち鮎の塩焼き
賀茂茄子の揚げ出し
鱧(瀬戸内と韓国)と松茸(信州)のしゃぶしゃぶ
〆の雑炊
素材の質は秀逸。出汁や味付けは、研ぎ澄まされたような感じこそありませんが、鰹の効いた強い味ということもなければ、無理に薄味に仕上げた水っぽい味ということもありません。また、アラカルトで好きなものをいただく愉しみというのも当店ならではでしょう。
冷酒を少々いただいて3万円弱。若手のお店のようにどんどん価格を吊り上げていくというようなことはないようです。初回訪問時もそうでしたが、客に無茶をさせないお店です。常連さんが多いのも頷けます。入店時間や滞在時間に制限は付きますが、予約が取れないという類のお店ではありません。使い勝手、立地、内容等を考えれば、CPも良好といえるでしょう。
祇園にある高級割烹です。正確な場所はグーグルのストリートビューでも確認できません。楽味とサンボアのある道を少し入った所にあります。コースが三種類ほどありますが、アラカルトでの注文も可能です。もちろん、コースでお願いしておいて、途中で追加してもらうというのも可能です。
鯛の昆布〆、胡麻和え、
お造りは烏賊、雲丹、中トロ、
ズイキのフカヒレ煮、
松茸の天ぷら、
すっぽんの土瓶蒸し、
のどぐろ焼物
子持鮎煮、
コッペ、
焼きもろこ、
松茸のフライ、
ご飯物
等を頂きました。
当初18000円のコースで予約しましたが、コースの序盤にアラカルトで選択・追加していきました。こちらで最初から最後まで黙ってコースを食べるのは勿体無いのではないでしょうか。
というのも、こちらの味はやや濃い目で、繊細というより豪快という言葉の方が似合う料理だからです。出汁がうんぬんというより、自分の好きな食材・料理を大きなポーションで頂けることに魅力があるお店だと感じました。
一品物のお品書きがあるので、遠慮なく見せてもらい注文することをオススメします。一見でも接しやすい店主の人柄も手伝って、経験の浅い自分でもどんんどん注文することが出来ました。客側の経験値が高ければ、もっと楽しめるでしょう。
数日間連続で和食店を回りましたが、出汁などはもっと美味しいと感じるお店がありました。自分の好きな食材・料理を食べられるのは楽しいですが、その分丁寧に引かれた出汁は諦めなければならないとの印象を受けました。単に椅子に座って出されたものを食べていたら、満足度は低くなると思います。行儀よくというより、豪快に楽しくといったお店です。冷酒を二合ほど頂き、気持ちよくお店を後にしました。
10位
1回
2015/04訪問 2016/01/10
高田馬場にあるビストロの名店です。
コース(2800円)は前菜とメインを一品ずつ注文するスタイルです(追加することもできます)。選ぶものによっては多少の追加料金が取られます(レシートのプラス110円というのがそれです)。とにかくシェアすることを前提に頼んだ方が良いです。というのも、結構ボリュームがありますし、しっかりした力強い料理に飽きてしまう可能性があるからです。
前菜はパテとエスカルゴを、メインは鴨のコンフィとシュークルートを注文しました。シャンパンやワインを二人でグラス6杯、デザートにチェリーのタルト、エスプレッソも頼んで、お会計は11000円弱でした。前菜もメインも特に不満を感じるものはありませんでした。非常にCPの良いお店だと思います。
可能な限りコストを削って、料理の質や量を追及しているお店です。したがって、テーブルクロスやナプキンは紙です。取り分けるお皿等も出てきません。ハード面は徹底的に削っています。ただし、ソフト面は手抜きを感じません。変に押しつけがましくない接客は、客の満足度を優先したものだと思います。レストランで受けるようなサービスではありませんが、そんなものをここで期待する方が変でしょう。個人的には、ビストロの一つの完成形だと思うお店です。
難点を挙げるとすれば、以前に比べて予約が取りづらくなってしまったことでしょう。ちなみに、基本情報によると、メニューの写真撮影は禁止されているようです(料理はOKみたいです)。ご注意下さい。
2014年の今年の漢字は税になりました。食べログに関して言えば、私にとっては"会"が2014年の漢字でしょうか。
食べログを通して多くの方々にお会いした一年でした。オフ会なるものにも初めて参加させて頂きました。意外な遭遇もありました。お世話になった皆様には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、今年はベストレストランを投稿してみることにしました。
1位の近藤と2位の宮葉は全くの同率です。別に逆でも構いません。カテゴリー別にみると、日本料理から4店、天ぷらから2店、鮨、蕎麦、イタリアン、フレンチからそれぞれ1店ずつ選びました。なるべく多くのジャンルからお店を選ぶようにしましたが、上位を和食系が占める結果になってしまいました。日本で食事を取る以上、これはある程度仕方がないことだと思っています。2015年はもう少し海外にも出かけたいと思っています。