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1回
夜の点数:4.8
2024/02 訪問
夜の点数:4.8
卓越した技と厳選した食材にお客様にこころを寄せる素晴らしいお人柄、最高のお寿司に和気藹々とした時間、欲しい全てがそろう日本最高峰の「天寿し京町店」
2024/02/26 更新
「天寿し 京町店」その名はお寿司好きならずとも食に重きを置くものなら一度は耳にしたことがる日本屈指のお寿司屋さんで、更に5年前にNHKのプロフェッショナルで観てからは死ぬ前に一度は食べてみたいとつのるお店への思いでようやく予約できたのが1年前。
ところが九州に渡りもうすぐだとワクワクしているところで大将のお怪我の知らせに、大将への心配な気持ちと共にわが身の不運を嘆き、そのことで小倉行きを中止したために、すっかり忘れてた他のレストランのキャンセル料の支払いなどなど、なんてついていない人生なんだろうと気落ちしていたのですが、1年越しに伺えたタイミングが素晴らしく、かつ感動の食体験ができて、このための1年だったのだとむしろ幸せな気持ちになったほどでした。
2月1日は「天寿し京町店」の20周年で、1月末には大将が北九州市民文化賞を受賞され、8年連続食べログアワードゴールド受賞というトリプルアニバーサリーで、店内も天外も胡蝶蘭で埋め尽くされた晴れやかな時に、更にタイミングが良いことに同席になったのが素敵なお客様ばかりという幸運な状況での初訪問となりました。
今は新規の予約ができないということもあって、我々以外はリピーターの方々で、いろんな思いも手伝い緊張していたのですが、とにかく大将も女将さんも息子さんも全てのお店の方もとても素敵なお人柄で店内は和気あいあい、美味しいだけじゃない特別な時間を過ごせたことは生涯の思い出になるほどでした。
いただいた、おまかせコースのこの日の内容は
鮪中トロ
スタートにふさわしくお醤油の香りに負けない旨味の強いお味に感動
鮪大トロ
脂がのっているのに全く重くなく、程よいお塩が旨味を引き出す逸品
赤烏賊
天寿しのスペシャリテとも言うべく芸術的な一貫は、力強い濃厚な甘みのある烏賊に、細かい切り目の一筋一筋が計算されているかの如く口に運ぶと絶妙な食感を生み、とびこのプチプチ感と木の芽の香り、見た目にもお味にも広がりを与える錦胡麻、その全てのハーモニーとバランスが震えるほどの感動を与えてくれました
車海老
しゃちほこのようにそそり立つ見た目と口に運んだ一体感のギャップが楽しく、背開きした海老の表面だけを軽く炙っていることで、生の甘みと濃厚さと火入れによる歯切れの良さがシャリと合わさり口の中でほどけていくのがたまらない一品
しめ鯖
珍しい炙りの厚切りのしめ鯖は濃厚で旨味が強いがすっきりとしていて、昆布と茗荷の千切りと小葱が乗せてあり、一貫のお寿司というより完成された日本料理の一品のよう
帆立
美味しい帆立は良く食べているつもりですが、サクッとした歯切れと独特な食感に深みのあるツメが旨味を嵩上げした新しい食べ方に感動
クエ
寝かせたクエをさっと炙ってもみじおろしを乗せてあり、しっかりした食感と旨味に炙りの風味が抜群で、もみじおろしでさっぱりいただける一貫
太刀魚
しっかりと炙って梅肉と小葱を散らしたこのお寿司のバランスが完成されていて、旨味と梅のアクセントのハーモニーが素晴らしい
中とろ漬け
鮪節の出汁をを使ったという漬けは奥深くて濃厚で奥行きのある絶品
鱚
鱚のお寿司は初めていただいたのですが、最初は見た目の美しさに目を奪われ、いただくとサッパリとした旨味に合わせた柚子胡椒とのハーモニーに心を奪われてしまいました
とらふぐ白子
雲丹と白子の選択でしたが両方でもOKということで先ずいただいたのが、炭火で炙った白子で、美味しい海苔で軍艦にしてもみじおろしと小葱でいただくのですが、熱々で濃厚な旨味が最上級で薬味も絶妙の冬の醍醐味を味わせていただきました
蝦夷馬糞雲丹
この季節、地元でもなかなかいただけない甘みがしっかりある極上の雲丹に大満足
さざえ
初めていただいたさざえのお寿司は、炙って切れ目が入っているので香ばしく歯切れよく、スライスしたオクラが乗せてあるので上にカボスが効いているのでサッパリで、壺焼きのさざえとは別物の上品で素晴らしい逸品
鰆
お寿司で鰆を食べたのは初めてでしたが薫香がたまらない極上の逸品で、こんなに食べているのに飽きさせない技に感服
海老頭焼き
美味しい車海老の頭を香ばしく焼いていて、ここで初めてお酒を飲んでない事を思い出した、おつまみになるお味
鯛
旨味の上品な鯛とその上の鯛の肝がお口の中で混ざり合うと最高で、もみじおろしと小葱がしめてくれている一貫
穴子
ふっくらとした煮穴子は胡麻を振って海苔を巻いてあり、ツメと穴子で重たくなることもなく飽きのこないところがすごい
ネギトロ手巻き
このトロが様々な部位を合わせることにより、脂が強すぎることがなく口どけが良くて、海苔の美味しさも相まって上品で、たっぷりのネギトロがボリューム満点で満足感のある手巻き
卵焼き
それにお澄ましと赤だしの2種類のお椀も最高で、天寿し名物の生姜の代わりの胡瓜がお口をリセットしてくれるだけでなく、シャキシャキで本当に美味しくて、ガリの甘辛さと違って後味が残らないので、全てのお寿司屋さんが採用してくれたら良いのにと思ったほどでした。
お茶もとっても美味しくて、減ってくるとすぐに取り換えてくださり、更にさり気なくカウンターの前の凹みに水が流れていて指先が洗えたり、良いところしか思い出せないお店でした。
大将は日本中のお寿司さんをご存じのようで、最後に見送ってくださった女将さんに本当に美味しくて幸せだとお伝えすると。女将さんが「いろいろなお寿司を食べさせていただくんですけど、手前味噌なんですが私は大将のお寿司が一番好きなんです」と仰ったのが涙が出そうなほど素敵で、このお店の核になる心を見せていただいた気がしました。
一見の客でありながら常連さんに混ざっても違和感がない店づくりをされている天寿しさん、本当のプロフェッショナルはお寿司の技術だけでなく、そのお人柄もあってのものだと実感しました。
ごちそうさまでした、素晴らしい経験に感謝するとともに、季節を変えてまた必ず伺いたいと思います。