レールモントフさんが投稿した八寸(京都/祇園四条)の口コミ詳細

レールモントフの " Bon Appetit "

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レールモントフ (50代前半・男性・兵庫県) 認証済

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八寸祇園四条、河原町、三条京阪/日本料理、すっぽん

1

  • 昼の点数:4.1

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.1
      • |サービス 3.5
      • |雰囲気 3.3
      • |CP 3.0
      • |酒・ドリンク 3.0
1回目

2022/01 訪問

  • 昼の点数:4.1

    • [ 料理・味4.1
    • | サービス3.5
    • | 雰囲気3.3
    • | CP3.0
    • | 酒・ドリンク3.0
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

八寸に 映える男気 味の冴え

睦月大寒、一年で最も冷える時期というだけあって、冬の京都は寒い。一昨日降った雪が、まだあちらこちらに残り、軒先から雫が滴る。今日のお目当ては、祇園白川の近くのこちら。少し早いが暖簾を潜ってお邪魔する。

本当ならカウンター席に座って、包丁さばきを見させて頂きながら料理を楽しみたいのだが、昨今の情勢から今日は個室で頂くことに。入って直ぐ横の座敷に通して頂く、掘りごたつの暖房が、冷たくなった足には嬉しい。お昼は旬の厳選した素材をふんだんに使った、おまかせ(11000円)のみ。まずはビール(1000円)で喉の渇きを潤す。今日頂く料理は、

◆「先付け」は、くみ上げ湯葉の揚げ出し。見た目より味はしっかりしていて、濃いめ、湯葉も柔らかすぎず硬すぎず丁度良い口当たり。

◆「八寸」は、羽子板の形をした綺麗な皿に、右上から錦玉子、その下が黒豆の松葉ざし、その隣の上から順に、鰻の八幡巻き、鰯の味噌煮、菜の花の辛し和え、子持ち昆布、ゆり根に梅肉、金柑に玉露、からすみの9品。錦玉子は柔らかくて上品な味、黒豆は甘さ控えめで素材のそのものの味が生きている。八幡巻きは京都南部の郷土料理で、お祝いの席には欠かせない。鰯は骨まで柔らかく丸ごと頂ける、子持ち昆布は鰊の卵がプリプリ。からすみは大根とよく合う、金柑の器の中に入った玉露はお正月に鯛を丸ごと6時間煮込む時に一緒に炊いたものとのこと、お茶の風味が薄れ、代わりに鯛の旨味がしっかり染み込んでいて美味。どれも新年を祝い、健康長寿、子孫繁栄、多幸を願って心を込めて、手間暇掛けた素晴らしいお節。

◆「向付け」は、かんぱちと淡路の鯛。鯛はシコシコして新鮮、かんぱちは5㎏はあろうという大きなものだけあって、柔らかく今まで食べたことがないほど脂がのっている、また紫は自家製、味りん、酒、昆布と醤油で味を調えたものでとてもまろやかで魚の旨味を一層引き立てる。

◆「椀の物」は、真鯛と焼餅。その上には柚子と三つ葉が添えられ彩も綺麗。波をあしらった朱塗りの椀の裏蓋には鶴が描かれ、新年を祝う。鯛は柔らかく、本枯節と昆布の出汁が鯛と合わさって、風味豊かな繊細で京ならではの上品な味に仕上がっている素晴らしい逸品。

◆「炊き合わせ」は、京野菜の海老芋と揚げ麩、それに椎茸、いんげん、人参、最後に柚子皮を添えたもの。黄色の清水焼の器が目を引く。海老芋はきめ細かな粘り気のあるしっとりとした薄味、柚子皮とよく合い美味しい。寒い季節を良く表している。

◆「強肴」は、赤貝と九条葱のぬた和え。金の水玉を縁に飾った豪華な鉢に、緑の葱、赤貝、紫蘇と彩がとても綺麗。今までの柔らかな味から今度は酢とからしが効いたはっきりとした味に口取りも変わる。赤貝はコリコリした食感が新鮮、葱とからしの取り合わせはとてもいい。

◆「焼き物」は、鰆の幽庵焼き。笹を菱型に切って敷き、鰆には、はじかみが掛けられ、横には金柑がそえられた一品。最後に焼き物を頂けるのもこちらならでは。皮やはじかみも残さず美味しく頂ける。

◆「ご飯」は、ちりめん山椒と土鍋で炊いた白いご飯、それに香の物。こちらのちりめん山椒は丁度良い中ぐらいの硬さ、香の物は、白菜、牛蒡、蕪の千枚漬け、壬生菜、昆布。あっさりした漬物がどれも美味しく、ホクホクのご飯に良く合い、漬物好きにはたまらない。

◆「水菓子」はグレープフルーツ。茶色の皿にグレープフルーツを半分に切った、見た目には変哲もない普通のフルーツ。しかし、食べ易いように身は房ごとに一つずつ特別なナイフで綺麗に切り出されている、それがあまりにも完璧に切り出されているので、判らない、それ程手が込んでいる。また味付けはブランデーと蜂蜜、グレープフルーツの味を引き立て、素朴なのに豪華、相反する要素が見事に昇華されている。それは清水焼の皿にも表れている、素朴で奥ゆかしい。この逸品の水菓子に京料理の奥深さが凝縮されている。聞けば、かっての洛北にあった料亭八新からの受け継がれている逸品なのだとか、戦後間もない当時は、高価で手に入り難くかったブランデーを隠し味に使った贅沢で希少なデザートだったらしい。最後は果汁とブランデーらがミックスされた最高に美味しい果汁を、グラスに移し替えて、美味しく飲み干す。

全9品、どれも正統京料理の神髄を伝える素晴らしい料理の数々、それをどうしても新年の料理で頂きたかった、特に部屋の額にも掲げられている「八寸に 映える男気 味の冴え」の通り、羽子板の形をした綺麗な皿に飾られた手間暇掛けてこしらえた美しいお節の数々、美しさだけでなく、味も食感も最高だった、正に男気を存分に味わう。そして、全ての料理に感動を覚えたが、その中でも最後の水菓子は、八新から伝わる京料理の根本の心意気を感じたような気がした。本当に美味しい一期一会に感謝、ご馳走様でした、最後は二代目にも見送り頂いて、次のお目当ての秀長の菩提を守る大徳寺大光院へ向かう。

  • 羽子板にお節

  • 鰆の幽庵焼き

  • 八新から伝わる水菓子

  • エントランス

  • 部屋に掛かる額

  • 先付け

  • 八寸

  • お節の数々

  • 向付け

  • 自家製紫と

  • 椀の物

  • 真鯛

  • 炊き合わせ

  • 強肴

  • 焼き物

  • ご飯

  • 香の物

  • 水菓子

  • 最高のジュース

  • ビール

  • インテリア

  • 屋号

  • 暖簾

  • 裏蓋

  • 大徳寺

  • 方丈につもる雪

2024/03/17 更新

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