6回
2022/11 訪問
【渡辺シェフのイズム。フランス料理と江戸文化との融合】
「浅草駒形」にあるフランス料理「レストランナベノイズム」。
店のエントランスには、日本文化の象徴・七宝焼でフランス国旗をモチーフとした看板を掲げ、「Parce que je suis japonais(自分は日本人だから)」と、決意と思いを込められたシェフのサインが刻んであります。
今日はランチコース「Nabeno-Ism」
今回も長いお題目の後に、説明が続きます。
【乾杯】
「サンペリグリーノ」
【L’Amuse-bouche 】
『山形県産洋梨『ラ・フランス』のガスパチョ、クレーム・ド・カシスとスパイスのエキュームを浮かべて』
フランス人の好きなサラダにアンディーヴとポワール、胡桃、ブルーチーズを合わせたサラダがあり、野菜の苦味とフルーツの甘味、塩味、酸味を重ねていくフランス人独自のエスプリをひと口で味わうアミューズ。アクセントにスパイスの香るクレムドカシスをビールの泡の様にあしらい、スパイスの香り、カシスの奥深い味わいでまとめてあります。
ガスパチョには洋梨とカシスが使われスパイスの泡で蓋をします。中にはタピオカも。
『アントナン風グリーンオリーヴのマリネ 』
グリーンオリーブのマリネモロッコ風ジェラールアントナン氏との想い出から構築した一品。1992年夏から1年間お世話になったLyon近郊の街ロイエットLoyettesにあったレストラン『ラ・テラス』のグランシェフのムッシュアントナンさんのモロッコのお土産話しと食べてきた料理のお話しを聞き、その思い出を組み合わせてグリーンオリーブを中心にハーブ、スパイスとマリアージュさせて、ピンチョススタイルに。
『駒形 種亀最中のミニタルト リヨン特産サンマルスランのクリームとちいたけの炙り、鴨の砂肝のコンフィを重ねて』
フランス伝統食である鴨砂肝のコンフィを肉醤と絡め、炭火バーナーで炙った徳島県丸浅苑の「ちいたけ」をサンマルスランで作った滑らかなクレムと共にミニタルトに。
『大心堂雷おこしとフランスの出会い』
ナベノ-イズム創業時からの1番バッター。フランス食文化の核心となるバターと江戸食文化、浅草地区の代表的な味である雷おこしとの出会い。雷おこしは御徒町の老舗大心堂古代黒糖バージョンを使用、バターは師であるロブション氏の故郷ポワトゥーシャラント産発酵バター、一口に六味(甘味、酸味、苦味、塩味、辛味、旨味)を潜ませ、スパイシーな刺激、歯応えなどで愉しませます。
おこしの上に、発酵バター、アンチョビバター、ケイパー、千葉の落花生は、ローズマリーでボイルして、オリーブオイルで香り付け。
『セグロイワシの酢漬けとラディ・オ・ブールのピンチョス 『鰯の胡麻漬け』のインスパイア』
千葉県九十九里浜に伝わる郷土料理『鰯の胡麻漬け』、セグロ鰯を塩締めし、酢締め、生姜、鷹の爪、そして大量の黒胡麻をまぶした料理。
鰯の強烈な塩、酢の締め具合、生姜、鷹の爪、黒胡麻のハーモニーは忘れる事の出来ない味わい。フランスのラディオブールとの素晴らしき融合です。
ラディオブールとは、千葉九十九里のイワシのごま漬け。ガリを入れてメリハリをプラス。
【La Farine de sarrasin】
「両国江戸蕎麦ほそ川”の蕎麦粉をソースエミュリュッショネの技法で炊き上げたそばがき、奥井海生堂蔵囲い2年物昆布のジュレとのアンサンブル、塩ウニ、キャビアクリスタル、甘えび、ウォッカを垂らしたノルマンディー産サワークリーム、おろしたて天城山葵をあしらって」
ロブションの名品ジュレ・ド・キャビアへの憧れと尊敬をインスパイアしたシグネチャーディッシュ。江戸ソバリエの資格を持つシェフが取得当時惚れ込んだ両国江戸蕎麦ほそ川の蕎麦粉。
「蕎麦粉をフランス製銅鍋、シリコン加工ホイッパー、プラック熱源で一気に炊き上げ、フランス産発酵バターで乳化させた“ソースエミュリュッショネの技法”で炊き上げ、水と塩、しょうゆバターを加え冷やし固めたそばがき」。
エミュリュッショネ=乳化。この上に、福井県敦賀市奥井海生堂の蔵囲い2年物利尻昆布のジュレで香りを閉じ込め、上には、生姜、塩をあてたウニとキャビア、ウォッカを垂らしたノルマンディー産サワークリーム、おろしたての天城のワサビのハーモニー。
蕎麦がきに添えられた甘エビは、福井の磯から。魚醤と日本酒でマリネして風味豊かに。2年間熟成させた昆布で作ったゼリーと。
【Le Saumon】
「ニュージーランド産サーモン『ŌRA KING』。純米酒でマリネしてから太白オイルで低温コンフィに、自家製いくらとビーツのタルタル、千葉県富里産ミニビーツのマリネと熟成コンテチーズ、ソーモンセッシェをちらしライム、生姜、はちみつのソース・ヴィネグレット、スモークしたパン・オ・セーグルのフォンダン」
ニュージーランド産キングサーモンオーラキングを純米酒、塩、トレハロースでマリネしてから太白胡麻油で低温コンフィに、サーモンの香りと似た土の香りを持つビーツを添えてその繊細な味を引き出します。
フランス語名では「betterave(ベトラーブ)」と呼ばれ、2つの食材の色、根底に感じる自然な甘さ、香りを結びつけています。マリアージュさせるソースはライム、ハチミツ、生姜を使ったヴィネグレット。 塩を強く効かせた自家製サーモン生ハムをのせた富里ビーツ、スモーキーなムースと儚く繊細なチュイルに形を変えたライ麦パンとのハーモニーを楽しみます。
サーモンに添えられたシトロンキャビアとは、ミニビーツのこと。
【Le Calmar “Aori”】
『山口県萩市直送アオリイカ、根セロリのアロマートとなめらかなピュレのアンサンブルイカ墨で風味をつけたコンキリエッテ・ピッコレとフレッシュコリアンダー・ソース、カフェ・フランセ風」
レストランカフェフランセ時代に作り、ムッシュ・ロブションを振り向かせたソースを久しぶりに作ったそう』
ハーブのソースは貝のお出汁に根セロリ、フレッシュハーブ、パクチーなどを合わせたサルサヴェルデ風。イカの下には根セロリのピュレ。竹炭のミニミニコンキリエパスタのイカ墨ソース。これが見事な出来映えで、その辺のイタリアンもぶっ飛ぶ美味しさでした~
【La Volaille】
『鳥取県大山どりモモ肉 ベーコンとそのレバーを詰めて真空調理。薫り高いジュドヴォライユ、ブールノアゼット仕上げ、赤ワインのミロワールを流して。フランス産栗、徳島県丸浅苑ちいたけ、ペコロスとベーコンの全粒粉ベニエ クローブソルトをちらして、広島県梶谷農園無農薬ハーブのサラダと共に」
フランスワインの産地ブルゴーニュ発祥と言われている固い肉質のコック雄鶏の煮込み料理。若鶏をマリネし、アセゾネ、モンタージュにこだわり赤ワインレディクション、鶏レバーの風味、ベーコンの香り、旨味、塩味を内側に潜め、真空調理で一体化させ、ブルゴーニュ郷土料理『コック・オ・ヴァン』のように仕上げます。
鶏ももにレバー、ベーコンを巻いて筒状に成形して、真空調理。ジュドヴォライエソース、赤ワイン•ミノワールのソースとともに。フランス産マロン、ちいたけ、ベーコン巻いたペコロスの天ぷら。広島梶山農園のスプラウトをあしらって。
【パン】
「ブリドールのパン2種」
バゲットとカンパーニュ。2割フランス本土で焼き冷凍にし、着後お店で8分焼く。卓上には、ゲランドの塩、プロヴァンス・シャトー・エストゥブロンのオリーヴオイル、パンプリのバター。
【1er Dessert】
『佐賀県産完熟黒イチジク、ポルトルージュ、スパイスと共にコンポート、パンデピスのムース、磨き胡麻のグラスでエスコート』
【2em Dessert】
『バンド・オ・ポム @Komagata 、パイ生地を『クイニー・アマン』のイメージで香ばしく焼き上げ、カルヴァドス香るサワークリームのムースに、ゲランドの塩を効かせたグラス・キャラメルサレでエスコート』
シェフのフランス時代思い出のお菓子「バンド・オ・ポム」をデザート仕立てに再現。パイ生地は「kouign-amann クイニー・アマン」のようにグラニュー糖をまぶしながら折り込みザクザクとした食感を表現し、紅玉を薄くスライスし一緒に焼き上げ、食後でも召し上がれるよう軽やかに仕上げます。林檎をかたどった爽やかなサワークリームのムースと、カソナードを限界まで焦がし苦味を際立たせ、ゲランドの塩を加え塩味のアクセントをつけたグラスキャラメルサレと共に。.
いちじくは、赤ワインとポートワインでコンポート。パンデピスのムース、ごまのアイスクリームに、レモンの皮を削って。
りんごをスライスしてパイ生地に並べて、塩キャラメルのアイスクリームを添えて。もう一つの小さなりんごは、丸くくり抜いたりんごに、中身にコーヒーのクランブル、サワークリーム、カルバドス、飴。フランボワーズのソース、ルバーブのソース。
【Café et Mignardises】
『日本堤 バッハコーヒー』
自家焙煎珈琲屋として1968年の創業当初からこだわりの1杯を提供しているバッハコーヒー。
【ミニャルデイーズ(駒形をイメージした小菓子)】
「壽々喜園 浅草本店のほうじ茶のクリーム、黒胡麻のマカロン」「大沢屋煎りたてきな粉をまぶした黒糖のカヌレ ド ボルドー」「ショコラと栗、コーヒーゼリーのテリーヌ」「バッハのコーヒーとライ麦入りクッキー」
【サプライズ】
「渡辺農園のオリーブのアイスクリーム」
渡辺シェフのおうちで手をかけて育てたオリーブの葉に、ほうじ茶を混ぜた世界でここだけのプレミアムアイスクリーム。オリーブオイルをかけて完成。
シェフの作るフランス料理は、その一つ一つが緻密な構成で、その火の通り方の完璧さにも魘されました。皆様喜んでくださいました。支配人の神田岳志様、スタッフの皆様、渡辺シェフ、今日もありがとうございました。
2022/11/12 更新
2022/06 訪問
【渡辺シェフのイズム。フランス料理と江戸文化との融合】
伝統と歴史の街「浅草駒形」に2016年、星が降る縁起のいい7月7日開業した「レストラン ナベノイズム」。
2022年7月7日で『Nabeno-Ism』はめでたく6周年を迎えられます。おめでとうございます。
ポールボキューズとロブションの2大巨匠のお弟子さんというシェフの華麗なご経歴。詳細は、以前にも記したので、ご参考ください。
店のエントランスには、日本文化の象徴・七宝焼でフランス国旗をモチーフとした看板を掲げ、「Parce que je suis japonais(自分は日本人だから)」と、決意と思いを込められたシェフのサインが刻んであります。
今日はディナーコース「Nabeno-Ism」
スカイツリーのキラキラライトアップを背景に、3人でまずは乾杯です。
【乾杯】
「サンペリグリーノ」
【L’Amuse-bouche 】
「鳥取県倉吉スイカとアセロラのガスパチョ、スイカの皮とラベンダー香る、ソルトエキュームを浮かべて・近隣老舗(大心堂、種亀)とのコラボスナックとアントナン風グリーンオリーヴマリネ・ セグロイワシの酢漬けとラディ・オ・ブールのピンチョス『鰯の胡麻漬け』のインスパイア、種亀のミニタルト大蒜とセロリの香るフランス産クリームチーズに真ダコのマリネ・ホワイトセロリとハラペーニョのコンデイモン」
「スイカとアセロラ、タピオカ入りの冷製ガスパチョ、スイカの皮とラベンダー香る、塩を利かせたミルクの泡を浮かべて」
「セグロイワシの酢漬けとラディ・オ・ブールのピンチョス 『鰯の胡麻漬け』のインスパイア」
「ラデイッシュとバターのラディ・オ・ブールのピンチョスには、ガリ入り鰯の鈴家に千葉の胡麻を纏わせて、スパイス、ハーブ、オレンジで香り付けしたグリーンオリーブをのせて」
グリーンオリーブのマリネモロッコ風ジェラールアントナン氏との想い出。1992年夏から1年間お世話になったLyon近郊の街ロイエットLoyettesにあったレストラン『ラ・テラス』のグランシェフのムッシュアントナンさんのモロッコのお土産話しと食べてきた料理のお話しを聞き、その思い出を組み合わせてグリーンオリーブを中心にハーブ、スパイスとマリアージュさせて、ピンチョススタイルに。
「種亀の雷おこしを土台に、上にはバター、アンチョビ、ケッパー、ハラペーニョ、セロリのタルト仕立て。フランス産クリームチーズ、真ダコのマリネをのせて」
ナベノ-イズム創業時からの1番バッター、フランス食文化の核心となるバターと江戸食文化、浅草地区の代表的な味である雷おこしとの出会い。おこしは御徒町の老舗大心堂の古代黒糖バージョンを使用、バターは師であるロブション氏の故郷ポワトゥーシャラント産発酵バター、一口に六味(甘味、酸味、苦味、塩味、辛味、旨味)を潜ませ、舌の味蕾全てを刺激しつつ、雷おこしの歯応え、咀嚼音により食欲神経を覚醒させる狙いがあります。
【La Farine de sarrasin】
「“両国江戸蕎麦ほそ川”の蕎麦粉をソースエミュリュッショネの技法で炊き上げたそばがき、奥井海生堂蔵囲い2年物昆布のジュレとのアンサンブル、アキテーヌキャビア、ウォッカクリーム、おろしたて天城山葵をのせて」
ロブションの名品ジュレ・ド・キャビアへの憧れと尊敬をインスパイアしたシグネチャーディッシュ。プラック・フランス伝統の熱源と熱伝導の優れた銅鍋、金気の出ないシリコン加工のホイッパーの3つが融合して完成する料理。
江戸ソバリエの資格を持つシェフが取得当時惚れ込んだ両国江戸蕎麦ほそ川の蕎麦粉。
「蕎麦粉をフランス製銅鍋、シリコン加工ホイッパー、プラック熱源で一気に炊き上げ、フランス産発酵バターで乳化させた“ソースエミュリュッショネの技法”で炊き上げ、水と塩、しょうゆバターを加え冷やし固めたそばがき」。エミュリュッショネ=乳化。この上に、福井県敦賀市奥井海生堂の蔵囲い2年物利尻昆布のジュレで香りを閉じ込め、上には、生姜、塩をあてたウニとキャビア、ウォッカを垂らしたノルマンディー産サワークリーム、おろしたての天城のワサビのハーモニー。Nabeno-Ismのスペシャリテの一品。
【パン】
「ブリドールのパン2種」
バゲットとカンパーニュ。2割フランス本土で焼き冷凍にし、着後お店で8分焼かれます。卓上には、ゲランドの塩、プロヴァンス・シャトー・エストゥブロンのオリーヴオイル、パンプリ―のバター。
【L’Ayu】
「和歌山の清流からの鮎を米粉焼きと7年熟成パテ シャルトリューズを香らせて、スイカとコンコンブルのルーロー ・ミント風味と江戸伝統野菜馬込半白胡瓜と水茄子のマリネ、冷たいソースオゼイユを添えて」
鮎の皮に米粉をつけて2分焼き、ナベノイズムオープンしてから継ぎ足した7年熟成パテ シャルトリューズを香らせて、スイカとコンコンブル(胡瓜)のルーロー ・ミント風味と江戸伝統野菜馬込半白胡瓜と水茄子のマリネ。相性の良い、冷たいソースオゼイユを添えて」
背後で説明して下さったのが、神田さんかと思い込んでいたら、振り返ってみるとなんと渡辺シェフでした!あーびっくり(^o^)
【Le Homard】
「ブルターニュ産オマール海老発酵バターポワレと長崎対馬産穴子のソッカベニエ夏野菜(つるむらさき、ズッキーニ、ミニオクラ)と共にフランス国民食「クスクス」仕立てに、ミントとコリアンダーを香らせ、薫り高いブイヨンを注いで」
バターでポアレしたブルターニュ産オマール海老は、甲殻類のソースをベースに効果クリュの鶏のブイヨン、コライユが入ったオレンジ色のソースを合わせ、長崎対馬の穴子、天使の海老をひよこ豆の粉でベニエにしたもの(ソッカベニエ)を合わせ、夏野菜のズッキーニ、オクラ、ドライミントを漬け込んだクスクスとともに。故ジョエル・ロブションさんが好んだというこの組み合わせを再構築。
【Le Filet de Veau】
「ブルターニュ産仔牛を開いて生ハムとパルメザンチーズを詰め、セージの香りと共にクレピネットロースト、グリーンアスパラガスのポワレと平茸のエチュヴェ、クレーム・ド・パルメザン、広島県梶谷農園無農薬ハーブのサラダを添えて」
ブルターニュ産仔牛を開いて生ハムとパルミジャーノチーズ、香草・セージ、ローズマリーを詰めこんで、その周りにクレピネット(アミアブラ)で包んでロースト。グリーンアスパラガス、平茸のエチュヴェ、アスペルジュソバージュを添えて。ソースはクレーム・ド・パルメザン(生クリームとパルミジャーノ)、広島県梶谷農園無農薬ハーブ・スプラウトリーフのサラダを添えて。大好きなソースモルネ―のようで、柔らかな仔牛の肉質とぴったりでした。深みを出すポイントにオニオンキャラメリゼの存在を見逃しませんでした٩( 'ω' )و
【1er Dessert】
「2種類のグレープフルーツのデクリネゾン、皮からの爽やかな苦味を感じるクレームダンジュ、 生姜の香るコンフィチュールに変化させ、 岡部酒造すだち酒の爽やかなグラニテを重ねて」
下にはグレープフルーツ皮の苦みを移したチーズクレームダンジュ、 上には、フレッシュなグレープフルーツ、生姜の香るグレープフルーツのコンフィチュール、爽やかな酢橘のお酒のグラニテ。
【2em Dessert】
「完熟パイナップルのソテーと軽やかなマンゴームースとのハーモニー、濃厚なココナッツのアイスクリームとバナナのエスプーマを儚く砕ける塔に忍ばせて」
薄い生地に中には甘いパインをバニラ、スパイス、ラム酒と共にソテーし味に深みを与え、ココナッツのダクワーズとソルベ、マンゴーのムース、バナナのエスプーマクリーム、フルーツと合わせ、初夏をイメージ。チョコレートとキャラメルのソース。ショコラ風味のラングドシャを筒状に焼き上げ、そびえたつ「トゥール」(塔)のように仕立たそう。
【Café et Mignardises】
「紅茶」
【ミニャルデイーズ】
「壽々喜園 浅草本店のほうじ茶、ワサビ、黒胡麻のマカロン」「砂糖をまぶしたコーヒーサブレ」「大沢屋煎りたてきな粉のカヌレ ド ボルドー」
【サプライズ】
「渡辺農園のオリーブの葉とほうじ茶のアイスクリーム」
渡辺シェフのおうちで手をかけて育てたオリーブの葉に、ほうじ茶を混ぜた世界でここだけのプレミアムアイスクリーム。オリーブオイルをかけて完成。
シェフのお料理は、まさに「フランス料理の根幹を守り続ける」。クラシックでもあり、創造性豊かでもあり。あっちこっちと、日本中駆け巡っておられるシェフのSNSを拝見すると、いつ寝ているんだろうと心配になります。(‘ω’)
皆で楽しい時間を過ごさせていただきました。支配人の神田岳志様、スタッフの皆様、シェフ、ありがとうございました。
2022/06/28 更新
2021/12 訪問
【渡辺さんのイズムを感じるフランス料理と江戸文化との融合。】
伝統と歴史の街「浅草駒形」2016年、星が降る縁起のいい7月7日開業した「レストランナベノイズム」。
Félicitations!今年もミシュランガイド東京2022の掲載と『料理マスターズ』受賞をされました。おめでとうございます!
シェフは東京「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」から1991年に渡仏。
1ツ星「ラ・テラス(シェ・アントナン)」、帰国後1993年、ポールボキューズトーキョー、1994年「タイユバン・ロブション」開業時に部門シェフとして1996年にスー・シェフに就任。1998年「タイユバン・ロブション カフェフランセ」のシェフに就任し、再び渡仏。2000年、南フランス ヴァンス・2ツ星「ジャック マクシマン」、モナコ「ジョエル ロブションモンテカルロ」、同年12月から21年間シャトーレストラン「ジョエル・ロブション」のエグゼクティブシェフとして、腕を振るわれ勇退。2016年7月7日浅草駒形「レストラン Nabeno-Ismナベノ-イズム」を開業。
店のエントランスには、日本文化の象徴・七宝焼でフランス国旗をモチーフとした看板を掲げ、「Parce que je suis japonais(自分は日本人だから)」と、決意と思いを込められたシェフのサインが刻んであります。テーブルセッテイングに見えるのは三つの丸。これは、ナベノイズムのロゴ渡辺シェフの家紋、オレンジの色はシェフのお好きな色。
ランチのコースから、MENU「Koma-Gata」。
【乾杯】
「サンペリグリーノ」
【L’Amuse-bouche】
初めの3皿に「地域とレストランの融合」などのコンセプトを盛り込んでいます。
「紅玉&津軽、カマンベールのヴルーテ・グラッセ、カルヴァドス香るポンム・パリジャンとリンゴの皮のエッセンス・エキューム シナモンのパフューム」
リンゴ、カルヴァドス、生クリーム、カマンベールチーズを滑らかにしたスープ(冷)、その上部のピンクのソースはリンゴの皮やシナモンを煮だしたもの。
「老舗(大心堂、種亀)とのコラボスナックとアントナン風グリーンオリーヴのマリネ」
種亀さんの雷おこしに乗せたのは発酵バターにスペイン産アンチョビとシチリア産ケッパー。大心堂の最中をタルトとして、中にはカルダモンやレンズ豆、鴨の砂肝、のマスタ-ドサラダ。ディジョン、モー、和芥子と3種を混ぜたマスタードソース。
「ちいたけのミ・クリュ イベリコチョリソのファルスを詰めハチミツ風味のマンチェゴのピンチョス」
地位茸の上にはスぺイバスク地方のチーズ「マンチェゴ」と蜜でマリネしたチョリソー。スパイスやハーブで味付けしたグリーンオリーブにはオレンジピールのマリネを乗せて。
【パン】
「ブリドールのパン2種」
バゲットとライ麦パン。2割フランス本土で焼き冷凍にし、着後お店で8分焼く。
卓上には、ゲランドの塩、プロヴァンス・シャトー・エストゥブロンのオリーヴオイル、シャラントポワトゥーのバター。
【La Farine de sarrasin】
【両国江戸蕎麦ほそ川”の蕎麦粉をソースエミュリュッショネの技法で炊き上げたそばがき、
奥井海生堂蔵囲い2年物昆布のジュレとのアンサンブル、塩ウニ、ウォッカクリーム、おろしたて天城山葵と共に】
ロブションの名品ジュレ・ド・キャビアへの憧れと尊敬をインスパイアしたシグネチャーディッシュ。プラック・フランス伝統の熱源と熱伝導の優れた銅鍋、金気の出ないシリコン加工のホイッパーの3つが融合して完成する料理。
江戸ソバリエの資格を持つシェフが取得当時惚れ込んだ両国江戸蕎麦ほそ川の蕎麦粉。
「蕎麦粉をフランス製銅鍋、シリコン加工ホイッパー、プラック熱源で一気に炊き上げ、フランス産発酵バターで乳化させた“ソースエミュリュッショネの技法”で炊き上げ、水と塩、しょうゆバターを加え冷やし固めたそばがき」。エミュリュッショネ=乳化。この上に、福井県敦賀市奥井海生堂の蔵囲い2年物利尻昆布のジュレで香りを閉じ込め、上には、生姜、塩をあてたウニとキャビア、おろしたての天城のワサビ。手前のスプーンは、ウォッカの風味を付けたノルマンディー産サワークリーム。
☆お皿の和紙は倉沢、組みひもは蔵前の町田糸店。
【Le Calmar aori】
「アオリイカ、ざくろのジュレと金柑のマリネをのせボウモワ12年を香らせた滑らかな牡蠣のパテをエスコート。千住ねぎ市場直送江戸東京伝統野菜千住葱のマリネと共に
スモーキーなライ麦パンのムースを添え」
炙りアオリイカにはざくろのエッセンスのジュレと金柑のマリネをのせ、間にはキヌアのサラダ、下には千住ねぎ市場直送江戸東京伝統野菜千住葱のマリネ、マヨネーズソース。
これがちょっとポワロ―葱のビネグレット風に。
ここに2種のムースを添えています。ライ麦パンにスモークをかけた生クリームのムースと、ウィスキー・ボウモワ12年で香り付けした濃厚な牡蠣のムース。
【Les Coquilles Saint-Jacques】
「岩手県産活ホタテ貝のポワレアルザス地方伝統料理『シュークルート』のイメージで、リースリングのレディクションソース、ブールノワゼット仕上げ、ジュニエーブルオイル、アサヒ熟撰のエキュームを香らせて」
アルザス地方料理の発酵キャベツ・シュークルートに、ベーコン、豚のミミガーをのせ、岩手産ホタテは表面をさっと焼きレア状に。じゃがいものピュレ、ソースは帆立の旨味ジュのエッセンスソース、赤タマネギと焦がしバターのピュレソース(リースリングレディクション)、果実ジュニエーブルオイル(ジュニパーベリーオイル)の3種のソースを配置。
白い泡は、シュークルートといえばビールの組み合わせを意識した、地元アサヒビール熟撰でエキュームを添え、苦味で全体の味を引き締めています。
【Poulet au Vinaigre à la Façon N-Ism】
「リヨン郷土料理『プーレ・オ・ヴィネーグル』をナベノイズム解釈でコシヒカリ米、バスマティ米、雑穀米、ワイルドライスのパフの種亀最中タルトをあしらい広島県梶谷農園マイクロハーブサラダをエスコート」
Lyonの郷土料理『プーレ・オ・ヴィネーグル』。マリネした大山地鶏の鶏モモ肉にハツ、レバー、高山にんにくのコンフィを巻き込み、バロティーヌに成型。ソースはブールトマトソース。鶏のブイヨンコライユに純米酒、ビネガーの酸味にバターを加えて緩和。隠し味に肉醤とNabeno-sauceを潜ませNabeno-Ismらしさを。
添えたのは種亀の最中に“コメのアベンジャーズ”、コシヒカリ米、バスマティ米、雑穀米、ワイルドライスを揚げたパフを鶏のジュで炊いた秋の栗ご飯。銀杏に栗もきちんと定番通り。サラダは広島の梶谷農園の新芽のサラダ。ご飯を合わせるとは日本人の心を掴むのもプロフェッショナルなシェフですな。
【アヴァンデセール】
「柿のグラス」
極上コニャック香る地鶏卵のサバイヨンと山梨産あんぽ柿のデュオ、ジンのグラニテとフレッシュ柿のカンパリマリネ「ネグローネ」のイメージで。
上から、フレッシュな柿、カンパリで香りを移した柿、下にはジンのソルベ。間にはあんぽ柿。底にあるのは、コニャックの香りを付けた比内地鶏の卵を使用したムースサヴァイヨン。ライトな上部に濃厚なテイストを対比させていただく、バランスの良さに驚きます。
【デセール】
「様々なリンゴのデクリネゾン フランス伝統菓子タルトタタン野イマージュ香ばしく儚い薄片“アルレット”を重ね合わせ、滑らかなカルヴァドスのグラスと共に」
タルトタタン、林檎のミルフィーユ仕立て。パイ生地をプレスしたアルレット、リンゴのクリーム、カルヴァドスのアイス、マリネしたリンゴ“ふじ”、キャラメリゼしたタタンのリンゴ“紅玉”、のデクリネゾンの、ミルフィーユ仕立て。シナモンのクランブルまで添えられます。
【食後】
「日本堤 バッハコーヒー」
「焙煎のレジェンド」と名高い田口護氏による豆を焙煎。
【ミニャルデイーズ】
「ほうじ茶、ワサビのマカロン」「コーヒーサブレ」「大沢屋煎りたてきな粉のカヌレ」 「薬研堀中辛七味のテリーヌショコラ」
意外な組み合わせですが、食べてみるとしっくりする、これは腕が良くないとうまくできない合わせ技。
【サプライズ】
「渡辺農園のオリーブの葉とほうじ茶のアイスクリーム」
渡辺シェフが手をかけて育てたオリーブの葉に、ほうじ茶を混ぜた世界でここだけのプレミアムアイスクリーム。オリーブオイルをかけて完成。この時点でお腹いっぱいだけど、美味しい。
尊敬する渡辺シェフのインスタを拝見する毎日。いつ寝ているんだろうというほど、パワフルです。それはシェフがスーパーポジテイブシンキングであること、“料理に対して満足という言葉はない”というその姿勢。学ぶべきことがたくさんあります。ソムリエ神田支配人、櫻木副支配人、横川さんの軽快で楽しく丁寧なサービス、素晴らしい渾身のフランス料理をいただきました。
2021/12/05 更新
2021/04 訪問
【渡辺イズム・フランス料理と江戸文化との融合。】
伝統と歴史の街・浅草駒形にある一軒家「レストランNabeno-Ismナベノ-イズム」
オーナーシェフは渡辺雄一郎さん。東京“ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョ-”、恵比寿“タイユヴァン・ロブション”へ。21年間ロブション・グループに勤務し2004年からはエグゼクティブ・シェフとして活躍後、2016年、星が降る日、縁起のいい7月7日に開業されました。
店のエントランスには、日本文化の象徴・七宝焼でフランス国旗をモチーフとした看板を掲げ、「Parce que je suis japonais(自分は日本人だから)」と、決意と思いを込められたシェフのサインが刻んであります。
テーブルの上のショウプレートはナベノイズムのロゴ渡辺シェフの家紋。オレンジ、黒、白はお店のコンセプトカラー。
ランチコース「Koma-Gata」
【乾杯】
「アラン・ミリア。シャルドネ種 白グレープジュース」
スペイン・ラマンチャ地方のビオブドウ生産者がつくるワイン用Bioブドウ・シャルドネ種を使用したジュース。
【L’Amuse-bouche】
「プロヴァンス風ガスパチョ カフェフランセ仕立て 桜の花の塩漬けのエキューム」
「近隣老舗(大心堂、種亀)とのコラボスナックとアントナン風グリーンオリーヴのマリネ」「完熟いちご・やよいひめとフルム・ダンベールのピンチョス」
「プロヴァンス風ガスパチョ カフェフランセ仕立て 桜の花の塩漬けのエキューム」
シェフの在籍していたカフェフランセ時代の料理の再現。ガスパチョには桜の塩漬けのエキュームを添えて。
「近隣老舗(大心堂)とのコラボスナック」
御徒町老舗大心堂の雷おこしの古代黒糖のもの、ロブション氏の故郷ポワトゥーシャラント産発酵バターにスペイン産アンチョビとシチリア産ケッパーなど六味(甘味、酸味、苦味、塩味、辛味、旨味)を潜ませたスナック仕立て。
「近隣老舗(種亀)とのコラボスナック」
創業160年駒形の種亀最中にレンズ豆と豚足と砂肝を入れ、カルダモンの香りづけしたクリームチーズを合わせたカナッペ。
「アントナン風グリーンオリーヴのマリネ」
恩師ジェラール・アントナン氏との思い出。グリーンオリーブの中にシチリアのオレンジピールを詰め、ハーブ、スパイスでモロッコ風のピンチョススタイルに仕上げたもの。
「完熟いちご・やよいひめとフルム・ダンベールのピンチョス」
ステビア栽培の完熟イチゴ・やよいひめとはちみつがアクセントのフルムダンベールのピンチョス。
【パン】
「ブリドールのパン2種・ライ麦と全粒粉のカンパーニュ&バゲット」
2割フランス本土で焼き冷凍にし、着後お店で8分焼かれます。ゲランドの塩、プロヴァンス・シャトー・エストゥブロンのオリーヴオイル、シャラントポワトゥーのバター。
【La Farine de sarrasin】
「両国江戸蕎麦ほそ川”の蕎麦粉をソースエミュリュッショネの技法で炊き上げたそばがき、奥井海生堂蔵囲い2年物昆布のジュレとキャビア、ウォッカクリーム、おろしたてワサビをあしらって」
江戸ソバリエの資格を持つシェフのシグネチャーディシュのひとつ。両国江戸蕎麦ほそ川の朝挽き蕎麦粉をソースエミュリュッショネ(乳化)させたそばがきに、福井県敦賀市奥井海生堂の2年物利尻昆布のジュレ、たっぷりのキャビア、ウォッカ入りサワークリームに、おろしたての天城山葵を添えて。
【Les Coquillages】
「石川県産甘えび、フランス産塩バター、海の香るジュレシート、フリーズドライフランボワーズと重ね、ロワール産ホワイトアスパラガスの真空マリネ、季節の山菜類と江戸伝統野菜立川うど、ミモレット、パンセーグルのムースをあしらい、蕗の薹のソースと共に」
石川県産の甘えびのマリネに貝のお出汁のジュレのシート、ブルターニュの塩バターのシート、ピンク色のフリーズドライフランボワーズに、ロワール産のホワイトアスパラガス、山菜、広島県梶谷農園直送無農薬ハーブサラダを合わせたもの。
山菜や蕗の薹のヴィネグレットソースにパンセーグル(ライ麦パン)と燻製ミモレットチーズクリームのムースを添えた冷菜。根底にはフランス料理のエスプリがあります。
【La Seiche】
「春の烏賊ヤリイカとホタルイカをサフランとカルダモンで炊き上げたバスマティ・ライスの最中タルトと共に、いしるを効かせたイカ墨のクーリとルイユとパセリオイルを添えて」
ベースは「Calamar à la setoise 」南西フランスの港町のセートの名物料理・いかの煮込みセート風・イカのトマト煮込みをモチーフに。長崎のシロイカを麺状にカットしたものと富山のホタルイカのコンフィ、をさらにスチームで蒸し、フランス発酵バターで仕上げ、これに合わせるサフランアイオリの代わりに最中の皮に乗せた能登いしり、カルダモンの香りを纏わせたバスマティライスのげそ入りサフランライスを合わせています。イカ墨ソースにはイカワタ、イカのお出汁を入れトマトでまとめ、にんにくマヨネーズのルイユやパセリオイルを添えて。見た目真っ黒のイカ墨ソースですが、食べればびっくりのトマトソース。ギャップのある驚きにあふれた一品。
【Le Joue de Bœuf】
「和牛ほほ肉を純米酒、パプリカ、エスプレットと共にマリネし、やわらかくブレゼ バスク地方郷土料理“ピペラード”のイメージで旬の春野菜のエチュベ・ミニュットと共に」
和牛ほほ肉をパプリカでマリネした後、ブイヨンで煮込みブレゼ。これに春野菜・グリーンアスパラガス、新玉ねぎ、スナップエンドウ、空豆、タケノコ等のエチュベ・ミニュットを合わせ、ソースは、ベーコンの出汁をベースにエスプレット、パプリカ風味のバスク地方郷土料理“ピペラード”風に。上には生ハム、冷却した卵黄をのせて、バスクの定義)を守りつつ、ムッシュ・ロブションのテット・ド・ポーのドレッセをイメージした盛り付けに。
【1er Dessert】
「熊本県産フレッシュ河内晩柑・富山県、満寿泉酒粕のムースと爽やかなライムのグラニテとのハーモニー」
熊本県産の河内晩柑に富山県酒蔵満寿泉の2年熟成酒粕にマスカルポーネとサワークリームを合わせフロマージュブラン風のムース、バジルの香りを移した爽やかなライムのグラニテを合わせアクセントにバジルのピストゥ、晩柑の皮のコンフィを添えています。
【2em Dessert】
「ピュイダムール エヴォリュエ・紅玉をタタンのイメージでキャラメリゼ、古典菓子アルレットと合わせ、カルヴァドス香る紅玉のソルベと共に」
ノルマンディー・デュポンのスペシャリテ、ピュイダムールの再構築&エヴォリュエ(進化)。薄いキャラメルのテュイルに、フランボアーズ、カルヴァドスでマリネしたふじリンゴ、シブーストクリームの上にサワクリームのムース、リンゴのキャラメルソースを合わせタルト・タタンの要素も取り入れた仕上がり。リンゴ紅玉のアイスクリーム、フランボアーズのソースでまとめています。
【食後】
「紅茶」
【ミニャルデイーズ】
「薬研堀中辛七味入りテリーヌ・オ・ショコラ」「大沢屋煎りたてきな粉と黒糖のカヌレ」「サブレ(他の方は黒ごまのマカロン、鈴木園の抹茶のガナッシュを挟んで)」
駒形をイメージした小菓子。
和を感じさせる前菜から、古典フレンチのメインに至るまでメリハリ利かせ、どのお料理も、素晴らしい!わくわくの連続でした。日々、特に季節が変わるごとメニューが変わるので、何度行っても同じことはありません。
終始、渡辺シェフがテーブルを回り、暖かく接客と説明をしてくださるので、和やかに食事ができるとてもいいお店です。ご一緒の方の大昔からお知り合いという支配人ソムリエの神田様からのお話も聞くことができて楽しいお時間でした。
故ムッシュポールボキューズ、故ムッシュ・ロブションのお二人の巨匠に大切にされた渡辺シェフは、フランスならず世界でも稀で貴重なご存在だと思います。
2021/04/11 更新
2020/02 訪問
【渡辺さんのイズムを感じるフランス料理と江戸文化との融合。】
伝統と歴史の街「浅草駒形」2016年、星が降る縁起のいい7月7日開業した「レストランナベノイズム」。
シェフは21年間「ジョエル・ロブション」のエグゼクティブシェフとして、長年腕を振るわれた、渡辺雄一郎シェフ。故ムッシュポールボキューズ・シェフとも師弟関係という、本場フランスでもこのお二人の巨匠に大切にされたシェフもいないのではないでしょうか。
お店に伺って感動したのは、隅田川のほとりリバーサイドにあり、スカイツリーも臨める絶好の景色も最高、開放的でモダンで落ち着いたインテリア。。
テーブルセッテイングに見えるのは三つの丸。これは、ナベノイズムのロゴ渡辺シェフの家紋、オレンジの色はシェフのお好きな色、元気が出るビタミンカラー。
ランチのコースから、MENU・Koma Gata。。
【乾杯】
「ロイヤルブルーティ」
「お茶の貴婦人」といわれ手摘み茶だけで造る完全無添加ワインボトル入り台湾を代表する最高級青茶。大英帝国のビクトリア女王が名づけたとされる「東方美人」
【L’Amuse-bouche】
初めの3皿に「地域とレストランの融合」など様々コンセプトを盛り込んでいます。
「京都京丹後産京人参、柔らかく蒸し上げムール貝とホンビノス貝のブイヨンでクリアヴルーテ・浅草「壽々喜園」のほうじ茶とミルクのエキューム、大なめこと共に」
京人参のピュレのスープにムール貝とホンビノス貝、なめこ。上にはほうじ茶ミルクを泡をのせたもの。
「浅草・雷おこしの老舗(大心堂)とのコラボスナック」
雷おこしに詰まったものはシャラントポワトゥーバターにスペイン産アンチョビとシチリア産ケッパー。
「駒形 種亀最中のカナッペ」
江戸160年の伝統・駒形の種亀の最中の皮にピスタチオのクリーム、鴨の燻製と苺。
「アントナン風グリーンオリーヴのマリネ・リヨン伝統ソーセージロゼットで巻いたプラム」
グリーンオリーブのマリネ・モロッコ風ジェラールアントナン氏との想い出
グリーンオリーブのマリネにオレンジのピール、リヨン・ロゼットというドライプルーンを巻き込んだドライソーセージ。
【パン】
「ブリドールのパン」
ブリドールがあるとみんな喜ぶ。2割フランス本土で焼き冷凍にし、着後お店で8分焼く。
卓上には、ゲランドの塩、プロヴァンス・シャトー・エストゥブロンのオリーヴオイル、シャラントポワトゥーのバター。
【La Farine de sarrasin】
【“両国江戸蕎麦ほそ川”の蕎麦粉をソースエミュリュッショネの技法で炊き上げたそばがき、奥井海生堂蔵囲い2年物昆布のジュレと塩ウニ、ウォッカクリーム、おろしたてワサビをあしらって】
シグネチャーディッシュ。蕎麦の香りとテクスチャーをお楽しみくださいとシェフ。プラック・フランス伝統の熱源と熱伝導の優れた銅鍋、金気の出ないシリコン加工のホイッパーの3つが融合して完成する料理。
江戸ソバリエの資格を持つシェフが取得当時惚れ込んだ両国江戸蕎麦ほそ川の蕎麦粉。
「蕎麦粉をフランス製銅鍋、シリコン加工ホイッパー、プラック熱源で一気に炊き上げ、フランス産発酵バターで乳化させた“ソースエミュリュッショネの技法”で炊き上げた冷たいそばがき」。この上に、福井県敦賀市奥井海生堂の蔵囲い2年物利尻昆布のジュレで香りを閉じ込め、上には、生姜、塩をあてたウニとキャビア、おろしたての天城のワサビ。
手前のスプーンは、ウォッカの風味を付けたノルマンディー産サワークリーム。
☆お皿の和紙は折り紙のお店クラサワ、スプーンの紐は蔵前の町田糸店。お箸は“宮内庁御用達箸勝本店”、ベルナルドに合わせるお皿はスガハラのお皿、などなど料理を引き立てるものにも駒形界隈の伝統の技を使って効果的な演出。
【江戸伝統野菜とフランス伝統食材の融合】
「北海道産甘海老を海老魚醤でマリネ、せとかのゼスト、なめらかな果肉と重ね、アボカドのフォンダンにのせて、蕪と根室昆布の真空マリネ、江戸伝統野菜 江戸春菊のピストゥーとミモレットのハーモニー」
せとかみかんに合わせたのはえびの魚醤でマリネした海老、とアボカドのフォンダンは、エスコフィエからの伝統。塩で漬けた小蕪と小蕪の間には師匠ロブション氏が好んだ、甲殻類とカレーの組み合わせのソースであえた春菊。ソースはクラシックに米で濃度を付けたソースアメリケーヌにソースベシャメル、固く泡立てた生クリームを合わせムースよりしっかりした固さのフォンダン、ヴィネットはハチミツ、ライムをベースにカレー粉とターメリックでアクセントをつけたもの。海老の頭のだしを入れたムース。めかぶやビネガーに付けたラデイッシュ、唐墨の味がすると言われているミモレットチーズをのせています。
【Le Joue de Bœuf】
「和牛ほほ肉をアサヒ熟撰とギネスビールで柔らかくブレゼ・フランス フランドル地方料理 カルボナードの定義に基づいて・石川県五郎島金時芋とフォワグラのプティグラタン添え」
フランス フランドル地方料理 カルボナードのブッフバージョン、アサヒ熟撰とギネスビールの2種黒パン、玉ねぎ、ヴェルジョワーズなどを使って柔らかく煮込んだもの。和牛頰肉を純米酒、調味料などで一晩真空パックでマリネしヴァリオクッキングセンターVCCで圧力をかけ調理。マリネ、加熱、休ませ、仕上げと調理全行程に四日間。
ジョエル・ロブション時代、渡辺シェフのスペシャリテの一つ。恵比寿のエビスビール使用から浅草に移ったので現在はアサヒ使用。添えは“金時芋とフォアグラ、チーズのグラタン”、大黒しめじ、プティヴエール。別添えのお皿には、ビネガーで浅漬けしたアンティーブのサラダ、上にクルミとブルーチーズ、リンゴのマリネをのせています。
【デセール】
「フォンダン・ショコラ パンデピスのソースを閉じ込め、ブランマンジェのグラスとグリオットのクーリを添え、フォレノワールのイメージで」
パンデピスのソースがトロっと流れ出るフォンダンショコラ、ブラマンジェのさわやかなアイスクリームにベリーやアプリコットのソース。
【食後】
「日本堤 バッハコーヒー」
【ミニャルデイーズ】
「はちみつとバッハコーヒー・イタリアンブレンド使用のコーヒーキャラメル」「大沢屋煎りたてきな粉のカヌレ ド ボルドー」「薬研堀中辛七味入り黒ごまとヴァローナ マンジャリチョコのマカロン」
駒形をイメージした小菓子。
徹底的に、あくまで浅草エリアの老舗の銘菓や厳選されたもの、食材をを多用し、巧みな技法で、広がりのある風味、変化のある立体的な味わいに、楽しくいただきました。
素晴らしい眺めと、丁寧で気配りが行き届いたソムリエ、セルヴ―ルさんのサービスと合わせれば、フランス料理のお店として非常に満足度が高いお店でした。シェフ自らのお料理の説明やサーブから、最後の笑顔のお見送りもたいへんみんな喜びました。
シェフがいらしたポールボキューズマエストロトーキョー時代、同時期働いていた私の友人の名前を出すときちんと覚えてくださったこと、驚くと同時に輝いている人はやはり違うなあと思いました。
2020/02/10 更新
浅草駒形にあるフランス料理「レストランナベノイズム」
伝統と歴史の街「浅草駒形」2016年、星が降る縁起のいい7月7日開業しました。
シェフは東京「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」から1991年に渡仏。
1ツ星「ラ・テラス(シェ・アントナン)」、帰国後1993年、ポールボキューズトーキョー、1994年「タイユバン・ロブション」開業時に部門シェフとして1996年にスー・シェフに就任。1998年「タイユバン・ロブション カフェフランセ」のシェフに就任し、再び渡仏。2000年、南フランス ヴァンス・2ツ星「ジャック マクシマン」、モナコ「ジョエル ロブションモンテカルロ」、同年12月から21年間シャトーレストラン「ジョエル・ロブション」のエグゼクティブシェフとして、腕を振るわれ勇退。2016年7月7日浅草駒形「レストラン Nabeno-Ismナベノ-イズム」を開業。
店のエントランスには、日本文化の象徴・七宝焼でフランス国旗をモチーフとした看板を掲げ、「Parce que je suis japonais(自分は日本人だから)」と、決意と思いを込められたシェフのサインが刻んであります。テーブルセッテイングに見えるのは三つの丸。これは、ナベノイズムのロゴ渡辺シェフの家紋、オレンジの色はシェフのお好きな色。
名古屋からいらしたお友達と久しぶりのこちらでランデブー❥
入り口で、シェフ、神田様にご挨拶して。
ランチのコースから、MENU「Koma-Gata」。
【乾杯】
「白ワイン(ノンアル)」
【L’Amuse-bouche 】
「京都直送聖護院蕪のクリアヴルーテ サーモンのマリネと共に カブの葉のほろ苦いエキュームを浮かべて」
貝のお出汁を加えた聖護院蕪のスープ。サーモンマリネ、蕪やタピオカを食感のアクセントに、上には、カブの葉の泡を浮かべて。
〜近隣老舗(大心堂、種亀)とのコラボスナック〜
「大心堂雷おこしとフランスの出会い」
御徒町の老舗大心堂様古代黒糖の雷おこしを使用、上には、フランス産発酵バター、スペイン産アンチョビ、シチリア産ペッパーを。(師であるロブション氏の故郷ポワトゥーシャラント産発酵バター)
「種亀最中のミニタルト、 セップパウダーとマディラ酒でなめらかにしたクリームチーズとほていや中塚商店の煎り黒豆」
種亀最中のミニタルト皿の中には、セップ茸パウダーとマディラ酒でなめらかにしたクリームチーズ、地鶏ハツのコンフィ、アクセントに、ほていや中塚商店の煎り黒豆、上に、フレッシュなブラウンマッシュルーム、パルメザンチーズを、散らして。
「Nabeno-Gougère (北海道産極上たらこオイルと石川芋のフォンダンを詰めたグジェール)」
シュー生地に、フィリングは、大阪の石川村(現河南町)の石川芋をジャガイモの代わりに使い、皮付きで蒸してからニンニク、マヨネーズ、オリーブ油などと練り合わせフォンダンに、北海道産極上鱈子をにんにく、ローズマリーと加熱してから冷やした香味オイルと合わせた「タラコオイル」を練り合わせ、オリーブ油、マヨネーズで乳化させたタラモサラタ(トルコ語ではタラマ)。ピマンデスプレットをはらり。
「アントナン風グリーンオリーヴマリネ」
グリーンオリーブをハーブ、スパイスでマリネにして、中に、オレンジのピールをマリアージュさせて。
Lyon近郊の街ロイエットにあったレストラン『ラ・テラス』のジェラールアントナン氏との修業時代の思い出を組み合わせて仕上げたピンチョススタイル。
「冬いちご、モッツァレラチーズ、大徳寺納豆のピンチョス」
蜂蜜、カンパリでマリネにしたいちご、モッツアレラチーズ、ブラックオリーブ、大徳寺納豆のカプレーゼ。マイクロハーブ(バジル)を散らして。
【La Farine de sarrasin】
「“両国江戸蕎麦ほそ川”の朝挽き蕎麦粉を水と塩のみで炊いてバターを加えた“ソースエミュリュッショネの技法”で炊き上げ、冷やしたたそばがきに、奥井海生堂蔵囲い2年物昆布のジュレとのアンサンブル、日本酒と魚醤でマリネした甘エビ、ウォッカを垂らしたブルターニュ・ノルマンディー産サワークリーム、オシェトラキャビア、おろしたて天城山葵をあしらって。
【パン】
「ブリドール社のバケット、カンパーニュ」
「キャレ・リュスティック」
クープを入れないので、モチモチ柔らか。
【Le Calmar “Aori” <Carottes râpée > 】
「フランス伝統料理『キャロットラぺ』オレンジとコリアンダー風味 山口県萩市直送アオリイカのタルタル仕立て、柚子胡椒、いしりと合わせ奥井海生堂白とろろと雲丹をあしらって」
人参は、パスタのように、長く千切りにして、オレンジの果汁、スパイス、コリアンダー、メープルシロップで味付けしてキャロットラペに。上には、柚子椒、イカの魚醤イシリで味付けした山口県萩市直送アオリイカのタルタル仕立て、奥井海生堂白とろろ昆布を纏わせた雲丹をあしらって。
家庭的なキャロットラペをガストロノミーな仕立てに。
【La Morue】
「塩ダラのコンフィ、白子のア・ラ・プランチャのデュオ 千住ねぎ市場直送江戸東京伝統野菜千寿葱とのアンサンブル クレーム・ド・パルメザンとフランス産黒トリュフ、にんにくの芽の爆(バオ)でエスコート」
塩ダラのコンフィ、白子のプランチャ(鉄板焼)、スライスした黒トリュフ、江戸東京伝統野菜千寿葱を蒸して、合わせて。
にんにくの芽を刻んで、油をかける、中華技法の爆(バオ)で仕上げます。
クレーム・ド・パルメザン(たらのお出汁をベースにしたパルミジャーノ入りクリームソース)をかけて。別添えのライスパフを一緒に。クリームソースの定番ブールブランをさらに、くどくなく、それでいて滑らかなコクを持ち合わせた絶妙な仕上がり、さすが!です。
【Le Chevreuil】
「蝦夷鹿のフィレ肉をしっとりと焼き上げ、香り高いコンソメ・ドゥーブル《シュヴルイユ》と黒トリュフと共に 群馬県産ちぢみほうれん草、ビーツ、赤キャベツをエスコート『江戸前ハーブ』のマイクロハーブを添えて」
蝦夷鹿のロース肉をしっとりと極限まで柔らかく焼き上げ、黒トリュフ、ビーツ、木の芽をのせて。美味すぎました。鹿が、とろけるって感覚、初めて。追いソースは、タイム、ジュニエーブル、黒胡椒、鹿のミンチで炊いた香り高いコンソメ・ドゥーブル“シュヴルイユ”。このコンソメだけでも、丁寧にひいたドゥーブルですから、圧倒的な美味しさです。
ガルニには、群馬県産ちぢみほうれん草、ビーツのピュレ、赤キャベツ、フランス産栗を、添えて。
別皿には、お口直しの付け合せ。大田『江戸前ハーブ』さんのスプラウト、マイクロハーブを添えて。
ドレッシングがまた素晴らしい。
【1er Dessert】
「高知県産 水晶文旦のデクリネゾン 香り高いハーブのクーリを忍ばせ『岡部酒造』すだち酒の爽やかなグラニテを重ねて」
柑橘“メロンゴールド(サボン)”のグラニテ。そのフレッシュな果肉と生姜の香るコンフィチュールに、皮で香りを移したクレームダンジュ、『岡部酒造』を使用した自家製すだち酒シャルトリューズの爽やかなグラニテ、香り高いフレッシュハーブのクーリを忍ばせて。
【2ème Dessert】
「ガトーマルジョレーヌ@KOMAGATA2024」
ミルフィーユ状に重ねた、下から、濃厚なコーヒーゼリー、アーモンドのダックワーズ、チョコレート、プラリネクリーム、パイ生地、生クリーム。
仏ヴィエンヌにあるレストラン「ラ・ピラミッド」のスペシャリテ、フェルナン・ポワン氏考案のガトーマルジョレーヌをナベノイズムスタイルでアシェットデセールとして再構築した一皿。
ガトーの生地「フォン・ド・マルジョレーヌ」を一度焼き、乾燥、粉砕して粉にし、ダクワーズ、ラングドシャの生地に混ぜ込み焼き上げ、「フォン・ド・マルジョレーヌ」風の味を再現。ヴァローナ社「マンジャリ」を使用した濃厚なガナッシュ、ナッツが香るプラリネのクリームには、本場同様ゼラチンを使わずに、より融解温度の低いバターを使用。
【Café et Mignardises】
〜日本堤 バッハコーヒーと駒形をイメージした小菓子
ミニャルディーズ〜
「チョコレートヌガー 」
ヴァローナのチョコレートに小桜かりんとうを加えて。
「チョコレートのテリーヌ」
ヴァローナマンジャリに薬研堀中辛七味入り。
「カヌレ ド ボルドー」
大沢屋煎りたてきな粉と黒糖のカヌレ。
「バッハのライ麦サブレ」
【食後の飲み物】
「アイスコーヒー」
渡辺シェフのお料理は、ちょっと他とは、逸脱した美味しさ、美しさ、食材のレベル、を感じました。神田様にも、皆様にも良くしてくださり、お友だちも喜んでいました。