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1回
昼の点数:4.5
2009/07 訪問
昼の点数:4.5
野趣を残した造り込み。類を見ない高品質。
2009/07/20 更新
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(’09.7 久しぶりに)
鮎。
小ぶりなヤツに串を打って逆さに立てて、強火の遠火でジリジリと・・・
ってな焼き方が理想なんでしょうかね。
余分な水分が身や内臓からじわじわと流れ出して鮎全体を包み込む。
それを遠火の炭が炙るもんだから皮なんぞが黄金色に輝いて香ばしさこの上ない。
この夏は菊乃井で小ぶりな琵琶湖産をやったきり機会に恵まれずにおりました。
そうこうしているうちに出会ったのがこの店の「鮎」。
初めて出会った調理法でした。
広島・太田川産の鮎は開いた切り身になって小骨が全て丁寧に取り除かれています。
「鮎」と言うにはあまりにもシンプルな「姿」で必ずしもそそらない見た目。
・・・が、口に入れて驚くのはその香りと風味。
まさに鮎らしい爽やかな「西瓜」の香りとハラワタの豊潤な程好い「苦味」が鼻腔に広がる。
聞けば、二枚に開き小骨を丁寧に除いた上で、頭や内臓をつぶしたエキスを塗りながら焼き上げるそうだ。
こういうものがサラッと出てくるところがこの店の真骨頂かも知れない。
(’09.1 初回)
仕事で接待なるものを続けていた時期があった。
毎晩のように続く取引先との会食。
その9割が当然のことながら「日本メシ」・・・要すれば会席料理ってやつだ。
料亭や割烹を「名前中心」に選び、連夜相手を換えて「より親しい関係を作るために」莫大な金をかけて内臓を痛めつけ体力を削り続ける訳だ。
場合によっては招かれる側に回ることもあるけれど、これがまた何故か似たような「名前」の店になる。
で、これが実に飽きるんですね。
連日連夜似たような料理が似たような順で登場するモンだから、終いには「造り」や「椀」なんか見たくも無くなる。
そんな中でも秀でたものに出くわすとそれなりの喜びがある訳だけれど、まあそういうケースはまれな訳ですね。
で、そんな環境から離れたあとも和食、特に「会席」的なコースについては知らず知らずに、全く期待しない体質になってしまった訳です。
もちろん高い金を払えば美味い店があるのは承知だけれど、そういった場所は個人で行くにはせいぜい季節に一度って感じってことになる。
したがって和食に関しては幸か不幸か、結構「閾値」が高くなってしまった。
なじみのイタ飯屋のシェフからこの店を薦められたときも、まあ、あんまり期待はしていなかったんす。
が、食べログレビュウを見ると信頼度高い熟年レビュウアーがそこそこの評価をしているではないですか。
加えて断腸亭マンゾ師とスカーレット毛利ヲハラ女史の縄張りでもあることが判明。
期待と不安を胸に秘め初訪問となった次第であります。
店構えはビルの一階にはめ込まれた感じでナンとも冴えない風体でありました。
が、結果的にはそんなこたぁどーでもええじゃあ無いかと言うことになる訳であります。
カウンターに通され抜群の接客のうちに前菜盛りが登場。
これを食って、おおよそ予測がつきましたね。
数の子、スモークサーモン膾、黒豆、出汁巻き玉子、フォアグラ吹き寄せ、鴨焼き等が載った一皿であるが、それぞれがいちいち心引かれる造り込みなのだ。
ひとつひとつに素材の持ち味を生かしたしっかりとした強い味付けがされ、尚且つ全体が淡く繊細なのだ。
続いた「カラスミと大根おろし椀」で確信した。
出汁が強く深くて切れる素晴らしい出来だ。
つくりは大間の鮪にアオリ烏賊、伊勢えびの3種。
旨みの弱い素材の伊勢えびは琥珀色に〆られて温泉玉子の黄身をアクセントに使い、立派な造りに仕上げられている。
煮物は出汁加減もさることながら、里芋や南瓜が歯応えのある煮加減に抑えてあるところが凄い。
歯触りまで素材を味わうことが出来る。
〆の鯛ご飯。
途中から鯛茶漬けに変り変化を楽しめる。
鯛茶の出し汁が薄めの程好い加減で鯛の風味を殺さない。
鉄瓶に入った出し汁が冷めずに熱いのも嬉しい配慮だ。
それより何より「ご飯」が薫り高く食感優れ、抜群の炊き加減で我を忘れる領域だ。
ご主人と女将さんの心のこもった接遇も自然で、実にいい時間を過ごせた。
この価格でこの水準はまず他に類を見ないだろう。
月の前半と後半で料理を組み替えるとのことで、次回の訪問が今から楽しみだ。