2回
2015/06 訪問
【0006】モツ焼き界の巨人
3,781文字★
6月12日に施行された例の規制の後に訪問してみました。
しかし保健所からの指摘で数年前からレバ刺しなどの提供を既に自粛していた埼玉屋。
前回の内容と比べて満足度に変化は無かったです。
1串の値段が160円(外税)に値上がりしていたことのほうが痛手でした。
この日は、あぶら、上しろ、れば、はつ、ねぎ間、ちれ、かしら、たん、しゃも。
座ると自動的に出てくる串が9種類。
お通し代わりに強制的に出てくる生野菜(420円)。
生レモンハイ(460円)、生ホッピー(460円)とともに味わいます。
ポルコ(350円)、煮込みパン付き(780円)、牛のタタキ(780円)、
ベーコンステーキ(840円/100gで出てきたのは200gぐらい)。
大将の機嫌を伺いながらアラカルトも注文。
空気を読まずに注文しても拒否されることが多いのです。
他にも裏メニューの串をいくつか注文。
2人でお会計14,440円、1人あたり7,220円。
値上がりの影響を感じる支払額の高さとなってしまいましたが、
モツと牛肉の美味しさと大将のエンターテイメントは相変わらず。
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久しぶりに行ったら少し変化がありました。
食べ終わった串を皿に置く場合は縦に置くルールとなったようです。
その上に大将が焼いた串を置いていきます
消えた牛刺しの代わりに牛のたたき(650円)がメニューに。
こちらは醤油だけで頂くことになります。
やはり刺身には劣りますが、このお店は牛肉の質も良いので十分美味しいです。
本日の牛甘露煮(650円)はとき卵と一緒に出てきてスキヤキ風とのこと。
生卵でマイルドになった牛肉もまた美味。
やきとん屋なのに何故か牛肉もハイレベルなのも魅力の1つでしょう。
レバーの焼き加減が一時期よりはレアに戻り、ハツはガーリックソースで提供されていました。
色々なモツ焼き屋を回りましたが、やはりトップクラスのお店だと思います。
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東京のモツ焼き屋には変なお店というか、独特なお店が多い。
その中でも二大巨頭と言えるのが立石宇ち多゛と、東十条埼玉屋でしょう。
着席すると注文もしていないのに、お店の大将が焼いた串を勝手に目の前に置いていきます。
そしてドヤ顔で「美味いだろう」とか厚かましく言ってきて、ボディーランゲージまでしてきます。
顔の赤い客がくると入店拒否、酔っていたら味が分からないだろうとのことです。
初訪問のときはビックリしたものですが、今ではもう慣れてしまっています。
規制が厳しくなった現在は初訪問の頃に比べると、
ホワイトボードに書かれたメニューも随分変わってしまっています。
このお店が最高評価☆5の理由は串だけでなくサイドメニューにもありました。
牛刺し、豚レバ刺し、豚タン刺しはこの値段で食べられる料理としては最高クラスの美味。
現在は全てメニューから削除されました。
特にレバ刺しタン刺しはいまだにこのお店を超えるものに出会えません。
思い出として美化されてしまっている可能性もありますが。
ベリーレアの豚レバー、焼かないで供されるアブラタレ(牛リブロース)。
これらも1串140円で食べられるレベルを遥かに凌駕していました。
同様にこちらも現在は諸事情により出せなくなっています。
現在の埼玉屋だけで評価するなら☆4.0~4.5程度が妥当とも思いますが、
思い出のお店でもあるので☆5のままとしております。
お店の立地はJR京浜東北線の東十条駅から徒歩3分ほど。
南口(東京方面からだと電車の最後尾のほう)を出て左折、坂を下って行きます。
しかし何だってこんな坂の上に駅を作ったのでしょうか。
坂を下り直進して右手にローソンが見えたらその先を右折、右手に埼玉屋があります。
ちなみに左折すると新潟屋というモツ焼きの名店もあります。
ご近所にモツ焼きの名店が2軒もある不思議な土地、それが東十条。
なお両方行きたい場合は埼玉屋を1軒目にしなければなりません。
前述のとおり酔客は入店拒否されるおそれがあります。
焼き場を囲むコの字カウンター20席とテーブル3卓の店内。
お店の奥にも席はあるようですが、まだ入ったことがありません。
着席すると飲み物のオーダーを聞かれます。
このお店では生ホッピー(460円)を注文することが多いです。
サーバーから注がれるホッピーはモツ焼き屋では珍しいです。
シャーベット状に凍った焼酎に生ホッピーが注がれて登場。
頼んでもいないのに渡される事実上のお通し生野菜(420円、クレソンと大根のサラダ)に、
シャリシャリ生ホッピーでまずは東十条まで遠征してきた疲れを癒します。
そして始まる大将のモツ焼き「独演会」。
本日まずはアブラから。
アブラと言っても牛のリブロースで他のモツ焼き屋のアブラとはモノが違います。
タレにつけてレアで焼き、目の前の皿に乗せてきます。
食せば牛の脂の旨味に恍惚、これは1串140円で食べられる味のレベルではありません。
倍以上の値段でも注文するであろうレベルの逸品。
おかわり絶対禁止の、大将曰く赤字のサービスメニュー。
続いてプリッとしたレバーが店内のお客さんに紹介されます。
大将曰く白レバ、脂の乗った甘いレバー。
昔は焼き加減ベリーレアでしたが、規制強化された今では火を通したレアの塩焼きで提供されます。
とはいえ美味しい、素材としてはこのお店より美味しい豚のレバーは食べたことがありません。
焼かないでそのまま食わせてくれと言いたいぐらいです。
3串目は上シロ、いわゆるテッポウ(直腸)の部分です、これも塩で焼かれます。
このお店の大将(強制)おまかせコースではアブラ、チレ、シャモ以外は塩での提供になります。
このお店のモツは素材が抜群に良いので塩で焼くだけのほうが、素材が活きて美味しいと思います。
このお店のタレはタレで非常にレベルが高いのですが、アブラ以外ではあまり出番がありません。
ハイレベルな上シロを堪能したあとはネギマ。
豚のバラ肉とネギが交互に刺さった串。
この豚バラはブランド豚の1つ、岩中(いわちゅう)豚のバラ。
大将曰く芝浦(食肉市場)でナンバーワンの豚だそうです。
良質な豚の脂とさっぱりしたネギがマッチしてこれも良し。
アブラ、レバー、上シロ、ネギマが、埼玉屋の串の四天王と個人的には思います。
このあたりでホワイトボードを見て、ポルコ(豚耳のカタルーニャ風)なんかを追加注文しても良いと思います。
洋風に味つけされたコリコリの豚耳が秀逸です。
最近は牛の甘露煮という新メニューが加わったようです。
リブロースをスキヤキ風に甘辛く煮たとのこと。
一緒に行った友人はこの甘露煮を絶賛しておりました。
串のコースはハツ塩が出され、続いてチレ(脾臓)が出されます。
このチレは出されてすぐ食べてはいけません。
女性従業員がその上にガーリックバターをかけてくれるのです。
チレのガーリックバター。
他のモツ焼き屋だと網脂と一緒に焼いたりするチレですが、
ここ埼玉屋ではガーリックバターで油脂を添加してきます。
アッサリしたチレとバターがマッチして良いです。
さらにカシラ、タン、ナンコツをそれぞれ塩で。
どれも素材の良さが光ります。
コースの最後はシャモ。
これもちょっと待ってと言われ、サルサソースがかかります。
これで串のコースは大体終了。
10串でも1,400円、串のレベルを考えれば全然安いと思います。
たしかにモツ焼き屋は1串100円前後で出しているお店も多いので、
1串140円はモツ焼き屋にしては高めの値段設定ではありますが、この味なら納得でしょう。
好みの分かれる独特の接客でありながら、この味を求めて今日も店内は満員です。
コースが一通り終わったあとは串を追加注文しても良いと大将から言われますが、
注文しても「ダメ」と断られることも多いです。
ホワイトボードには牛のステーキというメニューもありますが、注文しても拒否されたりします。
じゃあメニューに書くなよと言いたくなりますが、まあこういうお店ですので。
大将の気分次第なのか、出してくれるときもあります。
注文の自由が制限されている、独特なお店であることには留意が必要です。
外食のときに接客を重視する人は来店しないほうが良いかも知れません。
お客様は神様という考え方の人は来店してはいけません。
この独特の雰囲気を楽しめる人にとっては素晴らしいお店です。
ファンも多いがアンチも多い、読売巨人軍のようなお店。
東京のモツ焼き界を代表するアクの強いお店です。
個人的には定期的に通う、大のお気に入りのお店なのです。
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2011年12月初投稿、2012年6月、11月更新、2015年6月更新
2017/05/21 更新
919文字★
生ホッピー(460円)
生レモンハイ(460円)
串9本コース(1串160円)
1.アブラ タレ
2.上シロ 塩
3.レバ 塩
4.ハツ 塩
5.ネギマ 塩(岩中豚バラ肉と深谷ネギ)
6.チレ ガーリックバター
7.カシラ 塩
8.タン 塩
9.シャモ サルサソース
~追加~
シロタレ
ドカンタレ(大動脈)
生野菜(420円)
ポルコ(350円)
煮こみ パン付(830円)
レバーステーキ(600円)
牛のタタキ(830円)
豚のレッソ(700円)
いつもの通り生野菜(クレソンと大根のサラダ)が強制的に出されますが、
原価割れしているのではないかと思うアブラ(和牛のリブロース)から始まる串9本コースが圧巻。
レバーは豚のレバーとは思えないほど脂ノリノリな「白レバー」。
アブラー(脂を愛する人)には5.0満点クラスの感動ではないでしょうか。
久しぶりに訪れたら「レバーステーキ」に「豚のレッソ」といった新しいサイドメニューもありました。
レバーステーキは埼玉屋クオリティの超良質な豚レバーを厚切りカット。
バルサミコ酢、オイル、ハーブ、ニンニクチップ、ガーリックバターなど洋食のような装いです。
こういう洋の味付けも意外と秀逸なのが同店(ポルコも豚耳をカタルーニャ風に味わえて美味しいのです)。
素材のレバーは他店では扱えない超一級品。
料理としての総合力は食べログ3.90の洋食店でも到底敵わない異次元の美味しさとなっていました。
レバー料理の最高峰の1つかも知れません。
豚のレッソは岩中豚のバラ肉をレッソ(イタリア語で茹でる)した「茹で豚」。
春菊も添えてあってポン酢でサッパリと味わいます。
これは豚小家(小岩)の岩中豚の「茹で豚(680円)」と似ている料理。
豚小家のほうが厚切りでボリューミーなので、こればかりは豚小家に軍配でしょうか。
それでも同店でしか味わえないオンリーワンの豚料理は数多く、豚だけでなく牛も超絶ハイレベル。
1串160円のアブラは都心であれば5倍の値段になってもおかしくないですし、
牛のタタキも脂が上質で都心の高級焼肉店も顔負けなクオリティの高さでした。