2回
2021/02 訪問
至福の時
京都老舗三大旅館に泊まりたいとの願いで、炭屋旅館についでこちらに宿泊しました。
炭屋の近くです。
玄関先は炭屋と異なり、非常に広いです。後からの説明で、人力車で乗込める広さなんだそうです。なるほど。
うす暗い屋内を部屋まで案内されますが、新館に入るとやけに広くて明るい空間がありました。
翌日はここで朝食でした。
新館でエレベーターに乗り部屋に向かいます。廊下の窓からは柊家の全景が見えます。昔は北の御池通りを超える敷地があったそうです。
部屋はベッドのある洋室です。
少しすると、一番客だったせいもあり、女将さんがご挨拶に来られました。
実は洋室はこの1部屋だけで、年老いた大女将の提案で作られたのだと。高齢者には楽だろうとの発想だそうです。
なにも知らずに予約したのでびっくりです。
夕食は部屋食です。
先付は赤貝、わらび、氷魚おろし和えなど。早くもお酒が進みます。
椀は松葉蟹と蕪真丈。職人さんの腕前がすごいです。
造りは鮪、鯛、細魚。
八寸は、鮑、車海老、唐墨、黒豆、こごみ、うど。もっと食べたい逸品ぞろいです。
焼物はもろこ、菜の花。春です。
凌ぎはいわしのなれ寿司。すごい香ばしさです。
煮物は聖護院大根と穴子です。もう最高の美味です。
お酒もついつい調子にのって進みます。
もちろん、爆睡しました。
朝食は前日に通り過ぎた大広間でいただきます。
部屋の周囲には庭があり、四季が表現されています。
私は洋食を選択しました。
オートミール、オムレツ、サラダ、カフェオレなどまさしく和食はありません。
まあ、一流ホテル並みですか。
チェックアウト前に、係の方が館内ツアーをしてくださいます。
部屋は江戸時代、明治時代、昭和時代、平成時代に建てられた部屋で構成されています。
三島由紀夫が家族とともに泊まった部屋、川端康成が出筆のために泊まった部屋などを案内されます。
面白いのは、ついさっきまでお客さんが泊っており、布団などが片付けられていない状態での案内なんです。
著名人が泊った部屋は江戸や明治時代の部屋で、私たちが泊った部屋に比べはるかに狭いので、大柄な私は、申し訳ないですが泊まりたいとは思いませんでした。
とにかく、清潔感もあり、程よ良い接客で、料理はいうことなしで、今まで泊った宿でも最高でした。
唯一の文句は、部屋のテレビが小さくてしょぼかった…。
2021/07/03 更新
今回は法事の後、弟夫婦との宿泊。前回があまりにも良かったので、弟にも味わってもらおうと奮発しました。弟たちにはベッドの部屋を譲り、今回は新館の和室に。あまり慣れていない?中居さんの案内なのか、浴衣のサイズを気にしてない、お菓子の置き方が反対など、この旅館としては信じられないような状態。ただ、かえって妙に安心感が。あまりにすきがないと肩が凝ります。
お部屋は素敵です。書斎コーナー?があり、掘りごたつ形式で、なんと横のガラス窓には四角く切り抜いた小窓があるのです。外気が気持ちいいです。
待望の夕食は、前回同様すばらしいものでした。
まず、驚いたのは、なんと旧館1階の江戸時代に建てられた、川端康成が愛用した部屋での食事を用意してくださっていました。一同大感激です。
先付けは、渡り蟹、かます寿司など、いずれも超逸品です。
椀は甘鯛と蓮根。味はいいですが、蓮根のすり身でお汁が白濁しており、澄まし派としてはやや残念。
造りはのどぐろ、うに、鱧炙り。香住でのどぐろの刺身や炙りを贅沢にいただいてきた身としてはあまり感激はありませんでした。
焼物はまながつお。
凌ぎとして、栗やむかごの蒸し飯。
油物は穴子の天ぷら、松茸、銀杏。今回で一番美味しかった逸品。油物ではあるが決して油っぽくなく、とにかく出汁が最高に美味しかった。松茸のマジックなんでしょうか。
煮物は鏑、鴨団子、菊菜。安定の料亭の味です。
水果はオーロラという洋梨、黄華というぶどうなど。
日本酒の飲み比べも最高で、なかでも金鵄正宗が一番のお気に入りでした。
朝食は前回同様に洋食で。これまた豪華。他のメンバーが和食だったので、余った平野屋の湯豆腐もいただいちゃいました。お店が休みの日曜なのに、ちゃんと届けられているのですね。
チェックアウトの際に、女将さんからこれからどこに行かれるかと尋ねられ、歩いて知恩院に法要に行くと伝えたところ、なんと、キンキンに凍らせた飲料水のペットボトルを全員分いただきました。”来者如帰”の屋訓のごとくすごいです。
もう沼です。