とんしさんが投稿したチッチャ(兵庫/三ノ宮)の口コミ詳細

とんしの「本当に美味いもの」

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とんし (男性・兵庫県) 認証済

この口コミは、とんしさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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チッチャ三ノ宮(JR)、三宮(神戸新交通)、三宮(神戸市営)/イタリアン、ビストロ、フレンチ

11

  • 夜の点数:5.0

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク 4.5
おすすめポイント

数少ない食材との会話ができるイタリアンシェフ青木氏のイタリアンを超えた珠玉の料理をお楽しみ下さい。

2021/09/19 更新

11回目

2023/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

序盤、中盤、終盤、隙がないよね

チッチャグループも更なる進化のために新年から体制を変えられるということなので、青木さんのプラチナコースの食べ納めということで伺いました。
伺える日がほとんどなかったのですが、第一候補のこの日の予約が取れてラッキーでした。

序盤、中盤、終盤、隙がないよね。

藤井竜王名人(八冠)がタイトル総なめする前に、この先何十年もタイトルを複数持ち続けると言われていた豊島九段(元竜王名人)がある一流棋士から評された言葉です。

コース料理は基本的に好きではありません。
余程信頼している料理人でないと、そこら中隙だらけになるからです。

要するに、一品くらい美味しい料理があっても、いくつか食べたくないなと感じる料理があるからです。

コスパを考えると無駄が出にくいコース料理自体は良いと思っているのですが、序盤、中盤、終盤、隙がないという大きな壁を超えてくることはほとんどないので好きではないのです。

青木さんのプラチナコースには本当に隙がありません。
もちろん、良い食材を使われておられるので、リピートして食べているものに対して、僅かな差でもあれば感じてしまうことはあります。

今宵のコースで言えば、レバーは抜群に良かったですが、牛肉のヘレは少し弱いと感じました。
勿論、美味しいのですが、凄いなと感じた時と比べると弱いということです。
食材のクオリティがストレートに反映されやすい城助では毎回のことで、弱い時にどうするかが問題です。

今後はバールチッチャの中村さんがチッチャを回すので、ピッツァなどアラカルトになるそうです。
ただ、私たちの場合は、アラカルトと言っても、前菜から最後までほぼお任せですし、ワインは事実上のペアリングなので、完全なコースと言って良く、あまり影響はありません。

先ずは泡。
マリブラン
ルイオ プロセッコ・ヴァルドッビアーデネ・ブリュット

プロセッコのようですが、きめ細かく柔らかな泡で、嫌な味がなく辛口で安っぽさがなくて美味しいです。

根セロリスープ
根セロリの柔らかいセロリ感が心地良いです。

シルヴァネール
アルザス

さっぱりしていますが旨味を感じます。

王様しいたけのヨコワ
先日のバールチッチャのヨコワも見事でしたが、こちらも素晴らしいです。
マリネした王様しいたけがヨコワに合います。
お腹の部分を出してくれました。

シチリアムニール

優しい酸で素敵な香りです。

北海道産たらの白子のタラティーノ

この日のペアリングで一番凄かったのはこの料理と白ワインです。
Clapのレビューでも書きましたが、たらの白子を食材とした料理は難しいです。
ポン酢をつけて出すものは最悪です。
味が淡白でわかりにくい食材になんでもポン酢というのでは話になりません。
あれは食材を食べているのではなく、ポン酢を食べているのです。
ひらめ、ふぐ、では定番ですが、ポン酢は食材が悪い時にやるのであれば、一応理解しますが、食材のクオリティが高いと邪魔です。
家庭料理ならともかくとして、お客にお金を払わせる飲食店で、素材にポン酢をかけたり、添えたりして出すことなどあり得ません。
フグもクオリティが高ければ、塩か何もつけないかです。
あんな繊細な旨味はポン酢にやられてしまいます。

ペアリングの天才。
と青木さんのことを思っています。
この組み合わせは、食材とワインの旨味が浮き上がってクリアになったのでマリアージュと言えるでしょう。
チーズとワインのマリアージュはちゃんとした組み合わせにすれば比較的簡単にできますが、料理とワインはペアリングは出来てもマリアージュまでは難しいです。
城助とチッチャでしか私は経験がありません。
私の記憶ではバールチッチャでもマリアージュまでは感じたことはないのですが本日のペアリングは中村さんが担当されたそうです。
この組み合わせには感動しました。
青木さんは、ソムリエや業者を集めてかなりの数のワインを試飲して、お店で使うものを決めるそうですが、ペアリングでございますと言ってお客にお金を払わせるのであれば、当然のことと言えますが、やられている方はほとんどいないと思います。
限られた予算の中で、よりハイクオリティのものを選び、ペアリングをしようと思えば、食材のことを知り尽くした上で、膨大な数のワインを試飲しなければ、ペアリングなど出来ません。
ろくでもないワインを美味しくない料理とトンチンカンな組み合わせで出して、ペアリングと言うのはやめて欲しいです。

キュヴェ ハル・イチ・ヴァン ロゼ
ガメイ

ガメイですが酸は強くありません。
もちろん、ドライでさっぱりしています。
牛肉と牡蠣を一緒に食べるので難しいペアリングでしたが、合っていました。

坂越産の牡蠣
牡蠣とエキスを乗せて、阿波華牛のカルパッチョと一緒に
牡蠣の上には牡蠣のエキスがのっています。
カルパッチョを巻いて食べます。
良い組み合わせです。
美味しいです。

妻は牡蠣アレルギーがあるので別メニューです。
蓮根と阿波華牛の料理を食べてました。

ドリアーニ
ドリチェット

合わせるのがかなりエレガントなレバーなので、酸とタンニンが穏やかです。

レバーのタリアータ
チッチャで頂いた中でも最高でした。
臭みやエグミは一切なく、ただただ甘いです。
ここまでのハイクオリティのレバーは、シンプルにタリアータで出すしかありません。
アラカルトになってもこれだけは常に頂きたいです。
とにかく、酸やタンニンがエレガントな赤と一緒に食べたいです。
イタリアンなのでシャンボール・ミュジニーが飲みたいとは言いません。

ヴァルテル・ムレチニック
シャルドネ
2013
スロヴェニア

このようなところをつくとペアリングは楽しくなります。
スロヴェニアのシャルドネときましたか。
物凄い数のワインを試飲して、エチケットでワインを選んでいないとこのようなワインが出てきます。
かなり果実感が強いので、このバーニャカウダーの濃密な味に合わせたのでしょう。
また、カブで包んで食べるカニのことも考えています。

季節のバーニャカウダー カニとカブ

看板料理の一つですが、カニとカブがついているのは初めてです。
何度も食べているバーニャカウダーですが、カニとカブの組み合わせで食べると更に美味しかったです。

ドメーヌ ランドロン ムレニックス

グレープフルーツのような果実感があるワインです。
ロワールのワインですね。
ブルゴーニュのワインが史上最高の高騰と言えども、ワインの文化は広くて深いので、ペアリングのために常にさらに良いものがないかを探求している証です。

ポレンタ

定番の美味しさです。
前菜の〆です。

ヴィーニェ ヴェッキエ

上品な酸味と果実味があります。
牛肉ならなんでもかんでも牛の脂に対抗するような赤ワインを合わせてくる方がおられますが、牛肉だからコレという確定的な法則などありません。
魚には白とか。
馬鹿馬鹿しい。
肉の旨味が繊細であれば、それに合わせなければなりません。
食材との会話もしていないのに、ペアリングでございますというのには本当に腹が立ちます。
大阪一と言われている超高級イタリアンでもペアリングが全くできていませんでした。
世の中どうなっているのでしょうか。

ヘレ
この日のヘレは少し弱いと感じました。
クオリティの高い食材は、個体差がかなりあるのでそのためだと思います。
妻も同意見でしたが、レバーが凄すぎてそのように感じたのかも知れません。

ジャン・ルイ・ドゥノワ
リムー サント・マリー

驚きました。
私がラングドックで最も愛する生産者の白が出てきました。
彼は自然派の雄だと思っています。
このようなワインも網羅されておられるのですね。
待ってきた人も偉いです。

塩水ウニのラグー

私のラングドックで一番好きな生産者の白に、私が最も拘る雲丹のパスタです。
人生で雲丹のパスタで美味しいものを食べたことはたった一度もありません。
アルコール漬けの一口も食べられない雲丹を混ぜたパスタは私が人生で一番嫌いなものの一つです。
あれを商品として出す、、。
そこまで酷くなくても雲丹の悪いところばかりが強調されたパスタしかなくて、雲丹のパスタだけは食べません。

今回、選ばせて頂いたのは、青木さんへの信頼もありますが、塩水雲丹を使っておられるからです。
塩水雲丹は私も100回以上試食していますが、使えないと思ったことは一度だけです。
まさか、青木さんが使えないような塩水雲丹を使ってパスタを作るはずもなく、人生最高の雲丹のパスタが食べられると信じて選びました。

ブラボー!
最高でした。
本当に美味い雲丹のパスタでした。

ハーゲルナッツ

デザートで頂きました。
スウィーツも当然隙がありません。
チッチャではデザートも是非召し上がって頂きたいです。
ハイクオリティです。

青木さんのプラチナコース料理。
この価格設定では、他にはないでしょう。
コスパも凄いです。
新体制でもう食べられないことが残念です。
なんとか年内にもう一度と思っていますが、バールチッチャがどうにもこうにも取れないので、ラストチッチャもラストバールチッチャも叶わないかも知れません。

私も妻もスケジュール調整が難しい中、こちらの2軒のプラチナチケットを取ることなど不可能なのかも知れません。

このプラチナコース料理は、ペアリングも含めて、一つのイタリアンの極みだと思います。
青木さんのおかげで、イタリアン嫌いが治りました。

しかし、多分ほとんどの高級イタリアンは高級フレンチと同じくらい大嫌いです。
食材との会話がなく、ワインとの会話もなく、ペアリングをしていないのにペアリングと称して何やら出したいワインを出してくる。

序盤、中盤、終盤、隙しかないよね。

2023/12/16 更新

10回目

2023/02 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

イタリアンじゃないと言う勿れ

今年初めて伺いました。
中々チャンスがないのでバールチッチャばかりになってしまうのは致し方ありません。
バールチッチャの方が直前に予約できることが圧倒的に多いのです。

なんと金曜日の予約が取れてしまいました。
恵方巻きの日だったためか、水曜日の夜中に予約の電話を入れたのに予約を取ることが出来たのです。

いつもの妻のメモです。
詳しくお知りになりたい方はメニューの写真をご覧ください。

たけなかファームの根セロリのポタージュ。
ブリの温製カルパッチョ。
ポルチーニ茸のトルティーヤ。
阿波華牛のカルパッチョの蓮根のせ。
レバーステーキ。
ハットリオーガニックのビーツとタラの白子バーニャカウダ。
ポレンタ。
ヒレ肉ステーキ。
フレッシュトマトのパスタ。
テラミス チッチャ風。
ジェラートキャラメルのローズマリー。

レバーの甘みと雑味や臭みの無さにはいつも驚愕させられます。
私が牛のレバーの好きなところが最大限に引き出されていて、嫌なところが皆無です。
あり得ない料理です。

ヒレの火入れはいつも完璧です。
牛肉のステーキが苦手な私も美味しく頂けます。

初めて頂いたティラミスにも驚きました。
イタリアンやフレンチのデザートは、昭和の時代は砂糖ドバドバで甘すぎて食べられませんでした。
平成や令和はさっぱりしたあまり甘くないデザートが流行っていますが、そのほとんどは甘くないけれども旨味やコクがないというものになっています。
私は、魚の旨味を感じにくくするので握りのシャリに砂糖を入れるのは嫌いですが、いわゆるスウィーツが嫌いなわけではありません。
そもそも、家では必ず食後のデザートとして果物を食べたりスウィーツを食べたりするので甘いものは嫌いではありません。
不味いものが大嫌いなだけです。
だから、常に最高のスウィーツを食べたいと思っています。
私は、砂糖ドバドバの耐え切れない甘さが無く、繊細な甘みがありながら、深い旨味とコクがあるスウィーツが食べたいのです。
そのようなスウィーツはほとんど存在しません。
何故かと言うとないかと、相反することを味のバランスを取りながらやるということが至難の業だからです。

流石、青木さんはスウィーツも手を抜きません。
その至難の業を具現化しておられました。

そのことをお話すると中々その苦労が分かって貰えないと苦笑しておられました。
スウィーツに限らず、青木さんの料理が、何故、ここまで繊細ながら、深い旨味とコクが出せるかを分かって頂ける方は少ないのかも知れません。
その日、その日のベスト。
最後の仕上げに命をかける。
そして、翌日は更に上を目指す。

接客は皿に出る。

さて、妻はいよいよチッチャは和になってきたと言っています。

イタリアンじゃないと言う勿れ。

イタリアンだとかそうじゃないとか私には関係ありません。
美味しい料理が食べられればイタリアンで握りが出てきても問題ありません。

前述したように、かなり繊細な料理のオンパレードなので、毎晩遅くまで提供される料理の内容を詰めておられるのがよくわかります。
0.なんグラムの単位の塩の量など、ご自身の細かいレシピを弟子の方々に教えておられますが、チッチャの料理の最後の仕上げは青木さんにしかできません。

ここまで繊細だと塩の量がちょっと違うだけで味が変わるからです。
その日のその料理の仕上げは、教えても教え切らないものなのです。
レシピはあくまでも致命的な失敗しないための最低限の羅針盤。
大事なことはその先にあります。
真剣勝負、命がけの調整。

ここで、毎日レシピや業務用教科書通りそのままの料理を出している高級店の多いことをいつものように嘆きたいですが、このお店にまで下衆の勘繰りの邪推によって、業務妨害の電話が入る結果、贔屓の引き倒しになるのでやめておきます。

ねずみの知恵で獅子の心をはかることはできぬ。

エルネスト・メックリンガー上級大将(後に帝国元帥)の名言が全てを言い尽くしています。

浅知恵では本物の志を持つ料理人の心など永久に分かるはずがありません。
ただ単に有名になりたい、ただ単に毎日満席にしたい。
そんな思いは、志高き料理人には一欠片もありません。
そんなことのために命を削っているのではないのです。
超一流の芸術家ですからね。
考えなくても分かることです。

いずれにしても、その意味では、メニューの最終合否は青木さんが決めるにしても、バールチッチャでの仕上げを任されている中村さんの技術も相当なものです。
新しいメニューのために何十回も試行錯誤をして、一度完成してからも更に進化を求めるのですから。
そのことはたった一口食べれば分かります。

接客は皿に出る。

いかにお客を大切に思っているかは一口食べれば分かるのです。
当然、逆も然り。

私にとっては事実なので嘘はかけません。
私は私自身の真実を淡々と書くだけです。

チッチャの料理は和に近づいているとか、シンプルになっているとか言われているようですが、食材に徹底的に拘ればそうなります。
青木さんも私が伺うようになるちょっと前までは足し算の料理を作られておられたようですが、阿波華牛との出会いから考えを変えられて食材を追求されるようになったようです。

食材に拘らなければ、当然足し算の料理になります。
あれが足りないこれが足りないとなるからです。
チッチャのお名前はかなり前から存じ上げていたのですが、伺わなかった理由はある方が味が濃いと仰ったからです。

実際に私が初めて伺った時は濃いとは思いませんでしたので、この料理が味が濃い?と思いましたが、足し算の料理の時は濃かったのかも知れません。

食材が良ければ良いほど、引き算の料理になります。
その食材の良さを邪魔するものはどんどん排除しなければならないからです。
本当の究極の食材なら塩だけというのが一番美味しいと私は思っています。
実際に日本一と言われている河豚屋にはポン酢などと言う河豚の旨味を阻害するものはありません。
そこまでのクオリティのてっさであれば、何もつけずに切ったものを食べるか、ほんの少しだけ塩をつけて食べるしか、その河豚の旨味の極限を感じることは出来ないからです。
味がないからポン酢の味で食べる。
高いお金を払って馬鹿馬鹿しいの極限。
昔は食通の最後に行き着くところは河豚と言われていましたが、あれほど繊細で深い旨味は他の食材には無いので、その意味は分かります。
鯛やひらめや鮑もそうですね。
醤油をつけると醤油の味が勝つので、繊細で深い旨味にとっては邪魔以外の何物でもありません。

逆に考えれば、ちゃんと作られた日本の醤油は恐ろしいほど美味しいのです。
だから家の料理には不可欠な醤油は死ぬ気で常に更に良いものを探しています。
他の調味料も然り。
家では私が満足できる食材を使うことがほとんど出来ないからです。
それを可能にするには、全ての仕事をリタイアするしかないでしょう。
食材が弱ければそれを補完する工夫をするしかないのです。

よって、チッチャの料理は良い食材を使えば使うほど、引き算の料理になるので、もはやこれはイタリアンじゃないと言われることになるでしょう。
個人的にはある日、ひらめの握りが出てきても驚きません。

3月に4軒目の焼肉屋さんをオープンされるようですが、個人的には5軒目は鮨屋をお願いしたいです。
昨日はチッチャの後にバールチッチャにも伺ったので、中村さんに青木さんにそのようにお伝えするようお願いしたので、青木さんもご存知でしょう。

そこまでのことは先の話でしょうが、この食材は握りにするのがベストだ、仕事をすればベストの握りを出せると青木さんが確信されたら、チッチャで白身の魚の握りを出して貰いたいです。

それがイタリアンであるかどうかなど関係ありません。
そもそもバルサミコ酢を使った握りを出す店が増えてきています。
その寿司屋は寿司屋ですか?イタリアンですか?という話です。
バルサミコ酢を使うことの是非はともかくとして、バルサミコ酢を使った握りがイタリアンで出てきてもそれはイタリアンではないとは言えません。

冗談ではなく、青木さんは寿司にもかなりご興味がおありのようなので、いつかはチッチャグループに鮨屋が加わるのでしょう。
多店舗展開は非常に難しいですが、今のところ成功されておられるので青木さんならやってみせて、神戸の高級飲食店に衝撃を与えてくださると信じています。

更なる食材の向上、更なる多店舗展開、更なる既店舗の再編成、更なる人材の増強と配置転換。

どのようにして各店舗のクオリティを更に上げて、一定以上を常に保っていかれるのか?

神戸飲食店界の麒麟児、青木さんからますます目が離せません。

ところでどうでも良い私の偏見ですが、志の高い料理人の方は徒党を組まないですよね。
常に上を目指すので徒党を組み、無駄な話をしている時間が無いからです。
自分の最高のチームを作っていくことと徒党を組むことは真逆のことですからね。

2023/02/05 更新

9回目

2022/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

浦島太郎と日本一

私の場合、夜食事ができる時間帯が微妙で、仕事の予定も直前まで決まらないので、バールチッチャには伺い易いのですが、チッチャだと敷居が高くなってしまいます。

しかし、今年中には絶対伺いたいと思っていたところ、金曜日伺えるチャンスが前日に訪れました。
ダメ元で電話をするとキャンセルが出るかも知れないと言うことで、キャンセル待ちにさせて頂きました。
暫くするとキャンセル出ましたと言うことで、直前では予約が取りにくい人気店に翌日伺えることになりました。

食べログで前回の訪問日を確認すると11月の中旬でした。
11ヶ月ぶりに伺うことになります。

頂いたもの。

レンコンと雑穀米のミネストロ

徳島産神経締めしたブリのカルパッチョ 松の実とネギのタルタルソース

鹿児島産ヤガラとアボガドのトルティーノ 白ワインのソース クミン風

徳島産阿波華牛のロースの温製カルパッチョ 佐賀県産桐岡なすのローストと一緒に

厚切りレバーのタリアータ

バーニャカウダ 竹中ファーム有機栽培のリーキ(ポロネギ)と水牛のモッツァレラチーズ

ポレンタ 半熟卵のイタリアン風スクランブルエッグ 玉ねぎパンチェッタの泡と一緒に

徳島県産阿波華牛のヘレ ビステッカ仕立て(イタリア版ステーキ)

気仙沼産フカヒレの旨味たっぷりオイルソース

デザート キャラメルアイス(ローズマリー風味)

ワインはお任せのペアリングです。

浦島太郎

バールチッチャは頻繁に伺って、中村さんとはいつも料理や食材の話をさせて頂いているので、本店(チッチャのことを中村さんはこう呼びます。)で使われている食材のことは詳しく知っていましたし、同じ食材を使った違う料理をバール(中村さんはこう呼びます。)で頂いていたのである程度どのような料理が出てくるかを予想していましたが、驚きました。

方向性は想像通りだったのですが、ここまで和食系に振っておられるとは思わなかったのです。

定番的な料理や城助の握りを彷彿させるパスタの凄みはそのままですが、他の前菜は食材との会話どころではなく、食材との格闘が目に見えるような料理です。

一品目から四品目までが壮絶です。

レンコンと雑穀米のミネストロを一口頂いた瞬間に11ヶ月前とは違う世界に踏み込まれたことが分かりました。
甘くて旨味の強いレンコンをどう活かすかを考えられて和食かと思うようなミネストロに仕上げておられます。
私はミネストローネが大嫌いです。
ミネストロとミネストローネが同じ意味を持つか分かりませんが、要するにイタリアンの野菜スープのことだと思います。
ミネストローネは、トマトやケチャップの強い酸味とごちゃごちゃと野菜が入っていて、それぞれの野菜の旨みも際立つことのない食べるのが嫌になる大嫌いなイタリアンの典型のような食べ物です。
イタリアンとはこのような料理だと言う教科書レシピのゴリ押しだけの料理。

こちらのお店の料理はあくまでクオリティの高いレンコンをいかに最高の状態で提供するかだけにフォーカスを絞ったものです。
もうそこにはイタリアンはこうあるべきと言う思考停止料理人とは全く違う世界を彷徨いながらも、今のベストはこれですと言う青木さんの気持ちが一口目で伝わってきました。

徳島産神経締めしたブリのカルパッチョ 
松の実とネギのタルタルソースは、更に戦いの様子が伝わってきます。
このブリはこの価格設定のイタリアンで使われるようなクオリティではありません。
和食系のかなりの高級店が頑張って仕入れるようなものです。
このような綺麗な味、風味のブリは食べたことがありません。
高級寿司屋や高級日本料理では、ブリが出てくることがかなり稀であるからだと思いますが、この食材に手を入れるのはかなり難しいです。
この普通のブリにはない綺麗な味は、下手に弄ると駄目になるからです。
完全に進むも地獄、引くも地獄の天国はどこにあるのですかと言う世界に入ってしまっています。

妻は何もつけずにそのまま食べるのが一番美味しいと不届な言葉を呟きました。

青木さんは最近は新しい食材が届くのが怖いと仰いました。
これまでやってきたことが否定されるような気持ちになるとも仰いました。
毎日、毎日が苦しいと。

まあ、普通の感覚だと塩を少しだけつけて食べるのが一番美味しいと感じるようなブリです。

戦った結果が松の実とネギのタルタルソース。
タルタルソースと言ってもほとんどの方が想像するようなマヨネーズに玉ねぎや茹で卵が入っているものではありません。
松の実とネギを使った少しパンチがあるソース。
パンチがあると言っても濃くて強い味ではありません。

私は青木さんの戦った結果だと思い、ソースをしっかりつけて頂きました。
美味しいです。
勿論、美味しいです。
ただ、この組み合わせがベストなのかは私には分かりません。
このブリがいつまで入るのか分かりませんが、次はまた旬の恐ろしい食材が襲いかかってくるでしょう。
先日のイサキ、今回のブリ。
11月、12月、1月、2月。
魚介類のこのような世界を知ってしまわれ、仕入れを始められた以上、もう立ち止まることは出来ません。

鹿児島産ヤガラとアボガドのトルティーノ 白ワインのソース 
クミン風は白ワインを使っておられるのでそれほど和食寄りではないですが、優しくてヤガラをしっかり感じさせる味わいです。
多くの方々が想像するようなイタリアンの味付けではありません。

徳島産阿波華牛のロースの温製カルパッチョ 
佐賀県産桐岡なすのローストと一緒には、牛肉の美味しさとクオリティの高い甘い茄子の旨味をどう融合するかと言うテーマで戦っておられました。
結論は、昆布を使った少しトロミのある出汁の汁でした。
かなり綺麗で甘味の強い茄子をどうするのかと言うことで牛肉の温かいカルパッチョを上に乗せて昆布の出汁の汁をかけると言うことになったのでしょう。
美味しいです。
ただ、これもベストなのかは私には分かりません。
茄子のポーションも含めて、もっと茄子が主張するのも良いかなと思いましたが、そうなるとますます和食になってしまうでしょう。
いずれにしても、毎日、毎日の努力で青木さんは更に進化させていかれるのでしょう。

レバーはいつも美味しいですが、更に美味しくなったと思います。
レバー特有の嫌な臭みがなく、綺麗な甘みがあります。
この価格帯のイタリアンでこのようなレバーが出てくるイタリアンが他にあるのでしょうか?
私は、レバーが大好きで大嫌いです。
甘みが好きで臭みが嫌いと言うことです。
私は嫌な味や風味が味覚や嗅覚において勝つので、どんなに旨味があっても臭みが少しでもあると不味いと感じるのです。

バーニャカウダーもこちらのお店の看板メニューですが、この日のパプリカはヤバイレベルのクオリティでした。
とにかく甘いです。
まあ、しかし、なんとも、、、。
トップオブトップのクオリティの魚介類を使い出すとこうなってしまいます。
どこかで手を抜くとコース全体のクオリティが下がってしまうからです。
肉、魚、野菜、調味料。
全てがこのお店の設定されたクオリティレベルを超えないと、弱いところが目立ってしまうのです。
しかも、そのややこしいことをこのお店の料金設定で完成させなければならないのです。
どこかで妥協も必要なのですが、妥協するクオリティの設定が高くなり過ぎるのです。
そして、良い食材が入れば入るほど、料理の新しい引き出しをひねり出していかなければなりません。

ヘレのステーキは、牛肉が嫌いな私が美味しいと感じるクオリティですが、焼きが天才的です。
表面は薄い膜のような焼き目がついて香ばしくて肉汁を閉じ込めながら、中はレアに近いような風味があって、芸術と言える世界です。
イチボも美味しいですが、このお店では芸術レベルの焼きを最高に楽しむためにヘレを選択するのがマストだと私は思います。

パスタについてはこれまで何回も書かせて頂いているので詳しくは書きません。
芸術家城助の握りを彷彿させる、麺と具とソースが完全に一体化した芸術家青木シェフのパスタ。

メインの肉料理やパスタだけでもイタリアンの頂を目指すような料理ですが、前菜の魚介類や野菜がこうなってくるとイタリアンの壁との戦いになります。

キャラメルアイスも美味しかったです。
私も妻もローズマリーがあまり好きではありません。
臭みを誤魔化すために使われると言うイメージがあるからです。
しかし、このキャラメルアイスは、食べると口の中に綺麗なローズマリーの風味が広がって、かなり長い時間残っています。
ローズマリーの魅力を教えて貰いました。

これだけ料理の方向性が変わるとペアリングも大変です。
生の魚を使うとなるとかなり難しいですが、合っていました。
ペアリングをお願いしても、ただ不味いワインを出すだけでペアリングをしないと言う高級イタリアンがあることをまた思い出してしまいました。

デザートを食べながら、家で作るパテドカンパーニュやラムチョップの燻製を進化させるアイデアを色々と教えてくださりました。
青木さんは基本的に教えるのがお好きなようです。

また、青木さんは私も臭みとか邪魔する味が嫌いと仰っておられました。
最初にチッチャの料理を食べた時に、私のイタリアンに対する悪いイメージが払拭された理由がわかりました。
食べ物に求めている方向性が全く同じなのです。

イタリアンのお店というカテゴリーで考えると私の経験の中ではこれ以上のお店を知りません。
特にコストパフォーマンスの素晴らしさを考えるとこの価格帯のイタリアンで、こちらのお店を超えるお店があるとは思えません。
2万、3万、5万となれば、仕入れの制限がほぼ無くなりますからもっと恐ろしい食材も使えますが、果たしてその価格のコースにふさわしい仕上がりになるのかか?
家賃や人件費や銀座でのお楽しみや六本木での秘事や祇園での馬鹿騒ぎが過剰に価格に転嫁されていないのか?
価格を含めたチッチャの総合的な満足度を超えられるのか?
私は極めて困難だと思います。

そのことに鑑みれば、私の中では間違いなく日本一のイタリアンです。

ただ、世間のイタリアンに対する一般的な印象があるので物足りないとか優しい味とか仰る方はおられるでしょう。

この食材のクオリティと料理の繊細さはそのような言葉で表現できるような世界ではありません。

優しい味にすることなど誰にでも出来ます。
化学調味料を使わず、良い調味料を使って、薄味にするのが世間で言うところの優しい味です。
城助などはものによっては全く優しくない味です。
それでもメリハリと食材の良さを引き出す技術が際立っているから美味しいと感じるのです。
あの強烈なシャリでヒラメでも鮪でも雲丹でも全てを一体化させる技術はもはや人間国宝です。
逆に言えば、手を尽くしてもあのシャリに合わない食材は使わないと言うことです。
要するに、優しい味だからそれがどうしたと言う話です。
家庭で素人が今日にでも出来ることです。
優しい味という表現は決してプロフェッショナルな料理人の方に対する褒め言葉ではありません。

問題なのはトップオブトップに近いクオリティの食材に対する目利きとそれを現実として仕入れられるようにする新規開拓力とそれを可能とする積み重ねられた実績、そして何よりも大切なのはそこまでのハイクオリティな食材の本当の良さを最大限に引き出せる技術と熱意と努力です。
ただ、このような料理を食べても、プロフェッショナルな料理人の方が毎日流し続けておられる涙と汗を理解される方は極めて少ないでしょう。

と私は個人的に強く思います。

全く異なる次元の世界の話なのです。

2022/10/27 更新

8回目

2021/11 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気3.8
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

センスと努力の塊

豚足のテリーヌ。
豚足をこれほど繊細に仕上げた料理は初めて頂きました。

牡蠣はよく使われる食材ですが、トルティーノとして出てきたものを頂いたのも初めてでした。
因みに写真は妻のものなので、牡蠣のトリティーノは撮影していません。

いつものバーニャカウダにたらの白子が合わせてあったのも嬉しかったです。

圧巻はフカヒレの旨味たっぷりオイルソース。
パスタの美味しさは今更申し上げるまでもありませんが、フカヒレをパスタに合わせてこう食べさせるのかと感心しました。

いつも、どの料理も完璧を目指しておられるのがよくわかります。
センスも凄いと思いますが、1日1日、更に上を目指そうとされておられることが料理からヒシヒシと伝わってきます。
城助やロックンビリーS1と全く同じものを感じます。
妥協せずに突き詰めた料理だけをお客に提供されておられるなとわかるのです。

最近は、食材の仕入れに関しても、通常では手に入らないようなものをどんどん新規開拓されておられるようで、この料金設定で提供されておられることは凄いことです。
城助やロックンビリーS1もそうですが、料理のクオリティに対して、価格設定が異常なほど安いです。
どのお店も突き詰めて完成させた料理をより多くの方々に召し上がって頂きたいという思いのようですが、それが伝わる相手と全く伝わらない相手がいることは飲食店の定めです。
とは言え、とても悲しいことです。

トップオブトップの食材をどう扱うかは非常に難しいです。
バールチッチャの中村さんから最近聞きましたが、ある魚の極上の食材を仕入れられるルートを青木さんが開拓されたそうですが、それをイタリアンとしてどう料理して、どう食材の良さを最大限に引き出すかが難しいということで研究を続けておられるそうです。
絶対に安易に使って安易にお店で出すことはされません。

トップオブトップの魚介類は扱いが極めて難しいです。
白身の魚であれば刺身で出して塩で召し上がって頂く、貝であれば単に少し熱を加えて出したものを召し上がって頂く、そのようなシンプルな食べ方が最高のリスクヘッジになります。
それを料理と呼ぶかは別の問題として(個人的には料理とは思っていません)食材のクオリティがわかる方にはストレートにその凄さがわかって頂けるからです。

しかし、イタリアンで魚の刺身を塩で召し上がって頂くわけにはいきません。
下手にオリーブオイルを使ったり、変な焼き方をしたり、おかしな味付けをしたら、食材の良さが封印されてしまって本末転倒になります。
それを覚悟して、トップオブトップの食材の仕入れルートを必死に開拓される姿には頭が下がる思いしかありません。
真のプロフェッショナル。

私のそのような食に対する強い思いが、そうではない料理を出された時に異常なほどの怒りと変わってしまうのでしょう。
個人的には普通の感覚で辛口とは一度も思ったことがないですが、他の方から見ると異常者、真のサイコパスと言う評価になるのでしょう。

ある価格帯よりも高い料金設定の外食は、一期一会の芸術だと常に思っているので、サイコパスと言われても一生変わらないでしょう。
私の感覚は。

まあ、本当にサイコパスだとしても、仕事や通常の生活では常識やアンガーコントロールを最も重視するのでとんしをご存知ない方にはこの異常な一面はお分かりにならないと思います。

最近は当日や前日に予約が取らせて貰えるバールチッチャばかり伺っていますので、近いうちにまたこちらのお店にも予約を取らせて頂きます。
めちゃくちゃ楽しみです。

2022/06/26 更新

7回目

2021/10 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気3.8
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

麺と具との一体感

つい最近もあるところである方と話をしていました。
本物の料理人はほとんどいないと。

その日その日の食材と会話をしない。
そもそもハイクオリティの食材を知らない、
業界用料理の教科書のレシピしか出来ない。
料理とワインのマリアージュがわからない。
インスタ映えのみを考えた料理しか作れない。
そもそも最高の料理を食べたことがない。
食材のクオリティやプロフェッショナルとしての技術に反比例する高い料金設定にだけに拘る。

大衆的な料金設定のお店であれば、想定価格の中での頑張りを感じると凄いと思いますが、高級店となればその価格設定に相応しい食材と技術を求めることになります。
ところが、その点を一致させておられる方はほとんどいらっしゃらないという話です。
ただ、ビジネスとして捉えたら需要と供給なのですから、成功しておられるのであれば素晴らしいとしか申し上げようがありません。
しかし、極めて少数ですがそれに強い違和感を持つ人もいるということです。
世間的には異端児なのでしょう。
ところが、そのような極めて少数の異端児を意識して真剣に料理と向き合う料理人もおられるのです。

城助の握りはシャリとネタとの一体感が日本一だと私は思っています。
握りとして完成していないものは本物の握りとは言えません。
小さな酢飯に魚介類をのせただけの食べ物は握りではありません。
どのような料理にも言えますが、そのような料理にすることによって全てが昇華されて、その料理が料理として意味を成すということが重要なのです。
大量に砂糖を混ぜた酢飯に醤油をつけて食べれば、上に鮪がのろうが、ひらめがのろうが、雲丹がのろうが、同じ味。
多少良い食材を使ったとしても、その食材の良さを最大限に引出していないのであれば、それは握りではないと言うことです。
という以前にプロフェッショナルの料理ではないと思います。

さて、青木さんのパスタですが、いつどのようなものを頂いても信じられないほど美味しいです。
勿論、どの料理も美味しいですが、やはりいつもパスタには驚かされます。

そこそこ美味しいパスタは家庭で作れます。 
実際にたまに私も家でパスタを作ります。
食材も調味料も比較的ハイクオリティのものを使いますから美味しいです。
通常の飲食店で出されるものよりも美味しいです。
イタリアンの高級店で通常出てくるようなパスタも作れます。
ネットに山ほどレシピが存在するからです。
ネットが無い時代であれば、家庭的ではないパスタは凄いと言うことになったのでしょうが、今は時代が違うのです。
特殊な食材や調味料も手に入ります。
そのような家庭で作るパスタよりも不味いものを飲食店で高いお金を払って食べたいという人はおられるのでしょうか。

青木さんのパスタに匹敵するパスタはとても私には作れません。
当たり前だと世間から袋叩きになるでしょうが、通常の高級店で出されるようなパスタなら対抗するものは作れます。
そもそも、家で作る場合は、前述のようにいくらでもコストがかけられますし、レシピは無限に近く存在するからです。
良さそうなレシピを参考にして何回か改良を繰り返せば当然、飲食店で出されるものよりは美味しくなるのです。

例えば、我が家では私が嫌いなものシリーズという研究を妻がしています。
典型的なのはパテドカンパーニュ。
レバーの臭みとえぐみが気持ち悪くて、そもそも食べることができません。
ベックのパテドカンパーニュは美味しいと思いますが、それでさえ、常に味が変わります。
それほど繊細な食べ物なのです。
ところが、妻は何度も挑戦を続けて、つい最近のものはかなりのレベルまできました。
通常の飲食店で出されるパテドカンパーニュとは、天と地の差があります。
個人的には通常の飲食店で出されるものは気持ち悪くて食べられないのですから、そもそも食べられるというだけでも凄いことなのです。
研究と改善を重ねたパテドカンパーニュでも、作ってから10日後、12日後、14日後で全て味が違いました。
14日後が最高の味でしたが、次回も14日後が最高とは限りません。
16日後だとピークアウトするのかもう一伸びするのかもわかりません。
それほど繊細なものですが、逆にそこまでのレベルのものが出来ているという証でもあります。
そもそも不味いものには繊細さなどないからです。

さて、パスタという料理自体は家庭でもよく食べられるもので、外食でも気軽に食べられます。
そのような料理で、ここまで繊細で麺と具の一体感があるものを作ることは、逆に至難の業です。
食材はどうするのか?
それに一番合うソースと麺をどうするのか?
麺の茹で時間は?
その日入った食材のレベルはどうなのか?
そこには業界教科書のレシピやネットのレシピはありません。
全てが真剣勝負。
ちょっとでもバランスが崩れたら、もうそれはプロフェッショナルの料理ではなくなってしまいます。
パスタに限りませんが、青木さんの料理にはそのような迫力を感じます。
仕事が終わった後に、真夜中まで研究や改善を繰り返しておられることが伝わってきます。

この日のパスタは松茸のパスタ。
ポレンタには秋トリュフをかけて貰いました。

何故、松茸を使うのか?
何故オプションで秋トリュフを用意しておられるのか?
その意味が伝わってくる料理ばかりです。
旬の季節になれば、松茸やトリュフは高級店では必ずといって良いほど使われています。

旬だから使うのか?

使うことに意味があるから使うのか?

根本的に違うのです。

共働きの夫婦の家庭でも常にやっていることをやらない。

それをプロフェッショナルと呼ぶのでしょうか?

プロフェッショナルの方が作られた料理だけを頂きたいですね。

2022/04/29 更新

6回目

2021/10 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気3.8
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

ペアリングとは?マリアージュとは?

トブラールピノグリージョとナスのムースとのマリアージュが凄かったです。

私自身もペアリングとかマリアージュという言葉をよく使いますが、どうも世間的にはこれらの言葉は誤解されているのではないかと思っています。

この料理にはこのワインが合います、この日本酒が合いますということがペアリングですが、マリアージュとはちょっと違うというのが私の考えです。

まず、基本的な感覚として、この料理にはこのお酒は合わないというか、逆マリアージュのようなことがあります。
典型的なのは生の魚、要するに刺身や寿司と赤ワインを一緒に飲むことです。
まだ白ワインやスパークリングであれば、逆マリアージュにはならないということもあるようですが、赤ワインと生の魚はダメです。
魚の生臭さが際立つからです。
ワイン自体も不味く感じます。
一緒に食べて飲むと、食べ物も飲み物も不味く感じるようになるのが、逆マリアージュです。

ということは、一緒に食べて飲むと、食べ物も飲み物もそれぞれの良さが際立ってどちらも美味しく感じられるようになるのがマリアージュです。
典型的なのは、ワインとチーズです。
なんでもかんでもマリアージュになるわけではありません。
だから、結婚、即ちマリアージュというのです。
誰と結婚しても同じということではないのです。
マリアージュまでいくと、ワインもチーズも明らかに味が変わったと感じます。
かなり変わります。

ワインの場合は、温度や開き具合でびっくりするほど味が異なるので、ワイン自体が良い状態で、チーズも良い状態でバッチリ合うとマリアージュになります。
チーズの状態については書き始めると長くなるので、リシュリュゥのレビューで書かせて頂きますが、まあ、ワイン同様、ベストの部位、ベストの状態というのが非常に難しいです。
その気難しい同士がピタッと合うとマリアージュという味の劇的変化をもたらすのです。

では、料理と飲み物でマリアージュというところまでいけるでしょうか?
これもまた細かく書かないといけないのですが、そもそも論を申し上げますと、不味い料理やチーズと不味い料理のマリアージュということはありません。
食べ物も飲み物もクオリティが低ければ、引き出す潜在能力がそもそもないので、マリアージュという概念が存在しないのです。

某高級イタリアンや独りよがりのカウンターフレンチのように、美味しくない料理にびっくりするほど不味いワインを合わせてペアリングということを仰っても、マリアージュどころかペアリングも何もないという話になります。

では、数万円するハイクオリティのワインが良い状態で出てきたらどうなるのでしょうか?
ある方の言葉ですが、基本的にはクオリティの高いワインは、クオリティの高い料理ならなんでも合うということです。
別のある方は世界一と思っておられるシャンパーニュは、料理さえちゃんとしていればなんにでも合いますと仰います。
城助は、自分の握りには、不味くなければどんな日本酒も合いますと言います。

ソムリエの方が、これはステーキに合います、中華に合います、などザックリしたことを仰いますが、それはマリアージュのことを言ってはいません。
ある方の言葉ですが、ソムリエはワインすら飲んでいないけれども、料理は全然食べてないと仰います。
その言葉を聞いた時に、なるほどとソムリエの方に対する私の違和感は無くなりました。
馬鹿にしているのではありません。
高級価格帯の飲食店の料理人でも、ちゃんと料理を食べている方は圧倒的少数です。
ソムリエは、そのような試験に受かったという資格なので、ワインに対する知識はある程度おありでしょうが、ワインの真価が問われるようなハイクオリティなワインはほとんど飲まれていません。
飲めないからです。
料理人も同じです。
食べられないからです。

だから、知らない。
ほとんどの高級店の料理人は、修行先のレシピと専門の教科書のレシピしか知りません。
だから、美味しい料理というものがわからないのです。
レシピ通りだから美味しいはずだと仰るだけです。
馬鹿馬鹿しい。
それが世間ではまかり通っています。
ソムリエの方も料理だけでなく、チーズも知りません。
本物のハイクオリティのチーズの状態の良いものを食べたことがないからです。
本当に凄いチーズは手に入らないので食べられません。

素晴らしい料理人やソムリエの方は、トップオブトップの料理や食材やワインや日本酒を何回も経験しておられます。
死ぬほどの思いでお金と時間を使って、ずっと食べたり飲んだりしておられるのです。
知っているから、お客に最高の料理や飲み物を提供できるのです。
知らなければ、出来ません。
当然過ぎる話。
しかし、当たり前の、当然の自明の理、を語ると匿名のネット民は批判をします。
そのような事実を語ると空爆級の批判に晒されますが、本当のことなのでどうすることも出来ません。

長々と書きましたが、不味い飲み物と不味い料理ではペアリングも何もない、トップクラスの料理とトップクラスの飲み物ならばほぼ何でも合うのでペアリングは成立します。

では、本当の意味でのペアリングとは何か?マリアージュとは何か?という話になります。
これもある方の言葉ですが、そのお店の価格帯設定からトップのワインは提供できないけれども、料理の力でそこそこのワインを引き上げることがペアリングやマリアージュということになります。
家でワインを飲む場合なら、チーズでペアリングやマリアージュをするわけです。
チーズも難しいですが、家で料理とワインや日本酒をピタッとマリアージュするのはほぼ無理です。
たまに赤ワインとブルーチーズがマリアージュに近い状態になることぐらいがギリギリ出来ることです。

となると飲食店でもちゃんとした料理とちゃんとしたワインや日本酒があれば、それなりのペアリングにはなりますが、マリアージュまでいくのは至難の業です。
単独でワインを飲んだ時と料理を食べてからワインを飲んだ時と明らかに味が変わるということはまずないからです。

こちらのお店では、青木さんの日々の血の滲むような努力で、マリアージュが成立することがあります。
もちろん、全てではありませんが、単独で飲んだ時にあまり美味しくないと思ったワインが料理と一緒に飲むと劇的に美味しくなるということがあります。
美味しい料理と美味しいワインで、マリアージュに近いかなと感じるお店はありますが、明らかに不味いと感じたワインが劇的に美味しくなるというのは恐らくこちらのお店でしか経験したことがありません。

センスもあるのでしょうが、物凄い回数、ちゃんとしたものを食べて飲んでなければ絶対に出来ません。
勤務先の料理の味見や試食などでわかるほど簡単なことではないのです。
自分のお金を使ってわざわざ食べに行くということを厭わない気持ちがなければ、食べ物も飲み物も味など分かりません。
弛まぬ努力の結果がすべて料理やマリアージュに出るのです。
天才肌の城助でも全国の有名寿司屋のほぼ全部で食べています。
それどころか、今も神戸界隈に新しい高級寿司屋がオープンすると必ずいらっしゃっています。
藤井竜王と同様に、現状に満足せず、まだまだ上を目指しているからこそ出来ることです。
ほとんどの料理人やソムリエは、元々やらず、やっていた方も有名になったり、地位が確立するとやりません。
ただ、有名になったからと言っても、本当に美味しいのでしょうか?
価格に相応しいサービスが提供されているのでしょうか?
よくニュースになりますが、食品偽装が常態化しているような業界で、それが簡単に通用してしまう飲食業界で、予約が取れなくなるほどの人気と言ってもそこに本物があるとは限りません。
偉大なる日本の食文化は、日々壊されていっています。

この日、頂いた他のものはメニューや料理やワインの写真をご覧頂ければと存じます。
いつものように、ローストビーフとレバーは両方とも頂いています。
両方とも大好物なので一つだけを選ぶことは出来ません。

ヘレステーキはシャトーブリアンでした。
牛肉は基本的に苦手になっていますが、ここまでクオリティの高いシャトーブリアンは美味しいとしか表現出来ません。
肉の旨味をしっかりと感じ、脂が軽いのです。
メインのステーキはヘレを召し上がることを強くお薦めします。

ジェラートは、蜂蜜とヘーゼルナッツを選択しました。
こちらのお店ではデザートを頂きながら、デザートワインを飲むことも楽しみの一つです。
これも強くお薦めします。

2022/04/08 更新

5回目

2021/09 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気3.8
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.3
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

なるほどイチボ

bueの牛肉が美味しかったので、この日のメインは牛肉にしようと青木さんに相談しました。
ヒレもイチボも好きな部位ですが、赤身でもやや脂が多いイチボにしました。
妻が牛肉の脂が好きだからです。
小さい頃は、すき焼きの時に牛脂を食べていたそうです。
いやー、子供の時であっても私には出来ません。

何度も書かせて頂いていますが、もう20年以上前から牛肉は苦手になりました。
特にAランクと言われる脂の霜がいっぱい入っているものは苦手です。
それがステーキになっているともう一口でギブアップしてしまいます。
だから、外食で牛肉を食べないようにしているのですが、こちらのお店のイチボはとても美味しいです。
徳島県のスダチ牛は生産者にも拘れていてクオリティがとても高いので、脂が軽いのは当然として、赤身の旨味がたっぷりとあるからです。
そして、火入れが完璧だからです。
脂が苦手と言いながら、少しでも火が入りすぎて、硬くなり、パサパサ感が少しでも出てくると食べたくなくなるのです。 
飲食全てにややこしい人ですが、牛肉に対しては特にややこしいのです。
そんなややこしい私でもこちらのイチボは美味しいと思いました。

これだけ美味しいとヘレを食べたくなります。
次回はヘレですね。

と言うか、このレビューをアップした時点でもう食べていますが、感想は次回書かせて頂きます。

この日も、ローストビーフとレバーはハーフハーフです。
もう定番になりました。

フカヒレのパスタは生まれて初めて頂きましたが、ただ、フカヒレが使われているというのではなく、フカヒレの旨味も感じられました。 
フカヒレは、プリプリの食感を楽しむ物だと仰る方がおられますが、フカヒレというのはピンからキリまで、原価の差が非常に大きいので、ピンの物を食べると独特の旨味を感じられます。
ある程度以上のフカヒレの姿煮を召し上がるとわかります。
安いフカヒレは不味いです。
本来、食材にするようなものではありません。

常に新しいパスタを経験することができて楽しいです。

2021/10/24 更新

4回目

2021/08 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気3.8
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク4.3
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

明石の蛸

この日、1巡目は満席で入れませんでしたが、時間に余裕があったので2巡目まで待ったらは入れました。

まずびっくりしたのは2番目に出てきた蛸の料理です。
最近仕入れを変えたという蛸を頂きましたがとても美味しかったです。
良い意味でイタリアンっぽくなく、蛸の良さが前面に出ていました。
明石の蛸ですが、明石の蛸だから美味しいのではなく、扱っておられる業者の拘りが感じられるから美味しいのです。
いつも書かせて頂いている通りブランドだから美味しいのではありません。
私が日本一だと思っている由良の赤雲丹は、ピンのものだから日本一なのであって、良いものでなければ、北海道の塩水雲丹の方がよほど美味しいです。
青木さんは、この明石の蛸を仕入れてみて、これは通常のイタリアンの蛸の料理にしたらあかんと感じてこのような明石の蛸の良さがキッチリと引き出された料理にされたと話しておられましたが、普通のシェフなら教科書通りの料理をして、この明石の蛸の良さを台無しにしたでしょう。
まあ、そもそもそのような方にはこの明石の蛸を仕入れることは不可能だと思いますが。

この日はローストビーフ2枚ではなく、ローストビーフと牛のレバーのハーフハーフで出してくれました。
なるほど自家製のローストビーフも抜群ですが、このレバーの甘みも最高でした。
どちらも選べません。
ハーフハーフが最高です。

この日もメインは鹿を選びましたが、予約を取って頂いたbueでレバーや焼肉やホルモンを頂くのが楽しみになりました。

2021/10/05 更新

3回目

2021/07 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気3.8
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク4.3
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

サマートリュフ

何故かパスタだけ妻が写真を撮り忘れたようですが、剣先イカのオイルパスタでした。
本当にパスタは抜群です。

たまにはトリュフをかけてみようと思い、ポレンタにサマートリュフをかけてもらいました。
コーンミールを粥状に煮たポレンタはトリュフソースが使われているので相性抜群でした。

妻は余り良いトリュフを食べたことがないようですが、個人的にトリュフはクオリティが高いものでなければ好きではありません。
トリュフの命は独特の香り。
クオリティが高いトリュフの香りは食欲をそそります。

独特の旨みはクオリティが低いと他の食材の邪魔になります。
或いは劣悪なものはほとんど香りがありません。
だから私は好きではないのです。

この日のトリュフはサマートリュフで香りは弱めでしたが、クオリティの高いものでした。
この時期、他の店ではオーストラリアものが使われていましたが、これもクオリティ次第で、良いものは良いし、駄目なものは駄目です。
ところでこの時期にオーストラリアものが出回るのは鮪と同じ理由です。
北半球と南半田では季節が逆だからです。

よく、魚介類で、どこどこ産のものが良いとか言いますが大間違いです。
例えば、超有名な大間の鮪。
大間の鮪が全て美味しいわけではありません。
時期もあれば、そもそも個体差があるので、ピンのものでとんでもない値段がつくものもあれば、美味しくないのに大間の鮪というブランドだけでそこそこの値段がついてしまうものもあります。
食材のブランドについては何億回も書かせて頂いていますが、ピンのものが凄いと評価されているだけで、何もかもが美味しいわけではありません。

ある日、城助でかなり美味しい鮪を頂いたのですが、龍飛崎のものでした。
大間に上がるものと漁場が重なっているにも関わらず、たまたま獲った船が龍飛に着くと大間の鮪では無くなるのです。
だから、その日によって大間よりも龍飛のものの方がクオリティが高いことがあっても当然のことで、大間と言うとそれだけで大喜びする方が龍飛と聞くとなにそれとなることもあります。
しかし、クオリティは食べてみないとわからないのです。
大変美味しくない大間の鮪などいくらでもあります。
ところが、日本人は食材ブランドが好きなので、不味いものが高い値段で取引され、消費者にそれが降りかかるということが起きるのです。
需要と供給なので致し方ないことなのでしょう。

さて、メインはいつも子鹿にしています。
牛肉よりもジビエが好きですし、牛は外すと食べることが苦痛になるからです。

しかし、bueに伺ったら、メインで牛が食べたくなるかも知れませんね。

あーそれと、私は以前、こちらのお店の味付けは濃いという意見を聞いていました。
味の濃いイタリアンは大嫌いなので長い間伺うことがなかったのですが、恐らくここ数年でかなり料理を変えておられると思います。
料理として味付けが濃いと感じるものはありませんし、青木シェフは、常により素晴らしい料理をと試行錯誤を繰り返しておられるので、半年もすれば同じ料理でも食材や味のバランスや塩梅が進化していると思います。

進化しようと日々努力していないお店で美味しいと感じたことがありません。
食材と会話をして、常により上を目指しておられるシェフの料金は一品目を頂けば分かります。
逆も真なり。

教科書通りの何も考えていない料理は分かるのです。
家での料理ですら、常により良くならないかを考えて作ったり、妻に作って貰ったりしているので、はっきりと分かります。
青木シェフの料理も一品目を頂いてわかりました。
bueもバールチッチャも青木シェフの薫陶行き届き、料理に対する試行錯誤が手に取る様に分かります。

例えば、bueであれば、キムチとかタレとか冷麺とかに色濃くそのことが出ています。
バールチッチャであれば、レバーのパテやランプレドットやパスタに顕著に表れています。
普通のアプローチで作り上げたものではなく、しかもそれが洗練されているからです。

2021/09/24 更新

2回目

2021/04 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気3.8
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

1回目と2回目

有名店や高級店においては、2回目が重要かなと思っていた頃がありました。
今のように高級寿司店ブームが起きる少し前、30代の私にとって、すきやばし次郎は必ず伺わないといけないお店でした。
30代になり、そこそこの高級店も自分のお金で行けるようになって、高級店での食べ歩きも経験を積んで、満を持しての訪問をしました。

まあ、その感想は大昔に食べログで書かせて頂いていますが、結論的には良いと思った握りは2貫ほどで後は20分の滞在で高額な料金を支払うものではないと思いました。
しかし、ちゃんとしたお店は2回は伺わないと真価は分からないと思っていたので、間を置かずに再訪しました。
結論は全く同じでした。

その時から私は飲食店に関しては、自分にとっては、ファーストインプレッションを大切にしなければ、無駄なお金を使うことになるなと確信したのでした。

2日回目という意味では真逆の考えも持っています。1回目は良いと思ったのに、2回目は良くないと思うパターンです。
結構レアケースなのですが、2回目の味が良くなかったり、なんやかんやで、2回目で嫌になってしまったお店もあります。

さて、こちらのお店の2回目の感想は、やっぱり美味しいなあ、です。
定番的なローストビーフやバーニャカウダーは安定した美味しさがあります。
良い食材を使ったローストビーフをどのような味で食べるかというのが難しいと思っていますが、雲丹とコンソメのジュレソースを巻いて食べるのは新鮮で美味しいと思いました。
特に、雲丹という食材は、由良の赤雲丹が常にあるのであればともかくとして、旬がありますし、旬の時にもピンに近いものを仕入れるのは至難の技です。
となると、ミョウバンの入った高い板雲丹を使うのは、コストだけかかって料理が難しいですし、基本的にはあまり食べたくないというのが私の考えです。
なんでもかんでも雲丹を使うのは個人的に嫌いです。
理由は一つ。
ミョウバンの風味が目立ったり、ピンではない雲丹の雑味を強く感じるからです。
高級店でも決して美味しくないコスト高の雲丹を出してきますが、ほとんどのお店は不味いです。
3万円、4万円のお店でも出てくることは珍しくありません。
どのような料理のセンスでこのようなものをより不味くして出すのかと感覚を疑うことが少なくありません。

こちらのお店の雲丹の使い方は、欠点がなるべくでない工夫がされていて、良さを引き出すというものです。
もちろん、よりピンに近いものを使われれば更に美味しくなると思いますが、料金設定との相談になるので、今の価格帯では無理です。
しかも、雲丹というのは、豊洲で鮪と共に毎日競りにかけられ、ピンの高級雲丹は日本で2店の仲買だけが独占的に入手していますので、そのような仲買に認められて、濃い付き合いを長く続けなければピンに近いものは売ってくれません。
そこに挑んでいったら凄いと思いますが、鮪と雲丹は極めて特殊なので難しいでしょうね。
 
いつものように話が逸れましたが、今出来ることでベストを尽くしておられるのということがヒシヒシと伝わってくるので大好きなお店です。

3万円、4万円の料理の料金設定で、料理に対する探究心がゼロで銀座や新地で飲み歩くことにしか興味がないなということがヒシヒシと伝わるお店が少なくないので、好きなのです。

私は本物の料理人の料理が食べたいだけなのです。

2021/09/08 更新

1回目

2021/03 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気3.8
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

繊細な味付けの前菜と秀逸のパスタ

数回伺っていますが、とりあえず一番古いレビューを公開させて頂きます。

かなり前からお店の存在は存じ上げておりましたが、こちらのお店もおんじき同様偏見があったので伺っておりませんでした。

そもそも城助も神戸に来た頃から知っていたのですが、神戸にまともな握りなど存在しないという偏見とへんこな店主という複数の証言から絶対に行かないと決めていたのですから、偏見を持ってはダメですね。

偏見とはパスタは美味しいけれども、味付けがかなり濃いといえ話を2回ほど聞いたから伺いたくないと思っていたのです。

これは偏見ではないと思いますが、フレンチやイタリアンは食材に拘って、食材の良さを引き出す料理が少ないと感じていることから、基本的にフレンチやイタリアンを積極的に食べたいという気持ちが無いのです。
特にフレンチの融通の利かない料理は嫌いです。
もちろん、例外的に食材重視でその日の食材によってアレンジが変わるフレンチもありますし、そのようなフレンチは好きですが、食材が毎日異なるのに常に同じ味にするのが料理だという考え方そのものが大嫌いなのです。
食材と相談しながら工夫するのが料理だと思っているからです。

加えて、赤ワインを飲むと翌朝胃がとても気持ち悪くなるので赤ワインを積極的には飲みたくないということもあります。
リシュリューでブルゴーニュの赤を飲んでも大丈夫なのですが、白よりも赤の方が防腐剤の量が多いので、大抵はそのようになります。
私の場合、不純物に対して胃が弱いのです。

さて、コロナの影響で、飲食店関係の仕事は暇になってしまったので、気になっているお店には伺うようになっています。
医療従事者等の枠でかなり前にファイザーを2回接種していますが、感染防止には気をつけています。
ただ、これを書いている8月7日時点ではデルタ株が神戸でも増えてきているので、個室や貸切以外では外食はしないほうが良いとも思っています。

偏見は偏見だと感じたのは、まず数皿の前菜からです。
それほど高くないワインですが、繊細な味付けの前菜にピタッとペアリングして、それだけで楽しくなります。
料金設定からすると食材に対する拘りが最初の数皿からヒシヒシと伝わってきて、某有名高級イタリアンとは雲泥の差を感じます。
完全会員制の秘密のお店n/aほどの鬼気迫る攻め切ったペアリングは別として、二人で3万円くらいの料金設定としては、この料理、このワインのペアリングというのは良いなあ、嬉しいなあと思います。

肉もちゃんとした素材のものを使われていて火入れも素晴らしいと思います。

パスタは世間の評価通りかなり美味しいです。
高級イタリアンをめちゃくちゃ食べ歩いているわけではないので、他にも良いお店があるのかも知れませんが、神戸界隈で頂いたパスタでは一番美味しいです。
数回伺っていますが、どのパスタも全て最高クラスに美味しかったです。

私の場合、どうしても当日の予約になるので、2回に1回くらいしか予約が取れていませんが、基本的には月に一度は伺いたいお店です。

昨日も当日だったので取れませんでした。
そのかわりに、ある理由から全く期待していなかった日本料理のお店に伺うことが出来て、日本料理では、おんじきよりも気に入ったお店と出会えたので、最高の夜でした。
妻が予約が取れなくなるから書くなと厳しく命令するので、絶対に書きませんが、月に2、3回伺いたい日本料理?割烹?のお気に入りのお店です。
食材への拘り、フレキシブルな発想の料理、ちょっと考えられないほどのコスパの高さ、など神戸に来てからずっと探していたちょうど良い塩梅のお店です。
料理に厳しい妻もめっちゃ気に入っています。

話が逸れましたが、ペアリングも含めて二人で3万円くらいのお店としては、チッチャはできることならば、月に1回ではなく、2回は伺いたいお店です。
期待を裏切られたことは一度もありません。

2021/09/08 更新

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