彼らは防弾チョッキに身を固め、徳利を片手に敢然と危険な飲酒に出動する
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おつまみの缶詰「オイル・サーディン」 、 同「シーチキンとろ」
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学生時代ひとり暮らしをしていたわたくしを、どういう風の吹き回しか、出張で上京してきた父親が連れていってくれたのだ。その当時でわが父親、当店には20年越しで出入りしていたという。
まず最初に教えられた事
「この店で水割りを注文すれば、黙って白札を使ってくれて、勘定は一杯700円だ。」
…スコッチ・ウヰスキーが、平成元年を境に、猛烈なデフレを起こした事を知らない現代の諸君には、上の台詞の「ありがたさ」が理解されないかもしれないが、当時、「銀座のバー」で、国産一級(! これも死語だね)とは言え、ウイスキーの水割りがこの値段というのは破格だった。
言い換えれば、当時のビンボー学生なり、世の中に出たばかりの給料取りが、「たまにバーでかっちょよく呑みたい」という時に、当店ほど理想的な店はなかったのだ。
しかも「ダザイ」に「アンゴ」の「講釈つき」である。こりゃアタマの軽い、当時の(いや今もだが)わたくしが通わない訳がない。
実際、若いときはしょちゅう顔を出していたし、今でもたまに、「思い出したように」鉄の扉を開き、地下に続く薄暗い階段を下りていき、当時となんらかわらないカウンタにひじをつき、「お通し」のキューリの即席漬けをかじりながら、グラスの中の酒をすすったりする。
店内普請は、「昭和30年代」がそのまま張り付いて、適当に古ぼけているような感じだから、特に感慨は、ない。ま、古い日活映画の「金子信雄」ファンのひと(いるのか? そんなひと)なら、多少グッとくるかもしれない。
身もふたもなく断じてしまえば、「レトロ」というより、単に「オールド・ファションド」というやつだ。
飲み物も同様。さすがに今は「白札」こそ使っていないだろうが、カクテルに使うライムは、相変わらずM社のコーディアルだし、モスコミュールはウヰルキンソン・ジンジャーエール添加だし、ジン・トニックを飾るのはレモンだし、マティニのベースはゴードンだし、置いてあるスコッチは、スタンダードがホワイト・ホース、上等がシヴァス・リーガル…
と、何から何まで昭和末期、しかも「大衆バー」そのもの。
カクテルの混合技術にしたところで、まったく奇を衒ったところがない、というより、「ごくアタリマエ」。
アレにコレを加えたらこうなりますよ、という味わいだから、良くも悪くもビックリさせられる事はない。
したがい本格派、通人、ムード派、どの方にも調和しない。
でも、まぁ、木製の、どってことないカタチだけど、妙に尻の収まりのよいスツールに腰を下ろしネクタイを多少緩め、つまみに缶詰の「オイル・サーディン(竹中缶詰謹製! )」かなにかを取りながら、薄めに作ってもらった水割りをチロチロなめ、カウンタの向こう側にいるバーテンダー氏やおねぇさん(? )と軽口を叩いていると、それはそれなりに「昭和風俗大全」って感じで悪くない。
(カウンターに「たけし御大」が立っている日だと、なお気分である。)
ならびの「ニューとりぎん」で焼き鳥をちょっとつまんで、当店で締める…なんてのがいい。
「オトウサンのショーワ」「高度成長時代の空気」を味わってみたい向きに。オススメ!
(後記)
HPhttp://home.u06.itscom.net/lupin/menu3.htmlを覗いてみたら、いまだに白札一杯700円(但し税込みで735円)なんですな! タイシタタマゲタ!