これらの口コミは、なぢらねさんの主観的なご意見・ご感想です。あくまでも一つの参考としてご活用ください。
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酒を二本。つきだし(別料金ではなく、酒を頼むとついてくる)の練りみそ、そら豆に天ヌキ、そして蒸篭を一枚使って税込み3,990円也。天ヌキみたいな汁物で酒を呑み、そばのあと湯桶を二杯分使うと、中年のわたくしの腹は、十分クチくなる。
さて、この勘定は、安いか高いか? 結論から言うと、「味わい」に対価を払っているのなら高く、晩酌のための「場所と時間の借り賃込み」だと思えば許容範囲、という事になるのかナ?と思う。
ご近所の「まつや」が、全体に大きめな机を使い、入ってきたお客さんをブロックあそびのように、どんどん詰め込み、時分時にはそれこそ、「混んでる銭湯の湯船に、身を縮こませて浸かっている」ような気分にされるのに対し、当店は「二人がけ」の席が多く、原則「相席」にはされない。
しかも席と席との間隔も、「会話がよそに聞こえない」ほどには広くないが、「ひとり酒を邪魔されない」程度には空いている。だから平日の晩であれば、比較的のんびりと呑んでいられる。
酒の肴になるものは、盛り込んでくる量が少なく、「腹のたし」にはならない。
しかし当店の、背が小学校のそれのように低い机と椅子に「ちんまり」と身をおさめ、持ち重りのする白無地の徳利を「ぐっ」と持ち上げ、猪口に酒をつぎ、これを口に運んで「ぐぃっ! 」 そしてボンヤリと店内のあれこれに目をやっては「ぐっ」「ぐぃっ! 」 今度は帳場の「せぃろぅ~いちまぁ~いぃぃぃ」という「掛け声?」に「ぽーっ」と耳を傾け、「ぐっ」「ぐぃっ! 」
…なんて風にやるときの、「合いの手」としてつまむ分には、そのちまちま、というか、下町の言葉で言えば「ケチケチした」見た目が、調和する…ような気がする。
ひとつひとつの「値段」については、「この量にしてこの勘定! 」と思うと法外、とはいわないが、かなり「強気」である事は否定しない。正直、品書きに目を落としていると「あれもこれも」と注文する気にはならないし、ものによっては、とるのに多少「躊躇」を覚えたりもする。
ただ、これも、酒呑みの意地汚い心得その一「バーでのグラス一杯分と比べれば」バラボーというほどでもなく、「んー、これは場所代込みなのダ! 」と、無理やり納得するようにしている。
「天ヌキ」は、以前は独立して「品書き」には載っておらず、注文すると本当に、普通の「てんぷらそば」から台、つまりそばを除いたカタチで供されていたが、いつのまにやらメニュ・インされ、小ぶりな、綺麗な塗りの、専用の器で供されるようになった。 なんだか半端に「お上品」すぎた感じになり、これはチョッと残念。とは言え、熱いおつゆのなかで、くたくたになったてんぷらを「ずずっ」と啜りながら酒を呑むのは、正直楽しい。(「おいしい」とは言わぬ)
肝心のそば、なかんずく「蒸篭」は、先にご案内のあるとおり、まるでバスクリンでも練りこんであるんじゃねぇか?と思うほど「青々」としてい、初めて目にすると「ぎょっ! 」とするが、当店との「つきあい」が何十年にもなれば「これはこういうモノである」と納得してしまう。
茹で具合のせいなのか、或いはそば粉以外のものの含有率が高いのか、口当たりはかなりヤワで、なんだか「ふがふが」してい、そばらしい「かおり」にも欠ける。加えて当店独自の舌に「後味」が残る、こってりとした「かえし」を使った「つゆ」に浸して喰っているとそばの味自体もあいまいとなり、
「はて、オレは、そば喰っているんだろうか?」
と不安になったりもする。が、ここでも酒飲みの心得その二「呑んだあとの“ながもの”は、酒でほてった胃の腑の隙間を埋められれば十分」に従っていれば、文句の出ようは、ない。ちなみに一枚、630円。 量は俗に言う「オヒネリ」対策か、ごく少量。
最後を締めくくる湯桶は、ここ数年で急激に濃く、ねっとりとしたものに変わった。これは世の中の「はやり」に合わせているのかもしれぬが、前出のつよい「つゆ」を加えて口にすると、素直にウマい。もしかすると当店で一番ウマいのは、この湯桶であるよも知れぬ。
…と、つらつら書き連ねてみると、「食べるため」に訪問するのであれば、あまり喜ばしい場所とはならないのであるが、適度に落とした照明により、やや暗めに浮かび上がる店内で、先に書いたように低く腰掛けることで非常に高く、広々と見えるようになっている天井、独特の掛け声…などの中で、ぼんやりと、徳利と猪口を使って小一時間、「時間のむだづかい」をするぶんには、きわめて具合がよろしい。
酔っ払いの考える「極楽」を、物理的に実現したらこういう風になりましたよ、ってな当店のアレコレに「値打ち」を見出せる向きにはオススメ。ただし(くどいが)平日の晩限定。(昼、と休日は論外。「別の店」となる)
…それにしても勘定、高い。