デストラーデなぢらねの「晩酌死すべし」
サイレンサー使用時の発射音と、貫通力を試したいんですけど…
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さくら鍋、ならびにさくらロース鍋 、 馬刺し 、 馬の磯辺揚げ
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地下鉄新宿御苑駅から、徒歩わずかに一分。ただしいわゆる「路地裏」なので、慣れぬと見出しにくいかもしれない場所にある。
年季の入ったガラス格子をひき中に入ると、ペイトンプレイス物語よろしく、セピア色に焼けてしまった畳敷きの小上がり。その上にガスコンロが内蔵された、横長な食卓が置かれている。壁も長年鍋から浮き上がる「割り下の湯気」で煮〆られたかのような色合になってい、店の中には、やはり割り下由来の「お醤油と砂糖の匂い」が染み付いたようになっている。
全体に開店以来、一切普請をしてないんじゃねぇの?と疑いたくなるほど「ショーワ」な佇まいを残す料理屋、というより、「めしや」「なわのれん」的なみてくれ。とは言え、「割り下の匂い」を除けば衛生が滞っている風はなく、畳に敷かれた座布団に「よっこらしょ」と腰をおろすと、なんだか
「おばあちゃんちに夕ごはんを呼ばれに来たよ」
的な、えもいわれぬ「懐かしさ」と「落ち着き」を覚える。「居心地がよい」と言っても、良い。
…まぁこれは、「おぢさん」といわれる年代以上の人にしか通じない「郷愁」なのかもしれない。
「ひとあしらい」は、店主のご新造らしき方が、ひとりで当たる。いわゆる「ひとがらのよさが表に出ている」タイプのそれで、ベタベタはしてない、寧ろ「あっさり」としているが、「かん症もち」の気のあるわたくしなどには、これくらいであってくれたほうが、有難い。
さて当店ではやはり「馬」以外を喰う気がしない、というよりも「馬を喰わないと損するような気」になり、馬刺し、馬のたたき(細切れになった馬とネギが合えてあって、わさび醤油で喰う)、たてがみ刺し、磯辺揚げ(薄切りの馬を焼き海苔で挟み、衣をつけて揚げてある)…そして「さくら鍋」に「さくらロース鍋」と矢継ぎ早に注文。 あわせて大酒呑みばかりが集まった宴席ゆえ、燗を点けた酒(白鶴)を食卓狭しと林立させる。
まさに「鯨飲馬食」なり。
馬肉は、脂が過剰ではなく、かといってスジばかりが目立つものでもない「程のよさ」を感じさせるもの。店の説明によると「青森産」の食用専門のそれ、だとの事。「刺身」を生姜を薬味に喰っていると、つい猪口を使う速度が上がる。また、「磯辺揚げ」はちょっと熱が通ったところが食感を変え、「箸休め」として、印象に残る。
肝心の「鍋」は、割り下に加え、八丁味噌らしい、黒く、甘い味噌を加えながら煮るところが特徴的。やや強「過ぎ」る気のある味付けとなるが、こういうものに「洗練」を求めてもしょうがないから、これはこれでよいのであろう。
「さくら」は赤身、「ロース」は文字通り脂を蓄えた部位であり、前者はしっかり煮、後者はさっと色が変わるくらいで喰うのがコツであるという。
食べ比べるとやはり、適度に脂を含んだ後者が、現代の食味には合うか? いずれにせよ牛肉の「すきやき」ほど脂の「濃さ」に辟易とはさせられないから、「呑み且つ喰う」には、なかなか合理な味わいである。
「絞め」には子供の小指ほどはありそうな、かなり太めな饂飩を、残りの割り下の中に放り込み、汁を吸わせた奴で、胃袋の隙間を一杯にする。
これも「繊細」なんて言えるものではないが、単純明快、「下町風のアマカラ」なのが、却ってこの鍋には、ふさわしい気がする。
勘定、一般の会食に比べ、酒精摂取量が図抜けているわが結社「酩酊流」の宴席である事を差し引かなければならないが、けっして「安い」とは感じない。とは言え、「純国産」の「肉食専用」の馬を、さまざまな手法で喰わせる、という店というのも、そうそうたくさん、あるわけではないので、「悪くないネ」と思わせる範疇に収まっている、と独断する。
馬という「いきもの」に、特殊な感情を持っており、食用にするなど考えられぬ、という向きには調和しないだろうが、それ以外の方の、この季節「鍋を囲んでの一杯」な店の、選択のひとつに入ると思う。 オススメ。