彼らは防弾チョッキに身を固め、徳利を片手に敢然と危険な飲酒に出動する
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確かに胡椒のマスキング効果って凄いですよね。
揚げ物を含む洋食って、黙って「塩胡椒」だから特に意識しなかったんですが、数年前新横浜「ラーメン博物館」で久留米ラーメン「魁龍」なる店のラーメンが強烈にケモノ臭く、辟易しました。仕方なく胡椒を振りかけたらあら不思議。ケモノ臭さが気にならない。
胡椒と金が同量で交換されたとか、胡椒を求めて西洋人が大航海に出たと云うのが肌身で実感出来ました。
>酔狂老人卍どの
そーなんですね、まさに胡椒のちから! マスキングの妙…ってか、肉類のある種の「過剰」を廃し、ウマさだけを抽出する効果があるような気もしています。
わたくしが近頃愛好する、有楽町のやきとり「葡萄屋」の「皮焼き」が殊更にウマく感じるのも、実は塩と一緒に、多少の胡椒が振られている事に起因しているのでは? と邪推している今日この頃。
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「カツ」が喰いたくなると、肉屋なりスーパーで「お惣菜」として買ってきて、家の夕飯の「一品」に加えてやる、とか、洋食屋で簡単な前菜で一杯やってから、オモムロにカツレツを注文する、とか、大阪は新梅田食道街で、串カツをかじって、その代用とする…とかといった真似で済ましてしまう。
ところが先日、ちかくの会社に用があり、この界隈をウロチョロしているうちに、ちょうど昼飯どきになり、同時にアタマと舌が急に「とんかつ」を欲しがり、ふと思いついて20数年ぶりに当店の暖簾をくぐる。
以前訪問したときは、まだ学生のじぶん。
世の中の「うまいもの屋」に興味が出てきたころであったが、無意味に体力をもてあましていた当時、当店の脂っ気のまるでない、「形而上的なカツレツ」みたいなお菜には、まるでピンとこなかったものだ。
これが「紅顔の美少年」ならぬ「厚顔無恥のオトウサン」となってお店の中に入ってみると、ある種そっけない、いいかえれば余計なもののない店内は、気持ちに引っかかってくるものがなくて悪くないし、席に着いたとたん、お運びさんが雑誌や新聞をさっと出してくれたりするのに、イマドキの店にない「心遣い」を感じて、妙にうれしかったりする。
「えーとんかつを単品で一枚。ご飯はいらないです。おみおつけはつけて…んー飲み物はっと…ま、昼間だから、ね…我慢我慢 」
と、注文。
程なく運ばれてきた「カツ」は、厚さおおよそ二センチばかりの堂々たるたたずまい。
低い温度でゆっくり熱を通しているのか、「切り口」をながめると、「ナマではないが、ぎりぎりを見切った」風が見て取れる。衣の「あぶら切れ」は良好。「パリパリ」「さくさく」というより、なんというか「シットリ」してる。(ぺちゃっとしてる訳ではない)
付け合せのキャベツの千切りは、「これ以上はない」と言いたくなるほど細く、均等に細工されていて、まるで「お刺身のつま」のよう。
「へぇ、立派なモンだな! 」と思いつつ、おみおつけを一口…ん! これも実に上品で結構!
期待以上の「見た目」にココロ躍らせ、カツの切り口に卓上の「芥子」だけをつけ、まずは一口…むひょ! なんという熱の入れ方! 肉にストレスを一切与えず、繊維が縮まったり、表面が硬くなったりせず、噛み締めると歯にネットリとこびてくるし、肉汁が口腔内に、ほとばしる!
一方、いやな「脂っぽさ」は一切、舌の上に浮かび上がってこない。
ひゃぁ! こりゃぁ、まるで上等のフランス料理…たとえば四谷ラノー・ドールで以前喰った、三歳メスの、イノシシのソティみたい!!!
と、口に入れた瞬間は、それこそ「天にも昇る」気持ちになったのだが、その次の瞬間 「うっ! 」とくる。
…ニオうのだ、いわゆる「豚くささ」が。 よい状態で保存されたケダモノの肉が持つ「熟成香」とも、揚げ油由来の「香ばしさ」とも違う、独特の「豚くささ」が、口の中で停滞し、鼻につく。
もしかしたらソースを浸ければ…と、普段「カツ」を喰うときには滅多に使わない、卓上の「ウスターシャ・ソース」を振りかけてみる…が、ソースにおける、香辛料の含有率が低いのか、この「ニオイ」は、いっこうマスキングしてくれない。
「???」と、周りを見渡すと、斜め向かいの席に座った老夫婦は、同じく卓上においてある「トマト・ケチャップ」を、それこそ「親の敵」のように掛けまわしている。
なるほどそうすれば、ニオイは消えそうだが、逆にせっかくの「名人の超絶火入れによる、肉のウマさ」が、消えてしまいそうだ。
結果、納得のいかないながら、とはいえ皿の上のものは(ケチだから)全部片付け、席を立ち、勘定を支払った…が、その際、帳場越しに厨房にいるコックさんの「衣付け作業」をチラリと見たところ、なんと! 肉の下味に塩は振っているが、胡椒は振っていない。
「ふーん、そのせいなのかな? 」と思いつつ店を後にした。
…と、いう訳で、ニオイこそわたくしには調和しないお菜であったが、おみおつけは上等だし、肉に対する「加熱の妙」は、ちょっとないほどだし、千切りキャベツの歯ざわりも気持ち良いから、「匠の技拝見」として、伺うのも悪くないかもしれない。そういう意味では、オススメ。
…尤も、上の「ニオイ」も、もしかしたら今回あたったロット(?)だけの問題なのかもしれない。従い、「味わい」評価は、保留。