4回
2022/09 訪問
最高の時間!!晩夏の片折
約半年ぶりの訪問となった。そしてこの日はこちらの常連である友人の席にご一緒させて頂いた。
誰もがうらやむ貴重な席にお誘い頂き感謝である。
私にとってこちらに伺うのは3回目、そして初のランチでの訪問であった。7席しかないプラチナシートは平日にも関わらず満席であったのは言うまでもない。最初に番茶を頂き恒例の青いおしぼりを首に当てリラックスした後、大将からお屠蘇の振る舞いがあり料理がスタートとなった。
この日は
氷見の天草から作ったところ天、上には擦った原種のオクラ
出汁のテイスティング
目の前で削って作った出汁を使った椀物
薄切りの能登鮑と玉子豆腐
キジハタと赤イカのお造り
白海老の磯辺揚げ
カマスのお造り
犀川上流で獲れた鮎の焼き物 骨とヒレ、頭を外して
この1週間しかないアオリイカの子供を出汁と茗荷で
ノドグロの炭火焼き レタスとともに
すっぽんの椀物、シラサエビの団子
福井三方湖の天然うなぎのうざく
煮浸し茄子と錦糸卵
食事
白ご飯
氷見牛の八幡巻き
香の物
今朝揚がった氷見の渡り蟹の味噌汁
卵かけご飯
太刀魚の天丼
海素麺
お焦げ
デザート
ルビーロマンとブランマンジェ
いや~~この日も完璧であった。最初の出汁のテイスティングでは完璧な出汁の旨さに圧倒され、それを使った能登鮑と玉子豆腐の椀物は想像をはるかに超える美味しいものであった。出汁と磯の香りのする鮑の完璧なマッチングが身震いするぐらい素晴らしい椀物であった。
ついこの1週間前、京都のとある名店で同じような鮑の椀物を頂いたばかりであったがレベルが違い過ぎる・・・何この美味しさ!!!
またこの時期、ケンサキイカのお刺身はいたるところで頂く機会が多いのだが、こちらのお刺身は格別であった。
大将が目の前でイカに隠し包丁を入れ、
ボソッと
「料理人は包丁さばきで味を作るものなので・・・」
といつもにこやかな大将の目がプロの料理人の目に変わりそうおっしゃった。
客と接するときにはにこやかに、そして包丁を握っているときにはプロに徹する・・そんな
人の良さとプロ意識を持つ大将は客を魅了して止まないのである。
最後の〆は煮えばな、卵かけご飯などなどどれも片折さんらしい極上の美味しさの物ばかりであった。
またその他の料理も全く非の打ち所がない・・そんな最高のコースであった。
通うことができるなら季節ごとに訪問したいがそれは叶わぬ夢と言うもの・・
また訪問の機会を楽しみに待つことにしよう。
2022/09/14 更新
2022/02 訪問
王者の風格! すべてを極めた料理の数々
約1年ぶりに再訪することができた。日本広しといえども片道3時間かけて行くことに対してウキウキする気持ちになれる店というのは少ないものである。もちろんこちら片折さんもその一つなのだ。
またこちらは日本全国からフーディーが集まる7席のプレミアムシートなので予約は超困難!!そんな貴重な席にお邪魔することができ感謝である。
ちなみにこの日は私以外には初訪問の方も多かったようである。最初に恒例の熱いタオルを首に置き、リラックスした状態になってからのお屠蘇が振舞われ料理のスタートとなった。
最初に出てきたのは春菊豆腐に焼いた春菊を乗せたものからであった。まずはいきなりパンチを喰らわされたぐらいの衝撃であった。私は春菊は嫌いではないがあの苦みをあまり感じることがないのだが香りと味はしっかりと春菊であった。春菊は鍋では定番の素材だがこんな食べ方があったとは!!これはいきなり凄いものが出てきた!!そんなスタートであった。
そしてここでお弟子さんが鰹節を削り出した。どこにも負けない椀物のスタートであった。その鰹節を大将が予め昆布の出汁で濾し、片折特製の極上出汁の完成であった。
その出汁をそのままテイスティングさせてもらったが、もうこれだけで十分といえるぐらいの極上の出汁であった。こういう店っていいなあ~~
そしてその出汁で作った椀物を頂いた。干したカレイと源助大根、そしてふきのとうがトッピングされていた。澄んだ出汁を頂くと口の中で最高の旨味が広がり、そこに一夜干しのカレイの旨味と春を感じさせてくれるふきのとうの香りが相まって極上の風味を感じさせてくれた
すべてに控えめの大将はそんなつもりはないだろうが、この椀を頂いていると
「どうだ!!参ったか!!」
という声が聞こえてくる気がするのである。この日はお弟子さんが車で1時間かけて七尾市中島町の藤瀬の霊水を汲みに行ったばかりだそうでその水を使ったものであるとのことであった。もちろん大将も毎日氷見まで魚を買いに行っているようであるが、野菜などはお弟子さんが目利きをして仕入れてくるようである。そうすることによってお弟子さんも生産者との繋がりができるとのことであった。大将は今だけでなく次世代のことも真剣に考えられているようであった。
やはり最高の料理を提供するにはこういうチームワークも大事なんだろうなあ~~
話は反れたがこの椀物にはぐうの音もでないほど完敗であった・・・
そしてお造りはトラフグからであった。ふつうのふぐ刺しのように極薄に切るのではなく、お刺身と同じように少々薄目に切りポン酢で頂いた。これもとても新鮮な河豚で気持ち良い嚙み心地でまさに「口福」を楽しめた。
続いては今朝揚がった氷見のメジマグロのお造りを頂いた。良質の脂が何とも言えない美味しさであった。漁港で処理をしてそれから店に持ち帰る大将の手間暇がこういう味を生むのだろうなあ~~と妙に感じ入った一品である。
次は生のクチコの羽二重蒸しであった。玉締めとも言うらしい。簡単に言えば茶碗蒸しの中に生のクチコが入っておりこの1ヶ月ほどしか食べることができないようである。これも海の香りが何とも言えず器の中に能登の海を感じる一品であった。
そして次は焼きものであった。氷見のクエを熟成させ表面には酒盗を塗り焼いたものらしい。身はしっかりとしているのに中はとても瑞々しい~~何これ??この食感??焼いた魚とは思得ないぐらいの美味しさであった。
タラの白子の酒粕仕立てを頂いた後はお椀に入った茶巾稲荷を頂いた。中にはお餅と香茸が入っており稲荷の甘みと相まって素晴らしいものであった。こういう味わいって何だか安心するのである。
そしてこの日のビックリした料理はヘラブナの洗いであった。名前は忘れたがヘラブナ釣りの名人が釣ったものをその場で血抜きなどの処理をしてあるようだ。大将が薄く骨切りをして氷水に浸け、そこに細かく切った生姜を添えて頂くことになった。川魚というと何となく身構えてしまうのであるが、全くクセがなく旨味のみがぐんぐん来る美味しいものであった。定番じゃないこういう変化球も好きである。
とても美味なあん肝を箸休めで頂いた後はメインの第2弾はあんこう鍋であった。朝〆たばかりのあんこうは身がプルップル~~捌いている身も弾力でプルプルしていた。
それを出汁にさっと浸け、出汁のみの薄味で頂いたのだが、アンコウ自体の味がはっきりと分かるとても美味しいものであった。
一緒に頂いた野生のクレソンと正確には忘れたが能登の椎茸?はツルツルで初めて食べたぐらい美味しい椎茸であった。
鮟鱇と言えばいつも伊勢海老の出汁で食べさせる店でしか食べたことがなかったからね~~食べ慣れたあんこうではあるが目からうろこの美味しいものであった。
そして〆には煮えばな、メジマグロの漬け、アカモク、カニの餡かけすべて頂いた。ちなみにアカモクとはめかぶのようなヌルヌルの食感だが海の香りの強いこの1ヶ月ぐらいしか食べることのできない海藻のようである。これは美味しかったなあ~~
最後に手作りのいちご大福とお抹茶を頂き終了となった。まだ2回目の訪問ではあるが、全国の食通を魅了して止まない片折さんの魅力の一角に触れることができた気がした。
なかなか予約困難店ではあるが定期的に通いたい、そんな割烹なのである。
2022/02/15 更新
2021/03 訪問
金沢の地で出会った最高峰の和食
ずっと行きたいと思っていたが全く縁がなく半ば諦めていたお店に行くことができた。願えば叶うものだなあ~~これもまたまた友人のA君のおかげである。やはり持つべきものは予約時強い友人である(笑)いつもありがとうございます!!
期待いっぱいでの約3時間の道のりだが、こういう時は全く苦にならないものだね~~
以前金沢を訪れたのは小松弥助に行った4~5年前が最後であった。少々早めに到着して金沢の街を散策・・・これはこれで楽しいものである。
土地勘が全くないのでタクシーにてお店まで行き開店と同時に中に入れてもらった。当然のことではあるがこの日は7席すべてが満席であった。もうシンプル過ぎると思えるぐらいの店内には正面にお雛様の掛け軸が飾ってあるだけであとは何もない。そういう簡素な空間がこれから楽しめるであろう料理に対しての期待を嫌でも高めてくれるのである。
最初にお弟子さんがひときわ湯気の立つ青いおしぼりを持ってきてくれた。これはお手拭き用ではなく。首の後ろに当ててその温熱効果によりリラックスしてもらおうという店主の粋な計らいのようであった。何度も来ている友人によるとこれは毎回行うようである。
大将はまだかなり若いようで、こういう超がつくほどの名店ではとかく気難しい方も多いが、こちらの大将は一見の私のもとても気さくにしゃべってくれた。京都の名店などに行くと無言の圧力で常連以外はあまりしゃべれない・・そんな店もあるが、こちらはとても対極的であった。とにかくお客さんには居心地よく過ごしてもらいたい、そんな思いがひしひしと伝わるのである。
お弟子さんも3人ほどおり、若い大将のことをお弟子さんが
「おやっさん」
と呼ぶのが何となく笑えてしまった。まあこういう店ではお弟子さんとの関係は年齢ではないからね~~
とても人懐っこい感じの若い大将だが、料理の話をしている時の眼差しは眼光鋭く、料理を頂く前からく只者ではない雰囲気を醸し出していた。やはり一流の料理人というのはこういう雰囲気をお持ちの方が多いようである。
料理に関してはかつて初めて吉いの料理に出会ったとき以来の感動であった。
この二人の大将に共通するのはやはり出汁のレベルの高さであろう。吉いさんはカツオにこだわり、片折さんは昆布もカツオも凄いが、どちらが上でどちらが下という比較はできない。方向性が若干違うが総じて言えば料理自体は同じ方向を向いていると思うのだ。
こちらの料理に関しては「究極の引き算の料理」とか、いろいろと言われているが、正直引き算という表現はあまり正確ではないような気がした。というのも決して引いているわけではなく必要最小限の物で最大の旨さを作り出しているのだから、究極のミニマイズムと言う方が正確であろう。
これには個人の好みが大きいと思うのだが、少なくとも私自身は足し算と言われる料理よりもこちらの方が圧倒的に好みなのである。
今回頂いたのは最初に能登の原木椎茸にお粥、そして2品目がヤナギバチメの椀物であった。この椀はカウンターでお弟子さんがカツオを削り、そこに昆布出汁の入った器に鰹節を入れて大将が味の調整をしとことん高みに上げた極上の椀であった。これは凄かったなあ~~
ちなみにヤナギバチメとはメバルの一種らしい。
次に出てきたヒラメのお刺身は美味しかったが、椀がすごかった分だけ存在感が少々少なかった。ただ極上のお刺身と言うのはこういうものをいうのだろう、と言った感じであった。
そして食感の良いスミイカを敢えて包丁を入れず白味噌と木の芽で和えて頂いたのだが、これも今まで経験したことがないような美味しさであった。
そして魯山人のお皿にノドグロの炭火焼きが乗って提供された。炭の香りがほのかにして食欲をそそられ美味しかったのは言うまでもない。
そのあとはズワイガニの身で作ったカニシュウマイ、海マスの揚げ物を昆布塩で頂いた。どれも素晴らしく、恐ろしいほどレベルが高い物ばかりである。
そして2回目の椀がやってきた。この時期この地方では外せないイワシの椀であった。イワシのつみれをいりこ出汁で頂いたのだが、イワシの旨味がぎゅ~~っと詰まって素晴らしい椀であった。
そのあとはもう一つの日本海の名物、生きたホタルイカがカウンターの上に出された。これをその生きたままの状態で目と筋を取り、煮立ったお湯に入れてそのまま頂くのだが、これがまたとっても美味しかった。私の知っているホタルイカは臭みがあり正直あまり好きではなかったのだが、こちらのホタルイカは鮮度と大将の茹で加減のおかげで全く臭みはなく、むしろ旨味が際立つ美味し物であった。酢味噌の何もつけずにそのまま頂いたが、それが一番多いしい食べ方らしい~~
初めてホタルイカの本当の美味しさを知った気がした。
最後にごま豆腐の揚げ出し、そしてご飯を頂いた。ご飯はマスのご飯、マグロの漬け丼、そして玉子かけご飯からの選択だったが私はすべて頂いた(笑)どれも抜群に美味しい~~次いつ来れるか分からないから食べずに後悔するのも嫌だからね~~
どの料理も圧倒されるほどのレベルで、全国から食通が集まるのも当然だと思われた。
この味なら3時間かけて金沢まで行くのは何とも思わないからね~~
店の空気感も良く3時間はあっという間であった。またいつか必ず再訪したいお店である。
2021/03/29 更新
今さら言うまでもないが、多くの食通を魅了してやまない片折さんに9カ月ぶりに再訪することができた。
食べログでもあの東京の鮨屋に次いで全国第2位という輝かしい実績なのである。
しかし私からすると何で1位じゃないの?と疑問に思うのだが、今や日本で最高ランクの予約困難店となり、たった7席しかないカウンターはプラチナシートどころかダイヤモンドシートになってしまっているのである。
そんな中、こちらに通える幸せを咬みしめながらの訪問であった。
また陳腐な表現ではあるが今回も「完璧」という言葉が似合う初夏の料理を楽しませて頂いた。まずいつものように最初に青いおしぼりを首の後ろに当てリラックスするところからスタートとなった。
この日は
玄米を煮出したお茶、
加賀丸いもと若狭赤雲丹、
出汁のテイスティング
藤ノ瀬の霊水
椀物
甘鯛と新玉ねぎの椀
お造り
オニカサゴ、氷見マグロ
地元の毛ガニを使った和風カニシュウマイ
新湊のボタン海老と
靑ばい貝
白海老の磯辺揚げ
のどぐろの蒸し寿司
富山の神通川鮎の炭火焼き、蓼酢で
きゅうりのごま酢和え
太刀魚と大葉を巻いて揚げ物
昆布塩で
能登の天然の岩牡蠣、みょうが、ネギ、ポン酢で
寄せ豆腐あんかけ、中にうなぎときくらげ
白ご飯、氷見牛の八幡巻き
輪島の舳倉島のボタ海苔
とマグロ漬け丼
マナガツオの天丼
酢でしめた小鯛の出汁茶漬け
おこげ
デザート
青梅のシロップ漬け
抹茶
最初の突き出しは加賀野菜である加賀丸芋を使った涼しげなものの上に今が旬の日本一美味しい若狭の赤雲丹を乗せたものであった。この赤雲丹、生産量が極端に少なく限られた店でしか食べることのできない超高級素材である。私もこれ以上の雲丹を食べたことがないと思えるほどのものであった。
そして恒例行事ではあるがこちらの料理のベースとなる出汁を作るところを目の前で見せてもらった。お弟子さんが鰹節を削り、大将が予め昆布で出汁を取っておいたところに投入・・・これで片折名物の極上出汁が完成するのである。
これを小さなガラスのお猪口に入れて下さりテイスティング・・・もうこれだけでクラクラしそうになるぐらい感動ものであった。
そしてその出汁を使ったノドグロと新玉葱の椀物はこれ以上の物はないであろうと思うぐらいの極上の美味しさ・・・・椀物は出汁に拘る片折さんの言わばスペシャリテでもある。
世界一、いや宇宙一と言っても過言ではないだろう。
お造りは珍しいオニカサゴの薄造りと氷見マグロの大トロ・・・青ばい貝と地元のボタン海老も楽しませてもらうことができた。
そして焼き物は神通川で釣れた鮎、この時期にしてはかなり大きなものであった。それを大将とお弟子さんが頭と背びれを取って中の骨を抜き、ストレスなくそのまま食べることができるように仕上げてくれた。
とかく岐阜のY家さんなどに行くとツウの人は頭から尻尾まで骨ごと食べるのが粋のように振舞われるが、私はそんな食べ方をして美味しいと思ったことはなかった。骨が歯茎に刺さり、ざらつき感があって私はいつも骨は残して身だけほじくり出して食べていたのだが、片折さんのこの方法だとすべて丸のままかぶりつくことができた。異次元の美味しさであった。これは美味しい鮎だったなあ~~
能登の牡蠣は牡蠣臭さが全くなく牡蠣とは思えないぐらいの旨味だけのものであった。こんな岩牡蠣ならいくつでもイケる・・・
ご飯は白ご飯、マグロのヅケ丼。マナガツオの天丼、酢締めの小鯛の出汁茶漬けと4杯頂いた。
どれも抜群に美味しかったのは言うまでもないだろう。
最後に青梅のシロップ漬けとお抹茶を頂いて夢のような時間はあっという間に終わってしまった。
暖簾をくぐっただけで最高に幸せになれる、私にとってはそんな割烹なのである。また次の機会を楽しみに待ちたい。