【あべの・天王寺】大阪らしさを感じるお寿司【二寸六分の懐石】

出典:kurodaさん

【あべの・天王寺】大阪らしさを感じるお寿司【二寸六分の懐石】

 お寿司といえばまず握り寿司をイメージしていませんか?大阪には箱寿司、ばら寿司、太巻き寿司など、関西の風土で生まれた伝統的なお寿司がいっぱいあります。あべの・天王寺周辺でいただける大阪のお寿司を集めてみました。ほんのり甘口の、癒やしのお寿司を味わってみませんか?

更新日:2021/08/08 (2018/08/09作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる162の口コミを参考にまとめました。

押し寿司と太巻きが基本

 大阪の寿司店では、今でこそ江戸前の握り寿司が主役となってきたが、お店によっては、箱寿司、ばら寿司、太巻き寿司など、関西で伝統的なお寿司を提供しているところが多く見られます。
 歴史を遡ると、なれ寿司や鮒寿司など、発酵寿司に分類される寿司の原形が平安時代に生まれ、その後、瀬戸内の魚と厚焼き玉子、アナゴやエビなどをすし飯とともに木枠の押し型に敷き詰めて美しく整形した箱寿司が生み出されました。
 その後に巻き寿司やバッテラ、棒寿司などが普及しだし、これらを江戸前のにぎり寿司との比較から大阪寿司と呼ばれるようになりました。
 大阪の寿司は握り寿司のように店内で食べるのではなく、主にお芝居や行楽の際のお弁当として親しまれることが多いといいます。作ってすぐに食べるのではなく、時間が経って食べることが多かったため、砂糖を多めにしてご飯が干からびるのを防止しました。このことから大阪寿司は特徴的な甘みをもちます。

【箱寿司】
 酢締めの鯖、昆布締めの鯛、焼き穴子、茹でたエビ、玉子焼きなどを木型で押して作るお寿司です。昆布だしを加えて飯を炊き、寿司酢には塩と砂糖を混ぜる。作られてから、多少時間が経ったほうが美味しくいただけます。

【バッテラ】
 現在のバッテラは酢飯に酢締めにした鯖を乗せ、さらに白板昆布(バッテラ昆布)を重ねた押し寿司です。明治の中頃に大阪の寿司店が、コノシロの片身を開いた寿司を考案し、その姿が小舟に似ていたことから、ポルトガル語でボートを意味するバッテラと呼ぶようになったのがその始まりです。
 後にコノシロの代わりに鯖の半身を使うようになり、現在の細長い形となりました。切り分けていただきます。

【巻き寿司】
 関西では単に巻き寿司といえば一般的に「太巻」を指します。甘辛く煮しめた高野豆腐や椎茸等を巻いているので、ほんのり甘い仕上がりです。海老や瀬戸内の焼穴子を巻き込んだ豪華なものもあり、しっかり食べ応えがあるのも魅力です。

文の里松寿し

文の里松寿し

 地下鉄谷町線・文の里駅の7号出入口から明浄通商店街に入り、アーケードの終端部分にある寿司店です。
 店構えと同様、店内も相当年季を重ねてる様子で、カウンター席とテール席、小上がりからなる全部で20席程度。ご主人と奥さんのお二人で営業されています。

美しくておいしい大阪寿司がこの値段でいただけるのは奇跡

文の里松寿し

 「大阪寿司」(900円)は長方形の器の上に3種の押し寿司が二切れづつ、巻きずしが二切れ、伊達巻、そして伊達巻の後ろにバッテラが隠れてました。押し寿司は小鯛、海老、穴子です。
 穴子は上面に甘いツメが塗られ、酢飯の間に椎茸がサンド。海老はふんわりした玉子とプリッとした海老の対比がいい感じ。酢飯には海苔が挟んであります。小鯛は旨味が際立つ鯛の身にの昆布の旨味が重なってくる。木の芽の香りもいいですね。

文の里松寿し

 太巻きは高野豆腐、かんぴょう、三つ葉の入った典型的な大阪スタイルです。伊達巻もしっかり甘くはんなり仕上がっています。
 どの押し寿司もキリっとエッジが立っていて、丁寧な仕事をうかがわせています。酢飯は甘口で、昆布の風味とお酢の酸味が上手い具合に掛け合わさって、艶やかで芳醇な味わいを出しています。

八十島

八十島

 JR天王寺駅のターミナルビル内。中央改札口を出た正面のお土産物を主にした「セブンイレブン・アントレマルシェ天王寺」内に出店している、大阪土産として、また新幹線の駅弁として人気急上昇中の大阪寿司のショップです。

大阪寿司の真骨頂

八十島

 「大阪寿司」(850円)は、蓋を開けると、バッテラ、海老・玉子、穴子の箱寿司と巻き寿司が美しく収まり、モザイク模様を織りなしています。
 バッテラは全体に鯖の味がなじみ、昆布のうまみと折り重なって風味が豊か。穴子も香ばしくて実に旨い。甘口のツメこそ上方の味付けです。

八十島

 ここのお寿司の人気商品は「大坂巻」なる太巻き寿司です。「大坂巻」のハーフ(680円)はデフォルトの「大坂巻」の文字通り半切り。その分安くなっているのだが、かなりの太巻きなので一人ならハーフでもボリウム的に充分です。
 ぷりぷりした海老の身や、穴子、玉子など贅沢に巻かれた上巻きで、他にも椎茸、干瓢、高野豆腐という贅沢感。そしてやや甘口で薄めの味付けは好ましい。まさしく大阪のお寿司を名乗るに恥じない上質の一品です。

あるにあらむ

あるにあらむ

 あべのハルカス近鉄本店・タワー館9F、インテリアや食器などのフロアにある、すし萬がプロデュースした和風のカフェです。
 席数は56席、店内は和モダンのインテリアが実にいい雰囲気で、椅子やテーブルもゆったりと配置され、贅沢な空間構成になっています。

冬のお寿司ややっぱり蒸し寿司

あるにあらむ

 「穴子と野菜のあんかけ蒸しすし」(1,728円)です。冬場にはこういった蒸し寿司が恋しくなりますね。
 エビを頂点として、茄子、しし唐、パプリカ、ヤングコーン、シメジなどがあしらわれたお寿司は、色合いが鮮やか。目でも楽しめますね。さすが、大阪のお寿司です。

あるにあらむ

 あんかけは湯気が立たないので、油断して口に運ぶとアツッ!意外な熱さに驚きました。蒸し寿司特有のお酢のツン…とした香味はなく、カドが取れたようにまろやかな酸味です。
 主役の穴子は大ぶりでふっくら、実に癒し系の味わいです。この蒸し寿司はお店でしか味わえない冬の味覚ですね。出汁の旨みの凝縮した逸品だと思います。

古市庵 あべのIY店

古市庵 あべのIY店

 あべのキューズモールの地下1階部分、イトーヨーカ堂の食品売り場のレジの外側は、ちょっとしたフードコートがあるほか、テナントとしてデリカテッセンが数店営業されています。
 この古市庵、福岡県久留米を本拠に、デパ地下を中心に全国に展開しているお店です。

芸術的なビジュアルの箱寿司

古市庵 あべのIY店

 「詰合せ 浪花寿司」(842円)は、海老、〆鯖、煮海老、〆鯛、厚焼玉子、焼穴子、サーモン、おぼろ昆布、大根甘酢、高菜漬の押し寿司が美しく収まり、モザイク模様を織りなしています。このビジュアルこそ「二寸六分の懐石」と呼ばれる所以。
 鯖は鯖の身こそ薄いが、全体に鯖の味がなじんで風味が豊か。穴子も香ばしくて旨いなぁ…やや甘いツメこそ上方の味付けです。

古市庵 あべのIY店

 寿司飯はお酢の〆が強めで直線的な風合い。さっぱりとした風合いが好きな方にはいいでしょう。
  今や江戸前のお寿司が主流となってきて、だんだん影が薄まりつつある大阪のお寿司を、九州出自のお店が店頭に並べているのはありがたいことです。

大喜寿司

大喜寿司

 JR阪和線の美章園駅から高架に沿って北に少し進んだところ、スーパーマーケットの向かいの高架下にあるお寿司屋さんです。
 中に6人ぐらいのカウンターと、その横に小さいお座敷が。そして不思議なことに奥にももう一式のカウンターがあります。

ガード下の庶民的なお店で押し寿司とうどん

大喜寿司

 ランチ時に提供される押し寿司に、うどん・そばが付いたセット(683円)。
 寿司は鰻、エビ、バッテラの三種。実に美しく盛り合わされています。さっそく摘んでみると、押しがかなり軽めなのが特徴的。にぎりのようにシャリがフワッと解れていきます。ネタも薄めながら味つけは上々な旨口。

大喜寿司

 この値段なのにうどんが付いてきます。うどんはきつねうどん。甘口のダシで、きつねは小さめです。
 お寿司とうどんのセットという炭水化物好きな大阪らしい取り合わせ。庶民的な雰囲気のなかでお腹いっぱいにしてもらえます。

すし処 漁場 近鉄百貨店 阿倍野店

すし処 漁場 近鉄百貨店 阿倍野店

 ここは近鉄百貨店系列の食品会社が運営するいわゆるデパ地下・総菜売り場の寿司店で、こちらのおショップではイートインも併設されています。

土用の丑の日は鰻のお寿司

すし処 漁場 近鉄百貨店 阿倍野店

 土用の丑の日には鰻のにぎりと「うな胡」のセットが1,000円未満(918円)で手頃な価格で手に入ります。
 鰻のにぎりはネタが薄いものの、しっかり鰻の味があるし、ツメとのバランスも良好。

すし処 漁場 近鉄百貨店 阿倍野店

 「うな胡」はふわっとした鰻とハリハリしたキュウリの食感の対比が良い。こちらもしっかり鰻の旨みが感じられます。関西の寿司店では寿司ネタに鰻を当たり前のように使っているが、関東では鰻を使うことが無いんですね。

すし萬 近鉄あべのハルカス本店

すし萬 近鉄あべのハルカス本店

 近鉄南大阪線・大阪阿部野橋駅の直下、あべのハルカス近鉄本店の地下2階。いわゆるデパ地下にある、大阪を代表する寿司の老舗によるショップです。
 ここは創業が江戸時代の初期、承応二年(1653)というかなりの老舗。ちなみに上方文化を花開かせた近松門左衛門の生まれ年と同じです。

上方の豊かな食文化を物語る大阪寿司

すし萬 近鉄あべのハルカス本店

 大阪寿司(1,800円税別)は、押し寿司が3種6切れと、巻き寿司が3切れ。大阪寿司はそのヴィジュアルにも価値があります。

すし萬 近鉄あべのハルカス本店

 押し寿司は「すし萬」の代表商品である「小鯛雀鮨」をはじめ、活車海老と鯛の木ノ芽の「よこほり」、煮込み穴子の「阿奈古すし」です。
 味わってみると、魚と昆布の旨みが口に広がるとともに、お米がほろほろと解けていく感じの、堅すぎず柔らかすぎずの実にいい押し具合。特に「小鯛雀鮨」は圧倒的な旨さです。

すし萬 近鉄あべのハルカス本店

 いっぽうの巻きは厚焼き玉子、干瓢、椎茸、三つ葉をのり巻にした太巻です。やや甘めに仕上げられている癒し系ながら、三つ葉が風味を引き締めています。
 「すし萬」のお寿司はお米の炊き具合が絶妙。さらに、甘さの中に山椒がピリリと利いた甘酢生姜がお寿司の味を引き締めます。

※本記事は、2021/08/08に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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