酒野夢蔵さんのマイ★ベストレストラン 2015

酒野夢蔵の酒場放浪記

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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1位

しのはら (三雲、甲西 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥6,000~¥7,999

2016/08訪問 2016/08/23

湖南ではこの8月で終了,10月からは銀座へ移転,奇をてらうことのない骨太な料理と満足させるキレ味 ” 日本料理 しのはら ”

(再訪)
” 日本料理 しのはら ” さんへ伺います。
もう1年ぶりになるんですね。
今回で全ての部屋を伺うこともできました。

・毛ガニの北海道産ウニ茶巾包み 蒸し黒アワビ添え土佐酢ジュレ
・明石産あこうのオクラすり流し椀
・造り盛り合わせ(明石産真鯛・愛知産本マグロ・越前産剣先イカ・琵琶湖産鯉・淡路産真鱧・韓国産真鱧)
・琵琶産鱒のフライ タルタルソース 鱒の子添え
・八寸(琵琶湖産鮎と鯉の有馬煮の蓮根春巻き・近江八幡の鮎イチジク 胡麻ダレ・
    瀬戸内真鯛の笹巻寿司・奈良の西川ファームのトマト モモタロウ 黄身酢・
    モロヘイヤ・玉子真薯・和歌山産枝豆)
・九十九里浜産3年モノのハマグリ蒸し
・琵琶湖産天然ウナギ焼き
・とうもろこしご飯と木下牧場の近江牛すき焼き 松茸入り
・甲賀スイカ,デラウエア,ベリーエース,梨の蜂蜜ゼリーのパッションフルーツソース

この店に関することは,前回までに書いていますので,
参照していただければ幸いです。

琵琶湖産鯉や鱒,蓮根春巻きなど,
今回はいつもとは違う食材や調理法をしてきました。

毛ガニの北海道産ウニ茶巾包み 蒸し黒アワビ添え土佐酢ジュレは,
高級感過ぎる気もしますが,こういう組み立てにはうっとりしてしまいます。
琵琶湖産天然鰻は身が引き締まっており,
鰻の美味しさをしっかりと味わえ,脂の甘み。
九十九里浜産ハマグリは身が厚く食べごたえのある食感と濃厚な旨みがありました。
木下牧場の近江牛は口の中でさらりととろけるあま~い脂に,
きめ細かな肉質で,噛めば噛むほど肉本来のうまみがあふれます。
また,この肉はサシを無理やり入れることもしていません。

なんといっても,店主の料理人としての気質及び探究心といいましょうか,
料理に対する愛情,仕事に対する真摯な姿勢で,
美味しいお料理をお客に出すことを注いでいらっしゃっています。
基本的には奇をてらうことのない骨太な日本料理ですが、
それでいて随所に感じさせる新鮮さと斬新さが印象的でした。
京都の日本料理店と比較して,リーズナブルな値段,
それに対しての極上素材と組み合わせの巧みさ。
私にとっては移転されることは残念でなりません。
こういう店はやはり京阪神で勝負し続けて欲しい気がします。
銀座店では税・サ込で23000円だそうです。

ごちそうさまでした。


(再訪)
” 日本料理 しのはら ” さんへ伺います。
一昨日の月曜日に行ったのですが,
もう1年ぶりになるんですね。
京都の日本料理店と比較して,リーズナブルな値段,
それに対しての極上素材と組み合わせの巧みさ,
サービスを含めた完成度の高さゆえ,
最近はなかなか予約がとれなくなりました。

今回は1Fカウンター席です。
店主の父がオープンさせた鉄板焼きの思い出がある場所です。
カウンター席は厨房と隣り合わせなのですが,
厨房内での気持ちの良い掛け声とともに,
凛とした雰囲気が漂ってくるのです。

今回ここに座らせていただいくと,部屋でいただくのと違って,
店主の料理に対する真摯さと客をもてなす心尽くしに感動してきました。
それが,海味にいらっしゃった寿司職人の天本さんを含めた
スタッフも凛として,オーラを感じますし,
店主も,スタッフさんの態度もというか,
取り組む姿勢が全然違うように感じます。
「遠くから来ていただいたお客様にともかく満足してほしい」
という店主の思い入れが伝わります。
日本酒はおこぜ(睡龍)20BYと地元の松の司生酛。

・唐津産赤うにと北海道産ボタンエビ 紹興酒に漬けて
紹興酒に漬けたボタンエビがとてもいいですね~。
唐津産赤うにとの相性もいいのです。

・有明産あげ巻き貝
同じような貝に「マテ貝」があるのですが,
マテ貝とは違う種類の貝で,有明海等の干潟に多く住んでいた貝です。
殻ごとの塩焼きにするとぷりぷりの食感が楽しめ,うまみが口中に広がります。
あげ巻き貝の殻長は8cmから10cmほどで,細長い円柱の形をしています。
主に有明海,瀬戸内海湾内で漁獲されています。
国産の「あげまき」は絶滅状態なのですが,
これをいただけて,幸せでした。

・造り:大原産金目鯛・愛知津島産ヒラメ・長崎産アオリイカ・
    愛知三河産マイワシ・福井産ホンマグロ・長崎産ヒラゴマサバ

・大原産マダカあわびと冬瓜の椀
5月中旬~8月末に千葉県大原にマダカアワビが揚がります。
この大きさは4kgもある日本最大なものです。
今では200枚に1枚揚がるか否かの幻のアワビです。
一般にアワビと言えば黒アワビとメガイアワビですが,
実は一般では手に入らない幻のアワビなのです。
今回はその幻のアワビを食させていただきました。
身はほのかに甘く,食感は固すぎず,軟らかすぎないですね。
中からアワビの香りと旨みが染み出しますし,
口中にはまったりとしたうまさが充満します。
これを食べたら,他のアワビの水貝は食べられなくなります。
椀はカツオ・昆布の八方地にアワビの出汁をとても感じます。

・八寸:仁淀川産天然鮎・イカのすり身天・白バイガイ・カマス寿司・枝豆煮
    サツマイモ甘露煮・蒸し玉子・タコ柔らか煮・フルーツトマトレモン煮
仁淀川の天然鮎は皮がうすく,身がやわらかく,
コクがあるというか,とてもおいしい香りがある天然鮎ですね。
この鮎は皮の色が違います。
仁淀川は成長・産卵に理想的であり,
天然鮎が成長する中・上流域の石には,
天然鮎の主食のコケがたくさんあり,
仁淀川天然鮎はコケを食べて大きくなります。

・能登産ごまふぐの白子焼き

・琵琶湖産天然うなぎ

・江戸前握り寿司:玄海灘あら・大羽イワシ・金沢八景のあなご
天本さんの渾身の握りを堪能しました。
ネタと赤酢と個性あるシャリとの組み合わせは絶妙です。
玄界灘のあらも大羽イワシもいいですし,
この金沢八景のあなごは野島産に匹敵します。

・鱧の玉子丼
卵のときかたも火の入れ方,鱧の味わいも格別です。

・白桃とさくらんぼとブランマンジエ

誠実で真面目な料理です。
何度も来店したくなる,美味しいものをコスパ良くいただけます。
どの価格帯のコースでも,全身全霊をこめた気合いを感じます。

なんといっても,店主の料理人としての気質及び探究心といいましょうか,
料理に対する愛情,仕事に対する真摯な姿勢で,
美味しいお料理をお客に出すことを注いでいらっしゃっています。
基本的には奇をてらうことのない骨太な日本料理ですが、
それでいて随所に感じさせる新鮮さと斬新さが印象的でした。


(夜・再訪)
二回目は夜に伺いました。
部屋も2階に案内され、ドリンクメニューを見ますと、
日本酒やワインにも精通しています。
日本酒は松の司が多いのですが,不老泉や日置桜や竹鶴などもあります

・先付:由良うに・新潟産あわび・ゴマ豆腐・ズッキーニ・トマト・こなぎ をあわびダシで
こなぎをあしらっていますね。
こういう先付なので,滋賀の銘酒 不老泉の天秤搾り山廃純米吟醸酒,竹鶴純米秘伝にしました。
ずっと徳島産あわびを使用していたとのことですが,今回は新潟産。
素材はどれもこれも文句ありませんし,内容から女性に喜ばれそうですね。

・椀:オクラのすり流し椀 毛蟹・毛蟹真薯・原木椎茸・きくらげ・新じゃが
汁が主体の椀です。オクラを裏漉しにかけ,出汁をのばしながら加熱します。
すましの他に白味噌をいれて濁りにすることもあります。
昔から日本料理では、吸い物の “あたり(味)” と造里の “包丁さばき” が 板前の真骨頂とされてきました。
「椀もの」は日本料理の特徴とそのおいしさをもっとも表現した料理といえます。
「吸い物」は、どんなに旨くても季節の表現ができていなければ、よい吸い物とはいえないのです。

・造り:長崎産ヨコワ・北海道産ツブガイ・ミナミマグロ・千葉産金目鯛・ひらめ・愛媛産鯛
おかひじきをあしらっています。
ほとんど料理店で見ないミナミマグロがあるのがいいですね。愛媛産鯛は,かのこ包丁さばきで。
合わせ醤油・ちり酢・塩酢を添えています。

・鮎の風干しとひらめちまき

・松輪の鯖のきゅうりおろしと大根おろし
三浦半島南端の松輪地区では,6~11月の漁期に沿岸域に来遊するマサバを
一本づつ大切に釣上げるサバ一本釣漁業が盛んです。
夜明け前に出漁,釣上げた魚はガッチリ氷を効かせて,
昼過ぎには水揚げしてすぐに出荷するので鮮度がいいのです。
松輪サバは「これが鯖か?」というほど肉付きが良く,
脂がのって美味です。8月のお盆過ぎに旬を迎える松輪サバは,
胴体から尾にかけて黄色い筋が入り,
「松輪の黄金サバ」と称され,サバの最高級品と言われています。

・八寸:岐阜産鮎・スッポンだしおから・トマトの甘露煮ゼリー寄せ・
    サンド豆胡麻和え・あおいオクラ・玉子真薯・下津井産タコ酢・木の芽酢
岐阜産鮎がとても良いと思いますし,
八寸のどれもが手間暇かけた素晴らしい料理でした。
玉子真薯は厚焼き玉子と違い,柔らかくもっとふわっとした感じです。

・焼物:徳島産伊勢海老・ヤングコーン・新じゃがいも
・炊き合わせ:かぼちゃと玉葱のすりおろし ひりゅうず・韓国産鱧・ささごぼう・はちく
・もろみとべちゃめし
・オマールエビと玉葱 胡麻油と大根おろしのドレッシング
・くちこごはん

・琵琶湖産スッポン雑炊
土鍋でご飯を炊いていただいたので,別注でスッポン雑炊を。
出汁がとてもいいです。肉質はとても鍛えられています。
養殖は薄い色をしていますが,
天然は茶褐色や黄色や緑がかった色をしていて色が濃いのが特徴です。

・甘夏白ワインゼリー寄せ
甘夏もいいのですが,店主はワインにも精通していますので,
この白ワインゼリー寄せは絶品でした。

・葛

篠原さんが挨拶に来られ,いろいろとお話させていただきました。
お人柄も優れています。ご主人の実家は徳島ということです。

何度も来店したくなる,美味しいものをコスパ良くいただけます。
どの価格帯のコースでも,全身全霊をこめた気合いを感じます。
素材に走りがちなところを感じますが,原価無視と思う程の素材をふんだんに使った料理は,
誠実で真面目なところを感じます。
通えば通うほど,いいお店だと感動するでしょう。

お料理の質と腕を上げる事に重点を置いておられるので,
接客は普通にいいと思います。
爽やかで親しみやすく,いつの間にか寛いでしまうような感じです。
サービス料をしっかりとる店よりも好感がもてる接客です。
田舎者の私は安くて質が良くければ納得してしまいます。
高級料亭みたいなものをイメージすると少し肩透かしを食らうかもしれませんが,
リーズナブルなお値段で,日本の美味を堪能できる
素晴らしい日本料理屋さんだと思います。


 (昼・初回)
日本料理 しのはら さん。

JR草津線三雲駅から2キロ。
周りには住宅と田んぼしかない場所にお店がありますので、
ここに本当にあるのかな?と迷いました。
正面が玄関でないのも要因のひとつです。

店主は篠原武将さん。
招福楼本店、山玄茶出身という世界に誇る日本料理の名店という、
輝く経歴の持ち主。西宮の子孫、吹田の柏屋 、金沢の幸庵、
ミシュランの3つ星をとる日本料理といえば招福楼本店出身です。

さて、料理は初回でもあり、昼ということで、6500円(税別)にしました。

・ホタルイカ漬け・厚焼き玉子・筍の木の芽あえ・フォアグラムースと市田柿・烏骨鶏の肝
これはどれも素晴らしい出来映えでした。
筍の木の芽あえは白味噌を練り味噌にしていますので、他店とは味わいが違います。
フォアグラムースは秀逸な仕上がり。市田柿は南信州を代表する特産品です。
あめ色の果肉と小ぶりで品のある外観、もっちりした食感と口に広がる上品な甘さとマッチしています。
烏骨鶏の肝もうなぎのタレとは相性抜群だと感じました。

・熱海産金目鯛・五島列島アオリイカ・目板カレイ
金目鯛は焼き霜に、アオリイカは包丁の切れ込みがひと味違っています。目板カレイもいいですね~。

・ゴマ豆腐の押し寿司
ゴマ豆腐はプリンプリンとしており、おこわを使って酢飯にしています。

・ウチワ海老真薯のお椀 
利尻昆布7年物の出汁だそうですが、とてつもない出汁の深みを感じます。
天然の鳴門わかめを思ったより煮込んで、本来の固さを無くしています。
力強さを感じる吸い地です。といっても雑味があるわけではなく、
澄み切った染み渡るような味わいです。ウチワ海老は身がつまっており、
歩留まりはイセエビよりも上で、非常に甘みが強く旨みもあります。
エビの中でももっともうまいとも言われます。蕗の千切りと花ゆずをあしらっています。
花ゆず(一才ゆず)は、名前のとおり花の香りを楽しめます。

・カナダ産オマールエビと福岡県合馬の筍の炭火焼き
福岡県北九州の合馬(おうま)の筍は、
良質な粘土質土壌で土層も深く質の良い筍が取れます。
合馬たけのこは、アクが少なくやわらかな筍として知られています。
添えられた台湾産はちくと食べ比べさせてくれます。
木の芽醤油・割り醤油・千鳥酢のマヨネーズで。
オマールエビといえば、私はブルターニュ産が好きなのですが、
値段からして文句はいえません。
でも、カナダ産でも味噌はレアー状態にしていますが美味しかったですね。

・原木椎茸とうるいの胡麻酢かけ
原木椎茸は食感をだすために素揚げして炭火焼きしています。
胡麻酢の酸の使いかたが好みでした。

・山菜(筍・わらび・つくし)の天ぷら みぞれあんかけ
どれも朝獲れの山菜の香りがします。

・三雲猪のバラ肉タスマニア産マスタード添え 有機野菜自家製オニオンドレッシングソース
三雲猪は内臓に近い部位のバラ肉です。
タスマニア産マスタードの粒マスタードは「プチプチ」した食感が特徴で、
程よい酸味で、猪バラ肉のいいアクセントになっています。
「香」「風味」「食感」ともにマスタードの粋を越えています。

・筍・粟麩・ふき・菜の花の炊き合わせ
薄味ではなく程よいダシですが、奥深い奥行きを感じます。

・たけのこご飯
福岡県合馬産筍を土鍋で炊き上げます。

・伊勢海老の赤だし
焼いた伊勢海老の頭を赤だしの味噌汁です。

・パンナコッタ黒蜜かけ 金柑添え

・土山の煎茶


地元客の普段使いにも、口の肥えたお客さんの高度な要求にも応える事のできる
本流の会席料理とフレンチやイタリアンや中華料理の素材なども取り入れる柔軟さ。
そして満足させる切れ味。

「遠くから来ていただいたお客様にともかく満足してほしい」「客人をお腹一杯に満足させてあげたい」
という大将の思い入れが伝わります。
この内容で、それでいてかつこれでもかというくらいのボリューム感、
変に気取ることなく、とにかく「勢い」がある料理、これが最大の魅力です。

店主は30歳半ばと若く、挑戦する姿勢でコストパフォーマンスの高い料理を提供されています。
京都で同じ物をいただけば2倍から3倍はするでしょう。
日本料理は「しのはら」でと決めるお客さんの気持ちがよくわかりました。

なんといってもご主人の料理人としての気質及び探究心といいましょうか。
料理に対する愛情、仕事に対する真摯な姿勢で、
美味しいお料理をお客に出すことを注いでいらっしゃっています。

基本的には奇をてらうことのない骨太な日本料理ですが、
それでいて随所に感じさせる新鮮さと斬新さが印象的です。
また、豪華な食材を揃えても、全体のバランスが崩れていないところがさすがです。
日本料理としての完成度を競えば、現状のしのはらさんを超えるお店は数十軒はあるのかもしれません。
けれども、しのはらさんは、これから先もっともっと美味しいものを食べさせてくれそうな予感がします。

店の休日には、全国の有名店を訪問されています。
これからも刺激をうけて、変化をしていくでしょう。
今後も、定期的に訪れて変化を楽しみたい店だと思います。

  • 毛ガニの北海道産ウニ茶巾包み 蒸し黒アワビ添え土佐酢ジュレ
  • 明石産あこうのオクラすり流し椀
  • 八寸(琵琶湖産鮎と鯉の有馬煮の蓮根春巻き・近江八幡の鮎イチジク 胡麻ダレ・瀬戸内真鯛の笹巻寿司・奈良の西川ファームのトマト モモタロウ 黄身酢・モロヘイヤ・玉子真薯・和歌山産枝豆)

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2位

北新地 弧柳 (北新地、大江橋、渡辺橋 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 4.8
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2015/10訪問 2016/01/03

大阪近海の新鮮な魚介と浪速野菜を用いた独創的かつ柔軟な日本料理 弧柳

(再訪)
今宵は弧柳さんへ。
写真23枚追加しました。
店内は12席のカウンター席のみですが,
「浪速割烹 㐂川(きがわ)」さんも,
L字形ではありますが12席でしたね。

・徳島産あわび,ホワイトアスパラ,あわびの肝豆腐 ホワイトアスパラと鮑のすりながし
あわび肝豆腐は肝の味がダイレクトに伝わりますが,きれいな味わいです。
時期ハズレかとおもいきや,今も旬の北海道産ホワイトアスパラもシャキシャキ感があります。

・ずいきの胡麻酢浸し クコの実
蒸し暑いこの日にサラッと酸味が光りますね。

・宮津産天然生トリガイ・明石産真鯛・天然カンパチ・真鱧・ニュージーランド産生ホンマグロ 造り(魚庭)
カウンター席前では,松尾さんの包丁捌きも見る事ができて楽しめます。
宮津産天然生トリガイはかなり大きいですね~!!
時期ハズレではなく今もでているそうです。
これは少しだけ炙ります。
真鱧は生感覚をだしながら,でもフワッとさせて,
火入れの感じがとてもいいと思います。
肉厚の鱧を皮目は柔らかく身は殆ど半生で・・・・,
鱧はあちこちで食べていますが,私の知る範囲ではここの鱧の扱いは最高です。
天然カンパチは大徳寺納豆で・・・。
大徳寺納豆は納豆とは違い,お味噌やお醤油の種類に近いもので,
豆鼓というか,味としては、赤味噌を香ばしくしたような感じでしょうか・・・。

・のどぐろ・冬瓜・湯葉・ジュンサイ・おかひじきの椀
優しい口あたりですが,力強さもあわせ持っています。
コクと香りの膨らみが素晴らしい。
出しゃばらない上品なお出汁で,
なかなかハーモニーがあって美味しい一品です。

・摂津産トリガイ茄子と泉州産芝エビ 金針菜
トリガイ茄子は賀茂茄子と水ナスをかけあわせたもの
茄子に芝エビの頭を焼いてつぶした海老味噌をのせています。
金針菜はユリ科の花の蕾です。

・琵琶湖天然鮎タテ酢かけ焼き
鮎がとても素晴らしいと思います。
焼きかたもとてもいいですし,タテ酢かけ焼きの発想もさすがだと感じました。
蓮根は上に鮎の内臓,オクラの天ぷらは衣に炭酸を入れサクッと仕上げています。
一品ずつちょっとずつ味わいを変える工夫が楽しめる料理です。

・海ぶどうとフルーツトマト ウニのせ
海ぶどうってこんなにも美味しいんですね。
今まで食べていたのは何だったのでしょうか。
焼き物や油物のあとで,サッパリと頂きました。

・宮崎牛塩焼き 北海道産ヤングコーン
宮崎牛は三角バラ,一頭から5キロしかとれないサシがきれいに入って特上カルビのようです。
炭火焼きです。適度な脂の乗りで柔らかく美味しいですね。
ヤングコーンは岩塩を散らしてあり、熱々です。

・お粥
お粥って,満腹の胃にもすっとおさまるし,
なによりもおいしい米と水を同時に味わえるのが嬉しいです。
程よく米粒が残る粥は,ふわりとつるりと舌を通り過ぎます。
ハッ!とさせられるほどの,米本来の旨みや香りが口中に充満。
高槻産のキヌヒカリを生米から,箕面の湧き水で炊いたお粥です。
鯛味噌、塩昆布も自家製です。

・桃のすりながし

どれもひと手間,ふた手間と工夫がなされており,味の変化が楽しめました。
味にもお料理に変化がありますし,ひとひねりありの料理です。
接客も親しみやすいですし,いいかんじです。
派手さやパフォーマンスはありませんが,大阪の食材を活かした料理で,
リピートしたいと思う良いお店だと思います。

店主は㐂川(きがわ)で24歳で板場を任された松尾 慎太郎さんです。
今年で40歳になられましたが,浪速割烹の味とスタイルを忠実に守っています。
合わせだしは山の湧き水で一晩浸した真昆布を、翌日に3時間弱火で煮た後,
カツオ節と合わせてこしています。
カニやエビの殻や魚の骨をだしの隠し味として利用しています。

カウンター越しに客と会話しながら調理し,
ちょうど良いタイミングでできたての料理を出す。
その一方で、フランス料理などの新しい調理法も取り入れています。
新しもん好きの大阪人を喜ばす料理でしょうか。

旬な食材の組み合わせ,調理法,演出,味,盛り付け,器などの道具,
雰囲気のどれをとっても確かによく考えられています。
何といっても,その素材自体の味を最大限に
引き出しているのではないかという料理の腕が凄いですし,
このお店を出されたそもそものコンセプトというか,
ここまでやってきた心意気が半端ないように思います。

星評価に乗じて値上げされる店も多いですが,
良心的な代金で提供されています。
食材は値段ゆえに最高級ではありませんが,
常により良い素材を求められています。
料金を考えると,京都の2万円クラスより行く値打ちがあります。
そして,応援したくなるお店です。

接客に関してはとても良かったです。
帰りも忙しい中でも,ご主人に見送って頂きました。
店主の技術と経験をもとに,まだまだこれから進化されるでしょう。


(前回)
大阪北新地の「弧柳」さんに。

ANAクラウンホテルの北,すぐ近くにあります。

ミシュラン3つ星☆☆☆を獲得されていますが,
小さいカウンター12席のみのお店です。

店名は弧を描いて撓る柳ようにしっかりとした基礎と
柔軟な発想の日本料理を志されていることに由来しています。

大阪生まれの30代の店主松尾慎太郎氏は「浪花割烹㐂川」で12年修行の後,
2009年3月に北新地で柔軟な発想の日本料理店「弧柳」をOPENされました。

大阪生まれの店主はへつらうでもなく,でしゃばらず,
とても自然な立ち振る舞いです。そして築かれた独自の感性が頭抜けています。

「浪花割烹㐂川」,「太庵」,「もめん」さんと言えば当時ずっと行きたいと思っていた店でした。

店内は、明るく,広めのT字型のカウンターです。高級感もありますが,
ほどよくリラックスできる感もあり,
サラリーマンやOLでも肩肘張らずに楽しめるお店です。

夜でも1万円と1万2千円(税・サ別)という破格のお値段で提供されてます。
この違いはメインが魚or肉の選択を双方するか,
どちらかにするかの違いです。その場で変更もOKです。

ここは大阪の食材や大阪能勢から特別に運んだ水など地元大阪にこだわり,
選び抜いた日本酒や焼酎,またソムリエを呼び選んだワインを取り揃えるところなど,
細部にきめ細やかに食中酒として考えています。

器も素晴らしく,輪島塗の折敷で供される「魚庭(なにわ)」も素敵です。
店主は浪速は「菜庭」の字もあてはめ,河内平野の伝統野菜も多く取り入れて,
季節の花「りんどう」が添えられて,折敷がその季節の庭のようです。

徳島産あわびの毛ガニ黄身酢かけ 毛馬胡瓜 おかひじき・穂紫蘇を添えて。
あわびは蒸しあわびで柔らかいながら食感も良いですね。
毛蟹の黄身酢が上手く調和しています。大阪市都島の毛馬胡瓜の味も歯ごたえも良いです。

ささげ豆いんげん泉州べにずいきの胡麻びたし。
暑い夏に合うすっきりとした一品です。浪速野菜の力を感じます。

花はりんどう・石鎚の冷酒。
ホンマグロトロと赤身を卵黄黄身漬け・マゴチの造りとカマスの炙り造り・スズキのあおさ蒸し・
泉州泉タコタスマニアマスタードを北海道がごめ昆布で。
何とも言えない口どけの黄身醤油。

料理に合わせて,村祐をお猪口で飲む日本酒がとても合います。

大阪で関西では,ここのホンマグロが良いなあと感じました。
仕込みしているマゴチもかますも大きくてびっくりしました。

鱧落としと鱧の身のすり流し。
鱧は提供してくれる前に骨切りします。
太めでとても上質な鱧で,すり流しも冷たいです。
目の前で鱧切りの音を聞きながら,包丁さばきを見るのは,
やはり板前割烹ならではの良さです。これは,さすがの一品でした。

椀はスズキの頭をしんじょにして,ゆばで包んで。

万願寺唐芥子を4か月漬け込んだいかなご醤油で炭火焼きにします。

フレンチではメインの前にお口直しのソルベがありますが,
弧柳さんはデラウエア白和え 新生姜のかき氷で表現します。

島根江津産鮎 たで酢のピューレ素麺 茗荷 ツルマンネングサ。
鮎がとても素晴らしいと思います。高知県安田川や郡上の鮎よりも感銘しました。
焼きかたもとてもいいですし,タテ酢を素麺に併せる発想もさすがだと感じました。

宮崎牛 プレミアエリンギ ひめとうもろこし ユリの蕾を。
宮崎牛の炭火焼に味噌を塗ったのも,文句のつけようがありません。

長居オクラを米粉揚げで。これも良い出来映えです。

高槻産米のお粥・鯛味噌・泉州茄子・昆布を。
お店で使われている水は大阪箕面の天然水,お米は高槻のキヌヒカリです。
白米とか炊き込みとかよりも,これが一番米の味が出るのだそうです。
確かに米の香り高さを感じました。

デザートは桃の生姜煮 きなこの胡麻豆腐 クランベリー・ラズベリー・ブルーベリー入りでした。
発想が良いと思います。

大阪とその近海の新鮮な魚介や浪速野菜を用いた独創的かつ柔軟で繊細な料理です。
土地に根ざした食材,食文化を日本料理で感じることが出来ます。

地元魚の良いモノや地野菜に慣れている田舎者の私でも,
驚くような大阪の地野菜と大阪湾近海の魚が出てきます。
素材を生かした美しい地産地消です。
高級素材ばかりでウケることを狙っている寿司屋や日本料理店よりも良いと思いますし,潔いと感じました。

この地で,この店でしか味わえないものがいただけますし,
旬の「大阪」を感じることができる日本料理店です。

コースの流れは緩急があって良かったと思います。

北新地でも高過ぎて旨いモンは受け入れられないらしく,
この立地でこれは確かにコストパフォーマンスが良いと思います。

最後はご主人と若い方がお見送りして下さいます。

ミシュランが大阪のキタで唯一☆☆☆を付けたのも何となく分かる気がします。


  • 徳島産黒あわびとあわびの肝豆腐,ホワイアスパラとアスパラの擦り流し
  • 徳島産黒あわびとあわびの肝豆腐,ホワイアスパラとアスパラの擦り流し
  • ずいきの胡麻酢浸し クコの実

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3位

料理屋 植むら (三宮(神戸市営)、三ノ宮(JR)、三宮(神戸新交通) / 日本料理)

1回

  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥8,000~¥9,999

2015/08訪問 2015/08/29

全てにおいて ご主人の並々ならぬこだわりを感じる日本料理 植むら

今回は憧れの「植むら」さんに伺います。

店主は植村良輔さん。
1976年生まれで,東京の「赤坂浅田」などで修行された後,
2007年06月に 「植むら」をオープンしています。
北野坂のペンシルビル4Fにある11席のカウンター割烹です。

2007年に独立30歳で独立というのは,
日本料理の料理人としてはかなり早い方だと思います。
訪れてびっくりしたのは,ピカピカに磨き上げられたダクト。
美味しい料理を出す店は、厨房の隅々まで美しいものですね。

随所に見られるこだわりはすごいものがありました。
檜の一枚カウンターにも惚れ惚れします。
コースターやマットは「澤帆布製」で別注もの。
器は信楽焼 雲井窯の作者の一点ものです。
その包丁も鞘が輪島塗り。
これだけでも心地よいサプライズが楽しめます。

料理人さんたちはみんな丸刈りで,
凛とした立ち振る舞いは伝統的な雰囲気を醸し出しています。
お昼のコースは7,000円一本のみで,12時一斉スタートです。

・車海老と湯葉 モロヘイヤすりながし
夏らしさを感じる一品でした。
蒸し暑いこの日にバッチリですね~!

・厚焼き玉子,山形産ダダ茶豆、淡路産テングサのところてん
山形産ダダ茶豆はひとあじ違いますし,
淡路産テングサのところてんも美味しいですね。
ここの看板メニューの厚焼き玉子。
フードプロセッサーで魚介のすり身と卵液をしっかり混ぜてなめらかな生地を作り,
コンベクションオーブンで焼きあげています。
厚焼き玉子用の木枠も特注です

・南瓜胡麻餅と胡麻豆腐の椀 金針菜と木の芽
こちらのお椀はとてもいいと思いますし,ウマいと感じました。
吸い地は淡いのですが,滋味深いですし,奥深いです。
壺中庵さんや桜田さんとまでとは言いませんが,
今後はもう一段レベルアップしていく,
そんな印象でした。

・伝助あなご焼き霜
伝助穴子といえば,大きすぎてハズレが多いのも事実です。
胡麻ポン酢に本わさびを全部溶かししてくださいには
びっくりしましたが,なんて絶妙なのでしょう。
この特製ごまポン酢の味,穴子との組み合わせは
植むらさんでだけしか食べられないでしょう。

・宮城産もどり鰹造り藁焼き風味
藁焼きなのですが,燻製にしたかのような味わいがあります。

・焼きぎんなん

・明石タコと小芋煮とオクラ
八方地の出汁で旬の小芋やオクラを冷製にしています。
こういうのは経験がありませんが,これも文句ありません。

・ゆりね饅頭そぼろ入り

・香川産合鴨農法自然米
店主は素材によって8種類の塩を使い分けるなど,
“塩”にこだわっています。
鮎用は,土佐の天日塩で塩分が強めとの話です。
信楽焼土鍋で炊き上げられた「讃岐 合鴨米」もこだわりの一品でした。
香川産 合鴨農法で育てられたお米です。
ごはん用のお塩 をパラパラとかけて,
お塩がなじんだところで食すると絶妙でした。

・長野県天竜川産天然鮎
最初は大きな瓶に生きていた天竜川の天然鮎を見せてくれます。
一斉スタート時より焼き始めるのです。
天然アユは焼く前は大きいのですが,
提供されるときは普通の大きさに感じました。
1時間は焼いていたと思います。
これだけ丁寧に,かつ大切に焼かれた鮎です。
これは初めての経験でした。
団扇で煽ったり,木箱で火の温度を調整したり
鮎の頭はカリッと,身はふっくらとしています。
そして尻尾の方は干物的でした。
こういう焼き方には驚きでした。

・鱧照り焼き

・桃と寒天のスープ

スチームコンベクションオーブンを最大活用しています。
下ごしらえはほぼ蒸し煮なのでスチームで,
営業中は器などを温めています。
煮物を鍋で再加熱すると形崩れしますが,
ホットエアーなら適温に温められて形もキレイですね。

メインの調理はお客の目の前で見ることができます。
そして,しっかりした腕を持っています。
意外と印象に残ったのが造りやたたきなど,地味な皿でした。
一目には表れないところにしっかりとした仕事をされているのに好印象です。
総量的には多くはありませんが,多皿なので満腹感もそこそこあります。
店主は年配の顧客を満足させるべく,努力を重ねられていることがわかります。

料理(食材,料理法,見せ方),器,空間,サービスなど,
全てにご主人の並々ならぬこだわりを感じるお店です。
盛り付けや器,食材にこだわった料理に感激しました。
植村さんの仕事に対する情熱はスゴイと思います。

カウンター割烹の醍醐味は,出汁の香りや,焼き物の音,
揚げ物が揚がる音,土鍋炊きのご飯が炊き上がる湯気を感じることだと思います。
味はもとより,目で見るもの,耳で聞くもの,五感で感じるすべてがごちそうとなる。
コースの始まりから終わりまでの緩急のつけ方や演出もいいですし,
季節感あふれる料理の確かな仕事ぶり。
お酒の勧め方,料理を出す間合いなど,すべてに気を配りながら,
お客を自分の料理の世界へぐっと引き込む。
料理は食材を生かしてシンプルにしていることだろうか。

サービスも高いレベルだと思います。
お客様の前で,料理を作るのでしぐさやたち振る舞いにも気を使っておられます。
それは、席に着いた時のおしぼりからも伝わってきます。
これらは店主である植村良輔氏の料理に対する熱意と
お客様一人一人に対する「おもてなし」の心が,
具現化したものだと言えるでしょう。
全体的には,非常に満足度の高いお店だと思います。
和食は京都だけでないと感じました。

神戸を訪れた際は日本料理の好きな方でしたら,
いずれも立ち寄って頂きたいと思います。
人気店ですので,事前に要予約です。

  • 車海老と湯葉 モロヘイヤすりながし
  • 厚焼き玉子,山形産ダダ茶豆、淡路産テングサのところてん
  • 南瓜胡麻餅と胡麻豆腐の椀 金針菜と木の芽

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4位

虎屋 壺中庵 (佐那河内村その他 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥15,000~¥19,999

2015/10訪問 2020/11/03

考え尽くされた料理の奥深さ と 料理の流れ 虎屋 壺中庵

(再訪)
徳島市内から神山方面に車で40分,
佐那河内村にある 虎屋 壺中庵 さん。
1日2組限定の完全予約制の日本料理店です。
神山温泉で泊まって,ここで食するのもいいのかもしれません。
写真25枚追加しました。

吉兆嵐山店出身の女将さんが玄関でお待ちしてくれています。
通された1階のお部屋は修繕されて,きれいになっていました。
前回以前と比べ,女将さんの雰囲気と接客がかなり柔らかく感じました。

・どてぼり,キクナのおろし和え
・鯖寿司と銀杏餅
・地物国産松茸と鱧の椀
・天然鯛,アオリイカ,車海老の造り
・焼き白アマダイ
・鮎と栗蒸しのあんかけ
・茄子とうるか
・柿とえごまのなます
・松茸と鯛と黄身ご飯

今回はメインとなるような食材,
天然鮎や天然うなぎという時期ではなかったのですが,
こういう時期こそが本領を発揮していたような気がしました。

どてぼり,キクナのおろし和え,
どてほりガニ(ノコギリガザミ)は,漁獲量が少ないのでめったにお目にかかれない1品です。
味はかなり濃厚で独特な磯の香りと甘い香りがします。
温暖な気候の徳島,吉野川の淡水と海水が混ざりあう汽水域で獲れます。
味は,甘味があってめちゃくちゃ濃厚なカニでなのです。
食通の間では,カニの中でも一番カニらしい蟹として好まれているんです。
これこそが,店主のご馳走の心意気なんでしょう。

「国産地物松茸と鱧の椀」は,
地産松茸の味と香りが弱い気もしますが,
吸い地に,店主岩本さんの料理の本質を見るというか,
塩分を極力抑えて出汁の薄味を極限に持ってくるお手本のようなお椀です。
薄味のぎりぎりの線引きが本当に微妙です。
椀の熱さのバランスの良さ,そして口の中をさっぱりさせてくれます。
やはり焼きものと椀の達人らしく,主張をだしながら,
上品に仕上げてまとめています。

「鮎と栗蒸しのあんかけ」は気に入りました。
餡は強すぎる気はしますが,鮎の蒸した感じと栗蒸しの相性がいいですし,
この時期の鮎をうまく表現していました。

「柿とえごまのなます」は,柿がやや固めなのですが,
柿の熟す前の糖度と硬さを感じますし,
えごまの香りがよくて,全てがいい塩梅でした。

茄子とうるか,
「うるか」を味わう鮎は,良質のコケを食べていなければなりません。
鮎の内臓は人為の及ばないところなのです。

あとは〆の「松茸と鯛と黄身ご飯」。
松茸のダシを使って,黄身で合わせていました。
あくまでも品よく,素材を生かして,隠し味を添えています。

そもそも店主岩本光治さんの料理というのは,
店主自らが山菜を採り,うなぎや鮎を釣って,
馳走として,お客さまにもてなしているのが主体なのです。
店主自らが素材を探し求めて,そのご馳走でもてなす。
例えば,鮎は車で3時間もかけて,
高知県安田川まで出かけて,ご自分で釣ったものを使われていました。
この発想の原点が京阪神の有名日本料理店の提供とは違っているのです。

自然への畏敬の念があり,
自然の恵みや素材そのものを大切にし,
無駄をそぎ落として,余計な調理をしないこと。

しかし,それには最高の素材が必要になっていきます。
そこに難しさがあると感じました。

食材は,自ら採取した天然のもの中心で,それらを創意工夫し,
手間暇かけて、伝統の京料理の技で調理するのですから,
素材において京阪神や全国から選りすぐった店にはかなわないとしても,
他では食べられない究極の美味しさを感じるのも当たり前かも知れません。
岩本さんの料理はインパクトよりも食べたあとの味の深味や
奥行きや余韻を重視してるように思います。

最後に店主 岩本光治さんが挨拶に来られました。
料理や素材の話をいろいろ聞かせていただきましたが,
料理人の想いや素材のこだわりがひしひしと伝わりました。

壺中庵は素晴らしい名店であることには間違いはありません。
ただ,同じ値段かその前後価格帯の京阪神の有名日本料理店を
かなり食べ歩かれている都会のレビュアーさんには評価が低いのが実情でしょう。
そして,京阪神の日本料理店でしか味わえぬ「悦びや醍醐味」をここで感じることはできません。
臨機応変にもてなすことができない不器用な店ですし、
この店が北新地や祇園に移転したならば,
皆さんの絶賛の評価も大いに変わるのではないかと思います。

確かにここの焼き物や椀は図抜けているとは思います。
しかしながら,例えば,造りなどやその他の一品料理などを比較すると,
その言わんとする気持ちもわかる気がするのです。
京阪神の有名日本料理店では,その市場でも卓越したのが徳島よりも揃いますし,
個人のこだわり農家やとびきりの漁師などと直接取引しているところもあります。
もうひとつは京都や大阪の激戦区の場所にある日本料理店というのは,
30~40代の店主のかたであれは,料理に勢いがありますし,伸びる要素も感じるのです。
そして,各地の日本料理店を食べ歩きして研究を重ねたり,情報等をいち早く察知して,
切磋琢磨しながら,自店のオリジナリティーや優位性を提供するのですから・・・。

さて,今回食したときに,いろいろな面で,
岩本さんの集大成に近づいてきたように感じました。
こういう時期にこそ,岩本さんのことをより知ることができると思いました。
奥さまにお聞きすると,「あと何年できるか・・・・」とおっしゃていましたが,
店主も62歳ですから,もうそろそろ引退を考えているのかもしれません。
最後に初めてでしたが,岩本さんもお見送りしていただきました。
ごちそうさまでした。


(再訪)
お昼に6人で伺いました。

今回は,胡麻豆腐,白ずいき・鱧の子・鮎寿司,あわびしんじょの椀,
鯛・鱧・車海老の造り,安田川の天然鮎塩焼き,いちじくの白ワイン煮,
ずいきあんかけ,鮎の炊き込みご飯でした。

白ずいきの胡麻和え,鱧の卵は特に良かったと思います。

あわびしんじょの椀,すっきりと鮑の風味を生かすギリギリの塩加減です。
最初の一口から旨みが追いかけてきます。
あわびのしんじょが箸を通すとフワッと広がっていきます。
吸い地に,店主岩本さんの料理の本質を見るというか,
塩分を極力抑えて出汁の薄味を極限に持ってくるお手本のようなお椀です。
薄味のぎりぎりの線引きが本当に微妙です。
椀の熱さのバランスの良さ,そして口の中をさっぱりさせてくれます。

安田川の天然鮎塩焼き,骨も硬くないし,香りもいい,
腹ワタの味も言うことありません。
蓼酢の酸が蒸し暑い夏にピッタリと合います。

安田川の天然鮎の炊き込みご飯も絶品でした。

最後に店主 岩本光治さんが挨拶に来られました。

今回もいろいろ聞かせていただきましたが,
料理への情熱や想いを感じました。


(主レビュー)
佐那河内村にある 虎屋 壺中庵 さんに、
男四人で伺ってまいりました。

行くまでの途中、今後の食事会の打ち合わせも含め、
久しぶりの壺中庵への高揚感もあり、大盛り上がりでした。

虎屋壺中庵さんについては、
徳島のかたでは アクセル全開さん、アワッコさん、せれんさん、
阿波の若い士さんの4人がレビューされています。

私も会とかで、昔に行ったきりで飲んだくれて料理内容も忘れてしまい、
私の性質上、酒を飲むという関係上、秋田町界隈に集中してしまっていました。

徳島県では壺中庵虎屋をレビューすることは大事なことだと思っていました。
やはり地元徳島人のかたの名店ですので、
食べログ徳島でレビューされている方々もハレの日とかでも、
是非とも一度は行って頂きたく思っています。

店主の岩本光治さんは吉兆の亡湯木貞一さんの薫陶を受けており、
吉兆京都嵐山本店の焼き場の板長だったかたです。

さて料理についてです。
まずはおしぼりと湯呑みが配されます。
この暑い白湯で舌をきちんと整えます。

まずはアスパラ白胡麻和え、うどの梅風味、ごぼうの穴子巻き、あまご寿司でした。

アスパラの白胡麻のダシの合わせかたなどとても良いと思います。
穴子は焼きあげかたもさすがです。
あまご寿司のあまごもできる限り処理をして生に近い酢締めしてあります。

ここで日本酒は三好市池田の中和商店・今小町の おでんでん です。
天皇献上米の佐那河内米を使用した純米無濾過生原酒です。
香り系では無く、米の旨みを感じます。
岩本さんの料理にとても合います。

次は煮アワビと肝、山菜のシズを炊き合わせています。
この煮アワビですが、和食店の酒蒸しとか塩蒸しとかとはひと味ちがいます。
わずかにやや個性のある味わいがあります。

お吸い物は車海老のしんじょ・うるい(山菜)・椎茸・しろばらのり です。

車海老の真丈(しんじょ)はフワフワとしており、
こういう素晴らしいしんじょは初めてです。
箸を入れるとお椀の中で溶けていく絶品でした。

真丈(しんじょ)の出汁など、
塩味に関しては、塩分の使い方が、美味しいのと味が無いと感じる感覚が、
ギリギリの境と言いますか、店主が食材本来の味を引き出すために、
ここまで薄味にした理由が伝わってくるだけに、文句のつけようがないものです。

刺身は鳴門のカリスマ漁師 村公一さんのスズキ
http://www.mbs.jp/jounetsu/2007/09_02.shtml)と車海老の刺身です。
村公一さんのスズキに関してはここで述べる必要もなく、
わかっていただけるものと思います。
天然車海老のサイズもやや大きくて、味があります。

焼き物は地元の徳島産白甘鯛でたで酢をソース代わりに使用しています。
この白甘鯛の焼きかたが、表明はカリッと、中身はフワッとしています。
また、たで酢が蒸し暑い日にさわやかな酸がバシッと決まります。

蒸し物は はちく(筍の小さいもの)・そら豆・伊勢海老で、
つけてある伊勢海老のみそソースが海老のみそをダイレクトに、
濃厚に感じます。高級フレンチやイタリアンのアメリケーヌソースもそうですが、
フレンチやイタリアンでもこういう味わいに出会ったことがありません。

最後に甘鯛の炊き込みご飯、甘夏柑のゼリー寄せ、グリーンピースの和デザート抹茶と続きます。

グリーンピースの和菓子も和スイーツと思っていただけると良いと思います。
つぶつぶ感と裏ごししたグリーンピースが非常に上手くマッチしています。
これが後に出される抹茶と相性がすこぶる良いのです。

基本的に薄味ばかりだと思っていましたが、
料理はところどころに濃厚さも感じさせます。
その力強い素材の力量を充分に引き出しています。

また、その一品、一品の料理の出し方と合わせかた、
全体の料理の出す流れがとても考え尽くされています。

素材を見れば、店主が獲りに行く地元の天然うなぎ、天然すっぽん、
高知県安田川の天然鮎、地元の山菜、佐那河内・神山の露地ものすだち・・・

露地ものすだちはともかくも、
これだけ手に入りにくい天然の食材を揃えています。
鮎は店主本人が高知県安田川まで
自ら釣りに出るだけあってこだわりがあります。

最後に店主 岩本光治さんが挨拶に来られました。
料理や素材の話をいろいろ聞かせていただきましたが、
料理人の想いや素材のこだわりがひしひしと伝わりました。

店主 岩本さんはただ一人、
昔の京料理の椀の当たりつけができる人で、
京都でも現在はこのような味を出せる料理人はいないようです。

食材は、自ら採取した天然のもの中心で、それらを創意工夫し、
手間暇かけて、伝統の京料理の技で調理するのですから、
他では食べられない究極の美味しさを感じるのも当たり前かも知れません。
岩本さんの料理はインパクトよりも食べたあとの
味の深味や奥行きや余韻を重視してるように思います。

サービスに関しては店主の奥様は吉兆本店の接客出身だけに、
やや固い感じがあります。しかし、もうひとりの接客の女性のかたは対応良くて、
丁寧に料理の説明もしていただきました。
サービス料が要らないわけですし、想像していたより、かなり良かったと感じました。

壺中とは俗世界と異なった別世界の意味をもちます。
転じて酒を飲んで、この世を忘れる楽しみです。

俗世界を忘れ、頑張ってでも春夏秋冬、定期的に楽しみたい 虎屋 壺中庵さんです。


  • どてぼり,キクナのおろし和え
  • どてぼり,キクナのおろし和え
  • どてぼり 蟹味噌

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5位

旬味 泰平 (福井城址大名町、足羽山公園口、福井 / 日本料理、海鮮)

5回

  • 夜の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2021/05訪問 2021/05/08

選び抜いた上質な素材,クオリティの高さと安心感がある名店 “ 旬味 泰平 ”

福井に来ています。
福井市内の割烹系和食店の中では,
やはりリピートしたいと思って,
“ 旬味 泰平 ” さんに伺います。

旬味泰平さんといえば,
明治期に高級料亭街として栄えた
福井市の通称「浜町」の中にあり,
当時の面影を残すたたずまいです。

店内は古民家を改装した,落ち着いた京町家のたたずまいですね。
調理場が見えるカウンター席,
中庭に面したお座敷は,ゆったりとした間隔で座卓が並びます。

格子戸のような戸をガラガラと開けると,
そこは昔ながらの商店のような造りを改造したかのよう。
入り口のすぐ横に大きな厨房と帳場です。

板前割烹のカウンター席とオープンキッチン的な雰囲気。
料理場に面してカウンターが10程度あるのと,
テーブル席,奥に座敷などあります。
なかなか風情のある店内で,レトロな丁子箪笥があり,
ちょっとした中庭もあって雰囲気がよろしいです。

ミシュラン掲載有名店や食べログ超高得点の日本料理店でも,
だいたいは店主と1~2名のスタッフ程度なのですが,
ここは花板,花板補助,煮方,焼き方,ご飯等の職人さんが5人いらっしゃり,
接客係も着物姿の女性3人でまわしています。
こういうライブ感があるのが私にとってはいいのです。

店主は杉田泰英さん。
浪花割烹で有名な㐂川(きがわ)さんで
勤め上げられています。

毎回思うのですが,
地元にウケいれられている店です。
店内はあいかわらずの満席御礼状態です。
他のお客さんのざわめきが,
大衆酒場の騒々しさではなく,
心地良いBGMになって,
意外とリラックスできるのです。

・鱈の真子照り焼き
・スナップエンドウとじゃがいも和え
・ナバナ,ココナ
・いくらおろし

・自家製天然岩海苔佃煮
養殖ではなく,天然モノの「あおさ」は,
全国的にもとても希少です。
天然の「あおさ」は岩に自生することから「岩海苔」なのですが,
あおさの磯の良い香りを飛ばしすぎないように,
絶妙な火加減で炊き上げていますね。

・自家製からすみ
濃厚な風味と珍しさから,高級食材として食されているからすみ。
塩分が効いているので,スライスするだけでよい酒肴になります。
ねっとりとした歯ごたえ,濃厚な味わいですし,
日本酒の香りが口の中に広がります。

・造り盛り合わせ
(越前産バイガイ,鬼エビ,能登産サヨリ,赤いか,越前産ヒラメ,舞鶴産メジマグロ)
今回の造りはおまかせで盛り合わせをお願いしました。
素材はどれも図抜けています。
バイガイはアクが無くて旨みがしっかりとしており,
今まで食べたのとは違っています。

鬼エビは日本海では有名な海老で,
殻がトゲだらけで鬼のような強面な見た目ですが,
甘み,旨味が濃厚で,ぷりぷりの歯応えが堪能できます。
頭に入っている味噌も,甘く濃厚です。
頭を焼いて,香ばしい味噌の香りを楽しむこともできます。
このオニエビは漁獲量が大変少なく貴重なエビなので,
「幻のエビ」と呼ばれることもあるようです。

・能登産サクラマス造り
冷凍の輸入サーモンの刺身と比較すると,
春から初夏にかけて日本海でとれる桜鱒(サクラマス),
見た目も味も素晴らしい高級魚なんだそうです。
脂がのっているのにしつこくなく,とても上品な感じです。
いくらでも食べられちゃいそうな・・・
このサクラマスにはまりそうな予感~。

・越前産バイガイ炙り焼き
バイガイもそれなりに美味しい貝だけど,
いつも関西や四国で食べてるのとは全然違うのです。
アクが強い貝などでよく荒塩でアク抜きをしているのでしょう。
身は柔らかく癖が無く上品ですが,しっかりとした旨味があります。

・筍炭火焼
朝掘りタケノコを食べやすい大きさを選んで,
炭火で炙るだけなのですが,筍の香ばしい香りがして,
シャキシャキした食感でとても美味しかったです。
天然塩をふっているのか,焼くとタケノコから出る水分と混ざり,
ミネラル分が増してより美味しかったと思います。

・だし巻き玉子
裏メニューのだし巻きです。
たまたま常連さんが注文していたので,
ここでは食べたことが無いので,オーダーしました。
砂糖を感じない,関西風のだし巻きです。
出汁の感じが良くて,ふわふわでプルンとした食感です。

・ホタルイカと原木椎茸のバター炒め
生ホタルイカはそのまま食べても美味しいですが,
原木椎茸と共にバター炒めで一手間加えています。
イカの焼けた香ばしいいい匂い,
ホタルイカのもつ甘さがバターの塩気で引き立ってます。
コクのあるバターしょうゆ味が後を引くウマさでした。

・能登産猪炙り焼き
いつもは武生産なのですが,今回は能登産でした。
いわゆる最近人気のジビエ料理,
野生の鳥獣の肉の代表格と言っていいと思います。
見た目からとてもきれいで,いい色合いをしています。
通常の猪肉よりも少し赤みの色が濃い感じです。
クセもなく,しっとりとした肉感が味わえ,
独特の臭みを全く感じさせないウマい肉に仕上がっています。

・山菜天ぷら(こごみ,タラの芽,ふきのとう)
こごみ,タラの芽,ふきのとうなどの山菜の天ぷらは,
サクッとした歯触り,ほろ苦い後味,そして野性味あふれる香りがあります。
色・香り・風味を損なわないよう衣は薄めにつけて,
短時間で揚げているのでしょう。

・鯖棒寿司

全体的に落ち着いていて,それでいて活気のあるお店です。
ただし,今回でも2万円越えと,
値段はけっこう高くは感じるかもしれません。

素材をシンプルに活かしており,味は薄味ですが,
しっかりとした味わいがあります。
そして,日本料理としての筋をきちんと通しています。
季節感を出していますし,一品一品の量も私にはいいと思います。

厨房はオープンなので,板前さんの働きぶりが見えてより楽しいです。
仲居さんの対応は気持ちいいものです。

1995年開店と歴史は浅いのですが,
メニューを見てもわかるのですが,
料理に対するこだわりは深いのです。

4種類の塩と5種類の醤油を料理によって使い分け,
四季折々の風景と時期に合わせた旬の魚や野菜が魅力なのです。
きめ細やかな心遣いと食材の持ち味を最大限に引き出す料理。
最高のおもてなしに出会える店です。

昼のランチとは,値段も値段ですので,
かなりクオリティが違います。

ごちそうさまでした。


今回もやっぱり伺いたかった
“ 旬味 泰平 ” さんに伺います。

旬味泰平さんといえば,
明治期に高級料亭街として栄えた
福井市の通称「浜町」の中にあり,
当時の面影を残すたたずまいです。

店内は古民家を改装した,落ち着いた京町家のたたずまいですね。
調理場が見えるカウンター席,
中庭に面したお座敷は,ゆったりとした間隔で座卓が並びます。

格子戸のような戸をガラガラと開けると,
そこは昔ながらの商店のような造りを改造したかのよう。
入り口のすぐ横に大きな厨房と帳場です。

板前割烹のカウンター席とオープンキッチン的な雰囲気。
料理場に面してカウンターが10程度あるのと,
テーブル席,奥に座敷などあります。
なかなか風情のある店内で,レトロな丁子箪笥があり,
ちょっとした中庭もあって雰囲気がよろしいです。

ミシュラン掲載有名店や食べログ超高得点の日本料理店でも,
だいたいは店主と1~2名のスタッフ程度なのですが,
ここは花板,花板補助,煮方,焼き方,ご飯等の職人さんが5人いらっしゃり,
接客係も着物姿の女性3人でまわしています。
こういうライブ感があるのが私にとってはいいのです。

店主は杉田泰英さん。
浪花割烹で有名な㐂川(きがわ)さんで
勤め上げられています。

毎回思うのですが,
地元にウケいれられている店です。
店内はあいかわらずの満席御礼状態です。
他のお客さんのざわめきが,
大衆酒場の騒々しさではなく,
心地良いBGMになって,
意外とリラックスできるのです。

・牡蠣の塩辛3年モノ
前回食べて美味しかったので,牡蠣の塩辛を頼みました。
3年モノだそうですが,牡蠣はぷりっぷりです。
烏賊の塩辛のような味わいですが,
塩のみの味付けだそうです。

・造り盛り合わせ
(若狭産寒ブリ,長崎産クエ,石川産のどぐろ,
石川産甘エビ,カワハギ,ヒラメ,サクラマス,越前産バイガイ)
今回の造りは初めておまかせで盛り合わせをお願いしました。
素材はどれも図抜けています。

若狭産ののどくろは,脂のノリや旨みがひと味違いますね。
脂た~っぷりの白身がとても美味しいのです。

脂ののった能登産の天然「寒ブリ」は冬場の高級魚ですよね。
ブリの最も美味しい12月から2月でしょうか。
天然寒ブリは今まで食べたブリよりも上質な脂を感じます。
しっかりした歯ごたえと上品でコクがある脂,
臭みのない天然の香りなどを感じます。

バイガイも美味しい貝だけど,
アクが強い貝などでよく荒塩でアク抜きをしているのでしょう。
身は柔らかく癖が無く上品ですが,しっかりとした旨味があります。

・武生産野生猪焼き
店主からおススメの武生産野生猪焼きをいただきます。
いわゆる最近人気のジビエ料理,
野生の鳥獣の肉の代表格と言っていいと思います。
見た目からとてもきれいで,いい色合いをしています。
通常の猪肉よりも少し赤みの色が濃い感じです。
クセもなく,しっとりとした肉感が味わえ,
独特の臭みを全く感じさせないウマい肉に仕上がっています。

・たらの白子醤油焼き
新鮮な真鱈の白子ですね。
香ばしい醤油の香りと,白子の繊細でクリーミーな味わい,
舌の上でトロッと溶けていく食感が絶妙です。

・北海道産きんき煮付け
赤い宝石といわれる高級魚で,
市場でも目がとびあがるくらい非常に高値で取引され,
主に高級料理店で使われる事が多い魚です。
このキンキは一目瞭然でとても美しく輝いています。
体色は鮮やかな赤色をしていますね。
良質で豊潤な脂のノッた味わいで,
旨味のある上品な味の魚です。
脂のり,身の引き締まりがありました。
そして,煮付けにしてみても,
脂た~っぷりの白身がとても美味しいんです。

・和風コロッケ
あわびの殻に入れて揚げてくれています。
この手作りコロッケがなかなかの優れものです。

全体的に落ち着いていて,それでいて活気のあるお店です。
ただし,今回でも2万円越えと,
値段はけっこう高くは感じるかもしれません。

素材をシンプルに活かしており,味は薄味ですが,
しっかりとした味わいがあります。
そして,日本料理としての筋をきちんと通しています。
季節感を出していますし,一品一品の量も私にはいいと思います。

厨房はオープンなので,板前さんの働きぶりが見えてより楽しいです。
仲居さんの対応は気持ちいいものです。

1995年開店と歴史は浅いのですが,
メニューを見てもわかるのですが,
料理に対するこだわりは深いのです。

4種類の塩と5種類の醤油を料理によって使い分け,
四季折々の風景と時期に合わせた旬の魚や野菜が魅力なのです。
きめ細やかな心遣いと食材の持ち味を最大限に引き出す料理。
最高のおもてなしに出会える店です。

昼のランチとは,値段も値段ですので,
かなりクオリティが違います。

ごちそうさまでした。



今回もやっぱり伺いたかった
“ 旬味 泰平 ” さんに伺います。

旬味泰平さんといえば,
明治期に高級料亭街として栄えた
福井市の通称「浜町」の中にあり,
当時の面影を残すたたずまいです。

店内は古民家を改装した,落ち着いた京町家のたたずまいですね。
調理場が見えるカウンター席,
中庭に面したお座敷は,ゆったりとした間隔で座卓が並びます。

格子戸のような戸をガラガラと開けると,
そこは昔ながらの商店のような造りを改造したかのよう。
入り口のすぐ横に大きな厨房と帳場です。

板前割烹のカウンター席とオープンキッチン的な雰囲気。
料理場に面してカウンターが10程度あるのと,
テーブル席,奥に座敷などあります。
なかなか風情のある店内で,レトロな丁子箪笥があり,
ちょっとした中庭もあって雰囲気がよろしいです。

ミシュラン掲載有名店や食べログ超高得点の日本料理店でも,
だいたいは店主と1~2名のスタッフ程度なのですが,
ここは花板,花板補助,煮方,焼き方,ご飯等の職人さんが5人いらっしゃり,
接客係も着物姿の女性3人でまわしています。
こういうライブ感があるのが私にとってはいいのです。

店主は杉田泰英さん。
浪花割烹で有名な㐂川(きがわ)さんで
勤め上げられています。

毎回思うのですが,
地元にウケいれられている店です。
店内はあいかわらずの満席御礼状態です。
他のお客さんのざわめきが,
大衆酒場の騒々しさではなく,
心地良いBGMになって,
意外とリラックスできるのです。

・すなっぷえんどうポテト添え,バイガイ照り焼き
バイガイは甘辛く照り焼きにするとウマいんですね。
コリコリ感の中にも弾力性のある柔らかさがあり,
口の中で美味しさが広がります。

・若狭牛とわらびのやかた巻き
こちらの方ではおせち料理に登場するとのことでした。
若狭牛も美味しいですね。

・源助大根ふろふき
元を見ると源助大根は特徴的な太くて短い形です。
やや小ぶりながらくっきりとして白い肌は,
いかにも加賀野菜らしく,きめが細かく,甘みが強く,肉質がやわらかい。
それでいて煮崩れしないのが長所です。
煮たり,揚げたりするとウマさが違います。
こういうふうに揚げたり,
煮た後の醤油つけ焼きや浅漬けやおでんなど,
こういうのには源助大根が日本一だと感じました。

・赤いか,能登産サヨリ造り
・若狭湾戻りスマガツオ

・能登産天然寒ブリ
脂が徳島の天然ブリとは全然違います。
脂が上品で程よいノリなのです。
高等葱が添えられていますね。
寒ブリは何といっても冬の日本海の王様。
北陸の冬と言えば寒ぶりの季節ですよね。

・越前サワラ柚子香焼き

・武生産野生猪鍋
武生産野生猪鍋をいただきます。
いわゆる最近人気のジビエ料理,
野生の鳥獣の肉の代表格と言っていいと思います。
見た目からとてもきれいで,いい色合いをしています。
通常の猪肉よりも少し赤みの色が濃い感じです。

クセもなく,しっとりとした肉感が味わえ,
独特の臭みを全く感じさせないウマい肉に仕上がっています。
猪肉は煮込めば煮込むほど柔らかくなります。
普通は肉は煮込むほど堅くなりがちなのですが,
しし鍋は煮立っていてもおいしくいただけます。
ここの味噌味のスープが薄めで絶妙なのです。

1995年開店と歴史は浅いのですが,
メニューを見てもわかるのですが,
料理に対するこだわりは深いのです。

4種類の塩と5種類の醤油を料理によって使い分け,
四季折々の風景と時期に合わせた旬の魚や野菜が魅力なのです。
きめ細やかな心遣いと食材の持ち味を最大限に引き出す料理。
最高のおもてなしに出会える店です。

昼のランチとは,値段も値段ですので,
かなりクオリティが違います。

ごちそうさまでした。
昨日は平日でしたが,父母との永平寺参りです。
また芦原温泉に泊まるということで,別行動になります。
ということで,お気に入りの
“ 旬味 泰平 ” さんに伺います。

2ヶ月ぶりの更新アップで失礼したします。
写真17枚追加しました。

奥行きのある京町屋を思わせる店内。
お店の雰囲気は昭和レトロな印象です。

格子戸のような戸をガラガラと開けると,
そこは昔ながらの商店のような造りを改造したかのよう。
入り口のすぐ横に大きな厨房と帳場です。

板前割烹のカウンター席とオープンキッチン的な雰囲気。
料理場に面してカウンターが10程度あるのと,
テーブル席,奥に座敷などあります。
なかなか風情のある店内で,レトロな丁子箪笥があり,
ちょっとした中庭もあって雰囲気がよろしいです。

料理は基本的にその日のメニューがあります。
メニュー表には,季節モノや地のモノが
びっくりするほどの盛りだくさんであり,
日本酒にもこだわりも感じます。

驚いたことに花板,花板補助,煮方,焼き方,ご飯等の職人さんが5人いらっしゃり,
接客係も着物姿の女性3人と男性2人でまわしています。

お料理は一皿はそんなに量があるわけではありませんが,
選び抜いた上質な食材をひとつひとつ丁寧に作っています。
そんな贅沢なひとときを,かしこまらずに頂くことができる貴重なお店です。
日本酒は地元福井の一本義,常山をいただきます。

・牡蠣の有馬煮

・福井産天然クエ造り
紀伊水道や玄界灘の「本クエ」とは,
出場が違いますので,味わいも違います。
熟成されていて,身がとてもきれいですね。
なかなか捕ることが出来ないため,
幻の魚と呼ばれ,高級魚となっています。
そのグロテスクな見かけとは違い,
脂の乗った美しい白身は上品で深みのある味わいで,
ゼラチン質がたっぷり含まれた皮や胃も出してくれました。
アラの味は一度食べると忘れられない味なのです。

・天然とらふぐ白子醤油焼き
見事な白子が入っていました。
卸しているのを見ている時から,
美食のオーラは目を通して,
感じずにはいられませんでした。
この眺めだけは,惚れ惚れしてしまいます。
天然の白子は,弾力感があり,
濃厚でありながらも繊細にして,
クリーミーな味わいでした。

・源助大根
もとを見ると源助大根は特徴的な太くて短い形です。
やや小ぶりながらくっきりとして白い肌は,
いかにも加賀野菜らしく,きめが細かく,甘みが強く,肉質がやわらかい。
それでいて煮崩れしないのが長所です。
煮たり,揚げたりするとウマさが違います。
こういうふうに揚げたり,
煮た後の醤油つけ焼きや浅漬けやおでんなど,
こういうのには源助大根が日本一だと感じました。

・和風コロッケ
あわびの殻に入れて揚げてくれています。

・あんきも
「あんきも」は,もはや定番の肴になっています。
和食系の店では季節になると,
だいたい「あん肝ポン酢」がありますね。
茨城産が有名ですが,アラスカ産やボストン産では良いモノが多いでしょうか。
中国産もけっこう多いんですよ。
これは福井産だということです。
脂のノリは,身が所々ピンクなのがいいのです
これは脂がノっていて,鮮度がいいのでウマいです。

・のれそれ
春の訪れを感じる土佐の海の珍味,のれそれ。
海の妖精を思わせるその正体は穴子の稚魚です。
見た目は透明で薄切りにしてあり,
喉ごしの良い食感で歯ごたえがあります。
どこまでも淡白でほんのわずかな甘味を感じます。

・鯖へしこ
「へしこ」は店主の出身である福井県の名物ですが,
大量に揚がるサバを保存する方法が保存食「へしこ」です。
ちなみに「へしこ」とはサバを塩漬けして糠で漬けたもの。
しかしこういう本物と出会うと,これはヤバい,ウマい, 
口の中でとろける塩辛さも程よいと,
今までのイメージを根底から崩されるものだと思います。
で,あまりの美味しさに惚れ込んでしまうでしょう。
鯖がやはり瀬戸内や徳島とは違うと感じました。

・自然薯

・さくら鱒寿司
鱒寿司とは,桜鱒(サクラマス)を発酵させずに,
酢で味つけした押し寿司のひとつです。
富山の駅弁・お土産で一番の人気となった「ますの寿司」。
天然国産のサクラマスにこだわっているところが嬉しいですね。
天然モノはそもそも数が多くないこともあり,
現在天然国産サクラマスを使っている所は多くはありません。
やっぱり伝統の製法では,天然のサクラマスでなければと・・。
サクラ鱒のうまみがご飯に逃げず,魚のうまみをそのまま味わえました。
酢でよく締めてありますが,絶妙にうまみが残り,
さっぱりとした酸味がなかなか良いのです。


・吸い物のお椀

出汁がとてもきれいで上品です。日本料理の原点の八方地の出汁,
このベースは主体が鰹出汁・薄口しょうゆ・味醂ですが,
店によっては合わせる調味料が違い,独自の八方地の出汁を作り上げます。
ここの出汁はやはり,他の和食店との実力の違いを感じます。
やはり,店主の杉田泰英さんは京都の日本料理店にいらっしゃたとか。
この八方地はいろいろな料理のベースとなります。
どんな素材にも仲良くできて,引き立ててくれます。

全体的に落ち着いていて,それでいて活気のあるお店です。
これだけのスタッフと内観,器を考えると,値段は高くは感じません。

昼のランチとは,値段も値段ですので,
かなりクオリティが違います。

素材をシンプルに活かしており,味は薄味ですが,
しっかりとした味わいがあります。
そして,日本料理としての筋をきちんと通しています。
季節感を出していますし,一品一品の量も私にはいいと思います。

厨房はオープンなので,板前さんの働きぶりが見えてより楽しいです。
仲居さんの対応は気持ちいいものです。

福井で板前割烹でお酒をという場合はここではないでしょうか。
こんな素晴らしいお店があったんですね~。
また来たいと思わせてくれました。

ごちそうさまでした。

(再訪)
福井にやって来ました。
ということで,お気に入りの
“ 旬味 泰平 ” さんに伺います。

1年ぶりでしょうか。
写真14枚追加しました。
この店に関することは前回以前に書いていますので,
参照していただければ幸いです。

旬味泰平さんといえば,
明治期に高級料亭街として栄えた
福井市の通称「浜町」の中にあり,
当時の面影を残すたたずまいです。

店内は古民家を改装した,落ち着いた京町家のたたずまいですね。
調理場が見えるカウンター席,
中庭に面したお座敷は,ゆったりとした間隔で座卓が並びます。

店主は杉田泰英さん。
浪花割烹で有名だった垚川(きがわ)さんで
勤め上げられています。

毎回思うのですが,
地元にウケいれられている店です。
店内はあいかわらずの満席御礼状態です。
他のお客さんのざわめきが,
大衆酒場の騒々しさではなく,
心地良いBGMになって,
意外とリラックスできるのです。

・バイガイ葱ぬた
・氷見産寒ブリトロ造り

・小浜産のどくろ造り
今回の福井県小浜産ののどくろは,
脂のノリや旨みがひと味違いますね。
赤むつのことですが,
脂た~っぷりの白身がとても美味しいんです
最高級といわれる新潟産にも負けないくらです。
のどぐろはかなりの高級魚としても知られています 。

・牡蠣と天然なめこの吸い物
天然なめこがあったので,即オーダーしました。
味、香りとも良く,牡蠣の風味とあいまって,
原木なめこよりも本当に美味しいです。
採れたてのなめこだからでしょうか。
味噌汁に入れるのが好きな私ですが,
これだけ大きいと煮物にもいいでしょう。

・武生産野生猪鍋
武生産野生猪鍋をいただきます。
いわゆる最近人気のジビエ料理,
野生の鳥獣の肉の代表格と言っていいと思います。
見た目からとてもきれいで,いい色合いをしています。
クセもなく,しっとりとした肉感が味わえ,
武生産の野生の猪(ぼたん)肉は,
柔らかくて旨みたっぷりです。
独特の臭みを全く感じさせないウマい肉に仕上がっています。

・水魚(げんげ)天ぷら
店主から水魚は「げんげ」と教えられ注文しました。
近年になって,流通が速くなり,
割烹や料亭で天婦羅や唐揚げとして提供されはじめたことで,
これまであまり口にすることがなかった
ゲンゲの味わいが知れわたるようになりました。
雑魚の中の雑魚として扱われてきた「下の下(げんが)」が,
幻の魚(げんげ)と呼ばれるようになりました。
骨まで柔らかいのでそのまま食べることができます。
カリカリとあげられた衣はサクっとした食感。
噛むとフワっとした白身の食感と共にげんげ独特の風味が鼻を抜けます。
味わいは淡泊でクセがなく,いくらでも食べられそうです。
ぷるぷるとゼラチン質,豊富なコラーゲンが含まれています。

おまかせコース料理のみの押しつけでは無く,
好きな一品料理や酒肴を注文できるのがいいのです。

お料理も丁寧ですし,技術もあります。
そしてオーダーしてから提供されるまで,
一品一品に気合が入っているのがわかります。
割烹として,福井では唯一
“ 旬味 泰平 ” さんだと感じます。

ごちそうさまでした。


(再訪)
昨日は平日でしたが,父母との永平寺参りです。
また芦原温泉に泊まるということで,別行動になります。
ということで,お気に入りの旬味泰平さんに伺います。
1年ぶりでしょうか。
写真12枚追加しました。

・鰆寿司・水菜辛し和え
・福井産クエ・福井産のどぐろ・佐渡の寒ブリ
・源助大根醤油焼き
・牡蠣のからすみ焼き
・野生鴨と葱のつけ焼き

お酒は生ビール2杯,一本義純米,
伝純米吟醸を燗酒でいただきました。
まずは鰆寿司と水菜辛し和えなのですが,
あいかわらず最初の一品から気合が入っているのがいいですね~!!
クエ造りも玄海灘の長崎などにはかないませんが,上質な素材です。
今回の佐渡の寒ブリ,地元産のどぐろもかなり良いいとは感じました。

今回,特に気にいったのが源助大根と牡蠣のからすみ焼きです。
もとを見ると源助大根は特徴的な太くて短い形です。
やや小ぶりながらくっきりとして白い肌は,
いかにも加賀野菜らしく,きめが細かく,甘みが強く,肉質がやわらかい。
それでいて煮崩れしないのが長所です。
こういう煮たあとの醤油つけ焼きや浅漬けやおでんなど,
こういうのには源助大根が日本一だと感じました。

前回は牡蠣の塩辛も良かったのですが,
牡蠣のからすみ焼きも感動しました。
牡蠣と共に自家製からすみをまぶして焼き上げています。
こういうのには初めて出会いました。

ミシュラン掲載有名店や食べログ超高得点の日本料理店でも,
だいたいは店主と1~2名のスタッフ程度なのですが,
ここは花板,花板補助,煮方,焼き方,ご飯等の職人さんが5人いらっしゃり,
接客係も着物姿の女性3人でまわしています。
こういうライブ感があるのが私にとってはいいのです。

1995年開店と歴史は浅いのですが,
メニューを見てもわかるのですが,
料理に対するこだわりは深いのです。

4種類の塩と5種類の醤油を料理によって使い分け,
四季折々の風景と時期に合わせた旬の魚や野菜が魅力なのです。
きめ細やかな心遣いと食材の持ち味を最大限に引き出す料理。
最高のおもてなしに出会える店です。

ごちそうさまでした。


(再訪)
父母との永平寺参りの続きです。
芦原温泉に泊まるということで,別行動になります。
ということで,前回時でお気に入りの旬味泰平さんに伺います。
日本酒は福井の常山純米酒と伝心(一本木)の純米吟醸を。

・うるい・かずのこ
あいかわらず,最初の1品から気合いが入っていますね。
酒にも合います。

・牡蠣塩辛 
メニューを見て,めずらかったので,
牡蠣の塩辛を頼みました。
3年モノだそうですが,牡蠣はぷりっぷりです。
烏賊の塩辛のような味わいですが,
塩のみの味付けだそうです。

・天然寒ヒラメ・真イカ・氷見産天然寒ブリ・カツオ・甘海老造り
今回は盛り合わせでお願いしました。
ヒラメは1キロ超えのものです。
ヒラメは冬の白身魚の代表格ですが,これは別格ですね。
真イカは隠し包丁が入っていますが,
ねっとりと美味しいですね。
氷見産天然寒ブリも脂が上品で程よいノリです。

・あんこう一味焼き
あんこうを何度も付け焼きにして,
一味をまぶしています。
あんこうは骨付きですが,
ゼラチン質のぷりぷり感がたまりません。
晩秋から厳冬までがおいしいと思いますが,
これは絶品です。

・小女子(こおなご)と山菜の天ぷら
小女子は「いかなご」のことですが,体が小さく,可愛いらしいです。
春を告げる一品ですね。
晩秋から冬にかけて生まれた3~4ヶ月の稚魚の新子(しんこ)です。
徳島や瀬戸内海では2月末から5月頃まであたりでしょうか。
最もウマいと言われている時期ですし,
山菜との相性も良く,写真を見てもらってもわかるのですが,
揚げ方もとてもよく,絶品でした。

・武生産野生猪鍋
前回の野生の鴨がもう入荷しないとのことで,
武生産野生猪鍋をいただきます。
いわゆる最近人気のジビエ料理,
野生の鳥獣の肉の代表格と言っていいと思います。
ボタン鍋とも言われ,見た目は豚のバラ肉と似ています。
豚肉よりも少し赤みの色が濃い感じです。
猪肉は煮込めば煮込むほど柔らかくなります。
普通は肉は煮込むほど堅くなりがちなのですが,
しし鍋は煮立っていてもおいしくいただけます。
ここの味噌味のスープが薄めで絶妙なのです。

・菜の花からし味噌,スズキ真子煮
つきだしでだされましたが,酢味噌では無くからし味噌とは面白い発想ですね。
それほど辛さは感じません。
スズキの真子煮は照り焼き風にしていますが,
この真子煮が味わい深く,酒の肴にぴったりなのです。

・氷見産天然寒ブリ
脂が徳島の天然ブリとは全然違います。
脂が上品で程よいノリなのです。
高等葱が添えられていますね。
寒ブリは何といっても冬の日本海の王様。
北陸の冬と言えば寒ぶりの季節ですよね。
雪の舞う荒波の日本海で「ブリおこし」と言われる大きな雷が鳴ったとき,
驚いたブリが富山湾に逃げ出します。
氷見では,もう一段階厳しい目利きがあります。
硬直前の魚こそが下処理の技が活きる氷見の醍醐味です。
氷見の寒ブリが日本一美味しいと言われるのも当然ですね。

・上庄芋あっさり煮
秋~冬,そして春先頃までの美味しい食材の一つが里芋です。
福井県大野市上庄地区の「上庄里芋」は,全国区の人気を誇るブランド里芋です。
静かでのどかな山里で豪雪地帯なので,晩夏~秋にかけては寒暖の差が大きく,
その温度の差が作物を美味しくすると言われているそうです。

・天然野生鴨と葱の照り焼き
伝統の坂網猟で捕った野生の鴨が食べられます。
鴨の猟は冬の3ヵ月間だけだそうで,
年間200羽前後しか捕れないそうです。
弾力性に富み,個性はありますが臭みがない,
その肉は鮮やかな赤色で,滋味と言うべき深い味わいがあります。
とくに脂身がおいしいですし,肉質のきめが細かいですね。

・シラウオから揚げ
これから旬を迎えるシラウオ。
シラウオは生きているときは透明ですが,
加熱すると白色になるとてもきれいな魚です。
シラウオの唐揚げは,私が個人的に一番好きな白魚料理です
噛めば噛むほど旨みを感じますし,酒の肴にもぴったりです

・赤甘鯛かぶら蒸し
冬の定番料理と言えば「かぶら蒸し」ですよね。
甘鯛の上に蕪の卸した物をのせて蒸し,あんをたっぷりとかけた料理です
白身の柔らかい肉質で,脂肪分が少なく淡白な味です。
ふわふわに蒸し上げられたかぶらに,欠かせない甘鯛(ぐじ)。
その上からかけられた銀あんにわさび,
このなんとも言えない絶妙のハーモニーです。

全体的に落ち着いていて,それでいて活気のあるお店です。
これだけのスタッフと内観,器を考えると,値段は高くは感じません。

昼のランチとは,値段も値段ですので,
かなりクオリティが違います。

素材をシンプルに活かしており,味は薄味ですが,
しっかりとした味わいがあります。
そして,日本料理としての筋をきちんと通しています。
季節感を出していますし,一品一品の量も私にはいいと思います。

厨房はオープンなので,板前さんの働きぶりが見えてより楽しいです。
仲居さんの対応は気持ちいいものです。

福井で板前割烹でお酒をという場合はここではないでしょうか。
こんな素晴らしいお店があったんですね~。
また来たいと思わせてくれました。
次回もお邪魔します。

ごちそうさまでした。


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6位

大どころ (薬院大通、薬院、西鉄福岡(天神) / 居酒屋、海鮮、日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2017/07訪問 2017/07/27

博多にある隠れ家的な割烹居酒屋系の創作和食店 “ 大どころ ”

今回の福岡・佐賀放浪編が続きましたが,
今日は博多で最後の夜です。
そういうことで,福岡の方と2年前に訪問した,
中央区今泉にある
“ 大どころ ” さんをラストに選ばさせていただきました。

場所は地下鉄薬院大通りを下りて,ピュア天神に向かいます。
18時オープン前だったのですが,
ちょっというか,2年ぶりということもあり,
結構分かりづらく,見つけづらい場所でした。
天神とライトアップされた看板はなかなか見つけられません。
電話でスタッフにお聞きした次第になりました。

ここは,シャレた居酒屋と小料理屋の間のイメージで,
落ち着いて食べられる感覚がありますし,
店主が選りすぐった魚介と野菜がウリのようです。

素敵なカウンター席とテーブル席が2組。
シャレていて暗いというか,ぐっと照明も抑えられてて,雰囲気も大人空間です。
う~ん,まさに隠れ家的な!
割烹というよりは,BARと創作和食店を掛け合わせたような感じでしょうか。

・熊本産トマトととうもろこしの冷製ポタージュスープ
トマトのさっぱりした酸味が,蒸し暑いこの日にピッタリです。
ポタージュは鰹節と昆布ダシという大胆な発想,
スープの中には生湯葉が入っていました。
とうもろこしの甘みとコクもプラスされ,
ペロリといただいてしまいました。

・八寸(枝豆のチーズ寄せ,赤むつの肝,喜界島の海ぶどう,和歌山のそうめん瓜とゴーヤ)
枝豆のチーズ寄せ,赤むつの肝はウマいと思います。
居酒屋&酒亭のメニューとしてなら,どれもいいとは思うのですが,
日本料理の八寸という位置づけなら,少し違っているように感じました。

・造り盛り合わせ(玄海灘の真鯛,長崎産マダコ,カツオタタキ,スマガツオ)
紫陽花で季節感を出していますし,
素材そのもので感動することはありませんが,
一品料理で造りをオーダーした場合などは,
ダイナミックな盛り付けで目を引くのです。
こういうところはさすがだとは感じます。

・秋田産ジュンサイの冷静茶わん蒸し
ジュンサイを使った初夏にピッタリの冷たい茶碗蒸し。
つるんとした喉越しと,噛もうとした途端に消えてなくなってしまう,
そういう儚さを感じてしまいます。
蒸し暑い夏にはさっぱりと,出汁の風味といい,柔らかく滑らかですし,
絶妙な固まり加減でした。
ゼリー状のしかも結構厚めな粘膜に全体が覆われていて,
それが湯通ししても無くならないのが本当に不思議です。

・有明産あなじゃこ から揚げ
有明海の美味しいものを知る人達に絶大な人気を誇るアナジャコ。
見ためはシャコに似ていますが,店主に聞くと,
それとは全く別だそうで,地元の漁師さん達の大好物だそうです。
柔らかい殻ごとバリバリ食べられますし,
カリッとした歯ごたえの後から,旨味が溢れだします。
この食感はまさしくおつまみに最適でしょう。

・アラ塩焼き 熊本産シルキーホワイトトウモロコシなど
・サラダ

・福岡産真鯛の骨蒸し 熊本産あさり添え
真鯛の骨付きアラを日本酒で蒸しています。
とろみをつけているのが特徴でしょうか。
雑味がないですし,鯛は濃厚なコクがあり,旨味を逃さず,
さらにあさりの味が加わり,上品な薄味が味わえました。

・カツオ丼
・福岡県能古島産甘夏のシャーベット

今回は店主の機嫌が最初から悪いようでした。
料理に関しては,皿によってムラはありましたが,
付け合わせの野菜は切れ味のある美味しさです。
メインの食材と野菜の組み合わせも巧みでしたね。
今回も福岡,玄海灘,有明産など近県沖の食材の美味しさを教えてくれました。
ここは博多らしさも感じられる素敵な割烹系和食屋さんです。

ごちそうさまでした。


中央区今泉にある『 大どころ 』に行ってきました。
福岡のかたと4人でご一緒させていただきました。

場所は薬院大通りを下りて,今泉インペックスの隣,
その辺でよく見渡せばあります。
そう,ここは以前「 ひめ 」があった場所だそうです。

今は『 大どころ 』。
「ひめ」の料理長だった重富大さんが営むお店です。
シャレた居酒屋と小料理屋の間のイメージで落ち着いて食べられる感覚がありますし,
店主が選りすぐった魚介と野菜がウリのようです。

店内は素敵カウンターとテーブル席。
ぐっと照明も抑えられてて,雰囲気も大人空間。
う~ん,まさに隠れ家的な!
割烹というよりは,BARと創作和食店を掛け合わせたような感じでしょうか。
カウンターは特に快適さを感じます。
さり気ないが目配り,気配りが光る接客は好感度が高い。

・鳴門金時,栗渋皮揚げ,銀杏,小松菜と原木椎茸
鳴門金時は徳島からということで,
サプライズ的に提供していただけたと思います。
これは,味がとてもいいのですが,
近隣の松茂の里娘も同じものですが,場所が違うと名乗れないですし,
徳島でもけっこう値が張るのでなかなか買えないのものなのです。
栗渋皮揚げも美味しすぎたのですが,
皮ごと食べられるのが気に入りました。

・呼子の本クエ(アラ),大分の鰆昆布〆,対馬の穴子,五島沖のトロ,大分の鯵の造り盛り合わせ
生わさびが鮫皮おろしと共に提供されます。
どれも素晴らしい素材の質の高さでした。
アラ,一般的に本クエと呼ばれる大型の魚ですが,
博多ではアラと呼び,ふぐより旨いという評価の魚の王様。
呼子といえば活イカが有名ですが,アラも有名なんですね~!
なぜこんなに人気の魚か,食べたら納得してしまいます!
他に類を見ないとても複雑な旨み,一言で言えばこれです。
造りでもちろんですが,蒸したり,鍋ならば,
ひときわ旨さが実感できます。
徳島でも料理人さんは本クエを入れたいのです。
玄界灘のアラは呼子でしたが,五島沖,対馬沖のものが多いようです。
そして何より無類の旨さがありました。

・唐津産赤うにのせ冷製茶わん蒸し
この大きさの「赤うに」は,四国,徳島でもなかなか見ることがありません。
赤ウニはこの時期は産卵期前で,甘みがたっぷりとあり,
日本一おいしいのではないかと感じました。
一流料亭でも出されないような品だと思います。
粒も揃っていて,見るからキレイでした。

・のどぐろ塩焼き
のどぐろは3キロモノだそうです。
毎日食べても飽きないのが,のどぐろ。
適度に繊維質で滑らかな質感の身は至福の味がします。
その脂のノリは口の中でとろけるように広がり,
「白身魚のトロ」とも感じさせます。
根室のキンキにも負けない感じがありました。

・ぼたんえび
殻をむくと,プリッとしていて,透き通った身です。
お腹に抱えている緑色の卵のプチプチした食感,
これがしびれるほど美味しいのです。
そして,頭の中の海老味噌の濃厚な風味は格別でした。
そのおいしさもさることながら,
びっくりするほどの身の大きさで,
食べ応えも半端ありません。

・アラ(本クエ)骨蒸し
なかなか捕ることが出来ないため,
幻の魚と呼ばれ,高級魚となっています。
そのグロテスクな見かけとは違い,
脂の乗った美しい白身は上品で深みのある味わいで,
ゼラチン質がたっぷり含まれた皮やアラの味は
一度食べると忘れられない味なのです。
他に類を見ないとても複雑な旨み,一言で言えばこれです。
この骨蒸しでは,ひときわ旨さが実感できます。

今回は案内していただいた福岡のかたのおかげだと思いました。
この日はかなり気合をいれてくださり,高級食材を用意してくれたようです。
「赤うに」「のどぐろ」「ぼたん海老」ともに,
よくもこれだけ,東京や京都の超高級店さんに流れる食材を,
博多の地で玄界灘や近県沖の魚や野菜で対応してくれたのは感動でした。

料理に人柄が表れ,心がこもるとはこういうことなのでしょう。
店主はとても素敵でした。
そして,でしゃばらず,さりげなく・・・と。

付け合わせの野菜にせよ,切れ味のある美味しさです。
メインの食材と野菜の組み合わせも巧みでしたね。
今回は福岡,玄海灘,近県沖の食材の美味しさを教えてくれました。
創意工夫された,全体的にしっかりと味付けされた,
お酒に合う料理という印象です。
一皿にかける料理人の想いも感じましたし,
全てが誠実な料理のひと言に尽きます。
そして,値段も税込みというところが実直です。

派手さはありませんが,一皿一皿光り輝いています。
器も料理も鄙びた趣きがあります。
料理の演出や小細工さは無く,無駄を削ぎ落としています。
店主の料理はまだまだ伸びていくものを感じました。

気のおけない友人と囲む料理はサイコーでした。
素敵なお店を教えてもらいました。
楽しかったし,美味かった!
また来ます!!

ごちそうさまでした。

  • 熊本産トマトととうもろこしの冷製ポタージュスープ
  • 八寸(枝豆のチーズ寄せ,赤むつの肝,喜界島の海ぶどう,和歌山のそうめん瓜とゴーヤ)
  • 秋田産ジュンサイの冷静茶わん蒸し

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7位

東條 (徳島、阿波富田 / 日本料理、海鮮)

1回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.1
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.1 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2016/12訪問 2016/12/16

四季おりおりの風情と料理 京都吉兆の技が冴える 日本料理 ” 富田町 東條 ” 

(再訪)
日本料理 ” 富田町 東條 ” さんへ伺います。
1年ぶりのが更新アップで失礼いたします。
写真12枚追加しました。

・柚子釜(鱈真子,合鴨ロース,なまこ,醤油漬けイクラ)
・クラスズキ造り
・セリと真鯛かぶらの小鍋

この店に関する特徴などは,
前回までにアップしている文章を参照させていただければ幸いです。

八方地のダシや料理の組み立て,盛り付け,
料理の季節感や器の使い方がとてもいいと思います。
過去伺った京都の未在のような料理を感じます。
ここのすり流し椀,のりあんかけは
是非とも食べていただきたいし,素晴らしいと思います。

ごちそうさまでした。


(再訪)
日本料理 富田町東條さんへ伺います。
6ヶ月ですが更新アップで失礼いたします。
写真19枚追加しました。

・まるはげの肝和え,牡蠣の有馬煮,たらこ甘煮,青柳酢味噌
最初からビシッときれいなヴィジュアルですね~!!
紅葉の終わりと雪の季節を感じさせるあしらい。
こういう季節感と器の演出は,やはり東條さんらしさを感じます。

・阿波牛A5すき焼きを味噌鍋で
八丁味噌を使っていますが,愛知によく行くことがあるのですが,
「カクキュー」と「まるや八丁味噌」,この二蔵が八丁味噌蔵です。
八丁味噌と名乗れるところはあまりないのです。
八丁味噌は他と比較して,複雑味と旨みがあり,
日本人の記憶の奥深いところに訴えるかけるこの匂いがあります。
ここはさらに酒粕と甘酒で味を深めています。

・まながつお杉板焼き,かます幽庵焼き,タラ白子柚子釜
しょう油・ミリン・酒を同じ量混ぜ合わせ幽庵地で,
幽庵地に柚子の輪切りか,絞り汁を入れています。
この幽庵地は,ピタリと決まっていて,
あらゆる味付けのベースとさえ言えるほどです。
これなら,白身系の魚ならば種類を問わず,非常に美味しい焼き物になるでしょう。
まながつお杉板焼き,かます幽庵焼きの杉板の香りが
まながつおにほのかに香りますし,
味付けや焼き加減はさすがですね。

・タラ白子の茶わん蒸しのりあんかけ
雲子と牡蠣の茶わん蒸し のりあんかけ,
鱈白子(雲子)を茶わん蒸しにのりを餡かけにしていますが,
これは食感といい,見た目も味も素晴らしいと思います。

徳島においていえば,店主が真摯に料理に向き合い,
こういうきちんとした日本料理の技術をだせているのは
ほとんどないのではないかと思っています。
ここは値段も他の和食店よりも手頃で高くありませんので,
京都など税サ込みでお一人さまがトータル2万円程度以上もかかる,
有名な日本料理店とは素材的には違いがあります。

東條さんにおいては,値段を含めたコストパフォーマンスを考えると,
それでも味わいや器や季節感を考えると納得するでしょう。
そして店主は食材や素材や調理法にアツい思いがあります。
毎日欠かさずに沖洲市場に通い,自然の草木を集めて,演出に深みを持たせていますし,
徳島市内の他の日本料理店や和食店よりは,きちんとされていると感じます。

ごちそうさまでした。


(再訪)
日本料理 富田町東條さんへ伺います。
写真14枚追加しました。

最初の一品は七夕飾りを意識したあしらいになています。
内容は鯛手毬寿司,青柳,合鴨ロース粒マスタード和え,
いちじくの胡麻みそ煮,サツキマスです。
これは八寸的なものでしょうか?

次は鱧と玉子豆腐の椀です。
昆布や鰹の八方地のダシがとてもいいと思います。
昔から日本料理では,吸い物の “あたり(味)” と
造里の “包丁さばき” が 板前の真骨頂とされてきました。
「椀もの」は日本料理の特徴とそのおいしさを
もっとも表現した料理といえます。
「吸い物」はどんなに旨くても,
季節の表現ができていなければ,
よい吸い物とはいえないのです。

3品めは,
「蘇民将来子孫家門(そみんしょうらいしそん かもん)」と書かれてあります。
伊勢の町を歩くと,家の軒先に
「蘇民将来子孫家門と書いた札がしめなわに
吊り下がっているのを見たことがあります。

その昔,この地を訪れたスサノオノミコトに,
貧しいながらも慈悲深い蘇民将来が一夜の宿を貸しました。
ミコトは旅立つ時,「今後は門符を門口にかけておけば,
子孫代々疫病から免れると言い残した」というそうです。
蘇民の子孫である証拠として門符を掲げ,
無病息災を願うようになったそうです。
つまり,家内安全の祈りを込めた「厄除け」の門符です。
ちなみに「笑門」とは,後に「蘇民将来子孫家門」を縮めた「将門」であり,
さらにこれが平将門に通じるのを嫌って,「笑門」になったと言われています。
災厄を払い,疫病を除いて,福を招く神として信仰されています。

これは,鰆,カツオ,マコガレイ造りですが,
まずは,茅の輪をくぐるようにして,一口お料理を頂き,厄除けをします。
その後,「蘇民将来子孫」の札のついた籠を外して食べるのです。

金目鯛とじゅんさいの鍋
じゅんさいとは水質の良い池沼にのみ自生する水草ですが,
食物繊維を多く含む透明のゼリーに包まれていて,
そのプルンとした食感が絶妙です。
その熱したじゅんさいに上質な金目鯛とあわせた鍋は絶品でした。

今回も日本料理について,いろいろと感じさせられました。
あらゆることがやり尽くされたようでいて,
「料理は固定観念から抜けさえすれば無限」だと思います。
客を喜ばせることを本気で考えていらっしゃることが,
出されるお皿から,言葉のすみずみから,ひしひしと伝わってきます。
いや,今回も楽しかったです。
これから学んでいきたいと思います。


(前回)
今回は久しぶりに東條さんに伺います。
1年3ヶ月ぶりの更新アップになります。
店内には桜が飾ってあり,春モードになっていますね。
写真14枚追加しました。

徳島において,季節感があり,和の技術を感じる,
美味しい日本料理を感じられる店といえば,
壺中庵東條夏見さんになるのではないかと思います。
そんななかでも,東條さんの季節感の表現の仕方と見合った器などの高級感がしっくりときます。
また,他は佐那河内や川内の辺鄙な場所であり,
ここは徳島市富田町にあるので利用しやすいのもいいですね。

・ヒラメの昆布〆と糸もずくのすだちジュレ
糸モズクの上に,昆布締めにした天然寒ヒラメと菜の花をのせ,
すだちジュレでミックスして楽しみます。
すだちジュレは酸味はそれほどきつくはありませんし,この相性はいいですね。

・胡麻豆腐と鯛の真子 おろしのりあんかけ
こういうの久しぶりですね。胡麻豆腐と天然真鯛の真子にのりを餡かけにしていますが,
これは食感といい,見た目も味も素晴らしいと思います。

・春野菜(うるい・こごみ・せり・新筍)と阿波牛のすき焼き
日本料理店らしい優しい八方地のダシがいいですね。
山菜や春野菜のウマさと,和牛である阿波牛の良さを堪能してきました。

ここに来ると,日本料理の技術を感じますし,日本料理の伝統に感動してしまいます。
伺うと毎回感じるのですが,日本料理ってやっぱり好きですね。
ただ,京都など税サ込みでお一人さまがトータル2万円程度以上もかかる,
有名な日本料理店とは素材的には違いがあります。
それでも味わいや器や季節感を考えると納得するでしょう。
そして店主は食材や素材や調理法にアツい思いがあります。
昨年,一昨年と京阪神のしのはら和ごころ泉弧柳紀茂登さんも
伺ってみると,やはりいいと思いましたし,リピートしていきたいと思いますが,
ここにも伺って,いろいろな季節感のある旬のものを食べてみたいと思います。


(再訪∞)
年があけて,東條さんへ伺います。

店内はしだれ柳に紅白をあしらっています。
紅白でお祝い事,謹賀新年らしさといいましょうか・・・・・・・・・・。

最初の一品は,「蘇民将来子孫家門(そみんしょうらいしそん かもん)」と書かれてあります。

伊勢の町を歩くと,家の軒先に「蘇民将来子孫家門と書いた札が
しめなわに吊り下がっているのを見たことがあります。

「蘇民将来」と記した護符は,日本各地の国津神系の神
(おもにスサノオ)を祀る神社で授与されており,
災厄を払い,疫病を除いて,福を招く神として信仰されています。
また,除災のため,住居の門口に「蘇民将来子孫」と
書いた札を貼っている家も少なくないようです。

さて,一品目は正月料理ですね~。
金箔をあしらった黒豆・橙に入れた
ヒラメ昆布〆・いくら・からすみ・かずのこ・くわい芋とおせち料理が並びます。

花びらしんじょのお椀,ごぼうと金時人参を海老しんじょで挟み,
餅を上に載せて,菜の花と柚子をあしらい,金箔を添えています。
椀の熱さもしっかりとしており,舌がさっぱりとして,次の料理につながります。

厨房を見ていましたが,八方地の出汁は昆布も鰹節もたっぷりと使っています。

小鯛の宝恵籠,宝衛籠の上は杠葉(ゆずりは)を載せています。
子孫繁栄を意味するそうです。

雲子と牡蠣の茶わん蒸し のりあんかけ,こういうのは初めてです。
鱈白子(雲子)と牡蠣フライの茶わん蒸しにのりを餡かけにしていますが,
これは食感といい,見た目も味も素晴らしいと思います。

県外レビュアーさんにおいては,
徳島では何回か思わぬ支払いが発生した事もあることが多いと指摘されています。
私も他和食店で,ビール1杯・日本酒1合と高級食材ではない単品を2~3品くらい注文して,
びっくりしたことが多くあります。
都市圏と比べて客が少ないゆえもありましょうが,
大阪などの割烹へ食べ歩いて欲しいと思うことがあります。

しかしながら,ここは極めて支払い対価が良いと感じます。


(再訪∞)
柚子の香りがうれしい季節です。 冬至の柚子湯も、近づいてきています。

本格的な冬が到来する前,紅葉の最後になる時期,今宵は東條へ行きましょう。

まずは,かぼす釜で 
イクラ・真子・なめこおろし・貝柱ガーリックオイル・カワハギもって菊昆布〆。

ここの生ビールはグラスが薄いですね~。
その後は那賀町鷲敷の日本酒「旭若松」を錫ちろりで。

ふろふきかぶら柚子味噌,かぶらの美味しい時期になりましたが,
中をくり抜いて牡蠣を2個入れています。
柚子味噌などこういう味付けがひと味違います。
牡蠣にも美味くしみこんでいます。

吹寄せ カマス杉板・鰆幽庵焼き・銀ふぐ唐揚げ・蓮根揚げ。
紅葉をあしらい,湯気が立ち上がる演出が素晴らしいと思います。
カマス杉板・鰆幽庵焼きの焼き加減はさすがですね。
銀ふぐ唐揚げは生姜を隠し味に,
蓮根揚げは甘さがあります。これは煮てから揚げています。

「柚子釜」は、柚子の上部を切って中身をくり抜き、
柚子を器に見立てて、中にいろいろな食材を詰め込む料理のことをいいます。

独特の清々しい芳香,さっぱりとしたほどよい酸味。
香り高い柚子は、日本料理に欠かせない存在です。
古くから,私たちの暮らしの中に深く溶け込んできました。

特に高知県の柚子は、特産として知られていますが,
次いで徳島県であり,那賀町木頭の柚子は有名です。
四国で全体の約3/4が生産されています。

柚子には抗酸化作用があり,免疫力を高めて風邪をひきにくくしたり,
肌の若さを保ったり,コレステロール値を正常に保ったりするそうです。

地元の神山産松茸ととらふぐと雲子の柚子釜です。
口の中に,国産松茸の香りと柚子のよい香りと風味が広がります。
柚子好きにはたまりません。柚子釜の黄色が鮮やかで,目でも楽しめる料理です。
柚子の香りは加熱しても消えないということでしたが、
柚子釜の匂いをかいでみると、確かにちゃんといい香りがします。

壺中庵 虎屋さんも,東條さんも吉兆(京都)出身ではありますが,
味わいや盛り付けが全く異なることも面白いものだと思います。


(再訪∞・水無月の東條)
まずは蛍かごででてきました。

蛍の季節ですね~。

そういえば,美郷では美郷ほたるまつりが開催していました。

新緑のもみじをあしらい,鴨ロース煮と真子煮柚子風味,
いちじくの胡麻味噌,さらにはハモをさらっとした梅肉スープで。

日本酒は地元井川町の芳水14号ですが,九谷焼のとっくりです。

椀物は冷製のつくね芋と汲みあげ湯葉のすり流しです。
店主はこういうのはとても得意です。

次にワタリガニとズワイガニの蟹みそ和え。
これも蟹の身と蟹みそと上手に上品に和えています。
日本酒の肴にも良いかなと感じます。

焼き物・油物は甘鯛油焼き,真竹のきんぴらを葉山椒・実山椒などの3種の山椒で,
もろこし岩石揚げ。脂ののっている甘鯛をさらに油をぬってきれいな脂を強調させて,
ふわっと,ふっくらと焼き上げます。

最後はあなご賀茂茄子柚子おろし揚げ浸しをオーダーしました。

視覚的にも味覚も四季を感じる料理,
今右衛門などの貴重な器を楽しめるのも良いと思う。

徳島では虎屋壺中庵もそうですが,
お客さんも上品なかたが多く,雰囲気が違います。


(再訪・3月の東條)
春の訪れを感じる3月,男3人で東條に・・・・・・・・・・・。


最初の料理は貝合わせ。

平安時代に男と女の上の句、下の句のやりとりの道具として盛んに用いた。
その後、蛤(はまぐり)が必ず一対であることから,
貴族や武士のい間で現在のトランプゲームの「神経衰弱」に似た,
出し貝と地貝の合わせるゲームが行なわれました。

江戸時代になり,貝の内側に金拍を貼り,金泥を塗り,
江戸文化とともに芸術的に上達。
さらに一夫一婦の貞節和合の意味から嫁入り道具として使われ,発達し,
360個を一組として蒔絵を施した立派な貝桶に納めた。

当時,女子が誕生すると貝を注文し,
仕上げるまでに約20年の歳月をかけたという話もあるそうです。

はまぐりの貝殻は,貝合わせという遊びに使われるように,
一対になっている相手以外とはぴったりと合いません。
こうしたことから,一人の人と生涯連れ添うように・・・という願いが込められています。
   

店内にはしだれ柳,貝合わせの皿には梅を添えています。

料理は貝合わせ,これは先ほど説明した女の子の誕生祝いと潮干狩りのイメージもあるようです。
貝を入れる網をイメージさせ,茶ぶりなまこ・もずくと牡蠣有馬煮・いいだこ山椒煮,貝は酢味噌で味付けています。
酢味噌は絶品です。

造里は赤貝・アオリイカ・かわはぎ焼き霜・ホンヨコ腹・甘海老。添えてあるネコヤナギも風流で,
徳島の日本酒(旭若松と芳水14号)も食事もがすすみます。赤貝は久しぶりに良いモノに出逢いました。

ふかひれとズワイガニの茶わん蒸しは絶妙な味付けをしています。
卵のフワッとした感触にズワイガニとふかひれのマッチングは素晴らしいと思います。

新たけのこは下茹でして,みりん・日本酒・醤油で味付けしながら,
焼き上げます。筍の味・香りもいいですね~。
下茹でしていますが,シャキシャキ感もあります。

日本料理の技術を感じますし,日本料理の伝統に感動してしまいます。
まだまだ通っていろいろな旬のものなどを食べてみたいと思います。

固い雰囲気はありますが,店主の気配り・接客も素晴らしいと思います。


(冬の追記)
12月の東條。

柚子窯3種類を。 添えられた葉に雪がのっています。季節感がありますね〜。

なまこを茶ぶりし、柚子に一日漬けたもの,柚子ポン酢で、真子煮、牡蠣は
山椒で煮た有馬煮,菜の花・貝柱・胡瓜はガーリックの効いたフレンチドレッシングとジュレで合わせています。

鴨鍋はシンプルに白ネギと鴨のみ。ダシが素晴らしく良いのですが,
ネギを包んでの鴨ロースは白ネギのしゃきしゃき感と鴨がとてもマッチします。

造里は紅葉をあしらっています。
あおりいか・本ヨコ・カマス・鯛・ブリですが,糸南京(糸瓜)を細かく刻んで添えていました。
イカは仕込みが難しいと思いますが丁寧な仕込みをしています。

ぼうぜ(エボ鯛)は徳島では酢〆が多いのですが,
この一夜干しは,焼き加減がとても絶妙で外は固め,
中はフワッと焼き上げています。
また,ぼうぜの小骨まで全て取り除くという丁寧な仕込みをしています。
徳島で食べたなかでは,一番かな・・・・と感じました。


11月の東條。

剣山スーパー林道の紅葉は終わりかけ,街中の紅葉には少し早い時期でしたが,
紅葉を見立てて,たらの真子煮・牡蠣の有馬煮・ふぐのオイル漬けでした。

ズワイガニのすりおろし椀は冬瓜・焼きうに・柚子が入っています。
こういう椀は他の和食店を凌いでいます。

ほうば味噌は松茸・牛ロース・玉ねぎ・なす・生姜でした。
松茸には意外にほうば味噌・牛ロースとは相性がいいのです。

料理の変化あり、肉ものもあり,素材の固体差を見抜く力量、
素材の合わせかたの巧さ、きれいで高級感のある器、凛とした雰囲気……。
相変わらず 東條はいい店だなぁ……と感じます。

壺中庵虎屋さんも,東條さんも吉兆(京都)出身ではありますが,
味わいや盛り付けが全く異なることも面白いものだと思います。


(秋始まりの追記)
9月初旬に 日本料理 富田町 東條に行って来ました。
今回はまだまだ蒸し暑い夏という気候でしたが、秋を感じようと……。

まずは花屏風で出された前菜はズワイガニ酢と鴨ロースでした。
花屏風もなかなか素晴らしいと思います。
鴨ロースはマスタードに隠れていますが、隠し味にケチャップを使っています。

2品目は蓮で包んだ料理です。徳島名産のレンコンですが、
鳴門あたりでレンコン畑をあちこちで見ることができます。
ハスが終わりの時期ということで、
ハスで包んだ旬の新秋刀魚の刺身と炙り刺身を二種だしていただきました。

次に新秋刀魚の塩竃。塩竃も丁寧に作っていますね〜。
ハスしかりでこういう見て、
四季折々の旬を楽しむことができるのも東條の良さだと思います。

次に松茸があったので、牛ロース肉のすき焼きをお願いしました。
松茸といえば土瓶蒸しや焼き松茸が主流なのですが、
意外に肉鍋とは相性がいいのです。

素材の固体差を見抜く力量、素材の合わせかたの巧さ、
きれいで高級感のある器、凛とした雰囲気……。
相変わらず 東條はいい店だなぁ……と感じます。


(前回、前々回のレビュー)
最近特にお気に入りで食べてみたい割烹はどこでしょうか?
季節感があり美味しい日本料理の店はどこですか?と尋ねられたら
 迷わず日本料理 富田町 東條さんをオススメしたいと思います。

今回も水曜日の夜でしたが,個室2室,カウンター席5人が座れる小さな日本料理店です。

まず座ってみると,店内カウンターや器とか高級感が佇む雰囲気です。

店主 東條裕之さんは吉兆京都嵐山店など京都吉兆系の5店舗を経験され,
富田町の しまだ で料理長をされていたかたです。

そのときから器とかもこだわったものを少しずつ買っていたそうです。
確かに器が高級感があり,とてもきれいです。
例えばテーブル席にある ほたるかご は吉兆本店で使用していたのを買うほどのこだわりぶりです。

今回の付きだしはワタリガニとヒラメの昆布締めの土佐酢ジュレでした。

ワタリガニはこれから和食店でメニューにでてくる素材ですが、
香住や舞鶴・越前のタグ付き有名活ズワイガニよりは濃厚感があり
わかりやすい味で親しまれやすい味だと思います。

ヒラメ昆布締めは良いと思うのですが、
今の時期にヒラメは季節ハズレではないかと店主にお聞きすると、
『魚には個体差があります。』ということでした。
確かに素材は良いものです。
そういえば岡山市の鮨縁さんでもヒラメのもろみ醤油でだされましたが、良い食材でした。

真鱧湯びきとタコの梅肉和え。
真鱧は湯びきがとても上手くほど好い食感で、梅肉ソースが他和食店と格段に違います。

しらさ海老とヤングコーンの柚子もろみ和え、こういう合わせかたも脱帽してしまいました。

焼き物は徳島県木屋平の天然鮎。器というかカゴにいれられた盛り付けも目をひきますし、
その天然鮎は季節感を感じます。
今の時期の有名な高知県安田川の天然鮎より良いのではないかと思います。


これ以降は前回ですが、
つきだしは蒸しあわびとミョウガの土佐酢ジュレと自家製フレンチドレッシングで和えたものです。
この組み合わせは3人ともびっくりしたというか,土佐酢ジュレにドレッシングとは,初めてです。
こういう一工夫には脱帽です。6月からの蒸し暑くなる日にはとても合いますし,
酸味がアクセントに、またきれいに効いてきます。

メニューから鰺の刺身を注文しましたが,
刺身皿の上にカゴを置き,ぶどうを絡ませています。

鯵刺身やなめろうなどは、ここ二年間ほど徳島市の割烹では、
どういう訳かあまり見ません。脂のノリもきれいですね。
そして、これからぶどうの季節を迎えますが,
鰺といい,季節感がある料理です。

賀茂茄子と牛の田楽。正確には茄子は京都ではなく,
奈良なのでまる茄子と言うことになります。
私はあまり茄子を美味しいと思うことがなかなかありませんが,
茄子はとても素材が良くて,牛肉と八丁味噌で上手に合わせています。
八丁味噌のなかでも良いのを選んでいます。

里芋揚げの揚げ方もいいですし,
太刀魚の焼きも焼き加減がとても絶妙で外は固め,
中はフワッと焼き上げています。
また太刀魚は難しい小骨まで全て取り除くという丁寧な仕込みをしています。

虎屋壺中庵もそうですが,ここも日本料理の技術を感じますし,
日本料理の伝統に感動してしまいます。
まだまだ通っていろいろな旬のものなどを食べてみたいと思います。

芸者さんが来る しまだ さん出身ですから、客層も品の良いかたばかりです。

店主の気配り・接客も素晴らしいと思います。

  • 柚子釜(鱈真子,合鴨ロース,なまこ,醤油漬けイクラ)
  • クラスズキ造り
  • セリと真鯛かぶらの小鍋

もっと見る

8位

トヨカワ (阿波富田 / バー)

2回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.3
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 -

2017/05訪問 2017/05/27

徳島の歴史あるオーセンティックなBAR ” BAR TOYOKAWA ”

(再訪)
徳島では最も古いオーセンティックなBAR
” BAR TOYOKAWA ” さん。
豊川敏雄さん,息子さんの豊川新二さんが出迎えてくれます。

ご無沙汰していましたが,1年ぶりの訪問でしょうか。
ここは亡くなられた「バラ亭」の先代とともに
徳島のBAR文化を牽引されてきました。
親子二代でバーを営んでいるというのは,
貴重な一軒だと思います。
ちなみに新二さんの奥さまは,
BARアルシェを経営されています。

場所は徳島市の飲み屋街である栄町。
店内は直線状のカウンター席とテーブル席,
20席ほどでしょうか。

かなりの古いBARなのですが,
清潔感があるということと,
そして重厚感を感じさせます。
バックヤードには数々の洋酒が何段にもなっており,
手前から奥まで整然と並んでいたのが,
オーセンティクなBARらしく思います。
様々なスピリットが所狭しと鎮座ましますので,
お酒好きならばセラーを眺めているだけでも
目の保養になるというか楽しくなるのです。

今回はまず対応していただいたのが豊川敏雄さん。
バーテンダーとして働き続けて50年という,
バーテンの人間国宝くらいに値するのではないでしょうか。

初見でも女性1人でも全然臆する必要はありません。
暖かく迎え入れてくれます。
ただ敏雄さんの性格上,カクテルの由来や歴史なども語ってくれるために,
静かに飲みたいというかたには不向きかも知れません。
新二さんの対応はナチュラルで気負いがありませんね。

・スーズ
ロングカクテルで爽やかなタイプのカクテル。
薬草を元に作っているお酒です。
別名「黄色いカンパリ」とも言われる,
フランス産のリキュール。
甘みの後に追ってくる苦味が絶妙な一品です。
今までの中でも一番と言っても過言ではないくらい・・。

・オリンピック
次の東京オリンピックを楽しみに感じてしまいます。
パリの有名な高級ホテル「ホテル・リッツ」で生まれたという。
オレンジリキュールの独特なほろ苦さがいい。
オレンジの味が強めに感じるかもしれませんが,
ジュースの甘味を適度に引き締め,
ブランデーの甘さがそれとマッチして,
ブランデーのコクを更に深めているカクテルです。

・ヘンリーマッケンナ10年(バーボン)
ヘンリーマッケンナは,
昔は幻のバーボンと呼ばれていたのを思い出し,オーダーしました。
そのヘンリーマッケンナのシングルバレル。
他の樽とはブレンドしないでそのまま瓶詰めしたものです。
常温でストレートでいただきます。
豊かで上品な香り,スムーズなのどごし、
深い熟成感を持つ味わいでした。

オーセンティクなBARを感じながらも,
カクテルを作り上げる腕も確かです。
安心感もありますし,落ち着いたひと時を過ごせます。

ここBAR TOYOKAWAさんとBAR GLANZさんに関しては,
必ず名バーテンダーさんである店主(TOYOKAWAは息子さんも)が,
きちんとしたカクテルを作ってくれますので,
いつでも安定したカクテルやその味わいを楽しむことができます。
他のBARに行くと,早い時間帯は店主がいないために,
作るバーテンさんによっては,安定しないことがあります。

現在では徳島ではもっとも古いオーセンティックなバーで、
心地よい雰囲気と、話しの聞き上手なバーテンダーさん。
ここでは誰にも邪魔されずに思いに深けたり,
バーテンダーとの何気ない会話を楽しむと良いと思います。

ごちそうさまでした。
(再訪)
今週からPCが修理に入り,
まだ1~2週間程度アップができないと思います。
よろしくお願いいたします。
皆さまへの訪問は頑張りますね。
これは写真アップは済ませていたので,
何とかレビューさせていただきました。

今回も男2人ですが,友人のリクエストで伺います。
7ヶ月での更新アップで失礼いたします。
写真5枚追加しました。
今回も豊川新二さんがカクテルを作ってくれました。

・ソルクバーノ
お気に入りのBARで,
いつもとは違うカクテルをオーダーしてみました。
それは,ソルクバーノです。
この意味はキューバの太陽晴れという意味だそうです。
ホワイトラムにグレープフルーツ,
トニックウォーターを少し加えたもの。

爽やかな味わい,甘味はくどくなく,
フルーティな酸味と苦味もあっておいしいです。
ソーダの清涼感,徳島という南国の風味とフルーツ感満載です。
日本で相当数のオーダーをされてるカクテルの一つです。
簡単なレシピほど,スキルが必要とされるカクテルです。

ソルクバーノはホワイトラムを使いますので,
情熱的な個性を主張している,
そんな味わいですね。
でも,とても飲みやすいです。
ホワイトラムの味わいと,
グレープフルーツの爽やかな甘みとほろ苦みが,
オトナの心を優しく癒してくれます。

・クライヌリッシュ(モルト)
水割り、オン・ザ・ロック、ハイボール。
ウイスキーの中にも産地や種類が色々とありますが,
飲み方に世代の傾向が現れたりします。
街の小さなバーでの感覚の粋を出ないけど,
この頃はシングルモルトウイスキーを好む女の子が増えてます。
一晩にストレートで2~3杯と・・・。

香りを楽しむのなら,そのまま常温で飲むのが最適です。
冷やすと口当たりは良くなるけれど,香りは閉じてしまう。
モルトをストレートで飲むってのは,
お酒を飲み始めたばかりの方は真似できないって思いがちだけど,
飲み方さえ覚えてしまえばなんてことはないんですよ。

優しい香りと少しワックスのような香りが立ち上がって,
すっと直線的に消えていき,最後にわずかにピートを感じる。
非常にバランス良く旨みがのっているのがクライヌリッシュです。
アタックは若干強めで辛めですが,口の中では滑らか味わいでした。

BAR TOYOKAWAさんとBAR GLANZに関しては,
必ず名バーテンダーさんである店主(TOYOKAWAは息子さんも)が,
きちんとしたカクテルを作ってくれますので,
いつでも安定したカクテルやその味わいを楽しむことができます。
他のBARに行くと,早い時間帯は店主がいないために,
作るバーテンさんによっては,安定しないことがあります。

ごちそうさまでした。


(前回)
九州のかたをお迎えして,2軒目に行こうとしていたら,
徳島で最古参のオーセンティックなBAR TOYOKAWAさんの前を歩いていると,
店外で豊川新二さんに会ってしまいました。
ということで,カクテルでもいただくことにしましょう!!
写真4枚追加しました。
今回は初めて豊川新二さんがカクテルを作ってくれました。

・オリンピック
花言葉にも色々ありますよね。
胡蝶蘭は「あなたを愛しています」とか,
実は花言葉と同じように,お酒ごとに意味の違う「酒言葉」なるものがあるのです。
オリンピックは「待ち焦がれた再会」
もっとも同行者は男ですが・・・。

店主によると,パリの有名な高級ホテル「ホテル・リッツ」で,
パリの第2回オリンピックを記念して作られたそうです。
ブランデーとオレンジキュラソー、オレンジジュースを
同量シェーカーに入れ、シェークします。
綺麗な色はまるで金メダルのようです。
口の中に広がるブランデーの風味とオレンジの甘みのバランスがいいですね。
強いけど飲みやすいカクテルで,ラグビーワールドカップのアメリカ戦への
勝利の美酒に酔うために頼んでみました。

・アラウンドザワールド
ジンベースの緑色の綺麗なカクテル。
実はかなり思い出深いカクテルだったりする。
ただの酒好きだった頃に訪れた,あるバーで,
初めて出会った,そして,初めてまともに飲んだショートカクテル。
しかしながら,とてもマイナーなカクテルだった。
ジン、ペパーミント、パイナップルジュースの三つを使って仕上げている。
ジンの押し出し,ミントの爽快感,パイナップルの甘みと酸味があります。

・ファジーネーブルのカクテル
・ヨーグルト酒

BAR TOYOKAWAさんとBAR GLANZに関しては,
必ず名バーテンダーさんである店主(TOYOKAWAは息子さんも)が,
きちんとしたカクテルを作ってくれますので,
いつでも安定したカクテルやその味わいを楽しむことができます。
他のBARに行くと,早い時間帯は店主がいないために,
作るバーテンさんによっては,安定しないことがあります。

現在では徳島ではもっとも古いオーセンティックなバーで、
心地よい雰囲気と、話しの聞き上手なバーテンダーさん。
ここでは誰にも邪魔されずに思いに深けたり、
バーテンダーとの何気ない会話を楽しむと良いと思う。
今後もBAR TOYOKAWAさんが更なる良いお店になっていく予感がします。


(前々回)
徳島では最も古いオーセンティックなBAR TOYOKAWAさん。
豊川敏雄さん,息子さんの豊川新二さんが出迎えてくれます。
ここはバラ亭の先代とともに徳島のBAR文化を牽引されてきました。

・ジントニック
トニックウォーターはフィーバーツリー・プレミアム・トニックウォーター。
英国産のキナ抽出物を含む本当のモノです。
独特の苦みを持ち、口当たりが良いですね。
昔,先輩の方々から「バーに行ったら、まずジントニックを飲め」と教えられたことがあります。
ジントニックには、その店の姿勢や方向性が最も凝縮されているからです。
数あるジンのなかからどのジンを選ぶのか、どういったタイプのグラスを選ぶのか、
ライムを使うのか、それともレモンを使うのか……など、
シンプルなカクテルなだけに、
それぞれのバーの目指す姿勢や方向性がはっきりと表れてきます。

・ギムレット
ギムレットにはまだ早すぎるね。
レイモンド・チャンドラーの名作『長いお別れ』の一節を思い出します。
ドライジンにライムを搾りシェークする。
ライムの酸味とほのかな苦み,そしてジンのキレと辛みがあります。

・エライジャ クレイグ 12年
ケンタッキーストレートバーボンです。
香りは濃厚な樽の甘い香り,
舌に絡みつくようなコクはミディアムヘビータイプで野性的です。
長く続く後味と香りに満足させられました。

ここは気楽に楽しめるので,肩肘張らずに飲むことができます。
値段もBARとしてはリーズナブルに感じます。

気のおけない親友とのシーンにも使え,
定休日は基本ありませんから,
ここは普段使いにもイケるお洒落なBAR。
徳島の夜の楽しみは,
BAR TOYOKAWAさんかなと感じます。


(主レビュー)
今夜もBARへ、

めざす酒場へ心の矢印を向けた瞬間,あのバーテンダーの顔が思い浮かぶ。

そこで繰り広げられるいくつかの好もしいシーンが思い浮かぶのである。そこに至る道程そのものがすでに楽しく,ときにはあえて迂回し,いつもと違う道をたどったりしてしまう。

栄町2丁目の協栄ビル1Fの BAR TOYOKAWA

徳島ではもっとも老舗のBARである。20年前に県外在住のときから来ていたこともあるのだが、TOYOKAWAといえばバーテン歴40年の豊川敏雄さんの顔がすぐ思い浮かぶのだ。

現在は豊川敏雄さん,息子さんの豊川新二さん,親子2代で営業中のクラシカルな本格BARである。モルトは当然に揃っているし,ブレンデッドウイスキー,バーボンはもちろん,本当のカクテルもきちんとできます。

徳島のバーテンダー最古参であるパパさんは飄々とした佇まいからは想像し難い程、剽軽でもあり、厳しくもあり、根底には徳島のバーとバーに集う客への深い愛が流れています。また1986年全国バーテンダー技能競技大会総合優勝,息子さんは2000年バカルディ・マルティニグランプリ世界大会三位という実力者です。

今回はまずブラックウオッカのモスコミュールですが,深いグリーン色をしています。次にシーブリーズ,その後のモルトは私の好きな ラガブーリン 。

重厚だが口当たりは非常になめらか。ピート臭・海藻の臭いが強烈でアイラモルトを良く表しています。モルトに慣れたかたなら,一度飲んだら病みつきになります。熱烈なファンがもっとも多いのもこのラガブーリン。スムースなモルトに飽きたら,このモルトをおすすめします。

本格オーセンティックなBARとは言え、気さくに楽しめるので、肩肘張らずに普段着で顔を出せます。

初見でも女性1人でも全然臆する必要はありません。暖かく迎え入れてくれます。ただ店主の性格上,静かに飲みたいというかたには不向きかも知れません。

更に言えば、和・洋酒問わず、様々なスピリットが所狭しと鎮座ましますので、お酒好きならばセラーを眺めているだけでも目の保養になるというか楽しくなります。

昔に神戸で出会った,阪神震災後に閉店した ルル ,閉店した高松のチロリン亭など・・・の何軒かの Good Bar・・・・・・・・・・・。この出会いがなければ,今はないだろうなと思う。時々あの懐かしいバーテンダーの風貌,所作を思い出すし,バーカウンターにたどり着いたことを思い出しては感慨に浸ってしまう。

  • (説明なし)
  • クランベリー
  • スーズ

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9位

やま下 (阿波富田、徳島 / 寿司、海鮮)

1回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2016/03訪問 2016/03/30

手抜きのない職人気質の江戸前寿司 " やま下 "

(再訪)
今宵はユウヤーさまのリクエストで美食忍者さまと
男3人で " やま下 " さんへ 伺います。

3ヶ月わずかの更新アップで失礼いたします。
写真25枚追加しました。

・ごま豆腐
・タコ小豆煮
・北海道産毛ガニのカニ味噌和え
・鰆タタキ
・真鯵タタキ
・長崎産のどくろ塩焼き
・スミイカ
・赤貝
・本ミル貝
・あこう
・こはだ
・ホタルイカ塩辛の軍艦巻き
・〆真鯖
・煮ハマグリ
・厚焼き玉子
・胡瓜巻き

" やま下 " さんに関して,私が感じたことは,
前回までに述べていますので,
参照していただければ幸いです。

タコの小豆煮や蒸しアワビ,長崎産のどくろ,
極上のあこう,徳島産ミル貝や赤貝,こはだ,煮ハマグリ
などを仕入れていることにも評価したいと思います。

キュウリ巻きは,ここのオリジナルというか,
細切りにしたキュウリをすりごま,本わさびで巻いています。
これもオススメでした。

徳島においては,
江戸前寿司の捨六さんもかなり良かったので,
後日アップする予定ですが,
寿司屋としての肴や一品料理,握り寿司などに関しては,
やはり, " やま下 " さんだと思います。

北新地の さえ喜さんなどの高級な有名寿司屋さんは
現在は客単価3万円ですから,同じようにはいきませんが,
素材選びは真剣にしていますし,全てがおススメなのはわかります。

店主はお客さんに提供する前に必ず味を確かめます。
仕事ぶりを含めて,お客さんにウマいもんを
食べて貰おうという心意気は感じますし,
そういうことを含めた気配りは実にいいのですが,
客あしらいというか,お客さんに対して注文したいような,
柔らかい雰囲気作りがもっとできれば・・・と思うのです。

目先や見た目だけの接客だけでは無い,
徳島で食べることができる江戸前寿司として,
経験していただければ嬉しく思います。

ユウヤーさま,美食忍者さま,
楽しい時間を過ごすことができました。
たいへんお世話になりました。
ありがとうございました。
そして,ごちそうさまでした。


(今回)
今宵は やま下さんへ 
先日は鮨たけがみさんで,江戸前寿司の刺激をうけたものですから,
食べ比べというか,旬の肴をつまんで,
江戸前寿司を食べに行きましょう。

1年以上になりますが,更新アップいたします。
写真30枚追加しました。

・菜の花・タコの柔らか煮・しらさ海老・合鴨ロース煮
・烏賊の塩辛6日目
・酒肴ワタリガニ
・握り寿司
  スミイカ
  あこう(アズキハタ)
  鰆
  サヨリ
  鯵
  〆鱚
  〆鯖
  由岐産黒ウニ
  北海道産イクラ醤油漬け
  煮ハマグリ
  厚焼き玉子

タコの柔らか煮や蒸しアワビ,合鴨ロース煮などのつきだしの一品や
烏賊の塩辛やワタリガニが酒肴として,とてもいいので日本酒が進みます。
ワタリガニも焼いたり,蒸したりして,そのまま提供するのではなく,
食べやすく,かつヴィジュアルもいいのがいいですね~!!

つまみをいただきながら、握りに移行する楽しみがありますね。
握り寿司は小ぶりではありますが,酢飯は適温。
口の中でほろりとほぐれるおいしい鮨ですし,
ここは繊細な握りだったと思いました。

ネタが新鮮だけではなく、光りものや煮もの、蒸しもののネタ、
要するに「仕事をしたネタ」をきちんと真っ当に提供していることもそうですし,
気の利いた酒肴と江戸前寿司を貫く姿勢に評価したいと思います。

そもそもは冷凍技術も流通手段も発達していない時代に,
魚介類が新鮮なうちに,加熱して「煮る」,酢や塩で「締める」,
醤油やたれなどに「漬け込む」というものだが,
現在に至っては,いわゆる「仕事」を施し,
生よりもその魚介類の旨味を凝縮させる工夫の結果,
素材の旨味を最大限に引き出されているとは思う。

徳島において言えば,いつも安定して旨い江戸前を喰わせてくれる。
私なら店に認められる,店に選ばれた客になりたいとは常に思っている。
少し飲み過ぎたかな・・・・。
ごちそうさまでした。


(前回)
今宵は やま下さんへ 
旬の肴をつまんで,寿司を食べに行きましょう。
今年2月にリニューアルオープンしています。

さて、この店に関してはさまざまな意見もありますので,
若干,私なりの意見を述べさせていただきます。

それは,主人の接客ということに尽きると思うのですが,
バブル以前の30年前の寿司屋の親方と客との応対だと感じています。
それは東京などで,昔に江戸前寿司を食べ慣れたかた,
ネタの旬がわかるかたにこそにわかる接客といいましょうか・・・。
だから,上質の接客を求めたり,言葉ぶりに気になるようかたは,
行くべきではありません。
ただし,食べ終えた後の支払い対価を考えると,
とても満足されると思います。

徳島で本当に美味しい寿司という観点だけで考えると,
今回とりあげたやま下,鳴門の寿し勝さん,
次は栄町のほら鮨さんというところでしょうか。

確かに寿司屋として,あなたが現代的な接客サービスを望むのなら,
東京や大阪や金沢の高級寿司店に伺うか,
徳島内で接客という観点で寿司屋を探すかたならば,
むしろ接客マニュアルがしっかりしている,
大手回転寿司チェーン ○シローのほうが
満足することでしょう。

彼の接客というのは,カップルで来店して年輩のかたが,
日本酒を互いに飲んでいて,女性が飲めなくなる頃を感じとると,
さっと「お茶でも入れましょうか?」という感性なのです。

最近は不景気ゆえに,過度で必要以上の接客サービスの店が多い気がします。
確かにここは接客そのものが上手ではありません。
でも,そういう接客の仕方がとても新鮮な経験だったり,
これが店と客の本来あるべき姿なのかと感じたりします。

さて,主人の山下広明さんは東京で長く修業を積んでいます。
女性スタッフはいるときもありますが,基本ひとりでやっています。

店主は,「特別なものは何もないんです。
ただ,ひとつひとつの仕事は手を抜かない。
それがウリといえばウリ。」と謙虚に話します。

玉子の握りは厚焼きのカステラ風だが,
徳島には小エビがたくさん揚がるし,和三盆もある。
だからそれを活かして海老のすり身と玉子を厚焼き玉子にする。
海老の鮮度が難しいと思うが,ふんわりとさせている。

どのネタに対しても手間を惜しまず,
存分に美味しさを引きだしている姿勢に敬意を表したい。

徳島県において唯一真っ当な江戸前寿司を味わえる。
店主もあと少し気さくさがあればと思う。

つきだしは蒸しあわび・たこ小豆煮・菜の花でした。
蒸しあわびも味付けが良いですし,
タコの小豆煮とは発想といい,なかなかいいと思います。
こういう,たこの柔らか煮は、江戸前では春などは桜煮なんかもありますが、
これは柔らかさの中に芯を感じる、江戸前の仕事を感じさせるものでした。

最初の一品から気合いが入っています。
最初の一品は残り物を上手く使う店が多いのですが,
こういうのって次に何を頼もうか・・・・・と楽しくなってきます。

最後にですが、ここの店主は日々魚を見て、
嫌がられても魚屋任せにせずにきちんと選びます。

徳島の有名な和食店はだいたい魚屋まかせで、
たまに素晴らしく良いのは入りますが全体的ではどうでしょうか?
全体的には上手くあしらわれているように思います。
和食の料理人さんなら,
毎日河岸に通いつめて,市場や魚屋に怖がられる、
嫌がらる料理人になって欲しいと感じているところです。

大阪・北新地などでおまかせ2万円前後の高級店と比較すると見劣りします。
でも,高級寿司店を食べ慣れたかたであれば,
この値段でこの仕込みや素材なら,味も含めて満足するでしょう。
支払い対価と素材と仕込みの努力,江戸前の技術を考えて4.6としました。
次回は氷見などの寒ブリ,タラ白子,天然トラフグやクエを楽しみにしましょう。


(前々回まで)
秋田町の『やま下』はオープンしてからのつき合いだ。最近は行く回数が減っているが……。

気を抜かず、手を抜かず。どのネタにもまたビールや日本酒にも真摯な仕事ぶり。

気難しく繊細なる店主であるのだが、美味いものを食べさせてくれる店主と向き合うことは、

素人の私にとっても緊張感を感じながら、
食することが若い時代の食べることに目覚めた、
遥か昔の割烹や寿司屋に行ったときのことをいろいろ思い出させる。

昔は高松でも割烹はフリで入ったら入店を断られたりした。

また寿司屋のオヤジは気難しいので、
どうやったら好かれて美味い肴や寿司を食べさせてもらおうか考えてたりした。

私的には客が店を選ぶのでは無く、店に選ばれたい客になりたいと常々思っている。

『やました』の店主は生ビールを毎日真面目にサーバーや配管を丁寧に洗う。
ここで飲む生ビールはホントに美味しい
私は馴染み以外の飲食店は、だいたいはビールなら瓶ビールにする。

また日本酒の燗酒も湯煎で出してくれる。
日本酒も純米吟醸あたりまでなら値段は安い。

芋焼酎もきれいな和陶器の器にたっぷり入れてくれ、
だいたい一杯五百円。
また湯割りのポイントをきっちりと掴んでいる。
ここは酒代は極めて良心的である。

店主は穴吹出身で東京四ツ谷の寿司屋、
当時高松でJCもよく使う繁盛店だった寿司屋にいた。

高松時代から丁寧なる仕事ぶりには感動したものだった。
当時の親方は口八丁・手八丁の仕事は早い、
応対は上手いかただったから正反対ではあった。

つきだし は貝柱・とこぶし・菜の花・新豆と早春を感じさせます。

とこぶしは煮付けたり、アワビも蒸したりすると一層美味しくなる。
アワビもそうですが、コリコリ感だけが美味しいと感じるのではなく、
火をいれての美味しさというか、
塩蒸しなどの蒸しアワビの感覚がいいなぁと感じます。

富山県氷見の天然寒ブリ。やっぱり脂がきれい。
天然ものは当たり外れはある。でもこういう寒ブリをいつも食べたいなぁ……。
氷見の寒ブリ、やっぱり旨いですね〜。
徳島の養殖ブリ、さらには天然ブリとは全く違います。
北陸では年末年始にかけて、
親戚・身内の贈答用にバカ高い値段になりますが、仕方ないかも知れません。

スルスルと大七きもとひやおろしの燗酒の日本酒もすすみます。

握りはまず、アオリイカ
握りはアオリイカは隠し包丁でねっとりとしています。

ヒラメは旨味十分,そして甘鯛昆布〆とどれも申し分ありません。
こはだは酢と塩のバランスが良いですね~。
イワシ炙り葱ごまはカタクチイワシの味をを上手く引き出しています。
煮はまぐりも江戸前の味です。
イクラ醤油も塩漬けとは全く違います。

鰆の握り・脂が白く光り、特上馬刺しみたいな雰囲気。
これはビックリした。

鯵の握り。

マグロヅケの握り。
柵取りした赤身を醤油に漬けることで、
水分が抜け、ねっとりとした歯ざわりになります。
個人的にはトロより良いなぁと思います。

鯖の握り。
鯖も年明けしてから、やっぱり良い

魚の質も年末より年明けが良くなっています。
鰆をサッと炙ってポン酢で。
鰆をもう一貫注文したら出してくれた。
こういうアウンのやりとりがたまらない。

活車海老。ここのクルマエビはいつも大きい良いものを仕入れる。
寿司屋のクルマエビはやっぱりボイルで頂く。

厚焼き玉子。カステラ風と言ったほうがわかりやすいかな……。
芝海老のすり身に山芋を入れ、卵を合わせて、
砂糖・塩・味醂を加えて丁寧にすり粉木であたる。
キメ細かく仕上がり、しっとりと良い色に焼けた焦げ目の厚焼き玉子、
ほのかに甘く、口の中でほどけていく。

シラウオはシロウオ(ハゼ科)とは違う。
これからが旬なのだが、こういうのがメニューにあると嬉しくなる。

寒ブリは16㌔物で脂のノリがとてもきれい。
カツオも10㌔物とのことだが、
戻りカツオよりサラっとノッた脂と香りが好きだ。

〆鯖・こはだ… と江戸前で酢〆も握りかたも優しく感じるし、上手である。

煮はまぐりも江戸前寿司の仕事だなぁ…と感じる。
煮はまぐりはきちんとした下ごしらえをして、煮ツメも良いですね。

徳島県由岐産の黒うに、最高級で、うにの一粒がすごく大きいのです。
新イクラ醤油漬けは久々に旨い!と感じました。
こういうのは、徳島市の行きつけの和食店などでいただきますが全然味が違います。

あなごはふわっとしています。
野島や羽田沖の江戸前のあなごに近い気がします。

今日は蒸しあわび、本ミル貝、赤貝、とり貝、青柳、たいら貝……と貝も充実している。
真っ当に殻つきから仕込みをする。
貝ネタもパックを使ってる寿司屋が多いのだ。

タラ白子は白雪という最高級モノで,
タラ白子の味が全然違います。

日本酒はあとは新潟の北翔、あと芋焼酎の湯割りを頂いた。

接客やサービスを追求したり、カウンター席で店主と会話のやりとりを求めるかたには向かない。
真摯に旨い肴や美味しい寿司を食べたいというかたに向いている。


徳島・鳴門にも高級店など名店と呼ばれる寿司屋があるが、
握り・ヅケ・酢〆・昆布〆・煮はまぐり・厚焼き玉子(カステラ的な玉子)など、
江戸前の真っ当な仕事といい、実力はやま下が抜きん出ている。

  • 徳島産赤貝
  • あこう(アズキハタ)
  • こはだ

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10位

ポエシア (文化の森、二軒屋、阿波富田 / イタリアン、フレンチ、パスタ)

3回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.9
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.1 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥4,000~¥4,999

2017/06訪問 2017/06/23

今回は日本酒とイタリアンのマリアージュで!! " poesia(ポエシア) "

※写真1枚追加しました。
 漏れていた食前酒を書き加えました。

今回は日本酒とイタリアンのマリアージュということで,
 " poesia(ポエシア) " さんに伺います。

食前酒はスパークリング泡系日本酒と思いきや,
金鼓 濁酒(奈良)でした。
発酵したもろみを漉さずにそのまま瓶詰めしています。
飲むと言うより,食べるような感覚です。
軟化した米粒が口中で新鮮な食感,のどごしがありました。

・沼島産鱧と冷たいコンソメ
日本酒は隆 黒澤米 亀の尾 純米吟醸。
秋田産のジュンサイとコンソメに沼島で獲れた肉厚な鱧を合わせています。
少しですが梅肉の酸味と茗荷,芽三つ葉をアクセントにしていました。
ジュンサイは夏にぴったりのさわやかな喉越しと食感が楽しめましたし,
このコンソメのできあがりがとても素晴らしかった!!

徳島の夏も京の夏もといえば鱧です。
これは,東京の松川クラスが使うような最高級の鱧でした。
これには驚愕いたしました。
事実,東京のミシュラン☆☆☆で食べログ点数4.2以上の店が使っていることはあります。
最高級の鱧は生でこそ甘みがありますし,
肉厚な鱧の皮をさっと火入れした焼き霜程度で提供しています。
鱧のおいしさをまるごと堪能できる夏ならではのごちそうでしょう。
また,隆 黒澤米 亀の尾は火入れではありますが,
美味しいですし,こういう和的な料理に合うと思いました。

・高知産カツオのタタキとトマトのクスクス
日本酒は 隆 黒澤米 亀の尾 純米吟醸。
宮城産のフルーツトマトのジュースで炊いたクスクスとカツオのタタキを一緒に盛り,
ペストジェノベーゼを上にかけています。
仕上げには液体窒素の中にスプレーで吹いて作った-196℃のパウダーを散らしました。
トマトソースを液体窒素で瞬間冷凍する華やかなパフォーマンス。
皿からは冷気の煙が霧のように,蜃気楼のように立ち上がっていきます。

・宮城産ホタテ貝柱とサマートリュフ
日本酒は玉川アイスブレーカー 純米吟醸 生原酒。
このホタテ貝は,外洋産のホタテに比べ小ぶりですが,
貝殻の割に身の部分が大きいのが特徴です。
宮城産のホタテの身の貝柱の部分はポワレしており,
紐の部分は乾燥させパウダーにし,
マヨネーズ,クリーム,トリュフオイルと共に合わせたソース,
香川産のアスパラとフランス産サマートリュフ。

ホタテ貝はシャキッとした食感,とろけるような甘味がありました。
白トリュフは,さらに産出量が少なく,
黒トリュフの何倍も高価で取引されています。
白トリュフシーズン中の間は,黒トリュフは忘れてしまいます。
トリュフそのものを味わうというよりは,
その香りを,またその料理を愉しむべきでしょう。

・高知産甘鯛のポワレ 小松菜のソース
日本酒は都美人 凛美 大吟醸 うすにごり生原酒。
品評会出品酒で30本しかないという「凛美 うすにごり生原酒」
ここの得意とする全国でも珍しい天秤搾りで造っていますが,
穏やかさがありながらも,華やかな薄にごりです。
甘鯛は鱗をつけてパリパリにポワレし,
柚子胡椒風味の小松菜のソースと一緒にしていました。
付け合わせにはラタトゥイユを添えています。

・鳥取産ヤリイカとカラスミの焼き茄子ペーストのタリオリーニ
日本酒は凱陣 神力 純米 生原酒の5年熟成。
日本酒は個人的にはこれが一番好きでしょうか。
焼き茄子ペーストには大葉やコラトゥーラなどを入れています。
ヤリイカ,筍を無味合わせて,仕上げにペリーラとカラスミを散らせています。

焼き茄子ペーストとタリオリーニの相性がすこぶるいいですね~!!
タリオリーニは平打ちのパスタですが,
生地が薄めで軽い食感が特徴でしょうか。
何度も何度も食べたくなる印象的なタリオリーニです。

・沖縄産アグー豚のロースト 鳴門産辣韮のピュレ添え
日本酒は AKABU 山田錦 純米吟醸(岩手)。
アグー豚は皮と脂の部分,身と脂の部分に分けそれぞれに火入れをしていました。
ローズマリー風味の辣韮(らっきょう)のピュレと赤ワインのソース。
付け合わせにはインゲンをピクルス,ケッパーと共にバターソテーです。

・クリームチーズとホワイトチョコのタルト
日本酒は20年古酒 眉山の夢(徳島)
琥珀色に熟成した甘口の日本酒,玉川のタイムマシンを彷彿させます。
さだまさしさんがこの酒に惚れ込んで大量注文したそうです。
デゼールは夏っぽい感じですね~!!
クリームチーズはパイナップルと共にムースにし,
宮崎産マンゴーとパイナップル,ホワイトチョコのエスプーマをショコラのチュイルの中に詰め,
仕上げに沖縄産パッションフルーツを乗せ,
パッションフルーツのジェラートを合わせていました。

今回は大勢のお客さんに提供するという難しさはかなりあったと思いますが,
満足させていただきました。
木津シェフに関していえば,
専門料理誌をいくつも読みこんで実践して,都会のフレンチやイタリアンを食べ歩き、
ジビエ料理も実際に食べ歩かれています。そして、自分らしい料理を提供していっています。
それこそが料理人としての大切な要素のように感じます。
そういう料理人が徳島で少しずつでも増えていっていることが、
お客さんにも還元されますし,全体的にも良くなっていくことにもなります。

さて,話はそれるのですが,
今回は日本酒とのマリアージュではありましたが,
徳島ではワインバーでの値段は,原価から考えますと高過ぎますし,
イタリアンやビストロなどでは,
グラスワインは値段にしては,質的に満足できないこともあります。

私個人の考え方として,
ワインにお金をかけるよりも,
飲食店では料理に精通し,投資すべきでしょうし,
料理よりもワイン代が高くなるのも考えものだと思うのです。

実際に京阪神のFujiya 1935さんやT.Nさんのような,
高級なリストランテ,フレンチ等などでも,
ペアリングと称して,3000円程度で,
料理一皿一皿に合う厳選したワイン5種類程度を提供してくれるのです。

基本的にはそこそこ安くウマいワインに,
こういうクオリティーの高いイタリアンを
お客さんが楽しむことが大事なように感じます。

ごちそうさまでした。



今回は行列のできる様がイタリアンを希望だったので,
イタリアン,フレンチ等を読ませていただいた上でも,
かなり悩みましたが,希望された2店とさらにもう1店のうちの,
poesia(ポエシア) さんを選択しました。
今回も男ばかりですが,奥の部屋の方に案内されました。

6ヶ月ぶりの更新アップになります。
写真30枚追加しました。

ワインはキャンティクラシコ,
カーサヴェッキオ(モンタプルチアーノダブルッツオ)。
どちらもウマかったです。

・白子のエスプーマと白子のポッシェ 醤油のジュレ添え
上部は軽くボイルしたクリーミーな白子と
白子のエスプーマを包み込んでいます。
赤芽紫蘇,穂紫蘇,バージンオイルを合わせています。
底には醤油風味のジュレ。
ちなみにエスプーマというのは,
あの伝説的なスペインの料理店「エル・ブジ」で開発された調理法。
亜酸化窒素を使って,白子をムースのような泡状にしています。
これには驚きました。
都会のモダンフレンチに登場するような味わいです。

・鳴門産天然真鯛の炙りカルパッチョ 筍と大麦のサラダ添え 木の芽のソース
1週間もシケで天然モノは割烹店でも,
全く不漁で厳しい状況でしたが,
ここは,東京の松川クラスが使う漁師からも仕入れていますので,
来店して良かったですし,ホッとしました。

鳴門産の天然真鯛を軽く炙りスライスし,
塩と酢橘の皮のすりおろしとバージンオイルでマリネ,
イタリア産の大麦を木の芽のヴィネグレットで和えていました。
徳島産の筍とワサビ菜と茗荷と一緒にサラダ仕立てに。
すだちを泡状にして添えています。

・大阪のツムラの河内鴨のタルタル 椎茸ペースト添え
河内鴨のタルタルはピクルスとケッパーと玉葱と合わせています。
上には山形県庄内産のうるい と フランス産の黒トリュフ
徳島産の肉厚椎茸で有名な天恵菇と塩昆布で作ったペーストと
鶉の卵を一度冷凍し解凍させ,ネットリした食感の卵黄を添えています。

河内鴨といえば,
ツムラ本店の河内鴨は大阪を中心に関西の和食店や
高級な鶏料理店や焼鳥屋さんで取り扱われています。
いくつかの店で食べてみたのですが,
これまでの合鴨とは違う柔らかさと旨味があります。
味わいや旨味が濃厚です。
脂も常温で溶け出すという上質なものなのです。
血抜きをしても味や旨味が濃厚でヘルシーかつジューシーな肉質です。

・満点☆青空レストランに登場した牟岐産のアオリイカと3時間ローストした聖護院蕪のタリオリーニ カラスミ添え
そういえば,牟岐産のアオリイカは「満点☆青空レストラン」に最近登場しましたね。
牟岐産のアオリイカはさっと炭火で炙り,
3時間ローストし,コラトゥーラやニンニク,生姜などと合わせソースにした
聖護院蕪を自家製のタリオリーニに合わせました。
あとはセルフィーユとディルを乗せ,カラスミを散らせています。

タリオリーニは平打ちのパスタですが,
生地が薄めで軽い食感が特徴でしょうか。
何度も何度も食べたくなる印象的なタリオリーニです。

・新潟産天然真鴨の炭火焼き 天恵菇のクレピネット包み添え
新潟産天然真鴨は雄の青首鴨です。
胸肉は炭火でロースト,
手羽やモモ肉やレバーはミンチにし,
有名な徳島産椎茸の天恵菇に詰めて網脂で包み炭火で焼いています。
甘長唐辛子,牛蒡のフリット,セロリラブと
ポテトのピューレを付け合わせてマスタードを添えています。
赤ワインソースは真鴨の骨をオーブンで焼いて,
香味野菜と共に煮出した出汁のソース。

鴨はジビエでやっぱり国産の真鴨と言いますが,
これは食べている餌の関係で,
肉が赤茶色でドロドロと濃厚で匂いのあるのも多々あり,
よほど食べ込んでいないと合わない方が多いと思います。 

新潟の網漁の青首鴨なのですが、入手かなり難しくて,
獲れたとしても,捕獲数が少ないために,
龍吟など,かなりの高級日本料理店さんや,
リューズラッセさんなどの,
ミシュラン掲載店や食べログ超高得点の店がほとんど仕入れてしまいます。
そういう無双網猟の青首鴨が,
徳島で食べられることは大いに評価したいと思います。

シベリアから越冬の為にやってくる ”野生の天然鴨”
毎年猟期は11月15日~2月15日の3ヶ月間という短い期間。
散弾銃での猟は当たり所により,食肉としては?のことが多いのですが
新潟の伝統猟 ”無双網猟” は,生け捕りにするために,
身を傷つけることなく,とび切りの獲物となります。
さらに,美味しい要因は餌が新潟産米ということがあげられます。
美味しいササニシキやコシヒカリをたらふく食べて太った天然鴨なのです。

銃で撃った獲物たちのうち,あたり所の悪い獲物たちは,
当然痛いですから,七転八倒します。
そのために体内に血が回ってしまい,あの独特の臭みが出てしまうのです。
この天然鴨に限らず,鹿や猪などはもっと顕著にクセがでます。
急所に的確に当て,直ぐに血抜きをしたジビエはクセなど全くありません。
香ばしい美味しさです。

日本で狩猟できる鴨類はマガモ,オナガガモなど多くの種類がありますが、
やはりマガモの雄は格別です。雌の地味さに比べ,
その美しいベルベットのような緑に輝く姿から青首と呼ばれ,
フランス語でコルヴェールと言えばご存知の方も多いでしょう。
この野生の鴨は,その美しい姿から想像も出来ないくらい,
濃い赤色の肉と血から溢れる薫りは,とてつもなく力強い生命力を感じます。
炭火ローストされた胸肉はしっとり柔らかく,旨みがありますし,
香ばしい美味しさです。

手羽やモモ肉やレバーはミンチにし,
有名な徳島産椎茸の天恵菇に詰めて網脂で包み炭火で焼いています。
鴨のジュもを使っているのでしょう,
ミンチの旨味が違いますし,しっかりと味がのっています。
はっきり言ってこれもウマいです。

・ココナッツプリンとキャラメルのジェラート
ココナッツプリンを焼き上げ崩し,エスプーマにし,
フワッとした食感のプリン。
下にキャラメルのジェラートとイチゴのソース。
周りにはカシューナッツとピーナッツのクランブルと
アーモンドのメレンゲをパウダーにしたもの。

半年以上での再訪でしたが,
料理は驚くほどに進化していました。

新潟産無双網猟の鴨,河内鴨,最高級の鱧,サマートリュフ,長崎産のどくろ,
ハンガリーの国宝に認定されるラッカ種の乳のみ仔羊・・・と,
徳島にある既存のイタリアン店やフレンチ店で扱えることができない食材を
積極的に仕入れしていることに驚きを隠せません。

専門料理誌をいくつも読みこんで実践して,
都会のフレンチやイタリアンを食べ歩き、
ジビエ料理も実際に食べ歩かれています。
そして、自分らしい料理を提供しています。
それこそが料理人としての大切な要素のように感じます。

また,スタッフをラッフィナートさん等で食事させて,
サービス面を含めてスタッフに学ばせています。
徳島でこういうことを実践している
フレンチやイタリアンのシェフはそうそういないでしょう。

そういう料理人が徳島で少しずつでも増えていくことが,
お客さんにも還元されますし,
全体的にも良くなっていくことにもなります。

塩加減においては全く問題ないと思っています。
実は塩加減がもっとも重要な要素であり,
塩の加減が薄いと料理自体がぼやけてしまいます。
もっとも酒を飲まない方や,個人差もありますが・・・。

ごちそうさまでした。

(再訪)
今回は河内鴨と乳のみ仔羊,夏野菜のテリーヌがあるという情報を得て,
poesia(ポエシア)さんに伺います。
8ヶ月での更新アップで失礼いたします。
写真26枚追加しました。
ワインはペアリング的にいただきました。

・白桃のスープと白桃とフォアグラのモンブラン仕立て
冷たく冷やした白桃のスープは,コンポートにして煮汁と一緒にミキサーにかけて,
牛乳、生クリーム、レモンジュースで味を整えています。
丁寧に作っており,新鮮な桃の味がたっぷりしています。
白桃の上にはフォアグラのピューレをモンブラン仕立てで。

・徳島産夏野菜のテリーヌ
野菜のテリーヌは今まで,
徳島のフレンチやイタリアンでは見たことがありません。
食べるためにナイフを入れるのが,
ためらわれるほど,繊細で美しい断面。
野菜をたくさん使ったテリーヌで大事なことは,
ひとつひとつの野菜の歯ごたえがしっかり感じること。
そして,野菜は火を入れ過ぎていません。

・河内鴨のタルタル 椎茸ペーストとサマートリュフ添え
ツムラ本店の河内鴨は,大阪を中心に関西の高級和食店やフレンチ店,
高級な鶏料理店や焼鳥屋さんで取り扱われています。
食べてみて,これまでの鴨とは違う柔らかさと旨味があり,
味わいや旨味が濃厚で,脂も常温で溶け出すという上質なものなのです。
血抜きをしても味や旨味が濃厚でヘルシーかつジューシーな肉質です。
椎茸ペーストとうずら玉子の燻製がすこぶる相性が良かったですね。

黒トリュフで最も有名なのはフランスのペリゴール産の黒トリュフ,
白トリュフは,イタリア北部でしか採れないと言っても過言ではないほど,
産出量が少なく,黒トリュフの何倍も高価で取引されています。
実際イタリア現地で食された方も多いと思いますが,
白トリュフシーズン中の間は,黒トリュフは忘れてしまいます。
トリュフそのものを味わうというよりは,
その香りを,またその料理を愉しむべきでしょう。

・長崎産のどぐろのポワレ らっきょうのソース
長崎産のどぐろは,やはり県南産とは脂のノリや旨みがひと味違いますね。
赤むつのことですが,脂た~っぷりの白身がとても美味しいんです。
のどぐろはかなりの高級魚としても知られています 。
四国や徳島では新潟産の入荷は難しいので,
長崎産のどぐろがイチオシです。
徳島のイタリアンで使いだした木津さんを誉めたいと思います。
600g以上の徳島産のどぐろの方ががおススメという方もいますが,
値段は長崎産と比較して変わらないのではないでしょうか?

・徳島産鱧とオリーブとフルーツトマトのスパゲッティーニ
徳島の夏も京の夏もといえば鱧です。
これは,東京の松川クラスが使うような最高級の鱧でした。
これには驚愕いたしました。
事実,東京のミシュラン☆☆☆で食べログ点数4.2以上の店が使っていることはあります。
最高級の鱧は生でこそ甘みがありますし,
皮をさっと焼いた焼き霜程度で提供しています。
鱧のおいしさをまるごと堪能できる夏ならではのごちそうでしょう。

・ハンガリー産乳飲み仔羊のロースト シェリーヴィネガーソース
シェリーヴィネガーソースがなかなかいいですね~!!
ハンガリーの国宝に認定されるラッカ種の乳のみ仔羊。
肉質は素材本来の良さと放牧で,羊脂が少なく,
乳飲みの場合は羊独特の臭みがありません。
まだ草を食べる前の母乳だけしか口にしていないので,
お肉はピンク色,肉質はきめが細かく柔らかく,
ふっくらむっちりの躍動感のあるお肉ですし,
ほんのりミルクの味がして,とってもおいしいです。
でも,最近の店は肉の火入れの傾向は低温調理ですが,
真の肉のおいしさが低温調理にあるとはどうしても思えない私,
炭火焼きやクラシックなロティの香りのついたのも食べたくなりました。

・ハチミツとレモンのムース ココナッツのジェラートと宮崎産マンゴー

総評としては,
河内鴨,最高級の鱧,サマートリュフ,長崎産のどくろ,
ハンガリーの国宝に認定されるラッカ種の乳のみ仔羊・・・と,
徳島にある既存のイタリアン店やフレンチ店で扱えることができない食材を
積極的に仕入れしていることに驚きを隠せません。
東京のミシュラン☆☆以上のフレンチやイタリアンで使用される素材になっています。
こういった素材を使った料理を,洗練されしつつある,
おもてなしと季節情緒あふれる感性でいただけます。

どれも,卓越した素材と真髄であるソースの旨みが際立ち,
その洗練された味わいには自然と背筋が伸びる気がするのです。
また,目にも涼しげな彩りや器との取り合わせの妙にはうっとりとため息が出るほど。
店外の風景も眺めながら,心のこもった美しい料理をいただきました。

徳島の風物詩を五感で味わうしみじみとした時間は,
きっと忘れられない思い出になるはずでしょう。
どっぷりとその考え抜いた料理にハマってしまうと思います。
ソースでもお肉でもなんでも,料理全般すべてがバチッと決まる
そのベストな瞬間を自分自身が味わうことができます。
それには,料理は事前に予算と好みの食材や調理法をお願いして,
お任せにすることを強くおススメいたします。
それがこのお店で一番おいしい料理を食べることができる秘訣ですよ~!!

ごちそうさまでした。


(再訪)
短期間の再アップでたいへん恐縮いたしております。
誠に申し訳ありませんが,興味ない方はスルーしていただければと思います。
写真23枚追加しました。

今回はマイレビのpiipiiunkodaoさまがジビエを食べたいということと,
新潟産の無双網猟の天然野生真鴨の取り引きが開始され,
poesiaさんに,その天然真鴨が入荷したとのことでした。
注文しておいて,獲れた時に送ってくる形の仕入れ方法になるので,
次回はいつになるかわからないとの事で,早速伺うことにしました。

・フォアグラのテリーヌとキャラメルショコラのジェラート エピス風味のベリーのソース
・千葉産本ヨコのタルタル キャビア添え ワサビのソース
・牟岐産甘鯛の鱗焼き 豆乳のソース キノコのペースト添え
・北海道産生雲丹のカルボナーラのタリアテッレ
・新潟産天然真鴨の胸肉ロースト 腿肉とレバーの網脂包み
 砂肝コンフィ添え ジュ ド カナールと牛蒡と栗のコンディメント マスタード添え
・苺とフロマージュブランのムース 薔薇のヴァニラアイス添え

新潟の網漁の真鴨なのですが、入手かなり難しくて,
獲れたとしても,捕獲数が少ないために,
龍吟など,かなりの高級日本料理店さんや,
リューズラッセさんなどの,
ミシュラン掲載店や食べログ超高得点の店がほとんど仕入れてしまいます。
そういう無双網猟の真鴨が,徳島で食べられることは大いに評価したいと思います。

シベリアから越冬の為にやってくる”野生の天然鴨”
毎年猟期は11月15日~2月15日の3ヶ月間という短い期間。
散弾銃での猟は当たり所により,食肉としては?のことが多いのですが
新潟の伝統猟”無双網猟”は,生け捕りにするために,
身を傷つけることなく、飛び切りの獲物となります。
さらに,美味しい要因は餌が新潟産米ということがあげられます。
美味しいササニシキやコシヒカリをたらふく食べて太った天然鴨なのです。

銃で撃った獲物たちのうち,あたり所の悪い獲物たちは,
当然痛いですから,七転八倒します。
そのために体内に血が回ってしまい,あの独特の臭みが出てしまうのです。
この天然鴨に限らず,鹿や猪などはもっと顕著にクセがでます。
急所に的確に当て,直ぐに血抜きをしたジビエはクセなど全くありません。
香ばしい美味しさです。

日本で狩猟できる鴨類はマガモ,オナガガモなど多くの種類がありますが、
やはりマガモの雄は格別です。雌の地味さに比べ,
その美しいベルベットのような緑に輝く姿から青首と呼ばれ,
フランス語でコルヴェールと言えばご存知の方も多いでしょう。
この野生の鴨は,その美しい姿から想像も出来ないくらい,
濃い赤色の肉と血から溢れる薫りは,とてつもなく力強い生命力を感じます。
ローストされた胸肉はしっとり柔らかく,旨みがありますし,
腿肉と肝をクレピーヌ(網脂)巻いて焼いたものは,鴨のジュを使っていますし,
腿肉の旨味がしっかりとのっています。

野生の天然鴨の味は,その鴨の食生活に左右され、
今回の鴨の胃袋や砂肝には,びっしりと米が入っていたそうですから,
味わいは上品で問題ないので,後は調理の腕次第となるのです。
マグレ鴨,合鴨などの養殖系の鴨というと脂が厚く,通常のフレンチやイタリアン,
蕎麦屋で食べる鴨南蛮の鴨を想像されるかもしれません。
しかし,野生鴨の皮下脂肪はほとんどなく,合鴨等のそれと異なります。
北の大地から何千キロも旅をしてくる渡り鳥ですから,逆に筋肉ムキムキなのですね。

フォアグラのテリーヌは,フォアグラそのものが弾力を感じる上質なモノですし,
低温のオーブンで湯煎で火をいれるのですが,
型の外側から火が入る為どうしても外側に火がはいって,外側の脂分がでてしまい、
中に火が入るときには,多少脂分が出たパサつく状態になるのですが,
これは脂分がまったく出ずにしっとりと完璧な火入れなのです。

ヨコワマグロは粗みじん切りと小さい角切りの二種類の切り方をしたものをタルタルにし、
オリーブオイル、玉葱で合わせていますが,合わせ方がとてもいいですし,
ワサビのソースもとてもいいですね~!!
赤甘鯛のポワレ,皮とウロコをパリパリに仕上げられています。
火入れは良好です。豆乳のソースもフレンチに仕上げていますね。
黒トリュフとの相性も良いです。

北海道産生雲丹のカルボナーラのタリアテッレ,
パスタはタリアテッレで幅8mm程度のリボン状の平打ちパスタです。
もちもち感が特に味わえますし,絡めることでその持ち味を生かしつつソースが馴染みます。
鼻に抜ける北海道の本場のウニの風味と,サッパリとしながらもコクのある,
ウニの濃厚なソースがパスタに絡みつき,いつまでも口の中に余韻が残る味わいでした。

徳島でこういう素晴らしい食材に出会える喜びと感動に感謝したいと思います。
そして,piipiiunkodaoさま,お世話になりました。
男同士ではありましたが,硬派で楽しいひとときを過ごさせていただきました。

ごちそうさまでした。


(再訪)
読者の方々からジビエ系のアップの要望が多いということもあり、
今回は冬のこの時期の目玉であるジビエをいただきに、ポエシアに伺います。
3ヶ月ぶりの再アップで失礼いたします。写真31枚追加しました。

国内産のコルヴェール(真鴨)、クルーズ(エゾライチョウ)やフェザン(雉),
マルカッサン(猪)、シェルブイユ(鹿)も、
この時期に都心や京阪神のフレンチ店などで提供されています。
そして、欧州の狩猟は一定の時期しか許されないため、
ジビエを食せる期間は10月頃から1月末の4ヶ月というとても短い期間。
この時期だけですし、そして安定供給が難しいため、
とても贅沢なお料理とされてます。

今回はスコットランド産のペルドロー(山うずら)が入荷したとのこと。
ジビエは獣と野鳥に分けられます。
さらに言うと、野鳥は、水辺の野鳥と野山の野鳥に分けられ、
水辺の野鳥には、コルヴェール(真鴨)やベカス(山シギ)など、
野山の野鳥には、山うずらやフェザン(キジ)、山鳩などがあります。

ちなみに、山うずらの生後1年未満の雛をペルドロー、
それ以上のものをペルドリと言います。

ジビエの重要な工程は熟成(フサンダージュ)。
ジビエ料理最大のテーマであるその野生味と風味を生かすため、
熟成の見極めは経験を積んだシェフの腕に左右されます。
そのテクニックを含めて楽しめるのがジビエ料理の醍醐味です。

ジビエといえば独特の野生的な味わいが大きな特徴の一つです。
「クセ」と呼ばれ、苦手な方もいらっしゃるかもしれません。
その「クセ」こそジビエ好きがハマる、ジビエだけにある美味しさなのです。

NZ産仔羊やマグレ鴨に慣れてきた方は、エゾ鹿や猪などや、山ウズラや雉などの
白身系の野鳥からチャレンジされることをおすすめします。
そして、徐々に深いジビエの魅力にハマっていただければ幸いです。

・白トリュフとマッシュルームのクロスティーニ
スライスしたフォカッチャをトーストして、ブラウンマッシュルームのデュクセルを塗り、
燻製した発酵バターをのせ、ゲランドの塩、マッシュルームのスライスを置き、
イタリア産の白トリュフをすりおろしていますが、最初のアミューズギュルからシビレてしまいます。

・牟岐産天然鯵のタルタル紫蘇風味 和風のジュレを添えて
天然鯵は粗みじん切りと小さい角切りの二種類の切り方をしたものをタルタルにし、
紫蘇のみじん切りとオリーブオイル、玉葱で合わせていました。
合わせ方がとても気に入りました。
エルルカン・ビスの前店エルルカンの伊東淳一氏の料理を
リクエストしましたが,木津さんらしい料理に変化させて仕上げてくれました。

・根室産蝦夷鹿のパテとイチヂク ラルド添え
蝦夷鹿で作ったパテ・ド・カンパーニュ、フランスの田舎風パテです。
昔のフレンチにはこういうメニューがよくありましたね。
フランボワーズヴィネガーで味をつけたイチヂク、豚の背脂の塩漬けのラルドを組み合わていますね。
ソースはバルサミコです。食感が思ったより柔らかいですね。
旨味はあるし、柔らかさがまた良いですね。

・鳴門産鰆のロースト ガルム風味の小松菜のソース 紅芯大根添え
小松菜のソースは、小松菜、ガルム、柚子胡椒、フォンドヴォライユで作りました。
魚醤がポイントなのですが、ガルムはイタリアのイワシの魚醤です。
添えてあるのは紅芯大根。
これは,かぶのように丸型で中が赤い大根です。
わずかな衝撃でヒビが入りやすいなど,
栽培がとても難しく,デリケートな野菜です。
大根がパリパリでなんだか,いくらでも食べられちゃうんです。
鰆と交互に食べても,さっぱり感が際立って良い感じです。
紅芯大根はそんなに辛味がないので,こういうお料理に合いますね~。

・岡山県日生産牡蠣とズッキーニのトマトクリームソース マフォルデのパスタ
日生で養殖される松崎水産・松丸船舶のマガキは,
周囲の島々から流れ出す豊富な養分と,
カキの成長リズムに合った海水温の変化のおかげで,
大粒でふっくらと身のぷりっぷり感が違います。
パスタはマファルデという波うった麺です。
オリーブオイルやニンニクの風味が強く前面に出ることはなく、
トマトの甘みが柔らかく優しく生きています。
隠し味の鷹の爪が強い気はしますが、とてもいいできあがりです。

・ペルドローのロースト サルミソース
胸肉にはフォアグラと金柑のマーマレードを詰めて焼いています。
付け合わせは天恵姑(デカい椎茸)のクリーム煮をパイケースに入れ、
上にパプリカとジャガイモのピュレをモンブランに仕上げています。
サルミソースはペルドローの骨、内臓をローストし、
香味野菜、コニャック、白ワインなどで作ったサルミソースです。
やや濃い味だけど、品がある。苦みは、探せば、あるかないか。
鮪の赤身のメタリックなおいしさではない、熟した味はソースにあると感じます。
肉の香りとコクはジビエとしては弱めですが、ジビエ初心者にもおすすめできます。
このソースがあることにより、いっそうペルドローの美味しさが引き立ちます。
胸肉にはフォアグラと金柑のマーマレード詰めは、とてもバランスがいいと感じました。
程よく熟成されたものは、野鳥の独特の香りとうまみがあります。
このソースの香りを届けたいくらいです。
ホント、スゴイいい香りでした。

・鳴門門金時のムースと軽く煮込んだ林檎
鳴門金時と林檎のムースの上に蜂蜜のアイスクリームと林檎チップをのせ、
カシスソースで。皿の周りに何箇所かあるジュレはカルヴァドスのジュレですね。

鯵のタルタルや白トリュフ、ぺルドローの料理にしても、
感性のある気合のこもった料理でした。
ここで食べられるのでしたら、予算的には少しでも奮発されて、
予約を前もってされ,シェフに相談されることを,ぜひともオススメします。

最近思うことなのですが、
熟成牛や燻製などばかりに目を向くかたも多いとは思いますが、
日本料理もそうですし、フレンチやイタリアンなどのきちんとした料理法や
調理技術ができている店に、もっと光があたるべきだと思うのです。
そして、ミシュラン掲載店や食べログ高得点の高級有名店の中でもいい店はあるのはわかるのですが、
そういう店ばかりに目が行くのではなく、地場で努力されている店で評価されるべき店を
地方版食べログで光をあてていくことこそが大切なように思います。

東條さんもそうなのですが、木津シェフに関しても、
専門料理誌をいくつも読みこんで実践して、都会のフレンチやイタリアンを食べ歩き、
ジビエ料理も実際に食べ歩かれています。そして、自分らしい料理を提供していっています。
それこそが料理人としての大切な要素のように感じます。
そういう料理人が徳島で少しずつでも増えていっていることが、
お客さんにも還元されますし、全体的にも良くなっていくことにもなります。

ごちそうさまでした。


(再訪)
今回はオフ会で8名でポエシアさんへ。
夏の終わりだったのでビアガーデンというか,
納涼会的なイタリアン,最近は大阪でも肉バルが流行していますし,
バル的な料理で気軽にと,そんなイメージで・・・。
個室に案内されます。
各料理にテーブルワイン程度で合わせて欲しいとお願いしました。

まずはCAVA,クロ・ラ・ソレアで乾杯します。
スペイン産のスパークリングワインでシャンパンと同じ製法で作られています。
瓶内二次発酵方式というたいへん手間のかかる方法で作られます。
フレシネやカステルブランチなどは量販酒店で見たことがあると思います。
これはしっかりとした酸味と甘みのバランスがあり,フレッシュな口当たりです。
アペリティフとしてはいいと感じました。

・ 白桃の冷製スープとフォアグラと生ハム
冷たく冷やした白桃のスープは,コンポートにして煮汁と一緒にミキサーにかけて,
牛乳、生クリーム、レモンジュースで味を整えています。
丁寧に作っており,新鮮な桃の味がたっぷりしています。
フォアグラと鴨の生ハムは,低温調理で味のウマさがひきだされています。
低温調理は冷たくして食べるものにはとてもいいと思います。
黄桃にフォアグラの相性もいいですし,ルッコラとの組み合わせもいいですね~!!

低温調理について少しふれますが,
パリの三ツ星「アルページュ」のアラン・パッサール氏や「アストランス」のパスカル・バルボ氏,
そしてその弟子である日本の三ツ星「カンテサンス」の岸田周三氏の低温調理が有名でしょう。
実は数ある火入れの中の1つが低温調理です。
例えば,フォアグラは脂肪肝で脂をたくさん含んでいますが,
これを焼きますとどんどん脂が抜けてきます。
しまいには脂の抜けた肝臓だけがのこることになってしまう。
これを調度良い焼き加減にして,出来上がりを一定にするには,
鴨の生ハムもそうですが,脂肪が抜けすぎない適度な温度で長時間低温調理しています。
低温調理では焼き色が一切つかないので,匂いの強い素材には使えないのが現状でしょう。

・ブリオッシュ クルミとレーズンのフォカッチャ

・徳島産鱧(はも)のムースとフリット
・モン・マルサル・ブランコ(白ワイン・スペイン)
鱧は丁寧に骨切りしていますね。
外側のカリカリ感もいいですし,フリットすることによって,ふわっとした感じをだしています。
鱧の上の泡はレモンを泡状にしたものです。
ヴィネグレットソースはフレンチのサラダに使う冷たいソースです。
ワインヴィネガーとオリーブオイルかな?
鱧のムースの上にはトマトと梅をミキサーにかけて
抽出したエッセンスのジュレが添えられていました。
鱧と梅肉はよくある組み合わせですが,透明のジュレに梅の味があり,
鱧のムースとの組み合わせはいいと感じました。
合わせた白ワインは,モン・マルサル・ブランコ(スペイン)
フルーティーでリンゴの香りがします。エレガントで余韻があり,丸みがある味わいです。

・仔羊のグリルと三重県産ムール貝ペーストのオレキエッテ 自家製ドライトマトのパン粉をアクセントに
・ランベルティ シャルドネ(白ワイン・イタリア)
私も今日の料理でこれが一番気に入りました。
耳たぶのようなパスタはオレキエッテです。
ソースは生ムール貝をクミンやコリアンダーなどのスパイスでソテーして,
生ムール貝のジュと鶏のブイヨンでペーストしています。
ソースの中にはマッシュルームととタマネギのソテーが入っていました。
あとはパルミジャーノですね~!!
これおいしいです。奥深くて,複雑な滋味を感じます。
そして仔羊のグリルとドライトマトのパン粉をのせています。
ニュージーランド産仔羊は上品で羊(ラム)のクセはありません。
焼き上げ方もよく,クミンやコリアンダーでオリエンタルというか,
アジアを感じるというか,そういう方向性が見えました。
仔羊はしっかり感もありますし,ほどよい歯ごたえを感じました。
ニンニクの香りや自家製ドライトマトのパン粉がとてもいいと思います。
個人的には的矢産や三陸産の生ムール貝そのもののテロワール的な料理も食べたかったです。
合わせた白ワインは,ランベルティ シャルドネ(イタリア)
穏やかな桃の香りや花の香りを感じ,酸味と上質な甘みがあります。

・渡り蟹のトマトクリームリゾット
・パラシオ・デ・ラ・ヴェガ・クリアンサ(赤ワイン・スペイン)
最近はここの渡り蟹のパスタ トマトクリームソースがスペシャリテになっていますが,
渡り蟹のトマトクリームソースでちょっと贅沢なリゾット,
渡り蟹の甘みとうまみが活かされていました。
ズッキーニがインパクト感があり,アクセントになっています。
合わせた赤ワインは,パラシオ・デ・ラ・ヴェガ・クリアンサ(スペイン)
葡萄はテンプラーニョとカベルネソーヴィニヨン種で,
チェリーやプラム,ペッパーを感じますし,複雑な滋味を感じます。

・阿波牛イチボのローストと北海道産生ウニ ワサビ風味の赤ワインソース
・マージュ メルロー&シラー(赤ワイン・フランス)
・2012ペイ・ドック シラー オーガニック(赤ワイン・M.シャプティエ・フランス)
今回の阿波牛イチボはやや固めでした。
イチボとは、牛の臀部(オシリ)の先の肉です。
ランプの先端でいちばん霜降りが入った部分がイチボです。
ミスジと同様に1頭の牛の中から取り出せる量が限りなく少ないものなのです。
まず,見た目はしっとりとした感じがします。
味は赤身肉のあっさり感と霜降り肉の甘みを兼ね備えています。
これも低温調理ですが,これに関しては炭焼きとか,
アルミパンでローストしてアツアツ感をだしたほうが,
他の方にはウケたかもしれません。
低温調理では焼き色が一切つかないのも原因のような気がします。

赤ワインソースは西洋ワサビと本ワサビとフォンドボーを使用しています。
百合根にもこの赤ワインソースとも相性はいいと感じました。
合わせた赤ワインは,マージュ メルロー&シラー(フランス)
ガスコーニュですが,果実味にあふれ,新鮮さがあり,まろやかさを感じながら,
スパイス感もタンニンも感じます。
もうひとつは2012ペイ・ドック シラー オーガニック(M.シャプティエ)
パーカーポイントの高得点でも有名なミッシェル シャプティエ。
素晴しい造り手であり,リーズナブルなワインにもこだわって造ってくれています。 
オーガニックのシラーで,熟した果実の風味にフレッシュさもあり,心地良かったです。

・ライムのグラニテ
お口直しです。ライムの酸味と香りで口の中がすっきりしました。

・ココナッツのムース、ピニャコラーダ仕立てと赤紫蘇のジェラート
ピニャコラーダはラムをベースに,パイナップルジュースと
ココナッツミルクを砕いた氷と一緒にシェイクして作るカクテルです。
ココナッツのムースとチュイル(うす焼きクッキー)とパイナップルを配して,
伺ったのは夏の終わりですが,夏を感じさせるデゼール,
ピニャコラーダのトロピカルなリゾート気分と
赤紫蘇のキリリと引き締まった和の風味との組み合わせでしょうか。

料理の値段も手頃でしたし,今回の料理も良かったです。
今回は納涼会のようなバル感覚の気軽な会でお願いしましたが,
店主はオレキエッテも含め,メニュー構成や料理の組み立てもそうですが,
何回も試行を繰り返したのだなぁ・・・と感じました。

今回この8名の宴会に,他の個室以外の他客席も混み合っており,
店主もスタッフも大変だったとは思います。
前にワインを飲んだ時も良かった記憶があるのですが,
今回もワインをおまかせして大当たりというか大正解でした。
徳島においても他のイタリアンやフレンチ,バルもいったことがありますが,
このクラスでこういうワインに巡り合ったことはありませんでした。
過去にソムリエの奨めていた格付けにとらわれないヴァン・ナチュールよりも断然いいですし,
徳島の店であれば,ワインを頼むならポエシアで決まりだと思います。
これらのワインはそれぞれの質の高さもありますが,
5種類の各ワインを各料理に素晴らしく合わせてきたことには驚きを隠せません。
若い士さま,ワイン代のオーバーした差額分はごちそうさまでした。


(前回)
春野菜や山菜の季節になりました。知人男性がポエシアに行きたいということであり,
野菜をメインにした料理,メインはエゾ鹿を食べたいということで,ポエシアさんにやってきました。
期間の短いなかでの再アップで失礼いたします。写真29枚追加しました。
この店で感じたことは,前回~3回目に述べていますので,参照していただければと思います。

・クラウディーベイ ソーヴィニヨンブラン(白ワイン,ニュージーランド)
このワインはアロマティックでフルーティでとてもなめらかです。
ボディーはしっかりしていて,バランスがとても良いワインです。

・シルクウッド キャブシラーズ レッドデュエット(赤ワイン,カリフォルニア)
しっかりとした輪郭がありつつも,優しい口当たりのワインで,
フランボワーズなどを思わせる果実味と,スムーズな口当たりのミディアムボディです。

・春ニンジンのムース(エスプーマ)とコンソメジュレ 北海道産生雲丹とともに
今回はマノアール・ダスティンの五十嵐安雄氏のスペシャリテ「人参のムース コンソメジュレとともに」
をお願いしました。違っているところは,セルフィユをあしらい,コリアンダーとクミンでエスニック感があるところでしょうか。
この料理の魅力はやさしい口当たりにあります。コンソメジュレはやっと固まるくらいのぎりぎりの柔らかさ。
口に入れた瞬間に双方が同時に溶けて混ざり合う感覚がいいと思います。
最初の一品から気合いが入っていました。

・サヨリのマリネと春野菜のサラダ
春野菜はうるい・うど,ベビーリーフをあしらい,上質なサヨリの身はマリネ,骨はカリッとフリットで。
うるいもうど,サヨリといい,春らしい季節感あるオードブルでした。

・香川産ホワイトアスパラを桜の香りのサバイヨンで香ばしく 自家製鴨の生ハムを添えて
これもマノアール・ダスティンブルギニヨンなど,いくつかのフレンチで提供される料理です。
ホワイトアスパラが入荷されるときには,決まって思い出すのは,オランデーズソースかサヴァイヨンソースです。
オーソドックスな料理には,誰もが認める良さがあります。
シャキシャキとした歯ざわりのみずみずしいホワイトアスパラガス,
それをふんわりと包み込み,サヴァイヨンソースがアスパラの甘みを引き立ててくれます。
サヴァイヨンソースには,桜の葉を一晩漬け込んだ水を加える事で香りを移しています。
桜の花の塩漬けを塩抜きして乾燥させてパウダーにして散らしており,ほのかな塩気を残して香りがあります。
桜の葉の方は塩抜きしてからシロップとともに真空して,低温のオーブンでパリパリに乾燥させています。
春を皿に表現していただいているのですが,細やかな素晴らしい演出です。
添えてある自家製鴨の生ハムのできがすこぶるいいですね。

・香川産ホワイトアスパラガスのスープ カルダモン風味 帆立貝柱のセルフィーユパン粉焼き
北海道産生帆立貝は絶妙の火入れで,焼いたパン粉を付けています。この香川産ホワイトアスパラガスのスープは,鶏のフォンと牛乳,クリーム,あと少量のカルダモンを合わせていますが,とてもいい仕上がりなのです。

・フレッシュ紋甲烏賊の軽いグリエと生ハムのルッコラペーストのバベッティーネ
フレッシュの紋甲烏賊もスペイン産生ハムもいいですし,ルッコラのペーストのソースが春の緑を感じました。

・根室産エゾ鹿ロースとフォアグラのロースト 木の芽とオレンジの香り
根室産エゾ鹿はこの時期ですが,当然フレッシュです。
クセもなく,しっとりとした肉感が味わえました。ポロ葱とじゃがいものピューレを添えています。
木の芽のオイルとオレンジが入ったヴァルサミコソースは,
低温調理でローストしたエゾ鹿ロースにも中に挟んだフォアグラにも相性抜群です。
エゾ鹿ロースもおいしいのですが,エゾ鹿の脂がとても美味しいです。
徳島産の鹿と比較して,ジューシーで味のある美味しさを感じます。
やはりエゾ鹿のほうがウマいですね。
鹿肉は「高タンパク・鉄分多め・脂肪分が少ない」,とてもヘルシーな肉です。
「鹿肉は匂いやクセが強い」などと言われますが,
これは鮮度や血抜きが悪いなど,処理方法や冷凍に問題があることがほとんどです。
これは木津さんのスペシャリテになるでしょう。

・ライムのグラニテ
ライムのすっきりとした酸味がエゾ鹿ロース肉の脂をさっぱりと落としてくれます。

・ショコラブランのムースとキャラメルのグラス 〜薔薇と苺のマリアージュ〜
苺のヴァシュランといい,これも乙女心を喜ばしてくれるようなメルヘンチックなデゼールです。
ショコラブランはホワイトチョコレートのムースとキャラメルのアイスクリーム,
薔薇の香りの白ワインのジュレ、あと苺のソースとフランボワーズのチュイルです。

今回は野菜をメインにお願いしましたが,難しさがありながら,よく考えぬいていただきました。
これから桜のシーズンに向かうのですが,桜の葉を使用したり,
桜の花の塩漬けを塩抜きして乾燥させてパウダーにして散らしたり,
春という季節感と,桜にもこだわりを感じさせてくれました。
料理に関しては,組み合わせ等もよくよく考え抜いています。
基本ベースはクラシックなフレンチスタイルですが,
木津さんらしさと季節感を感じる現代的な料理に仕上げています。

徳島のレストランでも,こういう料理に出逢えることに驚きます。
天然白身魚や根室産毛蟹,エゾ鹿,熊本産野生猪などのメイン素材もそうですが,
添えられている野菜も厳選選別しており,ウマさを感じました。
そして,高級食材のエゾ鹿やトリュフやポルチーニ茸も何回も入荷したりと,
他店では入荷しえていないものにこだわり,その志しや気持ちには素直に評価したいと思います。
その割りに値段は良心的価格で,コスパは優れています。

さて,ポエシアさんでは,客席から桜を見ることができます。
桜の花見の時期は,ここで気合いの入った天然魚や阿波牛いちぼ,
フレッシュの仔羊や鴨などの料理を楽しむことができます。
ここの客席から見る桜の風景の写真をアップしていますが,
物足りない場合は,近くの津田木材団地の公園の桜がとてもきれいです。
お花見ランチやお花見ディナーにもぴったりですし,
ここに来られる場合は,ランチにしてもディナーにしても,事前に予算や好み,
料理内容の希望などを予約して伝えると全然違うと感じます。
何回か伺うと,お客さん好みの味付けもしてくださいます。
そして,あらゆる要望に応えてくれるでしょう


※(主レビュー)から(5回目)のレビューは,
http://tabelog.com/rvwr/000709368/diarylst/)に移動しました。

  • 沼島産鱧と冷たいコンソメ
  • 高知産カツオのタタキとトマトのクスクス
  • 宮城産ホタテ貝柱とサマートリュフ

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