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竹韻飄香代々木上原、代々木八幡、代々木公園/四川料理、中華料理、汁なし担々麺
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夜の点数:4.3
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¥15,000~¥19,999 / 1人
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料理・味 -
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センスと技術と好奇心が結実している
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2023/01/24 更新
四川の郷土料理に、飄香らしい繊細なエッセンスを加えた皿たち。‶万華鏡のように味が複雑に絡む伝統四川料理〟と銘打っているが、なるほどと唸ってしまう。和食のような繊細さと、四川料理の複雑なスパイス使いと発酵使いが重なり合い、無類の味わいを奏でている。
シェフの廣瀬文彦氏は、アジアの土地に根ざした食文化についての探究心をお持ちの方で、各地をバックパッカーとして旅し、四川省の成都での修行を経て、帰国後07年に飄香に入社。系列店の料理長を経て、21年この竹韻飄香料理長に就任されたと聞く。一部からは、‶鬼才〟という評も聞かれる。
コースの組み立ても巧みであり、次はどんな皿かとつい期待してしまう。以下、印象に残った皿の雑感。
前菜の牡蠣のオイル漬。生胡椒にピンクペッパーが清々しさを添えている。
地鶏の香り蒸し。コクのある火鍋ソース、爽やかな青山椒ソース。何よりビニル手袋で手づかみというのがいい。箸で食べるより美味いのは何故だろう。
松の実や春菊、牛蒡の「季節の養生スープ」も生姜が効いてしみじみとする。鶏肉の下ごしらえも手を抜かずパサつきは皆無。
昆布と蒸した金目鯛もしっとりとした火入れ。葱油をかけて味わいが中華に寄る。
スパイスと粉砕した米粉を纏わせた牛肉も重層的な香りが味わい深い。
見慣れた麻婆豆腐も、ラム肉。木綿ではなく絹豆腐。そして、何だろう、酸味のある発酵の味わいが余韻を残す。
デザートの柑橘のグラニテに敷かれるのもゼリーではなく、白木耳のぷるりとした触感。
舌に響いた皿は、合鴨つみれと古漬大根の煮込み、であった。合鴨つみれの肉々しい食感。発酵の酸味。赤唐辛子のうっすらとした辛み。百合根のほっくりとした甘み。このあたりのバランス感は素晴らしい。複雑で飽きのこない、(ある意味、中毒性のある)優しい旨味。これを鍋で食べ続けたい、という衝動が込み上げる。
また、初めてカラメルフリーの紹興酒を頂いたが、これも良かった。ここまで綺麗な味わいの紹興酒は未経験であった。体に馴染み、すっと入ってくる。
廣瀬シェフの料理の卓越したセンスに触れ、好奇心が働くためだろう。食べながら、和食やインド料理などについても思索が巡る。スパイスを素材と絡めるのみならず、発酵を組み合わせているためか、味に複雑な奥行きが生まれている。かと思えば、金目鯛の処理の繊細で柔らかい料理にも唸らされる。足し算と引き算、そのあたりのセンスは脱帽だ。
食べ終えて、疲れない。味のメリハリはあるが、どこか優しい。一つ一つの皿に滋味と驚きがある。廣瀬氏の生み出す料理にしばらくハマってしまいそうな気がする。