ミニミニ大作戦さんのマイ★ベストレストラン 2014

ミニミニ大作戦の庶民的食文化に関する調査報告書

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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順位付けは、総合評点の高い順です。同点の場合は、料理・味評点で、それも同点の場合は、訪問日が遅い物件を上位としました。今年は二郎巡りに明け暮れた一年だったので、もしや脱甘モノできるか!?と密かに考えてましたが、フタを開けるとやはり過半数が甘モノ物件。つくづく甘党なのだと再認識した次第です。来年こそ脱甘モノ、トンカツ巡りに明け暮れたいかなと。 ミニミニ大作戦

マイ★ベストレストラン

1位

丸山吉平 (浅草橋、新御徒町、仲御徒町 / とんかつ)

3回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 ¥1,000~¥1,999

2018/03訪問 2018/04/01

最廉価メニューを初めて試すの巻

私的には・・・国内最高峰トンカツ。豚が活きている。
閉店15分前に店着したら待ち2人目で接続。今や頂上トンカツ店の一軒として認知されたお店だけれど、これなら拍子抜けするほど普通。流石に開業して数年も経てば落ち着くのだなと。で、券売機の前に立ってボタンを眺めてて笑った。「最高の接客おかわり無制限」なるメニューは0円、まあ、大将流のアイロニーである。更に笑ったのが「店長に呼ばれる前に座る権利」が1億円だって。こりゃ更に極め付きの大将の皮肉なんである。どっかの大金持ちがマジで1億円払わないかなぁ。でも1万円札を1万枚券売機に挿入しなきゃならん訳で、ウィ~ンと3秒で引き込まれるとしても、そんで休みなしに挿入したとしても、実に8時間30分を要する訳で、とうに営業時間は過ぎてるのである。じゃあってんで、100万円の札束を100個ドンッとカウンターに置いたとしても、「ちゃんと食券を買って下さいよ」と大将に言われるのがオチなんであって・・・そんなこんな考えてるうちに(←バカ)丸山吉平の最廉価メニューがカウンターに置かれた。

【ロース+単品ご飯】1400+200=1600円
券売機の表示から察するに、ローストンカツのグレードはロース→ロース200(たぶん200g)→ロース250(恐らく250g)、ロース300(察するに300g)となっている。この等差数列に従うならば、最廉価のロースは150gって事になるんだが、目の前のソレの量感は150gにしては妙に割腹が良い。何でこんな所に拘ってるかと言うと、豚も生きもの、当然ながら肉にも個性がある。実際、掃除を済ませたロース塊一本と言っても、当然旨い部分と味落ちする部分が連続的に繋がってる訳で、ソイツは包丁を入れて行かないと分からない。オーダー順に依って悪い部分が巡ってきたらそりゃご不幸。なので、次のカットは少し味落ちするだろうな、と大勝が判断したならば、気持ち厚めにカットしたりもする。それがせめてもの良心ってもんだ。と言う訳で、肉の重量は良い意味でブレてる事もある。だから肉重量は必ずしも精緻に揃えられてる訳でもない。と言う裏話。

閑話休題。

ともかく1400円の最廉価メニューってのも、丸山吉平トンカツに馴染みがない方には「高いじゃないの!?」となるんだろうが、まあ喰って見て下さいな。それでもコスパは十分に旨いから。ベースの肉キャラは紛う事無く林SPF豚だし、適切な熟成とブレない揚げもハイエンドメニューと変わらず手抜き無し。要は脂の載りや刺し様などで決まって来る、付加的な味のリッチさが違うだけで、そりゃ値段が違うんだから当然なんである。逆に程々の脂身でサクリと喰える身軽さがあって、もしかしたらデフォルトはこれで良いんじゃないかしら、そんな気もしたり。要は気軽なんである。

【まとめ】
このメニューなら、別注の白飯を頼んで、岩塩やチョビットソースを垂らして白飯のオカズとして丸山トンカツをかじっても罪悪感が少ない。ホント気軽である。トンカツ定食って気分でガツガツ喰えるのも、たまには良いもんだ。最廉価メニューであっても、やはり丸山吉平旨し。
店主殿の撮り食べ嫌いを慮って本日は撮影一切無し。喰いに集中する。添付の画像は過去撮影分なのでご了承を。

【吉平リブ】3400円
実に久しぶり。すでに我が国を代表するトンカツ屋の1軒に認知されて久しいが、相変わらずそのクォーリティは超絶。ソースはおろか、調味用の岩塩さえもレフューズせざるを得ぬ私。豚肉&ラードの風味だけで喰いたくなるトンカツは、世にトンカツ屋だらけとあっても、そうそうあるもんじゃない。左端の一切れから、右端の一切れに向かって、休みなくただトンカツだけを喰らうのだが、それでも進む火の入り。ミディアムレアの林SPF豚の、センター部分の僅かに透明感を伴う桜色が、余熱で火入れが進むにつれジワジワと白地へ変身して行く。それに伴い大胆に変貌して行くテクスチャと風味。肉からトンカツへ。注意深く味わえば、それこそ二切れ毎に、そんな変化を感じられる。こんな喰い方を強いる、いや強いられたくなるトンカツって、悪いが他に無い。だからしてこのお代は、適正であるどころか、実は安いと言うべきなのだ。

【まとめ】
丸山トンカツは生モノだ。刺身なんかより遥かにずっと生きモノだ。もう豚が活きている。屠畜され、熟成され、掃除され、パン粉と玉子まみれにされ、挙句にラードでジャアと揚げられたとしても、それでも相変わらず活きている。こんな豚肉、喰ってみたいと思いませんか?
昨夜はトンカツオフ。大門の名店でトンカツ三昧したはずなのに、何故か満たされぬ豚欲。肉欲開放状態のまま〆られてない感覚。こりゃ豚欲駆け込み寺にダッシュするしかあるまい。仕事なんてサボってやらぁ!!

2014年3月11日

開業から一年半を経て、落ち着きを見せるかと思いきや、益々地味に爆走する丸山吉平。とうとう念願のバラカツ(正確にはリブロースカツ)がラインナップ!!

【熟成リブロース定食】2800円
これを高いと思うなかれ。380gもあるのだから。今回の豚は熟成リブロース。ロースブロックのサイド、バラへと続く部分。なのでその脂の刺し具合は、一見バラと見紛うほど。こいつをいつものレア揚げで喰らう。グムッと箸で拡げれば、ミチチッと刺し脂の部分で破断して行く豚。僅かな筋感を伴う豚を、つまり熟成されてるとは言え、無用には柔らかくは無いこいつを噛みしめる。これだけ脂が刺してるって言うのに、380gの量を殆ど感じない、素直で嫌みの全くない豚脂。これが林SPFの真骨頂か。

やはり、何を喰っても、何度喰っても感じざるを得ない、唯一無二のビビッドさ。やはりここのトンカツは活きてい。冷えたなまくらトンカツ、つまり活きていトンカツになるまでの、限られた僅か数分間で一気に喰い切る刹那さが素敵だ。一切何も付けずとも無心喰いできてしまうトンカツは、トンカツ好きの皆さんにはお叱りを受けるだろうが、私にはやはりここのトンカツだけだ。他のトンカツと明らかに離れた所に、独りポツネンと立つぴょんカツは何時も飛び切り恰好良い。

2013年12月13日

独り営業体制になって数ヶ月。結局大将、弟子を採る事無く、バイトを雇う事も無く、昼営業メインで奮闘中。子育て優先で、奥さんが再びお店に立たれることも、当分ないだろうし、どうやら大将、細々昼営業メインで、行けるトコまでやってみようって腹を括られたご様子。まんず、収入と言うよりも、ご本人の体力がネックになるんだろうけど。そりゃ独りはシンドイでしょうよ・・・

【ぼーヒレかつ定食】2000円
今日は揚げに入る前に「大将がベストと思う揚げで」と一言注文。それで出てきたのがコレ。もはや豚のたたき揚げと言ってはばかり無しの、ウルトラレア。正直、一見したらギョッとするほどだが、コレが大将の理想揚げって事なのだろう。とにかく、ヒレカツの見方を変えてくれたメニュー。焼きたての鶏ささ身が無用に旨いのと同じ。ヘンな匂い皆無の林SPF豚を、二、三週間ジックリ湿式熟成させて、ザクッと揚げる。活きのイイ豚肉って形容したくなる、唯一無二にして屈指の個性的ヒレカツ。

【大特ロースかつ定食】2000円
こちらもヒレカツほどでは無いが、かなりのレア度。レア豚をリスキーと感じる方や、肉はキッチリ火入れしなきゃって方には、絶対に受け入れられないレベル。じゃあ、お前はどうなの?と訊かれれば、もう少し火が通った方が、正直好み。とにかく今回は、お店で提供される平均的揚げじゃなくって、大将の良しとする揚げを食べる事が目的だったわけで、なるほど、賄いではこの揚げで食べられてるのねってのが良く分かった次第。全く色んな経験をさせてくれる、得がたいお店である。

2013年8月8日

さて今回は、揚げ師は同じでも、いつもと違う豚を揚げると味わいはどう変わるか!?と言うお話。ぴょんカツは、デフォで林SPF豚なる銘柄豚を用いるのは周知の事実だが、たまに異種銘柄豚のストックに出会うことがある。それが今回の素材、柔豚。「今日は柔豚が残ってるけど食べてみる?」との大将お誘いに、さっさと乗っかる事にして。今回は当たり外れは置いといて、ココは授業料の積もりで、「ハイ、柔豚でお願いね♡」

【柔豚上肩ロースカツ定食】1900円
柔豚なる銘柄豚の肩ロースを四週間熟成させたスペシャル豚。今回は、ドンと大判一枚じゃなくて、中サイズカットの二枚乗りである。コレで概ね200gと言うところか。衣は何時ものぴょんカツ流儀で、絶妙にピキピキ尖がったセミ・ドライな極上モノ。だけども一口食べれば、ソコにある味わいは、林SPF豚とは相当に異なると言う、オドロキの展開である。

四週間熟成の効果だろう、肉質は非常に柔らかい。もしかしたら、若干バンバンしてるかしら。その繊維感に乏しい噛み切れ具合は、トンカツに柔らかさを求める向きには、かなり優れた肩ロースなのだろうが、私にはちょっとお節介が過ぎるかも。しかし更に印象的なのは、食感よりも味である。脂がトロ~ン、コッテリ。量じゃなくて脂の質がである。まるでトンカツから染み出して舌に絡み付くようなネットリ感は、林SPF豚のサラリとしたクリアな脂質と大きく異なる。だからして勿論、肉の味も、どちらかと言えば濃くてマッタリ。

恐らく、この柔豚トンカツにハマる人は、林SPF豚では物足りないだろう。例えるなら、水生インクのボールポイントペンを使った、カチリとシャープな描画が林SPF豚だとすれば、まるでマジックペンで描いたラフ画の様な柔豚。ちょっと粗暴気味なキャラである。コレは全く好みの問題であって、優劣を決めるモノでも無いのだが、私的には、ぴょんカツの素材としては、やはり林SPF豚を断然推したい。結局、この豚ありきのぴょんカツなのだろう。

豚が違うだけで、ココまで味わい変わるか!?それが今回のワクワク&オドロキ。丸山はきっと、林SPF豚のキャラを活かし切る揚げなのだ。素材に惚れ込んで初めて、素材を活かす調理ができるのだろうなと再認識した次第。林SPF豚のキャラにピタリと合った、シャープにして力強い揚げを旨とするぴょんカツ。豚と揚げが完全に協奏している。やはりコレ以上のトンカツは無いんじゃないのかなぁ・・・

2013年7月1日

今夜は丸山でトンカツオフ。マイレビュさんとの三人パーティー。とにかく今夜もムチャってしまった。これだけトンカツを一度に喰ったのは初めてじゃなかろうか。何せ三人でシェアしたものの、一滴も飲まない私、トンカツだけで推定700gは喰った。カロコン目的で算出した、本オフでの総摂取カロリーは、実に3666kcal!!死ぬぞお前(- -;)

【三種トンカツ食べ比べ】
三週間熟成肩ロース
一番のオキニメニュー。熟成に伴いインフレした豚味、ドバッと軟化したホロホロ肉質。それでも、刺し入り脂の間でグネグネとのたうつ繊維感は、噛むたびに、柔らかくもキレの良い歯応えを返して来る。肉を噛み喰うシアワセ。更に激しい旨みに舌も狂喜する。

ロース
熟成肩ロースがホロホロ濃厚味わいだっただけに、ミチッと詰まった赤身のシルキーさと、林SPF豚のスッキリ脂が、実にフレッシュささえ感じさせる、かなり別世界の旨さ。相変わらずビシッと肉に喰い付いた、香ばしさ極まるビンビン衣も唯一無二。

ヒレ
正直、コレほどヒレが旨いと思った事が無かった。何!?この瑞々しさは。ミディアムレアの赤みが消え逝く僅かな間にこそ味わえる、林SPF豚ヒレの本領。ぴょん吉さんが、このヒレの味わいをして、トンカツ屋になろうとしたって言うのも、少し分かった気がする。

【ロースカツカレー】
まだ喰うか、お前!?いや、〆のつもりでカツカレーを食べようと。「ご飯が足らないから、賄いのナポ盛っとくし」とぴょん吉さん。その結果、〆のはずの一皿は、もはや凄まじい姿に。こりゃまるでトルコライスカレーじゃないの。それでも、これだけ喰ってても、口に運べば、「う~ん、旨い!!」と口走ってしまう私は、完全に蛙教祖様に洗脳されてしまった様である。

コレで結局3666kcal。666は悪魔の数字。ココのトンカツは、メタボへと誘う悪魔のお味。以上、ご馳走様!!

2013年4月18日

【ロースカツ定食】900円
ぴょん吉さん、最近は豚熟成に凝っておられる。ちょっとナイショっぽいのだが、どうやら二週間程、カット前のブロックのまま冷蔵庫で放置プレーの様子。当然ながら豚肉の自己消化が進むので、筋繊維が分解されて柔らかさアップ。筋繊維蛋白アクチンとミオシンが分解されれば、当然アミノ酸が生成されるので、上手くすれば肉の旨みもアップ。そもそも昔から言うではないか。「肉は色が変わってくる頃が旨いのだ!!」

さて、今回のロースカツ定食は、提供価格\900と、このお店で最も廉価なトンカツメニュー。早速揚げたてを何も付けずにザクリと噛めば、なるほどコレまでのロースカツより、明確に柔らかい。こりゃあ肉が化けたな・・・正に熟成効果である。一方、旨みの方は余り変わった気はしない。ここら辺り、味が変わる程には熟成が進行していない。ともかく、一段と噛み心地が向上したロースカツは、手放しで喜べるカスタマイズ・トンカツ。

こう言う具合だから、ぴょんカツってのは何時も食べてて楽しい。精々一月か二月に一度しか行けないけれど、その度にトンカツの味わいが変化している。あるいは進化と言うべきか。何時も変らぬ味ってのにも、安心感と職人気質を感じるが、その対極にある、ぴょんカツみたいに常に変動している実験的皿も、これまた捨て難い。「コッチの方がもっとイイかな?」って言う、職人殿のその時々の指向に、自分の波長がピッタンコ合えば、そりゃあやっぱり虜になっちゃうのだ。

2013年2月27日

【肩ロースカツカレー豚角煮マシ】1900円
そもそも、カロリーコントロール中の私は、今日はヒレカツを喰いに来たのだ。ご飯小盛りで。なのにぴょん吉さんたら、「ミニミニさん、今日は肩ロースカツカレー食べてみて。豚角煮マシで」と来た。ちょっと待て~、何処のお店が客の喰うもの決めるんかぁ!?でも、仕方ない。ぴょん吉さんのオススメを反故にするなんぞ、男ミニミニの名折れである。幾らでも喰いまっせ~(^ ^;)

画像でその迫力が伝わるかどうか。とにかく、カレー皿から天井に向かって大きく盛り上がってしまったその山は、これを二郎インスパイアと呼ばずに何と呼ぶか!?である。先ずはメインの肩ロースカツ。1月からのレギュラーメニューだが、コイツはめちゃくちゃ旨い。もうぴょんカツ軍団の中では、最高位のお気に入りになってしまった。特にこの一枚は、肩ロース部位の中でも、最もロースよりの最上質な一枚。何時ものピキピキに尖って立ちまくりの衣に包まれる豚は、赤身に食い込む脂身と、のたうつ肉繊維が最高の歯応え&甘い味わい。ちょっと記述し難いぐらい溜まらん旨さである。

カレールウも、昨年秋の開店以降、徐々に進化中。今回のは、ベースに豚骨スープを加えられたとの事である。そのお陰で、ルウはかなり分厚くて、相当に円やかな味わいに変貌した。ちょっと驚くほどの変わり様。その代わりと言っては何だが、開業当初の、フレッシュ&シャープ&スパイシーな味わいは薄まった。恐らく殆どの方は、現状ルウの方が旨いと感じられるに違いない。しかし天邪鬼な私は、率直に言うと、開業当初のルウが好みではある。

トドメはオプショントッピングされた豚の角煮。1/3はベッタリと脂身の張り付いたバカデカイ肉塊、暴力級の煮豚である。ソイツが三個もルウに埋まる。そのお陰で、もう皿の淵からルウがこぼれんばかりの、凄まじい状態になってしまっている(^ ^;)余りにもウレシ過ぎるお姿。口に含めば五秒でとろけて無くなってしまいそうな、トロントロンな煮豚。肩ロースと合わせて、軽く350gはあるだろう、豚まみれな皿。食べ応えなんて生易しいもんじゃあ済まされない、骨の髄まで豚を堪能できる、これはやはり極上の豚皿であった。

とにかく、理屈でなくて旨いのだ。何度来ても新しい発見がある。胸の奥にジンと来る、得体の知れないこのモノは、料理の味わいが、単なる味だけでなくて、創り手の想いや食べ手との機微の上に成り立っていると言う事を、否応無く教唆してくれる。私にとってココは、喰う喜びを感じさせてくれる桃源郷なのだ。

2012年12月27日

【上ロースかつ定食】1200円
今日は仕入れたばかりの林SPF豚ホールロースを見せて頂いた。「この辺りが特上ロースで、ここらが上ロース、そんでココがロースとカツカレー用で・・・」大将の丁寧なご説明。豚一匹から二本取れるロース。その片身で重さ4.9kg。表示ラベルの加工日を見れば12月27日。バリバリの新鮮ロースである。あばらの跡も生々しいロースは、生で見てても旨そうだし(@。@)

今日は機会に恵まれて、大将と二時間くらいお話できた。色んな事を聞いたのだ。あんな事♡から、こんな事☠まで。でも、すんませんが、ココでは書けない事。だって、他の有名トンカツ屋さんが困るでしょ(^ ^;)そのお陰で、吉平とんかつの旨さの謎がまた少しわかちゃった。大将と話するのはホントに楽しくて飽きない。

そんな大将からのご依頼
ファサードに「アルバイト募集」と張り紙がしてあるのに気付かれた方がおられるだろうか。アルバイトってなってるけれど、大将、結構マジで弟子を探しておられる。そのうちに行列必至のお店だから、当然手を打っておかにゃあならん訳で、大将の計画は着々と進行するのだ。勿論、ホール係も皿洗もしなきゃならんし、閉店後の片付けもミッチリ。だけどそソレだけじゃない無い。「吉平とんかつ」のイロハを学べるチャンス。職人を目指しておられる志ある方、是非とも師匠にコンタクトされたし。私が申し上げるのは甚だ僭越なのだが、実に魅力あるお方だから。

2012年11月20日

【特ヒレかつ定食】1800円
これは大将が最も推す一皿。蒲田にある某トンカツ屋で食べたこの林SPF豚ヒレ肉の虜になった大将は、結局、その某トンカツ屋を師匠と仰ぎ、とうとうご自分でトンカツを揚げ始められる事になった訳だ。この特ヒレかつについては、画像をご覧下さればレベルの高さがお分かり頂けるだろう。完璧なミディアムレア。やはりロースにも増して、上品でアッサリした嫌味のない旨みには、もはや爽やかさを感じてしまう。溢れんほどの肉汁。何なのだ、この瑞々しいトンカツは。セットのキャベツも、豚汁も、白飯さえも口にするのがもどかしく、ひたすらヒレカツを岩塩で味わうミニミニ。これまで喰ってたヒレカツは一体何だったのだろう・・・。この定食、その価格は何と1800円。アンビリーバブルである。有名店なら夏目さん三枚コースでもおかしくない。心配して大将に伺えば、これでも一応儲けは取れるそうであるが、こりゃあちょっと安過ぎやしませんか!?この品質を維持できるなら、早々に行列店の仲間入りだろう。安くて旨い、じゃない。旨いのに安い、と言うべき。

【カツカレー】900円
特ヒレかつ定食を完食した直後の連食。なので、お腹は結構満腹なのだが、にも関わらず三口喰って笑った。コレも相当旨い。ちょいと酸味の効いたルーは、唐辛子でキンキン辛いと言うよりも、胡椒系のジンワリくるスパイシーさ。ある意味、ごく普通のお家カレー的な素朴さだ。このルー、ココの特徴だろう、硬めに炊き上げられた白飯と妙に相性が良い。更にロースカツの旨さは、そこいらのカツカレーのソレを遥かに凌駕している。特上ロースかつとは一変、薄め故にシッカリ火入れされたロースカツは、それ自体が定食のメインになるクオリティ。これが900円ってのはイカンでしょ大将。CoCo壱カツカレーなんて蹴散らしてしまう戦闘力である。

2012年11月19日

【特上ロースかつ定食】1500円
何と言っても拘りは豚肉の出自である。千葉県、株式会社林商店のSPF(Specific Pathogen Free、特定病原菌フリー)豚。分かりやすく言えば、帝王切開で無菌分娩させた後に、衛生飼育手順に則って育てられた健康豚。極論すれば、レアな火入れでも豚特有の感染症リスクが無い。大将曰く、この林SPF豚の味に出逢う事無くして、トンカツ屋丸山吉平の実現は無かった。大将がそれ程に入れ込んだ分厚くスライスされた豚ロースは、選び抜かれた中屋のパン粉をビッチリと身に纏った後、ミヨシラードの海で、9分間ユックリと揚げられる。金網に引き上げられた豚を、更に余熱でキッチリ2分間火入れしてから丁寧にカット。その断面は、中心部分が淡いピンク色をしつつ、断面に肉汁が薄っすらと染み出す完璧なミディアムレア状態。

こう言うハイエンドトンカツは塩食べに限る。大将手製の甘口シャボシャボソースも悪くは無いが、やはり岩塩で豚肉の風味を殺さずに食べたい。岩塩は白と黒が支度されるのだが、黒岩塩の風味、そのまるで茹で玉子のような硫黄な風味が、トンカツに何とも絶妙に良く似合う。歯を入れれば、ガッチリと肉に喰い付く衣のシャリサクとした食感、ビッチリと張り付く端麗な脂身から口中に溢れ出す甘味。何とも旨い。赤身部分はアッサリとした嫌味のない味わい。中心部は若干粘着質な歯応えだが、これはミディアムレアのジューシーさと引き換えなので致し方あるまい。これは流石の揚げだ。シッカリ揚げ嗜好の方には抵抗があるかも知れないが、そんな時はウェルダンで、と大将に伝えるのが宜しかろう。大将はホンマに豚マニアだ。

付属の豚汁も大したもの。一見すると地味なのでオマケチックに映るのだが、とんでもない。大将が如何に豚好が好きで、添え物の豚汁にまで手を抜かれていない事が良く解る。硬めに炊き上げられた白飯も男っぽくて好みである。こんなハイレベルの特上ロースかつ定食を1500円で出されると、そこいらのトンカツ屋はちょっと勝負にならなかろう。相当にコスパ高しと断言したい。

【まとめ】
私がトンカツを撮影していると、視野の外から大将の杞憂が私に伝播する。とうとう大将が口を開かれた。「写真撮るより、早く食べてよ。ほら、撮影してる間にも、真ん中のピンク色が褪せて行くでしょ!?」・・・こう言うのを「モノに拘る」と言うのだ。この一言で私は、トンカツ屋としての大将の成功を確信した。トンカツ屋丸山吉平が、自他共に認める一流に伸し上がるまで、私は全面的に応援する。大将の理想とするトンカツを、これからも突き詰めて欲しい。

  • ロース+単品ごはん
  • 刺々しいエッジ立ちまくり衣
  • 丸山最廉価トンカツの断面

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2位

イデミスギノ (京橋、宝町、銀座一丁目 / ケーキ、カフェ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/01訪問 2014/06/04

モンブラン大作戦 第八回 -比類なき独創性で突っ走る、ケーキ界孤高の存在- 【再々々訪】

前訪では少なからずショックを受けた。初めてだったのである、イデミケーにあるべきものが無い様に感じたのは。ソレは、極上レベルに仕上げられた全てのパーツが、相容れず相反し、せめぎ合う結果生まれる強い個性。イデミならではの、見えぬようでもソコにある、ぶっとい背骨。そんな豪腕的な主張が感じられなかった。それが、ちょっと引っ掛かり続けての、リベンジ再訪。

2014年1月26日

【タルトレットオランジュ】\630
Appearance:
正にイデミ。シンプルにしてセンスの良いアクがある。薄っぺらなコフィン型タルトレットの表面に、デーハーな果実がバラバラと。何やらすっ呆けてて隙だらけの様な構成。そんな危うい塊の表面で乱舞する原色系色彩、そのアクを更にブーストアップしてるとしか思えぬ表面のテカリ具合。いやはや、誠に向こう気が強い。こうでなくちゃイデミは。

Structure:
トップには唐突に木苺、ブルーベリー、オレンジの三点盛り。オレンジはゼリーコートされててグロッシー。艶かしいのが極めてミスマッチで楽しいじゃないか。本体はオレンジクリームを充填して、かるく表層をキャラメリゼしただけの、シンプル極み無きタルトレット。よくもまあ、コレだけで手を引けるな、と関心しちゃう程のシンプルな構成。

Taste:
これこそイデミの独断場。強烈ネットリなオレンジクリームの、相当にコントラストの強い酸味と苦味と甘味。これらを、表層キャラメリゼの繊細なカラメル苦味がそっとラップする。二種類の苦味を感じさせる辺り、もはや言葉も出ぬ。一方、タルト台は、イデミにしてはホロホロとした食感が意外なサブレー的仕上げ。何時ものカンカン堅焼き極薄台とは対照的である。ちょっと下品にしてデカダンス的なトッピングフルーツも、食べてみれば、シャープな酸味で活きがよろしい。

Summary:
安心した。コイツはイデミにしか出来ない芸当。簡単に作ってるようで、その実ガッツリ自己主張してる外観と味わい。相変わらず意表を突くパーツ同士のせめぎ合い。それでこそ生まれ得る骨のある味わい。ソコにはイデミの背骨がズバッと通ってる。これがイデミってもんだ。

2013年11月3日

甘モノツアーin東京 第一回戦・・・ナンダそりゃ!?

ハイ。これでも一応甘モノ好きを自称する私、食べログ三年目の今年どうしてもやっておきたい事があった。甘モノ遠足。甘モノ好きのマイレビュさんと徒党を組んで、マイレビュさんオススメのお菓子屋さんを、一日掛けて食べ歩く。そんな企画を実行する時がやって来た。

旅程はコチラ→食べログレビュアーズ甘モノ遠足「第一回甘モノツアーin東京」
概要はコチラ→食べログレビュアーズ甘モノ遠足はやはり楽しかった。

今回から七回連続して、そんな甘モノツアーin東京で一体我々は何を見聞したか!?その全てをレビューしたい。

銀座に始まり銀座で終わる今回の甘モノ遠足。記念すべき第一回戦は、泣く子も黙るイデミ・スギノ。開店前の10:40、イデミ・スギノに集結した甘モノ食べ歩き隊は総勢六名。この後、合流、離脱をしながら、20:00終了予定の最終戦まで、甘モノ縛りの耐久戦が繰り広げられる。最終ゴールに到達できるのは、真の甘モノ好きのみなのだぁ~(^w^)・・・もうワクワクが止まりませんなぁ。

【アヤ】\650
Appearance:
今回は六名でイートイン。ご存知の通り、ここは店内撮影一切厳禁。お店の決まりだから従わざるを得ないけれど、それでおめおめ引き下がるなんて願い下げ。外に持ち出せた唯一の遺品、イデミ・スギノのネームカードを撮影し、コイツを使ってアヤの再現を試みた。GIMP2なる作画ソフトと悪戦苦闘した結果、一見して分かるCGっぽい怪しげな画像ではあるが、取り敢えず記憶に残るアヤを再現してみた。これ作画するのに一体、何時間費やしただろうか・・・我ながら、その粘着質な執念深さに呆れてしまった。

Structure:
トップには二個の木苺、黒スグリ?、その上にピスタチオのトッピング。本体は多層型モノリスで、上から順に、①苺の生クリムース、②フレッシュミントのスポンジ、③チェリーのバタクリ、④ブラッドオレンジのジュレ、③のバタクリ、②のスポンジ、①のムース、⑤最下層のピスキュイ風ベースとなる。バタクリをキッチリ使いつつ、ミントのスポンジやブラッドオレンジジュレを組み合わせるところが、非凡の証か。

Taste:
う~ん・・・心の準備不足か、甘モノ遠足で浮き足立ってるが故か、はたまたこの一個が不出来なのか、今日の一個は舌経由で脳髄に訴えて来ない。確かにどの層も良くできてはいる。だから、全パーツに徹底的に拘るという、イデミ・イズムはきっと変らないのだ。だけど、ビビーンと来ないこの味。好みの問題、多分そうなんだろうけどなぁ。とにかく、イデミのケーキに必須の、一本筋の通った魂が感じられないのが残念。

Summary:
イデミ・スギノ、ケーキ界の立川談志。だから、好き嫌いはハッキリ分かれる。確かにここは、四方にガッチリ壁を作って、その中に納得して入ってくる客には、珠玉の味わいを提供してくれる。杉野氏が自我自流を貫きたいというその壁に、居心地悪さや威圧感を感じてしまう人は、「なんや偉そーに、ただの高ビーケーキじゃん」となってしまう。どちらも間違いじゃない。各々の捉え方であり、好みの問題。だがしかし、それが許される前提は、イデミのケーキから、食べ手を圧倒させる杉野氏の主張が発せられていなけりゃならん。イデミのケーキは、個々のパーツの追い込み方がハンパじゃない。でもそれだけじゃダメだ。更にその上に、これが主題か!!と食べ手を震えさせる背骨がキッチリなけりゃダメだと思う。今回の一個にそれを感じられなかったのは、私の舌が鈍っているのか、杉野氏の引退が近いのか。ちょっと暗澹とした気持ちになった第一回戦。取りあえず評点は変えずにおく。次回の再訪で感動できなかったら・・・由々しき事態である。南無三。

2012年1月17日

今回はレビュー追記&画像追加ですm(- -)m

モンブラン大作戦も残すところ最終回のみ。最終回はなんだろう?と、少しでも思って下さっていたならば、この期に及んでの再報など、肩すかしの如き裏切り行為か。しかし、「イデミ・スギノ」である。杉野氏は知りうる限りのパティシエ殿の中で、私が最も尊敬する巨匠である。そんな氏の作品を、ココで再度レビューしておかなければ、私、絶対後悔する。結論から先に言うと、モンブラン大作戦第八回で初食したのち、極上モンを食べ歩いてきた今現在でさえも、杉野氏のケーキを食べると、唸らずにはいられない。目が点になる。開いた口が塞がらない。そのインパクトは、初食時と殆ど変らないのだ。

杉野作品の全てがそうだとは言わないが、氏は調和した味わいなぞ端から相手にしないって風情でケーキを練り上げられる。一つ一つの部品に徹底的に拘る。「俺はこういう部品が作りたいのだ!!」という意思がビンビン伝わる。それをくみ上げたケーキは、調和とは正反対の、個々の個性がせめぎ合って、ギリギリでバランスしている緊張感を漂わす。だから、それを積極的に楽しもうとしない限り、「イデミって評判は良いけれど、これってどうなのよ?大したことないんじゃない!?」って事になりかねない。そもそも調和を是とする舌には相容れないものだろう。その大胆さ、人と同じことは絶対にしたくない。後人が追ってくれば、追い付けないような別の境地に飛び移って行くストイックさ。孤高のパチシエ。理屈抜きにカッコいい。

【シャタン】\630
マロンクリームを使っているという点で、最も世の中のモンブランに近い位置にいるだろう一個。とにもかくにも、トップに鎮座する白い楕円球体を見よ。これは、杉野流ホイップクリームである。驚くべきことに、この物体は、底部の微々たる部分でケーキ本体に載っかったまま、微動だにしない。変形したり崩れたりしないのだ。もはやこれは固体である。だがら、スプーンを入れて初めて、それがホイップクリームであることを指先が認知する。私は、こんな強靭かつ美しいホイップクリームを、この他に知らない。

驚きはこれで済む筈もなく。次の驚愕は、コーヒーソースとココアパウダーが振り掛かったマロンクリームである。それは、あたかもバラの花弁の如き造形であり、ウネウネはおろか、どのモンブランとも異なる盛り。だが、本当に驚くべきは、ひとさじ口に運んだ時である。こんな食感は他では味わいようがない。マロンクリームとしては予想不可能なテクスチャ。極限までソフトに仕上げたエアインチョコの如き食感と、相当なバターが香る、まるでバタークリームのような味わい。この独創性。そこいらのマロンクリームどもを一瞬にして爆殺してしまうか如きインパクト。

ベースは杉野氏が得意とする、極薄、超硬焼きタルトレット。この無慈悲なほどの硬さは、相変わらず付け入る隙を与えない程ストレートに、私の脳幹を直撃する。フィリングは、何と胡桃クリームを混ぜ込んで、さらにラム酒を効かせたフランジパーヌ。ここに胡桃かよ~。唸りにも似た溜息。絶対にタダでは転ばない、いや、食べ手を飽きさせない意外性。この一個を食べて、私は、「参りました」と杉野氏にひれ伏す。

【ラルム】\630
コイツはムースである。だが、そのトップに頂く極上のマロングラッセは、並み居る強豪モンブランをぶっちぎるインパクト。だけども、一筋縄では行かぬ杉野氏は、絶対に「モンブラン」なんて言う、陳腐な「記号」をコイツに冠したりはしないのだ。このマロングラッセ、まるで有名どころの神戸「ゴンチャロフ」のような美しさ。陽にかざすともはや透明感まで感じられる、深い飴色の一個。その抑えた甘さ、ラム酒の香り、水分が綺麗に抜けた最高に粘る食感は、流石と言わざるを得ない。モン大作戦で出会った、最高のマロングラッセの一つである。

本体は、食感の異なる二種類のマロンムースを、ラム酒風味のパウンド生地を挟んで積層したもの。とにかく、その息をのむ表面質感を画像でご覧頂きたい。これは何なのだ!?まるでムササビの表皮を思わせるような、美しいとかを通り越してしまった生物的な異質感。ビロードのような陰影が冬の陽を受けて黄金色に輝く。また、その勾玉のような複雑な形状ながら、シャープに立ったエッジは石細工のような鉄壁さで、有機的な表面質感との隔絶された距離感が堪らない。

コーヒーソースをその上面に蓄えたかのような、上層のマロンムースは滑らかで軽い食感。マロンの風味を感じさせつつ、舌の上で溶け行く印象だ。ラム酒を浸した薄いパウンド生地を挟んだ下層のマロンムースは、一転、クラッシュマロングラッセが混ぜ込まれ、ザラリとした、ちょっとハードな舌触り。上層よりは、グッと栗を感じるレシピである。この一個、杉野作品の中では、テイクアウトを許された稀有なムースの一つ。確かに実食した限りでは、単なるムースのひ弱さはない。ソフトな食感ながら、その異質で個性的なヴィジュアルで視覚も十二分に愉しませてくれる。

【エベレスト】\740
既報分にもある通り、これをモンブランと言うのはいささか抵抗もある。何故なら、栗に纏わる材料を一切使っていないからだ。だが、その画像をご覧頂きたい。見るからに白山、モンブランである。それでも、パチシエ杉野氏は、モンブランを遥かに超える高みとして、この一個を「エベレスト」と名付けるのだ。この意地。向こうっ気の強さ。

トップに載ったフランボワーズとアーモンドスライスが、杉野作品にしては珍しくメルヘンチック。取っつき易い導入だ。トップの峰を形作るのは、例のカッチリした固体とも言うべきホイップクリーム。まるで押し固められた雪のような微妙なニュアンスである。薄い極上スポンジを挟んで、中間部はフランス産の生チーズムース。その中央部分に相当緩めのフランボワーズのコンフィチュールが仕込まれる。食べ進むと、まさに雪の中に血の如き鮮烈な赤味がトロンと溢れ出してくる様は、艶めかしく、エロティック。う~ん、流石だ。最下段には、再度の極上スポンジが敷かれる。

その、酸味と甘みとチーズのコクがなえ混ぜになった味わいは、この三個の中では最も分かりやすい。シッカリとしたコクを感じながらも、鮮烈さを漂わす爽快感は、チーズさえ苦手でなければ、手放しで、旨い!!と感じるに違いない。馴染み易さという面では、杉野作品の中でも最右翼の一個かも知れない。

【まとめ】
シャタンに見られる超絶レシピ。各素材が自己を徹底的に主張して張り合う。断固として馴れ合いを拒み、危ういバランスの上で均衡を保っているその味わいと食感は、調和を是とする世の中のケーキには、逆立ちしても追い付けない独創的領域。この一個を以って、杉野氏が孤高のパチシエである事に疑いはなかろう。氏はケーキ界における、故立川談志師匠なのである。

2011年3月31日

食べ終えて・・・暫くは、開いた口が塞がらなかった。ため息がでるほど、とは、この事だ。

ちょうど24時間前・・・

水曜日の17:00、恐る恐る店に入ると、ショーケースは空っぽ。何にも無い。欲しいケーキが買えないのではない。何でも良いから食べたい、と言ってみたところで、売るものが一個もないのだ。仕方なく退却する。と同時に、「食べたい!!」。闘志がメラメラ湧いてきた。

翌、木曜日の14:00。「絶対買ってやる!!」少し前のめり気味にズカズカ歩いて店へ。あった!まだ沢山あった!!あまりに生々しいアピアランス。生き物みたいだ。全種類買って帰りたい。だが、あいにく出張中の身、買ったケーキを飛行機に乗せて、遥か山口県までは持って帰れない。そんな、鈍感ケーキじゃないことは、田舎者の私でも、一別してわかる。それほど、瑞々しい佇まい。

仕方ないので、帰りの羽田空港ラウンジで頂こう。ケーキ箱のサイズに合わせてあつらえた、まるでアクセサリーショップのもののような、春色の紙袋にきちっと収まったイデミ・スギノちゃん。私は年甲斐もなく、ワクワク、ワクワク、もう一回ぐらいワクワクした。京急のへたくそ運転手が、ブレーキガクガクさせる電車の中、ちょっとの恥ずかしさと戦いながら、紙袋をそっと両手で支えつつ、私は耐えた。16:00羽田空港第二ターミナルANAラウンジへ無事搬入完了。ふ~。

【エベレスト】\630
モンブランでも、フジヤマ(既報)でもなく、エベレストだ。まあ、「白いお山」="mont blanc"に見えるから、モンブランということでご容赦頂きたい。ここのケーキの何が素晴らしいかって、使っている部材一つ一つに、一切の妥協が無いところだ。お飾り目的の物など一切無い。全てが活きている。存在意義がある。まず、トップのフランボワーズ。この顔をしかめたくなるような、鮮烈な酸味と、ベリーの香り。反発力充分の新鮮なテクスチャー。表層のホイップの繊細なクリームの香りと甘み。このホイップと、その表面に貼り付けられた、極薄スライスのアーモンドの新鮮な香りがなえ混ぜになって、「う~ん」とうなってしまう程にビビッドだ。内側は、これまた繊細かつ輪郭の際立った香りが素晴らしいチーズムース。更に中心部からは、鮮烈な酸味と芳香の真紅のベリーソースが流れ出す。この、真紅のマグマを秘めた雪山が、極薄なるも、ニッチリしたテクスチャーの特上スポンジに載る。酸味と甘みとクリームチーズの旨み。この三つが渾然一体となった時、上質のヨーグルトを想起させる、ラクティックな風味が、怒涛のように口中を満たす。異種味の融合の先にある芳醇感。溶け合う味わい。繊細にして濃厚。極上のクリーミーな舌触り。参りましたm(- -)m

【タルト・オ・キャラメル】\630
これは、モンブラン大作戦としては反則だが、だって美味しいんだもの。特別付録とご理解下さい。こちらは、上の「エベレスト」とは、全く異なるアプローチだ。上部の白子みたいのは、シナモンパウダーが僅かにふられたホイップクリーム。その下が、本体のタルトレットだ。まずタルト台は極薄、板でこさえたドラキュラ伯爵の棺桶のように、パカッと口を開ける。タルト台の淵には、ステンシル技法で撒かれたパウダーシュガー。美し過ぎる。手間のかけ過ぎ。ここに、ナッツやドライフルーツが散らされたカラメルクリームが流し込まれる。このカラメルクリーム、全くと言って良いほど甘くない。タルト台も殆ど甘みはなく、ひたすらペキペキとしていて香ばしい。カラメルの苦味、ドライフルーツの酸味、この両者が、お互い相容れないほど突っ張って、自己主張している。ギンギンに尖ぎった、危ういバランス。一歩間違うと、崩れ去りそうな緊張感。優しいホイップクリームの甘さが、シナモンの芳香を後ろ盾にして、この両者をやさしくオブラートするのだ。敢えて調和を拒むこの味わい、全ての素材が、本来あるべき通りに味わえつつ、一個のケーキとして成り立っている奇跡。余程の研究と、自分のケーキがどうあるべきか、葛藤に葛藤を重ねた人じゃなければ、こんなものは創造できない。先の「エベレスト」と対比する時、ここまで違うベクトルで自分のメニューを組上げる、パティシエ杉野氏の自由奔放さに、再び参りましたm(- -)m

【まとめ】
日本を代表するパティシエの一人、杉野英実氏が創造するケーキは、私の舌には、「異次元の存在」のように感じた。このケーキを、下世話なモンブラン大作戦の場でレビューするなど、おこがましいのは重々承知だが、この、美味しい、とかいうのを通り越して、衝撃すら伴う深い感動を、少しでもお伝えしたかった。巷では、値付けが高い、という声も耳にするが、私に言わせれば、とんでもない。至極妥当な値付けだ。イデミ・スギノ作品と、そこいらのモンブランを比較するのは、まるで、憧れのフェラーリと我がオンボロミニとを並べて、どっちが良い車なの?と訊くようなもの。その事自体に意味がないな・・・と、帰りの機中、街の灯りを見下ろしながら思うのだった。

  • タルトレットオランジュ
  • こう言う大胆レイアウトでやりっ放すセンスに脱帽
  • ちっちゃいクセに思いっきり濃い存在感

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3位

とんかつ マンジェ (八尾 / とんかつ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 -

2014/05訪問 2014/06/07

禁断のトンカツ行脚 第二十一回 -旨さと安さの極限両立、こりゃ凄いと思うけどなぁ・・・-

食べログ評点上は日本一のトンカツ屋さん。実はココ、ちょくちょくご一緒させて貰っている東京トンカツ食べ歩き隊では、あまり評判が芳しくない。そりゃあ好みは千差万別だから、色んな評価があって良いのだけれど、それにしても、そこには余りのギャップが。こりゃ何時かは試して見なきゃ。そう思いつつ、BMしてから早くも一年を経た。

2014年5月2日

大阪府八尾市。田舎山口に住んでてこう言うのもヘンだし、そもそも八尾の方々に怒られそうだが、大阪のこんな郊外に、食べログ日本一のトンカツ屋さんがあるなんて俄かには信じられないのだ。しかも周囲の在京トンカツマニア諸先輩の酷評が、更に追い打ちをかける。半ば疑心暗鬼の複雑心境で、18:00のお店前に立つ私。さてと・・・

【上ロースとんかつ100匁】単品1530円
一匁が3.75gなので100匁ならば375g。メニューには、「気合いを入れてチャレンジして下さい(大変ビッグな為、時間を要します。明日は粗食でお願いします)」と注意書きが。ハイ!?日頃から丸山吉平で鍛えられてる私には、片腹痛し無用の忠告。カウンターからは調理が丸見えなので様子をボ~っと眺めてると、「塩です」と陶板にうっすら撒かれたブレンド塩が出された。もしトンカツが旨ければ、コレも無用なんだがな・・・

登場した上ロースとんかつは、カット面が上を向くという意表を突く盛り付け。そのカット麺は絶妙のミディアムレア。ウッソ~旨そうじゃん!!もうあかん~キャベツも塩も無視して、冷めぬうちに片っ端からかぶり付く。コイツ、ロースと言っても、かなりリブに近い肉質。脂身の刺し方もガッチリとしてて迫力満点。センター部分は少し水っぽく、端っこが締まってて濃くて旨い典型的なタイプ。その味差が気にならぬでも無いが、いずれにしても塩要らずの極上レベル揚げ。衣の厚み、スパイシーさ、香ばしさは、肉との一体感からは、敢えて距離を置いた独特の存在感を醸す。この濃い系キャラの衣で好みが分かれるのかも知れんが、肉の熟度と臭みの無さは立派に両立してるし、私には言うことなし。コイツが単品1530円ってのは、いくらなんでも安過ぎるだろう。

【特ヘレとんかつ(←多分)】1370円
旨いと喰える、こりゃあ道理。なので上ロースとんかつ100匁喰ってもまだ足りない。

ミニミニ:すんません、ヒレありますか?
シェフ:ああ、ヘレね。
ミニミニ:旨いの揚げて下さい。
シェフ:よっしゃ、じゃスペシャル行く?
ミニミニ:ええ、もうお任せで!!

多分、こんなやり取りだったと記憶してる。なので、どんなヘレなのかは結局は分からずじまい。レシートにも「スペシャル」としかクレジットされてないんだもの。登場した特ヘレとんかつ(←多分)は、コイツも絶妙なミディアムレア具合。その弾力&反発力は溜まらん揚がり具合である。一方、恐らく熟成の結果か豚肉の臭みが僅かに出始めてる。しかし、黒胡椒が効いたスパイシーな味わいが、それを旨い具合にマスクしてるようだ。まあ、丸山吉平の極上無臭ピュアヒレカツの世界を知ってしまったら、何を喰っても臭いが気になるのは致し方あるまい。しかしまあ、喰いながら酸化されて刻々と変わり行く、ヒレカツ断面の色味変化は儚くも美しい。コイツも単品1370円ってのは完全に逝っちゃってるハイコスパ。

【まとめ】
う~ん困った。どう考えても旨い。どう考えても安い。正直コスパに関しては、マイ・ベスト・トンカツの丸山吉平を越えている。天晴、食い倒れ大阪!!実は、メニューを飾るTOKYO-Xや日向あじ豚と言ったスペシャル銘柄豚は今夜は品切れ。なので喰ったのは、恐らく鹿児島六白黒豚辺り。だからこそ安いのだがコレで十分旨い。いや、だからこそ、かほど旨かったのかも知れぬ。丸山吉平が、ビビッドにしてシャープな日本刀ならば、マンジェはグッと線が太く、ちょっと野性的な騎士の剣か。トンカツ師匠には笑われるかも知れんが、正直、コレまで喰ったトンカツの中で二番目に旨かった。しかも一番との差はそれほど大きく無い。そう思った。

  • 上ロースとんかつ100匁
  • ジャストのミディアムレア具合
  • 衣は剥げる系

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4位

御菓子司 塩芳軒 (今出川 / 和菓子)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/03訪問 2014/09/01

いけめんスイーツ大作戦 第八十九回 -和菓子界のイデミ。これが京菓子の底力!!-

八十九回目にして、イケスイ大作戦初のフォーマット破り。和菓子三個での組レビュー。レビュー対象は一個ってイケスイ大作戦のルール破りは何故か!?そいつは、三個のちっこい饅頭を一連の流れの中で喰ってみて、なるほどと頷ける、このお店の真価が垣間見えたから。それはドラマチックだと言っても良い。だんご♪、だんご~♪、だんご三兄弟♪チャンチャン♪。

2014年3月22日

きっと京都でも筋金入りの老舗なんだろうと思ってた。だが実は、創業明治十五年と、著名京菓子界では完全に新参者。近代の京菓子屋さんと言って良いのかも。しかしその実力は、和菓子界のルレ・デセールともでも言うべきか、江戸時代より続く京菓子菓匠会々員である事実により裏付けられているのだ。

【わらび餅】420円 味☆4.0
【大島】380円 味☆4.5
【つくし】380円 味☆5.0
Apperance:
まぶされた黄粉など物ともせず、中心のこし餡が透けて見えそうなわらび餅、絶妙の色合いで黒々と陽に照り光る大島(きんとん)、よもぎだけで、良くもここまで発色してるなと感心しきりの、深く鮮やかな緑色のつくし。イケスイを極めた如き素晴らしい見栄えに、しばし見入ってしまった。

Structure:
三種三様の餡にご注目。わらび餅の素晴らしく瑞々しいこし餡。そのしっとりと水を滲ませた様な質感に対し、つくしの一際強い照りを見せつけるつぶ餡。一方、大島(きんとん)は白餡。こいつ、その白さがハンパじゃない。これほどまで、真っ白に近い白餡は見た事が無い。全てが違う三兄弟の餡。だからこそ、三兄弟の味わいは期待を遥かに超える個性を解き放つ。

Taste:
黄粉のシンプルな焙煎香、本わらび粉の仄かな風味、こし餡の滑らかな舌触り、全てがシンプルで一流。これが、わらび餅の透け感とものの見事に相乗してて、全てがトランスルーセントな瑞々しいイメージ(わらび餅)。小豆きんとんは、黒糖と練り上げられて、柔らかで水気を感じないねっとりさに、黒糖の独特の甘さが非常に良く似合う。信じられぬほど白い餡も、小豆餡以上に練り込まれた食感と味わいは流石だ(大島)。よもぎ入り羽二重の絶妙な伸びと柔らかさ、和三盆の独特な濃い甘味、味、食感、触感の全てが高密度に濃縮されたミニマムさは、今回の三兄弟では首一つ抜きん出たベストの一個(つくし)。

Summary:
丁稚さんが丁寧に箱詰めしてくれる、指先に乗るほどちっちゃな饅頭三個で千円超。冷静に考えるなら私如き庶民が喰うものじゃない。アホらしいことこの上ないが、こういうものを喰う時にそんなことは考えちゃいけない。これは完璧を求めた結果の姿。完璧に仕上がった個々の部材。それをシンプルに組み上げた饅頭は、まるで和菓子界のイデミ・スギノ。その説得力にはぐうの音も出ぬ。ベスト・オブ・和菓子屋さんの一軒。

  • わらび餅
  • 水っぽさ無き瑞々しさ
  • 大島

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5位

パティシェリア (新宿、新宿三丁目、代々木 / ケーキ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2014/06訪問 2014/09/14

いけめんスイーツ大作戦 最終回 -イケスイ旅もこれにて大団円-

さて、足掛け三年もノタノタ続けてきたイケスイ大作戦、泣いても笑ってもコレが最後の第百回、最終回である。何たって、イケスイと思えなければ喰っちダメ!!の自分縛りルール。行きずりのお店に飛び込んで喰ってみるって訳には行かぬのだ。イケスイが見当たらず、ゴメンと一言、喰わずにお店を後にした非礼も数知れず。お陰で無駄なボツネタと脂肪を貯め込む事はさほど無かったのだが。

2014年6月28日

最終回と言えばココしかないだろう、ケー好きの楽園パティシェリア。流石に頂上ケー店とは行かぬまでも、関東地区の有名どころのセレクトショップと言うコンセプトは実に素晴らしい。コレを実現するのは並大抵の努力じゃなかっただろう。新宿高島屋のプランナーには敬意を表したい。だって、わざわざ移動せずとも喰い歩きができる、超特殊相対性理論的お店なのだから。電車代不要ってだけでCP☆5.0を謹呈したい。そんなイケスイハーレムで、ドップリとイケスイに浸る最終回!!

【一個目:オペラピスターシュ(リュードバッシー謹製)】518円
最近チェックしてたお店の一品。これはピスタチオのオペラだ。ピスタッチスポンジ、生クリチョコ、プレーンバタクリ、チョコクランチからなる単純積層型モノリス。生クリにバタクリ合わせだなんて、もはや復活バタクリブーム全盛時代を確信させる手慣れの使い方。最下層のチョコクランチが効果的なアクセントだが、相も変わらずピスタチオはほぼ香らない。結局イケスイ大作戦では、ピスタチオが真に活きたイケスイには、とうとう一個も出会えなかった。もうピスタッチには騙されるもんか!!でもソレを除けば大好きなバタクリケーで、味☆4.0。

【二個目:デリス オー フランボワーズ(オーボンビュータン謹製)】432円
押しも押されぬ老舗名店による、肩の力が抜けまくった仙人的一品。毒々しいほどド派手な色味のカシスバタクリと、素っ気ないザクザクスポンジの単純積層スポンジボブは、オーボンがやるからこその清々しい仕上がり。カシスが威張り過ぎない控えめバタクリ量なので、何処かレトロスペクティブな味わいのスポンジケー。しかし、かほどに素っ気なく見える一個を、遥々尾山台から、都心のスイーツ・ハーレムに持ち込める開き直りは、流石の老舗だからこそ成せる技。ライバルよりも微妙に安い値付けも、やはりオーボンならではの、味☆3.5

【三個目:ピュイサンス(ピュイサンス謹製)】454円
ピュイサンスとは日本語で力。そんな屋号をそのまま頂く看板の一品。もう、これ以上のネーミングは無いと思えるほどに荒ぶる容姿である。しかも、今回の五個中で最強のバタクリ野郎。いや、わざわざバタクリケーを選んでる訳じゃないのだが、喰ってみたらまたか!!の、猫も杓子もバタクリ一本槍。バタクリ塊とメレンゲ玉を強引におにぎりして、その表面に豆をボコボコ張り付ける、強烈なヤンチャ・レシピは、笑っちゃうほどピュイサンスざんす~。決して綺麗には喰えぬ一個だが、開き直ってグズグズに崩して喰うのが大層面白い。ヘーゼル&カカオの定番コンビも、この佇まいにして有無を言わせぬ押しの強さ。ガッツリ甘いのも好みな、味☆4.0

【四個目:ダニエル(ノリエット謹製)】486円
老舗オーボンビュータンのオープニングスタッフだった永井氏のお店である。一口喰うなり、ワォ~!!のハイ・アルコール度。主体は酸味の強いレモンクリ、オレンジコンフィ、バニラ強めのカスタクリの組み合わせ。ソコにド~ンと押し寄せるラム酒攻撃。一方、甘味は相当控えめなので、酸味やバニラ風味がかなり目立つ仕上がり。調和とは正反対の、味わいの要素が尖んがりまくって主張し合うのもやり方だとは思う。しかし、この全体的にトロトロ過ぎるダレた食感は、そんな味わいを明らかに削いでいる。コイツはちょっと残念な、味☆3.0

【五個目:カフェ・プラリネ・ノワゼット(エコール・クリオロ謹製)】495円
イケスイ大作戦の最後を飾るのは、千川の独立系スイーツ実業家の手になる一品。その筋では有名な一個であって、間違いなく氏の代表作の一つ。しかしまぁ流石の仕上げである。各パーツの抜け目なさ、組上げ精度の高さから来るアルトラ・ハイレベルの完成度は、もしかしたら日本一じゃないかしら。一方で、ヘーゼルナッツクリをチョコとコーヒームースで覆ったレシピ自体には、悪いが殆ど何の驚きも感じない。こんな味なんだろうな、と予測した通りのリアクションが返ってくるだけ。ただソレは極めて高級ではあるが。人間臭いモノに惹かれる私は、例えばレクサスよりもミニを転がしてた方が余程微笑んでる。それと同じ理由で、ココのケーじゃ心底グッとは来ない。胸は熱くならないのだ。だけどもこのレベルの高さは認めぬ訳には行くまい、味☆4.5。

【総括】
いけめんスイーツって果たして旨いのか!?視覚情報は味覚ニューロンをスティミュレイトするのか!?それなりに有名と評されるスイーツを百軒喰い歩いて分かった事は、アホらしいほど当たり前だった。美男美女には三日で飽きる。もっと奥深いところにある、佇まいとか空気感のようなもの、あるいは作り手の個性や意図の迸りに、舌は悦び、胸は熱くなり、笑顔になる。あのアップルパイに、あのミルヒーユ、あのどら焼きや、あの豆大福だって、素直にイケメンとは言い難いが、でも飛び切りイカしてるじゃないの。結局、中身なんだよな。その内から滲み出すモノに自分の波長が合った途端、目の前にイケスイが誕生しているのだ。

  • 一個目:オペラピスターシュ(リュードバッシー謹製)
  • 二個目:デリス オー フランボワーズ(オーボンビュータン謹製)
  • 三個目:ピュイサンス(ピュイサンス謹製)

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6位

茶寮 宝泉 (松ケ崎、茶山 / 甘味処、和菓子)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2014/03訪問 2014/04/19

いけめんスイーツ大作戦 第八十八回 -圧倒的偏差値の遊星からの物体X-

イケスイ大作戦。残すところあと十三回。最終回までに、是が非でも回っておかねばならぬお店が京都に二軒あったのだ。今回はそのうちの一軒。その口コミ数と総合評点の積で見れば、食べログでは全国ランキングトップのスイーツ店と言って良かろう。ここに比べれば、あのコイデも、アテスエも、アジキでさえも、所詮どんぐりの背比べの二位グループ争い。しかし一体、何がそこまで評価されるのか!?とくと確かめてやろうじゃないの。

2014年3月22日

いやはや何とも京都らしい。門構え、アプローチ、土間、小上がり、座敷と、民生旧家屋を実に嫌味無くアレンジして、まず極上の空間を創り出しておられる。しかも、100人中99人は心地よいだろう、完璧な接遇教育。観光客が大挙して押し寄せるお店を、こんなレベルで維持するには、相当の時間とカネが無ければ出来ようはずがない。

【わらび餅】950円
Appearance:
イートイン専用メニューにして、これこそこのお店の名物。これを食べにわざわざやって来たってお客さんの多いこと。しかしてその有体は、驚愕のスライム・アメーバー・ワラビモチ。半液体のように熊笹の葉に同化した、見たことの無い質感。気泡をプツプツ含んだ、怪しさ一杯の不可思議なチャコールグレーの色合い。巷に溢れ返るわらび餅母平均からの偏差は著しい。そう、5σは偏差している。

Structure:
このグロさ・・・(x_x) ☆\( ̄ ̄*)バシッいや、この黒さは、恐らく純国産の特上わらび粉100%使用によるもの。末端では100g、2~3,000円で取引される超高級品だ。敢えて漂白や精製をせず、わらびの皮が擂り潰されて混じったままの、グレーなわらび粉で蒸し上げた結果が、そこいらのナンチャッテわらび餅とは似て非なるスライミーな理由。これが一流のわらび餅って事か!?

Taste:
受注調製なので、オーダーからたっぷり15分は待つ事になる。たかがわらび餅で。やって来た、遊星からの物体Xスライム・アメーバー・ワラビモチ(←随分な呼ばれ方どすなぁ~)は、箸で摘んだら伸びるわ伸び無いわ、いやビロ~ンとめちゃくちゃ伸びる。何だ!!こいつ!?やっとこさで熊笹から剥がし取った、遊星からの物体Xスライム・アメーバー・ワラビモチ(←ひつこいな・・・)、口に含めばまたもや驚き。これがわらびの風味か!!和の仄かな甘みを感じつつ、微妙な青味を伴うわらびの風味が、すぅ~っとに鼻に抜けて行く。更にそこに被さる、わらびの風味とは全く別種な熊笹の香り。う~ん。唸るしかないし。更に極めつけはその食感。トゥルゥントゥルゥンの中に、微かにシャリシャリとした舌触り。これ、わらび皮の名残だ。はぁ~こんなわらび餅喰った事が無い。なお、お好みでと添えられた沖縄佐照間黒蜜、こいつは私には全く不要。折角のわらびの香りが薄れてしまう。

Summary:
こりゃあまるで植物の粘液。例えが悪いって?じゃあこれでどうだ。この有無を言わせぬぶっ飛び感は、なるほど、この惑星の喰い物とはとうてい思えぬ、遊星からの物体Xスライ・・・(x_x) ☆\( ̄ ̄*)バシッとにかく言いたい事ってのは、これが多分、頂上わらび餅の一例だろうって事だ。料理の際立ち、京町屋と言う舞台、そしてほぼ極上のホスピタリティ。どの要素をとってみても、全く嫌味が無く、新鮮な驚きと、心地よい安らぎを与えてくれる稀有なお店。そりゃスイーツトップ争いするでしょうよ!!参りましたm(- -)m

  • わらび餅
  • 謎の知的アメーバ生命体
  • 信じられぬ・・・

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7位

ラーメン二郎 八王子野猿街道店 2 (京王堀之内 / ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/09訪問 2014/12/01

ジロリアンへの道 第八十二回 -出た~!!八王子系の底力、二郎万歳!!-

AM6:30。寝てる間にB787-9は羽田に降りていた。この3日間、溶解しかけたニシンサンドやペーパートンカツで誤魔化して来たけれどもう限界じゃ~っ!!二郎喰うんじゃ~っ!!山口宇部行きトランジット便なんて無視して羽田から脱走~、しかし八王子迄の1時間半は遠かった。完全に時差ボケでボ~。蒸し暑い・・・(涙)

2014年9月13日

開店1時間前に着いてみたら既に数人行列。流石の人気二郎と思いながら自分も列の一員に。そうこうしてるうちに、まだまだパラパラ集まって来るジロリアン。開店50分前で十数人の行列。マジでっか!?と思ったら、告知済の東北チャリティTシャツ販売目当てに並んでるボランティア・ジロリアンの列だった。列の一員な私も、徐々に押し出されて特設テーブルの前。ココで要りませんとは言えんでしょうが。「あの、予約してないけど買ってもイイの?」、「どうぞどうぞ!!」、「じゃ、黒1枚!!」・・・とうとうジロリアンTシャツまで買うてもうた。嗚呼、ジロヲタ・ワールドに両足完全ドップリ。売上代金2500円は全額が募金されるんだって。それじゃ完全持ち出しじゃないの!?野猿二郎は偉いね~。

【小ラーメン豚入り(ニンニク)】880円
ヤサイはモヤ8キャベ2の二郎黄金比。浅茹でで、しかもデフォでも2掴みのかなりな山は結構な喰い応え。ココではマシコールは要注意である。因みに、冷蔵庫の中にはBESTマーク付きのモヤシ袋。コレ恐らく、福島県相馬市にある成田食品製の、BESTブランドもやしの4kg袋である。だとすれば、二郎一派の東北支援の姿勢はマジで本物。コレは流石と言うべきで、我々喰い手もガンガンマシコールしてモヤシを喰うべきなのだ。ホント徹底してるね、二郎は。

豚は超感動モノ。豚入りオーダーにすれば、涙もちょちょぎれる爆量さ。並べてみれば、ほぼ丼全面を覆う豚は、スライスされたペラ豚じゃなくて、ほぼ全部が塊である。しかもカネシがタップリ滲みたガシ・ホロ・ニュルが入り乱れたネ申月豕。もう完璧に満足できる。これ以上書きようが無い。素晴らしい!!

麺も、茹で前で350gはある優等生量。もうこれで十分、大ラーは不要なほど。平打ち麺は、パッと見は加水率がやや高めのしなやかなアピアランスだが、手繰ってみればかなりザラリとした喉越しで迫力モノ。香りも全くの安物オーションで、ジロリアンには言うこと無し。カエシの量が結構多いと見えて、見た目に違ってかなり麺味が濃いのも特徴的。薄味好みの方ならば心して掛からぬと、煮〆た様な濃い味の麺にヤラれてしまうかも。いやはや、二郎らしい雑さを伴うパンチが最高だ。

豚汁は二郎随一の乳二郎との評もあるのだが、今日の口開け一杯目のソレは(エヘヘ、結局私が1番客)、ごく弱めの乳化に留まった。醤二郎派の私にはソレも願ったり叶ったり。とにかくカネシの強さは驚異的である。思いっきりガツンと舌に来るパンチは二郎らしさの塊だ。ヤッパリこうじゃなくちゃね~!!

【まとめ】
流石の一杯。二郎らしさが大炸裂!!佇まいや味わいは言うに及ばず、その量感も素晴らしい。ココのは小二郎で十分。豚入りにすればキッチリ胃が張って、幸福至極とはこの事だ。時差ボケも完全に吹っ飛ぶ極二郎に、八王子系の底力を嫌と言うほど魅せ付けられた次第。これだから二郎は止められまへんなぁ。二郎万歳!!

  • 小ラーメン豚入り(ニンニク)
  • デフォでこの盛りって・・・嬉し過ぎる
  • 並べたらみたら、丼を覆い尽くしちまった!!

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8位

パティスリーグラム (東山公園、自由ケ丘、本山 / ケーキ、カフェ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/01訪問 2014/09/01

いけめんスイーツ大作戦 第七十四回 -天性のセンス、誰にも似てない個性的男ケー-

フォッフォッフォッv(^w^)v・・・食べログ初の名古屋攻撃である。その一発目はイケスイ大作戦。きっと味噌ケーキが・・・(x_x) ☆\( ̄ ̄*)バシッ

2014年1月31日

最寄の地下鉄駅から歩き始めれば、素敵な音色が空から降りてくる。あっ、そうか!!航空自衛隊小牧基地。飛び交う第一輸送航空隊C-130H輸送機が、冬の朝陽にいと眩しい。ああ、操縦したい・・・こんな感じで、空ばかりキョロキョロしながらフラフラ歩きなもんだで、車がビービークラクション。ゴメンネ。とキョロってる間に、危うく行過ぎてしまいそうなこじんまり白いケー屋さんは、ゆるい坂道を上る途中にあった・・・

【ノワゼッティーヌ】\470
Appearance:
おわっ!!砂利道か!?トップのガラガラを眺めてりゃあ、そう言いたくもなる。ぎえっ!!台所スポンジか!?肌理の粗い本体を眺めてりゃあ、そう言いたくもなる。それ程、見てくれを気にして無さそうな、質実剛健的男姿。だけども不精髭面でないことは、ジッと見つめれば直ぐに分かるのだ。こりゃ断じて手抜きじゃ無くて、絶対にこうしたいのだ。ラフな質感に、同系色の落ち着いた色合いのグラデーション。魅せる小細工なんぞ殆ど無しのアッケラカンさだが、きちんと洒落てるスッとぼけ感。インパクトあるなぁ・・・

Structure:
片やガラガラ砂利道の正体は、ココアパウダーが降り掛かった糖衣へーゼルナッツ。此方台所スポンジの正体は、ダクワーズ生地、バタクリ、チョコ生地の積層体。絞り込んだ部材を、効果的に積上げる。これも小細工無しの潔さ。

Taste:
カカオ&糖衣ヘーゼルナッツの、ガリガリとした食感からして、俺は男だ!!と主張する。その下の本体こそが、とりわけ素晴らしい。粗いダクワーズ生地、濃いからず薄からずの、絶妙コーヒー&ヘーゼルナッツ味バタクリ、それとこの一個のキモであろう、モッタリ・ザックリ食感の独特チョコ生地、この三つの部材がものの見事にシンクロする。ザックリとしつつも、詰まった趣のガッシリ粘り食感。カカオ、アーモンド、コーヒー、ヘーゼルナッツの混ざり合う破綻の無い味わい。このシンクロ感は斬新。かなり個性的。非常に素晴らしい。

Summary:
一見、不精髭面の三橋シェフ。長身&痩身にして、厳つく骨太の体育会系の御仁。そんな氏の創る、男気全開の個性的な一個。その一方、他に食べたモンブランは、一転して水菓子の如く清々しい仕上がり。その千変万化に驚愕した。私に新世界を垣間見せてくれたのか!?決して極上じゃないかも知れない。しかし、外観、構造、味わいの全てがシンクロしながら提示される力強さ。あるいは清々しさ。この骨太な存在感は非凡極まりない。久々に食べながら笑いがこみ上げた、素晴らしいケーキ。

  • ノワゼッティーヌ
  • 朴訥とした野郎ケー
  • 荒々しい・・・

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9位

今を粋ろ 米子店 (後藤、富士見町 / ラーメン、つけ麺)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/06訪問 2014/08/14

ジロリアンへの道 第五十九回 -脂!!あぶら!!アブラ~!!のコレは絶品!!-

二郎は二郎。ラーメン二郎に代替無し。これは真である。そう信じてる。でも、いわゆる二郎インスパイア、和意訳するなら触発二郎の一群にも、きっちりオリジナリティがあって、二郎と立ち位置を異にする優れものもある。例えば、東京「千里眼」と、そこからスピンアウトした東京「用心棒」なんかは、直系二郎もタジタジの完成度を誇る傑作。そんな、極上触発二郎に仲間入りさせても良いんじゃないか!?と唸ってしまった一杯に、何と鳥取県で遭遇した。

2014年6月21日

このお店、実は元祖鳥取発の触発二郎「笑福」一派からスピンアウトしたお店のようである。兄弟店がもう一軒、大阪府吹田市の関西大学門前にあったりして、「有名大学の門前に二郎あり」の関東二郎トリビアを、関西の地で実践する触発二郎。二郎の黄を意識して、イメージカラーが緑ってのもヤル気満々である。実はこの笑福一派、鳥取県を起点にし、恐らく事業拡大を狙って大阪府下に多数の店舗をリモート展開している。こんな訳で、京阪神圏の触発二郎の勢力図は、頭一つ飛び出している「ラーメン荘」一派、それに続く「笑福&今粋」一派と、滋賀発「加藤屋にぼ次郎」の三大メジャーって図式だろう。

【中豚ラーメン(カタメ、野菜チョイマシ、ニンニク、アブラ)】950円
中ラーだってナメちゃいけない。それに、野菜チョイマシって言っても、デフォでの1.5倍なのである。画像の通り、中々喰い応えのありそうな山。しかも豚マシだから、950円って値付けは決して悪くない。

野菜はモヤ7キャベ3の、いわゆる二郎ヤサイ黄金比。浅茹で気味のシャキシャキ野菜山を、カエシ味付けのマシ背脂がドッペり覆う。その山麓には、ドド~ンと多量の微塵刻みニンニクが。コイツを野菜山にまぶしつつ、味付き強烈背脂と混ぜこぜで喰うならば、こりゃ何とも極上味。あ~最高。ちぇっ、野菜マシマシにすりゃ良かった・・・

豚は脂身ガンガンの、命も縮む脂系巻きバラチャー。残念ながら厚みはペケだが、味良し、硬さ良しでレベルは高い。豚マシしてるので、丼の淵をグルリ一周回ってる。と言う訳で、丼の上から眺めれば、一面が脂!!あぶら!!アブラ~!!の海。こりゃ常識ある中年オヤジならば、絶対にし得ないオーダーだって事が、喰う直前になってやっと分かったのだが、何か?

麺量は茹で前で400g、茹で後は650gになるとのお店談。触発二郎としては、中々の気風である。グワッと引き摺り上げて見ると、こりゃまた結構。ド茶色の強縮れ極太である。香りもまずまず、何より相当なモゴモゴ感に喉も大喜び。コレぐらい仕上がってると、茹で後650gって言われても、殆ど飽きは来ない。耐伸び性も上々で、結局、フィニッシュまでキチンと持ちこたえてくれる優等生な剛麺。

豚汁は豚骨多めの出汁をベースにした強乳二郎。カエシは控えめで、二郎的シゲキックスは薄い。ソレよりもマンダリンな舌触り。ちょっと待ちいや!!何だコレ!?豚汁の中には背脂塊がゴロゴロ。殆ど豚骨海の流氷状態。ちょっと~、コレ、流石にアカンでしょう!?五十路オヤジが飲んじゃ。と思いつつ、体に悪いが完汁を止められぬ出来の良さ。アブラの誘惑は死の香り・・・

【まとめ】
二郎エッセンスは敢えて完全無視した極上触発二郎。開化楼麺を彷彿とさせる剛麺に、強乳二郎のフォーマットは、西の「千里眼」と言えるか。一方、キャラは大違い。このスイサイド・ハイカロ・ジャンキー・アブラ仕様は、かな~りケタ外れの暴走感。コイツは冗談のような、意外と本気の触発二郎。だけども、客の身体なんて、な~んにも心配なんかしてへんねん!!それでも旨いねん!!

  • 中豚ラーメン(カタメ、野菜チョイマシ、ニンニク、アブラ)
  • 何だか凄い事になってしまっている・・・
  • にんにくドン!!

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10位

パティスリー・パリセヴェイユ (自由が丘、九品仏、奥沢 / ケーキ、カフェ、パン)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/02訪問 2014/03/17

いけめんスイーツ大作戦 第八十回 -一点に合焦する凝縮感、これぞイケスイの迫力-

数えて三度目の自由が丘スイーツ遠征もこれにて一区切り。これまで食べた自由が丘ケー達の中では、僅差であるが最も唸った一個で締めくくりたい。こう言うシブケーに時たま出会えると、イケスイ大作戦やってて良かったなと、そう思うのだ・・・

2014年2月20日

スイーツ名店が散在する東急沿線。このエリアでコアとなるのが自由が丘。古くからの老舗連が根を張るスイーツ聖地に、新しい息吹を吹き込む新店が現れては消え、また現れる。そんなのが私のイメージ。じゃあ、老舗って何処?う~ん・・・恐らく最古参組となるだろう、今やオバサロンと化した白山や、FC事業展開のモザルトはちょっとパス。そうなれば、原点カカオ、聖クレール山、そしてここ、パリの目覚めが老舗御三家だろう。いや、あくまで私の認識であって、一般にはどうだか知らんのでご容赦をm(- -)m

【ムッシュアルノー】\620
Appearance:
何でコイツをチョイスしたのか!?近くの公園で箱から出したら一瞬後悔。ついさっき何かの閃きでチョイスしたのは間違いないのだが、決して外観で選んだんじゃないなと思いたくなる。それほどけったいな外観。複雑極まる構成で、その凸凹に目がチラチラ。老眼の焦点も合い難い。しかも全身これでもか!!と言うぐらい真っ茶色。これまでに不思議系イケスイには何度も遭遇したけれど、これはもう別格的佇まい。もう前衛オブジェである。

Structure:
ベースはキャラメル味のダクワース。その上にヘーゼルナッツクリームを乗せ、更にご丁寧にキャラメリゼ。これを土台として、いよいよ積上げ開始。先ず、糊&スペーサーの役目を果たすミルクチョコを蛇の様にウネウネ。その上にミルク板チョコを敷いて接着。これを繰り返して、ミルク板チョコが二枚積層される。板チョコ屋根の上に盛られるのはオレンジ風味のカカオクリーム。その真ん中に、トドメのクリリン板チョコをブッ刺して出来上がり。しかし何でここまで頑張るかなぁ。診せるため?それが違うんだよなぁ・・・

Taste:
奇妙奇天烈にも映るこの一個、ところが口に運ぶや否や、その秘めたる実力が暴発する。クリーム塗り&キャラメリゼのダクワースのモッチリ食感。板チョコ多層体のペキペキ食感。カカオクリームの少し硬めでヌルッと滑らかな舌触り。それらが口の中で混ざり合い、見事に凝縮して行く感じ。更には、アーモンドパウダー、キャラメル、ミルクチョコと、マッタリ味の揃い踏みも、その凝縮感を加速させる。そして唯一の微かなアクセント、薄く広がるオレンジ風味が素晴らしい。驚く様な意外性は感じ難いのだけれど、実はかなりの工夫の賜物なのである。コイツ相当ジブい。昨日今日の若僧には出来ない自身に満ちた手業である。恐れ入りましたm(- -)m

Summary:
複雑怪奇な構成に惑わされるが、実は恐らく、練りに練って絞り込まれた素材である。それを用いた凝った造りは、決して見た目の為だけじゃ無いって事が、食べてみたら良く分かる。そのギュッと濃縮したような仕上がり、全てが一点に合焦する迫力は圧巻。今の自由が丘エリアにあって、洗練&繊細系の代表がエム子とするならば、対するコイツは一昔前の親方気質。シッカリとした線の太さは、恐らく金子シェフのキャラそのものだろう。

  • ムッシュアルノー
  • 何ともクセの強い積上げ
  • シェフ独自の世界観が展開する

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