<アストランス情報(前編)> <カンテサンス>に興味がおありの方は、きっと<アストランス>への強い関心もお持ちだろう‥ということで以下にギド・ルージュにも掲載されていない情報(●)を集めてみました。
○最寄駅‥Passy(6号線)
○休業期間‥土・日・月。12/25、1/1。3月・11月初旬に1週間程度。8月は夏期休業。
●予約開始‥2ヶ月前の1日からで、ある月の1日に翌月と翌々月の予約が可能になる。ディナーは2ヶ月前、ランチでも3週間以上前でなければ席を確保できない、というのが専らのウワサ。
●予約方法‥
電話のみ、英語可。今のところ
RELAIS&CHATEAUXでも対応していない。日本のレストランと違い、営業時間外は仏語でアナウンスが流れるだけで、電話が通じないようなので注意が必要。
なお、身分を証明するクレジットカード№を伝える必要はないが、連絡先@パリ(ホテルの℡番号)は報せる必要がある。リコンファームは一週間前までに。
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■2007年7月某日・昼 まず、最初の一皿は、
トウモロコシのスープ ポレンタの粽(ちまき)。〔--〕
トウモロコシの魅力はというと、ナチュラルな甘みとその弾けるような食感にあると思う。前者はその甘みだけを取り出し、凝縮したスープであって、岸田シェフらしい表現。
しかし、不可解なのは後者の粽である。スープをいただいた後、粽の皮をほぐしてコーン粒入りポレンタを口に運ぶまでどうしてもタイムラグが生じる。しかも、味の強いスープの後だけに、印象もぼやけてしまうのだ。
演出としては、いつも通りスープのみの方がトウモロコシ自体が引き立つ、と思う。
[註]
‥と思っていたら、以前はコーン粒とポレンタをスープに入れて供していたようである。ウン、その方がキレを感じさせる、と思う。
・二皿目は、
塩とオリーブ油が主役 山羊乳のバヴァロワ。〔○〕
・三皿目:
明石の石鯛 田鶴さんのキュウリ〔△〕
再び登場、カリスマ農家@上賀茂・
田鶴さんの野菜。アリュメットのキュウリを薄造り状にした石鯛で包(くる)んである。
これは、フレンチでもカルパッチョでもなく、ましてや(和の)お造りでもない。石鯛の魅力が青臭さにあるわけでもないから、キュウリを合わせている意味すらわからない。
そもそも、明石の鯛は割烹@東京でも避ける店があるぐらいの素材。つまり、鯛の扱いは関西には敵わない、ということだ。それが、どっちつかずの状態で供されたのだから、不可解きわまりない。
鯛の断面を見ても、その
引き加減に問題を感じるし、熟成も足りていないと思う。
「なんかヘンだぞ?」とコースの流れを壊してしまった感があるし、前後のつながりもない。
・四皿目:
鱒のコンフィ ブラックオリーブ、赤ピーマンのソース〔○〕
鱒は身から皮を外してあります。コンフィといっても、低温の脂に長時間漬け込んだものでしょう。シットリした仕上がりになっています。
ソースは、ブラックオリーブを軸とするなら、酸味がやや強めのフルーツソースと組み合わせてみる、というのもアリでしょうか。
・五皿目:
軍鶏の3時間ロースト〔○〕
再登場のため省略。
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ここからはお愉しみのデセール。
・デセール<1>:
ブラ(ン)マンジェ ピスタチオオイル コーヒー・エッセンス〔--〕
何の説明もなく立ち去られたので、気味悪かった(笑)。
和テイストの器を用いていることからして、(抹茶、白玉、餡)という日本の古典的な甘味をフレンチで平面的に表現したのだろう、と推察する。それらに対応するのは、パンナコッタ風のブラ(ン)マンジェ、ピスタチオオイル、コーヒー・エッセンス、でしょう。
‥だとすると、プレゼン一つで印象が大きく変わってしまうから、「無言」だったのは尚更ザンネンに思う。
※客席数に比してサーブは5名(レセプションを含む)と大変充実しているのだが、その質に無視できないほどのムラがあるのは難点と言わざるをえない。
・デセール<2>:
オレンジショコラ〔--〕
苦みの異なるヴァローナ・チョコ2種(リキッド)に
無色透明のオレンジ(リキッド)を合わせ、その上に砕いたカカオ豆を散らしている。組合せの発想源は、
オレンジショコラだろうと推察する。
※だが、その場合、シロップ漬けのオレンジ・ピールを刻んで散らしそうなものだな。
岸田シェフの着想・発想は、いずれも
古典に端を発している。その知識があれば誰が思い付いてもおかしくはないハズの組み合わせや表現であるのに、完成形を見せられたとき、「あぁ、ソノ手があったか!」と思わせるのがこの人の独自性だと勝手に考えている。
その観点からすると、コレにはシェフらしさが出ていない、と思う。