行列のできるさんのマイ★ベストレストラン 2008

きっと明日いいことが。

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行列のできる (70代以上・千葉県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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2008年8月から食べログに参戦。わたしの口コミの基本は、食べることを通して人生を綴ること。わたしや多くの方にとって“外で食事をする。すなわち、外食”は、人生の特別の時間であると捕えて、食事を中心としたその前後のシーンを切り取って文章にする。このスリリングな作業を楽しみながらやらせていただきました。
このため、口コミによっては、食べるシーンがちょびっとしか登場せず、申し訳なく思ういっぽうでは、この食べログは他のサイトと違って、うまいのまずいのの次元を超えた一目置かれる奥行きのあるサイトに育てる、そのお手伝いができれば、という自負もありました。
これこれ、行列さん、もうちょっと食べるところを多くしてほしいのですが、という管理サイドからの注文もないのをいいことに、今までのびのびとやらせて頂きました。
食べたい、同じ体験をしたい、面白かった、という読者のあたたかい声に後押しされて、この異端児ビューアーは挫折することなく、気がつけばあっという間に投稿した口コミは100回を超えていました。
妄想と現実の境がなくなってしまうこともしばしば。食べることで快感を覚え、昇天する方法も伝授いたします、ご希望がある限り。の異端児コミニスト。
2008年に初めて訪れたお店のほとんどは、この食べログで紹介されていたお店です。口コミを読んで、ぐぐっと琴線に触れて情景が目の前にちらつくと、もう我慢できません。
出動の時期をうかがい、自分の目で見て肌で感じて触ってみて匂いを嗅ぎ舌で味わう。自分で体験してそのまま感じた事を文章に乗せる。これからも、ほかの因子に惑わされずに体験ルポルタージュとして、食べ物を通しての人生賛歌を書き綴っていきたいと思います。
他の雑誌やサイトで仕入れた情報を自分が知っているかのような書き方のコミに著しく嫌悪を感じます。それだけはやりたくないと。やってはいけないと。
2008年出会ったお店の中で、次の10店にしみじみとした人生を感じました。
『慈久庵』、『塩町館』:店主である小川宣夫さんの生きざまに深い感銘を覚えました。焼畑そばも石臼うどんも、食べ物だけとしてとらえても超弩級のうまさ。悪戦苦闘しながらも持ち前のバイタリティで結果を出していく小川さんのライフワークに今後も注視していきたいと思います。
『豚食健美優善』:ここにも、若きシェフご夫婦の人生がありました。お店がある茂原は、同じ千葉県民のわたしですら、どんなに遠いのと思うくらいの場所です。が、シェフからいただいたとんかつは、豚肉料理のわくを超えた何か新しい珍しい食材のお料理かと思うくらい、わたしにとっては新しい豚肉のおいしい味に溢れていました。
『トマト』:また、ここにも店主ご夫婦の人生が。がんこ、まじめ、きちょうめん、ねっしん、いちず、と想像してしまう店主のひたむきさが生んだ珠玉のカレー。そう言えば、豚食健美優善のシェフと入れ替わりでとんかつを、カレーライスを、あたらしいメニューにする、という企画があったら、またこの世の中にすばらしい逸品が生まれるでしょうね、絶対。
『はつね』:タンメン大好きのわたしが、2008年ベストワンのタンメンをいただいたお店。店主の鋭い眼光を拝見していると、もうすでに次の一手を考えているような。小さな調理場から信じられない魔法のタンメンがうまれてきます。
『鮨処寛八本店』:ここのご主人が奏でる人生の奥深い滋味。鮨ねたとにぎりの技術は言うに及ばず、すべてが素晴らしい幸せ空間での超お値打ちおすし。おすしに2万円だして、うまいよう、なんて言ってる人には一生分からない心地のいいお店でした。
『らあめん葫』:ごつい右腕と一緒に作るトラック野郎も御用達のごくうまラーメン。ごつい店主が信じられない繊細な所作で店主理想のラーメンを提供してくれます。安岡力也だよね、あの右腕は。
『喜楽』:渋谷のディープゾーン百軒店にある行列店でいただくもやしワンタン麺。これを食べた10万人のお客さんには10万通りの人生が。今日も店主が腕をふるって人生に応援歌を捧げます。
『博多ラーメンばりこて』:博多長浜の本場をしのぐ高円寺生まれの博多ラーメン。店主の一途な努力、情熱とお客さんが育てた究極の一杯。
『香港式飲茶チャイナムーン新宿店』:香港飲茶を忠実に再現しようとする姿勢から生まれた銘品。日本のにせもの飲茶に警鐘を鳴らしたい。

マイ★ベストレストラン

1位

慈久庵 (常陸太田市その他 / そば)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2011/10訪問 2011/10/04

里の秋を疾走し、茨城県水府村の慈久庵に。日本の素晴らしい秋の景色の中でいただく蕎麦三昧。

(2011年10月 再訪)
2年ぶりとなりましたか。慈久庵が、最初に蕎麦のうまさを教えてくれたと思ってます。蕎麦の魅力を教えてくれたと言い換えてもいいかもしれません。蕎麦店で★を5つつけたのは、ここだけ。

やっぱり秋にきました。紅葉にはまだ1ヶ月あります。里山では、もう柿が色づいてました。ほうぼうで煙があがり、何を燃やしているのでしょう。慈久庵の場合、どのくらいの行列ができるのか、まだ予測できません。行列の後ろになれば間違いなく2時間待ち。そう思って早めに家を出て、お店の前に着いたら開店2時間前。いくらなんでも早すぎました。竜神大吊橋まで行って紅葉の進み具合でも見てこようかな。

それでも少し黄色や赤が混じり始めてます。確実に季節が動いていました。お客さんのいない売店に入り、時間をつぶします。しみこんにゃくがあったので買いました。この地方独特のこんにゃくの冷凍乾燥品です。慈久庵にもどり、いつもの縁側に座って時間が経つのを待ちました。手にしているのは蕎麦本。いろんな店に行きたくなります。

定刻前に店主の小川さんが店から出てきました。招じ入れられます。靴を脱いで、入り口で小川さんからおしぼりと品書きを受け取り、お好きな席へ、といつものルーチンです。座るのは、厨房に一番近いテーブル。ここからですと、厨房で働く店主の姿が格子窓越しに見えるのです。

今日は、3点セットをやめて、葱天せいろ(1700円)にしました。魂胆があるのです。もう1軒、なかなか行けなかったお店に行こうかなと。店主の小川さんがこわそうだというレビューを散見します。忙しいと怒っているように見えると。違うと思います。真剣になったときの表情かな。それと、まず無口です。でも、こちらから話しかけると、いろいろ教えてくれます。この日は、とてもおだやかなお顔でした。今月末にひかえている蕎麦の収穫のことを考えているのかなあ。蕎麦が満開な畑を見ました。

どうしてかなあ。慈久庵のこの部屋に入ると落ち着くんです。この椅子やテーブルのデザインもいいなあ。1番目に入店したので1番目に調理してくれます。2番目が同じオーダーなら一緒に調理。違うなら、1番を配膳するまで2番を始めません。2時間待ちの理由です。小川さんの手で配膳されたのは20分後でした。

いつ見ても迫力ある蕎麦です。なんでしょう、この星は。殻の黒や甘皮の茶色は分かりますが、黒、茶、黄が七色になって透明な蕎麦の中に点在しています。粗挽きです。芳しい蕎麦の香りにくらくらします。江戸蕎麦細打ち。蕎麦の豊かさが匂いにも味にも。どうやって閉じ込めたのか、どうやって開かせたのか。つゆは濃厚な辛め出汁。ほんのさきっちょにつけて、一気にすすります。やっぱり慈久庵だなあ。大げさに言えば、胸が熱くなって・・。だめですね、フォールインラブです。夢中でいただきました。2分で蒸篭が空に。

地葱の天ぷらは、岩塩でいただきます。蕎麦と一緒には食べません。葱の天ぷらを自宅でもしようと思って勉強のためにいただきました。な~んだ、目からうろこの天ぷらでした。

この日も忙しい時間の中で少し話ができました。前を向いて歩き続ける人です。里の再生ももう次の段階に入って来ていると感じました。小川さんの熱意が地域を動かしてます。今月末収穫する蕎麦が食べられるころ、来年初頭かなあ、またこの部屋に戻ってきたいとおもいました。


(2009年10月再訪)
約1年ぶりの訪問です。同じ季節での訪問ですが、里山で感じる秋はごくわずか。紅葉もまだまだのようです。

小川さんのご活躍はこの1年も目をみはるものがありました。相変わらずマスメディアからは好意的に取り上げられ、里の再生運動も順調に推移しているような記事も拝見しました。千葉に帰ってきて短期間での自宅滞在ですが、どうしても慈久庵でお蕎麦が食べたくて、小川さんの仕事振りを拝見したくて自宅から120kmかなたの山里にある慈久庵を訪れました。

見覚えのあるフランスのカントリーハウスと日本の曲がり家を融合させたデザインの家が登山道に突然現れます。実家に帰って来たようなふっと安堵感を感じました。同時に、あのお蕎麦を食べられる、というわくわくした高揚感。

定刻、小川さんが営業中という看板を持って中から出てきます。そこで、外で待っていた客が中に招き入れられます。物静かで余計なことは言わない話し方。華奢な体躯のどこにあれだけのエネルギーが潜んでいるか不思議な思いです。

今回オーダーしたのも慈久庵コース4品(3100円)。こんにゃく、そばがき、せいろ、デザート。この日は前回と違い、Bさんも同行してます。二人でひとつ、地葱の天ぷら(600円)を追加しました。

窓の外に広がる里山を見ながら、お料理を待ちました。小川さんが一人でオーダー取りから後片付けまでスタイルは同じですから、このお店に入ったら時間の流れをすべてお任せします。その時間の流れを楽しみます。

さあ、お料理が順番に出てくる時間が来ました。最初はこんにゃくからです。本当にうまい、味があるぷよぷよのこんにゃくに感激もあらたに。この続くお料理はどれもすばらしく旨さにふるえましたが、初稿ですでに8000文字を使い切っていて、それぞれの評を載録するスペースがありません。評は初稿にゆずるとして、地葱のてんぷらだけ。葱の食べ方で、初めての経験でした。そぎ切りにしたネギを天ぷらに。衣を薄くして、パリッと揚げてます。南米の海の塩が添えられました。この爽やかな天ぷら。絶対自作しよう。蕎麦には、えびでもいかでもなく、このような素材の天ぷらだけが蕎麦を生かすんだなあ、とあらためて思いました。


(2008年11月初稿)
慈久庵のことを初めて食べログで知ったのは、およそ3か月前のこと。庵の主小川宣夫さんのことがだんだん分かるにつれ、慈久庵でお蕎麦を食べたいとずっと焦がれていました。

ご自身でお生まれになった古里である茨城県水府村(現在は、常陸太田市)に慈久庵を創設、理想の蕎麦処にしようと近在の蕎麦農家に声をかけて。いい蕎麦を手に入れるべく伝説では農家から手に入れた玄蕎麦すべてを粉にして吟味したとか。
かつて蕎麦の一大産地だった水府から、一軒また一軒と蕎麦農家が消えていき、良質な蕎麦を手に入れようとしたとき、その事実が重くのしかかる。しかし、小川さんは持ち前のバイタリティで2つの解決法を見出し、成功の道を大きく歩み始める。

ひとつは、大きなテーマになった里山の再生。蕎麦の生産だけでは生計が立てられないが、裏作に小麦を栽培することで成り立つ道を柱とした里山の再生。近在の農家に熱く訴え二毛作の裏表、蕎麦、小麦の生産量を徐々に増やしていく。そうなると、蕎麦と小麦の消費増大の道筋をつけなければならない。

良質な小麦の消費を目的に、常陸太田に粗挽き蕎麦と石臼うどんの慈久庵鯨荘塩町館を開店させた。さらに小麦の消費を伸ばすため、乾うどんの生産を昨年2007年から始めて運動を加速させる。

2つ目の解決法は、一度荒れた畑はもとに戻らないと言われているのを焼畑農業の手法で見事に再生させ蕎麦を収穫できるようにする。そこでご自身のホームページでは、“幻の焼畑そばを食しませんか!”とズバリ呼びかけている。焼畑をすることで畑からストレスがなくなる、と。

常磐道那珂インターをおりて1時間、どんどん都会から離れて山と畑と農家が主役になる里へと走り進んで行きます。この日も、まさに日本の正しい秋晴れ。綿雲がひとつふたつ浮かぶ透きとおった青い空。窓から入って来る空気が冷たくて、気持ちがいい。農家には必需品の柿の木が、どの家のも柿の実をたわわにみのらせ、平和な光景が広がっています。さすがの、晴天の連休日。常陸太田を抜ければ名所袋田の滝もすぐそこなので、紅葉狩りが目的の人も一緒に北へ北へと向い、里は1年ぶりの活気にあふれています。

開店60分前。2番目のお客さん到着。40分前、突然小川さんがお店の外へ。縁側でまつお客さんが座る座布団を持っての登場でした。縁側に座れるだけの座布団を抱えて。おお、これで、100%食べられる。5分前、開店。

この日のオーダーは、慈久庵コース5品で。5人掛けのテーブルで、ひとり。贅沢を堪能させていただきます。このとき、お店のそとで待っていた人は1時間以上は待ったのかもしれません。相席はなし。相席の雰囲気ではない、真剣な場所。だから、1時間前に来て待っていたほうがずっと楽しいのに。

1品目。こんにゃくです。もちろん自家製のさしみこんにゃく。この辺一帯はコンニャクイモの生産が盛んで、さしみこんにゃくが名産品になってます。小川さんがお盆に乗せて運んできます。なにしろ、お店は小川さんひとり。オーダーとり、調理、配膳、片付け、レジまで全部一人でやります。普通のお店の感覚とは全く違います。わたしは待つあいだも、慈久庵がでている雑誌、本を読んで外の景色を見て、ものすごく楽しかったのですが。

素敵なお皿にそぎ切りされたこんにゃくがのってます。小川さんは、お料理を持ってきてお料理の説明をしてくれますが、こっちは初老のビューアーなので小川さんの小さな声では聞き取れませんでした。わさびを付けて召し上がって、とかそのような事をおっしゃってたのか、と。小川さんは、むだなことは言わず、必要以上の大きな声は出さない、あるいはシャイ?なのかも知れません。

何もつけないこんにゃく。うまい。こんなさしみこんにゃく、初めてです。ぶりっとした食感にうまみがあるこんにゃく。むかしは、みんなこんなおいしいこんにゃく食べていたんだ。大量生産で道を踏み外した、のか。次に、すったばかりのわさびをちょい乗せて。これも、いい。おいしい。でも、何もつけないほうがおいしい。ぺろっと、あっという間に全部なくなりました。食べた後のお皿もかわいいので、記念撮影しましょう。そば湯と一緒にいただきました。そば湯は、最後まで熱いのが出されます。途中、一回そば湯ポットごと新しいものに交換されました。

2品目。そばがき。結構な量です。湯気が立ってます。小川さんからは、“はじめは何もつけずに・・・・・・”。あとは、わかりませんでしたが、ねぎと味噌が別のお皿で来ましたので、お好みでつけたら、とか言ったのでしょう。

このそばがき。本日一番でした。あつあつ、ほふほふ、ふくよか、なめらか、もっちり、あまさが、蕎麦そのものの香りのなかにあるんですよ。このそばがきは、いままでのどれとも違いました。うんまい。もう、いや、うますぎる。くろい点々があって、これは粗挽の特徴ですね。ねぎをちょっと、みそをちょっと、で試しましたが、これも何もつけないほうが格段においしい。量もたっぷりで、しあわせな時間もたっぷり。

ちょっとベランダに出てみます。まあ、なんと目の前はずーと秋たけなわの里の風景が広がっています。景色を楽しめ、とはこのことだったのですね。テーブルもあり、そとでも食事、お茶ができます。風景の記念撮影を。

3、4品目。粗挽きせいろ蕎麦と野草の天ぷら。きれいな色のお蕎麦です。そばがきと同様、黒のてんてんが多く、食欲をそそります。この蕎麦こそが、焼畑農法で自家栽培し手刈り天日乾燥したものを石臼で粗挽に自家製粉した蕎麦粉から打ったものです。野草の天ぷらは全部説明していただきましたが、聞き取れたのは、たんぽぽだけ。知識のなさで、すみません。お塩の説明がありましたが、これもわからず。

おそばを何もつけず、ひとくち。うーん、さわやかなうまさ。不思議なさわやかさ。細いけどこしがあります。ホントにおいしいお蕎麦です。そばの香りが高く、こんなしあわせあっていいんかい、と思えるうんまいお蕎麦です。くちの中でふあっと一瞬の香りを残して、すうっとのどを通り過ぎて行きます。

“蕎麦も饂飩もめんを打つだけでは未完成。おいしいつゆと出会って、はじめてその真価を発揮する。”小川さんは著でそのような発言をしていますので、それではめんつゆにつけて食べてみましょう。

うあー、やっぱりおいしいですね。つゆは、こいくちであまみは少ない。きりりとした味で節のかおりが立っています。結局、お蕎麦だけをそのまま食べたのが半分、残りの半分だけがつゆと一緒にいただきました。おそばも過去最高点。残りのつゆは、お約束のそば湯に。しあわせすぎる。

5品目。もう最後になってしまいました。本日のデザート。いちじくのふろふき。いろんな料理を考えだすものです。いちじくの上に味噌がのっています。

いちじくのうまみがすごい。久しぶりに食べるいちじくでしたが、こんなおいしかったっけ、というぐらい、うんまい。ただ、かわをむいて、なにかシロップのようなものに漬けただけ?煮た感じはしません。とにかく、うんまい。味噌は控えめでインパクトではなく味のひろがりのためか、いちじくのあまさをより引き出すためか。文句のつけようなし。いや、むしろ大絶賛のデザートで雄大な舞台の一幕の終了です。

  • 葱天せいろ
  • 黒、茶、七色の星
  • 葱天

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2位

とんかつ 串揚げ 優膳 (茂原 / とんかつ、コロッケ、串揚げ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2008/09訪問 2008/09/15

久々出た★★★★★。実力は★5.999。日本一の天才とんかつ職人は茂原在。

ひさびさ出会えた、★5つ。食べログの規定は★は5つがMAXなんで★6コはダメと、そんじゃあ★5.999にしたいと、食べているときに頭の中を去来していた今日の評価スターだった。

そもそも、このヘンチクリンな名前のお店を知ったのは、高くて旨いは当たり前さんのコミである。彼は、コミニストの中でも非常に冷静に客観的に血液型ABにレポする。とわたしは全面的信頼を置いているので、豚食健美 優膳のコミを見て、すぐ食いついた。短いやりとり、つまりコメントですね、コメントの交換があって丁度1ヶ月。この日を迎えることができた。

茂原と聞いて簡単には行けんぞ、とは思ったが、どうしても一度コミにある黄金とんかつを食ってみたい、その思いを抱き続け、とうとう30日を経て爆発してしまった。もう誰にも止められない。

秘書の奈美登場。最近どうも必要以上に張り切っている気がする。何か勘違いしてないか。あなたは、わたしの秘書であってそれ以上でもないし以下でもない。ま、おれも最近慣れてきたせいか、その声になんとなく癒される時が多いので、おれもだんだんすごーく身近に感じるときもあるが。あまり優しくすると図に乗るといけないと思い、事務的に告げる。

0475-24-4577の情報を集めてほしい。すばやい回答がくる。

①72.7km 有料料金 800円 1時間26分
②72.6km 料金なし       1時間46分
③70.7km 有料料金 300円 1時間38分

①は、混雑で有名な高速道路に向かうルートで、即却下。
③は、変なところにあるというかメジャーじゃないカントリーサイドの有料道路を通るらしい。③と②の比較では、距離が1.9km短縮されるので、このためのガソリン代節約は、172円x1.9km÷8.0km=41円。したがって、300円-41円=259円で8分短縮になるし、有料道路財源に支援できることを考え、③に閣議決定された。

奈美と二人で出発。車の中では密室の二人になるが、食べログでは、わたしは公人。あくまで奈美との関係は事務的に事実を描写せざるを得ない。一部関係者の期待する方向には、向かないよう努力したい。

あのですねえ、やっぱ何が嫌いって、奈美のやろうが気取ってこう言うときですね。「この先しばらく、道なりです」。もうちょっと言い方ってあんだろうって。

おなじみの勝田台ジョイフルを左手に見て、まあ、最近ここばっかね、と思いながらもうどんどん行きます。そしてですねえ、やってきました、このローカル有料道路(高速道路ではありませんよ!!)。名前が、千葉外房有料道路。そんな名前聞いたことないよ。有料道路にはいっているのかはいってないのか、全く区別のつかない道路が続いている。奈美の説明を聞かないと、分んないって、有料にいるのかどうか。それと、料金所に2人おいて、2箇所ゲート開くことないだろ、前後1台もいなかったし。300円払いました。最高速度60kmだぞ、100円だよ、ふつー。

あの、そろそろ、とんかついただきたいんですが。あ、忘れてた。すまん。

奈美が連れて行ったのは、ごく普通の住宅地でできたばかりのところだな、これは。とんかつ屋なんてない。道も車1台しか、通れないし。えー、出発して2時間以上経っていて、このまま帰れないし。もう、今回はリエンもヤムナシ。本人が一番分っているはず。でもね、あとで分ったが、これ本人悪くなかったの。リエン、取り消したの。丁度宅配便がこのすれ違いのできない道に差し掛かってきたので、あのォ、この辺に有名なとんかつ屋さんありませんか。その場所から2kmくらい離れてた。あとで、行きかた説明します。

開店5分前に到着。中へ入れていただく。一番乗り。カウンター席へ。注文は、吟上ロースカツ膳(1350円)とツナクリームコロッケ(280円)。出来上がるまで、店内、外観の記念撮影。席にもどって、写真をながめながら待つ。

10分後、夫婦らしい男女入店。もちろん、振り向かないよ。なにか、注文のメニューを相談している。ふたりで別々のものを注文するらしい。それから、あのー、何々ありますかあ、あのコレコレありますかあ、って必要以上に注文するわけよ。もうピンと来たね。この食べログで夫婦でやっているあの人たちでしょ、きっと。いつも、ほら、ふたりでさあ、別のもの注文するじゃん。そいでもって、必ず大きい方を自分つまり男が食べた事にするわけよ。ホントは逆だよ。読者もぜーんぶ知ってるし。

ちょっとトイレに行くふりして、駐車場へ。停めてあった車のナンバーを確認。あ、袖ヶ浦ね、いいのいいの、こっちが悪いの。

黄金とんかつ到着。かつ断面がピンク色で、もう肉汁がしみでてくる。何もつけず、まず、一口。わー、なんだこりゃ、このうまさ。

あのですねえ、ちょっと言いたいんですけど。日本人、とんかつ好きですよね。食べログに掲載されているお店が、今日現在で18万軒。うちとんかつ屋は2172軒。この中で、高得点ベスト3のコミ見ましたよ。どうして?あのォ、ほんとにうまいとんかつ、どう表現したら、読者さんに伝わるか研究してみたかったのよ。ま、結論いってしまうと、そんな言葉ないのね。サクサク、肉の弾力、豚くささ無いからOK,豚くささ無いからだめ、ジューシー、分厚い、脂がとける、脂たっぷり、まだまだある。でも、すべて真実を伝える言葉としては貧弱だよ。

今食べてるこの黄金とんかつのうまさ、どう表現すべか、と思いつつ、すんげえなあ、うんまい、なにこれー、と感嘆詞しか出てこなかった。豚とは思えない別の肉のうまさ、肉とは思えない感動の、もう言葉じゃあ無理。思わず、調理で忙しい緊張の店主に(若いぞ)、これすごいっすね、と言っちゃったよ。ホント、何か言いたかった。

塩梅でいっと最初感動した2倍くらい感動したよ。だからね、このうまさを伝える事ができないんで、その穴埋め、またコミの代わりとして、この黄金とんかつを無料で食べてもらうのが一番早くて確実かなあ、って。無料招待は、そうだな、まず行列のヨタ話に付き合ってくださっている読者の皆様。となると、1350円x62人で8万3700円かあ。地方の人もいるので、このリクのコトウまでお連れするには、チャーターバスね。一応、ルートは、羽田(ひこーき)-東京(しんかんせん)-柏(地元)として、ガイドはこれは奈美かな。片道3時間かかるんで、缶ビール1人2本と、純米酒3本、それと・・・・・妄想はとどまるところを知りません。おわり。えー、味のコメントはァ。
これは、個人の趣味ですが、いつもやわらかいから、あぶらが少ないから、ヒレにしている人。ここのロースはヒレより柔らかいです。脂を感じませんが、脂のうまみは感じます。日本語になってないか。難しい。だからこのお店ではひれではなく、ロース食べたらって言いたかったの。こっちは、両方いただいてのコメントだからね。ころっけは、そと皮のぱり度と中のクリームのソフト度比は、はんぱなく大きい。


(注記)ナビに入れるのは、住所で茂原市木崎1686が一番ヒット率が高いそうです。お客さんからの携帯問い合わせで、しょっちゅう電話ナビしているそうです。近くまでいけば、UPしたオレンジ色の看板がめちゃ目立ちますのでご参考に。

  • 黄金とんかつ
  • うんまい
  • たまらん

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3位

トマト (荻窪 / カレー)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2008/09訪問 2008/10/02

★★★★★で文句なし!King of 欧州カレーの至高のお味に、もうたまらない人生の幸せを感じました。

もうお店の中に入った瞬間から、一つの劇が始まったような甘い夢心地を感じていました。
まだお店は口あけ。わたしの前にお客様はいません。お店の扉を奥様が開けて下さり、足を一歩お店の中に踏みいれます。

フレッシュなカレースパイスの香りに歓迎されました。自分史にはない、初めて経験する、どのカレー屋さんとも違う、店内にかすかにただよう眠りから覚めたばかり、と感じさせるスパイス、香辛料のかぐわしい香り。もう序章から引き込まれ、期待のボルテージは一気にあがります。

一番奥の4人掛けのテーブルに案内されました。一人だったので、カウンターで結構ですよ、と言いかけましたが、奥様の言葉に、外でお待ちいただいて申し訳なかったけど今からどうか楽しんでください、との温かい気持ちを感じて素直に従いました。ほんとうにこじんまりしたお店ですが、ほっとする温かさを感じます。なぜでしょうか?

もう答えは簡単です。すべて、手作りだからです。すべて、おそらくはご主人と奥様が一生懸命に作られたものばかり。カレーの作り方を書いた説明文を載せたボードが正面に掲げてありますが、手作り。カウンター左手に36種類のスパイスを入れた36個のガラス容器に貼られたスパイスの説明もすべて手書き。見事です。そう言えば、お店の外に手作りの看板が何枚かありました。奇をてらわず気持ちを込めて作っている情景までもが浮かんできそうです。

自分たちがお客様にお出しするカレーは、こうして作るんですよ、と手作りボードに書かれている文字に目がいきました。表現は控えめですが、ご主人の並々ならぬ決意と自信を感じざるを得ません。少し書きとめました。

「欧風カレーとシチューの専門店「トマト」にご来店いただき、誠にありがとうございます。
シチューはたっぷりの野菜と肉を煮込んでは濾しという作業をくり返して、それぞれの素材の持ち味が、フォンドボー、ブーケガルニ、ワインとともに混然と溶け合ったソースをベースに、厳選した牛肉や四季おりおりの野菜を加えた煮込み料理です。
カレーは、香味野菜、フォンドボー、グラスドビアンをたっぷり使った旨みを生かしたこしのあるソースに、薬効ある34種のホールスパイスを含む36種類のスパイスをブレンドしてじっくりと一週間以上をかけて丹念に仕上げました。」

この文章から、わたしは御主人のなみなみならぬ決意と自信を感じました。カレーに限って言えば、(納得いくまで)「たっぷり使った」、(他ではまねのできない)「こしのあるソース」、(他ではまねのできない)「36種類のスパイスをブレンドして」丹念に仕上げたのです。

このカッコ内が、自信であり、また絶対に手を抜かない、宣言した通りの作り方をする、という決意の表れではないかと感じたのです。

お店のカウンターの左端に、ガラスのビンにそれぞれ個別に入れられたスパイスには、ひと瓶ずつラベルが貼られ、ラベルには説明が手書きで書かれてます。

和漢名  アニス(Anise)
科名、原産・主産地、香味の特徴、薬効が、几帳面なインクの手書き文字で書かれていますよ。まあ、実物を見ないと分かりにくいでしょうが、まったく根気の要る仕事で感心しきりでした。

この日のオーダーは前の日から決めていた和牛ビーフカレー(中辛)と季節の野菜。

さて、お料理をいただくまえに汚れて感度の鈍くなったのど、舌、咽喉から食道から胃までリフレッシュするためによく冷えたビールをいただきます。じんわりと五感が眠りから覚め始めました。準備万端です。

いよいよ、お料理の登場です。奥様がテーブルまで持ってきて下さいました。

それが、写真のカレーです。まず、見た目よりカレーのスパイスが立った強烈な香りのパンチに見舞われます。もう、今の今生まれ変わって命を吹き込まれた香りです。ホールスパイス独特の今までずっと蓄えていた香りを一挙に解き放たれて自由浮遊始めた香りです。この画面に香り機能があったら、おすそ分けできるんですけど。22世紀には必ずこの香りを届けると約束しますけど、今はだめ。お店に出向くしかありません。

鼻がくんくんなってます。

まあ、濃そうなカレーですね。季節の野菜はカレーの中で出番を待ってます。一緒に最後合わせたもので、これはトッピングではありません。もうこれは絶対ごはんと一緒でないとね。ごはんの上に、スプーンですくったカレーをのせます。玉ねぎピクルスと福神づけも一緒。インドカレーではなく、日本荻窪生まれのイングリッシュ・カレー。ナンではなく、ごはん。

なんだこりゃのうまさ。もうすでにぶっとんでます。カレーにもコクがあるんだ、と。強烈なスパイスの香りが自分のからだを包んでくれるよう。コク味のカレーとごはんを口に含み、はふはふ食べ進みます。うまいなあ、しみじみ。いろんな野菜が出てきて、宝探しのよう。あれ、マツタケも出てきました。小ぶりのオクラ、パプリカ、大根、にんじん、ぎんなん、さつまいも、じゃがいもなんかの大きくカットされた野菜は発見できましたが、スパイスだらけのカレーに埋蔵された小者はなかなか見つけることができません。こんなカレー初めて。自分も料理がすきで、よく台所に立ちますが、このカレーはちょとマネできません。スパイス、野菜、肉、ワインなど全く同じ素材を渡されても全くどうやってこの味になるのか、見当もつきません。試行錯誤の末、もちろんそうなんでしょうが、わたしなら100年くらい試行錯誤やっても、ここにたどり着く自信なし。このうまさ、どう説明したらいいんだ。

こしのあるカレー、うまいこと言う。その通り、で、それしか言えない。

あの目隠ししてAとBを食べ比べて、50000円のワインか500円のワインか当てる番組あったでしょ。トマトのカレーなら絶対に間違えっこないうまさ。全然説明になってないわ、これじゃあ。

オヤジ、すごいぞゥ。こころからの喝采をおくりました。カレー部門全国一位のカレーですが、カレーのわくを超えたカレーという感じです。
食べている途中で噛んでつぶれるスパイスもあります。そして、強烈な香りの強襲。計算づくなんでしょ、にくいよ。ホントそのおいしさにしびれながら、うわさの玉ねぎピクルスをぽりぽり一緒にわっさわっさカレーをいただきました。これも、ご主人、計算に入っているんでしょ。

値段は決して安くないです。安さも大事ですが、この御主人、とにかく必要な食材を躊躇なく使い理想の味を追求していて、どうしてもこの値段になっちゃうんですよね、きっと。お財布と相談して、半年に一度か1年に一度のご褒美ということで。

デザートが付いてました。ぶどうのアイスクリームです。上に乗った巨峰もリキュールに漬けてあって、まあ手を抜くことをしません。ごちそうさまでした。

お店から出ていくのは、ちょっといやだなー、もう少しここにいたい、と思いながらも、次のお客さんのためご夫婦に感謝を述べて、雨降る荻窪の雑踏のなかへ消えていきました。


  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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4位

鯨荘 塩町館 (常陸太田 / そば、うどん)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2008/11訪問 2008/11/05

二毛作で収穫する上質な小麦(きぬの波)の消費のために建てた塩町館。更に消費拡大のため乾うどんの生産も。

拙店慈久庵の続き。
慈久庵で夢心地のコースの食事が終わり、居心地が良かった席を立ってレジでお金を払います。慈久庵主の小川宣夫さんにお礼を申し上げたとき、ふとレジに置いてあった石臼うどん塩町館のA5のコピーで作った案内書に気が付きました。

あの、これいただいてもいいですか。と、わたし。
あ、それは、うどんのほうですよ。と、小川さん
これから、おうどんをいただきに、塩町館に行くのです、とわたし。
このとき、小川さんの厳しいお顔が少しゆるんだように見えました。

再び秋たけなわの里を疾走し、塩町館に向かいます。どんどん坂を下って、向かう先は常陸太田の街中です。

慈久庵での繰り返しになりますが、小川さんの目指す里山の再生の大きな柱は、蕎麦と小麦の二毛作です。そこで収穫されたものを、手刈り、天日干し、そして自家製粉を経て手打ちの蕎麦とうどんを提供することで、付加価値を高めて里に還元しようという計画。その消費のために建てたのがこの慈久庵鯨荘塩町館なのでした。

じつは、小麦を生産するというのは、少し前までは現実すごく大変な困難なことだったことを、今回初めて知りました。

本には、このようなことを書かれてます。

この旧水府村は、かつてはそばだけでなく小麦の栽培も盛んだった地域。毎年六月ころには、畑が黄金色に輝く麦秋の季節を迎えるのが当たり前の風景だった。
国内小麦の生産量激減の背景にあったのが食管制度である。国内産小麦、輸入小麦とも政府が全量を買付け、製粉会社などに一方的に売り渡すという体制が長く続いてきた。この制度化では、製粉会社は産地や銘柄の指定ができない。そのため、生産者のほうも、小麦を品質で勝負する意識が薄くなってしまった。
これに加えて高齢化が進んでいた。また、小麦は出荷の際、等級検査があるため農家は採算が取りにくい。

このとき小麦の生産を続けていたのは、むらでわずか数軒だったとか。

ここで、昔から大切にしてきた里山の畑を守るには、そばと小麦の二毛作が最適と考え、農家が安心して作付できるように、出荷先を増やしていく必要がある。それには、収穫した小麦から石臼で挽いた饂飩をこの地方の名産にしよう。

このような背景のなかで2005年に、この塩町館がオープンしたのです。

小麦の栽培種は、茨城県が推奨する“きぬの波”。これを石臼で製粉して手打ちにされたうどんを食べようというものです。

さあて、ようやく塩町館に到着。塩街道に建てたことからこの名前にしたと。お店は風変わりな洋館で、お店ののれんとおみせの外観が見事にマッチングしているのか、見事はずしたミスマッチなのか。こんなお店は見たこともないので判定に困りますが、わたしは、当然、お見事!に一票入れます。

このお店は、旧太田銀行とその裏にあった土蔵をリフォームして作ったとか。そう言われれば、なるほどと思います。創立されたころは、この辺では一際目立つ建物だったでしょうね。今でも十分目立っていますが。のれんをくぐって中に入ります。

お店のなかは、想像した通りのシンプルなつくりで、形のいいテーブルと椅子が配置され、なかなか居心地がよさそうです。

このとき、お店は満席でした。一番手前のテーブルの上には、慈久庵や小川宣夫さんのことが掲載されている雑誌や本やそれから小川さんの蕎麦・饂飩指南なんかが置いてありました。当然、このテーブルにはお客さんは座っていないので、ここに置いてあった椅子に腰かけて本を読みながらテーブルが空くのを待ちます。時間つぶしの本が目の前にこんなにあるので、何時間待っても平気の状況です。

この塩町館は、小川さんはお弟子さんにすべてを任せるやり方をとっています。お名前がでている本を読みながらも、お名前を書きとめるのを忘れていました。ここも、お弟子さんが、注文受け、調理、配膳、片付け、レジを一人で全部やります。だいたいは調理が一番忙しいので、お店にお客さんが入って来ても気がつかない時も出てきます。わたしの場合もそうでした。いいですよ、こっちは勝手に楽しみますから。

セルフのお水を持ってきて、来栖ケイの本でも見てましょう。やっぱりね、慈久庵も塩町館もそば、うどんの部でそれぞれベスト10のトップをはじめ、上位を独占してます。ついでですから、ラーメンなんかも情報を仕入れておきましょう。

ようやく席もあき、ようやく注文を取ってくれました。オーダーは鴨汁せいろ(冷たいうどん)(1150円)で。オーダーしても、すでにずいぶん長い時間待っていそうな大人数の家族分を作らねばならないので、当分うどんは来ないでしょう。でも、ぜんぜんだいじょうぶですよ。適当に指南書でも勉強していますから。これがきっかけで、行列、初老にしてうどん打ちの道へ、やがて技を究め宮内庁の目にとまり、陛下に手打ちの饂飩を献上する栄誉に見舞われ、あれ~、どうしましょう。また、悪い癖が出たようです。

鴨汁せいろうどんの登場。
うあー、うどんが黄色っぽい細打ちで水にぬれてきらきらしてます。あとで聞いたのですが、小麦を全粒で石臼粗挽きするので、小麦の外側の黄色い部分も一緒に製粉するから、黄色がかかるそうです。妖しい魅力的なすがたです。

つけ汁の鴨汁は、表面に脂がきらきら光り、いかにもコクのありそうな濃い目のたれに見えます。カモ肉が沈んでいるようなので、はしで引っ張り出してみましょう。ああ、結構な量がありました。記念撮影しましょう。ついでに、一枚食べちゃいましょう。

ほほう、やわらかいねえ。ふんわりとしていながら鴨のコク味が口のなかに広がっていきます。この鴨はどこからやってきたのでしょうか。地元水府の出身でしょうか。生前お声を聞かなかったので、なまりがわかりませんでした。

それでは、この特産品に育てるべく生まれてきたうどんを一口いただきましょう。
まあ、この細いながらも内に秘めたこしの強さ。さぬきうどんとは、また、全くちがう腰の強さです。やわらかふんわりでも腰がある。この、もうこたえられない食感は、うどんづくりの製法に秘密がありました。

小川さんの饂飩打ちの技術を最も特徴づけているのは、延しの工程で使われる“浮き打ち”と呼ばれている手法です。めん棒に巻きつけた生地を両手で上下に引っ張って延ばすという延し方。いわば、空中で延ばすことからの名称がついたのでしょう。味のためとは言え、なんと手のかかる延し方でしょうか。うまいなあ。また、小麦のにおいがして、このにおいを嗅ぐだけでも幸せな気持ちになります。

それでは、饂飩はつゆと出会って初めて真価を発揮する、という慈久庵主の言葉にしたがって、鴨汁と一緒にうどんをいただきましょう。

ひゃー、口のなかできぬの波と鴨の脂が一体になり、おしょうゆNIPPONの刷り込まれたDNAがプラスして、怒涛のおいしさに変貌しました。うどんのかおりも負けません。小麦と脂は相性がいいのでしょうか。オーダーの時、せいろうどんにしようか、鴨汁せいろにしようか、迷いましたが、鴨さんに来ていただきすっかり場に立体感がうまれました。正解でした。

ちゅるり、ちゅるちゅる。うめ~。ちゅらちゅら、ずずー。鴨肉でアクセントをつけながらも、あっという間の完食でした。

お蕎麦と饂飩。この2大麺に対してすばらしい気持ちにさせられました。忘れられない日になりました。今日おこったこと、を反芻しながら、太田の町へと繰り出していきました。しあわせな気持ちはずっと続いていました。


  • 鴨汁せいろ
  • きぬの波の石臼粗挽き
  • 濃厚鴨汁

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5位

はつね (西荻窪 / ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2008/10訪問 2008/10/19

やっと出会えた日本最高峰のタンメン。西荻窪にある6席だけのお店に。現在★3.83でダントツの首位。

拙店ファミリーチューカなかむらで、タンメンの名店を紹介していただけないだろうか、と問いかけたところ2店ご紹介をいただき、是非機会を作って参上したい、と思っています。

一方、この食べログで“タンメン”をキーワードに検索すると、タンタン麺やたんとんしゃんに混じって数軒引っ張られ、これも折を見てお伺いしたいと。

つぎに、“ラーメン”で検索してタンメンが出てこないか検索。出ました、ラーメンの部、全国28位。★3.83でタンメンも食べれる西荻のはつね。タンメンの部では、ダントツの点数です。コミを拝見しても、眼光するどい店主の渾身の一杯の気配。とるものもとりあえず、西荻窪まで行くしかないじゃないですか。

我孫子から片道83分。はつね、はお昼から17:00までのお店で最近まで平日のみ営業でしたが、土曜日も営業するようになったため、参上が可能になりました。行列の熱い思いを先取りして土曜営業に踏み込んでくれたのでしょう。ありがとう。

この日は、土曜日。決行の日です。お日柄もいいし。風水も問題ないようです。

西荻窪の南口を降りると、すぐ牛丼屋が見えます。その裏にあるはずです。ありました。はつね。待っててくれました。到着が15:00。それでも、行列は9人。さすがの、行列店です。

ちょうどのれんの右側に行列ができており、こっち側に並ぶとお店の中が全部見えます。カウンター6席。何回数えても6席だけ。カウンターの長さより、厨房の奥行きが短く、本当に狭い小さなお店です。その中を有効に使い、よく見えませんが、ガス口は3か4.冷蔵庫とながし。

店主が無駄な動きをせず、手を動かして野菜を炒めながら次の手順を考えているような。チャーシューをブロックから切り分け、大きさを整えるために3つの塊から、少しずつ切っていく、その間も何か次のこと考えているような。

チャーシューには、1枚1枚隠し包丁を入れて食感を調節しています。まあ、見ているだけで、作品の完成度の高さが伝わります。品書きは、基本的には、ラーメン、タンメン、もやしソバ、ワンタン麺の4種。それに、チャーシューが増えるかどうか。だいたい、2人前ずつ作っています。タンメンももやしソバも一個ずつ作る感じ。見ている間は、ラーメン4:タンメン4:もやしソバ2くらいの割合でした。

なんて、見ていると少しもあきません。およそ25分でお店の中へ。実感、せまいです。店主とおかみさんから、いらっしゃいませ、の心のコモッタ入店御礼をいわれ、タンメン(700円)で、とそれに答辞を述べます。券売機なんかありません。欲しいものを告げ、お料理をいただいてお金を払う、当り前のことがまだ生きてます。お水を飲みながら、ただものでない店主のてさばきに注目。

すぐタンメン完成。目の前へ。

これが現在日本最高峰のタンメンです。美しい、実に美しい。キャベツが中心で白菜は入っていません。もやし、にんじんが見えます。豚肉も無いようです。いいにおいが鼻孔をくすぐります。わー、たべたーい。だめだめ、記念撮影が待ってます。もう撮影は今回省略ね、といいたいところぐっと我慢。おとなです。撮影は、ぱっぱっと、簡単に。ぶれててもいいや、おれ見ないし。ひどいこと言ってます。

スープを一口。うぁ~あ。うまい。うまいうまい。ホントにうまいなあ。滋養を含んだクリアなスープ。シミわたるうまさで、しかも熱々。★3.83の実力。しお味が上品ですねえ。下品な塩味タンメンも大好きではありますが、はつねの味は上品。店主が苦労してたどり着いた店主好みの、理想とする味なんでしょうね。こしょうのあじより、コク味のほうが勝っていて、タンメン・ドゥ・ボー、といったような。油が浮いていて、これは野菜を炒めた油でしょうね。

炒めた野菜。もう火の通し加減は、1秒の誤差もなく完璧。しゃきしゃき感と野菜が熱ではきだすうまみのための熱の相反するファクターをどちらも満足させる天才のワザ。うまい。うまいうまい。ホントにうまいよ。どうする。また感心したのは、切ったキャベツの大きさ。テキトウじゃないよ。ちゃんと計算している。外のみどりの強いところ、白いところ、芯、とそれぞれの部位で切る大きさを変えている。普通人が気がつかないところに気を配り、計算している。

麺。中太だが腰が強く、タンメンの熱にまけない。食感がすばらしい。腰を強くするためのカンスイの匂いはほとんど感じません。うまいんだなあ、この麺。ごくうまスープで周りを保護されてうまみフィルムを作ってます。麺自体もうまみがありますが、それ以上にさらにクラスがあがっています。写真撮ったり、スープ飲んだり、野菜食べたり眺めたり、そんな無駄時間があっても少しもへたりはしない強靭な麺です。

スープ、炒め野菜そして麺。店主に命を吹き込まれたこれらの一団は、行列の舌、鼻腔、口の中をめがけて突進してきます。もう、うまいうまい。この世の中には、店主の親善大使タンメンと行列しかいない、猿の惑星。

ごくごく自然に食べるピッチがだんだん早くなってきました。極楽にすっとんでいく準備が着々と進みだしたことを感じていました。

  • 美しいお姿
  • 麺は腰が強い
  • スープは澄み切り

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6位

寛八 本店 (仲御徒町、新御徒町、御徒町 / 寿司)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥5,000~¥5,999

2008/10訪問 2015/10/02

ご苦労ちゃん。今日は、念願かなえます。好きなところで好きなもの食べてください。取材費出てますよ。

(2015年9月 再訪)

上野に来ています。

楽しみにしていた東京での食事。大好きな牛タンに舌鼓を打って帰ろうと思ったら、まったく予想外の低レベルな牛タン定食に憤懣やるかたなし。カドクラで1杯呑んで行くかと店を出ます。カドクラでもいいのですが、ここはうまい海鮮をアテに呑みたくなって、磯村水産にやってきました。

席に座ってメニューを見ると、ああ、あかんわ。おしぼりで手を拭いただけで店から出ます。旨いもので癒されたい。どこないい店ないかなって老人の大脳を絞ると、ああ、寛八があるじゃん。寛八の大将に癒してもらおう。すでにランチタイムのまっただなか。電話をすると、お待ちしてますとのうれしい返事がきました。地獄に仏です。

てくてく歩いて店までやってきました。記憶にある店構えとまったく同じです。

ジブンにとっては思い出のすし屋です。

食べログ参戦して100レビューに到達する前に飽きちゃうだろうと始めましたが、なんとなんとキリ番までいっちゃったんです。で、どの店でキリ番レビューを書こうかって。いろいろ考えましたが、ここ寛八にしたんですよ。

入口に立って一呼吸。戸を開けると大将からいらっしゃいませの気持ちのいい声がかかります。めちゃめちゃお元気で、もうお顔を拝見するだけでも癒されます。この日はお客さんが入れ替わって全部で5組いらっしゃいましたが、おくすことなく最初から最後までずっと話をさせていただきました。

そして大将の名調子も健在でしたし。寿司はもちろん特級品です。高いほうのセットをいただきました。3000円弱でした。ビールを瓶で。

なぜ最初にここに来なかったのかなあ。一通りをいただきおなかが破裂しそうでしたが、店から出たくない。追加を2貫お願いしました。

またお伺いして今日の恩返しをしなければ。

*酢の物
*玉子焼き

にぎり

*かんぱち
*赤貝
*トロ
*戻り鰹
*車エビ
*アナゴ
*イクラ
*玉子焼き。、鞍がけ
*巻物(貝)

*お椀
*蛸煮
*こはだ

*花豆、水ようかん風、ゆず風味付けたくあん

(2008年10月 初稿)

レビュー100件目の最初のキリ番はここだ。

え~、ホントにホント。どこでも、行っていいんですか。うそ~。
お店で、え~、待っているのはバニ~ガ~ル、ホ,ホ、ホントに?息が荒くなってます。はあ、続けてきて良かったです。ありがと、みなさんのお陰です。いつでも成仏できます。

とうとう、このよき日に100コミを迎えてしまいましたよ。あれえ~、どうしましょ、って感じですね。お店の入口に書いときましたが、まず飽きやすい性格。会社は、良く知ってますよ、このこと。40歳半ばから、同じ仕事3年以上やったことないす。まあ、いろんな事やらせて、様子みっか、と思っているんでしょ。でも、新しいことって、楽しいよね。いま若い人の絵文字コミを勉強中。こうご期待!じゃ~ん。

まず、自分の最初の5,6コミ読み返しましたけど、これじゃあ、飽きるわ。本人も読んでる方も。よくない。でも、ここで見捨てずに育てて激励続けていただいた方、いるんですよ。この時ばかりでなく、今でもいろんな方から激励されて。いつも、思ってますよ、読者のかた、神様仏様。心で手を合わせ、なむあんだぶ。

本気で食べたいと思ったお店。いっぱいありました。生来の好奇心から、本気で行って食べちゃいました。うれしいねえ。あそこのとんかつ、あのカレー、あそこのとんこつはみんな白眉でした。コミやってて良かったと。

そんじゃあ、お前、100コミで約束のインタ~イ、でいいんだな。

結局、初コミの日から起算し、今日は85日目。で、100コミ。

まったく、飽きるどころかのめりこんでますよ、行列さん、って言われても、ははあ、と笑ってごまかすいつもの手。こんな与太話に付き合っていただき、この日も読者の皆さん全員を無料ご招待して、一緒に食べたかったくらいです。あの有名店でご主人の名調子を聞きながら。

飽きるどころか、もしや、これって、天職?え~?

最近、読者のみなさんに迷惑かけないよう、これでも気を遣っているんです。一時期、1コミで8000文字を超えるのが続き、与太話を削って載せる日々もありましたよ。まじに。現在は、3、4000文字にして、

*食べ物だけ読めるように、こまかく段落わけ。つまり、人生部分はとばしてよい
*いつでも、飛ばし読み、部分読み、題名読み、読まずに写真だけ、なんでも可。開いただけで逃げるも問題ない。全くの自由。
*まくら部分と食べ物は、往復させない
*TVより活字が好きな人のため、3000字は下回らない
*極楽涅槃に行きたがる人のため、擬音で場所を分かりやすくする
*1文字も飛ばさずに読んだ人に海外旅行に行けるポイントをさしあげる

それなりに、工夫してます。

行列が、一番きらいなのは、常連ぶってお店の人と馴染み、それをコミにいれること。
これは、見苦しいので、やりません、と心に誓ってます。

と、ここまでで1100文字。ここまでの総括として、皆様に感謝してます、コミは続けさせてください、でも矢張り目標管理した状態で。今度は、件数管理ではなく日程管理。2009年11月30日まで。こうした方が、ペースつかめるぞって、もうやる気。バニ~ちゃん、待っててね。

さて、このよき日に決めたお店は、上野広小路の鮨処寛八本店。あの店主に会いたいから。もちろん、初めていくお店ですよ。うあー、ものすごくタノシミにしてました。東京でお寿司食べるなんて、ゆめみたい。

お店の開店20分前に到着しました。なかなか、しぶい店構えで、いい感じ。お店の前に、竹製の長椅子がありましたので、そこにちょこんと座って待ちましょう。

あ、どうぞどうぞ。中に入って、待ってください。今、お茶を入れますから。ゴム前掛けをして、掃除をしようとするお店の方から声をかけられました。

お顔を拝見し、どうもすみ・・・・・こおりました。御主人じゃあないですか。おーい、お茶いれてくれ。中に向かって言ってます。え~、社長自らゴムエプロンして、お店の前を掃き、打ち水をしているんですよ。お店の、ご主人のすごさが、もういっぺんで分かりました。ご主人もえらいが、そのお店を指名した行列さんも、えらい。

お店のテーブルにひとり腰掛け、職人さんが一人カウンターの向こうで下準備しているのを、ぼんやり見ておりました。開店5分前頃、どうぞどうぞ、こちらへ来ていただき、どうかゆっくりして行って下さい。声を掛けていただき、カウンターの席に。お客さんは、自分だけ。

目の前のガラスのショーケースの中は、出番を待つネタがずらり。気持ちいいですねえ。オーダーは、季節のコースで。お料理の写真小僧をすることを話します。

あの、お店のおすしをインターネットで見て、とっても美しいくておいしそうだったので、いただきに参りました。

どうぞどうぞ、くつろいでいってください。
あの、お客さんには、一個一個握って写真撮らせてくれ、って言う人がいるんですよ。あれ、こっちで並べて差し上げてます。

へ~、道理で同じ角度におすしが斜めになっているわけですね。いままで、写真の角度をつけるの、うまいと思ってました。

はは、あの右の方が上がっていて並んでいれば、それは職人がぎっちょ、なんですよ。へ~。

先付け。だいこん千切りとわかめの酢の物。さすがの江戸前の名店です。お酢の使い方がみごと。だいこんのしゃきしゃきに、酢がぴーんと緊張を入れます。どんどん食べて飲んでますが、いろいろお話してくださって、とても楽しい時間です。言い方、話題、物腰、まあ、なんて素敵なんでしょう。この空間は別世界ですね。

刺身盛り合わせ。まぐろ、あかがい、しまあじ。大きな銅製のわさびおろしで、どんどんわさびを擦って補充してくれます。
わさびを、食べる時よくまぜてください。ええ、もっともっとわさびつけたほうが。しまあじは脂が多いから。ぎゃくに、あかがいは脂がないんで。こちらは、何にも知りませんから、たのんで教えていただきました。ここが、行列さんが、通ぶらない、人気のあるポイントですね。
しその実をどうしていただくのか、聞きながらわっせわっせ進んでいきます。わかめは酢味噌で。うんまいなあ。おさしみ、すごい実力。

小鉢。こはだの背のあえもの。こはだから少しでる余った部分で作ったそうです。これが、うまい。くるまえびの酢の物。本物は、あまいぞ。はなまめ。たまごやき。たまごやきは、えびのかおりが。あとで、作り方お聞きしましょう。
小柱とほたての酢の物。ねっとり。

茶碗蒸し。これが秀逸。宴会で出る茶碗蒸しとはちょっと違うぞ。深い味。これが名店の技か。夢中で一気でしたわ。

にぎり。え~、わたしにまで、一個一個写真用に。ほんとに、すみません。ご主人は、涼しい顔して握ってます。おすしを見ない。手だけ動いてます、あ、口も動いてました。
あの、言いませんが、ねたによって、にぎりの強さ変えてるんですよ。ねたが一番おいしくなるように。なんと。おいしんぼ、にも書いてなかったぞ。

ぜ~んぶ、写真撮って、今度はぜ~んぶお皿に盛って写真撮って。つぎに、食べる・・・・ぶー、違います。つぎは、一個一個お寿司にはけでお醤油(一仕事してある)を刷毛でさっとひとぬり。ですから、こんどは2個ずつ、完成品が目の前に。
こうすることで、コミ用の写真は完璧。お味も完璧。ほんと、お手数おかけしました。

ここで、ご主人、奥から今焼いたたまご焼きをもってきて見せてくれます。わー、海老のいいにおい。車えびが入っているそうです。握りもしゃりがちょうどよくすくなく、絶品でした。

吸い物は、表面が反射してうまく撮れない。どうです、お客さん、このふたのトビウオ、撮ってやって下さい。なるほど。

さいごに、ごまのかかったおしんこ、水ようかん、うんまい花豆、くだもの。

それはそれは、見事なエンターテイメント。気持ちよくさせるコツ、ツボ心得てます。年輪でしょうねえ。HPでお顔見られますよ。

途中、ご常連さん、若いお客さんなど入ってきますが、どの人にも同じ接客をします。すごい。

この間、わたしの隣に座ったご常連さんがお友達を連れてきて、そのお友達が大感激。巻物の手紙に毛筆の礼状。いい文章でしたよ、見せていただきましたけど。最後に、お礼の一句が。

寛八の鮨を一貫喰らふ度
舌にきざまる匠の心
(無断借用させていただきました)

さあ、また101コミから元気だしていこう!

なお、ランチコース1900円、2800円のお客様に対しても、ご主人の接客はまったく同じです。この居心地のいい空間に足を運んでみては。絶対のおすすめです。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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7位

(行徳 / ラーメン、つけ麺、居酒屋)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2008/10訪問 2008/10/17

人望がありプラチナ色短髪の店主と、えー、若い、ハンサム、シルバー短髪の安岡力也が作るごくうま麺。

この日は、な~んにも用事のない一日。コミのためならどこに行ってもいい日です。財布と相談ですが。片道120分、行列100人でもOKの極楽日です。食べログ海外版があるなら、ソウルでもチェジュ島でもどこでも行きます、の人生で何回もない自由を謳歌できる幸せな日です。

それこそいろんなパターンがあり、何を食べたいかよりどこで行方不明になろうか、の心境でした。横浜、厚木、湘南、木更津、新潟、郡山、どこでも自由の鳥です。

で決めたのは、この5年間ずーと行きたかったらあめん葫(にんにく)へ。市川行徳です。
な~んだ、と思われるかもしれませんが、なかなか行けなかったのです、電車でも車でも1時間の距離ですが。まあその、チェジュ島まで引っ張り出して、すまん。

手元にもう表紙は擦り切れてしまってよれよれの一冊のラーメン本があります。

千葉ウォーカー特別編集千葉オールトヨタオリジナル版千葉拉麺案内まる得クーポン付(非売品)。普通の千葉ウォーカーと同じ大きさ、同じ厚み。

これは、2003年にトヨタのお店に行って試乗した人にただで配られたラーメン本で、もう早速試乗会に行ってGETしてきました。そのころ、首都圏のラーメン本はありましたが、千葉県だけというのはまったく見たことがなく、大のレア本で何回も何回も読み返したものです。

そうです。この本で見初めた(みそめた)のが、らあめん葫。このお店の紹介に、“トラック運転手をやめて”というくだりがあります。これを読んで、どんなにうまいラーメンであるか、と想像していました。トラック野郎は、全国のうんまいラーメンを食べきったのでしょうね、きっと。気が荒いですから、まずければ、どんぶりのひとつやふたつ、投げてきたんでしょうね。うまいラーメン食べに、運行ルートなんかばんばん変更して、軽油ばんばん使って、そんでたどり着いた最高峰のラーメンに間違いない。行列のなかで、うまいラーメンがどんどん膨らんでいました。そして、5年、このよき日を迎えました。

たまには、奈美と行ってくっか。我孫子(千葉ですよ。大阪じゃあないですよ。)から行徳までなんちゃない距離ですが。奈美が示したルートは、このあたりでは超混雑で有名なルートです。ローカルな話ですみませんが、船取線(船橋~取手間)と木下(きおろし)街道のダブルです。何年か前、このルートで別館博士ラーメンを食べに行き、あまりの渋滞に車内でミイラになりかけたことがあります。

お店の開店30分前に到着する、渋滞によるロス時間を50分と仮定する、ということで出発は開店時間の2時間20分前の9時10分出発に決定。

思ったより順調にすすみ、お店到着が10時40分。開店50分前で、一番を取りました。お店の前の駐車は2台までなんで、これも楽勝です。最新のラーメン本に出ていた一日10食限定のチャーシューご飯もOK。お店の前に置かれた長椅子に座ってひたすら待ちます。頭の中は、もうこのあとどこに行こうかなの計画中。まだたべおわってないのにい。

11時15分ころ、お店から一人出てきて注文を聞いていきます。この時点では、7,8人待ちでしょうか。

オーダーは、全部入り塩(1155円)とミニチャーシューご飯(210円)。
11時30分丁度に店の中へ招き入れられました。列から一回目に座れなかった人、3人。

ほほう、かれが店主ね、たぶん。顔に年輪を感じます。胸が厚く、袖に番長と書かれた白のTシャツ(売っているそうです、お店で)。トラック野郎そのものの貫録です。短髪で染めた色はプラチナ色。右腕は、もっとすごい。でかいです。あれれ。安岡力也じゃないですか。でも若い。ものすごくハンサム。ものすごくでかい。ものすごく胸が厚い。Tシャツのそでは、ジョニー。胸ぱんぱん。短髪でシルバーメタリック。かっこいいぞ、ぴ~。これは、旨いラーメン期待できそうです。

店主は、どんぶりを二つ出しました。2人前ずつ作るのですね。うれしい。隣の2番目の人は何をオーダーしたのでしょうか。チャーシューご飯は、右腕安岡力也が作ってます。小どんぶりがふたつ。じゃあ、隣の人もだ。あと、本日8個までよ、ヒヒ。チャーシューを乗せきったあと、なにかたれを上からかけてます。チャーシューだれなんでしょうか。

店主が、ドンブリにスープを投入。表面からレンゲで何かすくってます。油でしょうか。こまかく、こまかく、何回も何回もすくってます。命かけている感じ、いい景色ですねえ。この店主、見かけによらず、繊細な方なんですね。手を抜かない。そんで、気がすんだのか、納得したのか。こんどは、表面が真っ黒なチャーシューのかたまりがごろごろ入ったバットを取り出しました。ラーメンに乗せるチャーシューは、寸前に切るようです。繊細でいいなあ。一生懸命切ってます。

麺ゆであがり。スープに投入。そこからは、右腕がトッピングをばさばさのせていきます。すごい量。チャーシューもいやというほど、どばどば。もやしもいい感じ。のりもどんぶりにびっしり敷き詰め。

さあ、目の前に到着。姿が美しいラーメンはうまい by 江戸家猫八
何から手を付けようか迷うラーメンです。じゃあ、チャーシューから。すごい、厚み。

うあー、旨い。ものすごく旨い。はんぱない。みんなが絶賛するこのチャーシュー。とろ煮ではなく、焼いているからこの味、この食感なのね。手が込んでいる。まあ、ここの店主、人望が有りそうなんで、集まれー、って言えば、全国から100人くらいトラック野郎が手伝いに集まりそうです。手がかかるのは、まったく問題なし。うまいためには。ラーメン屋は、天職なんでしょう。

それからっと、スープね。まあ、これもクリーミーでコクがあり、さっぱりしていて奥が深い、絶品中の絶品ですね。こがしにんにくがいい仕事してます。麺がそれらの支援をうけ、まあなんと旨いことか。想像よりずっとうまいラーメン。スープの味、どこかで過去経験した味なんだけど、思い出せないなあ。

のり、もやし、シナチクその全部がオーケストラが全部の楽器が一体になって醸し出す名曲がごとく、全部のせの全部がどれも主張せず、どれも引っ込むことなく、見事なアンサンブルで至宝の名品に昇華している。これは、もうただ尊敬してひれ伏してその提供されたものすべてをいただくだけ。ここから完食するまでの3分間は、人生の最も幸せな、もっとも充実して濃密な時間。終りがくるな、と思いつつ、でも食べる速度はいつものトップスピードでずずず、と食べ進んでいった。

もう肩で息するほど、そのうまさを反芻していた。どうしたらこのラーメンを作れるか。まったく見当のつかない作り方、どこのラーメンにも似ていない、大げさではなく品がある、客に媚びず自分の信じる最高のもの、そんなラーメンに恐ろしく共感していた。

ラーメンの旨さにチャーシューご飯がかすんでしまったが、あのチャーシューがのっている御飯がまずいわけない。でも、ラーメンの前にはおとなとこども。横綱と幕下。しょうがないじゃないか。このラーメンの前で幕下はいいほうだよ。普通ならふんどしかつぎ。

まあ、チャーシューのかたまりは不定形なんで、切り落としてラーメンに使えないものをめしに乗っけて、という発想の、あるいは、お店のまかないめしからお店の商品に格上げされたのね、きっと。だからこその210円。これはCP高いし。ラーメンを全部食べた後、いただきました。

葫のラーメンは今後どのような道を歩むんでしょうか。研究熱心な店主のこと、もう次の手を打って、休みの日にはいろんな実験をしているんでしょうね。
どこにもない感動ラーメンのニューバージョン。期待してます。

  • これだ、NO1
  • チャーシューごはん
  • 全景

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8位

中華麺店 喜楽 (神泉、渋谷 / ラーメン、餃子、中華料理)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2008/10訪問 2008/10/28

渋谷道玄坂のディープゾーンへディープな麺を食べに行く。40年前曲った角をそのまま曲がる。なんと正解!

なんか、うんめいもの、ないのかい。超おいしい、より、超そそられる~、ないのかい。毎晩のネットサーフィンは、その日のテーマを決めてスタートします。この日のテーマは、“そそられる”。このご主人さまの心をグッとわしづかみにするような、そそるお店、そそる場所そしてそそるお料理。

出ました。目標管理することで無駄時間を排して、最短時間でターゲットに到達しました。

渋谷。道元坂。百軒店(ひゃっけんだな)。伝統引きずるもやしワンタン麺。

このテーマは、もう、行列のために特別に用意されたと言っても過言でない(やっぱ過言か)、東京指定特別予算プロジェクトです。カラダを張って完遂するしかない。

百軒店といえば泣く子も黙る東京有数のディープゾーン。ハチ公前からわずかな距離ながら、このディープゾーンの最後までたどり着いた者は、過去40年、ごく限られた人数しか記録にない。一度足を踏み込んだら二度と娑婆に戻れない、とうわさされる伝説の場所である。ほとんどがお水関係のお店。しかもかなり濃度の濃いお水の店がずらーと並び、そこを通る者を罠にかけて生き血を吸いたい♀吸血鬼の生息地として知られている。

風のたよりに、大宮方面で夜に活動を開始する夜行性のチョウが生息している、と聞いたが。百軒店は、その生息数が桁違い、天然記念物指定、日本固有種、絶滅危機種など珍種の宝庫であって、過去何回もTVクルーが特ダネスクープを狙い入山したが、いずれも帰還の記録がない。げに、おそろしい場所である by 探偵ガリレオ。

その40年間にわずかに娑婆に帰還できた数人のひとりが、皆さん、現在名前を知っている行列さんである。わたしです。

と、ここまで、いいかな。よい子のみんなは良くわからない?それで、いいのよ。簡単に言うと、東京の外国に行ったと、パスポートはいらないと。日本語が通じる、と。

40年近く前、百軒店よく行きました。力道山がやっていたリキスポーツパレスが新築だったころ。当時、東京から少しはずれると、麻雀の場所代が一人一時間60円。ここまで来ると、時間20円のところがありまして。もう麻雀パイが古くて、モーパイのしすぎでパイの内側が擦り減ってましたよ。ホントです、信じがたいでしょうが。
飲むのもこのゾーンで。電車でやってきました。当時、コンパという名前で安くカクテルが飲めるところがこのゾーンに林立していて、安さの競争。ハッピーアワーに入ると(早い時間に入ると)、たしかサントリーレッドが60円だったと記憶してます。おつまみは、いつも、からつき落花生。当時は、外国産ありませんよ~。

だいたい、バーテンは、若いきつね顔の男ども。ことばづかいもでたらめで、けんかしたことも。今なら、くさりつけられて東京湾に沈められちゃったかも。こっちも、びんびんでしたから。まだ勤めてません。学生でした。

その後就職してから、一度も足を踏み入れたことありません。だから、40年近く忘れてました。そして、今回とりあげたこのお店の地図を見たとたん、当時のことが脳のすみっこで冬眠仮死状態で保管されていたらしく、どどっと蘇ってきたのです。すごいコンピューターですね。脳細胞が毎日湯水の如く死んでますが(そう言わないか)、こんなことは忘れていない。

そんじゃあ、あそこでもやしワンタン麺食べて、そのあと、百軒店のルポやって雑誌に売り込むか。ったく、忙しいねえ。

やって来ました、渋谷ハチ公前。すごい人だかり。宮沢賢治が国のなまりを聞きたくなって行ったところが、上野。現在なら、上野より渋谷のほうが、いなかから出てきたばかりの人の含有率が高いのでは、と思えるいなかファッションの勢ぞろい。我孫子や大宮のほうが、ハイカラだっぺ。今日は、イベントでもあるのでしょうか。やたら目立つご主人さまカフェファッション。でも、靴を見れば分かるんだな。出身地引きずってますよ。

109の前でイベント。カップ麺をUFOキャッチャーで取るんです。その前で記念撮影。やめなさい、そのVサインやるの。戦後ですよ、その両手でVサインするポーズがブームだったのは。歩いていても、ものすごいうるささ。音と音がぶつかりあって共鳴してるんじゃないの。DVDでもって記録し、ここに貼り付けてみんなに見てもらいたいよ。こんなうるさいおこさま文化が東京で増殖しているのを、早く法案を作って取り締まらないと、とんでもないことになるよ。知事は承知してるの?

そんなこんなで、あら、すっかり東京見物しているうちに時間が過ぎてしまいました。急がねば。開店前行列の一番になれ・・by 山中毅。

道玄坂をてくてくのぼりはじめ、あと百軒店の入口を右折すればOKよと。
からだが覚えているもんですね。たしかこのくらいのぼったところで、右折の道があるはず、と思い。えへん、ちゃんとありました。40年前と同じように曲がります。ミュージックホールにご挨拶してとことこのぼったところに、ちゃんとありました。喜楽。からだの記憶のメカニズム、どうなっているのでしょうか。

え~、到着したのは、なんだかんだの開店5分前。不覚をとりました。もう外に二人並んでいます。ちょっと、1階のカウンターをのぞくと、満席。すでに、お水も配られ。うぇ~ん。これじゃあ、2階になっちゃう。このお店は一階でないとルポ完成度半減です。店主のしぐさがハイライトのお店ですから。

2階へどうぞ、と言われたとき、1階があくまで待ってます、と言おうと思っていたものの、口から出た言葉は、は~い、ありがとうございますって、2階へ。2階では、すでに3人の男どもがばらばらに座って待ってます。中国人ぽいオネエサンに、もやしワンタン麺のオーダーを入れ。やっぱ、2階はつまんない。ラジオががんがん。待ってる客は、下向いてるし。4人のオーダーは、ラーメン1、もやしそば1、もやしワンタン麺2。

11時37分、4人分麺到着。このとき、すでに2階には9人いました。4番目に麺が目の前に。いやー、おみごと。うまそうです。ごま油のかおりが襲ってきます。ささ、記念撮影。もやしの量がすごい。ワンタンもびろびろの黄色で、湯気立ててますよ。焦がしネギも浮かんでます。

うあ~、もやしがうんめい。このしゃきっとした背筋が伸びているもやし軍団。何にも文句ありません。ごくろうちゃん。びらびらワンタンをレンゲですくって一個食べましょう。
びらびらびら、つるつるる。あちち、うま~い。あんの肉が独特のくさみがあって、郷愁のくささ。そんじゃあ、麺とスープね。スープはしょうゆ色、クリアスープ。味が軽いがコクがあるという、このジャンルの優等生。おやじがつくるところ、見たかったなあ。麺は、太い。太くてがっちり腰があります。ぜんぜん腰がへたってない。むっちりした食感でうまいぞ。ニューウェーブなんかくそくらえ、のうんまいうんまい伝統麺にしばし至福の時間を楽しみました。スープがあつあつで、二階に運んできたハンデなし。

麺が太くトッピングのボリュームがあるので、たべるピッチがなかなかあがりません。あがらないけど、十分おいしい。自暴自棄にならないスピードで食べすすめ、極楽までいけませんでしたが、三途の川くらいは逝ったでしょう。ごっちゃん、で、完食。4人の中で一番早い。支払は1階で。階段で並んでいた人、4人。1階で並んでた人5人。外にでて、時計見たら11時47分。食べて、会計してトータル10分の宇宙の旅の終了。

あ~あ、まんぞく、まんぞく、で、帰って来ちゃった。百軒店のルポすっかり忘れ。また宿題を残した遠征でありました。次回は、チャーハンと吸血鬼で。

(うん、この手の分野では実力でるなあ。シリーズ化でいくか。)

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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9位

博多ラーメン ばりこて (東高円寺、中野、新中野 / ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2008/09訪問 2008/10/08

東京で最高峰を誇る博多ラーメンがいただけるなんて、も、サイコー。片道80分ですよ、全く問題な~し。

もうしばらく博多ラーメン食ってないなあ。

一度こう思うと、もう何が何でも食べたくなる病気を罹患していて、この治療は、食べるしかないのです。薬では効き目がない。そこがこっちの狙い目。

記憶をたどり、もう絶対行きたいと思った博多ラーメンの3店の候補のうち、まあここが断然ですよね、遠くなければ。博多ラーメンばりこて。あの、高円寺ラーメン王さんが、青ネギと高菜でむせこんだ伝説が残っているお店です。

もう必ず行こうと、真剣になりました。場所の確認。ははん、東京メトロの東高円寺から歩けばいい。となると、上野に出て銀座線で赤坂見附乗り換えの丸ノ内線東高円寺下車。大したことないじゃん。たった2回乗り換え、時間は80分。その日のうちに着くゥと。

あの東京メトロの車内アナウンス嬢の声、なんか変じゃあないですかあ。6年つきあって、もう気持はそろそろ結論だすかあ。女性の方は、もう結婚のけっを言いだそうと500回くらい考えたんだけど、カレ多分おこりだすしい。そしたら、こないだ、おれ、どうしたのか、結婚しようよって言っちゃって、それからだよ、彼女、妙に姉貴みたいなしゃべり方になっちゃって、それとまったく同じしゃべりかた、東京メトロのアナウンス。長すぎるちゅうの。

やって来ました、東高円寺。駅からぶらぶら歩きでちょうどいい距離。細い道の商店街をひやかしながら行くと、ちょいと車が多い道にぶつかり、そのぶつかった角にお店がありました。この見つけた瞬間が、うれしい旅の出発点。極楽涅槃に続く道。

カウンターに先客は一人。ちょうど嵐が過ぎ去った後のようです。店主からのメッセージが貼ってあります。長浜店が、順調に立ち上がったので、もうすぐ東京にもどりますよう。うん、なるほど。そんじゃあ、この今日カウンターの向こう側で調理するのは、店主じゃないですね。若い人ですけど、体格がいいんで、なかなかやりそうです。このお店の調理場は、奥に深くなっていて、奥のほうで何やらやってます。手を休めません。

オーダーは、もうずーと前に決めていたねぎラーメン(720円)。楽しみですねえ。お店の外に、関東風の調理は一切しません、とありました。ここまで言い切る自信と責任。わくわくします。

そんじゃあ、オーダーも終わったと。あとは、ダーウィンの法則にしたがい、カウンターに置いてある小瓶の中味の確認に入ります。

ここにいたのね、伝説の高菜。わー、すごい量のトウガラシの粉がまぶしてあります。これは、もう、むせるどころのさわぎじゃない。発熱後救急入院必至。急きょメニューを点検して、明太子(150円)を見つけ、あわてて追加オーダーし、ことなきを得ました。

食べ開始。うまいなあ、このネギ。あつあつのスープに半死状態のネギがたまらん吟醸味を醸し出しています。この九州、関西で使う青ネギはうまいなあ。どうして関東で細々した普及しかしないんだろうか。七不思議です。

スープは?これも、ひさびさ、本当の本物のクリーミーなとんこつ味。熱い。あの武骨なとんこつもいいけど洗練されたとんこつもいいよね。とんこつ係数をそろそろ農水省で制定してほしい。水1000リットルに対し、豚のどこの骨が何kg、脂が何kg、頭の骨、尾てい骨、腕の骨、など、骨の部位と溶かした重量で細かく分類してほしい。臭みもあわせて、農水とんこつ2008年ささめゆき8号、といえば、消費者もだいたいあんなんだな、と分かるような物差しがほしい。このへんが、行列がエンジニアであるあかし。

とんこつは範囲が広いんで、あの店より>で、あっちの店より<、そんなん知らないよ。相対評価はごまかし用、もっと科学的にサイエンティフィックにデジタルでの評価基準制定を是非お願いしたい。

麺は?これは驚き。とんこつラーメンの麺って、こんなに細かったっけ。ホント、細いです。極細の極細。しかし、食べたとき押し返してくる弾力はさすがです。味もいい。ずずずー。だんだん食べるスピードがあがり、最後5速に入れてトップスピードに入りました。ずずずずー。

知らぬ間に無我夢中のエクスタシーの世界にぶっ飛んでいて、気がついたら、ドンブリが空になっていました。オレのラーメン食ったの、誰だー。

もう時間にしてあっというまの出来事でしたが、このラーメンには大感動しました。自分好みの味でした。いつチャーシューを食べたんだか、記憶にございません。やっぱりあの世(another world)に行っていたようです。

みんなもおいでよ。極楽涅槃が待ってるよ。

  • (説明なし)
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10位

チャイナムーン 新宿店 (新宿三丁目、新宿、新宿西口 / 中華料理、飲茶・点心、餃子)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2008/10訪問 2008/10/22

新宿、こんなところに香港点心のベストワン店が。食べた点心、全部★5点。香港マニアも太鼓判ですぞ。

会社で休みを取り、4日間の香港食い倒れ旅行を本年8月末に敢行。満足満足の日から、もう6週間たってしまいました。また、香港点心食べてえなあ。もう一回会社休むかあ?今は無理よね。

香港点心にはまり、中国赴任中も香港に仕事を作ってはせっせと通ってました。こんなに安くて旨いもの、材料費だってたいしたもの使っていないから高くなりようないし、どうして日本で、少なくても東京でブームにならないのか、不思議でしょうがありませんでした。つくり方だってコツさせ覚えれば、そんな難しくないし。行列の作る点心だって、うまいぜ。プロがやればおちゃのこさいさい、だっぺよ。

そんな中、新宿に香港式のうまい点心が食べられるお店がある、との情報で、そりゃあ行くしかない、と下院議会で決定し、予算もおりました。しかしホントでしょうか、香港の味が東京にあるなんて。このお店の点心の評価者は、この行列を置いてほかにいない、との自負から、お店のある新宿へ行くことにしました。
(この辺のストーリー、無理ないよなあ。)

決行の日は土曜日。お店は、土日だけランチがあるので、これもOKです。新宿駅東中央口から歩いて3分。ビルの3階にお店はあります。新宿なんて何年ぶりでしょうか。いなかものなんで、迷子だけは気をつけないと。

迷子にもならず無事お目当てのビルに到着。お店の前に。開店時間の11時半に予約入れてますが、時間になっても始まる気配なし。つまり、予約は不要だったのね。11時35分、お店の人が出てこないんで、もう勝手に中にはいっちゃいました。何かヘンダナア。お店の中は、ちょっと暗いので、香港の場末のレストランをわざと摸してるのね。地味な装飾に地味なテーブル。たとえば飛び込みではいったという状況では、このお店、中を見てすぐ出てしまう感じだなあ。でも、気を取り直し。

この日のオーダーは、ランチBコース。これは、2名以上しかオーダーできません、と言われましたが、この日はちょうどBさんと一緒の二人でしたので、問題ありません。

ランチ Bコース 2100円(1名分)(2名以上オーダー可)
湯:かに肉と海鮮のとろとろスープ
点心:香港式海老シューマイ
   特製肉シューマイ
   ニラ入り海鮮蒸しギョーザ
   大根もちさくさく衣揚げ
   海老入りぷりぷり香港春巻
食事:芝海老と叉焼の玉子チャーハン
本日の中国式冷製デザート:タピオカ入りココナツミルク

それと、もうこれは絶対食べたかったこのお店のスペシャリティを追加で。
密汁叉焼(チャーシュー) (1200円) ハーブ豚使用、蜂蜜でじっくり焼き上げた、の説明。

さあさあ、どんなお料理でもてなしてくれるんでしょうか。

かに肉と海鮮のとろとろスープ到着。結構早い時間に出てきました。このスープ皿、どうですか。やっぱ、香港場末でしょ。すごく重い食器。見方によったら、豪華。見方によったら、趣味わる~い。中国人は金色好きですねえ。

一口スープをいただきます。わ~、うま~。これは、ごくうま。いやー、疑ってワルイワルイ。本当に、シミわたるうまさで、コク味も十分。この技は、すごいぞ。なかなかこのコクを出すのは難しいし、カニも下処理がいいのか、いやなにおいがしない。結構スープ皿が深くて、量があって、あつあつで、もう十分楽しめた。おもわずのにっこり。香港の名にはじない。文句無しの★5.0。点心は、すごく楽しみ。

密汁叉焼登場。1200円にしては、これも結構量があります。こればっかは食べないと分かりません。一切れ食べましょう。まあまあなんと、うま~い。お肉がやわらかいのに、しっかり食感があります。肉のうまみとたれのうまみがコラボしてます。さすが、焼いて油を落とし焦がした肉の旨みが口のなかに広がります。たれが少々かかっており、このたれに際どいぎりぎりの量の八角の風味が付けてあり、食欲をわかせます。香港で食べる叉焼より好みの味。文句無しの★5.0。

ここから点心がぞくぞくと。一人1個ずつですよ。
トップバッターは、ニラ入り海鮮蒸しギョーザ。がぶり、あちっち。うま~い。なかのアンが微妙においしい。点心独特の何だかわからないがおいしい、の典型です。アンがびっしり詰め込んであって、うれしいね。もったいないんで、4口で食べましたよ。この味が出せるんなら、十分合格ですね。料理人のこと書いてありましたが、香港で10年以上修行した、と。え~、日本人?不明です。この蒸し餃子は、★4.8。5点でもいいと思いますが、公正な取引委員会から、評価が甘すぎるの注意があり。

お次が、大根もちさくさく衣揚げ。大根がクリーム状になっており、干しエビでの味付けが秀逸。この日の最高点心です。揚げが文字通りさくさくで、衣がパイ状になって軽い。パイシートを巻いたのか、衣にオイルを混ぜてさくさく揚げにしているのか。こんな大根もちの食べ方は初めて。さっそく、行列のレシピに入れましょう。文句無しの★5.0。

海老入りぷりぷり香港春巻。あんの中のえびのうまさに感服しました。このエビの処理が香港料理のハイライトですが、無事合格してます。あんの味が深いコク味で、申し訳ないくらい、うまい。取引委員会がなんと言おうと★5.0でしょうがないだろう。

香港式海老シューマイと特製肉シューマイが一緒に登場。ラードを使って十分コクが引き出されており、まさに香港の点心そのもの。上海でいつも食べていた香港点心より、好きだなあ、こっちの方が。えびはぷりぷり、豚肉は肉汁たっぷし。横浜中華街にもしゅうまいのおいしい店ありましょうが、ここもまけないなあ。肉シューマイは、熱であんが凝縮されて食感もいいぞ。取引委員会がなんと言おうと★5.0でしょうがないだろう。って、コピーでいいだろう。

芝海老と叉焼の玉子チャーハン。もう、コミよんでいる方も疲れただろう。こっちも、書いていて疲れたよ。みんな、5.0だもんなあ。このチャーハン、色が黒いんでどうか?と思ったが、なーに、楽勝の★5.0だわ。あの香港の極細麺でつくる香港醤油焼きそばとおんなじ味。それじゃあ、うまいわ。ごはんがかたく、味がよくしみ込んでいて、えびがアクセントになり文句ないよなあ。これは、絶品だね。一人なら、シャーハンセット(1050円?)がいいわ。

デザート。★3.5。タピオカ、やわらかすぎ。よかった、これで満点なら、採点がおかしい、って言われるところだった。

こんなに満足感を得られるとは思っていなかったけど、すまん、りっぱな香港点心、叉焼、炒飯のナンバーワンのお店、と行列が太鼓判押します。絶対のおすすめ。

  • 香港式海老シューマイ&特製肉シューマイ
  • 大根もちさくさく揚げ&海老入りプリプリ春巻
  • ニラ入り海鮮蒸しギョーザ

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