『ポエシア 4回目のレビュー』酒野夢蔵さんの日記

酒野夢蔵の酒場放浪記

メッセージを送る

日記詳細

※ポエシアのレビュー文字数が満杯になったために,初回~4回目分のレビューを日記に移動しました。

今回はポルチーニ茸・トリュフを食べたくて,
ランチでpoesia (ポエシア)さんに伺います。
相変わらず昼は女性客ばかりで満席です。
自家製パンはくるみパン,ローズマリーパンでした。

・鳴門産カンパチ グリーンペッパーソース,貝柱のグリエ クスクス添え,
 阿波尾鶏のコンフィ ピータン添え 自家製タルタルソース
伺った日は台風後も,海がしけて,和食店でも魚が入荷できていない状況でした。
鳴門産カンパチがグリーンペッパーソースのオリーブオイルとで,
サラッと爽やかに抜けていきます。
貝柱のグリエも火入れがバッチリの状態で,クスクスとも組み合わせがいいと思います。
クスクスは,デュラム小麦を粉に水分を含ませ,
そして粒状にしてから蒸して乾燥させたものです。
阿波尾鶏はコンフィに仕上げ,ソースはサワークリームのように感じます。
フレンチドレッシング,ピクルス,ディルピクルス,ケッパーを使い,
ピータンの茹で卵を添えており,これと併せてタルタルソースにしています。


・トリュフとマッシュルームと阿波美豚ベーコンのリゾット パルミジャーノレッジャーノ
トリュフとマッシュルームがとても香り高いですね。
ちなみにトリュフは黒いダイヤモンドと言われています。
ホワイトマッシュは朝採れの生でも食べれるものです。
それをデュクセルにして,リゾットに混ぜています。
その上にスライスしたマッシュルームとパルミジャーノレッジャーノ,
阿波美豚のベーコンがアクセントになっています。
これはバランス・味付けがとてもよく,とても美味しいと感じました。


・天然鯛とポルチーニ茸のバベッッティーニ クリームソース
日本のマツタケ同様にイタリアで愛されているキノコが,ポルチーニ茸です。
実りの秋,キノコの中でも,味・香り・食感が共に良く,高級食材にもかかわらず,
とても人気のある「ポルチーニ茸」はキノコの王様とよばれています。

生のポルチーニ茸は徳島のイタリアンでは,なかなか使用できていません。
バベッティーニは,パスタで,スパゲッティを押し潰したような,
平たいパスタで長いパスタとです。
バベッティーニは中心が太く,端が薄いリングイネのような楕円形のパスタですね。
今が美味しい天然鯛,鯛は春から産卵期であり,実は秋からが旬になります。
パスタはコシがあって,この噛み応えでクセになりそうな楽しさです。
自家製麺の茹で上げ方も完璧でした。


・根室産エゾ鹿ウチモモのロースト 赤ワインソース
  フォアグラといちじくのフリットとゆりねとインゲン添え 
クセもなく,脂身が少なめながら,しっかりした肉感が味わえました。
ウチモモ肉は比較的脂身が少ないので,赤身の部分を焼きすぎずにしてくれていました。
これで味わいある,しっとりとした食感を楽しめました。
徳島産の鹿と比較して,ジューシーで味のある美味しさを感じます。

鹿にはロティして黒胡椒をきかせたソースや,甘酸っぱい果物の風味ともよく調和しますので,
赤ワインソースには,カシス,洋梨やマンゴー等も相性が良いとは思うのですが,
個人的には甘さが感じさせない方が良いように思いました。
しかしながら,フォアグラのデュクセルとイチジクのフリットにフォークを入れると,
フォアグラソースのように流れてきます。
これがとても良くて,根室産エゾ鹿ウチモモにすこぶる相性がいいのです。

・モンブラン,牛乳とラム酒のアイス 
ヌガーグラッセの上に,紫っぽい丸い玉がのせられていますが,
コーヒーをカプセル状にしたもので,コーヒーのスフェリケーションです。

エスプーマ,アイレなどと同時期に「エルブジ」が世界に発信した技術の一つでもあります。
今は閉店したカタルーニャ地方にあったレストラン「エルブジ」のシェフ フェラン・アドリア。
イノヴェーティブな現代スペイン料理で,伝統的な料理を新しい素材や調理技法で独創的にアレンジしていました。
今までの常識を覆す手法で,世界中の料理人をあっと言わせました。
なにしろアルギン酸や液体窒素などを用いて, 瞬時に固めたり,凍らせたりするのですから驚きです。
化学実験のようにも見える調理方法は,料理の新しい可能性を見出したと言えます。
注射器や試験管で供される演出などの強烈なインパクトをもつ料理で話題を集めたのです。
そして,新スペイン料理(ヌエバ・コシーナ)の枠を超えて,
現在はフレンチやイタリアン,和食の一流料理人にも影響を与えています。

シェフは努力家で研究熱心ですし,東京・京阪神で有名店を食べ歩き,
その経験を実践してチャレンジし,シェフの料理も進化しています。
徳島のイタリアンおいて,オステリアイマムラのシェフを除くと,
そういう料理人はほとんどいません。

食べログにおいて感じることは,
有名料理人の店,高級飲食店や高級ブランド店はともかくも,
5000円~8000円程度の価格設定の飲食店は,
食べ歩いた経験上,評価が割れている店の方が当たることが多いように感じます。

濃厚で単純な味わいを好むかたや,繊細で深い味わいを好むかた,
本来の素朴な良い接客そのものよりも過度なサービスを求めるかた,
全くの的外れなかたなど,さまざまな意見があると思います。

私が県外の飲食店を探すときに,
食べログを利用するには情報の選択が必要だと感じています。
そのためには「どれだけ多くの人が高い評価をしているか。
(食べログで言えば点数がどれだけ高いか。)」ではなく,
「どれだけ食に造詣が深い人が高く評価したか,
少なくとも,そのジャンルでどれだけ広く食べ歩き,
十分な比較材料を得ている人が取捨選択の末,高評価の結論を出したか」,
つまり量よりも質,レビューよりもレビュアーをまず吟味すべきである,
ということが大事だという視点で選択するようにしています。

さて,ここの昼のパスタランチ1080~1620円,
夜のパスタディナーやカジュアルディナー1780~2700円はここの入門的なものです。
昼の女性客のほとんどのかたは,昼のパスタランチ,
これを楽しみに来られると思いますが,満足されたかたは,次のステップを,
食べ慣れたかたにも,予約を前もってされ,シェフに相談されることを,ぜひともオススメします。

ページの先頭へ