新・郡山ラーメン事情（2024年4月作成）

今は秋葉原にある低温調理のチャーシューの産みの親である「麺処ほん田」出身の店主がコロナ禍をへて営む、エキサイティングなお店です。地元のひとでも一回かよっただけではその全貌がつかめない広がりと、飲食店としてのばきばきのハングリーさがあります。限定麺、夜九時からの二郎系インスパイア（店炊きのスープと国産小麦をふんだんにつかった麺で、都内でもまず食べられない完成度を誇ります）、昆布水つけ麺（郡山というか福島県で昆布水つけ麺はここだけ。都内の昆布水つけ麺と比してもまず遜色ないです）、魚介豚骨系つけ麺（またこれか系でも充分に美味しいです）、……さまざまなバリエーションで楽しませてくれます。お腹いっぱい食べたい時には大盛り、替え玉をたのむと、ヘビーモードになるので注意。

すごく勉強熱心で、そして勉強熱心であることを全力で商品に注ぎ込むことをされている、そんな地方飲食店の店主が営まれている、ラーメン店。残念なことに、ものっすごく強い出汁の効いたラーメンをだしても、地方ではあんま、それが受け容れられないところがあるんだけれども、本当にいろいろと食べ比べをしてそこから学んできたエッセンスを取り込んだラーメンを提供しているオールラウンドなお店がここです。

駅前で食べることのできる白河ラーメンで、福島のご当地ラーメンのひとつである、白河ラーメンってどんなもんじゃろい、と気になった時、必要なエッセンスはこのお店で充分あじわうことができます。白河で下手なお店はいっちゃうよりか増しかもしれません。紹介者である私は最近あんまり行っていないけれども、郡山市内で、利便性をかんがえると取り敢えずここは候補に挙がるでしょう。喜多方ラーメンは郡山で食べるはむつかしいです。

もうしわけないけれど「福島でしか食べられない本当に美味しい二郎系インスパイア」は、麺処隆のメニューかな、とおもうです。けれども夜九時からという悪魔的制限があるので、こちらのお店も紹介をしておきます。しっかりと店炊きした乳化スープ、平らかな麺の食感と、インスパイアならではの楽しみ以上のものを、このお店は与えてくれます。絶対にお勧めです。

郡山でラーメン食いつつ野菜も摂りたいという、贅沢な欲求に駆られてしまったのならば、――タンメン食べたかったら、ここに行ってみてください（ガラをケチッててかえしを入れていないから大○元さんは行かないほうがいいよ）。ちょいと立地に難があるのだけれども、美味しいタンメンを食べることができます。餃子もご当地の食感が、しっかりとあって、美味しくいただけますよ。って、横浜じゃないかって？……いや、気にしないで！

ラーメンの超・超激戦区、荻窪においていまだに頂点のひとつに君臨しつづける春木屋は、ラーメンの歴史においても重要なお店のひとつでもあり続けています。「昔懐かしの中華そば」を進歩しながらずっと提供し続けている。進歩と昔懐かしって、ムジュンしていないか、といわれても知らんです。「昔懐かし」の定義が時代によって変わるなかでも、春木屋はブレずに、それを守り続けてきたお店なのですよね。それが福島に来るとなんか進歩的になっちゃったりして。なんか理窟っぽくなっちゃったけれども、シンプルでストロングなラーメンてか中華そばを提供してくれます。

さて、春木屋を紹介したんで、駅前にあるこちらの分店について。遠くまでいけないし、さらっと、ふらっと、もっと安く、という方には、こちらがお勧めです。どしっと向き合われてもこまる。立ち食い蕎麦感覚で、ふらっと立ち寄って食べると、この麺のたしかな美味しさがわかります。こういうお店が駅前にあるって、郡山とはなかなかリッチなのかもしれない、と誤解していただいても、かまわない。誤解も理解のひとつです。さらりと美味しくいただけるラーメンを提供してくれますんで、お勧めですよ（春木屋の郡山分店が成功をして、駅前に進出したそのまた分店ということになります）。

福島に来た。家系が食べたい。そんなひと、いるんでしょうか。いるでしょうね、絶対。グーグルさまで検索するといろいろ出てくるけれども、郡山市内で家系だとここです、はい（紹介者は「吉村家」をはじめ色々な家系を食べています）。どうしても家系なんだッ、というかたは、こちらのお世話になるのがよろしいかとおもいますですよ。

なんと郡山にも大勝軒があります。ラーメンの歴史についての教科書（そんなもんがあったとしたのならば）で太文字で出てくるのが大勝軒ですね。で、下手な都内の店舗よりも、非常にしっかりとつけ麺、ラーメンをやっているのが、われらが東北のこの店舗なんすよね。すっごくがんばっているお店ですので、都会から来たようなひとは、お店に行くと、まず、全体の印象として、ほっこりするとおもう。

ようするに、ラーメン店、ないんすよ、福島（笑）。おいしいお店はほとんどないですね。ガラをケチッているような、薄いスープのお店ばかりで、だから、もしも山岡家を食べたことがないというのならば、いちど、ここで体験してみるのがお勧めです。骨味がほのかに出るまで煮込んだ店炊きのスープと、太っとい麺。これをチェーンにやられちゃかなわん、というお店が、山岡家ですね。下手なラーメン店はいるのよりも、とくにスープに対する、努力のしかたがちがうんです。

山岡家ついでというと、あれなのですが――ラーメンショップもちゃんと店炊きしたスープでラーメンを提供してくれて、ようするに市内の他店はこんくらいのスープをつくってくれない、という話ですね……。ラーショはラーショで、なんか、風情があって、いいもんです。